【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
下方に向かうほど径が小さくなる形状の排水口に取り付けられる排水口金具であって、
前記排水口に挿入され、排水管を接続するための樹脂製の排水口金具本体と、
前記排水口金具本体の上面および上方の内面を覆う金属製カバー部とを備えており、
前記排水口金具本体の上部は、張り出し部を有し、
前記金属製カバー部は、前記張り出し部の上面を覆うとともに、縁部で該張り出し部を下側から支えるように鋭角的に折り返した折り返し部を有しており、
前記折り返し部の長さは、前記折り返しの外側面の曲率半径よりも長い
排水口金具である。
【0006】
本発明によれば、金属製カバー部の縁は、排水口金具本体の張り出し部を上下から覆うように鋭角的に折り曲げられる。即ち、
図7に示したように湾曲させるのではなく、内側面の曲率半径がほぼ0と言えるほど十分に小さくなるよう折り曲げる。こうすることにより、金属製カバー部の縁の外側面の曲率半径を小さくすることができる。従って、排水口と金属製カバー部との間の隙間を小さくすることができ、汚れの付着などを抑制することができる。
また、本発明では、金属製カバー部の縁の折り返し部は、外側面の曲率半径よりも長く確保されているため、鋭角的に折り曲げた場合であっても、排水口金具本体の張り出し部をしっかりと保持することが可能となる。金属製カバー部の縁を折り返した端部の外側面は、微視的には、円弧状をなすが、折り返し部とは、この円弧からはずれ直線的または折れ線状に延びる部分の長さを言う。折れ線状とは、折り返し部が、さらに途中で折れ曲がり、段付き状になっていることを言う。
【0007】
本発明の排水口金具は、種々の工程で形成することが可能である。
予め折り返し部を設けた形状に金属製カバー部を加工し、ここに樹脂のインサート成形によって排水口金具本体を形成してもよい。この方法によれば、金属製カバー部と排水口金具本体とを密着させ、一体化させやすい利点がある。
また、排水口金具本体と、縁を折り返さない状態の金属製カバー部とを用意し、両者を組み合わせた後、金属製カバー部の縁を折り返して、かしめる方法(以下、「後かしめ」と呼ぶこともある)で形成してもよい。この方法によれば、排水口金具本体の成形工程の自動化が容易であり、全体として製造コストを低減させることができる利点がある。
【0008】
本発明の排水口金具においては、
前記排水口と前記排水口金具本体との間にパッキンを備え、
該パッキンは、前記折り返し部の全周にわたって外側から接触する形状をなしているものとしてもよい。
こうすることにより、折り返し部から、排水口金具本体と金属製カバー部との間の隙間への浸水を抑制することができる。かかるパッキンは、特に、上述の後かしめで製造する場合に、有用性が高い。
【0009】
本発明の排水口金具においては、
該排水口金具は、その内側に排水口を塞ぐための栓側パッキンを備えた栓が取り付けられるものであり、
前記排水口金具本体は、前記栓を取り付けた際に前記栓側パッキンと接触する形状となっており、
前記金属製カバー部は、前記折り返し部と逆の端部が前記栓側パッキンと前記排水口金具本体とが接触する部位よりも上方に留まる形状としてもよい。
金属製カバー部と排水口金具本体との間に隙間がある場合、栓を取り付けても、この隙間を通じて漏水するおそれがある。上記態様では、金属製カバー部よりも下の位置で、栓側パッキンと排水口金具本体とが接触するため、上記隙間を通じた漏水を防止することができる。
【0010】
また、本発明の排水口金具においては、
前記排水口金具本体の下部には、前記張り出し部との間で前記排水口が形成された排水口形成面を直接または間接に挟み込み保持できるよう前記排水管を接続するためのネジ山および前記排水管を接続した際の締め付け状態を規制する規制部が形成されており、
前記張り出し部を覆う部分の前記金属製カバー部の外径は、前記規制部から前記金属製カバー部の上面に至る高さ分だけ、接続された前記排水管が前記排水口形成面に直接または間接に当たる部位から高い位置における前記排水口の内径と略同一に形成されているものとしてもよい。
排水管を直接挟み込むとは、排水口形成面の直下に排水管が接続される状態を言い、間接に挟み込むとは、排水口形成面の下にパッキンなどを介して排水管が接続される状態を言う。
上述の態様によれば、金属製カバー部の外径は、排水管を規制部まで締め付けた状態で排水口の内径と略同一となる。従って、排水管を十分に締め付ける前に、金属製カバー部の外周と排水口とが強く接触することを回避できるため、排水口の損傷を抑制できる。
規制部としては、例えば、排水口本体に排水管の端部が当たることによって締め付けを規制する段部、ネジ山の最上部などとすることができる。
【0011】
本発明は、排水口金具としての態様に限らず、種々の態様で構成することができる。
例えば、
排水口に取り付けられる排水口金具の製造方法であって、
前記排水口に挿入され、排水管を接続するための樹脂製の部材であって、その上部に、薄板状に広がる張り出し部を有する排水口金具本体を成形する工程と、
前記排水口金具本体の上面および上方の内面を覆う金属製カバー部を、該上面および内面に沿う形状に形成する工程と、
前記金属製カバー部に、前記排水口金具本体を取り付ける工程と、
前記張り出し部を下側から支えるように、前記金属製カバー部の前記張り出し部からはみ出した部分を、鋭角的、かつ、折り返し部の長さが折り返しの曲率半径よりも長くなるように折り返すことによって、前記金属製カバー部と前記排水口金具本体とを一体化する工程とを備える
排水口金具の製造方法として構成してもよい。金属製カバー部と排水口金具本体とを一体化する工程は、複数回の折り返し工程に分けて実現してもよい。
上記製造方法は、即ち、後かしめによる製造方法である。かかる製造方法によれば、組み立て前の排水口金具と、排水口金具本体とを個別に並行して製造することができるとともに、各製造工程の自動化が容易であるため、全体として製造コストを低減でき、品質の均一化を図ることができる。
【0012】
本発明において、上述の種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はない。その一部を省略等したり、適宜、組合せたりして構成することも可能である。