(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930339
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】通常時低出力ソレノイド弁アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20160526BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20160526BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
F16K31/06 305A
F16K31/06 305K
F16K31/06 305G
F16K51/00 A
H01F7/16 C
H01F7/16 R
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-209812(P2014-209812)
(22)【出願日】2014年10月14日
(65)【公開番号】特開2015-110996(P2015-110996A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2014年10月14日
(31)【優先権主張番号】61/891,007
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/489,675
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マリー−ノエル グリ
(72)【発明者】
【氏名】アン ユイグ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ステイレルツ
(72)【発明者】
【氏名】マルク ティマーマンス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン ファン デ プラス
(72)【発明者】
【氏名】クーン フェルモーレン
(72)【発明者】
【氏名】エディ ヴィルヘンホーフ
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第10047399(DE,A1)
【文献】
特表2013−519853(JP,A)
【文献】
米国特許第4165762(US,A)
【文献】
実開平2−24177(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
F16K 51/00
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ソレノイド弁アセンブリを備え、該ソレノイド弁アセンブリは、
ソレノイド部分と、
該ソレノイド部分によって制御される弁部分と、
前記ソレノイド部分と前記弁部分とを包囲するスリーブと、
前記ソレノイド部分と前記弁部分との間において前記スリーブ内に配置された分離プレートと、を有しており、
前記ソレノイド部分は、前記弁部分を開放位置と閉鎖位置との間で変化させ、
前記弁部分はさらに、
弁と、
弁座と、を有しており、前記弁は前記弁座と選択的に接触し、
前記弁が閉鎖位置と開放位置との間で変化させられるときに前記弁は前記ソレノイド部分によって前記弁座に対して移動させられ、
前記ソレノイド部分はさらに、
可動子と、
該可動子に結合されたプランジャであって、該プランジャも前記弁と接触している、プランジャと、を有しており、
前記弁部分はさらに、
前記スリーブの一部として形成された供給ポートと、
前記スリーブの一部として形成された制御ポートであって、該制御ポートは前記供給ポートと選択的に流体接続する、制御ポートと、
前記スリーブの一部として形成された排出ポートであって、該排出ポートは前記制御ポートと選択的に流体接続する、排出ポートと、を有しており、
前記供給ポートにおける流体は前記弁に圧力を提供し、前記供給ポートと前記制御ポートとの間の流体圧力を平衡させるように、前記弁は前記可動子および前記プランジャによって前記弁座に対して移動させられ、前記弁が前記開放位置から前記閉鎖位置へ移動させられると、前記制御ポートにおける過剰な流体圧力が前記排出ポートへ逃がされることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ソレノイド部分はさらに、
磁心と、
該磁心と前記可動子との間に配置された戻しばねであって、該戻しばねは、前記磁心を前記可動子から離れるように、かつ前記弁を前記閉鎖位置に向かって付勢する、戻しばねと、
前記スリーブを少なくとも部分的に包囲するコイルと、を有しており、
前記コイルに電流が提供されると、前記可動子の移動は、前記戻しばねから可動子に加えられる力を克服し、これにより、前記可動子は前記磁心に向かって移動し、前記弁を前記閉鎖位置から前記開放位置へ変化させる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記スリーブはさらに、
