(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、かかる問題に鑑みてなされたもので、適切な電流容量を得ることができ、且つ、外部端子に適切に配置することができるバスバーを備えた蓄電装置及びそのバスバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る蓄電装置は、
外部端子を有する蓄電素子と、
本体部及び接続部を有し、該接続部にて前記外部端子に接続されるバスバーとを備え、
前記バスバーは、板状であり、
前記接続部は、該接続部における他の部位より薄い薄肉部を有し、
前記接続部
の断面積は、前記本体部
の断面積より
も小さ
く、
前記薄肉部は、前記接続部の外縁の全域において該外縁に沿った位置に配置されると共に、前記外部端子と溶接されている。
【0008】
かかる構成によれば、バスバーにおいて、接続部の断面積が本体部の断面積よりも小さい。そのため、接続部を外部端子に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部の断面積までが小さくはならないので、バスバー全体として、適切な電流容量を得ることができる。
また、かかる構成によれば、接続部に薄肉部を設けた上で、薄肉部と外部端子とが溶接されている。そのため、薄肉部を設けない場合と比べて、溶接のために必要な出力エネルギを低減することができる。従って、接続部の幅が本体部の幅よりも狭いことと合わせると、溶接のために必要な出力エネルギをさらに低減することができる。そのため、バスバーや外部端子あるいはその周辺に熱損傷を与えるのをさらに好適に防止することができる。
また、かかる構成によれば、薄肉部が接続部の外縁に沿って形成されている。そのため、薄肉部の任意の箇所をスポット的に溶接したり、あるいは、溶接強度をより高めるべく、薄肉部をその長手方向に沿って連続的に溶接するといった種々の溶接態様を自由に選択することができる。
【0009】
ここで、本発明に係る電池モジュールの一態様として、
接続部は、本体部よりも幅が狭い、
ようにすることができる。
【0010】
かかる構成によれば、バスバーが板状であり、バスバーにおいて、接続部の幅が本体部の幅よりも狭く、これにより、バスバーにおいて、接続部の断面積が本体部の断面積よりも小さい。そのため、接続部を外部端子に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部の幅までが狭くはならないので、バスバー全体として、適切な電流容量を得ることができる。
また、かかる構成によれば、バスバーにおいて、接続部の幅が本体部の幅よりも狭い上で、接続部と外部端子とが溶接されている。そのため、接続部の幅が本体部の幅よりも狭くはない場合と比べて、溶接範囲を少なくすることができる。そして、溶接範囲を少なくすることができるということは、溶接のために必要な出力エネルギを低減することができるということである。そのため、バスバーや外部端子あるいはその周辺に熱損傷を与えるのを好適に防止することができる。
【0011】
前記蓄電装置において、
前記接続部の前記薄肉部を除いた部位における各位置の厚さは、同じである。
【0012】
前記接続部の前記外部端子を向いた面は、平面であってもよい。
【0017】
またこれらの場合、
接続部の端部は、半円弧形状である、
ようにすることができる。
【0018】
かかる構成によれば、接続部の端部が半円弧形状であるため、接続部の外縁に角部はない。接続部の外縁の少なくとも一部領域と外部端子とを接続部の外縁に沿って溶接する場合、角部があれば、そこで溶接速度が落ち、溶接部の均質性が損なわれてしまう。しかしながら、角部がないと、溶接を一定速度で連続して行うことができるので、均質な一定長さの溶接部を形成することができる。
【0019】
また、本発明に係る蓄電装置の他態様として、
蓄電素子を少なくとも二つ備え、
接続部は、本体部の両端に一対設けられ、二つの蓄電素子の外部端子同士を接続している、
ようにすることができる。
【0020】
かかる構成によれば、バスバーにおいて、一方の接続部が一方の蓄電素子の外部端子に接続され、他方の接続部が他方の蓄電素子の外部端子に接続されることで、バスバーは、二つの蓄電素子の外部端子同士を接続している。これにより、二つの蓄電素子は、電気的に一つの蓄電素子を構成する。
【0021】
また、本発明に係る蓄電装置の別の態様として、
蓄電素子は、ケースを備え、該ケースにおける外部端子が配置される一面が長方形状である偏平な角型であり、該一面が長手方向に並ぶようにして少なくとも二つの蓄電素子が配置され、
本体部は、一面の幅に合わせて形成され、
接続部は、一面よりも幅が狭い外部端子の当該幅に合わせて形成されている、
