(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(c)の手段において、前記予約情報に指定室の情報が含まれている場合、前記指定室を受け持つ熱交換機系統を前記熱交換機系統登録テーブルから取得する手段をさらに有し、
取得した前記熱交換機系統を先頭とする系統稼動順の前記系統稼動特性テーブルのみを比較対象として選択することを特徴とする請求項5に記載のホテル等の部屋割当支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ある程度の規模以上のホテルでは、複数の熱交換機系統からなる冷暖房システムを備えている。1つの熱交換機系統は、1つの熱交換機である室外機と、当該室外機が受け持つ複数の部屋の各々に設置された室内機とから構成されている。1つの熱交換機系統の稼働及び停止の制御は、その熱交換機系統の熱交換機(室外機)の稼働及び停止の制御により行われる。
【0006】
図24(a)(b)は、従来例として、複数の熱交換機系統を備えたホテルにおける部屋割当と熱交換機系統の稼動状況の関係を示した図である。(a)は、ホテルの部屋構成と熱交換機系統構成を模式的に示した図である。(b)は、(a)の構成において部屋割当を行った状況を示した図である。
【0007】
図24(a)では、5つの階層の各階の部屋数が、上層から下層へ順に10室、10室、12室、14室及び14室となっており、全室数は60室である。この例では各階が1つの熱交換機系統となっており、1つの熱交換機(室外機)が当該階の全ての部屋の室内機を受け持つ。熱交換機は、上層から下層へ順にHP1、HP2、HP3、HP4及びHP5である。この例では、5つの熱交換機系統のエネルギー使用量は同じであり、例えば2kw/hとする。全ての熱交換機系統が稼動したときの最大エネルギー使用量は、10kW/hとなる。
【0008】
本明細書で「エネルギー使用量」とは、当該熱交換機系統すなわち室外機を稼動したときのエネルギー消費量の目安であり、理論値である。この理論値は、熱交換機の定格や過去の実績値(例えば季節や特別な期間毎に異なる)をもとに算出される。この理論値は、所定の季節や期間におけるエネルギー使用量の予測値として妥当と考えられる値である。なお、本明細書では、各室内機の稼働/停止によるエネルギー使用量の差は考慮しないこととする。
【0009】
図24(b)は、使用室数45室(使用室率75%、空室率25%)の場合の部屋割当状況を示した図である。斜線部分が割当を行った部屋である。この場合、全ての階において部屋割当が行われているので、全ての熱交換機系統を稼動(ON)させる必要がある。各熱交換機は、複数の受持ち部屋のうちの1つでも使用される場合は、他の受持ち部屋が空室であっても稼動させなければならない。つまり、使用率75%でも、熱交換機系統の全エネルギー使用量は最大の100%となる。
【0010】
ここで、熱交換機HP2についてみると、その受持ち部屋10室のうち7室が使用されている。仮にこれらの7室を、下層階の空室に振り替えたとすれば、熱交換機HP2の受持ち部屋は全て空室となるので、熱交換機HP2を停止させることができる。これにより、全エネルギー使用量を100%から80%に減らせる。従来は、このような熱交換機系統とその受持ち部屋の関係を考慮したホテルの部屋割当は行われていなかった。
【0011】
以上のような現状に鑑み本発明は、ホテル等において省エネルギーを図るために、複数の熱交換機系統とその受持ち部屋との関係を考慮して部屋割当を行うことを支援する部屋割当支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を実現するために本発明は、以下の構成を提供する。
本発明によるホテル等における部屋割当支援装置の第1の態様は、複数の熱交換機系統の各々が1又は複数の部屋を受け持ちかつ熱交換機系統毎に
稼動と停止を制御される、前記複数の熱交換機系統を備えたホテル等における部屋割当を支援する部屋割当支援装置であって、
(a)各熱交換機系統と当該熱交換機系統の受持ち部屋の数及び場所とを対応づけて予め格納した熱交換機系統登録テーブルと、
(b)複数の熱交換機系統の全停止状態から順次
稼動させて全稼動状態とするまでの系統
稼動順が予め決定されており、前記系統
稼動順に従って各熱交換機系統を順次
稼動させていくときの各熱交換機系統の受持ち部屋の数を累積した使用室数を、前記系統稼動順と対応付けて予め格納した系統
稼動特性テーブルと、
(c)部屋割当を行う日の予約室数を取得する手段と、
(d)取得した前記予約室数に該当する使用室数を前記系統
稼動特性テーブルから検出し、検出した前記使用室数において
稼動させる熱交換機系統及び停止させる熱交換機系統を、前記系統稼動順に基づいて決定する手段と、
(e)決定した前記
稼動させる熱交換機系統の受持ち部屋の場所を前記熱交換機系統登録テーブルから取得し、割当可能な部屋として決定する手段と、を有するものである。
【0013】
上記第1の態様において、前記複数の熱交換機系統の各々のエネルギー使用量が同じでありかつ各々の受持ち部屋の数が異なる場合、前記系統
稼動順が、受持ち部屋の数の多い順に決定されていることが、好適である。
【0014】
上記第1の態様において、前記熱交換機系統登録テーブルに、各熱交換機系統と当該熱交換機系統のエネルギー使用量とをさらに対応付けて予め格納しており、
前記複数の熱交換機系統の各々のエネルギー使用量が異なりかつ各々の受持ち部屋の数が同じ場合、前記系統
稼動順が、エネルギー使用量の小さい順に決定されていることが、好適である。
【0015】
本発明によるホテル等における部屋割当支援装置の第1の態様は、複数の熱交換機系統の各々が所定のエネルギー使用量であり複数の部屋を受け持ちかつ熱交換機系統毎に
稼動と停止を制御される、前記複数の熱交換機系統を備えたホテル等における部屋割当を支援する部屋割当支援装置であって、
(a)複数の熱交換機系統のうち受持ち部屋の数及びエネルギー使用量の双方が同じであるものを1つの系統群として、複数の熱交換系統を1又は複数の系統群に区分した上で、各熱交換機系統と、当該熱交換機系統の受持ち部屋の数及び場所と、当該熱交換機系統のエネルギー使用量と、を対応づけて予め格納した熱交換機系統登録テーブルと、
(b)複数の熱交換機系統の全停止状態から順次
