特許第5930488号(P5930488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5930488解体処理した家禽の死骸部分を処理するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930488
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】解体処理した家禽の死骸部分を処理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   A22C21/00 Z
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-61946(P2014-61946)
(22)【出願日】2014年3月25日
(62)【分割の表示】特願2010-500857(P2010-500857)の分割
【原出願日】2008年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-121336(P2014-121336A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2014年3月27日
(31)【優先権主張番号】1033604
(32)【優先日】2007年3月27日
(33)【優先権主張国】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509174255
【氏名又は名称】マレル・シュトルク・ポウルトリー・プロセシング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アドリアヌス・ヨセファス・ヴァン・デン・ニューヴェラール
(72)【発明者】
【氏名】ペトルス・クリスティアヌス・ヘンドリクス・ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・アントーン・ヴィンセント・ヴァン・キッパースルス
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04648155(US,A)
【文献】 米国特許第06283847(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解体処理した家禽の死骸部分を処理するためのシステムであって、死骸部分は少なくとも胸の一部を含み、該胸は少なくとも胸骨の一部及び胸笹身の一部を含み、当該システムは、
前記死骸部分に存在する前記胸笹身を採取するための笹身採取装置と、
前記胸笹身の採取後に前記胸骨上にまだ存在する残存肉を除去するための分離装置と、
経路に沿って前記死骸部分を運搬するための製品キャリヤーを備えたコンベアであって、前記笹身採取装置及び前記分離装置が該コンベアの経路に沿って配置され、且つ、前記分離装置が前記笹身採取装置の下流に配置されるコンベアと、
軟骨を含んだ胸骨の少なくとも一部を採取するための軟骨採取ステーションと、
を備え
前記軟骨採取ステーションは、前記分離装置の下流に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記分離装置は、残存肉を採取するために適しており、
当該システムは、採取された残存肉を収集するための収集手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分離装置は前記胸骨から残存肉を削り取るためのスクレーパーを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スクレーパーは1以上のスクレープ部材を備え、少なくとも1つのスクレープ部材はバネ付勢されることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つのスクレープ部材はバネ付勢され実質的に前記胸骨の長手方向に平行な方向、または、前記胸骨の長手方向に垂直な方向にあることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記分離装置は、少なくとも1つのローラーを備え、前記ローラーは前記胸笹身の採取後に前記胸骨上にまだ存在する組織を掴むための外形を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記分離装置は、少なくとも2つのローラーを備え、少なくとも1つのローラーは前記胸笹身の採取後に前記胸骨上にまだ存在する組織を掴むための外形を備え、且つこれらローラーが実質的に互いに平行に配置されることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記笹身採取装置が、
