(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流入部と前記流出部との間の前記周方向の内面部分における短い方の距離D1および、隣同士の前記先端部分それぞれの間の前記周方向の内面部分における短い方の距離D2は、
「距離D1>距離D2」に設定され、
前記隙間は、
任意の前記凹状部が前記流出部に対向した状態での当該凹状部の貯留内容物の多量噴射に続く、少量噴射時の内容物通過域として作用する小隙間である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内容物噴射機構ユニット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1〜
図8を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
なお、図1〜図3,図8はそれぞれ本発明の参考形態を説明するための図である。
【0027】
図1〜
図8を用いた以下の記載では単なる説明の便宜上、噴射対象物が、
図1〜
図7では液状育毛剤であり、
図8では殺虫剤であることを前提としている。
【0028】
なお、これらの図においてアルファベット付き参照番号が示す構成要素(例えば流入部4a)は原則として、アルファベットなしの参照番号の構成要素(例えば噴射ユニット本体4)の一部であることを示す。
【0029】
図1〜
図8において、
1は各種内容物および噴射剤(液化ガス)を収容したエアゾール容器本体,
1aは当該エアゾール容器本体の胴部分上端側に巻き締め加工などにより固定された肩カバー(
図8),
1bは当該エアゾール容器本体と肩カバー1aとの固定部分下方に形成された周知の環凹状部(
図8),
2はエアゾール容器本体1の開口部に取り付けられた周知のマウンティングキャップ,
3はマウンティングキャップ2に取り付けた周知のハウジング(図示省略)に設けられて、内容物噴射操作によりエアゾール容器本体1の内容物を外部空間域に噴射させるための吐出弁作用を呈し、かつ、内容物通過用の通路域を備えた周知のステム(バルブ),
をそれぞれ示している。
【0030】
図1〜
図7において、
4はステム3の出力側に取り付けられた噴射ユニット本体,
4aはステム3の出力側から図示上下方向に続く当該噴射ユニット本体の流入部,
4bは流入部4aの出力側に続く当該噴射ユニット本体の内容物通過用空間域(内容物通過用の閉空間域),
4cは内容物通過用空間域4bから外部へと図示上下方向に通じる当該噴射ユニット本体の流出部(噴射口),
4dは当該噴射ユニット本体の一方の構成要素であって、シャーレ形状の有底円筒部(円筒部分+平行円板の一方),
4eは当該噴射ユニット本体の他方の構成要素であって、有底円筒部4dとともに内容物通過用空間域4bを画定する円形側板部(平行円板の他方),
4fは有底円筒部4d(の底部分)および円形側板部4eの各内面中心部分にそれぞれ形成されて後述の回転軸5c,5c'を受ける一対の凹状部,
4gは流入部4aよりも大径の部分であってステム3が取り付けられる内容物流入側の開口部,
をそれぞれ示している。
【0031】
また、
5は内容物通過用空間域4bに回転可能な形で設けられた、平板形状からなるボール無しの単一の歯車(円板状の回転体:
図1〜
図3),
5aは有底円筒部4dの内周面との間に所定長のクリアランス用小隙間を有している計12箇所の山部(凸状部),
5bは計12箇所のミゾ部(凹状部),
5cは当該歯車の左右側面(上面および下面)の中心部分から外側にそれぞれ形成されて、
図6と同様に一対の凹状部4fに保持される凸状の回転軸,
5'は内容物通過用空間域4bに回転可能な形で設けられた、有底円筒形状からなるボール有りの単一の歯車(円板状の回転体:
図4〜
図6),
5a'は有底円筒部4dの内周面との間に所定長のクリアランス用小隙間を有している計12箇所の山部(凸状部),
5b'は計12箇所のミゾ部(凹状部),
5c'は当該歯車の底面中心からその両側にそれぞれ連続する態様で形成された直線単一形状の回転軸,