ようにすることができる。
【0022】
かかる構成によれば、外部端子が配置される一面が長手方向に並ぶようにして少なくとも二つの蓄電素子が配置され、バスバーが二つの蓄電素子の外部端子同士を接続する上で、本体部は、一面の幅に合わせて形成され、接続部は、一面よりも幅が狭い外部端子の当該幅に合わせて形成されている。そのため、接続部を外部端子に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部の幅までが狭くはならないので、バスバー全体として、適切な電流容量を得ることができる。
【0023】
また、本発明に係る電池モジュールのさらに別の態様として、
蓄電素子は、ケースを備え、該ケースにおける外部端子が配置される一面が長方形状である偏平な角型であり、該一面が長手方向及び短手方向に並ぶようにして複数の蓄電素子が行列状に整列配置され、
バスバーのうち、長手方向に並ぶ二つの蓄電素子の外部端子同士を接続するバスバーの本体部は、一面の幅に合わせて形成され、
当該バスバーの接続部は、一面よりも幅が狭い外部端子の当該幅に合わせて形成されている、
ようにすることができる。
【0024】
かかる構成によれば、外部端子が配置される一面が長手方向及び短手方向に並ぶようにして複数の蓄電素子が配置され、バスバーが長手方向に並ぶ二つの蓄電素子の外部端子同士を接続する上で、本体部は、一面の幅に合わせて形成され、接続部は、一面よりも幅が狭い外部端子の当該幅に合わせて形成されている。そのため、接続部を外部端子に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部の幅までが狭くはならないので、バスバー全体として、適切な電流容量を得ることができる。さらに、本体部の幅が一面の幅を超える、あるいは大きく超えることはない。そのため、短手方向で隣り合う蓄電素子に接続されるバスバーと干渉することを防止することができる。
【0025】
本発明に係るバスバーは、
外部端子を有する蓄電素子の該外部端子に接続される
板状のバスバーであって、
本体部と、前記外部端子に接続される接続部とを有し、
前記接続部
の幅は、前記本体部
の幅より
も狭く、
前記接続部は、該接続部における他の部位より薄い薄肉部を有し、
前記薄肉部は、前記接続部の外縁の全域において該外縁に沿った位置に配置される。
【0026】
あるいは、本発明に係るバスバーは、
それぞれ外部端子を有する二つの蓄電素子の該外部端子同士を接続する
板状のバスバーであって、
本体部と、該本体部の両端に設けられる一対の接続部であって、それぞれが前記外部端子に接続される一対の接続部とを有し、
各接続部
の幅は、前記本体部
の幅より
も狭く、
前記各接続部は、半円弧形状の端部を有すると共に、該接続部における他の部位より薄い薄肉部を有し、
前記各接続部の前記薄肉部は、前記接続部の外縁の全域において該外縁に沿った位置に配置される。
【発明の効果】
【0027】
以上の如く、本発明によれば、適切な電流容量を得ることができ、且つ、外部端子に適切に配置することができるバスバーを備えた蓄電装置及びそのバスバーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る蓄電装置の一実施形態である電池モジュールについて、図面を参酌しつつ説明する。本実施形態に係る電池モジュールは、
図1及び
図2に示すように、複数の電池セル(蓄電素子)1,…と、該複数の電池セル1,…を収容するハウジング7とを備えている。
【0030】
電池セル1は、
図3に示す如く、開口部を有するケース本体2aと、該ケース本体2aの開口部を塞いで密閉する蓋板2bとで構成されるケース2を備えている。ケース2内には、発電要素(図示せず)が収容されている。
【0031】
電池セル1は、外観直方体状の角形電池や、外観円柱状の丸形電池が採用され得る。本実施形態に係る電池セル1は、角形電池である。そのため、ケース本体2aは、幅方向に偏平な有底角筒状であり、蓋板2bは、該ケース本体2aの開口部に対応した長方形状の板材である。
【0032】
ケース2の外面、より詳しくは、蓋板2bの外面には、外部ガスケット3が配置されている。そして、外部ガスケット3の外面には、外部端子4が配置されている。本実施形態においては、外部ガスケット3が凹部を有しており、該凹部内に、外部端子4が配置されている。外部端子4は、アルミニウム又はアルミニウム合金のアルミニウム系金属材料で形成されている。ここで、蓋板2bには、貫通孔(図示しない)が形成され、外部ガスケット3にも、貫通孔(図示しない)が形成されている。外部ガスケット3は、その貫通孔が蓋板2bの貫通孔と一致するようにして蓋板2bの外面に配置されている。外部端子4は、それら貫通孔を貫通する軸部(図示しない)を有している。二つの貫通孔を介して外部ガスケット3及び蓋板2bを貫通した外部端子4の軸部は、発電要素に接続された集電体(図示しない)に接続されている。これにより、外部端子4は、発電要素に電気的に接続されている。