前記胸骨にそって予備切り込みをするための第1刃と、
前記死骸部分の骨部分から前記胸笹身を分離するためのスクレーパーと、
胸笹身及び胸骨の間の腱接続を断つための第2刃と、
前記死骸部分の骨部分から前記胸笹身を除去するための手段と、
を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記笹身採取装置が、
前記胸骨の両側に、内側笹身及び外側笹身の間の膜を傷つけることなく予備切り込みをするための刃と、
前記胸骨の片側に対して止まっている前記残存肉を削り取るための第1スクレーパーと、
胸郭に自然に存在する内側笹身の肉の一部を胸郭から削り取るための第2スクレーパーと、
内側笹身と胸郭との間の膜接続を切り取るための刃と、
を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
解体処理した家禽の死骸部分を処理するための方法であって、死骸部分は少なくとも胸の一部を備え、胸は少なくとも胸骨の一部及び胸笹身の一部を備え、当該方法は、
笹身採取装置により、前記死骸部分に存在する胸笹身を採取する工程と、
分離装置により、前記胸笹身の採取後に前記胸骨上にまだ存在する残存肉を除去する工程と、
前記分離装置を前記笹身採取装置の下流に配置させて、製品キャリヤーを備えたコンベアにより、前記笹身採取装置から前記分離装置に処理すべき前記死骸部分を経路に沿って運搬する工程であって、前記笹身採取装置及び前記分離装置がコンベアの経路に沿って配置される、処理すべき死骸部分を経路に沿って運搬する工程と、
軟骨を含む前記胸骨の少なくとも一部を採取する工程であって、前記軟骨を含む前記胸骨の少なくとも一部を採取する工程は、前記残存肉を除去する工程の後で実施される、工程と、
を備える方法。
【請求項11】
前記残存肉を除去する工程間に、分離装置により、前記胸笹身の採取後に前記胸骨上にまだ存在する残存肉を採取する工程と、
採取された残存肉を収集する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記胸笹身の採取工程が、少なくとも以下の工程:
前記胸骨に沿って予備切り込みをする工程、
前記死骸部分の骨部分から前記胸笹身を分離する工程、
胸笹身及び胸骨の間の腱接続を断つ工程、及び
前記死骸部分の骨部分から前記胸笹身を除去する工程
を備える請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記胸笹身の採取工程が、少なくとも以下の工程:
前記胸骨の両側に、内側笹身及び外側笹身の間の膜を傷つけることなく予備切り込みをする工程、
第1スクレーパーにより、前記胸骨の片側に対して止まっている前記残存肉を削り取る工程、
第2スクレーパーにより、内側笹身の肉の少なくとも一部を胸郭から削り取る工程
内側笹身と胸郭との間の膜接続を切り去る工程、及び
残った内側笹身及び外側笹身の間の接続を損なわずに前記死骸部分の骨部分から外側笹身及び内側笹身を除去する工程、
を備える請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法はさらに、採取された残存肉とともに離れうる任意の骨の断片を挽く工程を備えることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法はさらに、採取された残存肉を濾す工程を備えることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも残存組織の一部、例えば少なくとも残存肉の一部、が2つ以上のローラーの手段により前記胸骨から分離されることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのローラーは実質的にらせん外形を備えることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも残存組織の一部、例えば少なくとも残存肉の一部、を削ることにより前記胸骨から分離されることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
削る間に、1以上のスクレープ部材が前記胸骨に対して押圧されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は解体処理した家禽を処理するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
