(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、紙などの紙葉類にファイリング用のパンチ穴を穿孔する穿孔装置は、載台上に1枚若しくは複数枚のシート(束)を載置し、載台の上部に昇降可能に配置したパンチ部材をハンドルレバーの手動操作で押下して穿孔するものと、印刷機、複写機などから搬出されたシートをその経路途中で自動的に穿孔するものが知られている。
【0003】
前者はシート(束)を載置する載台と、この載台上方に円柱状のパンチ部材を上下動自在に配置し、これを操作レバーで押し下げてシートを貫通させる穿孔機構として広く知られている。
また、後者は順次搬出されるシートを所定の処理位置にセットし、これにパンチ部材を駆動モータで押下して穴あけする穿孔機構として印刷システムの仕上げ装置などに組み込まれて使用されている。
そしてこれらの装置は、2個所、3個所若しくは4個所など統一した規格に従って穴数、穴間隔が設定されている。
【0004】
そこで従来、後者の装置としては例えば特許文献1に開示されている構造が知られている。同文献には複数のパンチ部材を直線状に配列し、このパンチ部材と直交する方向に往復動するカム板を設け、このカム板に設けたカム溝で、これに嵌合したパンチ部材を穿孔方向に上下動する穿孔機構が開始されている。
このような穿孔機構では、パンチ動作時の駆動トルクが大きく同時に操作音が大きい衝撃音を発する問題がある。
【0005】
このため駆動トルクの低減と操作音の静音化が求められる。そこで例えば特許文献2に提案されている機構はパンチ部材を回転させながら穿孔方向に上下動させている。これによって穿孔負荷トルクの低減と静音化が可能となる。
同文献には、パンチ部材と受動歯車と円筒カム部材を一体化し、このパンチユニット(パンチムーブメント)に所定ストロークで往復動するラックから回転運動を伝達する。
【0006】
そして円筒カムとフレームのカムピンとの間でパンチ部材の回転を、穿孔方向に上下動するパンチ機構が
図1に開示されている。
また、同文献
図9には、異なる実施形態としてパンチ部材に偏心カムで穿孔方向の上下運動を伝達し、装置フレームに固定した傾斜したカム溝で回転運動を生起する機構が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように複数のパンチ部材をカム機構で穿孔方向に上下運動させる際に、前述の特許文献1のように駆動モータに連結したカムプレートをパンチ部材と直交する方向に所定ストロークで往復動するパンチ機構を採用すると、複数のパン部材で2穴4穴などを同時に穿孔すると負荷トルクが増大し、同時に操作音が衝撃音を発する問題が知られている。
【0009】
特許文献2のようにパンチ部材を回転させながら穿孔方向に上下動する機構(スピンパンチャ機構という)が提案されている。従来は同文献
図1に開示されているように所定ストロークで往復動するラックによって複数のパンチ部材に回転力を伝達している。
このためパンチ部材には、ラックと噛合する受動歯車と回転を穿孔方向運動に変換する円筒カムが一体形成されている。
【0010】
このように形成されたパンチムーブメント(パンチ刃、受動歯車、円筒カム)は比較的大型で高質量となる。これと共にパンチ部材に回転を伝達するラックは穿孔方向と直交する方向に所定ストロークで往復動可能に配置されるためシート幅方向に大型となる問題も抱えている。
【0011】
また特許文献2には
図9に異なる実施形態として、パンチ部材に偏心カムで穿孔方向運動を伝達し、その穿孔方向直線運動を装置フレームに設けた傾斜カム溝で回転運動に変換する構造が開示され、パンチ部材を穿孔方向に移動する際に付勢スプリングに蓄力して偏心カムによって待機位置から穿孔方向に移動した後に付勢スプリングの蓄力で待機位置に復帰させる穿孔機構が開示されている。
【0012】