稼動させて全稼動状態とするまでの系統
稼動順の全ての順列を、1つの前記系統群に含まれる熱交換機系統を同じものとして扱って求めるとともに、求められた前記系統
稼動順の各々について、当該系統
稼動順に従って各熱交換機系統を順次
稼動させていくときの、各熱交換機系統の受持ち部屋の数を累積した使用室数と、各熱交換機系統のエネルギー使用量を累積したエネルギー使用量累積値と、を、当該系統稼動順と対応付けて予め格納した系統
稼動順毎の系統
稼動特性テーブルと、
(c)部屋割当を行う日の予約室数を含む予約情報を取得する手段と、
(d1)取得した前記予約室数に該当する使用室数を、全ての前記系統
稼動特性テーブルからそれぞれ検出し、検出した前記使用室数におけるエネルギー使用量累積値をそれぞれ取得する手段と、
(d2)取得した前記系統
稼動順毎のエネルギー使用量累積値を比較することにより、エネルギー使用量累積値が最小である1又は複数の系統
稼動順を抽出する手段と、
(d3)抽出した前記1又は複数の系統
稼動順の中から1つの系統
稼動順が決定されたことに応じて、決定された系統
稼動順について
、前記使用室数において
稼動させる熱交換機系統及び停止させる熱交換機系統を、前記決定された系統稼動順に基づいて決定する手段と、
(e)決定した前記
稼動させる熱交換機系統の受持ち部屋の場所を前記熱交換機系統登録テーブルから取得し、割当可能な部屋として決定する手段と、を有するものである。
【0016】
上記第2の態様の前記(d1)の手段において、全ての前記系統
稼動特性テーブルから該当する使用室数を検出する替わりに、比較対象として選択された複数の前記系統
稼動特性テーブルから該当する使用室数を検出し、検出した前記使用室数におけるエネルギー使用量累積値をそれぞれ取得することが、好適である。
【0017】
上記第2の態様の前記(c)の手段において、前記予約情報に指定室の情報が含まれている場合、前記指定室を受け持つ熱交換機系統を前記熱交換機系統登録テーブルから取得する手段をさらに有し、
取得した前記熱交換機系統を先頭とする系統
稼動順の前記系統
稼動特性テーブルのみを比較対象として選択することが、好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるホテル等における部屋割当支援装置は、ホテル等の備える複数の熱交換機系統の各々の受持ち部屋との関係を考慮して、可能な限り、停止できる熱交換機系統が多くなるように部屋割当を行うものである。これにより、省エネルギーを図ることができる。最も基本的な考え方は、1つの熱交換機系統の受持ち部屋の全てに部屋割当を行ってから、別の熱交換機系統の受持ち部屋に対する部屋割当を行う、という方式である。これにより、熱交換機系統を無駄なく稼動させることが可能となる。従来は、熱交換機系統とは無関係に部屋割当を行っていたため、1つの熱交換機系統の複数の受持ち部屋の中にまだ空室があるにも拘わらず、別の熱交換機系統の受持ち部屋に対する部屋割当が行われることが発生していた。このような従来の方式では、1つの熱交換機系統の稼動ですむところを、2つの熱交換機系統を稼動させることとなっていた。
さらに好適には、複数の熱交換機系統の各々の受持ち部屋の数が異なる(但しエネルギー使用量は同じ)場合は、受持ち部屋の数が多い熱交換機系統から部屋割当を行うことにより、いずれの使用室数(受持ち部屋数の累積数)においても、熱交換機系統の稼動数を最も少なくすることができる。
また、さらに好適には、複数の熱交換機系統の各々のエネルギー使用量が異なる(但し受持ち部屋数は同じ)場合は、エネルギー使用量の小さい熱交換機系統から部屋割当を行うことにより、いずれの使用室数(受持ち部屋数の累積数)においても、全エネルギー使用量を最も小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明のホテル等における部屋割当支援装置の実施形態を説明する。なお、ホテルや旅館等の宿泊施設の典型例として、ホテルについて説明する。
【0021】
(1)部屋割当支援装置の基本形態
(1−1)概要
本発明による部屋割当支援装置の基本形態の具体的構成を説明するに先立って、概要を説明する。
図1(a)(b)は、複数の熱交換機系統を備えたホテルの部屋割当において、本発明の部屋割当支援装置の基本形態を適用した一例を模式的に示した図である。
【0022】
図1(a)のホテルの部屋構成と熱交換機系統構成は、上述した
図24の従来例と同じである。斜線部分が部屋割当実行後の使用室である。使用室率(使用室数/全室数)は、
図24(b)と同じ75%である。この場合、1系統当たりの受持ち部屋数が多い熱交換機系統から部屋割当を行っている(受持ち部屋数が同じ場合はいずれからでもよい)。この結果、3階から5階までの全室と6階の5室が割り当てられ、7階は全室が空室となっている。これにより、熱交換機HP5、HP4、HP3及びHP2を稼動(ON)させる一方、熱交換機HP1は停止(OFF)させることができる。全エネルギー使用量は8kW/hであり、最大の80%である。
【0023】
図1(b)のホテルの部屋構成と熱交換機系統構成は、3階から7階までの各階の部屋の数が12室で同じであり、全室数60室である。各階が1つの熱交換機系統となっており、3階から7階までの各階の熱交換機は、HP5'、HP4'、HP3'、HP2'及びHP1'である。この例では、5つの熱交換機系統にエネルギー使用量の異なるものが混在しており、HP5'、HP4'及びHP3'は2kw/hであり、HP2'及びHP1'は4kW/hである(これらのエネルギー使用量の数値自体は、説明のための例示である。以下同様)。全ての熱交換機系統が稼動したときの最大エネルギー使用量は、14kW/hとなる。斜線部分が部屋割当実行後の使用室であり、使用室率は75%である。この場合、1系統当たりのエネルギー使用量が小さい熱交換機系統から部屋割当を行っている(エネルギー使用量が同じ場合はいずれからでもよい)。この結果、3階から5階までの全室と6階の9室が割り当てられ、7階は全室が空室となっている。これにより、熱交換機HP5'、HP4'、HP3'及びHP2'を稼動(ON)させる一方、熱交換機HP1'は停止(OFF)させることができる。全エネルギー使用量は10kW/hであり、最大の71%である。
【0024】
