(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明の実施形態は、基端部と、前記基端部より上方に起立するとともに斜め上方に傾斜した支持部と、支持部前面に接続された吐水部と、を備えた水栓であって、前記吐水部は、斜め下方に傾斜した吐水口を有し、前記吐水口の下方に、水伝い防止部を設け、前記水伝い防止部は、吐水口より後方に位置することを特徴とする水栓である。
この水栓によれば、斜め下方に傾斜した吐水口から、傾斜した方向に吐水流を放出できるため、吐水部や支持部が洗い作業を邪魔することがない。また、水伝い防止部により、水栓本体への水伝いを防止でき、かつ吐水口より後方に位置するため、洗い作業を邪魔することがないため、洗い作業の効率が向上する。
【0013】
第2の発明の実施形態は、第1の発明の実施形態において、前記水伝い防止部は、前記水栓を凹状に切り欠いた切欠部であり、前記切欠部は、後方に、且つ水平面に対し、上方に向けて切り欠かれている、ことを特徴とする水栓である。
このシステムキッチンによれば、水伝い防止部が切欠部であり、水伝い防止部の張り出しがないため、洗浄作業がし易い。
【0014】
第3の発明の実施形態は、第1の発明の実施形態または、第2の発明の実施形態において、前記水伝い防止部は、前記水栓の前方に、突出する突出部であり、前記突出部は、前記支持部に対して斜め下方に向けて突出しており、かつ前記突出部の先端は、前記吐水口よりも後方に位置することを特徴とする水栓である。
この水栓によれば、水伝い防止部が突出部であり、水栓を伝わってくる水の勢いを堰き止めることができるため、水栓本体への水伝いをより確実に防止できる。
【0015】
第4の発明の実施形態は、第1乃至3のいずれか一つの発明の実施形態において、前記水伝い防止部は、前記支持部と一体に設けられていることを特徴とする水栓である。
この水栓によれば、水伝い防止部が、支持部に一体となって設けられており、吐水口より離れているため、洗いの作業を邪魔することがない。
【0016】
第5の発明の実施形態は、第1乃至4のいずれか一つの発明の実施形態において、前記吐水部は、複数の散水孔を有する散水板を備え、前記水伝い防止部は、前記散水板と一体に設けられていることを特徴とする水栓である。
この水栓によれば、吐水口の下方近傍に水伝い防止部が設けられるため、より衛生的になる他、水が自重により加速する前に、水伝いを阻止できるため、支持部と一体となって設けられた場合に比べ、水伝い防止部全体を小さくすることができる。
【0017】
第6の発明の実施形態は、第1乃至5のいずれか一つの発明の実施形態において、前記散水板は、前記支持部に固定部材を用いて取り付けられており、前記水伝い防止部は、前記固定部材と一体に設けられていることを特徴とする水栓である。
この水栓によれば、散水板固定部材より下方の水伝いが防止されるため、より衛生的になる他、散水板を複雑な形状にすることなく製造できるため、製造コストを抑えることができる。
【0018】
第7の発明の実施形態は、第5乃至6のいずれか一つの発明の実施形態において、前記散水板は、前記斜め上方に傾斜した支持部の軸心方向に沿って凸状に湾曲した形状をなしていることを特徴とする水栓である。
この水栓によれば、湾曲した頂上に水が集まるため、水伝い防止部をより小さくすることが可能となる。
【0019】
第8の発明の実施形態は、第1乃至7のいずれか一つの発明の実施形態において、カウンターと、シンクと、前記シンクに吐水流を放出するよう配置された水栓と、を備えたシステムキッチンであって、前記水栓は、前記水伝い防止部が前記シンクの上方に位置するよう取り付けられていることを特徴とするシステムキッチンである。
このシステムキッチンによれば、斜め下方に傾斜した吐水口から、傾斜した方向に吐水流を放出でき、吐水部や支持部が洗い作業を邪魔することがないため、洗い作業の効率が向上する。また、水伝い防止部により、水栓本体への水伝いを防止できるため、衛生的になる。
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシステムキッチンを例示するための模式斜視図である。
本実施の形態にかかるシステムキッチン10は、水栓20と、シンク30と、カウンター60と、を備えている。水栓20には、整流吐水部22と、シャワー吐水部24と、が設けられている。シンク30は、シンク開口部32と、シンク底面34と、シンク前面36と、シンク左側面37と、シンク右側面39と、シンク後面38と、を備えている。また、システムキッチン10には、カウンター60の左側方および右側方の少なくともいずれかに延在する調理台(図示せず)を備えるようにすることもできる。なお、本願明細書において「整流」とは水流が略一本の吐水流となる場合を意味し、「シャワー」とは水流が複数本の吐水流となる場合または膜状の吐水流となる場合を意味するものとする。また、「水」という場合には、「湯」や「温水」をも含むものとする。
【0021】
水栓20は、使用者から見てシンク30の奥側、すなわちシステムキッチン10の後方で、かつカウンター上面62に設けられている。水栓20の基端部201、すなわちカウンター60に取り付けられている近傍の部分は、カウンター上面62に対して垂直になるように設けられている。そして、所定の寸法よりも上方に位置する支持部202は、カウンター上面62に対して傾斜して設けられている。この場合、傾斜角度θは、例えば、カウンター上面62に対して60°程度とすることができる。なお、傾斜角度θについては後述する。傾斜した支持部202の前面に吐水部が接続されており、吐水部には、整流吐水部22とシャワー吐水部24と、が設けられている。すなわち、支持部202の前面側
の一部分に、整流吐水部22とシャワー吐水部24を備えた吐水部が配置されている。また、吐水部の下方には、水伝い防止部203が、シンク30の上方に位置するよう設けられている。
【0022】
また、カウンター上面62とシンク後面38との連接部分(略稜線部分)に、ある一定の角度で傾斜した図示しない設置面を設け、この設置面に対して垂直に設けられる直線状の水栓とすることもできる。また、シンク後面38からカウンター上面62に対して水平方向に所定の寸法だけ延在させ、先端をさらにカウンター上面62に対して垂直方向に所定の寸法だけ延在させるとともに、所定寸法より上方に位置する部分をカウンター上面62に対して傾斜させたような形状の水栓とすることもできる。また、シンク30の後方であって、カウンター上面62に対して垂直な壁面に設けられ、この壁面から水平方向に所定の寸法だけ延在させ、先端をカウンター上面62に対して傾斜させたような形状の水栓とすることもできる。
【0023】
また、水栓の形状は例示したものに限定されるわけではなく、少なくともシャワー吐水部からカウンター上面62(シンクの底面34)に対して傾斜した方向に吐水流が放出されるような形状であればよい。なお、水栓の形状と整流吐水部22、シャワー吐水部24および水伝い防止部203に関しては後述する。また、水栓の設置場所も適宜変更することができる。
また、水栓20は、シンク前面36より後方側であってカウンター60より上方側に位置する吐水部(整流吐水部22、シャワー吐水部24)を有している。また、整流吐水部22およびシャワー吐水部24は、カウンター上面62に対して傾斜した状態でシンク30に向かって設けられている。そのため、吐水部(整流吐水部22、シャワー吐水部24)からカウンター上面62に対して傾斜した方向から吐水流を放出することができる。
【0024】
図2は、水栓の吐水部を例示するための模式図である。
なお、
図2(a)は、吐水部の模式正面図であり、
図2(b)は、
図2(a)におけるA−A矢視断面を表す模式断面図であり、
図2(c)は、
図2(a)におけるB−B矢視断面を表す模式断面図である。
【0025】
水栓20は、その先端近傍に設けられた整流吐水部22と、整流吐水部22の下方に設けられたシャワー吐水部24と、を備えている。すなわち、水栓20は、シンク前面36より後方側であってカウンター60より上方側に位置するシャワー吐水部(
図3、
図5〜
図8を参照)と、シャワー吐水部の上方側かつ前方側に位置する整流吐水部22を備えている。また、水栓20は、整流吐水部22へ水を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水部24へ水を導くためのシャワー用配水管25と、を備えている。そして、シャワー吐水口の下方には、図示しない水伝い防止部が設けられている。ここで、シャワー吐水口とは、広範囲に吐水するために開けられた、散水孔および/または散水スリットのことを意味ずるものとする。
図2に示すように、シャワー吐水部24には、一端を開口し、上下方向を長手方向とする略直方体形状の貯留部24bが設けられている。そして、貯留部24bの開口部分を覆うように散水孔を有する図示しない散水板(
図3、
図5〜
図8を参照)が設けられている。そのため、本実施形態の水栓20は、整流吐水と、シャワー吐水と、を行うことができる。整流吐水と、シャワー吐水と、の切替えは、例えば、水栓20の先端に設けられた図示しない切替部手段によって、行うことができる。この切替部手段は、水栓20の根元や、カウンター上面62に設けられていてもよい。
【0026】
後述するように、シャワー吐水部24から放出された直後の水の吐水流断面は、例えば、上下方向を長手方向とする偏平形状を呈している。そして、前述したように、水栓20の上部はカウンター上面62に対して傾斜角度θだけ傾斜しているので、シャワー吐水部24から放出される水もカウンター上面62に対して斜め方向からシンク底面34に向けて吐水されることになる。そのため、カウンター上面62を横切る際の吐水流の水平方向断面は、カウンター前縁64に対して垂直な方向を長手方向とする偏平形状を呈することになる。
【0027】
整流用配水管23は、水栓20の左側方寄りを通って、貯留部22bの左側方かつ下方に接続されている。一方、シャワー用配水管25は、水栓20の右側方寄りを通って、貯留部24aの右側方かつ下方に接続されている。
【0028】
水栓20の左右方向の幅寸法L2は、洗浄物の大きさに応じて適宜変更することができる。例えば、洗浄する対象は一般的に手、包丁や鍋などの調理器具、あるいは食材などであるが、幅寸法L2とともに後述する横幅寸法L5(
