(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出部は、前記アンテナ切替制御部が前記アンテナ選択スイッチに選択させているアンテナを示す情報を用いて、前記複数のアンテナが配置された範囲におけるRFIDタグの存在位置を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の近傍無線通信用のRFIDタグのリーダ。
前記アンテナ切替制御部は、前記アンテナ選択スイッチが選択するアンテナの切替のタイミングを規定する切替パターンにしたがって、前記アンテナ選択スイッチに選択させるアンテナを切り替え、
前記切替パターンが規定する切替パターンは、前記RFIDタグのリーダと通信可能に接続する外部の機器が変更自在に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の近傍無線通信用のRFIDタグのリーダ。
前記アンテナ選択スイッチが選択するアンテナの切替パターンは、前記複数のアンテナを所定の時間間隔で順次切り替えながら選択することを規定するスキャンパターンを含み、
前記ソフトウェアは、前記アンテナ切替制御部を制御して、前記スキャンパターンにおける時間間隔を変更する機能を、前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項8または9に記載の近傍無線通信システム。
前記アンテナ選択スイッチが選択するアンテナの切替パターンは、前記複数のアンテナのうちの一部のアンテナから構成されるサブセットを順次切り替えながら選択することを規定するサブセット選択パターンを含み、
前記ソフトウェアは、前記アンテナ切替制御部を制御して、前記サブセット選択パターンにおいてスキャン対象となるサブセットを構成するアンテナを変更する機能を、前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の近傍無線通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態の概要を述べる。本発明の実施の形態に係る近傍無線通信システムは、RFIDタグと通信するためのアンテナを複数備え、そのアンテナを切り替えながらRFIDタグと通信する。複数のアンテナのうちRFIDタグと通信したアンテナの位置から、RFIDタグの存在位置を検出する。
【0013】
図1は、実施の形態に係る近傍無線通信システム100の全体構成を模式的に示す図である。実施の形態に係る近傍無線通信システム100は、情報処理装置200、近傍無縁通信用のRFIDタグのリーダ300、および1以上の近傍無線通信用のRFIDタグ400を含む。以下簡便のため、「近傍無縁通信用のRFIDタグのリーダ300」および「近傍無線通信用のRFIDタグ400」を、それぞれ「RFIDタグのリーダ300」、「RFIDタグ400」と記載する。
【0014】
情報処理装置200は、RFIDタグのリーダ300と通信可能に接続する。これは例えば既知のUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等による有線接続や、Bluetooth(登録商標)等による無線接続技術を利用して実現できる。情報処理装置200は図示しないCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を備え、RFIDタグのリーダ300から取得したRFIDタグ400の情報を利用したアプリケーションソフトウェアを実行したり、RFIDタグのリーダ300の一部の機能を制御したりする。情報処理装置200の一例としては、例えばPC(Personal Computer)や家庭用の据え置き型のゲーム機、あるいは携帯ゲーム機、スマートフォンやタブレットPC等の携帯電子機器、業務用のアーケードゲーム機、あるいは現実世界の映像に仮想の映像を重畳して表示可能なメガネ型の表示デバイスを含むウェアラブルコンピュータ等があげられる。
【0015】
図1に示す例では、符号400aから400fで示す6つのRFIDタグ400が図示されているが、RFIDタグ400の数は6つに限られず、これ以上でも以下でもよい。以下特に区別の必要がない限り、RFIDタグ400と総称する。
【0016】
図2は、実施の形態に係る情報処理装置200とRFIDタグのリーダ300との機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置200は、RFIDタグのリーダ300と通信する通信部202を備え、情報処理装置200を統括的に制御するオペレーティングシステム204の制御の下、ソフトウェア206を実行する。
【0017】
RFIDタグのリーダ300は、通信部302、演算部303、送受信部306、および切替パターン記憶部316を備える。
図2は、実施の形態に係る情報処理装置200とRFIDタグのリーダ300を実現するための機能構成を示しており、その他の構成は省略している。
図2において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メインメモリ、その他のLSI(Large Scale Integration)で構成することができ、ソフトウェア的には、メインメモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0018】
演算部303は、検出部314とアンテナ切替制御部312とを含む。演算部303は、既知のマイクロコンピュータを用いて実現されており、RFIDタグ400に送信するためのデータや、RFIDタグ400から受信したデータの処理を実行する。演算部303中の検出部314およびアンテナ切替制御部312については後述する。
【0019】
送受信部306は、RFIDタグ400との間で情報の送受信を行う。これを実現するために、実施の形態に係る送受信部306は、変調部304、復調部318、1以上のアンテナ308、およびアンテナ選択スイッチ310を備える。
【0020】
変調部304は、演算部303からRFIDタグに送信するためのデータを取得し、取得したデータでRFIDタグ400との通信に用いる搬送波を変調する。復調部318は、RFIDタグ400から受信した搬送波に重畳されたデータを復調する。
【0021】
以下、実施の形態に係る変調部304は、NFC(Near Field Communication)の通信規格にしたがって搬送波を生成することを前提として説明する。このため、アンテナ308とRFIDタグ400とは、NFCの通信規格にあった周波数(13.56MHz)の搬送波を電磁誘導を利用して送受信する。しかしながら、NFCとは異なる別の通信規格にしたがう場合であっても本発明が成立することは、当業者であれば明らかである。
【0022】
図2においては、符号308を付して総称しているが、実施の形態に係る送受信部306は複数のコイルアンテナを含む。各コイルアンテナは所定の範囲内に広がりを持って配置されており、それぞれRFIDタグと通信可能な通信範囲を有している。
【0023】
図3は、実施の形態に係るアンテナ308が備えるコイルアンテナの配置の一例を模式的に示す図である。
図3は、送受信部306は16個のコイルアンテナを含み、各コイルアンテナの形状は矩形の場合の例を示している。一般に、コイルアンテナの形状が矩形の場合、RFIDタグ400との間で通信可能な通信範囲の形状もおおよそ矩形形状となる。
図3に示すアンテナ308の配置例では、1から16までの通し番号が振られた各矩形領域が、それぞれ16個のコイルアンテナの通信範囲を示している。以下本明細書において、1から16までの符号が振られた各矩形領域に対応するコイルアンテナを、それぞれコイルアンテナ1〜コイルアンテナ16と呼ぶことがある。
【0024】
