(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930295
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】エアゾール容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/22 20060101AFI20160526BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
B65D83/22
B05B9/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-102604(P2012-102604)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230825(P2013-230825A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−200332(JP,A)
【文献】
特開2002−086028(JP,A)
【文献】
特開平10−129757(JP,A)
【文献】
特開2003−154295(JP,A)
【文献】
米国特許第02954904(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第01470013(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/22
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に上方付勢状態で押し下げ可能にステム(16)を突設させるともに、ステム(16)の押し下げにより収容液をステム(16)の上端より噴出させる容器体(A)と、
容器体(A)に嵌着させた肩カバー(B)と、
ステム(16)に嵌着させた噴射ヘッド(D)とを備え、
肩カバー(B)は、ステム(16)の一外方に位置する最高レベル位置(H)から漸次下降してステム(16)の他外方に位置する最低レベル位置(L)に至るように形成された通路(p)を備えるとともに、容器体(A)の傾倒により通路(p)を移動するボール(C)を備え、
噴射ヘッド(D)は、ステム(16)に縦筒(33)の下端部を嵌着させて装着されるとともに、縦筒(33)内と連通させた噴出口(35)が開口されており、
容器体(A)を傾倒させた際にボール(C)が最低レベル位置(L)から最高レベル位置(H)へ移動し、最高レベル位置(H)に於けるボール(C)が噴射ヘッド(D)の押し下げを防止させることにより、ステム(16)の押し下げが防止されるように構成したエアゾール容器において、
肩カバー(B)は、環状の頂板部(20)裏面より垂設した嵌合筒部(21)を容器体(A)の上端部外周に嵌合させて装着されており、
頂板部(20)の内周縁より垂設した案内筒部(24)を外周壁(25)としており、かつ案内筒部(24)下端縁より内方へ延設させた底壁(26)の内周縁より内周壁(27)が起立しており、
上記通路(p)は、それら外周壁(25)、底壁(26)、内周壁(27)内に一体に画成されたことを特徴とする、エアゾール容器。
【請求項2】
通路(p)が、ステム(16)前方に最高レベル位置(H)を、ステム(16)の後方に最低レベル位置(L)をそれぞれ備え、最高レベル位置(H)からステム(16)両側を漸次下降して最低レベル位置(L)に至るように形成された平面視円弧状の凹溝状をなすことを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール容器。
【請求項3】
通路(p)が、ステム(16)の前方に最高レベル位置(H)を、ステム(16)の後方の両側に第1最低レベル位置(L1)及び第2最低レベル位置(L2)の一対の最低レベル位置(L)を備え、最高レベル位置(H)からステム(16)両側を漸次下降して最低レベル位置(L)に至るように形成された平面視円弧状の凹溝状をなしており、