【0033】
外部ガスケット3及び外部端子4は、正極用と負極用とが設けられている。正極用の外部ガスケット3及び外部端子4は、蓋板2bの長手方向における一端部に配置されている。負極用の外部ガスケット3及び外部端子4は、蓋板2bの長手方向における他端部に配置されている。正極用の外部ガスケット3及び外部端子4と、負極用の外部ガスケット3及び外部端子4とは、蓋板2bの長手方向における中間位置を中心として左右均等な位置に配置されている。
【0034】
外部ガスケット3及び外部端子4は、平面視長方形状である。外部ガスケット3及び外部端子4は、蓋板2bの長手方向が長く、蓋板2bの短手方向(蓋板2bの幅方向)が短い長方形状である。尚、本実施形態において、「長方形状」とは、角部が90度でなく、丸められている形状並びに長方形状に近い形状(全体形状として長方形状を観念し得る形状)などを含む概念である。
【0035】
外部端子4の上部は、平坦面4aとなっている。外部端子4が平面視長方形状であるので、平坦面4aも長方形状である。言うまでもないが、外部端子4の平坦面4aは、蓋板2bの長手方向が長く、蓋板2bの短手方向(蓋板2bの幅方向)が短い長方形状である。外部端子4の平坦面4aは、蓋板2bの外面から離れた位置に位置している。外部端子4の平坦面4aは、外部ガスケット3から突出している。正極用の外部端子4の平坦面4aと、負極用の外部端子4の平坦面4aとは、蓋板2bの外面に対して同じ高さレベルにある。
【0036】
図1及び
図2に戻り、複数の電池セル1,…は、蓋板2bが長手方向及び短手方向に並ぶようにして行列状に整列配置されている。本実施形態においては、蓋板2bの長手方向を行とし、蓋板2bの短手方向を列とした場合、10個の電池セル1,…が2行5列で配置されている。また、隣り合う外部端子4,4を接続することで、全ての電池セル1,…が直列接続され、一つの電池が構成されるよう、隣り合う列の電池セル1は、極性が反対となるように配置されている。
【0037】
行方向(電池セル1あるいは蓋板2bの長手方向)に並ぶ電池セル1,1の外部端子4,4同士は、第一のバスバー10によって接続されている。列方向(電池セル1あるいは蓋板2bの短手方向)に並ぶ電池セル1,1の外部端子4,4同士は、第二のバスバー15によって接続されている。より詳しくは、行方向で隣り合う電池セル1,1において、一方の電池セル1の正極用の外部端子4と、他方の電池セル1の負極用の外部端子4とは、近接しており、これらの外部端子4,4が第一のバスバー10によって接続されている。また、列方向で隣り合う電池セル1,1において、一方の電池セル1の正極用の外部端子4と、他方の電池セル1の負極用の外部端子4とは、近接しており、これらの外部端子4,4が第二のバスバー15によって接続されている。
【0038】
尚、直列接続された電池セル1,…のうち、一端の外部端子4と、他端の外部端子4とには、それぞれ第三のバスバー20が接続されている。本実施形態においては、正極用の第三のバスバー20Aと、負極用の第三のバスバー20Bとが異なる形態となっている。これら第三のバスバー20は、別の電池モジュール、別の機器、あるいは負荷、あるいは電源に接続される外部接続用のバスバーとなっている。
【0039】
第一のバスバー10(以下、単に「バスバー10」ともいう)は、
図4に示す如く、本体部11と、該本体部11の両端に設けられる一対の接続部12,12とを有している。接続部12は、外部端子4の平坦面4aに載置され、外部端子4に接続される部分である。本体部11は、一対の接続部12,12を連結している。
【0040】
接続部12は、本体部11よりも幅が狭くなっている。より詳しくは、本体部11は、蓋板2bの幅、すなわち、電池セル1の幅に合わせて形成され、先端部12は、外部端子4の幅(蓋板2bの幅方向における外部端子4の外寸)に合わせて形成されている。尚、「合わせて」とは、本体部11の幅が電池セル1の幅の50〜150%の範囲内に収まっている態様をいい、また、先端部12の幅が外部端子4の幅の50〜100%の範囲内に収まっている態様をいう。
【0041】
本実施形態において、本体部11は、平面視長方形状である。接続部12は、先端側が半円弧状に丸められた平面視長方形状である。本体部11及び接続部12は、何れもアルミニウム又はアルミニウム合金のアルミニウム系金属材料の板材で形成されている。
【0042】
