特許第5930511号(P5930511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930511
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】草刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/46 20060101AFI20160526BHJP
   B62D 55/30 20060101ALI20160526BHJP
   A01D 34/535 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   A01D34/46
   B62D55/30 B
   A01D34/535
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-187813(P2012-187813)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-42504(P2014-42504A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144980
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(72)【発明者】
【氏名】重見 和男
(72)【発明者】
【氏名】井手 宣弘
(72)【発明者】
【氏名】薦田 賢一
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−005434(JP,A)
【文献】 特開2012−029591(JP,A)
【文献】 特開2008−054638(JP,A)
【文献】 特開2000−144666(JP,A)
【文献】 特開平09−098634(JP,A)
【文献】 特開2010−000838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/42 − 34/69
B62D 55/10
B62D 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行伝動ケース(1)の左右両側部に張出してゴムクローラ(2)の前端部を掛け渡して駆動する駆動スプロケット(3)を設けたスプロケット軸(4)の周りに、トラックフレーム(5)の前端部を上下回動自在に嵌合支持し、前記走行伝動ケース(1)の上側には、前側に刈取装置(6)を有し、後側にはエンジン(7)とハンドルフレーム(8)を有した刈取フレーム(9)を装着して、この刈取フレーム(9)を前記スプロケット軸(4)の周りに上下回動可能に構成し、前記トラックフレーム(5)と刈取フレーム(9)との一側部には、前記刈取フレーム(9)が上下回動自在となるフリー状態と、この回動位置を固定するロック状態に切替えるロック機構(10)を設け、前記刈取装置(6)をトラックフレーム(5)に対して下動附勢するスプリング(11)を設けたことを特徴とする草刈機。
【請求項2】
前記ゴムクローラ(2)の後端部を掛け渡す後端転輪(12)を左右両端部に軸装の転輪軸(13)と、この転輪軸(13)の両端部に固定のリヤフレーム(14)とによって、平面視略コ字状形態の転輪軸フレーム(15)を構成して、この転輪軸フレーム(15)を前記トラックフレーム(5)の後端部に前後摺動可能に設けて、略方形状のクローラフレーム(16)を構成すると共に、ゴムクローラ(2)の張圧力を調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴムクローラを有して走行する草刈機に関し、機体の軽量化を図り、刈取作業を行い易くするものである。
【背景技術】
【0002】
クローラ前端部の駆動スプロケット軸の周りに、刈取フレームを上下回動可能に支架させて、この刈取フレーム後方のハンドルを押し下げて前側の刈取装置を上昇することができ、この刈取装置部を刈取高さに下降して、この刈取装置の前側に配置の前輪を接地させて刈取走行する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−5434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刈取装置を地面に追従させて上下揺動させるフリー状態と、この刈取装置の昇降位置を高位置、又は低位置に固定するロック状態とに切替える場合、刈取装置が刈取作業中に刈取地面から浮き上がらないための相応の荷重を要し、又、この刈取装置の重量を重くすれば、上昇位置でロック状態にするときは、ロック状態での機体重心位置から後側の重量を重くして、刈取装置を上昇状態に保持させる必要性があることから、クローラ走行装置側の重量を重くする形態となり、機体の重量バランスを保持するために全体重量が重くなり易く、刈取作業の操作性を低下するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、走行伝動ケース1の左右両側部に張出してゴムクローラ2の前端部を掛け渡して駆動する駆動スプロケット3を設けたスプロケット軸4の周りに、トラックフレーム5の前端部を上下回動自在に嵌合支持し、前記走行伝動ケース1の上側には、前側に刈取装置6を有し、後側にはエンジン7とハンドルフレーム8を有した刈取フレーム9を装着して、この刈取フレーム9を前記スプロケット軸4の周りに上下回動可能に構成し、前記トラックフレーム5と刈取フレーム9との一側部には、前記刈取フレーム9が上下回動自在となるフリー状態と、この回動位置を固定するロック状態に切替えるロック機構10を設け、前記刈取装置6をトラックフレーム5に対して下動附勢するスプリング11を設けたことを特徴とする草刈機の構成とする。
【0006】
エンジン7を駆動して左右のスプロケット軸4、及び駆動スプロケット3を経て左右のゴムクローラ2を回転して走行できる。又、刈取装置6を伝動駆動して草刈作業することができる。作業者はハンドルフレーム8のハンドルを把持して刈取フレーム9をスプロケット軸4の周りに上下回動して、前端部の刈取装置6の高さを高低に変えることができる。この刈取フレーム9の上下回動を行うときは、ロック機構10をロック状態からフリー状態に解除して上下に変更操作する。この変更位置に刈取装置6を固定するときはロック機構10をロック状態に操作する。
【0007】
又、刈取装置6による草刈作用を行うときは、この刈取装置6を最下降位置に降ろした状態で、ロック機構10をフリー状態に設定しておく。草刈作用時、刈取装置6が刈取地面の凹凸面に追従してスプロケット軸4の周りに上下回動しながら、略一定の刈取高さを維持する。このとき刈取装置6は、トラックフレーム5に対してスプリング11によって刈取地面側(下側)へ張圧されていて、この刈取装置6の浮上揺動を抑制すると共に、刈取地面に対する刈取装置6の刈取高さ位置、及び刈取抵抗等を略一定に維持して、刈取地面に対する安定した刈取揺動追従を行わせる。
【0008】
又、草刈機の単なる走行移動や、軟弱湿地等での刈取、走行等では、前記ロック機構10をフリー状態からロック状態に切替えて走行できるが、このとき、刈取装置6がスプリング11によって下側へ張圧されていても、草刈機全体としての重量は殆んど変わらないため、湿地等での草刈作業時に、このスプリング11力によって、草刈機やクローラ2部等が刈取地面下に沈下し易くなるような現象は生じない。スプリング11による刈取装置6の押圧力は、この反力としてクローラ2のトラックフレーム5で受けているため、草刈機全体としての重量、及びこの重量による押圧力は殆んど変わらない状態にあって、安定した刈取走行を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ゴムクローラ2の後端部を掛け渡す後端転輪12を左右両端部に軸装の転輪軸13と、この転輪軸13の両端部に固定のリヤフレーム14とによって、平面視略コ字状形態の転輪軸フレーム15を構成して、この転輪軸フレーム15を前記トラックフレーム5の後端部に前後摺動可能に設けて、略方形状のクローラフレーム16を構成すると共に、ゴムクローラ2の張圧力を調節可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
前記のようにゴムクローラ2を巻き掛けるクローラフレーム16は、スプロケット軸4の側端部に嵌合支持させる左右一対のトラックフレーム5と、転輪軸13の両端部にリヤフレーム14を連結して平面視コ字状形態の転輪軸フレーム15とを構成して、このトラックフレーム5の後端部に、転輪フレーム15のリヤフレーム14を前後摺動可能に嵌合させて連結するものであるから、左右各トラックフレーム5がスプロケット軸4の周りに回動する形態であるにも拘らず、転輪軸フレーム15は平面視で略コ字状形態の剛体的形態に構成されていて、クローラフレーム16として、平面視で略方形状形態の軽量で、簡単な構成としている。そして、ゴムクローラ2による刈取走行では、刈取地面の凹凸面に対する円滑な追従性、走行性を維持する。又、刈取、及び操作性を高め、簡単な構成によって生産コストの低減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、前記トラックフレーム5と刈取フレーム9との間に設けられるスプリング11や、ロック機構10等は、草刈機全体に対する構成重量比を比較的小さく構成することができ、このスプリング11がトラックフレーム9に対して刈取装置6を常に下方へ張圧するものであるから、これらゴムクローラ2と刈刃装置6が同時に接地する場合に、前記スプリング11力によって刈取装置6を地面へ押圧させて刈取地面からの浮上を防止するもので、草刈機全体や、刈取装置6部の重量等を増すことなく、又、バランスウエイト等特別の重量構成を設定することなく、草刈機全体の重量を軽量化して、刈取装置6のフリー状態、及びロック状態を切替えて、安定した刈取、走行を行わせることができる。