図3に示す例では、各コイルアンテナの通信範囲は同様の広さを持ち、かつ各コイルアンテナの通信範囲に重複がないように隙間なく並べられている。結果として、送受信部306は、ひとつのコイルアンテナを用いる場合と比較して16倍の広さの通信範囲を持つ。
【0025】
上述したとおり、RFIDタグのリーダ300は、RFIDタグ400と通信するために、搬送波を変調したり復調したりするための電力を要する。ここでRFIDタグのリーダ300が、例えば情報処理装置200とUSBケーブルで有線接続されており、情報処理装置から給電される場合は、RFIDタグのリーダ300は十分な電力供給が受けられる。しかしながら、RFIDタグのリーダ300と情報処理装置200とが無線通信する場合には、RFIDタグのリーダ300はバッテリで駆動する。あるいは、情報処理装置200自体がバッテリで駆動する場合には、RFIDタグのリーダ300と情報処理装置200とが有線接続されていても、システム全体としてはバッテリで駆動することになる。
【0026】
また、複数のコイルアンテナをRFIDタグ400と同時に通信するためには、同時通信に使用するコイルアンテナの分だけ変調部304および復調部318も必要となり、コストもかかる。
【0027】
そこで実施の形態に係るRFIDタグのリーダ300は、アンテナ308が有する複数のコイルアンテナの中から、RFIDタグのリーダとの間でデータの送受信に用いるひとつのアンテナを選択するアンテナ選択スイッチ310を備える。またアンテナ切替制御部312は、アンテナ選択スイッチ310に選択させるアンテナの切り替えを制御する。アンテナ選択スイッチ310は、例えば既知の高周波スイッチング素子を用いて実現できる。
【0028】
ここでアンテナ切替制御部312は、アンテナ選択スイッチ310が選択するコイルアンテナの切替のタイミングを規定する切替パターンにしたがって、アンテナ選択スイッチに選択させるアンテナを切り替える。コイルアンテナの切替パターンは切替パターン記憶部316に格納されている。切替パターンが規定する切替パターンの例としては、複数のコイルアンテナを所定の時間間隔で順次切り替えながら選択することを規定するスキャンパターンである。スキャンパターンにしたがう場合、アンテナ切替制御部312は、
図3に示す配置例においてコイルアンテナ1からコイルアンテナ16に至るまで、循環的にRFIDタグ400と通信するコイルアンテナを切り替えるようにアンテナ選択スイッチ310を制御する。
【0029】
切替パターンが規定する切替パターンの別の例としては、複数のコイルアンテナのうちの一部のコイルアンテナから構成されるサブセットを順次切り替えながら選択することを規定するサブセット選択パターンである。
図3に示す配置例において、「コイルアンテナから構成されるサブセット」とは、例えばコイルアンテナ1、2、5、6、9、10、13、および14から構成される、通信範囲全体の左反面をカバーするコイルアンテナ群である。サブセット選択パターンにしたがう場合、アンテナ切替制御部312は、コイルアンテナ1、2、5、6、9、10、13、および14の順に循環的にRFIDタグ400と通信するコイルアンテナを切り替えるようにアンテナ選択スイッチ310を制御する。
【0030】
このように、アンテナ切替制御部312が、RFIDタグ400と通信するコイルアンテナを時分割で切り替えるようにアンテナ選択スイッチ310を制御する。これにより、RFIDタグ400と通信するコイルアンテナは瞬間的には常にひとつのみであり、また搬送波の変調および復調に用いる変調部304および復調部318もそれぞれひとつで足りる。RFIDタグ400との間で通信可能な通信範囲を、送受信部306の通信範囲を全体として拡張しつつ、RFIDタグのリーダ300の消費電力抑制、コスト減、および軽量化を実現できる。
【0031】
ところで、上述のアンテナ切替制御部312によるアンテナ選択スイッチ310の制御により、RFIDタグ400との間の通信範囲を拡大することができる。ここで、RFIDタグ400との間の通信範囲を拡大するのみならず、通信範囲内のいずれの位置にRFIDダグが存在するかを検出できると、その情報を情報処理装置200が実行するアプリケーションソフトウェア等で利用することができるようになる。
【0032】
そこで検出部314は、RFIDタグ400が送信する搬送波を複数のコイルアンテナのうちのいずれかのコイルアンテナが受信した場合に、アンテナ切替制御部312がアンテナ選択スイッチ310に選択させているアンテナを示す情報を取得する。ここで「アンテナを示す情報」とは、コイルアンテナを識別するために各コイルアンテナに一意に付された識別子であり、例えば
図3を参照して上述した通し番号である。
【0033】
検出部314は、アンテナ切替制御部312がアンテナ選択スイッチに310選択させているコイルアンテナの通し番号を用いて、複数のコイルアンテナが配置された上述の通信範囲におけるRFIDタグ400の存在位置を特定する。具体的には、検出部314は図示しない記憶部中に
図3に示すようなコイルアンテナの配置マップを保持しており、アンテナ切替制御部312から取得した通し番号に対応するコイルアンテナの配置マップにおける位置を取得する。例えばアンテナ切替制御部312から取得した通し番号が4番の場合、検出部314は、コイルアンテナの配置マップの右上の位置にRFIDタグ400が存在すると判定する。このように、RFIDタグ400と通信したコイルアンテナの位置をもとにそのRFIDタグの位置を検出できる。
【0034】
図4は、実施の形態に係るRFIDタグのリーダ300を収納する筐体の天面を示す図であり、RFIDタグのリーダ300の筐体の天面を上面から見た場合の図である。
図4に示す例では、アンテナ308に含まれる複数のコイルアンテナはRFIDタグのリーダ300の筐体の天面に配置されている。
図4において、1から16までの通し番号が振られた各円形領域に、コイルアンテナが設置されている。すなわち、
図4における1から16までの通し番号が振られた円形領域は、
図3における1から16までの通し番号が振られた矩形領域に対応する。RFIDタグ400がRFIDタグのリーダ300の筐体の天面に置かれると、その場所を通信範囲に含むコイルアンテナはRFIDタグ400と通信することができる。
【0035】
続いて、検出部314によるRFIDタグ400の位置検出を利用したアプリケーションの一例を説明する。
【0036】
図5は、複数のRFIDタグ400が、実施の形態に係るRFIDタグのリーダ300の上に配置されている様子を示す図である。
図5においては、RFIDタグ400a〜400eまでの5つのRFIDタグ400が、RFIDタグのリーダ300の筐体の天面上に置かれている。RFIDタグ400a〜400eは、それぞれ絵柄が記載されたカード形状の駒内に内蔵されている。しかしながら、RFIDタグ400は必ずしもカードに内蔵される必要はなく、この他にも例えばフィギュアの台座に設置されたり、将棋でいうところの駒に内蔵されたりするなどの種々の態様が考えられる。
【0037】
図5に示す例では、
図4における円形領域1にRFIDタグ400a、
図4における円形領域2にRFIDタグ400b、
図4における円形領域7にRFIDタグ400cおよび400d、
図4における円形領域8にRFIDタグ400eが置かれている。ここでアンテナ切替制御部312は、スキャンパターンにしたがい、円形領域1に対応するコイルアンテナ1から、円形領域16に対応するコイルアンテナ16に至るまで、循環的にRFIDタグ400と通信するコイルアンテナを切り替えるようにアンテナ選択スイッチ310を制御したとする。このとき、コイルアンテナ1、2、7、および8は、RFIDタグ400から搬送波を受信する。
【0038】