図1(a)の例では、1系統当たりの受持ち部屋数が多い熱交換機系統から部屋割当を行い、
図1(b)の例では、1系統当たりのエネルギー使用量が小さい熱交換機系統から部屋割当を行っている。このように、1系統当たりの受持ち部屋数又はエネルギー使用量を考慮して部屋割当を行う熱交換機系統の順序を決定することが、好適である。
【0025】
但し、各熱交換機系統の受持ち部屋数が多い順又はエネルギー使用量が小さい順に部屋割当を行うのではなく、任意の1つの熱交換機系統の受持ち部屋全てに割り当てた後に、別の任意の1つの熱交換機系統の受持ち部屋に割り当て始める、という方式で部屋割当を行ったとしても、上述した
図24の従来例に比べれば、省エネルギーを実現できる。
図24の従来例では、1つの熱交換機系統の受持ち部屋全てに割り当てる前に(すなわち空室を残したまま)、別の熱交換機系統の受持ち部屋に割り当てを行うことが発生するので、無駄に熱交換機系統を稼動させることになる。従来例では、熱交換機系統を全く意識せずに部屋割当を行っているからである。本発明では、例えば
図1(b)の例において、逆に7階から下方に順に部屋割当を行ったとしても、3階は全室が空室となるので熱交換機HP5'を停止できる。これが、本発明の最も基本的な特徴である。
【0026】
なお、
図1(a)(b)の例のように、1つの階の全室が1つの熱交換機系統の受持ち部屋となっている必要はなく、1つの熱交換機系統の複数の受持ち部屋の場所は、ホテル内にどのように配置されていてもよい。
【0027】
(1−2)装置の全体構成図
図2は、本発明による部屋割当支援装置の基本形態を適用したシステム全体の概略構成図である。
部屋割当支援装置1は、ホテル予約システム2及び熱交換機制御システム3と連携して動作する。このために、適宜の通信手段(LAN等)で接続されているものとする。
【0028】
ホテル予約システム2は、公知の一般的なシステムであり、部屋割当を行う当日の予約情報を保有している。予約情報には、少なくとも当日必要な部屋数(予約室数)が含まれる。部屋割当支援装置1は、ホテル予約システム2から予約情報を取得するとともに、ホテル予約システム2に対して部屋割当支援情報を提供する。
【0029】
熱交換機制御システム3は、公知の一般的なシステムであり、複数の熱交換機系統の各々の稼動及び停止を直接制御する集中管理システムである。部屋割当支援装置1は、部屋割当支援情報の前提として決定される熱交換機系統毎の稼動又は停止の情報を、熱交換機制御システム3に対して提供する。
【0030】
部屋割当支援装置1は、適宜のコンピュータシステムとして実施可能である。部屋割当支援処理部10は、本装置の機能を実現するプログラムを導入されたコンピュータであり、そのCPUがプログラムをメモリに読み込み、処理を実行することにより、コンピュータが本装置として機能する。部屋割当支援処理部10には、ユーザが処理状況やデータベース19の内容を画面表示にて確認したり必要な入力を行ったりするための管理端末18が接続されている。また、部屋割当支援処理部10には、関連する種々のデータを格納するデータベース19が接続されている。
【0031】
部屋割当支援処理部10は、各機能の担当処理部として、熱交換機系統登録部12、系統稼動特性登録部13、ホテル予約情報取得部14、部屋割当支援情報決定部15、部屋割当支援情報送信部16、熱交換機稼働停止指示部17を備えている。
【0032】
熱交換機系統登録部12は、各熱交換機系統の受持ち部屋の数及び場所、並びに、各熱交換機系統のエネルギー使用量など、各熱交換機系統に関する情報をデータベース19に予め登録する。
系統稼動特性登録部13は、全ての熱交換機系統を停止させた状態(全停止状態)から順次稼働させて全ての熱交換機系統を稼働させた状態(全稼動状態)までの系統稼働順と、全停止状態から全稼動状態までの使用室数及びエネルギー使用量累積値の変化の情報とをデータベース19に予め登録する。
ホテル予約情報取得部14は、ホテル予約システム2から予約情報を取得する。
部屋割当支援情報決定部15は、データベース19に格納された情報及び予約情報を基に、どの熱交換機系統の受持ち部屋が割当可能な部屋であるかを決定する。決定された情報が部屋割当支援情報となる。
部屋割当支援情報送信部16は、決定された部屋割当支援情報をホテル予約システム2に送信する。
熱交換機稼働停止指示部17は、部屋割当支援情報の前提として決定される熱交換機系統毎の稼動又は停止の情報を熱交換機制御システム3に対して送信する。
【0033】
(1−3)データベース構成
図3(a)(b)は、
図1(a)に示したホテル構成及び熱交換機系統構成の場合における
図2のデータベース19の構成の一例を示した図である。(c)は(b)のテーブルを分かり易くグラフ化したものである。
【0034】
図3(a)は、
図2の熱交換機系統登録部12の処理によりデータベース19に格納される熱交換機系統登録テーブル301の一例を示している。データ項目として、各熱交換機系統を識別する名称である「系統名称(ここでは熱交換機名称を系統名称として用いている)」、各熱交換機系統が受け持つ部屋の数である「受持ち部屋数」、受持ち部屋の場所を示す「受持ち部屋の場所」及び各熱交換機系統の「エネルギー使用量(kW/h)」を有する。
【0035】
図3(b)は、
図2の系統稼動特性登録部13の処理によりデータベース19に格納される系統稼動特性テーブル302の一例を示している。
1行目に熱交換機系統の「系統稼動順」が格納される。基本形態では、この系統稼動順は予め決定されているものとする(例えばユーザ入力による)。
2行目の「使用室数」は、この系統稼動順に従って全停止状態から全稼動状態まで各熱交換機系統を順次稼動させたときの受持ち部屋を累積した使用室数を示す。
3、4行目の「使用室率(%)」と「空室率(%)」は、2行目の使用室数の全室数に対する割合から算出されたものである。「使用室率(%)」と「空室率(%)」の和は100%である。
5、6行目の「稼動系統数」と「停止系統数」は、この系統稼動順に従って全停止状態から全稼動状態まで各熱交換機系統を順次稼動させたときの稼動させる系統数と停止させる系統数である。「稼動系統数」と「停止系統数」の和は常に熱交換機系統の全数(ここでは5系統)となる。
7行目の「エネルギー使用量累積値(kW/h)」は、この系統稼動順に従って全停止状態から全稼動状態まで各熱交換機系統を順次稼動させたときの、各熱交換機系統の使用エネルギーを累積した値である。