5d'は当該歯車の内側回転部分(山部5a,ミゾ部5bが形成されていない中側部分)に設定された凹溝形状の環状空間域(振動噴射用空間域),
5e'は環状空間域5d'の外側内周面に略等間隔でそれぞれ回転軸5c'と略同一方向に形成された計6個の、円柱の一部周面形状からなるリブ状部,
5f'は環状空間域5d'に回転自在な形で配された球状のボール(周方向回転物),
をそれぞれ示している。
【0032】
また、
5''は内容物通過用空間域4bに回転可能な形で設けられた、有底円筒形状からなるボール有りの単一の回転体(円板状の回転体:
図7),
5a''は当該回転体の外周面の幅方向(図面と直交する方向)に回転後方へ傾斜する態様で形成されて、有底円筒部4dの内周面との隙間を有する計12箇所の平板凸状部,
5b''は隣同士の当該平板凸状部の間に設定された計12箇所のV字谷状の凹状部,
5c''は当該回転体の底面中心からその両側にそれぞれ連続する態様で形成されて、
図6と同様に一対の凹状部4fに保持される直線単一形状の回転軸,
5d''は当該回転体の内側回転部分(平板凸状部5a'',凹状部5b''が形成されていない中側部分)に設定された凹溝形状の環状空間域(振動噴射用空間域),
5e''は環状空間域5d''の外側内周面に略等間隔でそれぞれ回転軸5c''と略同一方向に形成された計6個の、円柱の一部周面形状からなるリブ状部,
5f''は環状空間域5d''に回転自在な形で配された、ボール5f'と同一形状のボール(周方向回転物),
をそれぞれ示している。
【0033】
また、
6は隣同士の山部5a,5a'と、当該山部の間のミゾ部5b,5b'と、有底円筒部4dおよび円形側板部4eそれぞれの対向内面部分と、によって画定される計十二個の液溜まり空間域(
図1〜
図6),
6a〜6dは図示の歯車5,5'において、流入部4aから流出部4cまでの、内容物通過用空間域4bの短内周面側に位置する計四個の連続した液溜まり空間域,
7は内容物の噴射対象部位である頭皮,
Lは流出部4cからの多量噴射状態(
図2,
図4),
Sは流出部4cからの少量噴射状態(
図3,
図5),
D1は流入部4aと流出部4cとの間の周方向(円形側板部4eの周縁方向)短部分の距離,
D2は隣同士の山部5a,5a'の間の周方向(円形側板部4eの周縁方向)の距離,
をそれぞれ示している。
【0034】
図8において、
8はステム3の出力側に取り付けられた有底円筒状(流入部や流出部を捨象した当該円筒状部分自体の形状は
図1〜
図7のそれと同一態様)の噴射ユニット本体,
8aはステム3の出力側から図示上下方向に続く当該噴射ユニット本体の流入部,
8bは流入部8aの出力側に続く当該噴射ユニット本体の内容物通過用空間域(内容物通過用の閉空間域),
8cは内容物通過用空間域8bから外部へと図示左右方向に通じる当該噴射ユニット本体の流出部,
8dは流入部8aよりも大径の部分であってステム3が取り付けられる内容物流入側の開口部,
をそれぞれ示している。
【0035】
また、
9は内容物通過用空間域8bに回転可能な形で設けられた、平板形状からなるボール無しの単一の歯車,
9aは噴射ユニット本体8の円筒部内周面との間に所定長のクリアランス用小隙間を有している計8箇所の山部(凸状部),
9bは隣同士の山部9aの間に形成される計8箇所の液溜まり空間域(凹状部),
9cは当該歯車の左右側面(上面および下面)の中心部分から外側にそれぞれ形成されて、
図1〜
図7と同様に噴射ユニット本体8の内周面に設けられた一対の凹状部に保持される凸状の回転軸,
10は流出部8cの出口側に取り付けられたノズルチップ,
10aは当該ノズルチップに設けられた噴射口,
をそれぞれ示している。
【0036】
また、
11は内容物の噴射操作時にもエアゾール容器本体側(環凹状部1b)との係合状態に保持される筒状のカバー体(音拡大用カバー体)
11aは当該カバー体の下端側内周面部分に複数形成されて、エアゾール容器本体1の環凹状部1bと嵌合する凸状部,
11bは押圧回動式の操作部,
11cは操作部11bの押圧操作時に回動中心軸として作用する連結部,