円形領域7には、RFIDタグ400cの上にRFIDタグ400dが重ねて置かれている。しかしながら、実施の形態に係る実施の形態に係るコイルアンテナはNFCの通信規格にしたがった搬送波を送受信するため、コイルアンテナ7は重ねて置かれたRFIDタグ400cとRFIDタグ400dとの両者とも独立に通信することができる。コイルアンテナ1、2、7、および8がRFIDタグ400から受信した搬送波は復調部318においてデータ(以下、単に「RFIDタグ400のデータ」ということがある。)が分離される。分離されたデータは、検出部314が取得した位置情報(以下、単に「RFIDタグ400の位置情報」ということがある。)とともに、通信部302を介して情報処理装置200に出力される。
【0039】
実施の形態において、情報処理装置200が実行するソフトウェア206は、RFIDタグのリーダ300から取得したRFIDタグ400のデータと、その位置情報とを利用するアプリケーションソフトウェアであり、一例としてはゲームアプリケーションソフトウェアである。
【0040】
図6は、実施の形態に係る情報処理装置200が実行するソフトウェア206によって生成されるゲーム画面の一例を模式的に示す図であり、
図5に示す5つのRFIDタグ400のデータおよび位置情報をもとに、情報処理装置200が実行するソフトウェア206が処理して生成された画面である。以下簡便のため、例えば「情報処理装置200が実行するソフトウェア206が処理して生成」することを、単に「ソフトウェア206生成」と簡略化して記載する。なお、ソフトウェア206が生成したゲーム画面は、情報処理装置200が備えるか、または情報処理装置200と接続する表示部(図示せず)に表示される。
【0041】
図6において符号301で示す平板は、ソフトウェア206が仮想の3次元空間内に生成した仮想のゲーム板であり、RFIDタグのリーダ300の天面に対応する画像である。
図6は、チェスや将棋のような対戦型ボードゲームを想定したゲームの画面を例示する図である。ユーザはRFIDタグ400を、いわば「駒」として動かしながら対戦する。
【0042】
ソフトウェア206が取得するRFIDタグ400のデータは、そのRFIDタグ400の種類を特定するためのID(IDentifier)も含まれる。ソフトウェア206は、IDをもとにRFIDタグ400の種類に応じた画像を生成し、仮想のゲーム板301におけるRFIDタグ400の存在位置に生成した画像を表示する。
【0043】
なお、仮想のゲーム板301はソフトウェア206が生成する映像である。ソフトウェア206は必ずしも実在するRFIDタグのリーダ300の天面を模倣して生成する必要はなく、例えば砂浜や草原、月面や海底洞窟など、舞台を自由に設定してゲーム画面を生成してもよい。また、RFIDタグのリーダ300は電磁場を用いて非接触でRFIDタグ400と通信する。このため、RFIDタグのリーダ300の天面に絵柄を記載したシートを配置しても通信は保たれる。このとき、天面に配置するシートにもRFIDタグ400を備えさせることで、ソフトウェア206は、シートの絵柄と同様の絵柄のゲーム画面を生成することもできる。
【0044】
より具体的には、
図5におけるRFIDタグ400aの種類は、チェスのポーンであり、円形領域1に置かれている。そこでソフトウェア206は、
図6に示す仮想のゲーム板301における円形領域1に対応する位置に、ポーンの映像を生成する。
図5におけるRFIDタグ400eもRFIDタグ400aと同様にチェスのポーンであるから、ソフトウェア206は、
図6に示す仮想のゲーム板301における円形領域8に対応する位置に、ポーンの映像を生成する。
【0045】
ここで
図5における円形領域7には、「大砲」を示すRFIDタグ400cの上に、「人物」を示すRFIDタグ400dが重ねて置かれている。そこでソフトウェア206は、
図6に示す仮想のゲーム板301における円形領域7に対応する位置に、「大砲」の上に「人物」の映像を生成する。このように、ソフトウェア206は、ひとつのコイルアンテナが複数のRFIDタグ400からデータを同時に受信した場合、それら複数のRFIDタグ400からデータを独立に受信した場合と比較して、異なる映像を生成してもよい。これにより、例えばキャラクタにアイテムや魔法を装備させる演出や、ふたつのアイテムを合成ないし合体して新たなアイテムを生成する演出等、ゲーム性を高めるための演出が可能となる。
【0046】
図7は、実施の形態に係るRFIDタグのリーダ300が実行するアンテナ切り替え処理の流れを説明するフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えばRFIDタグのリーダ300の電源が投入されたときに開始する。
【0047】
アンテナ切替制御部312は、コイルアンテナの切替のタイミングを規定する切替パターンを切替パターン記憶部から取得して設定する(S2)。アンテナ選択スイッチ310は、アンテナ切替制御部312の制御の下、複数のコイルアンテナの中から、RFIDタグのリーダとの間でデータの送受信に用いるひとつのコイルアンテナを選択する(S4)。
【0048】
変調部304は、検出部314が生成したコイルアンテナの検出に用いる検出信号で搬送波を変調し、選択したコイルアンテナに送信させる(S6)。検出信号を受信したRFIDタグ400は、存在を知らせるための応答信号を送信する。選択しているコイルアンテナがRFIDタグ400が送信した応答信号を受信した場合(S8のY)、検出部314は、検出部314中の図示しないアンテナ番号一時記憶部に搬送波を受信したコイルアンテナを識別するアンテナ番号を記憶する(S10)。検出部314はまた、応答信号を元にその応答信号を送信したRFIDタグ400にユニークデータの読み取り信号を送信し、そのRFIDタグ400に書かれているユニークなデータを読み出す(S12)。検出部314は、読み出したRFIDタグ400のデータを一時記憶部に記憶する(S14)。選択しているコイルアンテナがRFIDタグ400が送信した搬送波を受信しない場合は(S8のN)、アンテナ番号を記憶する処理をスキップする。
【0049】
なお、コイルアンテナの検出に用いる検出信号とは、例えばISO14443−Aで規定されているREQAコマンドであり、応答信号とは、例えばISO14443−Aで規定されているATQAレスポンスである。
【0050】
切替パターンが規定する選択すべきコイルアンテナを一巡するまでの間(S16のN)、ステップS4からステップS14までの処理を繰り返し、搬送波を受信したコイルアンテナを識別するアンテナ番号およびRFIDタグ400のデータを記憶する処理を継続する。切替パターンが規定する選択すべきコイルアンテナを一巡すると(S16のY)、検出部314は、一時記憶したアンテナ番号を元にRFIDタグ400の位置を検出する(S18)。検出部314は、検出したRFIDタグ400の位置を示すデータ含むRFIDタグ400のデータを、通信部302に送信させる(S20)。
【0051】
通信部302が情報処理装置200にデータを送信すると、本フローチャートにおける処理は終了する。RFIDタグ400は以上の処理を繰り返すことで、RFIDタグ400の位置検出を継続する。
【0052】
ここで上述したとおり、
図6に示すゲームの例において、ユーザはRFIDタグ400を駒として動かす。このとき、例えばユーザがRFIDタグ400を持ち上げてコイルアンテナの通信範囲外まで移動すれば、ソフトウェア206はその位置情報の変化からユーザがいずれのRFIDタグ400の移動を望んでいるかを判定することができる。
【0053】
しかしながら、ユーザが実際にRFIDタグ400を動かす前であっても、ユーザがRFIDタグ400に触れた時点でその触れたことを検出できれば、ソフトウェア206はその検出結果を用いてあらたな演出が可能となる。具体的には、ユーザがRFIDタグ400に触れた旨のデータを取得した場合、ソフトウェア206は、対応する映像を仮想のゲーム板301から浮かせたり、振動させたりする映像を生成する等の演出が可能となる。
