特許第5930274号(P5930274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デクセリアルズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5930274-リール部材及びフィルム収容体 図000003
  • 特許5930274-リール部材及びフィルム収容体 図000004
  • 特許5930274-リール部材及びフィルム収容体 図000005
  • 特許5930274-リール部材及びフィルム収容体 図000006
  • 特許5930274-リール部材及びフィルム収容体 図000007
  • 特許5930274-リール部材及びフィルム収容体 図000008
  • 特許5930274-リール部材及びフィルム収容体 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930274
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】リール部材及びフィルム収容体
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/14 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   B65H75/14
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-266085(P2011-266085)
(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公開番号】特開2013-116816(P2013-116816A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106666
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100102875
【弁理士】
【氏名又は名称】石島 茂男
(72)【発明者】
【氏名】引地 崇
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 和典
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−19182(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/148593(WO,A1)
【文献】 特開2009−274829(JP,A)
【文献】 特開2001−318451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H75/00−75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状に形成され、接着フィルムを巻取可能な巻芯軸部と、
前記巻芯軸部の両端部に設けられ、それぞれの外側面が平行な平面となるように形成された第1及び第2フランジ部とを備え、前記第1及び第2フランジ部の前記巻芯軸部の内周側から周囲の部分に、それぞれ一定の厚さの補強部が設けられるとともに、
前記第1及び第2フランジ部の内側部分で、かつ、前記補強部に対してフランジ外周側の部分に、前記補強部から外周部側に向って前記補強部の厚さより厚さが薄くなるようにテーパ状に形成された軽量化部が設けられ、
さらに、前記第1及び第2フランジ部の内側部分で、かつ、前記補強部及び前記軽量化部の表面に、当該接着フィルムを案内するためのリブが設けられ
前記リブは、当該接着フィルムを案内する面が、当該リール部材の回転軸線に対して直交する面上に位置するように設けられているリール部材。
【請求項2】
300〜600mmの接着フィルムを巻き取るリール部材であって、
前記第1及び第2フランジ部の直径が、250〜300mmであり、前記第1及び第2フランジ部の間隔である前記巻芯軸部の厚さが、1.00〜1.30mmであって、当該巻芯軸部の径が、(前記第1及び第2フランジ部の直径/2.5)±10%であり、前記補強部の径が、(前記第1及び第2フランジ部の直径/1.5)±10%であり、前記軽量化部の中心側端部と外周部側端部の厚さの比が、5:4〜3:2である請求項1記載のリール部材。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項記載のリール部材と、
前記リール部材の巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムとを有するフィルム収容体。
【請求項4】
