特許第5930264号(P5930264)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5930264二相ブラシレスモータの駆動装置及び駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930264
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】二相ブラシレスモータの駆動装置及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20160101AFI20160526BHJP
【FI】
   H02P6/02 371S
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-114858(P2011-114858)
(22)【出願日】2011年5月23日
(65)【公開番号】特開2012-244848(P2012-244848A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 温道
(72)【発明者】
【氏名】奥村 繁一
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−038580(JP,A)
【文献】 特開平06−070586(JP,A)
【文献】 特開平09−266690(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0297079(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2相結線された少なくとも2つのステータコイルの通電を行うスイッチング回路と、
前記スイッチング回路を制御することにより、前記各ステータコイルに、電流をそれぞれ通電させる制御回路と
比較回路とを有し、
前記制御回路は、前記各ステータコイルとマグネットロータの相対位置を表すゼロクロス時点以後の、通電開始から通電終了までの通電角を決めるタイマー時間を設定し、前記タイマー時間が経過した時点で、前記少なくとも2つのステータコイルへの通電を同時に遮断するものであり、
前記比較回路は、前記遮断により現れる逆起電圧と基準電圧とを比較するものであり、
前記制御回路は、前記比較結果に基づいて次のゼロクロス時点を検出し、これら2つのゼロクロス時点間の周期を決定し、この決定された周期に基づいて、前記ステータコイルの次の周期における通電角を設定するものである、二相ブラシレスモータの駆動装置。
【請求項2】
前記タイマーは、前記ステータコイルの通電開始から通電終了までの通電角を設定する第二のタイマーであり、
前記ゼロクロス時点の開始から前記ステータコイルの通電開始までの待ち時間を設定する第一のタイマーをさらに有する、請求項1記載の二相ブラシレスモータの駆動装置。
【請求項3】
スイッチング回路によって、2相結線された少なくとも2つのステータコイルに電流をそれぞれ通電させ、
前記各ステータコイルとマグネットロータの相対位置を表すゼロクロス時点以後の通電開始から通電終了までの通電角を決めるタイマー時間を設定し、前記タイマー時間が経過した時点で、前記少なくとも2つのステータコイルへの通電を同時に遮断し、
前記遮断により現れる逆起電圧と基準電圧とを比較することによって、次のゼロクロス時点を検出し、
これら2つのゼロクロス時点間の周期を決定し、この決定された周期に基づいて、前記ステータコイルの次の周期における通電角を設定する、二相ブラシレスモータの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコイルの逆起電圧を検出して、ステータコイルとマグネットロータの相対位置を推定し、それに基づいて通電角を設定して2相ブラシレスモータを駆動する二相ブラシレスモータの駆動装置及び駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な2相ブラシレスモータは、回転軸に回転自在に支持され回転方向に交互にN極とS極の磁極を配設した永久磁石を備えたマグネットロータと、2相結線されたコイル群からなるステータコイルと、磁極の位置を検出するホール素子と、ホール素子の出力信号を入力として差動増幅を行う差動増幅器と、差動増幅器の出力信号に基づいてステータコイルに互いに位相の異なる駆動電流を出力する駆動回路とから構成されている。
【0003】
しかし前記のような二相ブラシレスモータの駆動装置では、ホール素子及びそれに付随する配線等により小型化、コストの低減化が図りにくいという問題点があった。
そこで、ホール素子のような磁極の位置を検出するセンサ手段をなくしたセンサレス方式の二相ブラシレスモータの駆動装置が提案されている(特許文献1)。
この二相ブラシレスモータの駆動装置は、各ステータコイルから発生する逆起電圧を測定して前記ステータコイルとマグネットロータの相対位置を表す信号を生成する位置検出回路を備えている。この相対位置を表す信号に基づいてタイマーを生成し、このタイマーで前記駆動回路に内蔵される各素子の転流タイミングを決めることによって前記ステータコイルの通電角を設定している。