【0054】
図8は、実施の形態に係るRFIDタグ400の機能構成を模式的に示す図である。実施の形態に係るRFIDタグ400は、復調部404、タグアンテナ408、変調部418、演算部420、伝送電力取得部422、およびタッチセンサ424を備える。
【0055】
伝送電力取得部422は、タグアンテナ408を介してRFIDタグのリーダ300から送られる伝送電力を取得する。RFIDタグのリーダ300から送られる伝送電力は一般に交流であるが、RFIDタグ400の各部は直流で動作する。そこで、伝送電力取得部422は交流を直流に変換する整流回路や、過大な電圧がかかることを防止する電圧制限回路等、既知の技術によって実現される。RFIDタグ400の各部は、伝送電力取得部212が取得した電力で動作する。なお図示はしないが、RFIDタグ400が電池等の電力供給源を備えるいわゆるアクティブタグの場合は、RFIDタグ400の各部はその電力で駆動してもよい。
【0056】
タグアンテナ408は、RFIDタグのリーダ300中のアンテナ308が送信する搬送波を受信するとともに、RFIDタグのリーダ300に搬送波を送信する。タッチセンサ424は、ユーザによるRFIDタグの接触を検出する。タッチセンサ424は、抵抗膜方式や静電容量方式等、既知の検出技術を用いて実現できる。
【0057】
演算部420は、タッチセンサ424が接触を検出した場合、検出を示す情報をデータ化する。変調部418は、タグアンテナ408を介してRFIDタグのリーダ300に送信するために、演算部420が生成したデータやRFIDタグ400の種類を示すデータで変調された搬送波を生成する。タグアンテナ408は演算部420が生成した搬送波をRFIDタグのリーダ300に送信する。これにより、ソフトウェア206は、RFIDタグのリーダ300を介して各RFIDタグ400のタッチセンサが検出した情報を取得することができ、ユーザがRFIDタグ400に触れた時点で映像に演出を加えることができる。
【0058】
以上、RFIDタグ400のデータと、その位置情報とを利用するソフトウェア206の一例として、ボードゲームを想定したゲームのプリケーションソフトウェアを前提に説明した。ソフトウェア206が実現するゲームアプリケーションはボードゲームに限られず、別の例としてはいわゆる「モグラたたきゲーム」のようなものを想定してもよい。
【0059】
実施の形態に係る近傍無線通信システム100を用いると、モグラたたきゲームは例えば以下のような態様で実現できる。まず、モグラたたき用にハンマーを模した道具を用意し、ハンマーの頭部ないし鎚の部分にRFIDタグ400を設置する。ソフトウェア206は、
図6と同様に、RFIDタグのリーダ300の天面に対応する画像を生成して表示部に表示させる。この画像において、各円形領域に対応する位置が、「モグラ」の出てくる穴である。
【0060】
ソフトウェア206はさらに、天面に対応する画像に加え、「モグラ」に相当する画像を周期的またはランダムに生成して表示部に表示させる。ユーザは表示部を観察し、「モグラ」が出現したときに、RFIDタグのリーダ300の天板において「モグラ」の出現した位置に対応する円形領域をハンマーを模した道具でたたく。ユーザがRFIDタグのリーダ300の天板をたたくと、RFIDタグのリーダ300と道具に設置したRFIDタグ400との距離が通信可能な距離まで近づくため、ソフトウェア206はユーザが天板をたたいたタイミングを知ることができる。ソフトウェア206は、「モグラ」を表示したタイミングと、ユーザが天板をたたいたタイミングとを比較して、モグラたたきに成功したか否かを判定する。
【0061】
ここで、「モグラたたきゲーム」と前述した「ボードゲーム」とを比較すると、アンテナ切替制御部312は、「モグラたたきゲーム」を実行するときの方が、「ボードゲーム」を実行するときよりも、コイルアンテナの切り替え周期を早くする。すなわち、「ボードゲーム」においては、ユーザは駒の移動場所を考える等の理由により、RFIDタグ400を動かすのは数十秒から1分以上かかると考えられる。したがって、アンテナ切替制御部312は、コイルアンテナを1秒で一巡する程度の周期で切り替えれば足りる。
【0062】
一方、「モグラたたきゲーム」は、少なくとも「モグラ」を表示する頻度と同程度の周期でコイルアンテナを一巡させる必要がある。「モグラ」の出現頻度が1秒から数秒に1回としても、コイルアンテナは16個あるため、アンテナ切替制御部312は数十から数百ミリ秒でコイルアンテナを一巡するのが望ましい。
【0063】
そこで、実施の形態に係るアンテナ切替制御部312は、通信部302を介して、ソフトウェア206を実行する情報処理装置200から指令を受けて、切替パターンを変更自在に構成されている。具体例としては、アンテナ切替制御部312が例えば切替パターンとして上述したスキャンパターンを設定しているときは、ソフトウェア206からの指示により、コイルアンテナを切り替える時間間隔を変更する。別の例として、アンテナ切替制御部312が上述したサブセット選択パターンを設定しているときは、ソフトウェア206からの指示により、サブセットを構成するコイルアンテナを変更する。
【0064】
このように、アンテナ切替制御部312が外部からの命令で切替パターンを変更することにより、近傍無線通信システム100が実行するアプリケーションの要求仕様に柔軟に対応することができる。
【0065】
以上述べたように、実施の形態に係る近傍無線通信システム100によれば、近傍無線通信の際の通信可能な範囲を広げるとともに、その範囲内に存在するタグの位置を検出する技術を提供することができる。
【0066】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0067】
(第1の変形例)
上記の
図3に示す例では、各コイルアンテナの通信範囲は同様の広さを持ち、かつ各コイルアンテナの通信範囲に重複がないように隙間なく並べられている場合について説明した。コイルアンテナの配置方法はこれに限られない。以下変形例として、コイルアンテナの配置の別の例について説明する。
【0068】
図9は、実施の形態の変形例に係るアンテナ308が備えるコイルアンテナの配置の一例を模式的に示す図である。
図9に示す例において6個のコイルアンテナの形状および大きさは、
図3に示す例における各コイルアンテナの形状および大きさと同様である。しかしながら、
図9に示す例は、複数のコイルアンテナの少なくとも一部が、1以上の他のコイルアンテナの少なくとも一部と重複するように配置されている。この結果、複数のコイルアンテナの通信範囲の少なくとも一部が、1以上の他のアンテナの通信範囲の少なくとも一部と重複する。
【0069】
図9における各番号は
図3におけるコイルアンテナの通し番号に対応する。例えば
図9における領域350は、コイルアンテナ1の通信範囲の一部である。一方、領域352は、コイルアンテナ1とコイルアンテナ2との通信範囲が重複する領域である。同様に、領域354はコイルアンテナ1、2、5、および6の通信範囲が重複している。以下同様であり、
図9における各領域に記された番号は、その領域を通信範囲とするコイルアンテナの番号を意味する。
【0070】
ここで、
図9に示す例におけるコイルアンテナの通信範囲と
図3に示す例におけるコイルアンテナの通信範囲とは同じ広さである。したがって、
図9においてコイルアンテナ1の通信範囲は、領域350、352、354、および356で示す領域を合わせた領域である。
図3に示す例では、RFIDタグ400が、領域350、352、354、および356で示す領域に接した場合、コイルアンテナ1とのみ通信可能となった。一方、
