特許第5930393号(P5930393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930393
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】キーボードユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/02 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   H01H13/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-141620(P2012-141620)
(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-7044(P2014-7044A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】井出 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】分部 洋一
(72)【発明者】
【氏名】相原 健志
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−086907(JP,A)
【文献】 特開2002−328367(JP,A)
【文献】 特開2000−285718(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3165358(JP,U)
【文献】 特開2009−187925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00−13/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキースイッチ部と、前記キースイッチ部の下面側に設置されたバックライトユニットとからなるキーボードユニットであって、
前記キースイッチ部が、キートップと、該キートップの下方に設けられ複数の開口部を有するベースプレートと、前記キートップと前記ベースプレートとの間に配され前記キートップを上下動可能に支持するパンタグラフ部と、前記キートップを上方に付勢する付勢機構とを備え、
前記バックライトユニットが、前記ベースプレートの下面側に設置され、透光性の板材で構成されその端面から入射された光を導光すると共に光路変換してその上面から照明光として前記開口部内に出射する導光板と、該導光板の端面に配されて前記導光板内に光を出射する光源と、前記導光板下に配されて上面に反射面を有する反射シートとを備え、
前記反射シートが、前記反射面として銀色の光沢面を有すると共に反射された光が反射前の光より黄色成分が多くなる特性を有し、
前記光源が、基準白色から青色側にずれた色度を有する白色に近似した光を出射するLED光源であり、
前記キートップが裏面に複数の上部係止部を有し、
前記ベースプレートが複数の下部係止部を有し、
前記パンタグラフ部が、互いに平行に配されそれぞれ前記上部係止部に回動可能に係止された上部内側シャフト部材及び上部外側シャフト部材と、
前記上部内側シャフト部材及び前記上部外側シャフト部材に平行に配されそれぞれ前記下部係止部に回動可能に係止された下部内側シャフト部材及び下部外側シャフト部材と、
前記上部内側シャフト部材の両端にそれぞれ一端が固定されていると共に前記下部内側シャフト部材に他端が固定され中間に内側貫通孔が形成された一対の内側リンク部材と、
前記上部外側シャフト部材の両端にそれぞれ一端が固定されていると共に前記下部外側シャフト部材に他端が固定され中間に外側貫通孔が形成された一対の外側リンク部材と、
互いに隣接して配された前記内側貫通孔と前記外側貫通孔とに挿通された一対の結合ピンとを備え、
前記ベースプレートが、一対の前記結合ピンの直下に形成された一対の中間逃げ孔部と、一対の前記結合ピンの外側かつ前記中間逃げ孔部の縁に立設された一対のピン押さえ部とを有していることを特徴とするキーボードユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のキーボードユニットにおいて、
前記パンタグラフ部が、金属製であることを特徴とするキーボードユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキーボードユニットにおいて、
前記導光板の表裏面の少なくとも一方に、反射膜が少なくとも一部に形成され、