11dは操作部11bの両側(図面の表裏各面側)にあたるカバー体部分であって、当該操作部および噴射ユニット本体8それぞれの両側面範囲の壁作用を呈する一対の起立張出部,
をそれぞれ示している。
【0037】
以上の各構成要素の中、ステム3,噴射ユニット本体4,歯車5,5',回転体5'',噴射ユニット本体8,歯車9,ノズルチップ10およびカバー体11は、ナイロン,ポリアセタール,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどからなる合成樹脂製や、金属製のものである。なお、ボール5f',5f''は金属製,合成樹脂製やガラス製のものである。
【0038】
エアゾール容器本体1およびマウンティングキャップ2は金属製のものである。
エアゾール容器本体1,マウンティングキャップ2およびステム3などは既製の各部品を用いることができる。
【0039】
噴射ユニット本体4は、歯車5,5'や回転体5''を装填した状態の有底円筒部4dに円形側板部4eを溶着などの手法で固定することにより得られる。他の任意の固定手段を用いてもよいことは勿論である。
図8の、歯車9を装填した噴射ユニット本体8の作成手法も同様である。
【0040】
上記クリアランス用小隙間などの数値の単なる一例をあげれば、
・有底円筒部4d(内容物通過用空間域4b)の内径:20.0mm
・有底円筒部4dの内周面と山部5a,5a'の先端部分との間の、第1のクリアランス用小隙間:0.05mm(
図1〜
図6)
・有底円筒部4dの内周面と平板凸状部5a''の先端部分との隙間:0.3mm(
図7)
・歯車5,5'および回転体5''それぞれの上面,下面(
図1〜
図5,
図7の紙面との平行面)と、有底円筒部4dおよび円形側板部4eそれぞれの内平面との間の、第2のクリアランス用小隙間:0.05mm
・回転軸5c'の直径(≒環状空間域5dの'内径):3.6mm
・環状空間域5dの'外径(リブなし部分):12.8mm
・リブ状部5e'の最大高さ(最大厚み):0.4mm
・ボール5f'の直径:4.0mm
・回転軸9cの直径:1〜5mm(
図8)
・噴射ユニット本体8の内周面と山部(凸状部)9aの先端部分との間の、第3のクリアランス用小隙間:0.05〜0.2mm(
図8)
・歯車9の上面,下面(
図8の紙面との平行面)と、噴射ユニット本体8の内平面(
図8の紙面との平行面)との間の、第4のクリアランス用小隙間:0.05〜0.2(
図8)
などである。
【0041】
ここで、噴射ユニット本体4,8の流入部4a,8aと流出部4c,8cとは、
・液溜まり空間域6および、山部5a,5a'の先端と有底円筒部4dの内周面との小隙間(
図1〜
図6)
・平板凸状部5a''の先端と有底円筒部4dの内周面との隙間(
図7)
・液溜まり空間域9bおよび、噴射ユニット本体8の内周面と歯車9の山部9aの先端との隙間(
図8)
などによりそれぞれ連通している。
【0042】
また、上述の距離D1,D2は「D1>D2」に設定されている。そのため、
図1〜
図6,
図8における歯車回転中の少なくとも一つの液溜まり空間域6,9bの全体(当該空間域の両側の山部同士の間)が確実に、流入部4a,8aの出口部分と流出部4c,8cの入口部分との間の有底円筒部4d,噴射ユニット本体8それぞれの短内周面部分に対向した状態となる。
【0043】
噴射ユニット本体4,8およびその中の歯車5,5',9や回転体5''からなる全体構造は、内容物噴射機構ユニット(噴射ユニット)を構成している。
【0044】
なお、
図1〜
図3の噴射ユニットは内容物の強弱パルス噴射のみの対応ユニットであり、
図4〜
図6の噴射ユニットは内容物の強弱パルス噴射および振動噴射の対応ユニットであり、
図7の噴射ユニットは内容物の振動噴射のみの対応ユニットであり、また、
図8の噴射ユニットは内容物の強弱パルス噴射のみの対応ユニットである。
【0045】
これらの噴射ユニットそれぞれの開口部4g,8dを、そのサイズと合致する各種エアゾール製品のステム3に取り付けることにより上述したように、