第1最低レベル位置(L1)と、第2最低レベル位置(L2)との間に噴射ヘッド(D)の後部下面が当接する係止突部(28)を設けた請求項1に記載のエアゾール容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器として、上端にステムを突出した容器体と、ステムに嵌着した噴射ヘッドとを備え、噴射ヘッドの押し下げにより容器体内の液が噴射ヘッドの噴出口より噴出される如く構成したものが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のエアゾール容器は、容器体を傾けての収容液の噴出、或いは容器体を横倒しての収容液の噴出、或いは容器体を倒立させての収容液の噴出等を行なっていると、ガスのみが噴射される場合が多くなり、最終的に収容液の残量が多くなってしまうという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−145411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、容器体を傾けると液の噴出ができない構造とし、その結果、上記した無駄なガスの噴射を防止することができ、収容液の残量を極力減らして効率良く収容液の噴出を行える、据え置き正立状態での使用が好適なエアゾール容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、
上端に上方付勢状態で押し下げ可能にステム16を突設
させるともに、ステム16の押し下げにより収容液をステム16の上端より噴出
させる容器体Aと、
容器体Aに嵌着
させた肩カバーBと、
ステム16に嵌着
させた噴射ヘッドDとを備え、
肩カバーBは、ステム16の一外方に位置する最高レベル位置Hから漸次下降してステム16の他外方に位置する最低レベル位置Lに至る
ように形成された通路pを備えるとともに、容器体Aの傾倒により通路pを移動するボールCを備え、
噴射ヘッドDは、ステム16に縦筒33の下端部を嵌着
させて装着
されるとともに、縦筒33内と連通させた噴出口35
が開口
されており、
容器体Aを傾倒させた際にボールCが最低レベル位置Lから最高レベル位置Hへ移動し、最高レベル位置Hに於けるボールC
が噴射ヘッドDの押し下げを防止
させることにより、ステム16の押し下げ
が防止
されるように
構成したエアゾール容器において、
肩カバーBは、環状の頂板部20裏面より垂設した嵌合筒部21を容器体Aの上端部外周に嵌合させて装着されており、
頂板部20の内周縁より垂設した案内筒部24を外周壁25としており、かつ案内筒部24下端縁より内方へ延設させた底壁26の内周縁より内周壁27が起立しており、
上記通路pは、それら外周壁25、底壁26、内周壁27内に一体に画成された。
【0007】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、
通路pが、ステム16前方に最高レベル位置Hを、ステム16の後方に最低レベル位置Lをそれぞれ備え、最高レベル位置Hからステム16両側を漸次下降して最低レベル位置Lに至る
ように形成された平面視円弧状の凹溝状をなしている。
【0008】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、
通路pが、ステム16の前方に最高レベル位置Hを、ステム16の後方の両側に第1最低レベル位置L1及び第2最低レベル位置L2の一対の最低レベル位置Lを備え、最高レベル位置Hからステム16両側を漸次下降して最低レベル位置Lに至る
ように形成された平面視円弧状の凹溝状をなして
おり、第1最低レベル位置L1と、第2最低レベル位置L2との間に噴射ヘッドDの後部下面が当接する係止突部28を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエアゾール容器は、肩カバーBが、ステム16の一外方に位置する最高レベル位置Hから漸次下降してステム16の他外方に位置する最低レベル位置Lに至る通路pを備えるとともに、容器体Aの傾倒により通路pを移動するボールCを備えており、容器体Aを傾倒させた際にボールCが最低レベル位置Lから最高レベル位置Hへ移動し、最高レベル位置Hに於けるボールCが、噴射ヘッドDの押し下げを防止してステム16の押し下げを防止する。例えば、最高レベル位置Hに於けるボールCに押し下げた噴射ヘッドDの下面が当接してステム16の押し下げを防止するため、容器体Aを傾倒した状態では液の噴出を防止でき、その結果、無駄なガスの噴射を防止することができ、収容液の残量を極力減らして効率良く収容液の噴出を行なえるという特徴を備えている。また、その様な理由で、据え置き正立状態での使用を目的とする容器として好適である。