該反射膜が、反射された光が反射前の光より青色成分が多くなる特性を有していることを特徴とするキーボードユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のキーボードユニットにおいて、
前記反射シートが、Agの反射層と、
該反射層の上に積層されたPETフィルム層とを有していることを特徴とするキーボードユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータ等のキーボードに好適なキーボードユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等に用いられているキーボードには、種々のスイッチ機構が採用されているが、薄型に対応可能なことからノート型パーソナルコンピュータ等にはパンタグラフ式のキースイッチ部が多く採用されている。
また、このようなキーボードには、キースイッチ部の下面にバックライトユニットを設置してキー照明を行うものが広く採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パンタグラフ形式のキーモジュールと、キーボードベースと、導光板と、発光ダイオードの光源と、導光板の底表面下方に設けられた反射シートとを備えた発光キーボードが記載されている。この発光キーボードでは、白色の光沢面反射材料で形成された反射シートを用いてキー照明を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−244508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、従来のバックライトユニットを有するキーボードユニットでは、キーモジュールのパンタグラフ部が樹脂製であるため、剛性が低く、ガタつきが生じ易いと共に、キートップの端部を押し下げた際にリンク部材が撓んでキートップが斜めに押し下げられてしまう不都合があった。このため、キートップの中心部を押し下げた際とキートップの端部を押し下げた際とでスイッチ特性の差が大きくなってしまい、キートップの遊びが増えてスイッチの操作感が悪化してしまう問題があった。このため、パンタグラフ部を剛性の高い金属製にすることも考えられるが、樹脂製の場合に比べるとバックライトユニットからの光を遮断してしまい、キー照明が暗くなる不都合があった。
さらに、光の反射効率を上げるために反射シートを白色の反射面から銀色の反射面に変更することも考えられるが、銀色の反射シートでは、通常表面に保護膜としてPETフィルムが貼られており、反射した光がPETフィルムを透過して色味が変わり、白色光であった光の色度が黄色寄りにずれてしまう問題があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、キー輝度の低下と色度のずれとを調整することができるキーボードユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るキーボードユニットは、複数のキースイッチ部と、前記キースイッチ部の下面側に設置されたバックライトユニットとからなるキーボードユニットであって、前記キースイッチ部が、キートップと、該キートップの下方に設けられ複数の開口部を有するベースプレートと、前記キートップと前記ベースプレートとの間に配され前記キートップを上下動可能に支持するパンタグラフ部と、前記キートップを上方に付勢する付勢機構とを備え、前記バックライトユニットが、前記ベースプレートの下面側に設置され、透光性の板材で構成されその端面から入射された光を導光すると共に光路変換してその上面から照明光として前記開口部内に出射する導光板と、該導光板の端面に配されて前記導光板内に光を出射する光源と、前記導光板下に配されて上面に反射面を有する反射シートとを備え、前記反射シートが、前記反射面として銀色の光沢面を有すると共に反射された光が反射前の光より黄色成分が多くなる特性を有し、前記光源が、基準白色から青色側にずれた色度を有する白色に近似した光を出射するLED光源であることを特徴とする。
【0008】
このキーボードユニットでは、反射シートが、反射面として銀色の光沢面を有すると共に反射された光が反射前の光より黄色成分が多くなる特性を有しているので、白色の反射面よりも正反射率の高い銀色光沢面の反射面で高輝度なキー照光が実現する。さらに、光源が、基準白色から青色側にずれた色度を有する白色に近似した光を出射するLED光源であるので、反射シートに入射する光を青色寄りに予め色度をずらしており、反射シートで反射された光が黄色寄りに色度がずれても、色度が調整されて色度ずれの少ない白色光に戻すことができる。