解体処理された家禽の死骸部分、例えば前半分又は胸キャップから、胸笹身(breast fillet)を取るためのシステム及び方法が知られている。胸笹身を取るために、胸笹身を削り取ること、胸笹身を切り取ること、又は胸笹身を引き剥がすこと、等の様々な技術が使用されている。また、これらの技術の組み合わせも使用されている。特許文献1は、例えば、胸笹身が最初に胸骨から切り取られ、続いて胸郭から削り取られるシステムを開示している。
【0003】
胸笹身を取るために知られているシステム及び方法は、胸笹身を取った後、胸骨に残存肉及び/又は他の残存組織が残っているという不利益がある。胸骨に残った残存組織の種類、及び、残った残存組織の場所は、胸笹身が取られた方法に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願PCT/NL2006/000632号明細書
【特許文献2】オランダ特許出願公開第1030671号明細書
【特許文献3】オランダ特許出願公開第1014845号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1430780号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、解体処理した家禽の死骸部分を処理するために改善されたシステム及び改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1によるシステム、請求項2によるシステム、請求項14による方法及び請求項15による方法で達成される。
【0007】
請求項1によるシステムには、胸笹身を取る装置を有することに加え、胸笹身を取った後に胸骨に残った使用可能な肉の残存物を取ることに使われる分離装置、が備えられる。実際には、胸笹身を取る様々な方法において、使用可能な残存肉の数グラムがまだ胸骨に残っていることは明らかである。死骸部分につき追加の数グラムの肉を取ることで、1年に200,000kg以上の肉の追加の産出を産みだすことができる。
【0008】
この残存肉を取るために、製品キャリヤーを備えたコンベアの経路に沿って笹身(fillet)採取装置の下流に、分離装置が配置される。
【0009】
胸骨の一部は、軟骨を備える。この軟骨は、製薬目的にとっては貴重な原料となる。しかしながら、製薬業界は、供給される軟骨の品質につき高い基準を設けている。例えば、軟骨は例えば残存肉、骨膜及び組織(例えば腱)であって軟骨筋肉組織の固定を提供するもののような全ての残存組織が除去されていなければならない。
【0010】
軟骨は、例えば、胸骨の残りから、切りとること、鋸で取りさること、又は刈りさることにより採取されることができる。採取は自動的に又は手動で実行することができる。
【0011】
今まで、製薬業界の基準に見合って、軟骨の胸骨から自動化して採取することはできなかった。軟骨に存在する組織をさらに全て手動で除去することは、労働集約的であるので非常にコストが増大する。本発明による装置及び方法によれば、処理の自動化が現時点において可能になるので、製薬業界の基準に見合う軟骨の採取のコストを非常に減少させる。
【0012】
請求項2によるシステム並びに請求項15による方法によれば、より製薬業界の要求に見合った自動化された軟骨の採取が可能になる。
【0013】
家禽の胸では、胸笹身のそれぞれの半分が胸骨に接続されている。すなわち、(M.胸筋(M.pectoralis)により形成された)外側の笹身を胸骨のクレストの自由端に接続する固定部がある。もし特に採取前に胸笹身が胸骨から切り取られた場合、例えば、特許文献2又は特許文献1で開示されている胸笹身採取方法におけるような場合には、胸笹身の除去の後に、そのような固定部を形成している組織がしばしば胸骨に残っていることがある。
【0014】
本発明によるシステムの有利な実施形態において、1以上のローラーが供えられた分離装置により、この固定部組織の分離が、もたらされる。少なくとも、存在するローラーの一つは、固定部組織上に係合する外形を備える。ある1つのローラー又は複数のローラーが、ローラーの軸方向軸で回転可能に配置される。その回転方向は、1以上のローラーの外形により掴んだ後、胸骨から固定部組織が引き取られるように、選択される。
【0015】
ローラーを備えた分離装置の有利な別形では、2つのローラーが使用され、それぞれらせんの外形が備えられる。この場合においてローラーの間の距離は、ローラーの外形がかみ合うが、ローラーの間に幾分空間がまだ残っているように選ばれる。固定部組織は、かみ合う外形により掴まれ、ローラーと処理される死骸部分を備えた製品キャリヤーとの間の相対的な運動により、固定部組織が引き取られることが確実になる。引き取られた組織は、ローラーの間の空間を通して放出される。
【0016】