この機構ではパンチ部材のみが穿孔方向に移動することとなり、一見負荷トルクが低減するようにみえるが、実質的には待機位置から穿孔方向に移動するときに付勢スプリングに蓄力する関係で2倍以上の負荷トルクを要する。このため、トルク低減化と低騒音化を期待することは出来ない。
【0013】
そこで本発明者は、駆動手段からパンチ部材に回転力を付与し、その回転を穿孔方向に分岐する際に、パンチ部材と従動歯車とカム部材を分離してパンチ部材のみが回転しながら待機位置から穿孔位置に往復動するように構成するとの着想に至った。
【0014】
本発明は、駆動回転軸の所定方向回転で、複数のパンチ部材を回転しながら待機位置から穿孔位置に穿孔動作させるのと同時に穿孔位置から待機位置に復帰移動することが可能であり、穿孔動作のトルク低減と、省消費電力化と、騒音振動の低減化が可能である穿孔装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を達成するため本発明は、駆動モータの回転を複数のパンチ部材に回転運動として伝達し、カム手段でパンチ部材を回転しながら穿孔方向運動に変換する装置であって、複数のパンチ部材を穿孔方向に移動可能に支持する装置フレームと、前記各パンチ部材に回転運動を伝達する駆動回転軸と、前記駆動回転軸の回転を前記各パンチ部材に回転運動として伝達する伝動手段と、前記各パンチ部材の回転運動を穿孔方向運動に変換するカム部材と、前記駆動回転軸を所定方向に回転する駆動モータとを備える。
【0016】
前記伝動手段は、前記駆動回転軸に取り付けられた駆動側歯車と、前記各パンチ部材に取り付けられた従動側歯車とで構成し、前記カム手段は、前記各パンチ部材のロッド状軸部を嵌挿する中空孔と、この中空孔に形成された溝カムと、この溝カムと係合する各パンチ部材のロッド状軸部に形成されたカムピンとで構成する。
前記溝カムは、各パンチ部材の一方向回転で刃先部を上死点と下死点との間で一往復させるV字形状に形成し、前記各カム部材は、前記装置フレームに固定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、駆動モータの回転をパンチ部材に回転運動として伝達し、装置フレームに固定したカム部材で穿孔方向に移動するようにしたものであるから、穿孔のためのムーブメントはロッド形状のパンチ軸のみであり、その質量と慣性力が軽減され、駆動トルクの低下と、低消費電力化と低騒音化と低振動化が達成される。
【0018】
これと共に、パンチ部材は回転しながら穿孔方向に移動するため、高速穿孔が可能であり、厚紙などの穿孔も可能である。
またカム部材は駆動モータの一方向回転でパンチ部材を待機位置から穿孔位置、そして待機位置に移動するため拘束で円滑な穿孔動作が可能である。
【0019】
パンチ部材のみが回転しながら穿孔方向に移動するため、駆動モータなどの駆動トルクを低減することが可能であり、同時に複数のパンチ部材を連続的に穿孔させる時に衝撃音を発することがない低騒音、振動の装置を折ることができる。
【0020】
更に本発明は、距離を隔てた上下フレーム部材間にパンチ部材を、穿孔方向に移動可能に軸受支持する。そして軸受部の上方に受動歯車、上下軸受の間にV字状溝カムを配置することによって装置を小型コンパクトな構成とすることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。
図1は本発明に係わる紙葉類穿孔装置の全体構成を示す斜視図であり、
図2はその正面図である。
【0023】
図1に示す紙葉類穿孔装置Aはシートに2穴又は4穴の穿孔(装置構成によっては2穴又は3穴の選択穿孔)を選択的に施す装置構成を示す。
紙葉類穿孔装置Aは装置フレーム30とパンチ部材40と駆動手段50で構成されている。
【0024】
装置フレーム30は、複数のパンチ部材40を装備(マウント支持)するベースフレーム31と、穿孔するシートを載置する紙載フレーム35で構成されている。