【0004】
この従来技術にかかる二相ブラシレスモータの駆動装置においては、ホール素子を用いずにセンサレスで、2相全波駆動が可能である。
この従来技術にかかる二相ブラシレスモータの駆動装置においては、前記ステータコイルに供給する各電流の位相差は90度に設定されている(引用文献1の図2(a))。このため、逆起電圧のゼロクロス時点を見るのに、片方のステータコイルに供給される電流を遮断して当該ステータコイルから発生する逆起電圧の波形を調べ、次に約90度の進相に相当する時間が経過してから、他方のステータコイルに供給される電流を遮断して当該ステータコイルから発生する逆起電圧の波形を調べている。そして通電角を、回転数安定後、前記タイマーを使って徐々に拡大し、供給電力に対するモータの回転出力、すなわちモータの効率を上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-274582号公報
【特許文献2】特開平06-253579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術にかかる二相ブラシレスモータの駆動装置においては、両ステータコイルに供給される電流を別々に遮断するためには、両ステータコイルに独立して電流を流せる回路が必要となる。このため前記両ステータコイルどうしの接続点を、中性点電位に固定している(引用文献1の図1)。このため、中性点を持った電源が必要になる。
また、モータの効率を最大まで上げようとすれば、前記2つのステータコイルに位相差のある電流を流すと良いが、この場合、両ステータコイルの逆起電圧のゼロクロス時点は同時刻に出現するので、それを検出する必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、2つのステータコイルに位相差のある電流を流すことにより効率を向上させ、中性点のない直流電源に対しても適用可能な二相ブラシレスモータの駆動装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の二相ブラシレスモータの駆動装置は、2相結線された少なくとも2つのステータコイルの通電を行うスイッチング回路と、前記スイッチング回路を制御することにより、前記各ステータコイルに電流をそれぞれ通電させる制御回路と、比較回路とを有し、前記制御回路は、前記各ステータコイルとマグネットロータの相対位置を表すゼロクロス時点以後の、通電開始から通電終了までの通電角を決めるタイマー時間を設定し、前記タイマー時間が経過した時点で、前記少なくとも2つのステータコイルへの通電を同時に遮断するものであり、前記比較回路は、前記遮断により現れる逆起電圧と基準電圧とを比較するものであり、前記制御回路は、前記比較結果に基づいて次のゼロクロス時点を検出し、これら2つのゼロクロス時点間の周期を決定し、この決定された周期に基づいて、前記ステータコイルの次の周期における通電角を設定するものである
【0009】
前記タイマーは、前記ゼロクロス時点の開始から前記ステータコイルの通電開始までの待ち時間を設定する第一のタイマーと、前記ステータコイルの通電開始から通電終了までの駆動時間を設定する第二のタイマーとがあり、第一のタイマーによって待ち時間を設定し、第二のタイマーによって駆動時間を設定するようにしてもよい。
また本発明の二相ブラシレスモータの駆動方法は、前記二相ブラシレスモータの駆動装置の発明と実質同一の発明に係る方法である。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、ホール素子を用いずにセンサレスで2相全波駆動方式のためのブラシレスモータ化が可能である。また、2つのステータコイルに位相差のある電流を流す際の通電角の設定により、2相ブラシレスモータの効率を良好にし、耐負荷性能でより大きな負荷に対して駆動可能な二相ブラシレスモータの駆動装置及び駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】二相ブラシレスモータの駆動装置を示す要部回路図である。
図2】演算増幅器21,22の接続図である。
図3】トランジスタSW1〜SW4を導通・遮断するためのマイクロコンピュータ23を表すブロック図である。
図4】交互に流されるU相電流UI、W相電流WIの波形と、U相電流UIの遮断時のU相逆起電圧Uinの波形と、W相電流WIの遮断時のW相逆起電圧Winの波形とを重ねて描いたグラフである。
図5】U相電流UIの波形と、U相電流UIの遮断時のU相逆起電圧Uinの波形を180度(周期T)にわたって描いた拡大図である。
図6】マイクロコンピュータ23の制御手順を概説するためのフローチャートである。
図7】待ち時間、駆動時間を決めるためのマイクロコンピュータ23の処理手順を示すブロック図である。