1つの可能な実施形態において、2つのペアのローラー(すなわち、前部で4つのローラー)が使用される。少なくとも、ペアのローラーのうちの1つのローラーが好ましいある外形を備え、好ましくはらせんの外形を備える。
【0017】
固定部組織がローラー又は複数のローラーにより引き取られるときに、胸骨の頂部の赤い部分の小さなピースが外れうる。しかしながら、採取された残存肉において、そのまま見つかることがないように、このピースの骨はローラー又は複数のローラーによって挽かれる。これらの小さなピースの骨の存在によって、採取された残存肉が、採取後にフィルター、例えば、3mmの穿孔を有するフィルターを通してこのように濾されれば有利である。そのようなフィルターはまた使用可能な残存肉及び他の組織例えば腱組織又は他の固定部組織を分離するためにも適している。
【0018】
さらに、本発明によるシステムの他の実施形態と組み合わせて肉をフィルターに通すことは、望ましくない残存組織又は大きすぎる骨の残渣が採取される残存肉に存在することを防止する目的からも有利となりうる。
【0019】
1以上のローラーが、胸骨の他の場所から他の種類の残存肉又は残存組織を除去又は採取するために使用されうる。
【0020】
実施形態において有利に、互いに隣に配置されるローラーのペアが使用される。ローラーの軸方向の軸は、実質的に互いに平行であり、且つ、ローラーの位置の製品キャリヤーによって運ばれる死骸部分の経路上にある。
【0021】
実施形態においてさらに有利に、ローラーのペアの2つのローラーがある外形を備え、ローラーのペアのローラーが、2つのローラーの外形が噛み合うように互いからある距離で配置される。外形は、次に胸骨のクレストの自由端上の固定部組織を掴むことができ、胸骨からそれを引き去ることができる。
【0022】
製品キャリヤー、及び/又は、1以上のローラーが、製品キャリヤーの経路に対して実質的に垂直に延在する軸で、互いに対して、好ましく回転できる。これは、例えば、製品キャリヤーを経路に対して回転可能にすることによるか、又は1以上のローラーを回転可能に分離装置に配置することによって、達成されうる。ある1つのローラー又は複数のローラー、及び製品キャリヤーが互いに対して回転することができるという事実を通じて、固定部組織を引き去るために、固定部組織上のローラーによりかけられる力の方向が最適化されうる。
【0023】
実施形態において有利に、分離装置は胸骨から残存肉をこそぎ取るためのスクレーパーを備える。スクレーパーの形状は、好ましくは胸骨の解剖学上の形状に適合されている。
【0024】
分離装置が1以上のローラー及びスクレーパーの両方を備えることは本質的ではない。1以上のローラーのみ又はスクレーパーのみが備えられることも可能である。ローラー、スクレーパー又は両方を使用するかについての選択は、例えば、要求される残存肉の種類及び場所、望まれる最終製品の品質及び/又は望まれる最終製品の種類(残存肉、軟骨又は両方)に依存する。
【0025】
ある1つの可能な実施形態では、スクレーパーは実質的にV形状の窪みを備えたプレートの形態である。この窪みは、実質的に、胸骨のクレストの断面に似た形状である。この実施形態において、残存肉は、胸骨のクレストがスクレーパーの窪みを通して案内されるような方法で、胸骨及びスクレーパーを互いに対して動かすことにより胸骨から削り取られる。これは、例えば、スクレーパーが製品キャリヤーの経路に対して固定されるか又は僅かにバネ付勢されるようにスクレーパーを配置すること、及び処理される死骸部分を製品キャリヤーのスクレーパー手段に沿って案内することにより達成される。スクレーパーは鋭いスクレーピング端を備えることができる。
【0026】
実施形態において有利に、スクレーパーが2つの部品:左側のスクレープ部材及び右側のスクレープ部材から構成される。左側のスクレープ部材及び右側のスクレープ部材はそれぞれ、胸骨の1つの側にある胸骨から残存肉を削り取る。左側のスクレープ部材及び右側のスクレープ部材が、実質的にスクレープ部材の位置にある製品キャリヤーの経路の方向と垂直な方向に突き出ることができるように好ましく配置される。このように胸骨の形状及び寸法の自然な変形を補償することができる。
【0027】
左側のスクレープ部材及び右側のスクレープ部材を備えた実施形態の有利な変形において、2つのスクレープ部材が、互いに胸骨のクレストの厚さよりも少ない距離で配置される。この変形の場合において、左側のスクレープ部材及び右側のスクレープ部材は垂直軸で弾性的に回転することができる。胸骨の頂部がスクレープ部材に到達した場合、それはスクレープ部材をまるで自在ドアであるように横に押す。スクレープ部材をバネ付勢して固定することにより、よいスクレープ作用をもたらすために胸骨に対して近接して静止した状態にスクレープ部材が止まることを確実にする。