又、前記スプリング11と、ロック機構10と、ゴムクローラ2とによる構成を簡潔化して、草刈作業性を高め、生産コストを低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記スプロケット軸4の左右両側部に嵌合支持するトラックフレーム5の後端部には、転輪軸フレーム15の転輪軸13の両端部に連結するリヤフレーム14を前後摺動可能に取付けて、平面視で略方形状のクローラフレーム16を構成するものであるから、前記転輪軸13自体を剛体的にクローラフレーム16構成の一部材として利用して、構成を簡単に、安価にすることができ、ゴムクローラ2に適応させて軽量化して、刈取、走行、及び操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】草刈機の側面図。
図2】その平面図。
図3】クローラフレーム部の分解状態を示す平面図。
図4】刈取フレームの上下回動状態を示す側面図。
図5】刈取装置、及びクローラの伝動装置を示す側面図。
図6】刈取装置の昇降状態を示す側面図。
図7】草刈機の刈取走行状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に基づいて、草刈機は、左右一対のゴムクローラ2を巻き掛けたクローラフレーム16に、刈取装置6や、エンジン7、及びハンドルフレーム8等を配置した刈取フレーム9を支架させて構成している。クローラフレーム16は、走行伝動ケース1の左右両側に張出すアクスルハウジング17にスプロケット軸4を軸装し、このスプロケット軸4の外端部に駆動スプロケット3を取付け、このスプロケット軸4の外周部、又はアクスルハウジング部の外周部にトラックフレーム5の前端部のボス部18を嵌合して、スプロケット軸4の周りに回動自在に連結支持している。前記左右一対のトラックフレーム5は角パイプ材から構成して、後端部から転輪軸フレーム15のリヤフレーム14を嵌挿して前後摺動可能に連結する。又、左右のスプロケット軸4は、走行伝動ケース1内部の変速ギヤ、正逆回転切替ギヤ、サイドクラッチギヤ等のギヤ伝動機構を経て伝動回転する形態である。
【0015】
前記転輪軸フレーム15は、左右両端部に回転自在の後端転輪12を有して、この内側部に角パイプ材からなるリヤフレーム14の後端部を転輪軸13により一体的に固定して平面視略コ字形状の剛体形態に形成している。この左右のリヤフレーム14を前記トラックフレーム5の後端部に嵌合挿通して、平面視で略方形状のクローラフレーム16を構成する。前記トラックフレーム5の断面はリヤフレーム14の断面よりも大きく形成して、リヤフレーム14を前後に摺動移動できる形態として、転輪軸13部に形成のボルトブラケット19に螺挿のテンションボルト20の前端を、トラックフレーム5のストッパブラケット21に押し当てて、このテンションボルト20を回動することにより、トラックフレーム5に対する転輪軸フレーム15を前後移動させて、駆動スプロケット3と後端転輪12との間に亘って掛け渡すゴムクローラ2の張圧度を調節することができる。
【0016】
前記ゴムクローラ2は、天然ゴム、乃至合成ゴム等を主体として無端帯形態に成形したもので、外周面には刈取地面に踏圧するラグを形成し、クローラ幅の中央部に沿って一定間隔にスプロケット3歯の噛合する噛合穴が形成され、この噛合穴の左右両側部にはこのクローラ2と同長さの無端ワイヤーを、クローラ芯部材として埋設し、クローラの伸びを防止している。又、各噛合穴の前後間隔部には、芯金を埋設して、前記ワイヤーで連結した形態とすることもできる。このようなゴムクローラ2は、厚さを比較的薄く形成して、軽量化でき、刈取地面に対する接地性、追従性が良好で、円滑な走行と、刈取、走行操作を行うことができるものである。
【0017】
前記走行伝動ケース1の上側部に刈取フレーム9を一体的に構成して、この刈取フレーム9の前方下部には、刈取装置6を配置し、後部にはエンジン7、及びハンドルフレーム8を配置する。刈取装置6は、左右横方向に沿う刈刃軸25の周りにフレールナイフ26を配置して、このフレールナイフ26を刈刃軸25の周りに回転することによって、底部の刈取ガイド27に案内される草を刈取ることができる。前記刈取ガイド27は、刈刃軸25周りに回転するフレールナイフ26の回転方向に沿うように側面視略円弧状に形成し、この刈刃軸25の方向には、各刈取ガイド27間に適宜感覚の芝草を案内するための間隔部を形成し、上側には刈取カバー28を設けている。
【0018】