接続部12は、薄肉部13を有している。すなわち、接続部12は、薄肉部13と、当該接続部12における薄肉部13以外の部分であって、薄肉部13よりも厚みの厚い部分(厚肉部)とを有する。従って、薄肉部13は、接続部12における当該薄肉部13以外の部分(厚肉部)よりも厚みが薄くなっている。接続部12の薄肉部13以外の部分(厚肉部)は、本体部11と同じ厚みを有しており、薄肉部13の厚みは、接続部12の他の部分(厚肉部)の厚み及び本体部11の厚みよりも薄くなっている。薄肉部13は、接続部12の外縁に沿って形成されている。より詳しくは、薄肉部13は、第一のバスバー10の長手方向に沿った対向二辺と、該対向二辺に接続される一辺との連続する三辺に亘って帯状に形成されている。
【0043】
薄肉部13は、接続部12の外端面の下部領域から外方に突出するように形成されている。薄肉部13は、接続部12の上面(外部端子4との接合面(接続部12の下面)と反対側の面)の外縁部を除去することにより形成されている。すなわち、薄肉部13は、段差部である。薄肉部13は、例えばプレス成形、押出し成形、切削加工、放電加工等の機械加工により形成される。
【0044】
薄肉部13の上面は、薄肉部13の下面や接続部12の下面と平行である。すなわち、薄肉部13の厚みは、一定となっている。但し、薄肉部13の上面は、端縁側ほど薄肉部13の厚みが小さくなる傾斜面となっていてもよい。
【0045】
本体部11には、孔14が形成されている。この孔14は、セル監視回路(CMU:Cell Monitor Unit)に接続された電圧計測線の端子(図示しない)や温度計測線の端子(図示しない)が装着される孔である。これらの端子は、リベットとなっており、孔14に挿入されてかしめられて装着される。あるいは、孔14にネジを切り、端子を雄ネジとし、螺合により装着される。あるいは、端子を孔14に圧入することにより装着される。但し、装着態様はこれらに限定されるものではない。本実施形態においては、電圧計測線の端子が装着される孔14と、温度計測線が装着される孔14の二つの孔14,14が形成されている。尚、孔14は、本体部11の表裏を貫通する貫通孔であってもよいし、貫通していない止まり孔であってもよい。
【0046】
第二のバスバー15(以下、単に「バスバー15」ともいう)は、
図5に示す如く、本体部16と、該本体部16の両端に設けられる一対の接続部17,17とを有している。接続部17は、外部端子4の平坦面4aに載置され、外部端子4に接続される部分である。本体部16は、一対の接続部17,17を連結している。
【0047】
本実施形態において、本体部16は、平面視長方形状である。接続部17は、角部が丸められた平面視長方形状である。本体部16及び接続部17は、何れもアルミニウム又はアルミニウム合金のアルミニウム系金属材料の板材で形成されている。
【0048】
接続部17は、薄肉部18を有している。すなわち、接続部17は、薄肉部18と、当該接続部17における薄肉部18以外の部分であって、薄肉部18よりも厚みの厚い部分(厚肉部)とを有する。従って、薄肉部18は、接続部17における当該薄肉部18以外の部分(厚肉部)よりも厚みが薄くなっている。接続部17の薄肉部18以外の部分(厚肉部)は、本体部16と同じ厚みを有しており、薄肉部18の厚みは、接続部17の他の部分(厚肉部)の厚み及び本体部16の厚みよりも薄くなっている。薄肉部18は、接続部17の外縁に沿って形成されている。より詳しくは、薄肉部18は、第二のバスバー15の長手方向に沿った対向二辺と、該対向二辺に接続される一辺との連続する三辺に亘って帯状に形成されている。
【0049】
但し、本実施形態においては、薄肉部18は、本体部16の外縁に沿っても形成されている。より詳しくは、薄肉部18は、本体部16の、第二のバスバー15の長手方向に沿った対向二辺に帯状に形成されている。そして、接続部17に形成された薄肉部18と、本体部16に形成された薄肉部18とが繋がっている。そのため、薄肉部18は、第二のバスバー15の外縁を周回するようにして環状に形成されている。従って、第二のバスバー15において、本体部16の厚みとは、最大の厚み(板厚)を意味する。
【0050】
薄肉部18は、接続部17(や本体部16)の外端面の下部領域から外方に突出するように形成されている。薄肉部18は、接続部17(や本体部16)の上面(外部端子4との接合面(接続部12(や本体部16)の下面)と反対側の面)の外縁部を除去することにより形成されている。すなわち、薄肉部18は、段差部である。薄肉部18は、例えばプレス成形、切削加工、放電加工等の機械加工により形成される。
【0051】
薄肉部18の上面は、薄肉部18の下面や接続部17の下面と平行である。すなわち、薄肉部18の厚みは、一定となっている。但し、薄肉部18の上面は、端縁側ほど薄肉部18の厚みが小さくなる傾斜面となっていてもよい。