図3を参照)を長くしすぎると小さなものを洗う際に余分に水を消費してしまうおそれがある。一方、幅寸法L2とともに後述する横幅寸法L5を短くしすぎると、狭い範囲にしか水がかからないため、大きなものを洗浄する際に手を大きく動かさなければならなくなる。
【0029】
この場合、例えば、調理中頻繁に行われる手や包丁などを洗うことを考慮に入れて水栓20の左右方向の幅寸法L2を設定するようにすることができる。例えば、幅寸法L2を約40mm程度、横幅寸法L5を約20mm程度とすれば、手や包丁の刃の部分を左右方向に移動させること無く短時間で「簡単洗い」を行うことができる。ただし、例示をした寸法に限定されるわけではなく、洗浄物の大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0030】
図3は、シャワー吐水部に設けられる散水板を例示するための模式図である。
なお、
図3(a)は、散水板を正面から眺めた場合の模式図であり、
図3(b)は、散水孔群を例示するための模式図である。
図3に例示をする散水板26は、貯留部24bの開口部分を覆うようにして水栓20のシャワー吐水部24に固定される。散水板26には、複数の散水孔群27が設けられている。また、散水孔群27は、シャワー吐水流を形成させるための散水孔27aを複数有している。
図3(a)に示すように、例えば、散水孔群27を5行×2列に配列することができる。また、
図3(b)に示すように、例えば、散水孔27aを同心円上に2列に配列することができる。この場合、例えば、散水孔27aの数を合計約30個程度とすることができる。そのため、貯留部24bを介して散水孔27aから水を放出させることができ、放出された水はシャワー吐水流となってシンク底面34に着水するようになっている。
【0031】
図4は、洗浄対象の形状を例示するための模式図である。なお、
図4(a)は、一般的な包丁を例示するための模式図であり、
図4(b)は、使用者の手を例示するための模式図である。
本発明者の得た知見によれば、一般的な包丁の刃の長さL10は170mm程度である。また、刃の幅L11は30mm程度である。また、20〜69歳の人の手の幅寸法L12は、男性では、最大114.6mm程度、最小90.4mm程度、平均102.6mm程度である。また、女性では、最大103.1mm程度、最小80.8mm程度、平均91.8mm程度である。また、手の長さ(指先から手首までの長さ)L13は、男性では、最大197mm程度、最小165.6mm程度、平均181m程度である。また、女性では、最大181.2mm程度、最小154.4mm程度、平均167.3mm程度である。
【0032】
ここで、散水孔27aが設けられる領域の横幅寸法L5と縦幅寸法L6とについて説明をする。なお、
図3に示すように、横幅寸法L5は、配設された散水孔27aのうち、最左端と最右端に設けられたものの外縁の最も外側に位置する部分間の寸法である。また、縦幅寸法L6は、配設された散水孔27aのうち、最上端と最下端に設けられたものの外縁の最も外側に位置する部分間の寸法である。
【0033】
システムキッチン10に設けられるシャワー吐水部24としては、包丁などの調理器具や使用者の手に対して水を広範囲に放出できることが好ましい。
【0034】
その中でも幅寸法が短い包丁に対して、水が包丁の幅の略全体わたって放出され、かつ包丁に当たらずにシンク30に直接着水することを抑制することが好ましい。これは、洗浄物に当たらず無駄になる水を抑制するためである。本発明者の得た知見によれば、一般的な包丁の刃の幅寸法L11(30mm程度)に対して横幅寸法L5を20mm程度とすれば、放出された水が包丁に当たらずにシンク30に直接着水することを抑制することができる。これにより、放出された水を洗浄のための水として有効に利用することができ、洗浄に使われない無駄な水を削減することができる。
【0035】
また、
図4において例示をしたように、調理器具や手などの洗浄物は170mm程度の長さを有するものが多い。しかしながら、これらの洗浄物の略全長に一度に水を放出すると、大流量の水を消費してしまう。本発明者の得た知見によれば、洗浄物の全長の略半分の長さに対して水を放出し、洗浄物上を流れる水によって残りの略半分の長さを洗い流すようにすれば、水の使用量を抑制しつつ洗浄効果を向上させることができる。
【0036】
ここで、使用者が「簡単洗い」を行う場合、洗浄物をシャワー吐水部24(散水孔27a)から放出された水に差し出し、洗浄を行うと同時に、洗浄の状態を目で確認したいため、洗浄物の差し出される角度は、自然とカウンター上面に対し、略並行となり、水の進行方向に対し、斜めに差し出されるため、縦幅寸法L6を洗浄物の全長の略半分の長さよりも短くしても、洗浄物上においては洗浄物の全長の略半分の長さ程度に水があたるようになる。本発明者の得た知見によれば、例えば、縦幅寸法L6を65mm程度とすれば、70mm程度から75mm程度の長さに相当する水を洗浄物にあてることができる。その結果、洗浄物の広範囲に水を当てることができるとともに、水の使用量を抑制することができる。
【0037】