【0028】
胸骨から残存肉が分離された後、採取された残存肉が集められる。採取された残存肉を、例えば、容器に、集めることができるが、例えば、採取された残存肉をパックする点又はさらに処理する点へ動かすコンベアベルト上に集めることもできる。
【0029】
すべての残存組織を胸骨から除去した場合、軟骨を採取して、製薬業界に販売することができる。
【0030】
本発明によるシステム及び方法で使用する製品キャリヤーでは、製品キャリヤーが1以上の軸について回転するのが好ましい。そのような製品キャリヤーが、特許文献3、又は特許文献4の図1で開示されている。追加として、又は代替として、処理される死骸部分と係合するように設けられた分離装置の部分が回転するように配置されることも可能である。
【0031】
本発明によるシステム及び方法が、以下に、添付図面への参照を伴って非限定的方法で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】家禽の胸骨の概略図であり、側面図である。
図2】家禽の胸骨、羽及びそれらの接続の概略図である。
図3】本発明による方法及びシステムの可能な実施形態の概略的な全体図である。
図4】本発明による分離装置の第1実施例を示す図である。
図5図4に示される種類のスクレーパーの頂面図である。
図6図5によるスクレーパーの前面図である。
図7図5及び図6によるスクレーパーの変形を示す図である。
図8】スクレーパーの代替的な実施形態を示す図である。
図9】本発明による分離装置の第2実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、概略的に家禽の胸骨2を示す。胸骨2はクレスト3(竜骨 胸骨)を有する。外側の笹身を形成する筋肉組織、M.胸筋(M.pectoralis)7は、固定部組織により、胸骨2のクレスト3の自由端4に接続されている。図1の破線4*は、固定部組織が伸びる領域を示す。
【0034】
図2は、家禽の胸骨、羽及びそれらの間の接続の概略図である。参照番号2は、再びクレスト3と共に胸骨を示す。M.胸筋7は、胸骨2のクレスト3を羽9に接続する。
【0035】
図3は、本発明による方法及びシステムの可能な実施形態の概略的な全体図を示す。
【0036】
処理される死骸部分1は、まだ、少なくとも胸の一部を含んでいる。胸は、まだ少なくとも胸骨2及び胸笹身5の一部を含んでいる。そのような死骸部分1の例は、胸キャップおよび前半分である。図3の例において、羽を伴った前半分が処理されている。
【0037】
処理される死骸部分1はコンベアの製品キャリヤー50上に配置される。コンベアは、製品キャリヤー50を運搬Tの方向の経路に沿って動かす。経路に沿って配置されているのは、製品キャリヤー50上に配置された死骸部分1を処理する装置である。
【0038】
この実施例における製品キャリヤー50は、製品キャリヤー50の軸51で回転することができる。追加として、又は代替として、処理される死骸部分と係合するような分離装置の部分が、回転するように配置することが可能である。
【0039】
図3の例において、特許文献3で開示される製品キャリヤーが使用されている。この製品キャリヤーは、水平軸で少なくとも180°並びに垂直軸で360°回転することができる。しかしながら、他の製品キャリヤーを使用することも可能である。
【0040】
図3によるシステムの第1装置は、笹身採取装置10である。この笹身採取装置は胸笹身を採取する。この文脈における「胸笹身」は、笹身として売られる肉であり、M.胸筋7により形成される解剖学の胸笹身全てである必要はなく、内側の笹身と組み合わせてもよく、或いは内側の笹身がなくてもよい。胸笹身が採取される間、これらの筋肉の小さな断片が、処理される死骸部分の骨上に残されてもよい。
【0041】
笹身採取装置10は、それ自体既知の笹身採取装置とすることができる。図3の例において、特許文献4による笹身採取装置が使用される。
【0042】
胸笹身が採取されるとき、残存組織が胸骨上に残されている。その残存組織は、使用可能な残存肉、例えば筋肉の欠片でありうる。他の組織、例えば、骨膜、腱組織、その他の固定部組織も胸骨上に残しうる。残存組織の量、残存組織の種類及びこの残存組織が位置する場所は、選択された胸笹身の採取方法に依存する要素である。
【0043】
特許文献1で開示されている胸笹身採取のための方法では、予備切りこみが胸骨の片側に沿ってなされている。その後、胸笹身は、胸郭から削り取られる。胸骨の片側に予備切り込みを行うことにより、胸骨2のクレスト3の自由端4上に、固定部組織がそのまま残ることが確実になる。切込みがなされている間に、予備切込みを行なうブレードの間の1つにある有用な残存肉と胸骨も残される。