【0036】
図3(c)は、
図3(b)の系統稼動特性テーブル302をグラフ化したものである。横軸は使用室率(%)としている。左縦軸は熱交換機の稼働系統数であり、右縦軸はエネルギー使用量累積値(kW/h)である。例として、使用室率75%の場合を点線で示している。
【0037】
図4(a)(b)(c)は、
図3(a)(b)(c)と同様の図であり、
図1(b)に示したホテル構成及び熱交換機系統構成の場合におけるものである。
図4(a)は、
図2の熱交換機系統登録部12の処理によりデータベース19に格納される熱交換機系統登録テーブル401の一例を示している。
図4(b)は、
図2の系統稼動特性登録部13の処理によりデータベース19に格納される系統稼動特性テーブル402の一例を示している。
図4(c)は、
図4(b)の系統稼動特性テーブル402をグラフ化したものである。
【0038】
(1−4)処理フロー
図5は、
図2に示した部屋割当支援装置1における熱交換機系統登録フローの一例を概略的に示した図である。以下では、
図1(a)のホテル構成及び熱交換機系統構成の場合について説明する。
【0039】
この熱交換機系統登録フローは、部屋割当支援情報決定フローに先立って予め実行される。先ず、管理端末18からホテルにおける複数の熱交換機系統の各々の情報を入力される。情報は、各熱交換機系統の受け持つ部屋の数及び場所と、各熱交換機系統のエネルギー使用量とを少なくとも含む(ステップS11)。
【0040】
入力された熱交換機系統の情報を、
図3(a)に例示した熱交換機系統登録テーブル301に登録する(ステップS12)。
【0041】
次に、複数の熱交換機系統の系統稼働順を決定する。例えば、管理端末18に系統稼働順の決定方法を選択させる画面を表示する(ステップS13)。決定方法の選択肢の1つは、系統稼働順をユーザが管理端末から入力する方法である(ステップS14)。ユーザが決定する場合は、受持ち部屋の場所や優劣等の他の条件により決定する。別の選択肢としては、受持ち部屋の数の多い熱交換機系統から順に稼働するように自動的に系統稼働順を決定する(ステップS15)。受持ち部屋の数が同じ複数の熱交換機系統については、任意に順序を決定してもよく、あるいは、ユーザが他の条件を基に管理端末から入力してもよい。さらに別の選択肢としては、エネルギー使用量の小さい熱交換機系統から順に稼働するように自動的に系統稼働順を決定する(ステップS16)。エネルギー使用量が同じ複数の熱交換機系統については、任意に順序を決定してもよく、あるいは、ユーザが他の条件を基に管理端末18から入力してもよい。
【0042】
系統稼働順が決定したならば、当該系統稼働順に従って各熱交換機系統を順次稼働させていくときの、各熱交換機系統の受け持つ部屋の数を累積した使用室数と、エネルギー使用量を累積したエネルギー使用量累積値とを、
図3(b)の系統稼働特性テーブル302に登録する。なお、基本形態の部屋割当支援装置1では、エネルギー使用量累積値は利用しないので、登録は任意である。
【0043】
図6は、
図2に示した部屋割当支援装置1における部屋割当支援情報決定フローの一例を概略的に示した図である。以下では、
図1(a)のホテル構成及び熱交換機系統構成の場合について説明する。
【0044】
先ず、ホテル予約システム2から、部屋割当を行う対象日の予約情報を取得する(ステップS21)。予約情報には、少なくとも予約室数が含まれている。
【0045】
次に、
図3(b)の系統稼働特性テーブルを参照し、予約室数に該当する使用室数を検出し、検出した使用室数における稼働系統及び停止系統を決定する(ステップS22)。例えば
図3(b)の系統稼働特性テーブルを参照した場合、予約室数が45室のときは第4列目の使用室数41〜50の範囲内に該当するので、この第4列目の使用室数が検出される。第4列目の状態では、熱交換機HP5、HP4、HP3及びHP2の4つの熱交換機系統を稼働させ、熱交換機HP1の1つの熱交換機系統が停止させている。
【0046】
続いて、熱交換機HP5、HP4、HP3及びHP2の4つの熱交換機系統を稼働させかつ熱交換機HP1の1つの熱交換機系統が停止させる内容の指示情報を、熱交換機制御システム3へ送信する(S23)。熱交換機制御システム3は、指示情報に従って各熱交換機系統の稼働と停止を制御する。
【0047】
さらに、稼働系統である熱交換機HP5、HP4、HP3及びHP2の4つの熱交換機系統の各々の受持ち部屋の場所を、
図3(a)の熱交換機系統登録テーブル301から取得する。取得した受持ち部屋の場所(例えば3階〜6階)が、割当可能な部屋の場所である。この割当可能な部屋の場所の情報が、部屋割当支援情報である。決定した部屋割当支援情報を、ホテル予約システムに送信する(ステップS24)。ホテル予約システムは、例えば、宿泊客がチェックインした際に、部屋割当支援情報の割当可能な部屋の中から部屋を割り当てる。
【0048】
(2)部屋割当支援装置の一般形態
(2−1)概要
上述した部屋割当支援装置の基本形態は、さらに一般的な形態に拡張することができる。一般形態では、複数の熱交換機系統の各々が、多様な受持ち部屋数及びエネルギー使用量をもっていることを想定する。例えば、受持ち部屋数が多くかつエネルギー使用量も大きい熱交換機系統、及び、受持ち部屋数が少なくかつエネルギー使用量も小さい熱交換機系統の他に、受持ち部屋数が多いがエネルギー使用量の小さい熱交換機系統、逆に、受持ち部屋数が少ないがエネルギー使用量の大きい熱交換機系統が混在している場合が考えられる。このように多様なタイプの熱交換機系統が多数混在すると、省エネルギーを考慮した系統稼働順の決定が難しくなる。本発明の一般形態は、このような場合にも省エネルギーを考慮した部屋割当支援情報を合理的に決定することを可能としたものである。
【0049】