(21)
ボール有りの歯車5'や回転体5''を備えた噴射ユニットにおいては、噴射ユニット自体がいわば小振動する、すなわち利用者の頭皮7に振動感を与える振動噴射状態が設定され、
(22)
歯車5,5',9を備えたいずれの噴射ユニットでは、内容物噴射量の「多い」、「少ない」を繰り返す形の強弱パルス噴射状態も設定されえる。
【0046】
以下、段落番号〔0067〕までの記載は
図1〜
図7の噴射ユニットを使用することを前提としている。
【0047】
上述したようにボール有りの歯車5'を備えた噴射ユニット(
図4〜
図6)の場合、強弱パルス噴射状態および振動噴射状態の双方が設定される。
【0048】
図4〜
図7の振動噴射動作は概略、
(31)凹溝形状の環状空間域5d',5d''に球状のボール5f',5f''を配した歯車5'および回転体5''の回転にともない、当該ボールが当該歯車などのリブ状部5e',5e''にぶつかって上方に移動し、
(32)この移動後のボール5f''は回転軸5c',5c''にぶつかって落下し、
(33)その後も歯車5',回転体5''の回転により、
(31)のボール上方移動と
(32)のボール落下とが繰り返され、
(34)この繰り返しにともない、歯車5',回転体5''およびこれらを保持している噴射ユニット本体4が略上下方向に連動し、
(35)その結果、頭皮7に当接済みの流出部4cが小振動して利用者にいくらかの刺激感を与える、
ことである。
【0049】
図1〜
図6の内容物噴射機構ユニットの強弱パルス噴射動作は概略、
(41)流入部4aから内容物通過用空間域4bへの内容物流入状態における歯車5,5'の回転にともない、内容物が充填済みの液溜まり空間域6a,6b,6cの中でいわば先頭の液溜まり空間域6aが流出部4cの入口部分との対向位置へ進んだとき、この液溜まり空間域6aの内容物が、液化ガスの作用により当該流出部から頭皮7へいわば一気に多量噴射され(
図2,
図4参照)、
(42)この多量噴射時点のいわば直後の歯車回転位置においては、液溜まり空間域6aの回転方向後方の山部5a,5a'(の先端)と、有底円筒部4dの内周面との間のクリアランス域を経てその上流域(液溜まり空間域6bなど)から、内容物が頭皮7へ少量噴射され、かつ、液溜まり空間域6dに内容物が充填され(
図3,
図5参照)、
(43)その後も歯車5,5'の回転により、上流側方向に連続する液溜まり空間域6b,6c,6d・・・の充填内容物それぞれごとに、
(41)の多量噴射と
(42)の少量噴射とが繰り返される、
ことである。
【0050】
なお、図示の歯車5,5'の一回転にともなう多量噴射と少量噴射との間の切り替わり回数は、液溜まり空間域6の総数(=山部5aの総数)に対応した12回となる。
【0051】
図1〜
図7の各エアゾール式製品は、利用者が、
図1の静止モードの当該製品を略上下反転させた状態で、噴射ユニット本体4の流出部4cの先端部分を頭皮に押し付けることにより、噴射ユニット本体4およびこれと一体のステム3が当該押付けに対応した任意の方向に傾斜するチルトタイプの製品である。
【0052】
このチルトタイプのステム動作自体は周知である。
すなわち、ステム3の傾斜にともない周知の弁作用部(図示省略)が開き、エアゾール容器本体1の内容物および液化ガスがステム3および流入部4aを通過して内容物通過用空間域4bへ流入する。
【0053】
そして、
図1〜
図6の噴射ユニット使用のエアゾール式製品の場合、この流入した内容物および液化ガスは、流入部4aの出口部分と対向している液溜まり空間域6(例えば液溜まり空間域6a)の対応山部5aの流入側の面部分を押圧しながら、当該液溜まり空間域に充填されていく。
【0054】
また、
図7のエアゾール式製品の場合も、流入部4aから内容物通過用空間域4bへ流入した内容物および液化ガスは、
図1〜
図6のそれと同様に流入部4aの出口部分と対向している対応平板凸状部5a''の流入側の面部分を押圧する。
【0055】
これら内容物などの対応山部や対応平板凸状部への押圧作用により、歯車5,5'および回転体5''が図示時計方向に回転しはじめる。