小径部分であって、前記弁部分は前記小径部分によって包囲されている、小径部分と、
大径部分であって、前記ソレノイド部分は前記大径部分によって包囲されている、大径部分と、を有しており、
前記供給ポート、前記制御ポートおよび前記排出ポートは、前記スリーブの前記小径部分の一部として形成されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記分離プレートは、前記ソレノイド部分と前記排出ポートとの間において前記スリーブの前記大径部分に配置されている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記弁座はさらに、
第1の挿入体と、
該第1の挿入体の一部として形成された排出座部と、
第2の挿入体と、
該第2の挿入体の一部として形成された供給座部と、を有しており、
前記弁が閉鎖位置にあるときに前記弁が前記供給座部と接触し、かつ前記弁が開放位置へ移動するときに前記弁は前記供給座部から離れて前記排出座部に向かって移動するように、前記弁は前記第1の挿入体と前記第2の挿入体との間に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
ソレノイドアセンブリであって、
ソレノイド部分と、
該ソレノイド部分によって制御される弁部分と、
スリーブであって、該スリーブによって前記弁部分は包囲されている、スリーブと、
前記弁部分と流体接続した複数のポートであって、該複数のポートは前記スリーブの一部として一体に形成されている、複数のポートと、
前記ソレノイド部分の一部である可動子であって、該可動子は前記スリーブによって包囲されている、可動子と、
前記弁部分の一部である弁であって、該弁の移動は前記ソレノイド部分によって制御される、弁と、
前記可動子に結合され、前記弁と接触したプランジャと、
前記弁部分の一部である弁座であって、前記弁は前記弁座と選択的に接触する、弁座と、
前記スリーブによって包囲された分離プレートであって、該分離プレートは前記ソレノイド部分と前記弁部分との間に配置されている、分離プレートと、を備え、
前記弁座に対する前記弁の移動を制御し、前記複数のポートのそれぞれにおける流体圧力を制御するように、前記ソレノイド部分は前記可動子および前記プランジャを移動させ、
前記複数のポートはさらに、
前記スリーブの一部として形成された供給ポートであって、該供給ポートは前記弁と流体接続している、供給ポートと、
前記スリーブの一部として形成された制御ポートであって、該制御ポートは前記弁と流体接続している、制御ポートと、
前記スリーブの一部として形成された排出ポートであって、該排出ポートは前記弁と流体接続している、排出ポートと、を有しており、
前記供給ポートにおける流体は前記弁に圧力を提供し、前記供給ポートと前記制御ポートとの間の流体圧力を平衡させるように、前記弁は、前記可動子と前記プランジャとによって前記弁座に対して移動させられ、前記弁が開放位置から閉鎖位置へ移動させられると、前記スリーブにおける過剰な流体圧力が前記排出ポートへ逃がされることを特徴とする、ソレノイドアセンブリ。
【請求項7】
前記ソレノイド部分はさらに、
磁心と、
該磁心と前記可動子との間に配置された戻しばねと、
前記可動子を包囲したコイルと、を有しており、
前記戻しばねは前記可動子を前記磁心から離れるように付勢し、これにより、前記弁は閉鎖位置に向かって付勢されており、前記コイルが通電されると、前記可動子と前記磁心との間の磁力が前記戻しばねからの力を克服し、前記可動子および前記プランジャを前記磁心に向かって移動させ、前記弁を前記弁座に対して移動させ、前記弁を開放位置に配置する、請求項6記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項8】
前記スリーブはさらに、
小径部分と、
該小径部分と一体に形成された大径部分と、を有しており、
前記ソレノイド部分は前記大径部分に配置されており、前記弁部分は前記小径部分に配置されている、請求項6又は7記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項9】
前記供給ポート、前記制御ポートおよび前記排気ポートのそれぞれは、前記スリーブの前記小径部分の一部として形成されている、請求項8記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項10】
前記分離プレートは、前記排出ポートと前記可動子との間において前記スリーブの前記大径部分に配置されている、請求項8又は9記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項11】
前記弁座はさらに、
前記弁の近傍において前記スリーブに配置された第1の挿入体であって、該第1の挿入体は前記弁部分の一部である、第1の挿入体と、
該第1の挿入体の一部として形成された排出座部と、