前記接着フィルムが、絶縁性接着剤中に導電性粒子が分散された異方導電性接着フィルムである請求項記載のフィルム収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば異方導電性接着フィルム等の一連の長尺の接着フィルムを巻き取り且つ引き出すためのリール部材の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば、液晶パネルやICチップのような電子部品同士を電気的に接続する場合には、絶縁性接着剤中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着フィルムが用いられる。
【0003】
また、近年、太陽電池用の電極を電気的に接続し且つ接着するための接着フィルムとして、絶縁性接着剤中に導電性粒子を含有させた導電性接着フィルムが用いられている。
このような接着フィルムは、幅狭で長尺の剥離シート上に形成され、リール部材にロール状に巻取った形態で出荷されている。
【0004】
近年、このような接着フィルムの長尺化が望まれているが、接着フィルムが長尺化すると、フィルムロールの径が増し、その自重によってリール部材のフランジ部外周部にたわみが生じ、接着フィルムの円滑な引き出しを阻害するという問題がある。
そして、接着フィルムの長尺化ができないと、短尺の接着フィルムを巻いたリール部材を頻繁に交換する必要があり、その都度生産ラインを停止するため、生産効率が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−94662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、長尺の接着フィルムを巻き取り且つ引き出すリール部材において、リール部材の自重によるフランジ外周部のたわみを防止することによってフランジ間のクリアランスの精度を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明は、円筒形状に形成され、接着フィルムを巻取可能な巻芯軸部と、前記巻芯軸部の両端部に設けられ、それぞれの外側面が平行な平面となるように形成された第1及び第2フランジ部とを備え、前記第1及び第2フランジ部の前記巻芯軸部の内周側から周囲の部分に、それぞれ一定の厚さの補強部が設けられるとともに、前記第1及び第2フランジ部の内側部分で、かつ、前記補強部に対してフランジ外周側の部分に、前記補強部から外周部側に向って前記補強部の厚さより厚さが薄くなるようにテーパ状に形成された軽量化部が設けられ、さらに、前記第1及び第2フランジ部の内側部分で、かつ、前記補強部及び前記軽量化部の表面に、当該接着フィルムを案内するためのリブが設けられ、前記リブは、当該接着フィルムを案内する面が、当該リール部材の回転軸線に対して直交する面上に位置するように設けられているリール部材である。
本発明では、上述したリール部材が、300〜600mmの接着フィルムを巻き取るリール部材であって、前記第1及び第2フランジ部の直径が、250〜300mmであり、前記第1及び第2フランジ部の間隔である前記巻芯軸部の厚さが、1.00〜1.30mmであって、当該巻芯軸部の径が、(前記第1及び第2フランジ部の直径/2.5)±10%であり、前記補強部の径が、(前記第1及び第2フランジ部の直径/1.5)±10%であり、前記軽量化部の中心側端部と外周部側端部の厚さの比が、5:4〜3:2である場合にも効果的である
た、本発明は、上述したいずれかのリール部材と、前記リール部材の巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムとを有するフィルム収容体である。
本発明では、前記接着フィルムが、絶縁性接着剤中に導電性粒子が分散された異方導電性接着フィルムである場合にも効果的である。
【0008】
本発明の場合、第1及び第2フランジ部の巻芯軸部の内周側から周囲の部分に一定の厚さの補強部が設けられるとともに、第1及び第2フランジ部の内側部分で、かつ、補強部に対してフランジ外周側の部分に、補強部から外周部側に向って補強部の厚さより厚さが薄くなるようにテーパ状に形成された軽量化部が設けられていることから、一定の厚さの補強部によってリール部材の剛性を確保した上で、第1及び第2フランジ部の外周部の重量を小さくすることができ、これによりリール部材の自重によるフランジ外周部のたわみを防止することができるので、第1及び第2フランジ部間のクリアランスの精度を向上させることができる。
さらに、本発明では、第1及び第2フランジ部の内側部分に、接着フィルムを案内するためのリブが設けられているため、巻取時及び引出時における接着フィルムの蛇行を防止することができ、これにより巻取時における接着フィルムの脱落等及び引出時における接着フィルムの引っかかりやブロッキング等を防止することができる。