図7は、本発明の部屋割当支援装置の一般形態を適用したホテルの部屋構成と熱交換機系統構成の一例を模式的に示した図である。最上階を含む5階層の各階の熱交換機系統A1、A2、A3、A4及びA5は、それぞれ受持ち部屋数が8室かつエネルギー使用量が2kW/hであり、A系統群を構成する。その下の2階層の各階の熱交換機系統B1及びB2は、それぞれ受持ち部屋数が10室かつエネルギー使用量が2kW/hであり、B系統群を構成する。その下の3階層の各階の熱交換機系統C1、C2及びC3は、それぞれ受持ち部屋数が10室かつエネルギー使用量が4kW/hであり、C系統群を構成する。その下の5階層の各階の熱交換機系統D1、D2、D3、D4及びD5は、それぞれ受持ち部屋数が14室かつエネルギー使用量が3kW/hであり、D系統群を構成する。さらにその下にも複数の階層(すなわち複数の熱交換機系統)が存在すると想定している。
【0050】
一般形態では、先ず、ホテルに備わる複数の熱交換機系統のうち、1系統当たりの受持ち部屋の数及びエネルギー使用量の双方が同一であるものを1つの系統群として、複数の熱交換系統を1又は複数の系統群に区分する。なお、1つの系統群に属する各熱交換機系統は、
図7の例のように連続する階層となっている必要はなく、例えば1つの系統群に属する各系統の階層が点在していてもよく、また1つの階層に2つの系統群に属する系統が混在していてもよい。
【0051】
(2−2)装置の全体構成図
図8は、本発明による部屋割当支援装置の一般形態を適用したシステム全体の概略構成図である。
部屋割当支援装置5は、
図2の基本形態の装置と同様のホテル予約システム2及び熱交換機制御システム3と連携して動作する。
【0052】
部屋割当支援装置5は、適宜のコンピュータシステムとして実施可能である。部屋割当支援処理部50は、本装置の機能を実現するプログラムを導入されたコンピュータであり、そのCPUがプログラムをメモリに読み込み、処理を実行することにより、コンピュータが本装置として機能する。部屋割当支援処理部50には、ユーザが処理状況やデータベース59の内容を画面表示にて確認し、必要な入力を行うための管理端末58が接続されている。また、部屋割当支援処理部50には、関連する種々のデータを格納するデータベース59が接続されている。
【0053】
部屋割当支援処理部50は、各機能の担当処理部として、熱交換機系統登録部51、熱交換機系統順列算出部52、熱交換機系統の系統稼動順毎の系統稼動特性登録部53、ホテル予約情報取得部54、部屋割当支援情報決定部55、部屋割当支援情報送信部56、熱交換機稼働停止指示部57を備えている。
【0054】
熱交換機系統登録部51は、複数の熱交換機系統を1又は複数の系統群に区分した上で、各系統群毎に、各熱交換機系統の受持ち部屋の数及び場所、並びに、各熱交換機系統のエネルギー使用量など、各系統群及び各熱交換機系統に関する情報をデータベース59に予め登録する。
【0055】
熱交換機系統順列算出部52は、複数の熱交換機系統の全停止状態から順次稼働させて全稼動状態とするまでの系統稼働順の全ての順列を求める処理を行う。この順列を求める際には、1つの系統群に含まれる複数の熱交換機系統については区別せずに同じものとして扱って求める。いわゆる「同じ要素を含む順列」である。
【0056】
系統稼動特性登録部53は、熱交換機系統順列算出部52により算出された系統稼働順の各々について、当該系統稼動順と、全停止状態から全稼動状態までの使用室数及びエネルギー使用量累積値の変化の情報とをデータベース59に予め登録する。
【0057】
ホテル予約情報取得部54は、ホテル予約システム2から予約情報を取得する。
【0058】
部屋割当支援情報決定部55は、データベース59に格納された情報及び予約情報を基に、どの熱交換機系統の受持ち部屋が割当可能な部屋であるかを決定する。決定された情報が部屋割当支援情報となる。
【0059】
部屋割当支援情報送信部56は、決定された部屋割当支援情報をホテル予約システム2に送信する。
【0060】
熱交換機稼働停止指示部57は、部屋割当支援情報の前提として決定される熱交換機系統毎の稼動又は停止の情報を熱交換機制御システム3に対して送信する。
【0061】
(2−3)データベース構成
図9〜
図13は、
図7に示した一般形態のホテル構成及び熱交換機系統構成における
図8のデータベース59の構成の一例を示した図である。
【0062】
図9は、
図8の熱交換機系統登録部51の処理によりデータベース59に格納される熱交換機系統登録テーブル901の一例を示した図である。データ項目として、各系統群を識別する名称である「系統群名称」、当該系統群に含まれる熱交換機系統の数である「系統群に含まれる系統数」、当該系統群に含まれる各熱交換機系統の受持ち部屋の数である「各系統の受持ち部屋数」、当該系統群に含まれる各熱交換機系統のエネルギー使用量である「エネルギー使用量(kW/h」、当該系統群に含まれる各熱交換機系統を識別する「系統名称」及び各熱交換機系統の受持ち部屋の場所を示す「各系統の受持ち部屋の場所」を有する。
【0063】
なお、
図9のテーブル中、「系統群に含まれる系統数」のデータAN、BN、CN、DN、「各系統の受持ち部屋数」のデータAR、BR、CR、DR、「エネルギー使用量(kW/h」のデータAW、BW、CW、DWはそれぞれ変数であり、実際には具体的な数値が格納されるものである。
【0064】
図10は、
図9のテーブルに関連して任意に設けられる総数量テーブル100である。データ項目「熱交換機系統の総数TN」には、熱交換機系統の数の総和AN+BN+CN+...が格納される。データ項目「全室数TR」には、熱交換機系統の受持ち部屋の数の総和AR×AN+BR×BN+CR×CN+...が格納される。データ項目「最大エネルギー使用量TW」には、エネルギー使用量の最大量(全稼動状態)AW×AN+BW×BN+CW×CN+...が格納される。
【0065】
図11は、
図8の熱交換機系統順列算出部52の処理によりデータベース59に格納される系統稼動順の順列テーブル110の一例を示した図である。熱交換機系統の総数はTNであるので、通常の順列の総数は
TNP
TN通りである。しかし、ここでは、1つの系統群に含まれる熱交換機系統は区別しない。例えば、A群に含まれるA1、...Anは同じものとして扱う。従って、この場合の熱交換機系統の順列の総数は、
TNC
AN×
TN−ANC
BN×
TN−AN−BNC
CN×・・・通りである。
例えば、熱交換機系統の総数TNが6系統であってA群が3系統、B群が2系統、C群が1系統の場合、全ての熱交換機系統の順列は、
6C
3×
3C
2×
1C
1=60通りとなる。そして、1つの順列が、全停止状態から全稼動状態まで熱交換機系統を順次稼動していく1つの系統稼動順に対応する。