前記弁の近傍において前記スリーブに配置された第2の挿入体であって、該第2の挿入体は前記弁部分の一部である、第2の挿入体と、
該第2の挿入体の一部として形成された供給座部と、を有しており、
前記弁が閉鎖位置にあるときに前記弁は前記供給座部と接触しており、前記弁が開放位置へ移動させられるときに前記弁は前記供給座部から離れて前記排出座部に向かって移動する、請求項6から10までのいずれか1項記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項12】
トランスミッション用のソレノイドアセンブリであって、
ソレノイド部分と、
弁部分であって、該弁部分の移動は前記ソレノイド部分によって制御される、弁部分と、
該弁部分の一部である弁と、
前記ソレノイド部分の一部である磁心と、
前記ソレノイド部分の一部である可動子であって、前記磁心に向かっておよび前記磁心から離れるように可動な可動子と、
前記磁心と前記可動子との間に配置された戻しばねであって、該戻しばねは前記可動子を前記磁心から離れるように付勢し、これにより、前記戻しばねは前記弁を閉鎖位置に向かって付勢している、戻しばねと、
前記可動子に結合された、前記弁と接触したプランジャと、
前記可動子および前記弁部分を包囲するスリーブであって、前記弁部分は前記スリーブ内に収容されている、スリーブと、
該スリーブの一部として形成された供給ポートであって、該供給ポートは流体を受け取り、前記供給ポートは前記弁部分と流体接続されている、供給ポートと、
前記弁部分の一部であり、前記スリーブによって包囲されている弁座であって、前記弁は前記弁座と選択的に接触する、弁座と、
前記スリーブの一部として形成された制御ポートであって、該制御ポートは前記弁部分と流体接続している、制御ポートと、
前記スリーブの一部として形成された排出ポートであって、該排出ポートは前記弁部分と流体接続している、排出ポートと、
前記スリーブを少なくとも部分的に包囲したコイルであって、該コイルは前記ソレノイド部分の一部である、コイルと、
前記スリーブ内に配置された分離プレートであって、該分離プレートは前記弁部分を前記ソレノイド部分から分離しており、前記プランジャは前記分離プレートを貫いて延びている、分離プレートと、を備え、
前記コイルが通電されると前記可動子および前記プランジャは前記磁心に向かって移動し、流体を前記供給ポートに流入させて、前記弁を前記弁座に対して移動させ、これにより、前記流体の少なくとも一部は前記制御ポートを流過し、前記コイルの通電が停止されると、前記弁は前記弁座に対して移動し、前記流体の少なくとも一部は前記排出ポートを流過することを特徴とする、トランスミッション用のソレノイドアセンブリ。
【請求項13】
前記スリーブは、さらに、
小径部分と、
該小径部分と一体に形成された大径部分と、を有しており、
前記可動子は前記大径部分によって包囲されており、前記弁部分は前記小径部分によって包囲されている、請求項12記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項14】
前記供給ポート、前記制御ポートおよび前記排出ポートは全て、前記スリーブの前記小径部分の一部として一体に形成されている、請求項13記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項15】
前記分離プレートは、前記スリーブの前記大径部分に配置されている、請求項13又は14記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項16】
前記弁部分はさらに、
前記スリーブの前記小径部分に配置された第1の挿入体と、
該第1の挿入体の一部として形成された排出座部と、
前記スリーブの前記小径部分に配置された第2の挿入体と、
該第2の挿入体の一部として形成された供給座部と、を有しており、
前記弁が前記閉鎖位置にあるときには前記弁は前記供給座部と接触しており、前記弁が開放位置へ移動させられると前記弁は前記供給座部から離れて前記排出座部に向かって移動する、請求項13から15までのいずれか1項記載のソレノイドアセンブリ。
【請求項17】
前記分離プレートは前記排出ポートと前記可動子との間において前記スリーブ内に配置されている、請求項12から16までのいずれか1項記載のソレノイドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、2013年10月15日に出願された米国仮出願第61/891007号明細書の利益を請求する。上の出願の開示は引用により本明細書に編入される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、安定した力平衡と、磁力および液圧力による圧力制御とを可能にするソレノイドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ソレノイドは一般的に公知であり、様々なタイプの液圧システムにおいて流体圧力を制御するために、幾つかのソレノイドが使用されている。