図9に示す例では、RFIDタグ400が、領域350と接する場合はコイルアンテナ1とのみ通信可能であるが、領域352、354、または356に接する場合は、コイルアンテナ1とは異なる他のコイルアンテナとも通信可能となる。
【0071】
例えばRFIDタグ400がコイルアンテナ1、2、5および6の全てと通信可能な場合、検出部314は、そのRFIDタグ400が領域354にあることを特定できる。このように、複数のコイルアンテナの通信範囲の少なくとも一部が、1以上の他のアンテナの通信範囲の少なくとも一部と重複するように配置することで、検出部314によるRFIDタグ400の位置検出の分解能を向上することができる。すなわち、
図3に示す例における位置検出の分解能は、ひとつのコイルアンテナの通信範囲と同等である。これに対し、
図9に示す例は、
図3に示す例と同じコイルアンテナを用いても、RFIDタグ400の位置検出の分解能は
図3に示す例よりも細かくなる。より具体的には、
図9に示す例は、
図3に示す例と同じ16個のコイルアンテナを用いて、7行7列の合わせて49カ所の位置を検出できる。
【0072】
ところで、
図9に示す例は、アンテナ308の端の領域は、中央の領域と比較して、RFIDタグ400を検出する領域の面積が大きくなる。例えば、領域350の面積は、領域354の面積よりも大きい。ソフトウェア206が実現するアプリケーションによっては、アンテナ308全体として均一な分解能であることが求められる場合もある。そこで、アンテナ308全体として均一な分解能とするために、異なる大きさのコイルアンテナを用いてもよい。
【0073】
図10(a)−(d)は、大きさの異なる4つのコイルアンテナを模式的に示す図である。
図10(d)は、
図3における各コイルアンテナと同じ大きさである。
図10(a)は、
図3におけるコイルアンテナ1、4、13、および16の代わりに用いるコイルを示す。
図10(b)は、
図3におけるコイルアンテナ2、3、14、および15の代わりに用いるコイルを示す。
図10(c)は、
図3におけるコイルアンテナ5、8、9、および12の代わりに用いるコイルを示す。コイルアンテナ6、7、10、および11は、
図10(d)に示すコイルアンテナ、すなわち
図3における各コイルアンテナと同じ大きさのコイルを用いる。
【0074】
図11は、異なる大きさのコイルアンテナを用いる場合のコイルアンテナの配置例を模式的に示す図であり、具体的には
図10(a)−(d)に示すコイルアンテナを用いたコイルアンテナの配置例を示す図である。
図11における領域350’、352’、354’、および356’は、それぞれ
図9における領域350、352、354、および356と対応する。
図11における領域354’の広さと
図9における領域354の広さとは同じである。また、
図11における領域350’、352’、および356’の広さも、
図9における領域354と同じとなる。これにより、
図11に示す例では、RFIDタグ400の位置検出の分解能は、アンテナ308全体として均一となる。
【0075】
(第2の変形例)
上記の説明では、情報処理装置200が実行するソフトウェア206が生成した仮想の3次元空間内に生成した仮想の映像を、表示部に表示する場合について説明したが、仮想の映像の提示方法はこれに限られない。
【0076】
第2の変形例に係る近傍無線通信システム100において、情報処理装置200は、現実世界の映像に仮想の映像を重畳して表示可能なメガネ型の表示デバイス(図示せず)を含むウェアラブルコンピュータである。情報処理装置200はソフトウェア206を実行することで、固体撮像素子が流し撮りする映像を表示することができる。情報処理装置200はさらに、既知のAR(Augmented Reality)技術を用いることで、固体撮像素子が撮像する映像の上に、仮想の映像を重畳して表示することができる。
【0077】
第2の変形例に係る近傍無線通信システム100のユーザは、メガネ型の表示デバイスを装着してRFIDタグのリーダ300を観察する。このとき、RFIDタグのリーダ300の天板上にRFIDタグ400が存在する場合、ソフトウェア206は、現実に存在するRFIDタグのリーダ300の天板上の映像に重畳させるために、RFIDタグ400に応じて映像を生成する。これにより、ユーザは現実に存在するRFIDタグのリーダ300とともに、その上に重畳された仮想の映像を楽しむことができ、ゲーム性を高めることができる。
【0078】
(第3の変形例)
図9および
図11を参照して説明した例では、1つのコイルアンテナが、最大で9つの異なるタグを検出する必要がある。例えば
図9に示す例において、コイルアンテナ1は、領域350、352、354、および356で示される4つの領域に置かれたタグを同時に検出する必要がある。同様に、例えば
図11に示す例においてコイルアンテナ11は、9つの領域に置かれたタグを同時に検出する必要がある。また、
図11に示す例では各コイルアンテナの大きさが異なるため、コイルアンテナ毎にタグ検出の際に実行すべき処理が異なる。そこで、第3の変形例に係るRFIDタグ400は、各コイルアンテナが検出すべきタグの数を減らし、かつ各コイルアンテナの大きさが均一となるように構成されている。
【0079】
図12(a)−(d)は、第3の変形例に係るコイルアンテナの配置例を説明するための図である。
図12(a)は、同一形状のコイルアンテナが4行4列の合わせて16個のコイルアンテナ1〜16を並べて構成したアンテナを示す。
図12(b)は、
図12(a)を構成するコイルアンテナと同一形状のコイルアンテナを、3行4列の合わせて12個(コイルアンテナa〜l)並べて構成したアンテナを示す。同様に
図12(c)は、
図12(a)を構成するコイルアンテナと同一形状のコイルアンテナを、4行3列の合わせて12個(コイルアンテナA〜L)並べて構成したアンテナを示す。
【0080】
図12(d)は、第3の変形例に係るアンテナ308の配置例を模式的に示す図である。第3の変形例に係るコイルアンテナは、
図12(a)−(c)に示すアンテナを3層重ねて構成されている。より具体的に、第3の変形例に係るコイルアンテナは、
図12(a)−(c)に示すアンテナの中心(図中「×」で示す。)が一致するように重ねて構成される。
【0081】
第3の変形例に係るアンテナ308がRFIDタグ400を検出可能な範囲は、
図12(a)に示す16個のコイルアンテナを並べた範囲と同じである。また、
図12(d)に示す8×8=64の領域は、それぞれ重複しているコイルアンテナの組合せが異なる。したがって、第3の変形例に係るアンテナ308の分解能は、
図12(d)に示す8×8=64の領域まで向上する。さらに、分解能はアンテナ308の全体として均一となり、各コイルアンテナの大きさも均一である。また、ひとつのコイルアンテナが検出する必要があるRFIDタグ400の最大数を4つに抑えることができる。
【0082】
なお、
図12では、
図12(a)−(c)に示す合計40個のアンテナを組み合わせて、64個の領域においてRFIDタグを検出可能なアンテナ308を示したが、使用するアンテナの数は40個に限られない。例えば、4×4=16個の領域においてRFIDタグを検出可能なアンテナ308を構成する場合は8個のコイルアンテナで足り、10×10=100個の領域においてRFIDタグを検出可能なアンテナ308を構成するためには、65個のコイルアンテナを使用する。また、アンテナ308がRFIDタグ400を検出可能な範囲の形は正方形に限らず、例えば長方形であってもよいし、またコイルアンテナを組み合わせて構成できればどのような形状であってもよい。
【0083】
(第4の変形例)