【0066】
図11の順列テーブル110は、データ項目として、各順列を識別する「順列番号」、順列(系統稼動順)の具体的配列である「順列(系統稼動順)」、当該順列を比較対象として選択するか否かを示す「選択/非選択フラグ」を有する。
【0067】
なお、1つの系統群に含まれる熱交換機系統は同じものとして区別しないので、
図11ではこれをA*、B*のように"*"で表している。例えば、A*は、A1〜Anのうちのいずれでもよいという意味である。但し、当然であるが、1つの順列の中に重複(例えばA1が2つある等)はない。
【0068】
「選択/非選択フラグ」は任意に設けたものである。順列の算出では、非常に多数の順列が算出される場合がある。従って、算出された順列の中には、種々の事情から絶対に採用されない順列も含まれることがある。例えば、B群の熱交換機系統の受持ち部屋については、部屋の条件からして優先的に部屋割り当てすることはない、という事情などである。その場合、1又は複数のB*が先頭にある順列については、「選択/非選択フラグ」をOFFとすることにより、比較対象から外されることになる。
【0069】
図12は、
図8の系統稼動特性登録部53の処理によりデータベース59に格納される系統稼動順毎の系統稼動特性テーブル120の一例を示した図である。
図12の系統稼動特性テーブル120は、基本的には
図11の順列テーブルに含まれる全ての順列(系統稼動順)について作成される。なお、「選択/非選択フラグ」がOFFとされたものについては作成しなくてもよいが、事情が変わり「選択/非選択フラグ」がONとされた場合は系統稼動特性テーブル120を作成する。
【0070】
1行目には、
図11の順列テーブル110の1つの順列に対応する「系統稼動順」が格納される。
2行目の「使用室数」は、この系統稼動順に従って全停止状態から全稼動状態まで各熱交換機系統を順次稼動させたときの受持ち部屋を累積した使用室数を示す。
3、4行目の「使用室率(%)」と「空室率(%)」は2行目の使用室数と全室数から算出されたものである。
5、6行目はA群についての、7、8行目はB群についての、9、10行目はC群についての、それぞれ「稼動系統数」と「停止系統数」が格納される。これらの数値は、この系統稼動順に従って全停止状態から全稼動状態まで各熱交換機系統を順次稼動させたときの、各系統群における稼動させる系統数と停止させる系統数である。各系統群の「稼動系統数」と「停止系統数」の和は、常に各系統群に含まれる系統数AN、BN、CN等となる。
7行目の「エネルギー使用量累積値(kW/h)」は、この系統稼動順に従って全停止状態から全稼動状態まで各熱交換機系統を順次稼動させたときの、各熱交換機系統のエネルギー使用量を累積した値である。
【0071】
図13(a)(b)は、
図8のホテル予約情報取得部54及び部屋割当支援情報決定部55の処理によりデータベース59に格納される部屋割当決定第1テーブル130及び第2テーブル131の一例を示す図である。
【0072】
図13(a)の部屋割当決定第1テーブル130は、データ項目として、部屋割当を行う日を示す「日付」、ホテル予約システムから取得した予約情報に含まれる「予約室数」、予約室数と全室数から算出した「予約室数率(%)」、予約情報に含まれる指定室情報(指定室が有る場合、その部屋の場所)を示す「指定室情報」、指定室情報を基に
図9の熱交換機系統登録テーブル901から取得した「指定室の系統」、
図11の順列テーブル110の選択/非選択フラグがONの順列番号から比較対象として抽出した「比較対象順列番号」、最終的に決定した系統稼動順の順列を示す「決定順列番号」を有する(以下の
図15A、
図15Bで説明)。
【0073】
「指定室情報」には、例えば予約客が特定の部屋を希望した場合などに"指定室あり"の旨に加え、当該指定室の場所を示す"16階"等のデータが格納される。なお、指定室は1つの部屋が指定されるとは限らず、特定の階層又はその一部が指定される場合もある。指定室の指定がない場合は"指定室なし"のデータが格納される。指定室が指定された場合、「指定室の系統」には、当該指定室を受持ち部屋とする熱交換機系統を
図9の熱交換機系統登録テーブル901から取得して格納する。
【0074】
図13(b)の部屋割当決定第2テーブル131は、部屋割当を行う日毎に作成される。部屋割当決定第2テーブル131は、部屋割当決定第1テーブル130の全てのデータ項目にデータが入力された後に作成される。
【0075】
部屋割当決定第2テーブル131は、データ項目として、各系統群を識別する「系統群名称」、「停止系統数」、「選択された停止系統」を有する。「停止系統数」には、部屋割当第1テーブル130の「決定順列番号」で特定される系統稼動順にて、「予約室数」に該当する使用室数における各系統群の停止させる系統数を格納する。その際には、
図12の系統稼動特性テーブルを参照する。そして、「停止系統数」に相当する数の系統を各系統群からユーザが選択したものを「選択された停止系統」に格納する(以下の
図15A、
図15Bで説明)。
【0076】
さらに部屋割当決定第2テーブル131は、データ項目として、「稼動系統数」、「選択された稼動系統」、「受持ち部屋の場所」を有する。「稼動系統数」には、上記の「停止系統数」と同様にして取得した各系統群の稼動させる系統数を格納する。そして、「稼動系統数」に相当する数の系統を各系統群からユーザが選択したものを「選択された稼動系統」に格納する(以下の
図15A、
図15Bで説明)。「受持ち部屋の場所」は、「選択された稼動系統」に基づいて
図9の熱交換機系統登録テーブル901から取得して格納する。
【0077】
(2−4)処理フロー
図14は、
図8に示した部屋割当支援装置5における熱交換機系統登録フローの一例を概略的に示した図である。
【0078】
この熱交換機系統登録フローは、部屋割当支援情報決定フローに先立って予め実行される。先ず、管理端末58からホテルにおける複数の熱交換機系統の各々の情報を入力される。情報は、各熱交換機系統の受け持つ部屋の数及び場所と、各熱交換機系統のエネルギー使用量とを少なくとも含む(ステップS31)。
【0079】
入力された熱交換機系統の情報に基づいて、受持ち部屋の数とエネルギー使用量とが同じ1又は複数の系統を1つの系統群として、1又は複数の系統群に区分する。各系統群の区分に基づいて、