幾つかのトランスミッションは、様々な構成部材の作動を制御し、トランスミッションにおける様々な位置における圧力を制御するために、開ループシステムを使用する。幾つかのタイプの極めて正確なソレノイドは、これらの開ループ用途に組み込まれている。しかしながら、多くの様々なタイプのソレノイドは、汚染と、作動中の不釣り合いな磁力および液圧力とに関する問題を有する。加えて、これらのソレノイドは高いレベルの精度を有するにもかかわらず、これらのソレノイド用の制御ユニットは製造時に個々に較正する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、前記欠点を克服し、制御装置の較正の必要性を排除するために、トランスミッションの閉ループフィードバック制御システムの一部として使用されてよいソレノイドアセンブリの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、トランスミッション用の通常時低出力ソレノイドアセンブリであり、通常時低出力ソレノイドアセンブリは、作動されていないときには低いまたはゼロの出力を有する。本発明の通常時低出力ソレノイドアセンブリは、トランスミッションにおける流体圧力分配に対する制御を提供するために使用され、ソレノイドアセンブリは、ソレノイド部分と、弁部分とを有し、弁部分の移動はソレノイド部分によって制御される。弁部分の一部である弁と、ソレノイド部分の一部である磁心および可動子とが設けられており、可動子は、磁心に向かっておよび磁心から離れるように移動するようになっている。
【0006】
プランジャは、可動子に結合されており、弁と接触している。スリーブは可動子および弁部分を包囲しており、弁部分は実質的にスリーブ内に収容されている。弁座は、弁部分の一部でありかつスリーブによって包囲されており、弁は選択的に弁座と接触する。供給ポート、制御ポートおよび排出ポートは、全ての3つのポートが弁部分と流体接続するようにスリーブの一部として形成されている。
【0007】
戻しばねが磁心と可動子との間に配置されており、戻しばねは可動子を磁心から離れる方向へ付勢しており、これにより、戻しばねは弁を閉鎖位置へ付勢する。コイルが少なくとも部分的にスリーブを包囲しており、コイルはソレノイド部分の一部である。コイルが通電されると可動子およびプランジャがコイルに向かって移動し、流体を供給ポートに流入させて、弁を弁座から離れる方向に移動させ、これにより、流体の少なくとも一部が制御ポートを通流する。コイルの通電が停止されると、弁は弁座に向かって移動し、流体の少なくとも一部は排出ポートを通流する。
【0008】
スリーブは、互いに一体に形成された小径部分と大径部分とを有している。可動子は実質的に大径部分によって包囲されており、弁部分は実質的に小径部分によって包囲されている。供給ポート、制御ポートおよび排出ポートは全て、スリーブの小径部分の一部として一体に形成されている。分離プレートはスリーブの大径部分内に配置されており、分離プレートは弁部分をソレノイド部分から分離しており、プランジャは分離プレートを貫いて延びている。
【0009】
弁座は、スリーブの小径部分に配置された第1の挿入体と、スリーブの小径部分に配置された第2の挿入体とを有する。1つの実施の形態における弁は球体であり、球体は第1の挿入体と第2の挿入体との間に配置されている。弁が閉鎖位置にあるときには球体は第2の挿入体と接触しており、弁が開放位置へ変化すると球体は第2の挿入体から離れて第1の挿入体に向かって移動する。
【0010】
ソレノイドアセンブリを形成するために様々なタイプの製造法が使用され得る。1つの実施の形態において、スリーブおよび分離プレートは深絞りされた部材であるが、その他のタイプの製造法が使用されることは本発明の範囲に含まれる。
【0011】
1つの実施の形態において、本発明のソレノイドアセンブリは、トランスミッション用の液圧システムにおける閉ループフィードバック制御システムにおいて使用される。
【0012】
本発明の別の適用可能な分野は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好適な実施の形態を示しているが、例示の目的で示されているだけであって、発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0013】
本発明は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態によるソレノイドアセンブリの側方から見た断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態によるソレノイドアセンブリの力平衡図である。
【