上記では、アンテナ選択スイッチ310は、アンテナ308の中の1つのコイルアンテナと、1つのスイッチ回路とを1対1に対応付け、1つのスイッチ回路を選択することで1つのコイルアンテナを選択する場合について説明した。ここで、1つのコイルアンテナを選択する際には、コイルアンテナの入力側と出力側とを選択する必要がある。したがって、上記に示したアンテナ選択スイッチ310は、N個のコイルアンテナを選択可能にするために、2N個のスイッチ回路を要する。このため、アンテナ308を構成するコイルアンテナの数が増えるとスイッチ回路の数も増大し、回路規模やコストが増加する。
【0084】
そこで第4の変形例に係るアンテナ選択スイッチ310は、第1スイッチ回路330と第2スイッチ回路332とを備え、第1スイッチ回路330が選択したスイッチと、第2スイッチ回路が選択したスイッチとの組合せによって、1つのコイルアンテナを特定する。以下、2つのスイッチ回路の組合せによるコイルアンテナの特定について説明する。
【0085】
図13は、第4の変形例に係るアンテナ選択スイッチ310の比較例を示す図である。
図13には、4行4列の16個のコイルアンテナが示されている。
図13に示す例では、コイルアンテナの列はAからDまでの4つの大文字のアルファベットで示され、コイルアンテナの行はaからdまでの4つの小文字のアルファベットで示される。このとき、
図13に示す16個のコイルアンテナは、列を示す大文字のアルファベットと行を示す小文字のアルファベットの組合せによって一意に特定できる。例えば、
図13に示すコイルアンテナ8は、(D,b)で特定できる。
【0086】
第1スイッチ回路330は4つの端子A〜Dを備え、コイルアンテナの列を選択するように各コイルアンテナと電気的に接続されている。一方、第2スイッチ回路332は4つの端子a〜dを備え、コイルアンテナの行を選択するように各コイルアンテナと電気的に接続されている。例えば、
図13に示すコイルアンテナ8を選択するためには、第1スイッチ回路330が端子Dを選択するとともに、第2スイッチ回路332が端子bを選択すればよい。なお、スイッチ選択部334は、アンテナ切替制御部312の制御の下、第1スイッチ回路330と第2スイッチ回路332とが選択する端子を切り換える。
【0087】
ここで第1スイッチ回路330における端子の個数は4であり、第2スイッチ回路332における端子の個数も4である。したがって、
図13に示すように第1スイッチ回路330と第2スイッチ回路332との組合せでコイルアンテナを特定することで、16個のコイルアンテナを4+4=8個のスイッチで特定することができる。
【0088】
一般に、特定対象とするコイルアンテナの数をAとしたとき、Aは2つ約数mとnとを用いてA=m×nと表せる。1≦i≦m、1≦j≦nとするm+n個の数字の組合せ(i,j)はm×n=A通り存在するため、A個のコイルアンテナをそれぞれm+n個の数字の組合せ(i,j)で一意に割り当てることができる。その上で、第1スイッチ回路330をm個の端子を選択自在となるように構成し、かつ第2スイッチ回路332をn個の端子を選択自在となるように構成することにより、結果としてA個のコイルアンテナをm+n個のスイッチで特定することが可能となる。なお、第1スイッチ回路330のm個の端子は、ぞれぞれn個のコイルアンテナと並列に接続し、かつ、各端子が接続するコイルアンテナの組合せは互いに排他的である。同様に、第2スイッチ回路332のn個の端子は、ぞれぞれm個のコイルアンテナと並列に接続し、かつ、各端子が接続するコイルアンテナの組合せは互いに排他的となる。
【0089】
図13は、A=16であり、m=n=4の場合の例を示す。ここで必ずしもm=nである必要はなく、例えばm=2、n=8であってもよい。この場合、16個のコイルアンテナを2+8=10個のスイッチで特定することができる。なお、mとnとの値が近いほど、コイルアンテナを特定するために要するスイッチの数を少なくすることができる。したがって、m、nは、m×n=Aの条件の下、|m−n|が最小となる数字の組合せを採用するのが好ましい。例えば、A=72の場合、(m,n)=(8,9)または(9,8)が好ましい。
【0090】
なお、m、nの選択は、実際のコイルアンテナの配置の仕方には依存しないことには留意すべきである。例えば、72個のコイルアンテナが18行4列の縦長に配置されている場合であっても、(m,n)=(8,9)または(9,8)すなわち例えば第1スイッチ回路330が8個の端子を選択自在に構成し、第2スイッチ回路332が9個の端子を選択自在に構成し、かつ各コイルアンテナが第1スイッチ回路330において接続する端子と第2スイッチ回路332において接続する端子との組合せによって一意に特定されるように接続すればよい。またmまたはnのいずれかが1の場合は、
図2に示した1つのコイルアンテナと、1つのスイッチ回路とを1対1で対応付ける場合と同様の構成となる。
【0091】
ところで、アンテナ308を構成する各コイルアンテナはループ形状であり、ループを流れる電流に誘導される磁気を用いて通信する。ここで、例えば
図13に示す例においてコイルアンテナ10を選択した場合を考える。具体的には、第1スイッチ回路330が端子Bを選択し、第2スイッチ回路332が端子cを選択した場合である。このとき、当然ながらコイルアンテナ10に電流が流れ、磁界が誘導される。これにより、コイルアンテナ10に近接するRFIDタグ400と通信することができる。
【0092】
一方、第1スイッチ回路330における選択中の端子Bから、第2スイッチ回路332における選択中の端子cに至るまでの電流経路もループ形状となり、アンテナとして機能しうる。この電流経路が構成するループはコイルアンテナ2、3、4、6、7および8を含む大きさとなる。このため、
図13に示す回路構成では、コイルアンテナ10を選択すると、コイルアンテナ10に近接するRFIDタグ400のみならず、コイルアンテナ2、3、4、6、7および8を含む領域にあるRFIDタグ400をも検知してしまう可能性がある。
【0093】
そこで第4の変形例に係るアンテナ選択スイッチ310では、第1スイッチ回路330において接続する端子から、第2スイッチ回路332において接続する端子に至るまでの電流経路が構成するループ内に、他のコイルアンテナが含まないように、アンテナ選択スイッチと接続する。
【0094】
図14は、第4の変形例に係るアンテナ選択スイッチ310の構成を模式的に示す図である。第4の変形例に係るアンテナ選択スイッチ310は、第1スイッチ回路330、第2スイッチ回路332、およびスイッチ選択部334を備え、これらはそれぞれ
図13に示す第1スイッチ回路330、第2スイッチ回路332、およびスイッチ選択部334と同様である。
【0095】
第4の変形例に係るアンテナ選択スイッチ310も、
図13に示すアンテナ選択スイッチ310の比較例と同様に、第1スイッチ回路330が選択する端子と第2スイッチ回路332が選択する端子との組合せによって、各コイルアンテナを一意に特定する。しかしながら、第4の変形例に係るアンテナ選択スイッチ310においては、第1スイッチ回路330における選択中の端子から、第2スイッチ回路332における選択中の端子に至るまでの電流経路が、
図13に示すアンテナ選択スイッチ310の比較例とは異なる。
【0096】
より具体的には、
図14に示すように、コイルアンテナが配置されているエリア内において、アンテナ選択スイッチ310から各コイルアンテナの入出力端子を結ぶ電流経路は、互いに配線を共有することはなく、コイルアンテナ毎に専用の配線で接続される。コイルアンテナ毎の専用の配線を用いることで、各コイルアンテナの入力端子と出力端子とを接続する2本の配線を近接させることが可能となる。結果として、これらの配線が形成するループ内から他のコイルアンテナを排斥することが可能となり、またこれらの配線が擬似的なアンテナを構成することを抑制できる。
【0097】
(第5の変形例)