ただし、散水孔27aが設けられる領域の横幅寸法L5と縦幅寸法L6は例示をした寸法に限定されるわけではない。この場合、縦幅寸法L6が横幅寸法L5よりも大きくなるようにすれば、洗浄物の大きさなどに応じて適宜変更することができる。
また、散水孔27aの孔の軸線を散水板26の中心側から外側に向けて形成するようにすれば、拡散するような吐水を行うことができる。そのため、横幅寸法L5や縦幅寸法L6を小さくしながらも、同一の吐水範囲の吐水を得ることもできる。その場合、散水板26の寸法を小さくできるため、スペース効率を向上させることができる。
【0038】
次に、シャワー吐水部24に固定される散水板の変形例について例示をする。
図5〜
図8は、シャワー吐水部24に固定される散水板の変形例を例示するための模式図である。
【0039】
図5に示すように、散水板26bには、合計3つの散水スリット28が設けられている。この場合、散水スリット28の横方向の(図の左右方向)の寸法L15は、例えば、1mm程度とすることができる。一方、縦方向(図の上下方向)の寸法L6aは、例えば、65mm程度とすることができる。
【0040】
また、左側に設けられた散水28の左端と、右側に設けられた散水スリット28の右端と、の間の寸法L5aは、例えば、20mm程度とすることができる。なお、
図5に例示をしたものの場合には、寸法L5aが前述した横幅寸法L5に該当し、寸法L6aが縦幅寸法L6に該当することになる。
【0041】
ただし、例示をした寸法に限定されるわけではなく、洗浄物の大きさなどに応じて適宜変更することができる。また、散水スリット28の配設数についても、3つに限られるわけではなく適宜変更することができる。
図5に例示をしたもののように、複数の散水スリット28を備えた散水板26bを用いれば、複数の幕状の水を放出することができる。そのため、水をより広範囲に放出することができる。すなわち、例えば、幅寸法が長い包丁などに対しても、水をその幅の略全体に当てることができる。また、洗浄物の全長の略半分の長さに対して連続した幕状の水を当てることができ、かつ洗浄物上を流れる水によって残りの略半分の長さを洗い流すこともできる。これにより、洗浄物の全長方向(長手方向)に対して効率よく水を当てることができるので、水の使用量を抑制することができる。
【0042】
図6に示すように、散水板26cには、矩形の4辺に設けられ互いに連接するスリットからなる散水スリット29が備えられている。そのため、スリットにより取り囲まれた領域29aからは水が放出されないので、散水スリット29から水が放出された場合、その中央には幕状の吐水流によって取り囲まれた部分が存在することになる。
散水スリット29の左端と右端との間の寸法L5bは、例えば、20mm程度とすることができる。また、散水スリット29の上端と下端との間の寸法L6bは、例えば65mm程度とすることができる。また、
図5に例示をしたものと同様に、スリット部分の幅寸法L15は、例えば、1mm程度とすることができる。なお、
図7に例示をしたものの場合には、寸法L5bが前述した横幅寸法L5に該当し、寸法L6bが縦幅寸法L6に該当することになる。
【0043】
ただし、例示をした寸法に限定されるわけではなく、洗浄物の大きさなどに応じて適宜変更することができる。また、散水スリット29の形状についても適宜変更することができる。例えば、任意の曲線や直線で構成されたスリットとすることもできる。また、スリット同士が連接されておらず、互いの間に水が放出されない部分を有していてもよい。
散水スリット29を備えた散水板26cを用いれば、外形寸法の大きな幕状の水を放出することができる。これにより、洗浄物の全長方向および幅方向に対して、幕状の連続した水を放出することができる。そのため、
図5に例示をした散水板26aに比べて水をより広範囲に放出することができる。また、幕状の吐水流によって取り囲まれた部分には水が放出されないので、水の消費量を抑制することができる。
【0044】
図7に示すように、散水板26dには散水孔群27bが1つ設けられている。また、散水孔群27bにも、水40をシャワー吐水流として放出するための散水孔27aが複数設けられている。例えば、散水孔27aを碁盤目状に配列することができる。この場合、例えば、散水孔27aの配列を10行、10列とし、その数を合計約100個程度とすることができる。
配設された散水孔27aのうち、最上端と最下端に設けられたものの外縁の最も外側に位置する部分間の寸法L6cと、最左端と最右端に設けられたものの外縁の最も外側に位置する部分間の寸法L5cと、を等しくすることができる。この場合、例えば、寸法L5c、L6cとを20mm程度とすることができる。なお、散水孔27aは、
図3に例示をした散水孔と同じものとすることができる。
このようにしても、貯留部24bを介して散水孔27aから水を吐水させることができる。また、放出させた水をシャワー吐水流としてシンク底面34に着水させることができる。
【0045】
図3に例示をする散水板26によれば縦方向(図の上下方向)に長い吐水をさせることができるが、
図7に例示をする散水板26dの場合は縦方向(図の上下方向)に比較的短い吐水をさせることができるようになっている。
そのため、縦方向(図の上下方向)の寸法L6cは、