また、本発明において、リブの接着フィルムを案内する面が、当該リール部材の回転軸線に対して直交する面上に位置するように設けられていることから、巻取時及び引出時における接着フィルムの蛇行をより確実に防止することができるので、巻取時における接着フィルムの脱落等及び引出時における接着フィルムの引っかかりやブロッキング等をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長尺の接着フィルムを巻き取り且つ引き出すリール部材において、リール部材の自重によるフランジ外周部のたわみを防止することができるので、第1及び第2フランジ部間のクリアランスの精度を向上させることができる。
その結果、本発明によれば、接着フィルムの貼付工程において、リール部材を頻繁に交換する必要がなく、生産効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a):本発明に係るリール部材の実施の形態の内側の構成を示す平面図(b):図1(a)のA−A線断面図(c):図1(a)のB−B線断面図
図2】同リール部材の全体構成を示す断面図
図3】本発明に係るフィルム収容体の実施の形態の全体構成を示す断面図
図4】本発明のリール部材における各部分の寸法関係を示す説明図
図5】比較例1、2のリール部材の構成を示す断面図
図6】比較例3のリール部材の構成を示す断面図
図7】比較例4のリール部材の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は、本発明に係るリール部材の実施の形態の内側の構成を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図、図1(c)は、図1(a)のB−B線断面図である。
【0012】
本実施の形態のリール部材1は、寸法安定性を確保する観点から、ポリスチレン樹脂からなるもので、図1(a)〜(c)に示すように、フィルム巻取装置又はフィルム引出装置の駆動軸10に装着されるようになっている。
【0013】
リール部材1は、例えば異方導電性接着フィルム等の長尺の接着フィルムが巻き付けられる円筒形状の巻芯軸部2を有し、この巻芯軸部2の両端部に、円板形状の第1及び第2フランジ部11、12が一体的に設けられている。
【0014】
本実施の形態の場合、第1及び第2フランジ部11、12は、その外側面が回転軸線Oに対して直交する平面となるように形成され、同一の構成を有している。以下、本明細書では、第1フランジ部11を例にとって説明する。
【0015】
第1フランジ部11の巻芯軸部2の周囲には、例えば円形状の補強部3が設けられている。
この補強部3は、第1フランジ部11の外側面と平行に形成された内側面を有し、一定の幅となるように形成されている。
【0016】
第1フランジ部11の内側部分で補強部3に対し外周部側の部分には、軽量化部4が設けられている。
この軽量化部4は、補強部3から外周部側に向って補強部3より厚さが薄くなるようにテーパ状に形成されている。
なお、本実施の形態では、軽量化部4の表面(内側面)は、平面状に形成されている。
【0017】
さらに、第1フランジ部11の内側部分で、かつ、巻芯軸部2に対して外周部側の部分には、接着フィルムを案内するためのリブ5が設けられている。
このリブ5は、リール部材1の回転軸線Oを中心として放射直線状に延びる複数の内側ガイド部5aと、第1フランジ部11の外縁部に設けられた円形状の外側ガイド部5bとを有している。
【0018】
リブ5の各部分は補強部3より若干高さが高くなるように、第1フランジ部11の外側面11aと平行な面上に、すなわち、回転軸線Oに対して直交する平面上にリブ5の内側ガイド部5a及び外側ガイド部5bの頂上面が位置するように形成されている。
なお、リブ5の各頂上面には、所定のアールが施されている。
【0019】
図2は、本実施の形態のリール部材の全体構成を示す断面図である。
また、図3は、本発明に係るフィルム収容体の実施の形態の全体構成を示す断面図である。
図2に示すリール部材1を図示しないフィルム巻取装置に装着し、巻芯軸部2に長尺の接着フィルム6を巻き付けることにより、図3に示すフィルム収容体20が得られる。
【0020】
図4は、本発明のリール部材1における各部分の寸法関係を示す説明図である。
本発明に係るリール部材1は、長尺(300〜600m)の接着フィルム6に有効で、大径の第1及び第2フランジ部11、12を有している。
【0021】
具体的には、第1及び第2フランジ部11、12の直径が250〜300mmで、第1及び第2フランジ部11、12間の間隔即ち巻芯軸部2の厚さtが1.00〜1.30mmのものに特に有効となるものである。
【0022】