図2に示すように、ベースフレーム31と紙載フレーム35の間にはシートを挿入する間隙Sdが形成され、両フレームの長さ(幅方向長さ)はシートの幅方向(搬送直交方向)長さLxより長く形成されている。
このようにシートの挿入隙間Sdを形成して上方にベースフレーム31が、下方に紙載フレーム35が配置され、ベースフレーム31には後述する複数のパンチ部材31が、紙載フレーム35には刃受け孔38と屑紙片の収納ボックスが配置されている。
【0025】
ベースフレーム31は穿孔方向Z(
図1、
図2上下方向)に距離Hfを有する上部フレーム31aと、下部フレーム31bで構成されている。
図示のベースフレーム31は断面コ字形状のチャンネル鋼材で構成され、上部フレーム31aと下部フレーム31bは間隔Hfを隔てて一体成形されている。この間隔Hfは、後述するパンチ部材40のパンチ軸42を上部フレーム31aと下部フレーム31bそれぞれに軸受け支持したとき各パンチ軸42を安定してガタつきなく、摺動運動させることが可能な軸受けスパン(Hf)に設定してある。
【0026】
上記紙載フレーム35には後述するパンチ部材40と対向する位置にダイ(刃受孔)38が設けられている。そして紙載フレーム35の下方にはダイ38から落下した屑紙片の収納ボックス(不図示)が設けられている。
【0027】
上記ベースフレーム31には、
図2に示すように複数のパンチ部材40(40a,40b,40c,40d)が所定間隔で配置されている。
つまりベースフレーム31にはシート幅方向Lxに所定の間隔で複数のパンチ部材40が支持され、各パンチ部材はシート幅方向に直線を形成するように配列されている。
【0028】
図示の装置は4つのパンチ部材をシート幅方向に配列する装置構成(2穴3穴切り換え穿孔)を示す。複数のパンチ部材40は、第1パンチ部材40b、40cと第2パンチ部材40a、40b、40c、40dにグループ分けされ、第1パンチ部材40b、40cはシートに2穴の穿孔を施し、第2パンチ部材40a〜40dはシートに4穴の穿孔を施すように配置されている。
この他、複数のパンチ部材40は3穴、4穴切換え穿孔するように構成することも可能であり、その場合には5つのパンチ部材を2穴穿孔の第1グループと3穴穿孔の第2グループに配列する。
【0029】
[パンチ部材の構成]
上述の2穴−3穴切換え構成、2穴−4穴切換え構成、いずれの構成にあってもパンチ部材40はベースフレーム31に穿孔方向(
図2Z方向)に所定ストロークで上下動可能に支持する。この複数のパンチ部材40は同一構造で構成されているので、以下その1つのパンチ部材の構成について、次いでパンチ部材の支持構造について説明する。
【0030】
パンチ部材40は、ロッド形状のパンチ軸42と、その先端部に一体形成された穿孔刃41で構成される。パンチ部材40は、例えばSK鋼材、SUS鋼材などの円柱形状の金属材料を使用して外径形状を所定寸法(外径D)に形成してパンチ軸42とする。
このパンチ軸42の先端部を円柱形状(外径D、内径d)に研磨して穿孔刃41を形成する。この場合パンチ軸42の外径Dと穿孔刃41の外径Dは、図示のものは同一径に構成してあるが、異なる外径寸法であっても良い。
【0031】
また穿孔刃41は
図5に示すように斜裁形状に形成する。同図(b)は断面逆V字形状に、(c)は断面逆U字形状に形成し、何れも先端エッジは斜裁形状に段差Δzを形成している。
このように穿孔刃41の刃先を斜裁形状に構成したのは、パンチ軸42を回転しながら穿孔方向(Z方向)に移動(
図4降下)するとき、被穿孔シートに回転による剪断力と穿孔方向の剪断力の両方を作用させるためである。
【0032】
[パンチ部材の支持構造]