【0052】
本体部16には、孔19が形成されている。この孔19は、セル監視回路に接続された電圧計測線の端子(図示しない)や温度計測線の端子(図示しない)が装着される孔である。これらの端子は、リベットとなっており、孔19に挿入されてかしめられて装着される。あるいは、孔19にネジを切り、端子を雄ネジとし、螺合により装着される。あるいは、端子を孔19に圧入することにより装着される。但し、装着態様はこれらに限定されるものではない。本実施形態においては、電圧計測線の端子が装着される孔19と、温度計測線が装着される孔19の二つの孔19,19が形成されている。尚、孔19は、本体部16の表裏を貫通する貫通孔であってもよいし、貫通していない止まり孔であってもよい。
【0053】
ここで、電池セル1に対するバスバー10,15の接続方法(電池モジュール1の製造方法)について説明する。
【0054】
まず、複数の電池セル1が行列状に配置された上で、溶接装置の作動領域(以下、溶接エリアという)内に搬送される。具体的には、複数の電池1は、ベルトコンベア等の搬送装置上で完成時と同じ行列状態に配置された上で、該搬送装置によって溶接エリアに搬送される。そして、複数の電池セル1,…が溶接エリアに到達すると、
図6A及び
図7Aに示すように、バスバー10,15が隣り合う電池セル1の外部端子4,4に跨るように配置される。すなわち、第一のバスバー10は、
図6Aに示すように、行方向(電池セル1あるいは蓋板2bの長手方向)に並ぶ二つの電池セル1,1の外部端子4,4に跨るように配置され、第二のバスバー15は、
図7Aに示すように、列方向(電池セル1あるいは蓋板2bの短手方向)に並ぶ二つの電池セル1,1の外部端子4,4に跨るように配置される。この状態で、溶接装置によって、バスバー10,15の接続部12,17(薄肉部13,18)と、これと重なり合う外部端子4とが溶接される。
【0055】
より具体的に説明すると、本実施形態において、溶接エリアには、バスバー10,15を電池セル1上に配置する自動供給装置が溶接装置に隣接して配置される。自動供給装置は、バスバー10,15を保持可能に構成された保持体を、バスバー10,15を受け取る第一位置と、バスバー10,15(保持したバスバー10,15)を行列状に配置された電池セル1,…の外部端子4,4に跨った状態で配置できる第二位置との間で移動させるようにティーチングされている。尚、複数種類のバスバー10,15(第一のバスバー10及び第二のバスバー15)を取り扱うために、各バスバー10,15に応じた自動供給装置を配置してもよいが、本実施形態において、自動供給装置は、一台で第一のバスバー10と第二のバスバー15とを電池セル1上に配置できるようにティーチングされる。本実施形態において、保持体には、バスバー10,15の本体部11,16に設けられた孔14,19に挿入可能な突起(先細りした突起)が設けられている。すなわち、保持体は、バスバー10,15の孔14,19に突起が嵌入することで、該バスバー10,15が一定の配置になる(位置合わせされた状態になる)ように構成されている。また、本実施形態においては、バスバー10,15の本体部11,16に二つの穴14,19が設けられるのに伴い、保持体には突起が二つ設けられている。これにより、保持体は、保持したバスバー10,15の位置ずれ(回転)を防止できるようにもなっている。
【0056】
そして、本実施形態においては、上述の如く、一台の自動供給装置で第一のバスバー10と第二のバスバー15とを配置するようにしているため、自動供給装置は、保持体の突起の配置をバスバー10,15の孔14,19の配置に対応させるべく、保持体を所定の軸線回りで90度回転させることで、第一のバスバー10を電池セル1上に配置する状態と第二のバスバー20を電池セル1上に配置する状態とに切り換えるようになっている。
【0057】
そして、本実施形態の自動供給装置では、第二位置として、保持体の突起が電池セル1,1間と対応し、保持体がバスバー10,15を外部端子4に押し付けた状態になる位置に設定されている。これにより、保持体が第二位置に到達した状態で、バスバー10,15が二つの電池セル1,1の外部端子4,4に対して常に一定の配置で該外部端子4,4(平坦面4a)に押し付けられるようになっている。尚、本実施形態において、自動供給装置は、第一のバスバー10を供給するときの第一位置及び第二位置と、第二のバスバー15を供給するときの第一位置及び第二位置とは異なって設定されている。
【0058】