上記では、RFIDタグ400がタッチセンサ424を備える場合について説明した。これに代えて、あるいはこれに加えて、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300は、タッチセンサを備える。
【0098】
図15は、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300が備えるタッチセンサ500の一例を模式的に示す図である。
図15に示す例は、タッチセンサ500は4行4列に配置された16個のセンサモジュール502を備える。煩雑となることを防止するために、
図15において1つのセンサモジュールにのみ符号502を付しているが、以下特に区別する場合を除いて複数のセンサモジュールを「センサモジュール502」として総称する。
【0099】
センサモジュール502は、例えば既知の静電容量方式のセンサを用いることで実現できる。既知の技術であるため詳細な説明は省略するが、センサモジュール502は縦方向の接触位置を検出する第1電極504と横方向の接触位置を検出する第2電極506とを備える。ユーザの指が直接、または導体を介してRFIDタグのリーダ300の表面に触れたときに、各電極とRFIDタグのリーダ300の表面との間の静電容量の変化を検出することで、センサモジュール502はその接触位置を検出する。
【0100】
図15に示すタッチセンサ500はセンサモジュール502が4行4列に配置されており、例えば
図14に示すようにコイルアンテナが4行4列に配置されたアンテナ308と組み合わせて用いられる。詳細は後述するが、例えばRFIDタグ400を内蔵する検出対象物(例えばカードやフィギュア等)に導体を内蔵させることにより、RFIDタグのリーダ300の表面に接触するオブジェクトの種類と、実際に接触したか否かの認識が可能となる。具体的には、アンテナ308がRFIDタグ400と通信することで、オブジェクト内のRFIDタグ400の種類を取得でき、タッチセンサ500は検出対象物が実際にRFIDタグのリーダ300の表面と接触したか否かを認識できる。
【0101】
図16は、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300の断面を、RFIDタグ400の断面とともに模式的に示す図である。
図16に示すように、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300は、その表面となる天板340に近接してアンテナ308が配置される。タッチセンサ500の第1電極504および第2電極506と、天板340との間には、第1誘電体510、導体508、第2誘電体512の順番に積層されて配置される。
【0102】
上述したように、タッチセンサ500は第1電極504および第2電極506を含むため、仮に天板340とアンテナ308との間にタッチセンサ500を配置すると、アンテナ308とRFIDタグ400との通信が困難となる。このため、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300は、天板340、アンテナ308、タッチセンサ500の順番に配置する構成となっている。また、アンテナ308とタッチセンサ500との間に距離を設けるため、アンテナ308とタッチセンサ500との間に第1誘電体510が挿入されている。
【0103】
限定はしないが、一例として、天板340は縦の長さが30cm、横の長さも30cm程度の大きさである。この場合、
図15に示すように天板340の下部にセンサモジュール502を4行4列のに均等に配置すると、センサモジュール502の大きさはおおよそ2〜3cmとなる。そうすると、ユーザの指が天板340に触れたときに、第1電極504と第2電極506とが同時に接触を検知できない場合が起こりうる。ユーザの指が触れる領域の大きさよりも、第1電極504や第2電極506が大きいからである。
【0104】
そこで第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300は、第1誘電体510と第1電極504および第2電極506との間に導体508が配置されている。これにより、第1電極504と第2電極506とが安定して接触を検知できるようになる。また、導体508と第1電極504や第2電極506とが接触してショートすることを防ぐため、導体508と第1電極504および第2電極506との間に第2誘電体512を備える。
【0105】
図17は、コイルアンテナとセンサモジュール502との大きさおよび位置の関係を模式的に示す図であり、
図17に示すように、円形のコイルアンテナの内部に収まるように、センサモジュール502の第1電極504と第2電極506とが配置される。また第1電極504と第2電極506とを被覆するように導体508が配置される。
【0106】
図18は、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300の機能構成を模式的に示す図である。第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300は、
図2に示すRFIDタグのリーダ300と比較して、さらにタッチセンサ500、タッチ検出部364、第1整合回路360、および第2整合回路362を備える。その他の構成要素は
図2に示すRFIDタグのリーダ300と同様であるが、タッチ検出部364と区別するために、
図2における検出部314は
図18においてタグ検出部314と記載する。
【0107】
タッチ検出部364は、タッチセンサ500の各センサモジュール502における第1電極504および第2電極506の静電容量の変化をもとに、天板340における接触位置を検出する。タッチ検出部364が検出した接触位置は、通信部302を介して情報処理装置200に送信される。
【0108】
上述したとおり、RFIDタグのリーダ300は複数のコイルアンテナを備え、時分割で切替ながらRFIDタグ400と通信する。このため、通信中のコイルアンテナ毎にインピーダンス等を整合する。これを実現するために、RFIDタグのリーダ300は第1整合回路360と第2整合回路362とを備える。ここで第1整合回路360は全てのコイルアンテナと接続しており、各コイルアンテナの性能を一括して調整する。これに対し、第2整合回路362は特定のコイルアンテナにのみ接続する。より具体的には、第2整合回路362は、第1整合回路360による性能調整よりも高い性能の調整を要するコイルアンテナに接続される。
【0109】
上述したように、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300は、アンテナ308とタッチセンサ500とが併存する。このため、アンテナ308とタッチセンサ500との位置関係等によって、RFIDタグ400との間の通信性能が低下するコイルアンテナも存在しうる。第2整合回路362は、このような通信性能が他のコイルアンテナと比較して低下したコイルアンテナと接続される。
【0110】
図19は、RFIDタグのリーダ300の天板340の外観の一例を模式的に示す図である。
図19に示す例では、アプリケーション用のRFIDタグ400が置かれるアプリケーション用載置エリア342と、汎用的なRFIDタグ400が置かれる汎用載置エリア344を備える。アプリケーション用載置エリア342は、上述したアンテナ308が配置される。一方、汎用載置エリア344には、アンテナ308よりも高い通信性能が要求されるコイルアンテナが独立して配置される。
【0111】