図3に例示をする縦幅寸法L6よりも短くされている。
尚、散水孔27aの数やピッチ、列数や行数などは図示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0046】
図8に示すように、散水板26eには散水孔群27dが1つ設けられている。また、散水孔群27dにも、水40をシャワー吐水流として放出するための散水孔27aが複数設けられている。例えば、散水孔27aを同心円上に4列に配列することができる。この場合、例えば、散水孔27aの数を合計約60個程度とすることができる。
図8に例示をするものの場合には、散水孔27aが同心円上に配置されているので、 最上端と最下端に設けられたものの外縁の最も外側に位置する部分間の寸法L6dと、最左端と最右端に設けられたものの外縁の最も外側に位置する部分間の寸法L5dと、は等しくなる。 この場合、例えば、寸法L5d、L6dとを20mm程度とすることができる。なお、散水孔27aは、
図3に例示をした散水孔と同じものとすることができる。
このようにしても、貯留部24bを介して散水孔27aから水を吐水させることができる。また、放出させた水をシャワー吐水流としてシンク底面34に着水させることができる。
【0047】
図3に例示をする散水板26によれば縦方向(図の上下方向)に長い吐水をさせるように成っているが、
図8に例示をする散水板26eの場合は縦方向(図の上下方向)に比較的短い吐水をさせることができるようになっている。
そのため、縦方向(図の上下方向)の寸法L6dは、
図3に例示をする縦幅寸法L6よりも短くなっている。
【0048】
ただし、例示をした寸法に限定されるわけではなく、洗浄物の大きさなどに応じて適宜変更することができる。また、散水孔27aの配設数や配設ピッチなども図示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、任意の曲線、傾斜や屈折した直線などに沿って散水孔27aを設けるようにすることもできる。また、散水孔27aの形状も
図3に例示をした円形に限定されるわけではなく任意の形状とすることができる。
【0049】
「簡単洗い」や「丁寧洗い」などの洗い動作を行う際には、吐水範囲の広いシャワー吐水流とすることが好ましい。この場合、前述したように、カウンター上面62に対して傾斜した方向にシャワー吐水流が形成されれば、水栓20で視界を遮られることがないため、洗浄面が見やすく作業性がよい。また、傾斜した方向にシャワー吐水流が形成されれば、水平面内における洗浄面積を大きくすることができる。また、洗浄物の全長方向に対して効率よく水を当てることができるので、水の消費量を抑制することができる。また、システムキッチン10の前方への張り出しも少なくすることができるので、使用者はシンク30内およびその上方の領域を広く使用することができる。
そのため、洗い動作を行う際には、カウンター上面62に対して傾斜した方向にシャワー吐水流が形成されるようなシャワー吐水流の形態とすることが好ましい。
【0050】
次に、水伝い防止部の形態について例示する。傾斜した吐水部を有する水栓において、吐水量を少量とした場合、水の表面張力により、水栓本体に水が伝ってしまい、シンクの外に水が流出するという問題がある。一般的に、シャワー吐水部は、広範囲に水を吐水したいときに使うものであるから、少量の水を吐水させたいシーンは少ないと考えられるが、吐水の初期段階、止水の終了間際においては、水流の勢いが十分でないため、散水板に沿って水伝いが生じるおそれがある。
したがって、傾斜したシャワー吐水部を有する水栓においては、水伝い防止部を設ける
ことが好ましい。
【0051】
図9に示す水栓20fにおいては、特許文献4(特開平08−246520号公報)に開示された技術と同様に、シャワー吐水部24f下部に、突出した水伝い防止部(水切板)203fを設けている。水伝い防止部(水切板)203fは、散水板261fと一体化されており、固定部材である散水板固定カバー208fにより、支持部に固定されている。水伝い防止部(水切板)により、水伝いが阻止され、水栓の基端部への水伝いが防止されている。
【0052】
しかしながら、水伝い防止部(水切板)203fにより、吐水部下方の空間が狭くなる。このため、例えば、フライパンや鍋など、容積の大きい調理器具の洗い作業を行う場合には、水伝い防止部(水切板)203fが邪魔になり、洗い作業の効率が低下するおそれがある。
【0053】
図10は、本発明の実施の形態に係る水伝い防止部の形態について例示するための模式図である。
図10に示す水栓20gにおいては、シャワー吐水部24gの下部に、凹状に切り欠いた水伝い防止部203gを設けている。
シャワー吐水部24gから、少量の水が吐水された場合、散水板261gに沿って、水伝いが生じるが、水伝い防止部203gは、水栓20gを凹状に、より詳細には後方に、且つ水平面に対し上方に向けて切り欠かれた切欠部である。水伝い防止部203gをこのような形状とすることで、水伝い防止部上面204gは、水平面に対して、水伝い防止部先端209gが低くなるような傾斜を設けており、水は水伝い防止先端209gから流れ落ちるため、水伝い防止部上面204gより下方の水伝いが阻止できる。なお、本実施例においては、切欠部は支持部に設けられている。