本実施形態において、搬送装置は電池セル1(蓋板2b)の長手方向と対応する方向に複数の電池セル1,…を搬送する。これに伴い、まず、二列に並ぶ電池セル1,…のうちの一列が先頭になって溶接エリアに到達する。そうすると、自動供給装置は、保持体を第一位置から第二位置に移動させ、
図7Aに示すように、第二のバスバー15を列方向で隣り合う電池セル1,1の外部端子4,4に跨るように配置する。尚、保持体で一つのバスバー10,15を保持し、保持体を複数回往復させることで、一列に並ぶ電池セル1,…の数に応じたバスバー10,…,15,…を順々に配置してもよいが、本実施形態の保持体は、一列に並ぶ電池セル1,…の数に応じた数のバスバー10,…,15,…を一度に保持できるように構成されている。従って、一列に並ぶ複数の電池セル1,の隣り合う電池セル1,1のそれぞれに第二のバスバー15が配置される。
【0059】
そして、保持体を第二位置に位置させた状態(第二のバスバー15を外部端子4に押し付けた状態)で維持しつつ、溶接装置が第二のバスバー15の接続部17とこれと重なり合った外部端子4とを溶接する。すなわち、第二のバスバー15の接続部17は、保持体によって電池セル1(外部端子4)に対する位置ずれが防止された状態で、電池セル1の外部端子4に溶接される。本実施形態において、溶接装置には、レーザ溶接装置が採用されており、レーザ光を出射する溶接ヘッドを第二のバスバー15の接続部17の外縁(薄肉部18)に沿って移動させる。また、本実施形態において、接続部17の外縁に沿って設けられた薄肉部18を外部端子4に溶接することから、溶接ヘッドは、薄肉部18の上面(外部端子4の平坦面4a)と直角をなした状態でレーザ光を出射させる。
【0060】
このように、溶接ヘッドがレーザ光を出射しつつ移動することで、保持体によって位置決めされた第二のバスバー15の薄肉部18と外部端子4の平坦面4aとが溶接される。すなわち、レーザ溶接によって接続部17(薄肉部18)と外部端子4とを溶接することで、溶接された薄肉部18は、外部端子4と溶け込み合い、
図7Bに示す如く、接続部17(厚肉部)に沿った溶接線Wとなる。これにより、第二のバスバー15は、電池セル1の外部端子4に対して電気的及び機械的に接続される。
【0061】
そして、自動供給装置が保持体を第一位置に移動させ、保持体に第一のバスバー10を保持させるとともに、搬送装置が複数の電池セル1,…を移動させる。そして、溶接エリアに二列に並ぶ電池セル1,1の両方が到達すると、自動供給装置は、保持体を第一位置から第二位置に移動させ、
図6Aに示す如く、第一のバスバー10を行方向で隣り合う電池セル1,1の外部端子4,4に跨るように配置する。そして、保持体がバスバー15を第二位置に配置した状態(バスバー15を外部端子4に押し付けた状態)で維持しつつ、溶接装置が第一のバスバー10の接続部12とこれと重なり合った外部端子4とを溶接する。すなわち、第一のバスバー10の接続部12は、保持体によって電池セル1(外部端子4)に対する位置ずれが防止された状態で、電池セル1の外部端子4に溶接される。すなわち、溶接ヘッドがレーザ光を出射しつつ移動することで、保持体によって位置決めされたバスバー10の薄肉部13と外部端子4の平坦面4aとが溶接される。この場合においても、溶接された薄肉部13は、外部端子4と溶け込み合い、
図6Bに示す如く、接続部12(厚肉部)に沿った溶接線Wとなる。これにより、第一のバスバー10は、電池セル1の外部端子4に対して電気的及び機械的に接続される。
【0062】
そして、自動供給装置が保持体を第一位置に移動させ、保持体に第二のバスバー15を保持させるとともに、搬送装置が複数の電池セル1,…を移動させる。そして、溶接エリアに二列に並ぶ電池セル1,1の残りの一列が到達すると、自動供給装置は、保持体を第一位置から第二位置に移動させ、
図7Aに示すように、第二のバスバー15を列方向で隣り合う電池セル1,1の外部端子4,4に跨るように配置する。そして、先の一例の電池セル1(外部端子4)に対するバスバー15の接続と同様に、溶接装置によってバスバー15の薄肉部18と外部端子4の平坦面4aとが溶接される(
図7B参照)。これにより、第二のバスバー15は、電池セル1の外部端子4に対して電気的及び機械的に接続される。
【0063】
そして、バスバー10,15を介して電気的に接続された複数の電池セル1,…がハウジング7に収容されることで、大容量の電池(電池モジュール)が完成する。
【0064】
以上、本実施形態に係る電池モジュールによれば、第一のバスバー10において、接続部12の断面積が本体部11の断面積よりも小さくなっている。そのため、接続部12を外部端子4に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部11の断面積までが小さくはなっていないので、第一のバスバー10全体として、適切な電流容量を得ることができる。
