(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端末は、対象物と自身との間の距離を測定する測距センサを備えると共に、前記検査画像を投射する際の倍率を、検査対象と自身との間の距離に応じて決定する、請求項1の検査システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
初めに、
図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
【0016】
紙資料の図面等を用いた保守管理では、実際の装置と図面との違い、縮尺の違い、離れた位置の両者を見比べる必要がある等に起因し、作業者の熟練度によっては、故障原因の特定に多大な労力を要することがある。そのため、故障原因を容易に特定できることに寄与する検査システムが望まれる。
【0017】
そこで、一例として
図1に示す検査システム100を提供する。検査システム100は、検査対象を識別する検査対象識別情報を入力する入力部101、画像を投射する投射部102、を備える端末103と、端末103と接続され、検査対象識別情報と、検査対象に関する検査画像と、を1つのレコードとして関連付けて保存するデータベースにアクセスする情報処理装置104と、を含む。端末103は、検査対象識別情報を情報処理装置104に送信し、情報処理装置104は、データベースから、受信した検査対象識別情報に対応する検査画像を検索すると共に、検索された検査画像を端末103に送信する。端末103は、受信した検査画像を、投射部102を用いて、検査対象に投射する。
【0018】
検査システム100の運用において、検査対象の表面に検査画像を投射することで、故障が疑われる検査対象と、故障が存在しない検査画像(正常画像)の比較ができる。その結果、作業者は、両者の異なる部分が故障箇所(誤実装等)であると容易に特定できる。つまり、熟練した作業員ではなくとも、容易に、故障が疑われる回路基板、部品の実装状態を確認することができる。あるいは、故障が存在する検査画像(故障画像)と検査対象を比較することで、検査対象に特定の故障が生じているか否かを判定することもできる。
【0019】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る検査システム10の構成の一例を示す図である。検査システム10は、携帯端末11と、情報処理装置12と、を含んで構成される。
【0022】
図2に示す携帯端末11と情報処理装置12はそれぞれ、通信機能を備えている。通信機能は、事業者が提供する回線網、有線又は無線のLAN(Local Area Network)、その他の手段により形成されたインターネット等のネットワークに接続する機能や、近赤外線等を用いた相互通信を実現する機能である。あるいは、携帯端末11と情報処理装置12の間は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体によるデータの入出力が可能に構成され、記憶媒体を用いて装置間のデータ授受を実現してもよい。
【0023】
図2に示す検査システム10において、作業員は、検査対象である回路基板201の保守管理(故障原因の特定、不具合の回復等)を行うものとする。なお、検査対象とは、故障が疑われる(不完全な機能が存在する)、又は、実装状態の確認が必要な、回路基板や部品等である。
【0024】
初めに、各装置の詳細を説明するに先立ち、検査システム10の動作の概略について説明する。
【0025】
作業員は、検査対象を識別するための情報(以下、検査対象識別情報と表記する)を、携帯端末11に入力する。検査対象識別情報には、例えば、故障が疑われる回路基板、部品を識別する名称、型番等が考えられる。あるいは、検査対象識別情報は、実装状態を確認したい部品等の総称であってもよい。例えば、回路基板201に使用されているコネクタの実装状態を集中的に確認したい場合には、検査対象識別情報として、「回路基板201のコネクタ群」のように指定することもできる。
【0026】
携帯端末11は、検査対象識別情報の入力を受けると、当該検査対象識別情報を情報処理装置12に送信する。情報処理装置12は、携帯端末11が送信する検査対象識別情報を受信する。情報処理装置12は、検査対象識別情報に基づいて、検査対象である回路基板201に関する画像(後述する検査画像)を、データベースから検索する。情報処理装置12は、データベースから検索された結果である検査画像を含む情報を携帯端末11に送信する。
【0027】