【0009】
第2の発明に係るキーボードユニットは、第1の発明において、前記パンタグラフ部が、金属製であることを特徴とする。
すなわち、このキーボードユニットでは、パンタグラフ部が、金属製であるので、高剛性な金属製のパンタグラフ部によってキースイッチ部のガタつきが抑制される。なお、金属製のパンタグラフ部を採用しても、上記反射シート及び光源を備えているので、良好なキー輝度を確保することができる。
【0010】
第3の発明に係るキーボードユニットは、第1又は第2の発明において、前記導光板の表裏面の少なくとも一方に、反射膜が少なくとも一部に形成され、該反射膜が、反射された光が反射前の光より青色成分が多くなる特性を有していることを特徴とする。
すなわち、このキーボードユニットでは、導光板の反射膜が、反射された光が反射前の光より青色成分が多くなる特性を有しているので、上記色度調整用のLED光源を用いても色度の調整が不十分である場合でも、上記反射膜により色調を青色側にシフトさせることで、より正確な色度調整が可能になる。
【0011】
第4の発明に係るキーボードユニットは、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記反射シートが、Agの反射層と、該反射層の上に積層されたPETフィルム層とを有していることを特徴とする。
すなわち、このキーボードユニットでは、反射シートが、Agの反射層と、該反射層の上に積層されたPETフィルム層とを有しているが、上記色度調整されたLED光源からの光を入射させることで、PETフィルム層を介して反射された光が黄色寄りに色度が変化しても、良好な白色を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明に係るキーボードユニットによれば、反射シートが、反射面として銀色の光沢面を有するので、白色の反射面よりも正反射率の高い銀色光沢面の反射面で高輝度なキー照光が実現する。さらに、光源が、基準白色から青色側にずれた色度を有する白色に近似した光を出射するLED光源であるので、反射シートに入射する光を青色寄りに予め色度をずらしており、反射シートで反射された光が黄色寄りに色度がずれても、色度が調整されて色度ずれの少ない白色光に戻すことができる。
したがって、高剛性が得られる金属製のパンタグラフ部を採用しても、光源の追加や多量の電流を流さずに、従来と同様のキー輝度が得られ、さらに色度ずれが抑制された良好な白色光でキー照明を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るキーボードユニットの一実施形態において、2つのキースイッチ部を有した例で示す断面図である。
図2】本実施形態において、反射シートを示す簡易的な要部の拡大断面図である。
図3】本実施形態において、キースイッチ部を示す中央で切断した際の断面図である。
図4】本実施形態において、ベースプレート上に設置したパンタグラフ部を示す斜視図である。
図5】本実施形態において、ラバードームスイッチから上の部材を示すキースイッチ部の分解斜視図である。
図6】本実施形態において、ラバードームスイッチより下の部材を示すキースイッチ部の分解斜視図である。
図7】本発明に係るキーボードユニットの実施例及び比較例において、LED光源ランク別の色度座標を示すグラフである。
図8図7の要部を拡大したLED光源ランク別の色度座標を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るキーボードユニットの一実施形態を、図1から図6を参照して説明する。
本実施形態におけるキーボードユニット1は、図1に示すように、複数のキースイッチ部2と、キースイッチ部2の下面側に設置されたバックライトユニットBLとからなるキーボードユニットである。
【0015】
上記キースイッチ部2は、図3から図6に示すように、裏面に複数の上部係止部3を有するキートップ4と、該キートップ4の下方に設けられ複数の下部係止部5と複数の開口部とを有するベースプレート6と、キートップ4とベースプレート6との間に配されキートップ4を上下動可能に支持するパンタグラフ部7と、キートップ4を上方に付勢する付勢機構付として機能するラバードームスイッチ8とを備えている。
【0016】
上記バックライトユニットBLは、ベースプレート6の下面側に設置され、透光性の板材で構成されその端面から入射された光を導光すると共に光路変換してその上面から照明光として上記開口部内に出射する導光板21と、該導光板21の端面に配されて導光板21内に光を出射する光源Lと、導光板21下に配されて上面に反射面を有する反射シート22と、導光板21の上に設置された遮光マスク23とを備えている。