【0011】
通路pが、ステム16前方に最高レベル位置Hを、ステム16の後方に最低レベル位置Lをそれぞれ備え、最高レベル位置Hからステム16両側を漸次下降して最低レベル位置Lに至る平面視円形状の凹溝状をなす場合には、最低レベル位置Lから最高レベル位置Hまでに、ステム16の両側を通る2通路形態を採っているため、容器体Aの傾倒のあらゆる方向に対応して速やかに最低レベル位置Lから最高レベル位置HまでのボールCの移動が行なわれ、容器体Aが傾いた状態でのステム16の押し下げ防止をより確実に行なえる特徴がある。
【0012】
通路pが、ステム16の前方に最高レベル位置Hを、ステム16の後方の両側に第1最低レベル位置L1及び第2最低レベル位置L2の一対の最低レベル位置Lを備え、最高レベル位置Hからステム16両側を漸次下降して最低レベル位置Lに至る平面視円弧状の凹溝状をなし、第1最低レベル位置L1と、第2最低レベル位置L2との間に噴射ヘッドDの後部下面が当接する係止突部28を設けた場合には、噴射ヘッドDの横方向への傾倒を防止して噴射ヘッドDのやや前方への傾倒のみに規制し、噴射ヘッドDの前方への傾倒の際にステム16を押し下げるため、ボールCが最高レベル位置Hにある場合には噴射ヘッドDの下面が確実にボールCと当接してステム16の押し下げを確実に防止する。
【0013】
肩カバーBは、環状の頂板部20裏面より垂設した嵌合筒部21を容器体Aの上端部外周に嵌合させて装着し、頂板部20の内周縁より垂設した案内筒部24を外周壁25として併用し、案内筒部24下端縁より内方へ延設した底壁26の内周縁より内周壁27を起立し、これら外周壁25、底壁26、内周壁27内に上記通路pを一体に画成した場合には、無駄のない効率の良い配置で、通路pを形成することができ、また、容器体Aへの組み付けも容易に行なえる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】エアゾール容器の一部切欠き要部側面図である。(第1実施例)
【
図2】エアゾール容器の噴出の際の一部切欠き要部側面図である。(第1実施例)
【
図3】エアゾール容器の噴出の防止を説明する一部切欠き要部側面図である。(第1実施例)
【
図4】ボールの移動を説明する説明図である。(第1実施例)
【
図5】エアゾール容器の一部切欠き要部側面図である。(第2実施例)
【
図6】エアゾール容器の噴出の際の一部切欠き要部側面図である。(第2実施例)
【
図7】エアゾール容器の噴出の防止を説明する一部切欠き要部側面図である。(第2実施例)
【
図8】ボールの移動を説明する説明図である。(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1乃至
図4はエアゾール容器の第1実施例を示し、図中1はエアゾール容器を示す。エアゾール容器1は、容器体Aと、肩カバーBと、ボールCと、噴射ヘッドDとを備えている。尚、説明の便宜上、
図1に於いて、左方を前部、右方を後部、手前を右側部、奥方を左側部として説明する。第2実施例の
図5に於いても同様である。
【0017】
エアゾール容器1は、容器体A内の液、例えば化粧料液を液状、或いは霧状、或いは泡状として噴射ヘッドDの噴出口35より噴出する如く構成したものである。
【0018】
容器体Aは、公知のエアゾール容器体が使用され、上端よりステムを、上方付勢状態で押し込み可能に起立し、上方付勢力に抗してステムを押し込むことで、内蔵吐出弁が開弁して、収納液がステム16上端より噴出する公知機構を備えている。
【0019】