図9に例示した熱交換機系統登録テーブル901に登録する(ステップS32)。
【0080】
次に、1つの系統群に含まれる熱交換機系統を同じものとして扱い、全ての熱交換機系統の系統稼動順の順列を求める。得られた全ての順列を、
図11の系統稼動順の順列テーブル110に登録する(ステップS33)。
【0081】
続いて、管理端末58の表示画面に
図11の系統稼動順の順列テーブル110を表示し、比較対象とする系統稼動順を選択するか否かをユーザに尋ねる(ステップS34)。ユーザが比較対象とする系統稼動順を選択しない場合は、
図11の順列テーブル110の選択/非選択フラグを全てONとする(ステップS35)。つまり、全ての系統稼動順が比較対象となる。一方、ユーザが比較対象とする系統稼動順を選択する場合は、比較対象とする系統稼動順を表示画面上で選択させる。選択された系統稼動順については、
図11の順列テーブル110の選択/非選択フラグをONとし、それ以外をOFFとする(ステップS36)。
【0082】
次に、系統稼動順に従って全停止状態から各熱交換機系統を順次稼動させていき全稼動状態とするまでの、各熱交換機系統の受持ち部屋数を累積した使用室数と、各熱交換機系統のエネルギー使用量を累積したエネルギー使用量累積値とを、
図12の系統稼動順毎の系統稼動特性テーブル120に登録する(ステップS37)。なお、一般形態の部屋割当支援装置5では、エネルギー使用量累積値を利用するので、登録は必須である。
【0083】
図15A及び
図15Bは、
図8に示した部屋割当支援装置5における部屋割当支援情報決定フローの一例を概略的に示した図である。
【0084】
先ず、ホテル予約システム2から、部屋割当を行う対象日の予約情報を取得する(ステップS41)。予約情報には、少なくとも予約室数が含まれ、指定室情報が含まれる場合もある。取得した予約情報を、
図13の部屋割当決定第1テーブルに格納する。
【0085】
次に、取得した予約情報に指定室情報が含まれるか否かを判断する(ステップS42)。指定室が有る場合には、
図9の熱交換機系統登録テーブル901を参照して、指定室を受持ち部屋として含む系統を特定する。続いて、
図11の順列テーブル110を参照して、指定室を受持ち部屋として含む系統を先頭とする系統稼動順の選択/非選択フラグがOFFとなっている場合は、ONとする(ステップS43)。確実とするためには、それ以外の系統稼動順をOFFとすることが好ましい。これは、指定室を含む系統は必ず部屋割当の対象としなければならないので、優先的に稼動させる系統に位置付けるためである。
【0086】
続いて、管理端末58の表示画面上に、現時点における
図11の順列テーブル110を確認のために表示する(ステップS44)。そしてユーザに対して、比較対象の系統稼動順の選択を変更するか否かを尋ねる(ステップS45)。ユーザが必要に応じて比較対象の系統稼動順の選択を変更したい場合は、
図11の順列テーブル110の選択/非選択フラグを変更する(ステップS46)。
【0087】
その後、
図11の順列テーブル110の選択/非選択フラグがONとなっている全ての系統稼動順の順列番号を、
図13の部屋割当決定第1テーブル130の「比較対象順列番号」に格納する。この時点で、
図13の部屋割当決定第1テーブル130には、「決定順列番号」以外のデータ項目のデータが格納されている。
【0088】
次に、
図12の各系統稼動順の系統稼動特性テーブル120のうち、「比較対象順列番号」に格納された順列番号に対応する系統稼動順の系統稼動特性テーブルを全て抽出する。抽出した各系統稼動特性テーブルから、予約室数に該当する使用室数におけるエネルギー使用量累積値をそれぞれ取得する(ステップS47)。
【0089】
取得したエネルギー使用量累積値を比較し、最小値となる1又は複数の系統稼動順を抽出し、管理端末58の表示画面上に表示する(ステップS48)。
【0090】
複数の系統稼動順が抽出された場合は、ユーザがそれらの中から部屋割当において採用する1つの系統稼動順を決定する(ステップS49)。このユーザによる決定は、省エネルギー以外の観点、例えばホテルの事情や部屋の条件等から行われる。
【0091】
決定された1つの系統稼動順の使用室数における各系統群の稼動系統数及び停止系統数を系統稼動特性テーブル120から取得し、
図13の部屋割当決定第2テーブル131に格納するとともに、管理端末58に表示する(ステップS50)。この際、各系統群に含まれる系統も併せて表示する。ユーザは、各系統群毎に稼動系統及び停止系統を選択する必要がある場合は、選択する(ステップS51)。例えば、その系統群の全ての系統を稼動又は停止する場合は選択する必要がないが、一部を稼働又は停止させる場合はどの系統を稼動又は停止させるかを選択しなければならない。このユーザによる決定は、省エネルギー以外の観点、例えばホテルの事情や部屋の条件等から行われる。なお、1つの系統群において稼動させる系統を決定した場合は、自動的に停止させる系統も決定される。逆も同様である。ユーザにより決定された稼動系統及び停止系統は、
図13の部屋割当第2テーブル131に格納される。
【0092】
上述した通り決定された稼動系統及び停止系統の情報は、指示情報として部屋割当支援装置5から熱交換機制御システム3に送信される(ステップS52)。
【0093】
また、上述した通り決定された稼動系統及び停止系統に基づいて、
図9の熱交換機系統登録テーブル901を参照し、稼動系統の受持ち部屋の場所を取得し、割当可能な部屋の情報として部屋割当支援装置5からホテル予約システム2に送信する(ステップS53)。
【0094】
(2−5)一般形態例(1)
上述した部屋割当支援装置の一般形態を理解し易くするために、簡易なホテル構成及び熱交換機系統構成に適用した例を幾つか示すこととする。
図16〜
図19は、
図8の部屋割当支援装置5を適用した一般形態例(1)に関する。
図16は、一般形態例(1)におけるホテル構成及び熱交換機系統構成を模式的に示した図である。この例の熱交換機系統は、以下の2つの系統群に区分される。
・A群(5系統):1系統当たりの受持ち部屋数10室
1系統当たりのエネルギー使用量2kW/h
・B群(4系統):1系統当たりの受持ち部屋数14室
1系統当たりのエネルギー使用量2kW/h
【0095】