【0017】
上記反射シート22は、光反射機能を有する金属板、フィルム、箔等であって、本実施形態では銀蒸着膜を設けたフィルムが採用されている。この反射シート22は、反射面として銀色の光沢面を有すると共に反射された光が反射前の光より黄色成分が多くなる特性を有している。すなわち、図2に示すように、反射シート22は、PETフィルム層等の下地層22aの上にトップコート層(図示略)等を介してAg蒸着等で形成されたAgの反射層22bと、該反射層22bの上に接着層であるアンカーコート層(図示略)を介して積層されたPETフィルム層22cとを有している。
【0018】
上記光源Lは、LED光源であって、導光板21の端面に光出射面である先端面を対向させて設置された白色LEDである。この白色LEDは、例えば基板上の半導体発光素子を樹脂材で封止したものであり、半導体発光素子として、例えば青色(波長λ:470〜490nm)LED素子又は紫外光(波長λ:470nm未満)LED素子であって、例えばサファイア基板などの絶縁性基板上に窒化ガリウム系化合物半導体(例えばInGaN系化合物半導体)の複数の半導体層が積層されて形成されたものである。上記樹脂材は、シリコーン樹脂を主剤とし、例えばYAG蛍光体が添加されている。このYAG蛍光体は、半導体発光素子からの青色光又は紫外光を黄色光に変換させて混色効果により基準白色の白色光に近い光を生じさせるものである。
【0019】
本実施形態の光源Lは、基準白色から青色側にずれた色度を有する白色に近似した光を出射するLED光源である。この光源Lは、反射シート22で反射される光の色度ずれに応じて種々のLEDランク範囲から選択したLED光源が採用される。すなわち、反射シート22で反射される光が黄色寄りに色度がずれるほど、色度のLEDランク範囲のうち青色寄りに色度がずれたLED光源を光源Lとして採用することが好ましい。
【0020】
なお、光源Lは、LED回路基板24上に複数が導光板21の端面に沿って並んで実装されている。
上記遮光マスク23は、銀色の反射面を下面側に有しており、キースイッチ部2の直下に照明用孔23aが形成されている。
【0021】
上記導光板21は、入光面である端面に配した光源Lから入射され導光した光を光路変換して主面側から面状に出射する薄板状の導光体である。例えば、導光板21は、ポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂等の透光性樹脂材料で構成されている。
この導光板21の表裏面の少なくとも一方には、反射膜21aが少なくとも一部に形成されている。この反射膜21aは、反射された光が反射前の光より青色成分が多くなる特性を有している。
【0022】
本実施形態では、遮光マスク23の照明用孔23aの直下に反射膜21aを形成している。
この反射膜21aは、例えば白インキに青インキが僅かに添加されて印刷されたものであり、インキとしては、市販のUV硬化型インキや蒸発乾燥型インキの白インキ及び青インキが採用可能である。
【0023】
上記キースイッチ部2は、ベースプレート6上に設置されスイッチ配線が内蔵されたメンブレンスイッチであるメンブレン9と、該メンブレン9上に設置されたラバーキーシート10とを備えている。なお、上記ラバードームスイッチ8は、ラバーキーシート10上に設置され上端がキートップ4の裏面に当接している。
【0024】
上記キートップ4は、例えば図5に示すように、略四角形状であって上面に文字や記号等が印字されている。このキートップ4は、下方からの照明光が透過又は半透過可能な材料で形成されている。
上記ラバードームスイッチ8は、図3に示すように、内部の中心軸上にコネクティングピン8aが一体形成されており、キートップ4と共に上部が押し下げられるとコネクティングピン8aの下端が下方のラバーキーシート10の中央孔を通してメンブレン9の中央を押し下げ、該中央に形成された接点を電気的に接続するようになっている。
【0025】
上記パンタグラフ部7は、金属製であり、図5に示すように、互いに平行に配されそれぞれ上部係止部3に回動可能に係止された上部内側シャフト部材11及び上部外側シャフト部材12と、上部内側シャフト部材11及び上部外側シャフト部材12に平行に配されそれぞれ下部係止部5に回動可能に係止された下部内側シャフト部材13及び下部外側シャフト部材14と、上部内側シャフト部材11の両端にそれぞれ一端が固定されていると共に下部内側シャフト部材13に他端が固定され中間に内側貫通孔が形成された一対の内側リンク部材15と、上部外側シャフト部材12の両端にそれぞれ一端が固定されていると共に下部外側シャフト部材14に他端が固定され中間に外側貫通孔が形成された一対の外側リンク部材16と、互いに隣接して配された内側貫通孔と外側貫通孔とに挿通された一対の結合ピン17とを備えている。