また、水伝い防止部203gは、散水孔の最下端よりも後方側(奥側)に配置され、前方側、すなわち調理者側への突出がない。広い洗い作業の空間が確保されるため、フライパン等の裏側をすすぐといった、容積の大きな調理器具を回転させる行為においても、水栓にぶつかることを特に意識せずに、回転操作を行うことができ、洗浄効率が向上する。
さらに、シャワー吐水部24gに近づけて、洗浄物を行う場合においても、特に邪魔されるものがないため、効率的に洗浄を行うことが可能となる。
【0054】
次に、本発明の実施の形態に係る水伝い防止部の変形例を例示する。
図11〜
図15は、水伝い防止部の変形例を例示するためのものである。
図11に示すように、水伝い防止部には、
図10で例示をした水伝い防止部203gに変えて、支持部に対して斜め下方に突出した突出部である水伝い防止部203hが設けられており、水伝い防止部の下面205hは、水平面に対して、水伝い防止部の先端209hが低くなるように傾斜している。このため、水は先端209hから流れ落ち、先端209hより下方の水伝いが防止できる。この場合、水伝い防止部は、散水板261hと同一平面上より、調理者側に突出することになるが、突出部の先端がシャワー吐水口の最下端よりも後方側に位置するよう配置されるため、洗い作業の空間は、十分に確保できている。なお本実施例において、突出部は支持部に設けられている。
また、散水板261hと同一平面上より、突出しているため、散水板を伝って流れ落ちてきた水の勢いを堰き止めることができ、水伝いをより効率的に防止することが可能となる。したがって、切欠部を設ける場合より、水伝い防止部全体を、小さくすることができ、スペース効率が向上する他、水伝い防止部の設計の自由度を上げることができる。
【0055】
図12に示すように、水伝い防止部203iは、
図10に例示したものと同様の切欠部が設けられている。水伝い防止部203iは、散水板261i下部に一体化され、散水板ユニットとなっている。すなわち、水伝い防止部203iは、散水板261iの下部を凹状に、より詳細には後方に、且つ水平面に対し上方に向けて切り欠かれた切欠部となっている。シャワー吐水口の近傍に水伝い防止部を設けることができるため、水が伝わる範囲を最小限に抑えることができ、衛生的であり、水垢等汚れが付着する範囲も少なくできる。さらに、水が自重により、加速する前に、水伝いを阻止することができるため、散水板下部に、水伝い防止部を設けた場合より、水伝い防止部203i全体を小さくすることができ、スペース効率が向上する。
散水板261i下部の一部に、水伝い防止部203iを併設する場合、
図12に例示した形状に限定されるわけではなく、
図11で例示したような突出した形状であってもよく、さらに別の形状でもよい。少なくとも、吐水口よりも後方に配設されれば、洗浄効率を損なうことなく、水伝いを防止することができる。
【0056】
図13に示すように、水伝い防止部203jは、
図11に例示したものと同様の突出部が設けられている。水伝い防止部203jは、散水板261jを水栓20jに固定するための固定部材である散水板固定カバー208jと一体化されている。すなわち、水伝い防止部203jは、散水板固定カバー208jより、斜め下方に向けて突出した突出部である。このようにすることで、
図12に例示したように、散水板と、水伝い防止部と、を一体化した場合と、同様の効果が得られる。また、散水板261jを複雑な曲面にすることなく、製造できるため、製造コストを抑えることが可能となる。
【0057】
図14に示すように、水伝い防止部203kは、
図10に例示したものと同様の切欠部206kが、散水板261kと一体化され、さらに、
図11に例示したものと同様の突出部207kが、散水板固定カバー208kと一体化されている。そして、切欠部206k下端と、突出部207k上端は滑らかに接合されている。すなわち、切欠部206kは、散水板261kの下部を凹状に、より詳細には後方に、且つ水平面に対し上方に向けて切り欠かれた切欠部となっており、突出部207kは、散水板固定カバー208kより、斜め下方に向けて突出した突出部である。そして水伝い防止部203kは、切欠部206kと、その下方に設けられた突出部207kからなっている。また、切欠部206kは、
図10に例示したものよりも小さく、突出部207kは、
図11に例示したものより小さい。散水板261kに沿って伝い落ちてきた水は、一部は切欠部先端209kで流れ落ち、残りは切欠部206kを通過し、突出部207kまで達し、突出部先端210kで、流れ落ちる。このような形状にすることで、切欠部206kの凹みを小さく、突出部207kの出っ張りを小さくすることが可能となる。
【0058】
図15に示すように、水伝い防止部203mは、散水板261m下部に突出部207mが併設され、さらに散水板固定カバー208mに切欠部206mが併設されている。すなわち、突出部207mは、散水板261mより、斜め下方に向けて突出した突出部であり、切欠部206mは、散水板固定カバー208mを凹状に、より詳細には後方に、且つ水平面に対し上方に向けて切り欠かれた切欠部である。そして水伝い防止部203mは、突出部207mと、その下方に設けられた切欠部206mからなっている。突出部207mは、