【0056】
この歯車5,5'および回転体5''の回転動作は、ステム3が傾斜している間、すなわち利用者が噴射ユニット本体4の流出部4cの先端部分を頭皮に押し付けることを止めるまで継続する。
【0057】
また、
図1〜
図6における歯車5,5'の回転動作継続にともない、液溜まり空間域6aの上流側の液溜まり空間域6b,6cにも内容物および液化ガスが充填される。
【0058】
このとき当然のことながら、内容物および液化ガスは、有底円筒部4dの内周面と山部5a,5a'の先端との間のクリアランス域にも流れていく。
【0059】
そして
図2,
図4で示すように、流出部4cの入口部分に液溜まり空間域6aが対向した回転位相段階において、その中の内容物が液化ガスの作用によりいわば一気に当該流出部から頭皮7へ噴射される。すなわち内容物が多量噴射される。
【0060】
この多量噴射直後の歯車5,5'の回転位相段階(
図3,
図5参照)、すなわちまだ次の液溜まり空間域6bが流出部4cの入口部分に対向していない段階では、上述したように山部5a,5a'の先端と、有底円筒部4dの内周面との間(小隙間)のクリアランス域を経て液溜まり空間域6aの上流域である液溜まり空間域6bなどから内容物が頭皮7へ少量噴射され、かつ、液溜まり空間域6dに内容物が充填される。
【0061】
そして、歯車5,5'の回転が続く間、すなわち利用者が頭皮7へ流出部4cを押し当てる操作を止めるまで、液化ガスの作用に基づく上述の多量噴射と少量噴射とが交互に繰り返される。
【0062】
なお、
図4および
図5の内容物噴射機構ユニットの場合、各リブ状部5e'と各液溜まり空間域6とのいわば周方向位相関係が、ボール5f'がリブ状部5e'にぶつかったときに「多量噴射」、その直後のボール5f'が回転軸5c'にぶつかったときに「少量噴射」となるように記載している。
【0063】
この周方向位相関係は図示の状態に限定されるものではない。
すなわち、ボール5f'がリブ状部5e',回転軸5c'にぶつかるタイミングと、「多量噴射」,「少量噴射」の切り替わりのタイミングと、の間に特別の関連性を持たせる必要はない。
【0064】
そして、
図4〜
図7のボール有りの歯車5'や回転体5''を備えた内容物噴射機構ユニットでは、上記
(31)〜(35)で述べたように頭皮7と当接している流出部4cの振動動作が生じる。
【0065】
図4〜
図6の内容物噴射機構ユニットでは、
この振動噴射と、多量噴射および少量噴射の繰り返し動作
とが生じる。
【0066】
図示の内容物噴射機構ユニットの試作品にかかるエアゾール式製品の内容物噴射状態を検証・測定(撮影)したところ、1秒あたり8〜10回の「多量噴射」,「少量噴射」の噴射量変化が生じることを確認できた。
【0067】
また、ボール有りの歯車5'や回転体5''を備えた内容物噴射機構ユニットの流出部4cにおける振動感も確認できた。
【0068】
図8は、内容物の強弱パルス噴射のみの噴射ユニットを使用した、噴霧式のエアゾール製品であり、エアゾール容器本体に操作部を有する共鳴用のカバー体を設けたこと、プッシュ式動作のステムであること、噴射ユニットの出力部に噴霧用のノズルチップを設けたこと、などが
図1〜
図3とのエアゾール製品と異なっている。
【0069】
図8のエアゾール式製品は、利用者が、操作部11bを押し下げることにより、噴射ユニット本体8およびこれと一体のステム3が下動するプッシュタイプの製品である。
【0070】
このプッシュタイプのステム動作自体は周知である。すなわち、ステム3の下動にともない周知の弁作用部(図示省略)が開き、エアゾール容器本体1の内容物および液化ガスがステム3および流入部8aを通過して内容物通過用空間域8bへ流入する。
【0071】
そして、
図1〜
図3の内容物噴射機構ユニットの強弱パルス噴射動作と同様に、
歯車9が回転し、内容物は流出部8cを通過して噴射口10aから外部空間に多量噴射と少量噴射とが繰り返しながら放出される。
【0072】