上述のようにパンチ部材40はパンチ軸42とその先端に一体形成された穿孔刃41で構成され、ベースフレーム31に軸受支持される。そしてベースフレーム31に形成された軸受部31g、31hで位置規制され複数のパンチ部材40は直線上に設定された間隔で配列される。
これと共に各パンチ軸42には駆動回転軸52から回転運動が伝達され、後述するカム機構によって各パンチ部材40は回転しながら穿孔方向(
図4Z方向)に移動して穿孔動作する。
【0033】
このため各パンチ部材40はパンチ軸42を上部フレーム31aに軸受部(軸受孔)31gで回転可能に軸受け支持される。この軸受部31gはパンチ軸42を穿孔方向(Z方向)に摺動可能で、回転可能に軸受支持している。
この軸受部31gにはベアリング或いはカラー軸受部材を設けて軸受支持しても良いが、金属材料のベースフレームに軸受孔を精度良く構成することによってパンチ軸を嵌合支持している。
【0034】
パンチ軸42は上部フレーム31aと同様に下部フレーム31bに軸受部31hで軸支持されている。この軸受部31hもパンチ軸42を回転可能で、且つ穿孔方向に摺動可能に軸受け支持している。このようにパンチ部材40は上部フレーム31aの軸受部31gで軸受け支持され、この軸受部31gと距離Hfを隔てた位置で下部フレーム31bの軸受部31hに軸支持されている。
このため各パンチ部材40はベースフレーム31に比較的緊密にガタつくことなく穿孔方向と同時に周回転方向に運動可能に軸受支持されている。
【0035】
特に本発明は、パンチ部材40のパンチ軸42をベースフレーム31に軸受支持することによってパンチ部材と、後述するカム機構(カム部材)と、伝動機構(受動歯車)を同時に支持することを特徴としている。
つまり、複数のパンチ部材40を回転しながら穿孔方向に移動可能にフレームに支持する際に、各パンチ部材40のパンチ軸42を軸受け支持することによって、伝動機構である後述する受動側傘歯車44とカム機構(後述のカム部材45)を位置保持する。
これによって各構成部品の加工が容易であるのと同時に組立てと調整が容易である。また使用過程で位置ズレなどの不具合動作を引き起こすことがない。
【0036】
なお、パンチ部材40のパンチ軸42の長さLpは、上部フレーム31aと下部フレーム31bの間隔Hfより大きく(長く;Lp>Hf)形成され、パンチ軸の上半部(
図4He)は上部フレーム31aから上方に突出するように構成されている。
そしてこのパンチ軸42の上半部42aに受動側傘歯車44が嵌合され、下半部42bにカム部材45が嵌合される。その構成については後述する。
【0037】
装置フレーム30は、上述の上部フレーム31aと下部フレーム31bとは別に側枠フレーム48a、48bを備えている。
図1に示すように一方の側枠フレーム48a(
図1左側)には、駆動モータMが取付けられている。
また、左右の側枠フレーム48a、48b間には駆動モータMに連結された駆動回転軸52が回転可能に取付けられている。図示48c、48dはブラケットであり、駆動回転軸52を回転可能に軸支持している。この各ブラケット48c、48dは上部フレーム31aに固定(図示のものはネジ止め)されている。
【0038】
そして駆動回転軸52は、上部フレーム31aに配列された複数のパンチ部材40の配列方向に沿って配置され、各パンチ軸42の上端面が駆動回転軸52と交差(直交)する位置関係に配置されている。
この各パンチ軸42には、受動側傘歯車44a、44b、44c、44dが嵌合支持され、駆動回転軸52には駆動側傘歯車55a、55b、55c、55dが嵌合支持されている。この駆動側傘歯車55と受動側傘歯車44とは互いに噛合するようにモジュール設定されている。また図示54は駆動回転軸52に嵌合したピンであり、駆動側傘歯車55を固定している。
【0039】
各パンチ軸42と受動側傘歯車44との嵌合関係を