【0044】
胸骨から残存肉及び/又は他の残存組織を完全に又は部分的に除去することについて2つの可能な利点がある。第1に、まだ残存肉が胸骨上に残っていれば、この肉を除去することは価値があることがよくある。死骸部分につき数グラムの追加の使用可能な肉の産出は、1年で販売用に数十万キログラムの追加肉にすぐに達する。第2に、もし全ての残存組織が胸骨から除去できれば、胸骨の軟骨を採取することが可能になる。これは、製薬業界の要求に見合う軟骨をもたらす。
【0045】
胸骨からの残存肉及び/又は他の残存組織の完全又は部分除去が、単に残存肉の採取を目的とするものか、あるいは製薬のための軟骨の採取を目的とするものかに関わらず、図3に示される種類の分離装置20は全ての場合で使用されることができる。
【0046】
図3の例の実施形態において、分離装置20は、製品キャリヤー50の経路に沿って、直接的に、笹身採取装置10の下流に配置される。しかしながら、死骸部分1に処理運転を実行するさらなる処理ステーションを、笹身採取装置10及び分離装置20の間に配置することも可能である。
【0047】
図3の例の実施形態において、分離装置20は2つの部材:ローラー30及びスクレーパー40を備える。
【0048】
分離装置20に供給するために、製品キャリヤー50はその回転軸51の周りを回転して、死骸部分が運搬方向の胸骨の長手方向に配向され、且つ胸骨2のクレスト3が下流に対向するように配向される。
【0049】
図3の例の実施形態において、2つのローラー30が使用される。ローラー30は互いに平行に配置される。この実施例においてローラー30のそれぞれが外形31を備える。ローラーは、互いに外形31が噛み合うような距離に配置される。
【0050】
運転中、ローラー30の外形31が胸骨2からぶら下がった組織を掴み、それを下流に引っ張るように、ローラーは反対方向に回転する。そのようなぶら下がった組織の例は、胸骨2のクレスト3の自由端4上の固定部組織である。引き取り去られた組織は、コンベアベルト60上の矢P1の方向に落ち、その後の処理のために方向P2に組織を除去する。
【0051】
処理される死骸部分1及びローラー30が互いに対して実質的に運搬の方向Tに垂直な水平軸周りに回転することができれば有利である。図3の例において、製品キャリヤー50は、方向Rの回転が可能であるように、その軸51の周りに回転する。代替として、ローラー30は製品キャリヤー50に対して回転するように設計されることもできる。その2つの組み合わせもまた可能である。処理される死骸部分1がローラー30に対して回転可能であることの利点は、処理運転中にいつでもローラー30に対して最適化された方法で死骸部分1を配置できることである。
【0052】
図3は、死骸部分1がローラー30を通る際、製品キャリヤー50は処理される死骸部分1をローラー30に向けて回転させることを示す。これは、ローラー30に対して処理される死骸部分1が最適化された配置になるように、実行される。
【0053】
図1で描かれているように、固定部組織は、胸骨2のクレスト3のチップ3*を越えて延在する。ローラー30の外形31が固定部組織を掴む場合に、胸骨2のクレスト3のチップ3*が外れることが起こる。この実際に外れた骨の断片は、しばしばローラー30の外形31の間に広範に着地する。骨の一部が除去された組織に残っていることが望ましくないなら、除去された組織は、さらなる処理工程として、篩にかけられ及び/又は(例えば約3mmの寸法の穴を有するフィルターで)濾すことができる。
【0054】
スクレーパー40はローラー30の下流に配置される。スクレーパーは胸骨の側面に存在する残存肉を削りさる。図3の例において、スクレーパー40により除去された残存組織が、残存組織がローラー30により除去されて落ちるのと同じコンベアベルト60の上に落ちる。しかしながら、スクレーパー40により除去された残存組織が、ローラー30により除去された残存組織とは、異なるコンベアベルト上に落ちることも可能である。コンベアベルトに落とす代わりに、除去された残存組織を1以上の容器に集めることも可能である。ローラー30により除去された残存組織を、スクレーパーにより除去された残存組織とは異なる容器に集めることができ、又は除去された全ての残存組織を同じ容器に集めることができる。
【0055】
図4は本発明による分離装置の第1例の実施形態を示す。
【0056】