【0026】
上記の上部内側シャフト部材11,上部外側シャフト部材12,下部内側シャフト部材13,下部外側シャフト部材14,内側リンク部材15及び外側リンク部材16は、全て金属で形成されている。さらに、ベースプレート6も金属板で形成されている。例えば、上部内側シャフト部材11,上部外側シャフト部材12,下部内側シャフト部材13及び下部外側シャフト部材14は、例えばアルミニウム合金で形成され、内側リンク部材15及び外側リンク部材16は、Fe系金属で形成されている。
【0027】
上記上部係止部3としては、断面略コ字状に形成され上部外側シャフト部材12の両端部を回動可能に支持する一対の第1係止部3aと、断面略コ字状に形成され上部内側シャフト部材11の両端部を回動可能に嵌め込んで支持する一対の第2係止部3bとがキートップ4の裏面に設けられている。なお、上部外側シャフト部材12は、その延在方向に直交する方向かつキートップ4の平面方向にスライド可能に当該方向に開口した一対の第1係止部3aに支持されている。
【0028】
上記下部係止部5としては、断面略コ字状に形成され下部内側シャフト部材13の両端部を回動可能に支持する一対の第3係止部5aと、断面円弧状に形成され下部外側シャフト部材14の中央の2箇所を支持する一対の第4係止部5bとがベースプレート6の上面に形成されている。なお、下部内側シャフト部材13は、その延在方向に直交する方向かつキートップ4の平面方向にスライド可能に当該方向に開口した一対の第3係止部5aに支持されている。
【0029】
上記下部外側シャフト部材14は、軸方向の他の部分と径の異なる段差部として、中央に他の部分よりも径の大きい大径部14aが形成されており、下部外側シャフト部材14の中央に嵌め込まれる一対の第4係止部5bが、大径部14aの両側に該大径部14aを挟むように設けられている。すなわち、一対の第4係止部5bは、下部外側シャフト部材14が嵌め込まれた状態で大径部14aの端部に当接して下部外側シャフト部材14の軸方向の移動を規制すると共に内側曲面で下部外側シャフト部材14の外周面を摺動可能に支持する。
したがって、下部外側シャフト部材14がスナップフィット的に一対の第4係止部5bに嵌め込まれて支持されている。また、一対の第4係止部5bが、大径部14aの両側に嵌め込まれているので、下部外側シャフト部材14が延在方向に動くことを規制している。
【0030】
また、ベースプレート6には、下部外側シャフト部材14の両端部を回動可能に支持する一対の受け部6bが形成されている。これらの受け部6bは、下部外側シャフト部材14の両端部の外径に対応して上方に開口した円弧状に形成されている。
内側リンク部材15の両端部には、上部内側シャフト部材11又は下部内側シャフト部材13の端部が嵌め込まれる内側用端部孔15bが形成され、外側リンク部材16の両端部には、上部外側シャフト部材12又は下部外側シャフト部材14の端部が嵌め込まれる外側用端部孔16bが形成されている。
【0031】
内側リンク部材15の内側貫通孔が形成された部分(中央部)と内側用端部孔が形成された部分(両端部)は、軸方向の他の部分よりも幅広に形成されて剛性が低下しないように設定されている。また、同様に、外側リンク部材16の外側貫通孔が形成された部分(中央部)と外側用端部孔16bが形成された部分(両端部)は、軸方向の他の部分よりも幅広に形成されて剛性が低下しないように設定されている。
【0032】
さらに、ベースプレート6は、一対の結合ピン17の直下に形成された一対の中間逃げ孔部6cと一対の結合ピン17の外側かつ中間逃げ孔部6cの縁に立設された一対のピン押さえ部6dとを有している。
なお、上記各下部係止部5,受け部6b及びピン押さえ部6dは、金属板のベースプレート6を曲げ加工することにより形成されている。
【0033】
さらに、ベースプレート6は、内側リンク部材15及び外側リンク部材16の各両端部の直下に形成された4つの端部逃げ孔部6eと、第4係止部5bの直下に形成された大径部逃げ孔部6fとを有している。端部逃げ孔部6eは、内側リンク部材15及び外側リンク部材16の各両端部がベースプレート6に当接しないように空けられたものであり、大径部逃げ孔部6fは、大径部14aがベースプレート6に当接しないように空けられたものである。