図4に従って説明する。同図に示すように外径Dのパンチ軸42に受動側傘歯車44の係合孔47が嵌合されている。係合孔47の内径cdはパンチ軸外径Dより若干大きく(cd>D)形成し、パンチ軸42は受動側傘歯車44の係合孔47に穿孔方向移動可能に遊嵌してある。
【0040】
そしてパンチ軸42には係合ピン43が貫通され、この係合ピン43で受動側傘歯車44の回転がパンチ軸42に伝達される。また嵌合孔47には係合ピン43の穿孔方向に移動を許容するスリット溝47Sが嵌合孔47の周面に連結するように配置されている。
これによってパンチ軸42の係合ピン43はスリット溝47Sに沿って穿孔方向に摺動可能に嵌合されている。このスリット溝47Sはパンチ軸42の移動ストロークLs(上死点と下死点との距離)より長く形成されている。
【0041】
このような構成においてパンチ軸42と受動側傘歯車44とは、歯車の回転はパンチ軸42に伝達され、パンチ軸42は受動側傘歯車44から独立して穿孔方向に移動可能となる。そしてパンチ軸42には回転運動を穿孔方向運動に変換するカム機構が設けられている。本発明のカム機構はパンチ軸42と装置フレーム30(図示のものはベースフレーム31)との間に配置されていることを特徴としている。
【0042】
図4に従ってカム機構を説明する。パンチ軸42の外周にはカム部材45が配置され、このカム部材45にはパンチ軸42のカムピン37と係合するカム溝45Cが設けられている。
図4に示す形態では上部フレーム31aと下部フレーム31bとの間に位置するパンチ軸42にカムピン37が植設されている。そしてこのパンチ軸42の外周にカム部材45が配置され、カムピン37と係合するカム溝?が設けられている。
【0043】
図示のカム部材45は、穿孔方向上下に2分割、若しくは左右に2分割された第1カム部材45Aと第2カム部材45Bで構成されている。このようにカム部材45を2分割したのは、内部にパンチ軸42を収容する組立作業を容易にする目的と、周方向にカム溝を形成する加工を容易にするためである。これと共にカム部材45を装置フレームに固定する固定機構を簡便化するためである。
【0044】
図5に従ってパンチ部材42とカム部材45の組立構造について説明する。
同図(a)に示すようにベースフレーム31は上部フレーム31aと下部フレーム31bが一体形成され、間隔Hfが設けられている。
カム部材45はこの間隔Hfの間に上部(第1)カム部材45Aと下部(第2)カム部材45Bが上下に組合わされている。この上下のカム部材の間にカム溝45Cが形成されている。
【0045】
図6(a)はカム部材45にパンチ軸42を嵌合した状態を示し、カム部材45は上部材カム部材45Aと下部カム部材45Bで構成され、両部材の合体部(結合部)にカム溝45Cが形成されるようになっている。
各カム部材の中心にはパンチ軸42を遊嵌する嵌合孔が形成してある。このパンチ部材の嵌合孔(不図示)は、パンチ軸42の外径より大きい内径でパンチ部材が円滑に穿孔方向に往復動出来るクリアランスが形成されている。
【0046】
下部カム部材45Bは
図4に示すようにリング形状のブッシュ31vを介して下部フレーム31bに支持(載置)され、上部カム部材45Aは上部フレーム31aに支持(圧接)れている。
そこでブッシュ31vをゴムなどの弾性部材で構成すると下部カム部材45B、カムピン37、上部カム部材45Aの順に上方に重ね合わせられ、弾性部材(ブッシュ)31vの弾圧力で下部フレーム31bと上部フレーム31aの間に上下カム部材45が合体した状態で固定される。
【0047】
これと共に、上部カム部材45Aと下部カム部材45Bには、パンチ軸42を嵌挿する嵌合孔とは異なる位置に係止ピン45Pの貫挿孔45zが設けられている。
従って上下のカム部材45A、45Bは互いにパンチ軸方向(穿孔方向;Z方向)に上下合体されると共に、各パンチ部材のパンチ軸42が嵌装され、このパンチ軸の嵌合孔とは異なる位置に形成された貫挿孔45zに係止ピン45Pが嵌装され、この係止ピン45Pは上部材フレーム31aと下部フレーム31b(上下フレームの何れか一方であっても良い)に貫通されている。