前記走行伝動ケース1の上側後方には、エンジン7を設置して、このエンジン7のエンジン軸29と走行伝動ケース1の入力軸30との間をベルト31連動して、テンションクラッチプーリ32の操作により、走行伝動クラッチを入り切りする形態としている。又、前記刈取フレーム9の前側中間部には、カウンタ軸33を設けて、このカウンタ軸33とエンジン軸29との間にテンションクラッチプーリ34を有したベルト35を掛け渡すと共に、このカウンタ軸33と刈刃軸25との間にテンションプーリ36を有したベルト37を掛け渡して、刈取装置6の刈刃軸25を回転伝動するように構成している。
【0019】
前記刈取フレーム9のカウンタ軸33部上側にハンドルブラケット38を介して、ハンドルフレーム8を取付け、このハンドルフレーム8の後端把持部39を上下に回動調節したり、左右に回動調節可能に構成している。前記把持部39の近くには、サイドクラッチレバー40や、走行クラッチレバー41、乃至刈取クラッチレバー42、変速レバー43、ロックレバー44等を設けて、刈取走行操作を可能に構成している。
【0020】
ここにおいて、この草刈機は、走行伝動ケース1の左右両側部に張出してゴムクローラ2の前端部を掛け渡して駆動する駆動スプロケット3を設けたスプロケット軸4の周りに、トラックフレーム5の前端部を上下回動自在に嵌合支持し、前記走行伝動ケース1の上側には、前側に刈取装置6を有し、後側にはエンジン7とハンドルフレーム8を有した刈取フレーム9を装着して、この刈取フレーム9を前記スプロケット軸4の周りに上下回動可能に構成し、前記トラックフレーム5と刈取フレーム9との一側部には、前記刈取フレーム9が上下回動自在となるフリー状態と、この回動位置を固定するロック状態に切替えるロック機構10を設け、前記刈取装置6をトラックフレーム5に対して下動附勢するスプリング11を設けたことを特徴とする草刈機の構成とする。
【0021】
エンジン7を駆動して左右のスプロケット軸4、及び駆動スプロケット3を経て左右のゴムクローラ2を回転して走行できる。又、刈取装置6を伝動駆動して草刈作業することができる。作業者はハンドルフレーム8のハンドルを把持して刈取フレーム9をスプロケット軸4の周りに上下回動して、前端部の刈取装置6の高さを高低に変えることができる。この刈取フレーム9の上下回動を行うときは、ロック機構10をロック状態からフリー状態に解除して上下に変更操作する。この変更位置に刈取装置6を固定するときはロック機構10をロック状態に操作する。
【0022】
又、刈取装置6による草刈作用を行うときは、この刈取装置6を最下降位置に降ろした状態で、ロック機構10をフリー状態に設定しておく。草刈作用時、刈取装置6が刈取地面の凹凸面に追従してスプロケット軸4の周りに上下回動しながら、略一定の刈取高さを維持する。このとき刈取装置6は、トラックフレーム5に対してスプリング11によって刈取地面側(下側)へ張圧されていて、この刈取装置6の浮上揺動を抑制すると共に、刈取地面に対する刈取装置6の刈取高さ位置、及び刈取抵抗等を略一定に維持して、刈取地面に対する安定した刈取揺動追従を行わせる。
【0023】
又、草刈機の単なる走行移動や、軟弱湿地等での刈取、走行等では、前記ロック機構10をフリー状態からロック状態に切替えて走行できるが、このとき、刈取装置6がスプリング11によって下側へ弾圧されていても、草刈機全体としての重量は殆んど変わらないため、湿地等での草刈作業時に、このスプリング11力によって、草刈機やクローラ2部等が刈取地面下に沈下し易くなるような現象は生じない。スプリング11による刈取装置6の押圧力は、この反力としてクローラ2のトラックフレーム5で受けているため、草刈機全体としての重量、及びこの重量による押圧力は殆んど変わらない状態にあって、安定した刈取走行を行うことができる。
【0024】
更に、前記ゴムクローラ2の後端部を掛け渡す後端転輪12を左右両端部に軸装の転輪軸13と、この転輪軸13の両端部に固定のリヤフレーム14とによって、平面視略コ字状形態の転輪軸フレーム15を構成して、この転輪軸フレーム15を前記トラックフレーム5の後端部に前後摺動可能に設けて、略方形状のクローラフレーム16を構成すると共に、ゴムクローラ2の張圧力を調節可能に構成したことを特徴とする。
【0025】
前記のようにゴムクローラ2を巻き掛けるクローラフレーム16は、スプロケット軸4の側端部に嵌合支持させる左右一対のトラックフレーム5と、転輪軸13の両端部にリヤフレーム14を連結して平面視コ字状形態の転輪軸フレーム15とを構成して、このトラックフレーム5の後端部に、転輪フレーム15のリヤフレーム14を前後摺動可能に嵌合させて連結するものであるから、左右各トラックフレーム5がスプロケット軸4の周りに回動する形態であるにも拘らず、転輪軸フレーム15は平面視で略コ字状形態の剛体的形態に構成されていて、クローラフレーム16として、平面視で略方形状形態の軽量で、簡単な構成としている。そして、ゴムクローラ2による刈取走行では、刈取地面の凹凸面に対する円滑な追従性、走行性を維持する。又、刈取、及び操作性を高め、簡単な構成によって生産コストの低減化を図ることができる。