このとき、噴射ユニット本体8の流入部8aから内容物通過用空間域8bへ流入する内容物および液化ガスの流れは歯車9の外周面や山部9aにいわば衝突し、また、回転状態の歯車9の山部(凸状部)9aによって断続的に流路を狭められて脈動を発生する。
【0073】
なお、歯車9は、噴射ユニット本体8に流入する液化ガスの圧力,当該歯車の形状や軸受構造などに応じて20回/秒以上の高速回転状態となりえる。
【0074】
このように
図8のエアゾール製品の噴射モードにおいては、流入内容物と歯車9との間の相互作用や歯車自体の高速回転作用により歯車側からの音が生じる。
【0075】
この音は、カバー体11の内部空間で反射・共鳴することで拡大され、効率的に外部空間に伝播する。
【0076】
そのためエアゾール式製品の利用者やその周囲にいる人は、この伝播音によりエアゾール式製品が作動中で、例えば殺虫剤などの噴射されていることに気づく。
【0077】
なお、カバー体11は音の反射・共鳴機能だけではなく、一般的なエアゾール式製品用のカバー体と同じく、起立張出部11dによって操作部11bの誤操作を防ぎ、内部機構である噴射ユニット本体8を保護する機能も有している。
【0078】
また、
図1〜
図7の頭皮噴射対象のエアゾール式製品に
図8と同様、噴射ユニット本体4の側壁を設けた場合にも、利用者に対する一種の刺激音,効果音を積極的に与えることができる。
【0079】
本発明が、図示の内容物噴射機構ユニットに限定されないことは勿論であって例えば、
(51)図面および上記数値例で示した構成要素それぞれの個数,長さ,重さなどを適宜変更する、例えば上記第1〜第4のクリアランス用小隙間を「0.03〜0.2mm」の値に変更する、
(52)環状空間域5d',5d''に代えて、その中の回転軸部分を省略した形の円筒状空間域を設定する、
(53)歯車5',回転体5''の環状空間域5d',5d''や(52)の円筒状空間域に側板部(蓋板)を取り付ける、
(54)円柱の一部周面形状からなるリブ状部5e'に代えて、球の一部周面形状からなる凸状部を用いる、
(55)球状のボール5f'に代えて、円柱状体,円筒状体,ラグビー形状ボールなどの部材を用いる、
(56)歯車5,5',9や回転体5''に代えて、凹状部と凸状部とを外周面周方向に形成したいわゆるディンプル形状の外周面からなる回転体を用いる、
(57)噴射モード設定操作の際に傾斜せずに略下方向へのみ移動するプッシュツダウンバルブステムを用いる、
(58)内容物噴射機構ユニットに各種タイプの噴射モード設定用操作部を取り付ける、
ようにしてもよい。
【0080】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、育毛剤,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0081】
エアゾール容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などである。
【0082】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0083】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0084】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0085】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0086】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0087】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0088】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0089】
エアゾール式製品の内容物噴射用ガスとしては、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。