【0048】
このようにカム部材45は上下に2分割され、間隔Hfを有する上部フレーム31aと下部フレーム31bの互いに対向する壁面間に保持され、この上部カム部材45Aと下部カム部材45Bとの互いに合体する面にカム溝45Cが形成されている。
また、上下2分割されたカム部材45は上部フレーム31aと下部フレーム31bの間隔Hf(パンチ軸の軸受スパン)間にゴムなどの弾性部材(ブッシュ)31vで弾圧支持されている。
【0049】
本発明は、上述したように各パンチ軸42の周囲にカム部材45を配置し、カム部材45をフレームに固定したこと、カム部材45を穿孔方向上下に2分割し、上下合体面(接合面)にカム溝45Cを形成したこと、パンチ軸42にブッシュ31vなどの弾性部材を作用させたことを特徴としている。
【0050】
カム部材45を上下2分割することによって各カム部材の加工(例えばモールド成型)が容易である。上下境界面にカム面を形成することによってカム面45Cの加工精度を得ることが出来る。
また、上下2分割したカム部材45に穿孔方向に弾性力を有する弾性部材(ゴムブッシュ、ゴムスペーサなど)31vを設けることによって弾性力を作用させてパンチ軸42のガタつきを防止すことが出来る。
【0051】
なお本発明にあって、ブッシュ31vは下部フレーム31bと下部カム部材45Bとの間に配置する場合を説明したが、ブッシュ31vは、上部フレーム31aと上部カム部材45Aとの間に配置しても、或いは上下カム部材の接合面に弾性スペーサとして配置してもいずれの構成であっても良い。
また、ブッシュ31vは、ゴムスペーサ、コイルスプリングなど穿孔方向に弾圧力を作用させる弾性部材であればよい。
【0052】
図示の装置はパンチ軸42に設けたカムピン37とカム溝45Cが摺接し、パンチ軸42はカム溝45Cに沿って穿孔Z方向に上下動する。このとき
図6(c)に示すようにカムピン37と係合するカム面とは摺動摩擦を軽減するようにカム面に段差45Cδが形成してある。
【0053】
次に各パンチ部材40を穿孔動作させるカム溝45Cの形状について説明する。前述したように図示の実施形態は2穴−4穴切換え穿孔の場合を示し、パンチ部材40は第1グループ(40b、40c;2穴穿孔)と第2グループ(40a、40b、40c、40d;4穴穿孔)に区割されている。
【0054】
カム部材45は、各パンチ軸42の外周に配置され、パンチ軸の軸外径Dより大きい内径の嵌合孔を有している。このカム部材45の嵌合孔とパンチ軸42とは緊密に嵌合する必要なく、嵌合孔内でパンチ軸42が回転運動と穿孔方向の往復運動を自由に行える程度に遊嵌されている。
各嵌合孔の内周面にはパンチ軸42に植設したカムピン37と係合するカム溝45Cが形成されている。このカム溝45Cは略V字状(U字状、ウェーブ形状)で穿孔方向(
図6Z方向)に傾斜したV−カム面45αと、水平−カム面45βを備えている。
【0055】
そこで
図6に示すように、第1グループのカム溝には2ヶ所、第2グループのカム溝には1ヶ所にV字形状のカム溝(V−カム面)が設けられている。
このカム溝45Cに沿ってパンチ軸42が回転すると第1グループのパンチ部材40b、40cは2ヶ所で、第2グループのパンチ部材40a〜40dは1ヶ所で上死点の待機位置Wpと、下死点の穿孔位置Apとの間で往復動する。
【0056】
例えば後述する駆動モータMでパンチ軸42と嵌合している各受動側傘歯車44を所定の基準位置(例えば0度)から180度に回転すると第1グループのパンチ部材40b、40cが待機位置Wpから穿孔位置Apに移動し、連続して待機位置Wpに復帰する。このときシートには2穴穿孔が施される。