【0065】
具体的には、第一のバスバー10が板状であり、第一のバスバー10において、接続部12の幅が本体部11の幅よりも狭くなっており、これにより、第一のバスバー10において、接続部12の断面積が本体部11の断面積よりも小さくなっている。そのため、接続部12を外部端子4に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部11の断面積までが小さくはなっていないので、第一のバスバー10全体として、適切な電流容量を得ることができる。
【0066】
また、第一のバスバー10において、接続部12の幅が本体部11の幅よりも狭くなっている上で、接続部12と外部端子4とが溶接されている。そのため、接続部12の幅が本体部11の幅よりも狭くなっていない場合と比べて、溶接範囲を少なくすることができる。そして、溶接範囲を少なくすることができるということは、溶接のために必要な出力エネルギを低減することができるということである。そのため、第一のバスバー10や外部端子4あるいは外部端子4に接続された発電要素や外部端子4を配置した外部ガスケット3に熱損傷を与えるのを好適に防止することができる。
【0067】
また、第一のバスバー10において、接続部12に薄肉部13を設けた上で、薄肉部13と外部端子4とが溶接されている。そのため、薄肉部13を設けない場合と比べて、溶接のために必要な出力エネルギを低減することができる。従って、接続部12の幅が本体部11の幅よりも狭くなっていることと合わせると、溶接のために必要な出力エネルギをさらに低減することができる。そのため、第一のバスバー10や外部端子4あるいは外部端子4に接続された発電要素や外部端子4を配置した外部ガスケット3に熱損傷を与えるのをさらに好適に防止することができる。
【0068】
尚、レーザを上方から下方に照射して溶接するのではなく、レーザを斜め下方に出射して第一のバスバー10の下部に照射することで、薄肉部13を設けずとも、溶接のために必要な出力エネルギを低減することはできる。しかしながら、そのために、レーザの傾斜角度を変更・調整する機構などが必要となり、溶接設備が大がかりなものとなってしまう。ところが、薄肉部13であれば、レーザを上方から下方に出射して薄肉部13に照射するだけで溶接ができてしまうため、溶接設備は大がかりなものでなくて済む。
【0069】
また、第一のバスバー10において、薄肉部13が接続部12の外縁に沿って形成されている。そのため、薄肉部13の任意の箇所をスポット的に溶接したり、あるいは、溶接強度をより高めるべく、薄肉部13をその長手方向に沿って連続的に溶接するといった種々の溶接態様を自由に選択することができるようになる。
【0070】
また、第一のバスバー10において、接続部12の端部が半円弧形状であるため、接続部12の外縁に角部はない。接続部12の外縁の少なくとも一部領域と外部端子4とを接続部12の外縁に沿って溶接する場合、角部があれば、そこで溶接速度が落ち、溶接部の均質性が損なわれてしまう。しかしながら、角部がないと、溶接を一定速度で連続して行うことができるので、均質な一定長さの溶接部Wを形成することができる。
【0071】
また、外部端子4が配置される一面(蓋板2bの外面)が長手方向に並ぶようにして少なくとも二つの電池セル1,1が配置され、第一のバスバー10が二つの電池セル1,1の外部端子4,4同士を接続する上で、本体部11は、一面の幅に合わせて形成され、接続部12は、一面よりも幅が狭い外部端子4の当該幅に合わせて形成されている。そのため、接続部12を外部端子4に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部11の幅までが狭くはなっていないので、第一のバスバー10全体として、適切な電流容量を得ることができる。
【0072】
また、外部端子4が配置される一面(蓋板2bの外面)が長手方向及び短手方向に並ぶようにして複数の電池セル1,…が配置され、第一のバスバー10が長手方向に並ぶ二つの電池セル1,1の外部端子4,4同士を接続する上で、本体部11は、一面の幅に合わせて形成され、接続部12は、一面よりも幅が狭い外部端子4の当該幅に合わせて形成されている。そのため、接続部12を外部端子4に配置する際のレイアウト上の制約あるいは配置スペース上の制約を緩和することができる。また、本体部11の幅までが狭くはなっていないので、第一のバスバー10全体として、適切な電流容量を得ることができる。さらに、本体部11の幅が一面の幅を超える、あるいは大きく超えることはない。そのため、短手方向で隣り合う電池セル1に接続される第一のバスバー10と干渉することを防止することができる。