一般形態例(1)では、全ての系統のエネルギー使用量が同じであるから、前述した基本形態のように受持ち部屋数の多い系統から稼動させていく系統稼動順に沿った部屋割当を行うことが、省エネルギーの観点からは最も有利である。しかしながら、最も有利な系統稼動順が常に採用できるとは限らない。例えば、指定室が有る場合などである。そこで、一般形態を適用する。
【0096】
図17(a)は、一般形態例(1)において、
図12の系統稼動特性テーブル120の1つを示したものである。(b)は(a)をグラフ化したものである。
この系統稼動順B*、B*、B*、B*、A*、A*、A*、A*、A*は、第1の例で最も有利な系統稼動順である。すなわち、いずれの使用室数においても、他の系統稼動順に比べて同等か又は有利(エネルギー使用量累積値が小さい)となる。
使用室数とエネルギー使用量累積値の関係を、2例挙げると次のようになる。
・使用室数25室(使用室率24%)の場合:エネルギー使用量累積値4kW/h
・使用室数80室(使用室率75%)の場合:エネルギー使用量累積値14kW/h
【0097】
図18(a)は、一般形態例(1)において、
図12の系統稼動特性テーブル120の別の1つを示したものである。(b)は(a)をグラフ化したものである。
使用室数とエネルギー使用量累積値の関係を、2例挙げると次のようになる。
・使用室数25室(使用室率24%)の場合:エネルギー使用量累積値6kW/h
・使用室数80室(使用室率75%)の場合:エネルギー使用量累積値14kW/h
【0098】
図19(a)は、一般形態例(1)において、
図12の系統稼動特性テーブル120のさらに別の1つを示したものである。(b)は(a)をグラフ化したものである。
使用室数とエネルギー使用量累積値の関係を、2例挙げると次のようになる。
・使用室数25室(使用室率24%)の場合:エネルギー使用量累積値4kW/h
・使用室数80室(使用室率75%)の場合:エネルギー使用量累積値16kW/h
【0099】
図17〜
図19の各系統稼動順のエネルギー使用量累積値を比較すると、
図17の系統稼動順は、いずれの場合も他の系統稼動順よりエネルギー使用量累積値が同じか又は小さくなる。しかし、種々の事情で
図17の系統稼動順を採用できない場合、他の系統稼動順の中からエネルギー使用量累積値の最も小さいものを見出すために比較する。例えば、
図18と
図19のいずれの系統稼動順が省エネルギーであるかを比較してみる。そうすると、使用室数25室の場合は、
図19の系統稼動順の方がエネルギー使用量累積値が小さいが、使用室数80室の場合は、
図18の系統稼動順の方がエネルギー使用量累積値が小さくなる。このように、使用室数によって有利な系統稼動順が入れ替わる場合があることが理解できる。
【0100】
(2−6)一般形態例(2)
図20〜
図23は、
図8の部屋割当支援装置5を適用した一般形態例(2)に関する。
図20は、一般形態例(2)におけるホテル構成及び熱交換機系統構成を模式的に示した図である。この例の熱交換機系統は、以下の2つの系統群に区分される。
・C群(5系統):1系統当たりの受持ち部屋数10室
1系統当たりのエネルギー使用量2kW/h
・D群(4系統):1系統当たりの受持ち部屋数10室
1系統当たりのエネルギー使用量4kW/h
【0101】
一般形態例(2)では、全ての系統の受持ち部屋数が同じであるから、前述した基本形態のようにエネルギー使用量の小さい系統から稼動させていく系統稼動順に沿った部屋割当を行うことが、省エネルギーの観点からは最も有利である。しかしながら、最も有利な系統稼動順が常に採用できるとは限らない。例えば、指定室が有る場合などである。そこで、一般形態を適用する。
【0102】
図21(a)は、一般形態例(2)において、
図12の系統稼動特性テーブル120の1つを示したものである。(b)は(a)をグラフ化したものである。
この系統稼動順C*、C*、C*、C*、C*、D*、D*、D*、D*は、第2の例で最も有利な系統稼動順である。すなわち、いずれの使用室数においても、他の系統稼動順に比べて同等か又は有利(エネルギー使用量累積値が小さい)となる。
使用室数とエネルギー使用量累積値の関係を、2例挙げると次のようになる。
・使用室数25室(使用室率28%)の場合:エネルギー使用量累積値6kW/h
・使用室数68室(使用室率76%)の場合:エネルギー使用量累積値18kW/h
【0103】
図22(a)は、一般形態例(2)において、
図12の系統稼動特性テーブル120の別の1つを示したものである。(b)は(a)をグラフ化したものである。
使用室数とエネルギー使用量累積値の関係を、2例挙げると次のようになる。
・使用室数25室(使用室率28%)の場合:エネルギー使用量累積値8kW/h
・使用室数68室(使用室率76%)の場合:エネルギー使用量累積値22kW/h
【0104】
図23(a)は、第2の例において、
図12の系統稼動特性テーブル120のさらに別の1つを示したものである。(b)は(a)をグラフ化したものである。
使用室数とエネルギー使用量累積値の関係を、2例挙げると次のようになる。
・使用室数25室(使用室率28%)の場合:エネルギー使用量累積値10kW/h
・使用室数68室(使用室率76%)の場合:エネルギー使用量累積値18kW/h
【0105】
図21〜
図23の各系統稼動順のエネルギー使用量累積値を比較すると、
図21の系統稼動順は、いずれの場合も他の系統稼動順よりエネルギー使用量累積値が同じか又は小さくなる。しかし、種々の事情で
図21の系統稼動順を採用できない場合、他の系統稼動順の中からエネルギー使用量累積値の最も小さいものを見出すために比較する。例えば、
図22と
図23のいずれの系統稼動順が省エネルギーであるかを比較してみる。そうすると、使用室数25室の場合は、
図22の系統稼動順の方がエネルギー使用量累積値が小さいが、使用室数68室の場合は、
図23の系統稼動順の方がエネルギー使用量累積値が小さくなる。このように、使用室数によって有利な系統稼動順が入れ替わる場合がある。
【0106】
以上述べた通り、本発明の一般形態を適用することにより、使用室数(すなわり予約室数)に応じて最も省エネルギーとなる系統稼動順を見出すことが可能である。この見出された系統稼動順に従って部屋割当を行うことにより、省エネルギーを実現することができる。