図11に例示したものよりも小さく、切欠部206mは、
図10に例示したものよりも小さい。散水板261mに沿って、伝い落ちてきた水は、突出部先端210mで全て流れ落ちる。突出部207mの下方に切欠部206mを連続して設けることで、突出部207mの出っ張りを小さくしながらも、
図13に例示した出っ張りの大きい突出部と同等の効果を得ることができる。このようにすることで、突出部をさらに散水板の近傍に配設することができるようになる。また、
図13に例示した出っ張り部と同様の位置に配設した場合には、さらに広い空間を確保することが可能となり、作業効率が向上する。
【0059】
図26は、本発明の実施の形態に係る散水板の変形例について例示するための模式図である。
図26(a)は散水板を正面から眺めた正面模式図であり、
図26(b)は、A−A断面を表す断面模式図である。
図26に示すように、散水板261nは斜め上方に傾斜した方向(図の上下方向)に沿って円筒形に湾曲した形状をなしている。このような形状にすることで、散水板261nの正面は斜め下方に向けて設置されているため、散水板261nに沿って伝い落ちてきた水は、散水板261nの中央に集まりながら下方に向けて流れ落ちることとなる。したがって水と散水板の接触する面積が小さくなるため、散水板や水栓本体の支持部への水伝いが抑制される。
【0060】
図27は、本発明の実施の形態に係る水栓の変形例について例示するための模式図である。
図27(a)は水栓を正面から眺めた正面模式図であり、
図27(b)は、水栓を側面から眺めた側面模式図である。
図27に示すように、水栓20nには
図26に示した散水板261nが取付けられており、散水板261nの下方には突出した突出部である水伝い防止部203nが設けられている。上述したように、散水板261nは斜め上方に傾斜した方向に沿って円筒形に湾曲した形状をなしているため、散水板261nに沿って伝い落ちてきた水は、散水板261nの中央に集まりながら、下方に向けて流れ落ちる。したがって、水
伝い防止部203nは、散水板下方の中央部分のみに設けるだけで十分となる。また水と散水板の接触する面積が小さくなり、水伝いが抑制されるため、突出した突出部である水伝い防止部203nの出代を小さくすることも可能となり、広い空間を確保することができ、作業効率が向上する。
【0061】
次に、水跳ねについて説明をする。
図16〜
図18は、着水面に対し垂直に吐水がされた場合の水跳ねを例示するための模式図である。
また、
図19〜
図21は、着水面に対し斜め方向から吐水がされた場合の水跳ねを例示するための模式図である。 尚、
図17(a)、
図20(a)は一本の水流を例示するための模式図であり、その他
の図は複数の水流を例示するための模式図である。この場合、水流には
図5〜
図6に例示したような幕状の水流をも含むものとする。
【0062】
図16〜
図18に示すように、水栓20から吐水された水40が着水面100に対して垂直に着水すると、水40は、あらゆる方向に対して略同等に流れようとする。すなわち、水40は着水面100の全体に広がろうとする。一本の水流しか存在せず、かつ着水部に障害物が存在しない場合、水40は着水部から遅延なく排出される。着水部とは、水40が着水する場所のことである。しかしながら、シャワー吐水のように複数の水流の吐水が行われた場合には、
図16や
図17(b)に示すように隣り合う水流との間の領域44において、互いの進行方向を打ち消し合うように水40が流れようとする。その結果、水40は流れを失い、その場に滞留しようとするか、もしくは上方にその方向を変えられ、滞留する水がちぎれ、水滴として、飛び散ろうとする。水滴として飛び散るほどのエネルギーを有さない場合においても、領域44の水面は著しく乱れ、乱れは近傍に伝播される。そして、
図18に示すように、乱れが伝播され、波を打った水40bの水面に略垂直方向から水40が着水すると、さらに乱れが増幅され、波が大きくなり、ある曲率以上に変形された水面は、水滴として周囲に放出される。
【0063】
この場合、隣り合う水流との間の領域48においては、跳ねた水滴どうしが合体し、大きな水滴となることもあれば、水滴どうしが衝突によりさらに細かな水滴に分裂することもあり、その態様はさらに複雑となる。さらに、滞留した水40bに対して垂直に着水した水40は、一方向に水跳ねを生じさせるわけではなく、あらゆる方向に水跳ねを生じさせる。そのため、例えば、領域50や領域52において生じた水跳ねは打ち消されることはない。
【0064】
これに対し、
図19〜
図21に示すように、水栓20から吐水された水40が着水面100に対して斜め方向から着水すると、水40は略進行方向である矢印C、矢印D、矢印Eの方向に流れようとする。すなわち、着水面に略一方向に流れる水の流れを有する水膜が形成されることになる。
また、この場合、略進行方向に向かうエネルギーが大きいため、着水した大部分の水40が略進行方向に流れようとする。この場合、同一の方向に向かう流れとなり、水面の乱れが軽減されるため、水滴として放出される確率が低くなる。また、