なお、ベースプレート6には、上述した複数の孔部が形成されており、これらの孔部は下方からの照明光を通すための開口部ともなっている。
【0034】
このように本実施形態のキーボードユニット1では、反射シート22が、反射面として銀色の光沢面を有すると共に反射された光が反射前の光より黄色成分が多くなる特性を有しているので、白色の反射面よりも正反射率の高い銀色光沢面の反射面で高輝度なキー照光が実現する。
また、パンタグラフ部7が金属製であるので、高剛性なパンタグラフ部7によってキースイッチ部2のガタつきが抑制される。
【0035】
さらに、光源Lが、基準白色から青色側にずれた色度を有する白色に近似した光を出射するLED光源であるので、反射シート22に入射する光を青色寄りに予め色度をずらしており、反射シート22で反射された光が黄色寄りに色度がずれても、色度が調整されて色度ずれの少ない白色光に戻すことができる。
特に、反射シート22が、Agの反射層22bと、該反射層22bの上に積層されたPETフィルム層22cとを有しているが、上記色度調整されたLED光源からの光を入射させることで、PETフィルム層22cを介して反射された光が黄色寄りに色度が変化しても、良好な白色を得ることができる。
【0036】
また、導光板21の反射膜21aが、反射された光が反射前の光より青色成分が多くなる特性を有しているので、上記色度調整用のLED光源を用いても色度の調整が不十分である場合でも、上記反射膜21aにより色調を青色側にシフトさせることで、より正確な色度調整が可能になる。
【0037】
さらに、上部内側シャフト部材11,上部外側シャフト部材12,下部内側シャフト部材13,下部外側シャフト部材14,内側リンク部材15及び外側リンク部材16が、全て金属で形成されているので、パンタグラフ部7全体が高剛性になり、キートップ4が押し下げられた際の撓みが抑制される。特に、一対の内側リンク部材15が金属製の上部内側シャフト部材11及び下部内側シャフト部材13で連結されていると共に一対の外側リンク部材16も金属製の上部外側シャフト部材12及び下部外側シャフト部材14で連結されていることで、シャフト部材の延在方向において撓みが生じ難くキートップ4が斜めに押し下げられ難くなる。したがって、キートップ4の中心部を押し下げた際とキートップ4の端部を押し下げた際とのスイッチ特性の差が低減し、さらにオーバーストローク等も抑制でき、キートップ4の遊びも減って操作感が向上する。
【実施例】
【0038】
次に、本実施形態のキーボードユニットにおいて、反射シートと種々のLEDランク範囲の光源とを組み合わせた際のLEDランク別の色度座標を調べた結果を、図7及び図8に示す。
この色度座標は、CIE表色系の座標系であって、図中、本発明の実施例である反射シートは「銀シート」と記載している。また、比較例として従来の反射シートは「白黒シート」と記載している。さらに、LED光源としては、図中の「(1)」「(2)」「(3)」「(4)」の4つのLEDランク範囲のものを用意した。なお、これらのうち基準白色に最も近い従来のLED光源は「(2)」であり、最も青色寄りの白色光のLED光源は「(4)」である。
【0039】
図7及び図8からわかるように、従来の反射シートとLED光源とを組み合わせた「白黒シート+(1)」は、基準白色に近い白色光が得られているが、輝度向上のために銀色の反射面を有する反射シートを使用すると、従来と同じランクのLED光源では「銀シート+(1)」で示されるように、色度が「黄」側にずれてしまう。これに対して、本発明の実施例では、LED光源のランクを青色寄りの色度を有する「(4)」変更しているため、「銀シート+(4)」で示されているように、色度が「青」側に戻されている。さらに、この実施例では、従来の色度まで戻りきらなかったため、導光板の反射膜に上述した「青インキ」を白インキに1%添加して印刷した実施例を用いると、「銀シート+(4)+青1%」に示すように、従来とほぼ同じ色度を得ることができている。
【0040】
なお、各LEDランク範囲と各実施例及び比較例との色度を、表1に示す。
【表1】
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…キーボードユニット、2…キースイッチ部、4…キートップ、6…ベースプレート、7…パンタグラフ部、8…ラバードームスイッチ(付勢機構)、21…導光板、22…反射シート、21a…反射膜、22b…反射層、22c…PETフィルム層、BL…バックライトユニット、L…光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8