図3】本発明の実施の形態によるソレノイドアセンブリの、圧力対電流特性を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態によるソレノイドアセンブリの代替的な実施の形態の側方から見た断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態によるソレノイドアセンブリの代替的な実施の形態の一部である、ヨークに結合されたキャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好適な実施の形態の詳細な説明
好適な実施の形態の以下の説明は、本質的に単に例示的であり、本発明、その適用、または使用を制限しようとするものではない。
【0016】
本発明によるソレノイドアセンブリは、
図1に概して符号10で示されている。ソレノイドアセンブリ10は、概して符号12で示されたソレノイド部分と、概して符号14で示された弁部分とを有する。ソレノイド部分12は、プレート18に結合された磁心16を有する。プレート18は、プレスばめ結合によってヨークリング20に結合されているが、その他の結合形式が使用されることも本発明に範囲に含まれる。
【0017】
ヨークリング20はコイル22の外面を部分的に包囲しており、コイル22は少なくとも部分的にボビン24を包囲している。スリーブ26はボビン24によって包囲されており、スリーブ26は、少なくとも部分的に磁心16を包囲しており、また、ハウジング30の一部として形成された外壁28を少なくとも部分的に包囲している。スリーブ26は、レーザ溶接プロセスによって磁心16および外壁28に結合されている。ハウジング30は、内壁32、および外壁28と内壁32との間に配置された、概して符号34で示された凹所をも有している。可動子36は部分的に凹所34に配置されており、可動子36は、磁心16およびハウジング30に対して移動することができる。
【0018】
可動子36は、磁心16の一部として形成された、概して符号40で示された段状部分に対応するように成形された、概して符号38で示された段状部分をも有する。
【0019】
磁心16と可動子36との間にばね42が配置されている。より具体的には、ばね42は、磁心16の一部として形成された、概して符号44で示された凹所に部分的に配置されており、ばね42は、可動子36の一部として形成された、概して符号46で示された別の凹所にも部分的に配置されている。ばね42は、可動子36を磁心16から離れるように付勢しており、その機能については後で説明する。1つの実施の形態において、ばね42は高温プリセットばね42であり、これは、ばね42の使用寿命にわたって一定のばね予荷重を保証するのを助け、ソレノイドアセンブリ10において磁力と液圧力との安定した力平衡を有する。
【0020】
可動子36は開口48をも有しており、プランジャ50は開口48にプレスばめされている。しかしながら、プランジャ50がその他の方法で開口48において所定位置に保持されることは本発明の範囲に含まれる。プランジャ50は、ハウジング30の内壁32の一部として形成された別の開口52を貫いて延びており、プランジャ50は、内壁32によって少なくとも部分的に包囲されている。プランジャ50および可動子36はハウジング30に対しても可動であり、プランジャ50の一部は、内壁32の一部として形成された開口52内を摺動し、内壁32は、プランジャ50の移動に対するガイドとしても機能し、可動子36が望ましくない形式でスリーブ26に対して移動することを防止する。
【0021】
ハウジング30は、中間ポート56と流体接続した排出ポート54をも有しており、中間ポート56は制御ポート58と流体接続しており、制御ポート58は供給ポート60と流体接続している。中間ポート56には第1の挿入体62が配置されており、第1の挿入体62は排出座部64を有する。供給ポート60には第2の挿入体66が配置されており、第2の挿入体66は供給座部68を有する。第1の挿入体62は中間ポート56にプレスばめされており、第2の挿入体66は供給ポート60にプレスばめされている。プランジャ50は、中間ポート56を貫いて部分的に制御ポート58内へ延びた減径部70をも有する。減径部70は弁に接触しており、弁はこの実施の形態では球体72であるが、その他のタイプの弁が使用されることは本発明の範囲に含まれる。減径部70および球体72は弁部分14の一部である。
【0022】
作動時、加圧された流体は供給ポート60に流入し、制御ポート58へ進入することが防止されている。なぜならば、コイル22に電流が提供されていないときには、ばね42が弁部分14を閉鎖位置へ付勢しているからである(
図1に示したように、弁部分14が閉鎖位置にあるときには、球体72は供給座部68と接触している)。電流がコイル22に提供されると、磁力が発生され、可動子36に加えられているばね42の力を克服し、これにより、可動子36が磁心16に向かって移動し、したがって、プランジャ50も球体72から離れるように移動させられ、球体72が供給座部68から持ち上がり、流体が供給ポート60から制御ポート58へ通過する。
【0023】