図21に示したように、水の流れができ、安定している水面40bに、斜め方向から水40が着水すると、流れと同一方向であることから、衝突の衝撃が緩和され、水面の乱れが抑制されるため、水跳ねが軽減される。また、
図20(b)に示したように、水40は略一方向(略進行方向)に合流するようにして流れる。すなわち、吐水口から着水面100(例えば、シンク底面34)に対して傾斜した方向に吐水流を放出することで、着水面100を略一方向に流れる水の流れを形成させることができる。尚、この場合においても、
図21に示すように、隣り合う水流との間の領域46においては、干渉し合い、水面が乱れ、水跳ねが生じることもあるが、進行方向に向かうエネルギーの方が大きいため、干渉する方向に向かうエネルギー量は小さくなる。そのため、水面の乱れも小さくなり、水跳ね量は少なくなる。
【0065】
ここで、本発明者の得た知見によれば、着水面100に対し斜め方向から水40を着水させることで生じさせた水40の流れの上に次の水40を着水させるようにすれば、水跳ねを抑制することができる。この原因は、必ずしも明らかではないが以下のことが考えられる。すなわち、斜め方向から水40を着水させることで着水時の衝撃を緩和することができる。また、すでに着水している水40の上に着水する場合においても、進行方向が一致するため、水面の乱れが生じにくい。尚、水跳ねを抑制することができるとともに、着水音をも抑制することができる。また、斜め方向から水40を着水させることで一方向の水の流れを強制的に作り出すことができる。そのため、水勢を高めることができるので滞留する水40の量が少なく、すでに着水している水40が水跳ねを起こすことを抑制することができる。この場合、水の滞留を少なくして水跳ねを抑制するためには、着水面100(例えば、シンク底面34)は平滑、略水平であることが好ましい。
【0066】
次に、傾斜角度θと水跳ねとの関係を説明する。
図22は、水跳ね試験の概要を例示するための模式図である。尚、
図22(a)は、水跳ね試験の様子を例示するための模式断面図、
図22(b)は、
図22(a)における矢視方向から見た模式平面図である。
図22(a)に示すように、カウンター上面62に対して15°傾斜させたアクリル板(縦500mm×横500mm)をシンク30内に挿入し、カウンター上面62の高さを横切る水40を受けるようにした。そして、
図22(b)に示すように、水膜(滞留する水)が形成されていない領域110aに水跳ねした水滴量を測定した。この場合、吐出時間は150秒としている。また、傾斜角度θを0°〜90°の範囲で変化させて、水跳ねした水滴量を測定している。尚、アクリル板の傾斜角度15°は、吐水された水40がシンク底面34に着水した時の着水の角度との差を考慮したものである。すなわち、シンク底面34に着水した時の着水の角度に合わせるための補正値である。
【0067】
図23は、傾斜角度θと水跳ねとの関係を例示するためのグラフ図である。
尚、横軸は傾斜角度θを表し、縦軸は
図22に例示をした水跳ね試験により測定した水滴量を水跳ね量として表したものである。
【0068】
図23に示すように、
図22に例示をした水跳ね試験によれば、傾斜角度θが30°以下では、水跳ね量は略一定で多いことが分かる。これは
図16〜18に関して前述したように、水が洗浄物に対して、略垂直に着水するため、着水面で水の滞留が起こり、水面が乱れるためである。
これに対し、傾斜角度θが40°以上では、水跳ねが単調的に減少していることが分かる。これは
図19〜21に関して前述したように、水が洗浄物に対して、傾斜して着水した場合は、着水した水は、遅延なく排出され、水面の乱れが抑制されるためである。 なお、傾斜角度θが80°以上では、水面の乱れの抑制が頭打ちとなるため、水跳ね量の減少効果も、飽和し始める。
これにより、40°以上の場合には、水跳ねの減少効果が大きくなることが分かる。 また、傾斜角度を大きくしていくと、水の流速、流量を変えた場合の、吐水の軌跡の変動が大きくなり、作業効率が悪くなる恐れがあるのに加え、吐水がより遠くまで到達することからシンク30の前後方向の寸法が大きくなりすぎる恐れがあることから、80°以下が好ましい。
【0069】
図24は、シャワー吐水の軌跡を例示するための写真である。
図24に示す吐水の軌跡は、傾斜角度θが55°、流速が2.1m/secの場合である。この場合のシンク底面34に対する着水角度αは55°程度である。尚、流速が2.1m/secは、システムキッチンにおいて一般的な洗浄作業をする場合を考慮した値である。
【0070】
図25は、シャワー吐水の様子を例示するための模式図である。
図25に示すように、水栓20の上部はカウンター上面62に対して傾斜角度θだけ傾斜しているので、シンク底面34には着水角度αをもって着水する。そのため、前述したように、水40は略進行方向に合流して流れ、この流れ41が形成されることや着水角度αをもって着水することなどから水跳ねや着水音を抑制することができる。また、流れ41の進行方向には立面(シンク前面36)があるのでシンク30の外部への水跳ねを抑止することができる。