図示例に於ける容器体Aは、筒状の胴部10の上端より肩部11を介して起立した口頸部12の上端開口を蓋板13により閉塞しており、蓋板13の周縁部を口頸部12に巻き締めして固定して、両者で環状突部14を形成している。また、蓋板13の中央部に一体に起立した支持筒15を貫通してステム16を上方へ起立している。ステム16は上方付勢状態で押し込み可能に装着されており、図示しないが、容器体A内にはステム16の押し込みにより開弁し、ステム16の上昇により閉弁する押し下げ開弁式の吐出弁を内蔵している。
【0020】
肩カバーBは、外周縁部が陥没し、陥没部分以外の内方部分が内方へ傾斜上昇する環状の頂板部20を備え、頂板部20の陥没部分内周縁部より垂設した嵌合筒部21を容器体Aの環状突部14外周に嵌合して容器体Aに装着している。嵌合筒部21の内周下端部には環状凹部を形成し、環状凹部内に周方向複数の係合リブ22を等間隔に突設し、係合リブ22の下端部に突設した係合突条を、環状突部14外周下部に形成された下向き段部に係合させて上方への抜け出しを防止している。また、頂板部20の外周縁より周壁部23を垂設し、周壁部23の下端を容器体Aの肩部11外周縁上に垂下している。更に、頂板部20の内周縁より案内筒部24を垂設している。
【0021】
また、肩カバーBは、前部の最高レベル位置Hから漸次後方へ下降する通路pをステム16外方に備えている。図示例に於いて通路pは、ステム16の周囲に設けた、平面視円形の凹溝で画成され、その底壁はステム16前方中央部位置を最高レベル位置Hとし、ステム16後方中央部位置を最低レベル位置Lとして、最高レベル位置Hから両側に漸次下降してそれぞれ最低レベル位置Lに至る、2通路形態を採っている。具体的には、案内筒部24と併用した外周壁25と、外周壁25の下端縁より内方に延設した所定幅で、前部より後方へ漸次下降する平面視円形の底壁26と、底壁26の内周縁より起立した内周壁27とで画成している。
【0022】
ボールCは、容器体Aの傾斜により通路p内を移動する。従って、容器体Aを通常の平坦面位置に載置している場合、或いは水平な状態で保持している場合には、ボールCは通路の最低レベル位置Lに位置しており、容器体Aを前方へ傾けることで、通路pの最高レベル位置Hに移行する。
【0023】
噴射ヘッドDは、周壁30上端縁より頂壁31を延設したケーシング32を備え、ケーシング32内より突設した縦筒33の下端部をステム16の上端に嵌着して、容器体Aに装着している。ケーシング32内に於いて、縦筒33内と基端部を連通するノズル34を周壁30を貫通してその前方へ突出し、先端に噴出口35を開口している。
【0024】
上記の如く構成したエアゾール容器1を使用する場合について説明する。容器体Aを水平にもって、或いは水平載置面に載置した状態で、噴射ヘッドDを押し下げると、
図1或いは
図4(a)に示す如く、ボールCは通路pの最低レベル位置Lにあるため噴射ヘッドDの下降が可能で、それに伴ってステム16を押し下げ、
図2に示す如く、容器体A内の吐出弁を開弁して加圧液がステム16を介して噴出口35より噴出される。噴射ヘッドDの押圧を解除すれば、ステム16が上方付勢力により上昇して吐出弁が閉弁され、それに伴って噴射ヘッドDが上昇して元の状態に戻る。
【0025】
また、容器体Aを傾けた状態で保持したり、或いは倒立した状態で保持したりして、例えば、
図3及び
図4(b)に示す如く、ボールCが最高レベル位置Hに移動してしまった場合には、噴射ヘッドDの下面がボールCに当接して、噴射ヘッドDの押し下げができなくなる。尚、本発明に於いて、ボールCが最高レベル位置Hに移動した際に、噴射ヘッドDの下面が必ずしもボールCに当接していない場合であって、ボールCと噴射ヘッドDの下面との間に若干の隙間があっても良く、要はボールCの存在で噴射に必要なステム16の押し下げが防止されれば良い。この点に関しては以下の実施例も同様である。
【0026】
図5乃至
図8はエアゾール容器の第2実施例を示し、本例では、実施例1に於いて、肩カバーBの構成が相違し、その他は実質的に実施例1と同様であるため、相違部分のみを説明し、同一部分は同符号を付して説明を省略する。
【0028】