図8】2相ブラシレスモータの効率が最も良かった待ち時間、駆動時間の数値を適用した波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、二相ブラシレスモータの駆動装置を示す要部回路図である。図1において、10は交流電源、11は交流を整流して直流電源を作り出す整流回路である。整流回路11には中性点出力は必ずしも必要がない。また、トランジスタSW1〜SW4によってスイッチング回路12を構成している。さらに、13及び14は2相のブラシレスモータを構成するU相ステータコイル及びW相ステータコイルである。U相ステータコイル13及びW相ステータコイル14の配置は任意であるが、この実施の形態では、マグネットロータの回転軸に対して点対称となっている。
【0013】
スイッチング回路12の一方(U相)の出力がU相ステータコイル13の上端に接続され、スイッチング回路12の他方(W相)の出力がW相ステータコイル14の下端に接続され、U相ステータコイル13及びW相ステータコイル14は、互いに直列に接続されている。U相とW相とは、もとは同一の信号を反転させているだけであり、位相は180度ずれている。
【0014】
U相ステータコイル13にU相電流UIが上から下に(13→14に)流れる方向をU+方向と定義し、W相ステータコイル14にW相電流WIが上から下に流れる方向をW−方向と定義し、W相ステータコイル14にW相電流WIが下から上に流れる方向をW+方向と定義し、U相ステータコイル13にU相電流UIが下から上に流れる方向をU−方向と定義する。
【0015】
スイッチング回路12のU相逆起電圧Uinは、U相及びW相ステータコイル13,14の逆起電圧に基づいてゼロクロス時点を検出するため比較回路20に供給され、スイッチング回路12のW相逆起電圧Winは、U相及びW相ステータコイル13,14の逆起電圧に基づいてゼロクロス時点を検出するため、比較回路20に供給される。比較回路20は、演算増幅器21,22で構成される。
【0016】
図2(a)は演算増幅器21の接続図である。U相逆起電圧Uinは、演算増幅器21の正端子に供給され、演算増幅器21の負端子にはゼロクロス時点を検出するための基準電圧が供給される。基準電圧の電圧値は、U相逆起電圧Uinに重畳されている直流電圧に等しい値に設定される。U相逆起電圧Uinに直流電圧が乗っていないならば0Vである。演算増幅器21の出力Uoutは、U相逆起電圧Uinが基準電圧を超えているならばハイレベルを出力し、U相逆起電圧Uinが基準電圧を超えていないならばローレベルを出力する。したがって、演算増幅器21の出力Uoutが変化する時点を見ることによって、U相逆起電圧Uinのゼロクロス時点が検出できる。
【0017】
図2(b)は演算増幅器22の接続図である。W相逆起電圧Winは、演算増幅器22の正端子に供給され、演算増幅器22の負端子にはゼロクロス時点を検出するための基準電圧が供給される。演算増幅器22の出力Woutは、W相逆起電圧Winが基準電圧を超えているならばハイレベルを出力し、W相逆起電圧Winが基準電圧を超えていないならばローレベルを出力する。したがって、演算増幅器22の出力Woutが変化する時点を見ることによって、W相逆起電圧Winのゼロクロス時点が検出できる。
【0018】
演算増幅器21で検出されるゼロクロス時点と演算増幅器22で検出されるゼロクロス時点とは、U相とW相とが同一信号を反転させたものであることから、同一時刻となる。
図3は、トランジスタSW1〜SW4を導通・遮断するための、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ23を表すブロック図である。マイクロコンピュータ23には、演算増幅器21,22の出力信号Uout,Woutが入力される。マイクロコンピュータ23は、この出力信号Uout,Woutの波形がローからハイへ立ち上がる時点、ハイからローへ立ち下がる時点に基づいて、U相逆起電圧Uin,W相逆起電圧Winのゼロクロス時点を検出する。そして、隣接するゼロクロス時点間の周期Tを算出する。この時間が、マグネットロータが半回転する時間(180度)に相当する。
【0019】
マイクロコンピュータ23は、ゼロクロス時点及びゼロクロス時点間の周期Tに基づいて、U相ステータコイル13及びW相ステータコイル14に電流を流す時間を決定し、この決定した時間に基づいて、トランジスタSW1〜SW4を制御する。
図4は、交互に流されるU相電流UI、W相電流WIの波形と、U相電流UIの遮断時のU相逆起電圧Uinの波形と、W相電流WIの遮断時のW相逆起電圧Winの波形とを重ねて描いたグラフである。ゼロクロス時点は黒丸で記入している。図4のグラフのU相だけを取り出し、180度(周期T)にわたって描いた拡大図が、図5である。図6はマイクロコンピュータ23の制御手順を概説するためのフローチャートである。図7は待ち時間、駆動時間を決めるためのマイクロコンピュータ23の処理手順を示すブロック図である。
【0020】