携帯端末11は、回路基板201に関する検査画像を、内蔵するプロジェクタ機能を用いて、回路基板201上に投射する。作業者は、回路基板201と、回路基板201上に投射された検査画像と、を比較し、故障箇所の特定や、回路基板201の実装状態を確認する。
【0028】
図3は、携帯端末11の内部構成の一例を示す図である。
図3を参照すると、携帯端末11は、通信部21と、表示部22と、入力部23と、制御部24と、電源部25と、記憶部26と、投射部27と、を含んで構成される。
【0029】
通信部21は、作業員により入力部23から入力された検査対象識別情報を、制御部24の指示により、情報処理装置12に送信する手段である。通信部21は、情報処理装置12が送信する情報を受信する手段でもある。
【0030】
表示部22は、制御部24の指示により、作業員により入力された検査対象識別情報、情報処理装置12から受け付けた情報等を表示する手段である。入力部23は、例えば、キーボード、タッチパネル、ボタン等を含んで構成され、作業員からの情報入力を受け付ける手段である。
【0031】
制御部24は、携帯端末11の各部(通信部21等)を制御する。制御部24は、入力部23が受け付けた内容に応じて、各部を制御する。電源部25は、携帯端末11の各部(通信部21等)に電源を供給し、各部を動作可能とする。なお、
図3において、電源部25から各部に電源を供給するための電源配線の図示は省略している。
【0032】
記憶部26は、制御部24によりアクセスされ、携帯端末11の動作に必要な種々のデータを記憶する、又は、出力する手段である。
【0033】
投射部27は、光源301と、コンデンサレンズ302と、映像生成部303と、投影レンズ304と、を含んで構成されている。投射部27は、データバス28を介して制御部24から供給される画像データを取得し、画像を投射する手段である。制御部24から供給される画像には、情報処理装置12から取得した検査画像や、記憶部26に格納されている各種情報に対応する画像を含む。
【0034】
投射部27の光源301が発した光束は、コンデンサレンズ302により集約される。映像生成部303には、液晶パネルが含まれており、コンデンサレンズ302により集約された光は液晶パネルを透過し、投影レンズ304を介して、投射される。映像生成部303は、液晶パネルの各画素における光の透過と遮断を適切に制御することで、投射画像を作りだす。なお、投射部27として、液晶パネルを含む構成を例示したが、投射部27の構成を限定する趣旨ではない。投射部27は、画像を投射できるものであれば、どのような構成であってもよい。
【0035】
図4は、情報処理装置12の内部構成の一例を示す図である。情報処理装置12は、通信部31と、制御部32と、記憶部33と、を含んで構成される。
【0036】
通信部31は、携帯端末11との間で相互通信を実現するための手段である。制御部32は、情報処理装置12の各部(通信部31等)を制御する。また、制御部32は、携帯端末11から検査対象識別情報を受け付けたことに応じて、対応する検査画像を携帯端末11に送信する。
【0037】
記憶部33には、データベース(以下、画像データベースと表記する)が構築されている。記憶部33に構築された画像データベースは、検査対象識別情報と、対応する検査画像と、が関連付けられて1つのレコードとして保存されている。
【0038】
検査画像には、例えば、故障が生じていないことが確認されている検査対象の写真や図面等が含まれる。つまり、検査画像には、回路基板や部品等が正しく実装されている状態での回路基板の平面写真や平面図面が含まれる。平面写真とは、回路基板等に対して、実装面から垂直に離れた位置から当該回路基板等を撮影した写真である。平面図面とは、回路基板等の三面図における平面図である。
【0039】
図5は、画像データベースに格納された情報の一例を示す図である。
図5を参照すると、第1のレコードは、検査対象識別情報により指定される回路基板と、当該回路基板の検査画像と、を関連付けている。この場合の検査画像には、平面写真や平面図面が予定される。また、第2のレコードは、ラック(検査対象の部品)のボード挿入口と、挿入する側から視認した(撮影した)ラックの検査画像を関連付けている。この場合の検査画像は、回路基板挿入側からラックを斜めに視認した画像データが予定される。このように、検査画像には、回路基板等に対して、その実装面に対し、所定の角度から回路基板等を撮影した写真や、回路基板等の平面図面を所定の角度から(斜めから)視認した場合に得られる、図面座標変換図面等も含まれる。
【0040】