肩カバーBは、第1実施例と同様に、外周縁部が陥没し、陥没部分以外の内方部分が内方へ傾斜上昇する環状の頂板部20を備え、頂板部20の陥没部分内周縁部より垂設した嵌合筒部21を容器体Aの環状突部14外周に嵌合して容器体Aに装着している。嵌合筒部21の内周下端部には環状凹部を形成し、環状凹部内に周方向複数の係合リブ22を等間隔に突設し、係合リブ22の下端部に突設した係合突条を、環状突部14外周下部に形成された下向き段部に係合させて上方への抜け出しを防止している。また、頂板部20の外周縁より周壁部23を垂設し、周壁部23の下端を容器体Aの肩部11外周縁上に垂下している。更に、頂板部20の内周縁より案内筒部24を垂設している。
【0029】
また、肩カバーBは、第1実施例の場合と同様に、前部の最高レベル位置Hから漸次後方へ下降する通路pをステム16外方に備えている。本例に於ける通路pは、ステム16の周囲に設けた、平面視円弧状の凹溝で画成され、その底壁はステム16前方中央部位置を最高レベル位置Hとし、ステム16後方両側位置を第1最低レベル位置L1、第2最低レベル位置L2として、最高レベル位置Hから両側に漸次下降して第1最低レベル位置L1或いは第2最低レベル位置L2に至る、2通路形態を採っている。換言すれば、平面視円弧状の凹溝の中央部分が、ノズル34の前方に位置し、平面視円弧状の凹溝の各端部がノズル34の後方の両側に対象位置している。
【0030】
具体的には、案内筒部24と併用した外周壁25と、外周壁25の下端縁より内方に延設した所定幅で、前部より後方へ漸次下降する底壁26と、底壁26の内周縁より起立した内周壁27と、案内筒部24の後部中央を、断面逆L字状に、所定幅内方へ陥没させて形成した係止突部28の各側面28aと、で画成している。
【0031】
ボールCは、容器体Aの傾斜により通路p内を移動する。従って、容器体Aを通常の平坦面位置に載置している場合、或いは水平な状態で保持している場合には、ボールCは通路の第1最低レベル位置L1か或いは第2最低レベル位置L2に位置しており、容器体Aを前方へ傾けることで、通路pの最高レベル位置Hに移行する。
【0032】
噴射ヘッドDは、第1実施例と同様形態であるが、周壁30の後部下面が係止突部28の上面28bに略当接状態となっている点で相違する。
【0033】
上記の如く構成したエアゾール容器1を使用する場合について説明する。容器体Aを水平にもって、或いは水平載置面に載置した状態で、噴射ヘッドDを押し下げると、
図5或いは
図8(a)に示す如く、ボールCは、例えば、通路pの最低レベル位置Lである第1最低レベル位置L1にあるため、噴射ヘッドDの下降が可能で、
図6に示す如く、ステム16を押し下げて容器体A内の吐出弁を開弁し、加圧液をステム16を介して噴出口35から噴出することが可能である。尚、この場合噴射ヘッドDの押し下げに際し、噴射ヘッドDの周壁30下面後部は係止突部28の上面28bに当接しており、噴射ヘッドDが前方へ傾く状態でステム16を押し下げているが、ステム16は若干の傾倒が可能に構成されており、また、ステム16の押し下げ幅が非常に小さいため、機能的には問題がない。噴射ヘッドDの押圧を解除すれば、ステム16が上方付勢力により上昇して吐出弁が閉弁され、それに伴って噴射ヘッドDが上昇して元の状態に戻る。
【0034】
また、容器体A
を傾けた状態で保持したり、或いは倒立した状態で保持したりして、例えば、
図7及び
図8(b)に示す如く、ボールCが最高レベル位置Hに移動してしまった場合には、ボールCが噴射ヘッドDの下面に当接して噴射ヘッドDの押し下げを防止し、ステム16の押し下げができなくなる。尚、その際本例では、係止突部28上面とボールC上面は略同一平面上となり、従って、噴射ヘッドDを押圧した際、噴射ヘッドDの頂壁31のどの位置を押圧しても噴射ヘッドDを押し下げることができない。
【符号の説明】
【0035】
1:エアゾール容器
A:容器体
10…胴部、11…肩部、12…口頸部、13…蓋板、14…環状突部、15…支持筒、16…ステム
B:肩カバー
20…頂板部、21…嵌合筒部、22…係合リブ、23…周壁部、24…案内筒部、
25…外周壁、26…底壁、27…内周壁、28…係止突部、28a…側面、
28b…上面、p…通路、H…最高レベル位置、L…最低レベル位置、
L1…第1最低レレベル位置、L2…第2最低レレベル位置
C:ボール
D:噴射ヘッド
30…周壁、31…頂壁、32…ケーシング、33…縦筒、34…ノズル、
35…噴出口