この場合、巻芯軸部2の径dは、必要な剛性を確保し且つフランジ外周部の軽量化を図る観点からは、(第1及び第2フランジ部11、12の直径/2.5)±10%に設定することが好ましい。
この場合、フランジ外周部の軽量化を図る観点からは、100mm程度に設定することが好ましい。
【0023】
また、補強部3の径Dは、必要な剛性を確保し且つフランジ外周部の軽量化を図る観点からは、(第1及び第2フランジ部11、12の直径/1.5)±10%に設定することが好ましい。
具体的に好ましい補強部3の径Dは、183〜150mmであるが、軽量化を図る観点からは、150mm程度に設定することが好ましい。
【0024】
また、軽量化部4の中心側端部と外周部側端部の厚さの比H1:H2は、必要な剛性を確保し且つフランジ外周部の軽量化を図る観点からは、好ましくは5:4〜3:2であり、より好ましくは4:3である。
具体的には、好ましい中心側の軽量化部4の大きさH1は、1.90〜2.10mmであり、好ましい外周部側の軽量化部4の大きさH2は、1.45〜1.55mmである。
【0025】
さらに、リブ5の外周部(外側ガイド部5b)の高さhは、必要な剛性を確保し且つフランジ外周部の軽量化を図る観点からは、0.4〜0.5mmとすることが好ましい。
さらにまた、リブ5間の間隔(クリアランス)Cは、リブ面への接着フィルム貼り付き防止と隙間への接着フィルム脱落防止の観点からは、接着フィルム6の幅に対し、0.05〜0.10mm離間するように設定することが好ましい。
【0026】
一方、リブ5の内側ガイド部5aの本数は、リール径が大きくなるに伴い増加させることが好ましい。
本発明が適用される範囲では、8本〜24本が好ましく、より好ましくは、12本〜24本である。
【0027】
リブ5の内側ガイド部5aの本数が8本より少ないと、接着フィルム6の巻取後に横置きで放置したり輸送時に接着フィルム6にずれが生じ、他方、リブ5の内側ガイド部5aの本数が24本より多いと、巻取時に接着フィルム6の乗り上げが発生するおそれがあり、同時にリブ面への接着フィルム6の付着のリスクが高まる。
リール部材1のより大径化に対しては、第1及び第2フランジ部11、12の外周部分に多くのリブ5(内側ガイド部5a)を設ける構成を採用することもできる。
【0028】
以上述べた本実施の形態においては、第1及び第2フランジ部11、12の巻芯軸部2の近傍に一定の厚さの補強部3が設けられるとともに、第1及び第2フランジ部11、12の内側部分で、かつ、補強部3に対してフランジ外周側の部分に、厚さが補強部3の厚さより薄くなるようにテーパ状に形成された軽量化部4が設けられていることから、一定の厚さの補強部3によってリール部材1の剛性を確保した上で、第1及び第2フランジ部11、12の外周部の重量を小さくすることができ、これによりリール部材1の自重によるフランジ外周部のたわみを防止することができるので、第1及び第2フランジ部11、12間のクリアランスの精度を向上させることができる。
【0029】
さらに、本実施の形態では、第1及び第2フランジ部11、12の内側部分に、接着フィルム6を案内するためのリブ5が設けられ、しかも、リブ5の接着フィルム6を案内する面が、リール部材1の回転方向に対して直交する面上に位置するように設けられていることから、巻取時及び引出時における接着フィルム6の蛇行を確実に防止することができ、これにより巻取時における接着フィルム6の脱落等及び引出時における接着フィルム6の引っかかりやブロッキング等を確実に防止することができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<接着フィルムの作成>
接着フィルム6として、幅1.0mmの剥離シート(図示せず)上に乾燥後の厚さが25μmの異方導電性接着剤をフィルム状に塗布形成したものを用いた。なお、接着剤の種類はエポキシ系熱硬化型のものである。
【0031】
ここで、異方導電性接着フィルムの最低溶融粘度は、3.0×104Pa・sである。
この最低溶融粘度は、回転式レオメータ(TA instrument社製)を用い、昇温速度が10℃/分、測定圧力が5gで一定に保持し、直径8mmの測定プレートを使用して測定した値である。
【0032】
<実施例1>
リール部材1として、ポリスチレン樹脂からなり、巻芯軸部2の直径が100mm、厚さが1.25mmで、第1及び第2フランジ部11、12の径が250mmの両面フランジタイプのものを用いた。これは、図2に示す構成のものである。
【0033】
リール部材1の補強部3は、厚さを2.0mmとし、幅Dを150mmとした。
また、軽量化部4は平面テーパ状に形成し、フランジ内周部における高さH1を補強部3の厚さと同一の2.0mmとし、フランジ外周部における厚さH2が1.5mmとなるようにした。
【0034】
一方、リブ5のフランジ外周部(外側ガイド部5b)における高さhは、第1及び第2フランジ部11、12の内側面から0.5mmとなるようにした。