【0073】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
上記実施形態においては、第一のバスバー10において、接続部12の幅を本体部11の幅よりも狭くすることにより、接続部12の断面積が本体部11の断面積よりも小さくなっている。しかし、これに限定されるものではない。例えば、接続部12の厚みを本体部11の厚みよりも少なくなるようにしてもよい。あるいは、厚みと幅の組み合わせで、接続部12と本体部11との間に断面積の差が設けられるようにしてもよい。要は、厚みや幅を含め、第一のバスバー10の該当箇所の形状や寸法を異ならせることで、接続部12と本体部11との間に断面積の差が設けられればよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、第一のバスバー10において、接続部12の幅は(先端部の半円弧になっている点を無視すれば、)一定であり、また、本体部11の幅も一定になっている。従って、第一のバスバー10は、接続部12から本体部11にかけて幅が不連続に変化している。しかしながら、このような形態に限定されるものではない。例えば、接続部から本体部にかけて、幅が連続的に変化する、すなわち、幅が漸次増加するような形態であってもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、接続部12に薄肉部13が形成され、薄肉部13と外部端子4とが溶接されるようになっている。しかしながら、接続部12が本体部11よりも幅狭になっているだけでも、溶接範囲を少なくすることができ、そして、溶接のために必要な出力エネルギを低減することができる。従って、接続部12において、薄肉部13が設けられることは必須ではない。
【0077】
また、上記実施形態においては、第一のバスバー10のみ、本体部11と接続部12との間に断面積の差を持たせるようにしている。しかしながら、第二のバスバー15も、第一のバスバー10の技術思想を適用することができるのは言うまでもない。
【0078】
また、本発明は、第一のバスバー10のみをその技術的範囲とするものではない。例えば、接続部が片側にしかない第三のバスバー20をもその技術的範囲とする。実際、
図1及び
図2に示す如く、第三のバスバー20のうち、一方(負極用)の第三のバスバー20Bは、そのような構成を採用している。
【0079】
また、上記実施形態においては、第一のバスバー10の接続部12の外縁に沿って薄肉部13が形成され、また、第二のバスバー15の接続部17の外縁に沿って薄肉部18が形成されている。しかしながら、薄肉部が形成される箇所は、接続部の外縁には限定されない。例えば、接続部に、表裏を貫通する開口や、接続部の外縁の一部から内方に向かって切り欠かれる開口が形成され、該開口の内縁に薄肉部が形成されるようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態においては、薄肉部13や薄肉部18が所定長さをもって連続的に形成されている。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、バスバーの接続部の任意の箇所をスポット的に溶接するということであれば、少なくとも当該箇所にのみ薄肉部が形成されていればよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、外部端子4及びバスバー10,15がアルミニウム系金属材料で構成されたが、これに限定されるものではない。例えば、外部端子4及びバスバー10,15は、銅やSUSやスチール等の金属材料であってもよい。すなわち、外部端子4及びバスバー10,15は、導電性を有し、互いに溶接可能な金属材料であればよい。
【0082】
上記実施形態においては、レーザ溶接によりバスバー10,15を電池セル1の外部端子4に溶接したが、これに限定されない。例えば、一般的なアーク溶接等であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、バスバー10,15と外部端子4とを溶接したが、これに限定されない。例えば、外部端子がボルト端子であり、バスバーに該ボルト端子を挿通する孔が形成されており、該ボルト端子にナットを締結することによりバスバーと外部端子とを接続する形態であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、リチウムイオン二次電池について説明した。しかしながら、電池の種類や大きさ(容量)は任意である。
【0085】
また、本発明は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタにも適用可能である。