ローラー30及びスクレーパー40は図4において描かれている。図4の実施形態において、スクレーパー40は、右側スクレーパー部材41及び左側スクレーパー部材42を備える。狭い開口45が2つのスクレーパー部材41、42の間に存在する。開口45は、胸骨のクレスト3の厚さよりも狭いことが好ましい。右側スクレーパー部材41は回転軸43周りに回転することができ、並びに左側スクレーパー部材42は回転軸44周りに回転することができる。スクレーパー部材41、42は、好ましくは、鋭いスクレーピング端70を備える。腕71、72は固定された位置に配置され、腕73、74はそれぞれ回転軸43及び回転軸44周りに回転することができる。
【0057】
スクレーパー部材41、42がそれぞれ腕75上に搭載される。前記腕75はシャフト76に不動に接続される。連結プレート77は両方のシャフト76に不動に固定される。フォーク78はスプリングロッド79が連結プレート77に対して回転することを確実にする。この構成は、スクレープ部材41、42が実質的に垂直な面に移動することを可能にする。スプリング48、49は、課せられた垂直な動きに対して機械的な抵抗をもたらす。
【0058】
実施形態において、有利に、シャフト76は腕75及び/又は連結プレート77に相互ロックにより接続され、好ましくは分離可能に接続されることにより接続される。これは適合を容易にする。
【0059】
当業者は、スクレーパー部材41、42をバネ付勢して搭載することを達成するためには、他の構成も可能であることを理解しうるであろう。この例の1つとしては、コイルバネ又は板バネ上でスクレーパー部材を本質的に直接的に適合させることが挙げられ、又はバネ付勢の備えのために空気圧又は水圧シリンダーの使用することが挙げられる。
【0060】
図5図4に示されたスクレーパーの実施形態の平面図を示す。図5において矢Tは処理されるべき死骸部分の運搬の方向を示す。
【0061】
処理される死骸部分1は、矢Tの方向のスクレーパー部材41、42に到達する。胸骨2のクレスト3は、スクレーパー部材41、42の間の開口45に入る。好ましい実施形態において、胸骨2のクレスト3は開口45よりも広いという事実により、スクレーパー部材の間のスペースが胸骨のクレストが通ることを可能にするために十分に広くなるまで、胸骨2はスクレーパー部材41、42を矢RAの方向に、押し出す。ここでスクレーパー部材41、42は、異なる死骸部分における胸骨のクレストの厚さの自然な変動にかかわらず、胸骨のクレストの側に対してしっかりと止まっている。腕73、74はスクレーパー部材41、42に沿って回転する。
【0062】
胸骨2のクレスト3は、チップから距離がいくらかある場合よりもチップ3*に近い場合により薄い。スプリング46、47により、スクレーパー部材が、胸骨のクレストの側に対して、幾分かの圧力下で止まったままになることが確実になる。スプリング46、47によって、処理される死骸部分が通過した後、スクレーパー部材41、42が図5に示されるアイドル位置に再び戻ることを確実にする。
【0063】
スプリング48、49は、実質的に運搬方向Tに垂直な垂直方向にスクレーパー部材41、42が動くことを許す。前記スプリング48、49は、胸骨2が通り過ぎる間に、胸骨2がスクレーパー部材41、42を、スプリング48、49の力に対して押さえつけるという事実により、スクレーパー部材41、42のスクレーピング端70が胸骨2と接触したままになることを確実にする。
【0064】
図6は、運搬方向Tと反対の方向から見た、図5のスクレーパーの正面図を示す。スクレーパー部材41,42が胸骨2のクレスト3の側部分に対してしっかりと止めていることが、ここで明らかに見てとれる。
【0065】
図6の例において、スクレーピング端70も、スクレーパー部材41、42の上側に沿って延在する。この選択は、胸骨のクレストだけではなく、この実施形態において水平に置かれる胸骨の一部、胸骨体も、削られて綺麗になるという利点を有する。
【0066】
図7図5及び図6によるスクレーパーの変形を示す。この変形において、スクレーパー部材41*、42*は、図5及び図6の実施形態におけるものから僅かに異なって形成されている。図5及び図6と同じ参照符号が図7において使用されている場合、同じ参照符号は同じ機能を有する部分を示す。
【0067】
図8はスクレーパー40の代替的な実施形態を示す。図8の実施形態において、単一のスクレープ部材80が備えられている。単一のスクレープ部材80は、胸骨2のクレスト3が通り過ぎることができるように、開口81に備えられる。スクレープ端82は、胸骨のクレスト3の側部分上に存在する残存組織を削り取るためにも、存在している。再び矢Tは、運搬の方向を示す。
【0068】
単一のスクレープ部材80がブラケット83に接続される。ブラケット83はブラケット86に対して回転軸84で回転することができる。ブラケット83は回転軸87でフレームプレート89に対して回転することができる。スプリング85、88は、抵抗のために且つ図8で示される初期位置にブラケットを戻すために備えられる。