汎用載置エリア344に配置されるコイルアンテナは、多様なアンテナサイズや通信特性を持つ、例えばICカードやNFC対応の携帯電話等の機器との通信が想定される。このため、汎用載置エリア344には上述したタッチセンサ500は配置されず、またコイルアンテナに専用の第2整合回路362を接続することで、より高い通信性能を担保する。なお、アプリケーションの種類によっては、天板340に図柄等が描かれた専用のシートを被覆した状態で使用される。天板340に専用のシートを被覆したときに、汎用載置エリア344に対応する箇所にシートを識別するためのRFIDタグ400を埋め込むことで、情報処理装置200は適切なシートが被覆されているか否かを検出できる。
【0112】
続いて、タッチセンサ500を利用したアプリケーションについて説明する。
【0113】
RFIDは数mmから数十mmの通信距離があり、コイルアンテナに触れる前にRFIDタグ400を認識する。コイルアンテナまたは天板340にRFIDタグ400が実際に接触する前に、RFIDタグ400認識することになる。アクション系のアプリケーションの操作は触ったことを判別したいケースが存在するため、第5の変形例に係るRFIDタグのリーダ300は、接触の検出にタッチセンサ500を利用する。
【0114】
図20は、タッチセンサ500を利用したアプリケーションの一例を示す図である。
図20に示す例は、上述した「モグラたたきゲーム」に用いられるハンマーを模した道具を示す図である。この道具はモグラをたたくためのハンマー部600と、ユーザが把持するための持ち手部602とを含む。また、ハンマー部600には、RFIDタグ400および導体604が取り付けられている。導体604は例えば導電性のゴムである。
【0115】
ここで、持ち手部602も導体で構成されており、持ち手部602と導体604とは配線606を介して電気的に接続されている。このため、ユーザが持ち手部602を把持してハンマー部600で天板340を叩くと、ユーザとセンサモジュール502とが電気的に接続し、タッチセンサ500は接触を検知することができる。
【0116】
図21(a)−(c)は、タッチセンサ500を利用したアプリケーションの別の例を示す図である。より具体的に、
図21(a)−(c)は、移動型のメカニカルボタン700の構成を示す図である。また
図22は、
図21(a)−(c)に示すメカニカルボタン700をRFIDタグ400の天板340に載置したときの様子を示す図である。
【0117】
図21(a)−(c)はそれぞれ、メカニカルボタン700を実現するための異なる構成を示している。
図21(a)に示す例では、メカニカルボタン700は、変形自在な側面カバー710と上面カバー702とで覆われる空間内に、RFIDタグ400と弾性部材708とを収納してできている。上面カバー702は弾性部材708に接続されており、ユーザが上面カバー702を押下すると、弾性部材708の抵抗でクリック感を得ることができる。RFIDタグ400はメカニカルボタン700の内側において、上面カバー702と接続している。
【0118】
図21(b)に示すメカニカルボタン700は、変形自在な側面カバー710と導電部材704とで覆われる空間内に、弾性部材708を収納してできている。
図21(b)に示す例では、RFIDタグ400はメカニカルボタン700の外側において、導電部材704と接続している。
図21(b)に示すメカニカルボタン700をユーザが押下すると、弾性部材708の抵抗でクリック感を得ることができる。同時に、導電部材704と天板340とが接触することで、タッチセンサ500はタッチを検出することができる。
【0119】
図21(c)に示すメカニカルボタン700は、
図21(a)に示す例と同様に、変形自在な側面カバー710と上面カバー702とで覆われる空間内に、RFIDタグ400と弾性部材708とを収納してできている。また、RFIDタグ400はメカニカルボタン700の内側において、上面カバー702と接続している。
【0120】
図21(c)に示す例では、上面カバー702の外側と、RFIDタグ400の下側(天板340と接触する側)に、導電部材704が配置されているとともに、これらの導電部材が導線706を介して電気的に接続している。このため、
図21(c)に示すメカニカルボタン700をユーザが押下すると、ふたつの導電部材704および導線706を介してユーザの指が天板340と電気的に接続するため、タッチセンサ500はタッチを検出することができる。
【0121】
メカニカルボタン700は移動可能であるため、
図22に示すように天板340上に自由に配置することができる。メカニカルボタン700の種類は内蔵するRFIDタグ400で行い、メカニカルボタン700の押下の有無はタッチセンサ500が担う。構造が単純であるため製造コストを抑えることができ、また耐久性がある。デザインの自由度を高めることも可能となる。
【0122】
なお、タッチセンサ500として静電容量方式を例に説明したが、タッチセンサ500は静電容量方式に限られず、抵抗膜方式や圧力センサ、振動センサ、メカニカルスイッチ、光センサとLEDとの組合せ等でも実現できる。特にタッチセンサ500として圧力センサや振動センサを用いる場合、RFIDタグのリーダ300は、天板340、アンテナ308が配置され、圧力センサや振動センサ等のタッチセンサ500の順番に積層されて配置される。
【0123】
(第6の変形例)
上記では、RFIDタグのリーダ300の各検出対象物が、RFIDタグ400を1つのみ備える場合を主に説明した。第6の変形例においては、RFIDタグのリーダ300の検出対象物は複数のRFIDタグ400を備える。
【0124】
図23は、第6の変形例に係る検出対象物800が、RFIDタグのリーダ300の天板340上に載置されている様子を示す図である。
図23に示す例では、天板340上にカード型の検出対象物800aおよび検出対象物800bが載置されている。検出対象物800aおよび検出対象物800bは、それぞれ3つのRFIDタグ400が内蔵されている。より具体的に、検出対象物800aはRFIDタグ400a、RFIDタグ400b、およびRFIDタグ400cを備え、検出対象物800bはRFIDタグ400d、RFIDタグ400e、およびRFIDタグ400fを備える。
【0125】
図23に例示するように、第6の変形例に係る検出対象物800は、3以上のRFIDタグ400が配置されている。ここで、各RFIDタグ400は、アンテナ308が検知できる距離、すなわちコイルアンテナの分解能よりも長くなるように距離を設けて配置される。これにより、アプリケーションを実現するソフトウェア206は、タグ検出部314が検出した各RFIDタグ400の存在位置をもとに、天板340に載置された検出対象物800の向きないし回転角を判定することが可能となる。
図23は、検出対象物800aは時計方向に30度ほど傾いており、検出対象物800aに記載されたPの文字も傾いていることを示している。
【0126】
ソフトウェア206はまた、タグ検出部314が検出した複数のRFIDタグ400の存在位置をもとに、天板340に載置されたカード型の検出対象物800の表裏を判定することもできる。
図23に示す例では、検出対象物800bは検出対象物800aと比較して表裏が反転しており、検出対象物800bに記載されたPの文字も鏡文字となっている。なお、検出対象物800の表裏を判定するためには、3以上のRFIDタグ400が一直線上に並ばないように配置することが好ましい。より具体的には、任意の異なるふたつのRFIDタグ400を通る直線上からずれた位置に他のRFIDタグ400が存在するように配置される。
【0127】
なお、検出対象物800が例えばフィギュアのような立体的な物体の場合、天板340に載置される際に表裏は存在しない。このような場合、検出対象物800は少なくとも2つのRFIDタグ400を備えればよい。ソフトウェア206は、天板340に載置された3次元のときの立体的な検出対象物800の傾きを判定ですることができる。