図1に示したように球体72が閉鎖位置にあるとき、可動子36と磁心16との間には空隙が存在しており、可動子36および磁心16の段状部分38,40は、段状部分38,40を有さない可動子および磁心と比較して、可動子36と磁心16との間により大きな空隙を形成する。この増大した空隙は、コイル22が通電されたときに可動子36と磁心16との間に増大した力出力を許容し、可動子36を磁心16とハウジング30との間の中間位置に配置するためにコイル22が通電されたときに、可動子36の移動に対するより良い制御を提供する。
【0024】
十分な電流がコイル22に提供されると、可動子36およびプランジャ50は磁心16へ十分に近づき、球体72を排出座部64に接触させ、これにより、供給ポート60からの全ての流体が制御ポート58へ流入する。しかしながら、ソレノイドアセンブリ10がある用途において使用される場合、電流がコイル22に提供され、可動子36を移動させ、球体72を供給座部68から離れるように移動させ、供給ポート60と制御ポート58との間の圧力平衡を提供する。加えて、供給ポート60と制御ポート58との間を通過する流体を制御し、ひいては供給ポート60および制御ポート58における流体圧力を制御するために、コイル22に提供される電流が変化させられてよい。
【0025】
電流がもはやコイル22に提供されなくなると、可動子36と磁心16との間には磁気的な引付けはもはや生じないので、ばね42はプランジャ50および可動子36を磁心16から離れるように移動させ、これにより、球体72を供給座部68に向かって移動させ、弁部分14を閉鎖位置に配置する。これが生じるときに、制御ポート58における流体は、中間ポート56および排出ポート54を流過する。可動子36、プランジャ50、ひいては球体72の位置を変化させ、供給ポート60から制御ポート58および排出ポート54へ通過する流体の量を変化させるために、コイル22へ提供される電流の大きさが変化させられてよい。コイル22に提供される電流と、ばね42によって可動子36に提供される力と、可動子36の位置との力平衡関係を示すチャートが
図2に示されている。
図2にチャートの一部として示された電流は、複数の電流における電流対力を示す複数の曲線を含む。液圧力の曲線は符号96で示されており、ばね力の曲線は符号98で示されており、液圧力96とばね力98との合計の曲線は符号100で示されている。
【0026】
制御ポート58における圧力対コイル22に提供される電流を示すチャートが、
図3に示されている。本発明のソレノイドアセンブリ10は、出力の状態に関連して、“通常時低出力”ソレノイドアセンブリと呼ばれる。電流がコイル22に提供されていないとき(ソレノイドアセンブリ10が非作動であるとき)、球体72は供給座部68と接触しており、制御ポート58における圧力は極めて低いまたは実質的にゼロである。ポート54,58,60における圧力は、1つまたは複数の圧力センサを使用して検出されてよい。電流がコイル22に提供され、次いで増大されると、球体72は供給座部68から離れ、排出座部64へ近づくように移動し、制御ポート58における圧力を増大させる。コイル22に提供される電流の増大と、制御ポート58における圧力の増大とのこの関係は、
図3に示されている。球体72が排出座部64と接触すると、供給ポート60における圧力と、制御ポート58における圧力とは、実質的に等しくなる。1つの実施の形態では、ソレノイドアセンブリ10は、トランスミッションにおける閉ループフィードバック制御システムの一部として使用される。
【0027】
ソレノイドアセンブリ10は、可動子36の周囲の領域にごみが流入することを防止するための複数の特徴をも有する。プランジャ50は複数のリブ74を有しており、これらのリブ74は、流体の流れのための蛇行した経路を形成しており、これにより、ごみがプランジャ50を通過して可動子36の周囲へ流れることを制限または防止している。リブ74は、プランジャ50と開口52との間の摩擦も減じ、リブ74における流体は潤滑も提供して摩耗を減じる。1つの実施の形態では、可動子36は、可動子36と外壁28との間の摩擦を減じるためにテフロン被膜によって被覆されてもいる。
【0028】
出口開口76はスリーブ26の一部として形成されており、可動子36の周りの流体は、出口開口76から、スリーブ26の周りを通って、ハウジング30の一部として形成された1つまたは複数の溝78から流出することができる。出口開口76および溝78は、可動子36の周囲の圧力平衡を提供し、これにより、可動子36の周りの領域に流入するあらゆる流体は、可動子36の移動に対してほとんどまたは全く影響を及ぼさない。加えて、出口開口76および溝78を通る流路は、アセンブリ10の外部から可動子36と磁心16との間の空隙に汚れが入り込むのを防止するように蛇行した経路を形成している。
【0029】