【0026】
前記のような刈取フレーム9の支持構成において、作業者が把持部39を把持して、上下方向へ回動操作すると、刈取フレーム9は、前記走行伝動ケース1がスプロケット軸4の周りに回動されて、前端刈取装置6の高さが高低に変更される。前記ベルト35や、テンションクラッチプーリ34等を配置する側とは反対側の位置に、ロック機構10を構成している。左右一側のトラックフレーム5上に沿って、スプロケット軸4周りに円弧状形態のガイドプレート50を一体的に構成し、このガイドプレート50の外周部に、前記ロックレバー44の操作によって出没操作できるロックピン51を沿わせて回動できるようにして、このロックピン51を刈取フレーム9の側面に構成している。ハンドルフレーム8部のロックレバー44を把持して引くと、ワイヤー54連動によってロックピン51を引込めて、ガイドプレート50のピン穴52との係合を外して、刈取フレーム9をスプロケット軸4周りに上下に回動操作することができる。このとき、ロックレバー44を引き操作した位置は、解除レバー53によって係止保持されて、ロックピン51をピン穴52から外したフリー状態の位置を維持することができる。このフリー状態からロックピン51をいずれかのピン穴52に係合させてロック状態にするときは、前記解除レバー53を引くことによって、ロックレバー44がロック状態位置に作動できる状態となるから、刈取フレーム9を上下回動することにより、ロックピン51を操作目的位置のピン穴52に係合させて、この刈取フレーム9の回動位置をロック状態にすることができる。60は刈取フレーム9の回動範囲を規制するストッパである。
【0027】
前記左右の各トラックフレーム5の前端部には、前記ボス18から前側へ突出するアーム55を設け、このアーム55とこの上方に位置する刈取フレーム9との間に適宜圧の引っ張りスプリング11を設け、刈取装置6をクローラフレーム16に対して下側の刈取地面側へ押圧附勢させて設ける。前記スプリング11で刈取装置6を刈取地面側へ下圧するため、刈取装置6及び草刈機としての構成重量を軽くすることができ、刈取作業時の刈取地面の凹凸変化に対する追従性を高めることができる。
【0028】
エンジン7の駆動によって、ベルト31及びテンションクラッチプーリ32を介して走行伝動ケース1の入力軸30が伝動されて、この走行伝動ケース1のギヤ機構を経てスプロケット軸4、及びこのスプロケット3が伝動回転されて、左右のゴムクローラ2が回転され、このゴムクローラ2の接地回転によって刈取地面を走行する。又、前記エンジン軸29からベルト35、及びテンションクラッチプーリ34を介してカウンタ軸33を伝動回転し、更にベルト37を経て刈刃軸25を伝動回転し、更にベルト37を経て刈刃軸25を伝動回転し、刈取装置6のフレールナイフ26を回転して芝草の刈取を行うことができる。
【0029】
刈取作業を行うときは、刈取装置6を最下位置に下降させて、刈取ガイド27の下面が刈取地面に摺接して刈取進行するようにフリー状態に操作しておく。ロックレバー44を把持してロックピン51を、ガイドプレート50のピン穴52との係合を外すと、この係合を外したロックピン51のフリー状態位置が解除レバー53の係合によって継続される。このフリー状態では刈取装置6は、スプリング11によって常時刈取地面側へ張圧されているため、(図6(B)参照)、刈取地面から浮上し難く、一定の刈取高さに刈取推進され、安定した草刈作用を行わせることができる。しかも、刈取地面に凹凸変化があると、ゴムクローラ2の走行面部と刈取装置6の刈取底面部とを各々前後の変化刈取地面に沿うように接地させて(図7参照)、推進しながら、刈取地面の凹凸変化に追従しながら、刈取高さを一定に維持するように刈取走行することができる。又、草刈機を路面走行したり、湿地のように刈取地面より深い地面や、低い地面を走行しながら草刈作業を行ったり、密集した草の刈取作業を行う場合は、前記ロックレバー44の操作により、ロックピン51の係合を外してフリー状態として、ハンドルフレーム5を押し下げて刈取装置6を適宜高さ位置に上昇させて、解除レバー53を操作してロックピン51を上昇位置のピン穴52に係合させると、刈取装置6を高位置にロック状態に維持して(図6−(A)参照)、走行し、又は刈取走行することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 走行伝動ケース
2 クローラ
3 駆動スプロケット
4 スプロケット軸
5 トラックフレーム
6 刈取装置
7 エンジン
8 ハンドルフレーム
9 刈取フレーム
10 ロック機構
11 スプリング
12 後端転輪
13 転輪軸
14 リヤフレーム
15 転輪軸フレーム
16 クローラフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7