以下フローチャート(図6)とブロック図(図7)を用いて、グラフ(図4,5)も参照しながら制御手順を説明する。マイクロコンピュータ23は、U相電流UIが遮断され、U相逆起電圧Uinが現れる期間に、ゼロクロス時点をサーチし(ステップS1)、ゼロクロス時点が検出されれば、その後ソフトウェアタイマー1を起動する(ステップS2)。このタイマー1の計測時間を「待ち時間」という。待ち時間は例えば周期Tの1/6である30度に設定している。タイマー1の計測時間が完了すると、トランジスタSW2,SW3にベース信号を送るとともに(ステップS3)、ソフトウェアタイマー2を起動する(ステップS4)。このタイマー2の計測時間を「駆動時間」という。駆動時間は、デフォルトでは例えば周期Tの2/3である120度に設定されている。タイマー2の時間計測中、トランジスタSW2,3にベース信号が供給され、U+方向に流れる電流によってU相ステータコイル13が駆動され、W-方向に流れる電流によってW相ステータコイル14が駆動される。
【0021】
タイマー2の計測時間が完了すると、トランジスタSW2,3のベース信号を遮断して、トランジスタSW2,3をオフさせる(ステップS5)。
次に、U相逆起電圧Uinが現れる期間に、ゼロクロス時点をサーチし(ステップS6)、ゼロクロス時点が検出されれば、ソフトウェアタイマー1を起動する(ステップS7)。このゼロクロス時点をサーチしてから、ゼロクロス時点が検出されるまでの時間を「サーチ時間」という。ゼロクロス時点が検出されると、タイマー1を起動する。タイマー1の計測時間は、前述したのと同様、30度(T/6)である。タイマー1の計測時間が完了すると、トランジスタSW1,SW4にベース信号を送るとともに(ステップS8)、ソフトウェアタイマー2を起動する(ステップS9)。このタイマー2の計測時間も前述したのと同様、120度(2T/3)である。タイマー2の時間計測中、トランジスタSW1,4にベース信号が供給され、U-方向に流れる電流によってU相ステータコイル13が駆動され、W+方向に流れる電流によってW相ステータコイル14が駆動される。タイマー2の計測時間が完了すると、トランジスタSW1,4のベース信号を中止して、トランジスタSW1,4をオフさせて(ステップS10)、サーチ時間に入る。
【0022】
これらの動作により「U+」及び「W-」の方向の磁界が発生し、次に「U-」及び「W+」の方向の磁界が発生し、これらの交代磁界により、マグネットロータが回転する。そしてU相電流UI及びW相電流WIを遮断している間に、U相ステータコイル13及びW相ステータコイル14で発生する逆起電圧に基づいてゼロクロス時点を検出して記憶し(図7;ブロックV1)、この検出したゼロクロス時点に基づいて、隣接するゼロクロス時点間の周期Tを算出する(ブロックV2)。この周期Tに基づいて、U相ステータコイル13及びW相ステータコイル14の通電時間を決めることができる(ブロックV3)。
【0023】
なお、2相ブラシレスモータの起動開始時には、U相及びW相ステータコイル13,14の逆起電圧が十分な大きさで発生しないため、マグネットロータの正しい角度位置が検出できないので、3相ブラシレスモータの120度通電矩形波センサレス駆動と同様に、強制転流を使用する。すなわち、デフォルトで決定されている「待ち時間」と「駆動時間」とを有するパターンでトランジスタSW1〜4のオン、オフを繰り返す。これによりロータが、効率は悪いが回り出す。起動開始時は、駆動時間の終了時刻がゼロクロスの時刻となり、徐々に駆動時間の中心が逆起電圧のピークと一致する方向に自然に移動し、回転が安定すると、図4のような「駆動時間」の終了後にゼロクロス時点が発生するパターンとなる。このようにしてモータを安定的に駆動させる。
【0024】
なお、各ステータコイルに流す電流の位相差は、必ずしも180度でなくてもよい。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0025】
前述の実施の形態では、周期Tに基づいて、タイマー1の計測時間である「待ち時間」を30度(T/6)に設定し、タイマー2の計測時間である「駆動時間」を120度(2T/3)に設定していた。このような待ち時間や駆動時間の数値は、2相ブラシレスモータの効率や耐負荷に影響するので、2相ブラシレスモータの効率を加味して最適な数値に決定されるべきものである。
【0026】
発明者の実験では耐負荷性能でより大きな負荷に対して駆動可能な数値は、図8に示すように、待ち時間=41.4度、駆動時間=119.7度であった。この数値は、使用したモータにおいて、最大トルクが出るポイントを探った結果得られた最適値である。
なお、効率や耐負荷に関係なく、2相ブラシレスモータを回転駆動するだけでよければ、待ち時間は0度〜90度の範囲の中から任意の数値を採用すればよい。駆動時間は0度を下限とし、180度から待ち時間を引いた数値を上限とする範囲の中から任意の数値を選択して採用することができる。
【符号の説明】
【0027】
10…交流電源、11…整流回路、SW1〜SW4…トランジスタ、12…スイッチング回路、13…U相ステータコイル、14…W相ステータコイル、20…比較回路、21,22…演算増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8