また、この0度から180度の角度範囲には第2グループのパンチ部材40a〜40dのカムピンが係合するカム溝は水平−カム面45βが形成されているので第2グループのパンチ部材40a〜40dは待機位置Wpに保持されている。
【0057】
同様に、各受動側傘歯車44を例えば180度から360度範囲で回転すると第2グループのパンチ部材(図示の実施形態では全てのパンチ部材)40a〜40dが待機位置Wpから穿孔位置Apに移動し、引き続いて待機位置Wpに復帰する。このときシートには4穴穿孔が施される。
つまり、第2グループを形成する全てのパンチ部材には駆動回転軸52の180度から360度範囲ではカム溝はすべてV−カム面45αに形成されている。
【0058】
上述のように駆動回転軸52に固定された駆動側傘歯車55には、受動側傘歯車44が噛合されている。受動側傘歯車44は
図4に示すように上部フレーム31aに回転可能に支持されている。
受動側傘歯車44の底面44x(穿孔方向下端面)は上部フレーム上面に摺動可能に支持され、歯車の上面44y(歯形面)は駆動側傘歯車55に支持されている。
そして
図4に図面に示すように、駆動側傘歯車55の駆動回転軸52への取付位置調整によって受動側傘歯車44の高さ位置は調整可能であり、その底面44xは上部フレーム31aの上面壁に支持されている。
従って駆動/受動両歯車の加工精度、駆動回転軸の取付位置ズレなどに関係なく受動側傘歯車44は穿孔方向のガタ付なく組み立てられることとなる。
【0059】
次に駆動機構について
図8にしたがって説明する。装置フレームの側枠48aには駆動モータMが取り付けられ、モータ回転軸から減速ギア46を介して伝動中間軸56に駆動伝達され、駆動回転軸52に駆動伝達されている。駆動回転軸52の回転速度は減速ギア比で設定されている。
【0060】
[駆動モータの回転制御]
前述のモータ回転軸にはエンコーダ57とエンコードセンサ57Sが設けられている。このエンコードセンサ57Sの検出信号で駆動モータMの回転量が検出される。
また、駆動回転軸52には第1フラグf1、第2フラグf2、第3フラグf3が一体に設けてあり、各フラグ位置を検出する第1フラグセンサfs1と第2フラグセンサfs2が装置フレームに配置してある。駆動回転軸52が1回転すると、回転軸に一体に設けられたフラグも1回転することとなる。
【0061】
この第1、第2フラグf1,f2は駆動回転軸52が基準位置から一方向回転(例えば時計方向回転)であるか、反対方向回転(反時計方向回転)であるかを検出する。
そして第1第2フラグセンサfs1,fs2が共にONの時には駆動回転軸52は基準位置(ホームポジション)に位置し、第1フラグセンサON、第2フラグセンサOFFの時には駆動回転軸52は第1グループのパンチ部材40b,40cに穿孔動作させるように位置制御する。
また、第1フラグセンサOFF、第2フラグセンサONの時には駆動回転軸52は第2グループのパンチ部材40a〜40dに穿孔動作させるように位置制御する。
【0062】
次に
図7に従って上述したパンチ部材の動作について説明する。図示しない制御手段は、第1グループのパンチ部材40b、40cに穿孔動作(2穴穿孔)させるか、第2グループのパンチ部材40a〜40dに穿孔動作(4穴穿孔)させるか、予め設定するように構成されている。なお駆動回転軸52は、装置のイニシャライズ動作時に基準位置(ホームポジション)に位置するように制御されている。
【0063】
そこで制御手段は第1グループのパンチ部材40b,40cに設定されたときには駆動モータMを正方向に回転し、第2グループのパンチ部材40a〜40dが設定されたときには逆方向に回転する。
つまり、オペレータが2穴穿孔を選択した時には駆動回転軸52を2穴穿孔のパンチ部材40b,40cが穿孔動作する回転方向に回転し、4穴穿孔を選択した時には駆動回転軸52を4穴穿孔のパンチ部材40a〜40dが穿孔動作する回転方向に回転する。
【0064】
[後処理装置の説明]