【0069】
有利な実施形態において、スプリング85の堅さが、スプリング88の堅さよりも低く選択される。通り過ぎる小さい死骸部分1は、結果的に、スプリング85のみを稼動させる。それによりブラケット83はブラケット86に対して傾く。より大きい死骸部分1はブラケット83をブラケット86に対してその最も低い位置に加勢する。その後全てのユニットがさらにスプリング88の力に対して軸87で傾く。
【0070】
図9は本発明による分離装置の第2実施形態を示す。
【0071】
図9の例では、製品キャリヤー150は処理すべき死骸部分101を運搬方向Tの経路に沿って動かすために使用されている。
【0072】
処理される死骸部分101は、まだ少なくとも胸の部分を含んでいる。処理される死骸部分101が図9の分離装置に到達したとき、胸笹身は既に採取されている。しかしながら、胸骨2はまだ存在している。
【0073】
図9の例においては、第1例の実施形態で使用されたものとは異なる種類の製品キャリヤーが使用されている。図9の例において、製品キャリヤーは、運搬方向Tに実質的に垂直な水平軸でのみ回転することができる。これは、第1例実施形態において示される、多くの軸で回転することができる製品キャリヤー50と対照をなす。
【0074】
図9の例の実施形態でも、2つのローラー130が、残存組織、例えば残存肉、を胸骨2から分離するために使用される。この例におけるローラー130は両方とも、外形131を備える。
【0075】
図9において、双方のローラー130の軸性軸が実質的に運搬方向Tに平行に延在するように、ローラー130が配置されることを見てとることができる。処理される死骸部分101の向きの違いを考慮して、これらローラー130は、互いに上下方向に重ねて配置され、互いに隣同士には配置されない。
【0076】
ローラー130によって除去される残存組織はスライドプレート132上に集められる。スライドフェイス132が傾斜して配置されることにより、残存組織、例えば残存肉は、コンベアベルト160上にスライドし、コンベアベルト160は除去された残存組織、例えば残存肉を、さらに処理するために方向p2に放出する。
【0077】
代替として、除去された残存組織の収集のために、収集容器を、スライドプレート132の下に配置することが可能である。
【0078】
実施形態において、有利に、死骸部分101の処理の間に、ローラー130を死骸部分101に対して、例えばバネ力によって又は空気圧シリンダーによって押圧する。
【0079】
スクレーパー140はローラー130の下流に配置される。スクレーパー140は2つのスクレープ部材141、142を備える。スクレープ部材141、142は腕175の手段によりバネ付勢された構造物に接続される。スプリング180により、スクレープ部材141、142が水平方向に、実質的に運搬方向Tに垂直に突出できることが確実になる。
【0080】
処理される死骸部分の胸骨が、スクレープ部材141、142と接触すると、胸骨の幅によって、スクレープ部材141、142は力を受け、スプリング181の作用に抗して、それぞれの軸182回りに離される。この場合において、スプリング181により、スクレープ部材141、142は胸骨に対して圧力下で止まったままになることが確実になる。胸骨が通り過ぎた後、スプリング181により、スクレープ部材141、142がそれらの初期位置に再び戻ることが確実になる。
【0081】
スクレープ部材141、142により除去された残存組織も、さらなる処理のためにP2方向に残存組織を運搬するコンベアベルト160に落ちる。
【符号の説明】
【0082】
1、101 死骸部分
2 胸骨
3 クレスト
3* チップ
4 自由端
5 胸笹身
7 M.胸筋
9 羽
10 笹身採取装置
20 分離装置
30、130 ローラー
31 外形
40、140 スクレーパー
41、42 スクレーパー部材
41*、42* スクレーパー部材
43、44 回転軸
45 開口
46、47、48、49、85、88、180、181 スプリング
50、150 製品キャリヤー
51 軸
60、160 コンベアベルト
70 スクレーピング端
71、72、73、74、75 腕
76 シャフト
77 連結プレート
78 フォーク
79 スプリングロッド
80 スクレープ部材
81 開口
82 スクレープ端
83、86 ブラケット
84、87 回転軸
89 フレームプレート
131 外形
132 スライドプレート
141、142 スクレープ部材
160 コンベアベルト
180 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9