図6は、情報処理装置12の動作の一例を示すフローチャートである。制御部32は、携帯端末11から検査対象識別情報を受け付けると(ステップS01)、記憶部33に構築された画像データベースにアクセスする(ステップS02)。その際、制御部32は、画像データベースにおいて、受け付けた検査対象識別情報に一致するレコードが存在するか否か検索する(ステップS03)。検査対象識別情報に一致するレコードが存在すれば(ステップS03、Yes分岐)、制御部32は、対応する検査画像を含む情報を、携帯端末11に対して送信する。即ち、情報処理装置12は、画像データベースから、受信した検査対象識別情報に対応する検査画像を検索すると共に、検索された検査画像を携帯端末11に送信する。
【0041】
情報処理装置12から携帯端末11に送信する情報には、検査画像に加えて、検査対象上での故障した可能性が高い領域を規定する情報や、故障箇所の関連情報が含まれていてもよい。なお、故障した可能性が高い領域を規定する情報は、例えば、電子機器の保守管理により積み重ねられた故障時の現象とその原因をまとめて記憶するデータベース等から、検査対象に関連しそうな情報を抽出することで得ることができる。
【0042】
次に、第1の実施形態に係る検査システム10の動作について説明する。
【0043】
図7は、検査システム10の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0044】
初めに、作業者は、携帯端末11に対して、故障が疑われる検査対象を特定する検査対象識別情報を入力する(ステップS101)。検査対象識別情報の入力を受けた携帯端末11は、検査対象識別情報を情報処理装置12に送信する(ステップS201)。情報処理装置12は、受け付けた検査対象識別情報を検索キーとして、画像データベースを検索し、当該検査対象識別情報に対応する検査画像を特定する。その後、情報処理装置12は、対応する検査画像を含む情報を、携帯端末11に送信する(ステップS301)。
【0045】
携帯端末11は、受信した情報から得られる検査画像を、投射部27を使用して、投射する(ステップS202)。作業者は、携帯端末11から投射される検査画像を、検査対象である回路基板201に重ねる(回路基板201上に検査画像が投射されるように携帯端末11を動かす)。作業者は、投射部27における焦点調整機能を用いて、投射する検査画像の焦点を調整し、検査対象と検査画像が重なるように操作してもよい。あるいは、投射部27がズーム機能を備えている場合には、作業者は、ズーム機能を利用して、検査対象と検査画像を重ねてもよい。
【0046】
作業者は、検査対象と検査画像を比較することで、相違点を抽出し、故障した可能性が高い場所を特定する(ステップS102)。
【0047】
図8は、検査対象と、検査対象に投射された検査画像の一例を示す図である。
図8において、網掛けのブロックは検査対象の部品を示し、実線はその接続配線を示す。また、網掛けのないブロックは投射された検査画像に対応する部品を示し、破線はその接続配線を示す。例えば、部品401に対応する検査画像は、参照符号402で示されるブロックである。作業者は、検査対象上に投射された検査画像と相違する点を探すことで、検査対象に生じた故障原因の特定を行う、又は、検査対象の実装状態の確認を行う。
【0048】
また、情報処理装置12から検査画像に加えて、故障した可能性の高い箇所を特定する領域情報を受信した場合には、当該領域を強調して表示してもよい。あるいは、携帯端末11は、その内部に、故障箇所を自動診断するアプリケーションがインストールされていれば、当該アプリケーションにより診断された故障情報を表示し、作業者の作業を支援してもよい。
【0049】
以上のように、第1の実施形態に係る検査システム10では、検査対象の表面に検査画像を投射することで、故障が疑われる検査対象と、回路基板等に故障が存在しない状態での検査画像(正常画像)の比較を可能とする。その結果、作業者は、両者の異なる部分が故障箇所(誤実装等)であると容易に特定できる。つまり、熟練した作業員ではなくとも、容易に、故障が疑われる回路基板、部品の実装状態を確認することができる。
【0050】
ここで、電子機器の故障原因を特定する際に、特許文献1が開示する形状検査用投影機を使用することが考えられる。しかし、特許文献1が開示する形状検査用投影機は、電子機器の故障原因の特定には不適である。当該形状検査用投影機は、被検査物と対応するマスター形状図を入れ替えなければ、その被検査物の良否を判定できないためである。被検査物と対応するマスター形状図の入れ替えは、多大な労力を要し、故障原因を容易に特定するのは困難である。一方、第1の実施形態に係る検査システム10では、作業者は、携帯端末11に送信されてくる検査画像を、検査対象である回路基板に投射すればよいので、検査対象等の入れ替えが発生せず、容易に故障原因の特定が行える。