また、リブ5の内側ガイド部5aは、等間隔で12本設けた。
このリール部材1に、接着フィルム6として長さ500mの異方導電性接着フィルム6を巻き取った。
【0035】
<比較例1>
図5に示すように、テーパ状の軽量化部4を形成せず、第1及び第2フランジ部11、12の厚さを2mmとするとともに、リブ5Aの内側ガイド部50a及び外側ガイド部50bの高さをフランジ内側面40から0.1mmとした。このリール部材1Aは、従来のリール部材の構成のものである。
そして、第1及び第2フランジ部11、12の径を195mmとし、長さ300mの接着フィルム6を巻き取った。
【0036】
<比較例2>
図5に示す形状で第1及び第2フランジ部11、12の径が250mmのリール部材1Aを作成し、長さ500mの接着フィルム6を巻き取った。
【0037】
<比較例3>
図6に示すように、第1及び第2フランジ部11、12の内側面にテーパ状の軽量化部4Aを形成する一方で、リブ5Bの内側ガイド部50a及び外側ガイド部50bの高さをフランジ内側面から0.1mmとした。
その他は実施例と同一の条件でリール部材1Bを作成し、長さ300mの接着フィルム6を巻き取った。
【0038】
<比較例4>
図7に示すように、補強部を設けずにテーパ状の軽量化部4Aを形成した以外は実施例と同一の条件でリール部材1Cを作成し、長さ500mの接着フィルム6を巻き取った。
【0039】
<評価>
実施例及び比較例1〜4によって作成したリール部材(フィルム収容体)をそれぞれ24時間室温の環境下で放置し、フランジ外周部における第1及び第2フランジ部11、12間のクリアランスをレーザー反射式変位計を用いて測定した。その結果を表1に示す。
また、実施例及び比較例1〜4において、巻取時の接着フィルム6の状態(脱落等)を目視で観察した。その結果を表1に示す。
【0040】
さらに、接着フィルム6を、引出張力50g、引張速度500mm/秒で1秒間のインターバルをおいて1秒間の引き出しを、最後まで繰り返し行い、引出時及び引出後の接着フィルム6の状態(引出時の引っかかり、ブロッキング、切れ)を目視で観察した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
<評価結果>
表1から明らかなように、補強部及びテーパ状の軽量化部を設けていない比較例1、2の場合、接着フィルム6の長さが300mと短い場合(比較例1)には、フランジ外周部におけるクリアランスの狂いが小さく(1.15±0.1mm)、巻取時及び引出時において問題は生じなかったが、接着フィルム6の長さが500mと長尺化した場合(比較例2)には、フランジ外周部におけるクリアランスの狂いが大きくなるとともに(1.15±0.4mm)、引出時において、引っかかり、ブロッキング、切れが生じた。
【0043】
また、第1及び第2フランジ部11、12の内側面にテーパ状の軽量化部4Aを形成する一方で、リブ5Bの高さをリール部材1Bの内側面から0.1mmとした比較例3においては、第1及び第2のフランジ部11、12の径が250mmの場合であっても、フランジ外周部におけるクリアランスの狂いが大きく(1.15±0.2mm)、しかも巻取時において接着フィルム6の巻きずれ及び脱落が生じた。
【0044】
さらに、第1及び第2フランジ部11、12の内側面にテーパ状の軽量化部4Aを形成するとともに、フランジ外周部におけるリブ5の高さを実施例と同じ0.5mmにした比較例4では、接着フィルム6の長さを500mに長尺化することができたが、フランジ外周部におけるクリアランスの狂いが大きく(1.15±0.2mm)、しかも引出時において引っかかりが生じた。
【0045】
これに対し、第1及び第2フランジ部11、12の内側面に補強部3及びテーパ状の軽量化部4を形成するとともに、フランジ外周部におけるリブ5の高さを0.5mmにした実施例では、接着フィルム6の長さを500mに長尺化した場合においても、フランジ外周部におけるクリアランスの狂いが小さく(1.15±0.1mm)、特に成型直後は、1.15±0.1mm以下であった。
さらに、実施例のものにおいては、巻取時及び引出時において何ら問題が生じなかった。
【0046】
以上の結果から、本発明によれば、リール部材の自重によるフランジ外周部のたわみを防止し、第1及び第2フランジ部間のクリアランスの精度を向上できることを実証することができた。
【符号の説明】
【0047】
1…リール部材
2…巻芯軸部
3…補強部
4…軽量化部
5…リブ
5a…内側ガイド部
5b…外側ガイド部
6…接着フィルム
10…駆動軸
11…第1フランジ部
12…第2フランジ部
O…回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7