次に本発明に係わる画像形成装置Bにおける後処理装置Cの構成を
図10に従って説明する。
図10に示す画像形成システムは、シートに順次印刷を施す画像形成装置Bと、この画像形成装置Bの下流側に付設された後処理装置Cとから構成されている。
そして画像形成装置Bで画像形成したシートを後処理装置Cで印刷済のシートに穿孔処理を施すように構成されている。
【0065】
まず画像形成装置Bは複写機、プリンタ、印刷機など種々の構造のものが採用可能であるが図示のものは静電印刷装置を示す。この画像形成装置Bはケーシング1内に給紙部2と、印字部3と、排紙部4と制御部(図示せず)とが内蔵されている。給紙部2にはシートサイズに応じた複数のカセット5が準備され、制御部から指示されたサイズのシートが給紙経路6に繰り出される。この給紙経路6にはレジストローラ7が設けられ、シートを先端揃えした後所定のタイミングで下流側の印字部3に給送する。
【0066】
印字部3には静電ドラム10が設けられ、このドラム10の周囲には印字ヘッド9、現像器11、転写チャージャ12などが配置されている。そして印字ヘッド9は例えばレーザ発光器などで構成され、静電ドラム10上に静電潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着し、転写チャージャ12でシートに印刷する。
この印刷シートは定着器13で定着され排紙経路17に搬出される。排紙部4には上記ケーシング1に形成した排紙口14と排紙ローラ15が配置されている。尚図示16は循環経路であり、排紙経路17からの印刷シートをスッチバック経路で表裏反転した後再びレジストローラ7に送り、印刷シートの裏面に画像形成する。このように片面若しくは両面に画像形成された印刷シートは排紙口14から排紙ローラ15で搬出される。
【0067】
尚図示20はスキャナユニットであり、上記印字ヘッド9で印刷する原稿画像を光学的に読み取る。その構造は一般的に知られているように原稿シートを載置セットするプラテン23と、このプラテン23に沿って原稿画像をスキャンするキャリッジ21と、このキャリッジ21からの光学像を光電変換する光学読取手段(例えばCCDディバイス)22とから構成されている。また図示のものは原稿シートを自動的にプラテンに給送する原稿送り装置25がプラテン23上に装備してある。
【0068】
そこで上記画像形成装置Bの排紙口14には後処理装置Cが連設してある。この後処理装置Cはシート搬送経路26と、この搬送経路26に配置したパンチユニットAと排紙スタッカ28とから構成されている。シート搬送経路26にはパンチユニットAの上流側に整合手段27が設けられ、シート後端を整合する。
またシート搬送経路26には正逆転ローラ26aが配置され、搬入口29からのシートを整合手段27に突き当て整合し、同時にこの正逆転ローラ26aはパンチユニットAからシートを排紙スタッカ28に搬出する。図示Siはシート検知センサである。
尚パンチユニットAは先に説明した
図1に示す装置若しくは
図8に示す装置で構成されている。
【0069】
このように構成された後処理装置Cは画像形成装置Bから印刷済のシートを搬入口29から受け取り、シート後端をシート検知センサSiで検知し、シート後端が整合手段27を通過したタイミングで正逆転ローラ26aを逆転(図示反時計方向)する。するとシートはスイッチバックされシート後端が整合手段27に突き当て整合される。
この整合後に正逆転ローラ26aは停止し、シートをその位置に保持する。この状態でパンチユニット27は駆動モータMを駆動して前述の穿孔動作を実行する。穿孔動作の実行後は前述のポジションセンサからのエンド信号で正逆転ローラ26aを時計方向に回転しパンチ穴を施されたシートを排紙スタッカ28に搬出する。尚この後処理装置Cには、図示しないがステープルユニット、スタンプユニットなどが装置仕様に応じて組み込まれる。