【0051】
また、検査システム10では、特許文献2が開示する実装部品検査装置のように部品単位で、実装状態を確認するのではなく、基板全体にて実装状態を確認できるので、より迅速に故障原因を特定することが可能となる。
【0052】
さらに、保守管理の対象となる装置が、顧客の拠点等に存在する場合には、作業員は、不具合が生じている回路基板や部品の実装図面等を、顧客の拠点に持参する必要がある。このような場合であっても、検査システム10では、作業員が回路基板等の資料を持参する必要はない。作業員は、携帯端末11を用いて、情報処理装置12にアクセスすることで、必要な情報(検査画像)を得ることができるためである。
【0053】
さらにまた、検査システム10は、作業員による、回路基板や部品等の取り付けや取り外しの訓練に用いることができる。具体的には、取り付ける部品や取り外す部品等を、その対象の回路基板に投射することで、訓練を受けている作業員は、容易に作業内容を把握し、作業を実行できる。
【0054】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0055】
第2の実施形態に係る検査システム10aは、検査システム10と同様の構成とすることができるため、検査システム10aに関する
図2に相当する説明は省略する。また、検査システム10aに含まれる携帯端末11aや情報処理装置12aの内部構成に関しても、検査システム10に含まれるものと相違する点は存在しないので、
図3や
図4に相当する説明を省略する。検査システム10と検査システム10aの相違点は、記憶部33に記憶する情報が異なる点である。
【0056】
第2の実施形態において、記憶部33に構築された画像データベースは、検査対象識別情報と、検査画像と、検査対象の外形情報と、を1つのレコードとして関連付けて保存する。
【0057】
図9は、画像データベースに格納された情報の一例を示す図である。
図9を参照すると、検査対象の外形情報として、回路基板や部品等の平面サイズを規定する情報が格納されている。検査対象の外形情報は、例えば、回路基板等の1辺の長さ等により規定される。
【0058】
第2の実施形態に係る情報処理装置12aは、携帯端末11aから検査対象識別情報を受信すると、画像データベースを検査し、対応する検査画像に加えて、外形情報も携帯端末11aに送信する。携帯端末11aは、検査画像を検査対象の表面に投射する際、その照射倍率を取得した外形情報に基づき決定する。即ち、携帯端末11aは、投射部27がズーム機能を備え、ズーム倍率を電動モータや超音波モータによりズーム倍率が変更可能であれば、検査対象の外形情報を利用し、検査画像を照査する際の倍率を自動的に調整する。
【0059】
このように、第2の実施形態では、検査対象の外形情報から、検査対象の表面に検査画像を照射する際の倍率を変更することにより、検査対象の外形と検査画像の大きさを容易に一致させることが可能となる。その結果、より一層、作業員は、故障原因の特定や部品の実装状態等の保守管理作業が容易に行うことができる。
【0060】
なお、第1及び第2の実施形態にて説明した検査システムの構成及び動作は例示であって、種々の変形が可能である。例えば、検査システムは、以下のような構成又は動作であってもよい。
【0061】
[変形例1]
第1及び第2の実施形態においては、携帯端末11等の内部に投射部27を備える構成について説明したが、投射部27の機能は携帯端末11等とは別の装置により実現してもよい。この場合には、携帯端末と、プロジェクタ機能を備える投射装置が、有線又は無線の通信により接続されていればよい(
図10参照)。つまり、携帯型の投射装置13と、携帯端末11bと、が近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)等)により接続され、相互に情報の交換を行うことで、携帯端末11等の機能を実現する。
【0062】
[変形例2]
情報処理装置12等の機能が、携帯端末11等において実現されるものであってもよい。具体的には、携帯端末11等が通信機能を備えていなくとも、その内部の記憶部26に画像データベースが構築され、制御部24が、当該画像データベースを検索することで、必要な情報(検査画像や外形情報等)を取得してもよい。
【0063】
[変形例3]