球体72と供給座部68との最適な接触、および球体72と排出座部64との接触を促進するために、供給座部68および排出座部64は、流れ条件下で力を平衡させるために、テーパしたエッジもしくは鋭いエッジ68Aおよび64Aを有している。座部64,68は、様々な温度範囲にわたって安定した機能をも保証し、アセンブリの寿命にわたって漏れを制御する。エッジ64A,68Aの形状は、球体72の位置決めの間、一定の供給圧力での液圧力変化を最小限に減じ、アセンブリ10の寿命にわたって、安定したシーリング直径、および球体72に対する液圧力を保証する。
【0030】
本発明の別の実施の形態が
図4および
図5に示されており、同じ符号は同じ要素を示している。しかしながら、この実施の形態では、ハウジング30は使用されておらず、スリーブ26が弁部分14を収容するようにスリーブ26がより大きくなっている。1つの実施の形態では、スリーブ26は深絞りされた部材であり、弁部分14の全ての部分を収容している。
図3に示されたスリーブ26は、可動子36と磁心16との間の磁力を最適化するために磁気伝導性である。1つの実施の形態では、
図3に示された可動子36は、可動子36とスリーブ26との間の摩擦を減じ、磁気偏心力を減じるために、テフロン被膜を有している。この実施の形態におけるスリーブ26は、2つの部分、すなわち大径部分26Aおよび小径部分26Bを有している。可動子36は大径部分26Aに配置されており、弁部分14は小径部分26Bに配置されている。より具体的には、両挿入体62,66および球体72は、スリーブ26の小径部分26Bに配置されている。この実施の形態における球体72は、
図1に示された球体72よりも大きな直径を有しており、これは、弁部分14における液圧力変化を減じる。
【0031】
加えて、排出ポート54は、大径部分26Aの一部として形成されており、制御ポート58は小径部分26Bの一部として形成されており、供給ポート60は小径部分26Bの一部として形成されている。
図4に示された供給ポート60は、第2の挿入体66から離れる方向に外方へ延びており、小径部分26Bの直径よりも小さな直径を有する。
【0032】
また、この実施の形態では、スリーブ26内に配置された分離プレート80が設けられており、分離プレート80は開口82を有しており、この開口82をプランジャ50が貫いて延びている。分離プレート80は、スリーブ26の大径部分26Aにおいて、可動子36と排出ポート54との間に配置されている。分離プレート80は、弁部分14をソレノイド部分12から分離しており、ソレノイド部分12が弁部分14における流体に曝されるのを防止している。1つの実施の形態では、分離プレート80は深絞りされた部材であるが、分離プレート80を形成するためのその他の方法が使用されることは本発明の範囲に含まれる。
【0033】
図4に示されたヨークリング20は、
図1に示されたヨークリング20よりも大きく、概して符号86で示された複数の保持手段を有する。保持手段86はヨークリング20と一体に形成されており、この実施の形態におけるヨークリング20は単一の部品として、深絞りされた部材として形成されているが、ヨークリング20を形成するためにその他の方法が使用されることは本発明の範囲に含まれる。スリーブ26は、第1の溶接結合部90の使用によりヨークリング20に結合されており、スリーブ26は、第2の溶接結合部92の使用により磁心16にも結合されている。
【0034】
図4に示された実施の形態は、概して符号88で示されたキャップも有しており、キャップ88は、ヨークリング20の一部に結合されており、ヨークリング20の一部によって包囲されている。キャップ88は、
図5に概して符号94で示されたスナップばめ結合部によりヨークリング20に結合されている。スナップばめ結合部94は、キャップ88をヨークリング20に対して適切に位置決めするためにも機能し、これにより、キャップ88におけるあらゆるデータマーキングも正しく位置決めされる。さらに、キャップ88は、流体に曝され、流体によって汚染されないように電気端子102も保護する。
【0035】
本発明の説明は本質的に単に例示的であり、ひいては、本発明の要旨から逸脱しない変更は、本発明の範囲に含まれるものとする。このような変更は、本発明の思想および範囲からの逸脱であると見なされるものではない。
【符号の説明】
【0036】
10 ソレノイドアセンブリ、 12 ソレノイド部分、 14 弁部分、 16 磁心、 18 プレート、 20 ヨークリング、 22 コイル、 24 ボビン、 26 スリーブ、 26A 大径部分、 26B 小径部分、 28 外壁、 30 ハウジング、 32 内壁、 36 可動子、 38,40 段状部分、 42 ばね、 44,46 凹所、 48 開口、 50 プランジャ、 52 開口、 54 排出ポート、 56 中間ポート、 58 制御ポート、 60 供給ポート、 62 第1の挿入体、 64 排出座部、 64A エッジ、 66 第2の挿入体、 68 供給座部、 68A エッジ、 70 減径部、 72 球体、 74 リブ、 76 出口開口、 80 分離プレート、 86 保持手段、 88 キャップ、 90,92 溶接結合部、 94 スナップばめ結合部、 102 電気端子