携帯端末11等は、対象物との距離を測定する測距センサを備えている場合には、検査対象と携帯端末11(投射部)の間の距離を測定し、測定距離に応じて、検査画像を投射する際の倍率を決定してもよい。その結果、検査対象と検査画像の重ね合わせをより正確に行うことができるため、両者の比較が容易となり、作業員は故障原因の特定等を容易に行うことができる。なお、測距センサには、三角測量を用いた反射型光電センサや、発射した超音波と戻ってきた超音波を受信した時間差から、距離を測定する超音波センサ等を使用することができる。
【0064】
[変形例4]
情報処理装置12等から検査画像に加えて、故障した可能性の高い箇所を特定する領域情報を受信した場合には、携帯端末11等は、当該領域(以下、強調領域と表記)を強調して表示してもよい。領域を強調する際の形態には、種々考えられる。例えば、検査画像の全体は色彩を薄くし、強調領域の色彩を濃くすることできる。あるいは、強調領域を枠で囲むことや、強調領域と他の領域との色彩を異なるようにすることもできる。即ち、携帯端末11は、検査画像内の領域のうち特定の領域に対応する画像を、他の領域に対応する画像とは異なる態様にて投射することで、作業者の注意を喚起してもよい。その結果、作業員は、強調領域を特に注意して確認すればよいので、より一層、故障原因の特定等が容易となる。
【0065】
[変形例5]
情報処理装置12等から携帯端末11等に送信される検査画像に代えて、又は、検査画像に加えて、故障画像を送信してもよい。故障画像とは、故障が存在する状態にて撮影された写真や、故障を再現させた状態で撮影された写真等である。また、故障画像を得る際の、撮影対象とカメラがなす角度は垂直であっても良いし(即ち、平面写真)、所定の角度から回路基板等を撮影してもよい。このような故障画像を、携帯端末11等から検査対象に投射することで、作業員は、故障原因の特定や原因の切り分け等を容易に行うことができる。
【0066】
[変形例6]
画像データベースに記憶する検査対象識別情報等を、顧客ごと、又は、製品ごと等に分類して保存することもできる。顧客ごとにカスタマイズされた製品は、その回路基板等において若干の相違点が存在するのが通常である。このような場合に、顧客ごとに分類された検査画像を用いず、代表的な検査画像をカスタマイズされた製品に投射すると、故障が生じていない箇所であっても検査画像との間に相違点が存在することになる。このような場合に、作業員が、逐次、相違点を確認して故障原因であるのか、当該製品の仕様であるのか、を確認するのは多大な労力を要する。
【0067】
そこで、画像データベースは、検査対象の属性値も合わせて記憶する。検査対象の属性値は、例えば、検査対象の顧客や、検査対象が用いられる製品を識別する情報である。そして、作業員は、検査対象識別情報を入力する際に、対応する属性値(顧客の情報等)を入力する。属性値の入力を受けた携帯端末11等は、当該情報を情報処理装置12等に送信する。情報処理装置12等は、画像データベースから、受信した属性値に対応する検査画像を検索し、検索された検査画像を携帯端末11等に送信する。このような検査画像を、回路基板に投射することで、作業員は、顧客ごとに僅かに異なる相違点に関し、故障原因であるのか、仕様であるのかを確認する必要がなくなる。
【0068】
第1及び第2の実施形態における携帯端末は、プロジェクタ機能を備える、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、その他の電子機器が想定される。
【0069】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0070】
[付記1]
第1の視点に係る検査システムのとおりである。
[付記2]
前記データベースは、前記検査対象識別情報と、前記検査画像と、検査対象の外形情報と、を1つのレコードとして関連付けて保存し、
前記情報処理装置は、前記検査画像と共に、前記外形情報を前記端末に送信し、
前記端末は、前記検査画像を投射する際の倍率を、前記外形情報に基づき決定する、付記1の検査システム。
[付記3]
前記端末は、対象物と自身との間の距離を測定する測距センサを備えると共に、前記検査画像を投射する際の倍率を、検査対象と自身との間の距離に応じて決定する、付記1又は2の検査システム。
[付記4]
前記検査画像は、検査対象に障害が生じていない場合の画像、又は、検査対象に障害が生じている状態の画像である、付記1乃至3のいずれか一に記載の検査システム。
[付記5]
前記データベースは、検査対象の属性値を合わせて保存し、
前記端末は、検査対象の前記属性値を入力すると共に、検査対象の前記属性値を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記データベースから、受信した検査対象の前記属性値に対応する前記検査画像を検索し、前記検索された検査画像を前記端末に送信する、付記1乃至4のいずれか一に記載の検査システム。
[付記6]
前記端末は、前記検査画像内の領域のうち特定の領域に対応する画像を、他の領域に対応する画像とは異なる態様にて投射する、付記1乃至5のいずれか一に記載の検査システム。
[付記7]
前記情報処理装置は、前記データベースが構築された記憶部を備える、付記1乃至6のいずれか一に記載の検査システム。
[付記8]
第2の視点に係る検査システムのとおりである。
[付記9]
前記データベースは、前記検査対象識別情報と、前記検査画像と、検査対象の外形情報と、を1つのレコードとして関連付けて保存し、
前記情報処理装置は、前記検査画像と共に、前記外形情報を前記端末に送信し、
前記端末は、前記検査画像を投射する際の倍率を、前記外形情報に基づき決定し、
前記投射装置は、前記端末により決定された倍率により、前記検査画像を投射する、付記8の検査システム。
[付記10]
前記検査画像は、検査対象に障害が生じていない場合の画像、又は、検査対象に障害が生じている状態の画像である、付記8又は9の検査システム。
[付記11]
前記データベースは、検査対象の属性値を合わせて保存し、
前記端末は、検査対象の前記属性値を入力すると共に、検査対象の前記属性値を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記データベースから、受信した検査対象の前記属性値に対応する前記検査画像を検索し、前記検索された検査画像を前記端末に送信する、付記8乃至10のいずれか一に記載の検査システム。
[付記12]
前記端末は、前記検査画像内の領域のうち特定の領域に対応する画像を、他の領域に対応する画像とは異なる態様にて、前記投射装置に投射させる、付記8乃至11のいずれか一に記載の検査システム。
[付記13]
第3の視点に係る検査方法のとおりである。
[付記14]
前記データベースは、前記検査対象識別情報と、前記検査画像と、検査対象の外形情報と、を1つのレコードとして関連付けて保存し、
前記端末が、前記検査画像を投射する際の倍率を、前記外形情報に基づき決定する工程をさらに含む、付記13の検査方法。
[付記15]
前記端末は、対象物と自身との間の距離を測定する測距センサを備えると共に、前記検査画像を投射する際の倍率を、検査対象と自身との間の距離に応じて決定する工程をさらに含む、付記13又は14の検査方法。
[付記16]
前記検査画像は、検査対象に障害が生じていない場合の画像、又は、検査対象に障害が生じている状態の画像である、付記13乃至15のいずれか一に記載の検査方法。
[付記17]
前記端末が、前記検査画像内の領域のうち特定の領域に対応する画像を、他の領域に対応する画像とは異なる態様にて投射する工程を含む、付記13乃至16のいずれか一に記載の検査方法。
[付記18]
第4の視点に係る端末のとおりである。
[付記19]
検査対象を識別する検査対象識別情報を入力する入力部と、
画像を投射する投射部と、
前記検査対象識別情報と、検査対象に関する検査画像と、を1つのレコードとして関連付けて保存するデータベースが構築された記憶部と、
を備える端末の制御方法であって、
前記データベースから、入力された前記検査対象識別情報に対応する前記検査画像を検索する工程と、
前記検索された検査画像を投射する工程と、
を含む、端末の制御方法。
[付記20]
検査対象を識別する検査対象識別情報を入力する入力部と
画像を投射する投射部と、
前記検査対象識別情報と、検査対象に関する検査画像と、を1つのレコードとして関連付けて保存するデータベースが構築された記憶部と、
を備える端末を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記データベースから、入力された前記検査対象識別情報に対応する前記検査画像を検索する処理と、
前記検索された検査画像を投射する処理と、
を実行させるプログラム。
なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non−transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【0071】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。