(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
線材(11)端部が係止可能な係止部(12d,12e)が形成された一対のコイルボビン(12,12)に所定の長さの線材(11)を両側から巻回させるコイルの製造装置であって、
前記線材繰り出しプーリ(41)から引き出された前記線材(11)を支持しかつ切断するニッパクランプ機構(50)と、
前記ニッパクランプ機構(50)を移動させるクランプ移動機構(45)と、
引き出された前記線材(11)の端部を保持可能なノズル(66)と、
前記ノズル(66)を移動させて前記ノズル(66)に保持された前記線材(11)の端部を前記一対のコイルボビン(12,12)の係止部(12d,12e)に係止させるノズル移動機構(61)と、
前記係止部(12d,12e)に端部が係止した前記線材(11)を前記線材繰り出しプーリ(41)から引き出す線材引き出し機構(80)と、
前記一対のコイルボビン(12,12)を保持しかつ回転させて引き出されて切断された所定の長さの前記線材(11)を両側から前記一対のコイルボビン(12,12)に巻回させるボビン保持回転機構(21)と、
前記ボビン保持回転機構(21)を円弧状に移動させて前記ボビン保持回転機構(21)に保持される前記一対のコイルボビン(12,12)を移動可能なボビン移動機構(35)と
を備えたコイルの製造装置。
ノズル(66)が軸芯方向に沿って分割され、前記ノズル(66)の左右における分割片(66b,66c)を分割し又は合体させる分割片移動機構(68)を備える請求項1ないし3いずれか1項に記載のコイルの製造装置。
巻付け工程において、引き出された線材(11)の両端部を挟んだ線材ガイド(71)を前記一対のコイルボビン(12,12)の回転と共に前記一対のコイルボビン(12,12)の軸方向に往復移動させて、前記線材(11)を前記一対のコイルボビン(12,12)のそれぞれに巻回する請求項5記載のコイルの製造方法。
軸芯方向に沿って分割された左右における分割片(66b,66c)を有するノズル(66)を用い、分割された前記分割片(66b,66c)の間に線材(11)を挿通させた後に前記左右における分割片(66b,66c)を合体させて前記ノズル(66)により線材(11)を保持する請求項7記載のコイルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
本発明のコイル製造装置は、所定の長さの線材11(
図3、
図6及び
図9)を、その両側から一対のコイルボビンに巻回させるものである。
図10及び
図11に示すように、一対のコイルボビン12,12はそれぞれが同形同大の円筒形を成し、各コイルボビン12の外周には、軸方向の中央部分に、このコイルボビン12を外部より回転駆動するための歯車12aが形成される。線材11を巻回するための巻線溝12b,12cはこの歯車12aを挟んだ軸方向の両側に形成され、線材11の端部を引っ掛ける係止部12d,12e及びその係止部12d,12eに引っ掛けた線材11の端部を収納しておくための貯線溝12f,12gが軸方向の両端部に形成される。このコイルボビン12は、その軸心方向に沿って分割され、
図10に示すように、方形状を成す鉄心13の両側における足部13a,13bを挟み込んだ状態に組付けられる。この鉄心13は、その一対の足部13a,13bを両端部において連結部13c,13dにより連結し、これにより方形状を成すように形成される。
【0015】
本発明におけるコイルの製造装置20を
図1〜
図9に示す。ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平前後方向、Y軸が略水平横方向、Z軸が略垂直方向に延びるものとし、コイルの製造装置20の構成を説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明のコイルの製造装置20は、一対のコイルボビン12,12を保持しかつその一対のコイルボビン12,12別々に回転させるボビン保持回転機構21を備える。
図2及び
図3に詳しく示すように、このボビン保持回転機構21は、水平な架台20a上にY軸方向に延びて立設された台板22を有し、この台板22には比較的大径な半円状の切り欠き22aがその上部のY軸方向における一方の側方に形成される。この台板22には、その半円状の切り欠き22aに沿ってレール23が円弧状に形成され、そのレール23の径方向外側にはそのレール23に沿って更に円弧状ギヤ24(
図3)が取付けられる。そして、このレール23には可動台26がそのレール23に沿って円弧状に移動可能に支持される。
【0017】
図4に示すように、このボビン保持回転機構21を構成する可動台26には、円弧状の切り欠き22aの中央側に、その可動台26とX軸方向に所定の間隔をあけて取付片27がボス27aを介して設けられる。この取付片27の切り欠き22aの中央に臨む端縁は、可動台26の切り欠き22aの中央に臨む端縁と略面一になるように、この取付片27は可動台26に設けられる。この可動台26と取付片27の所定の間隔は、コイルボビン12が進入可能な間隔とし、そのコイルボビン12の両端部から突出する鉄心13における連結部13c,13dが、切り欠き22aの中央側に臨む可動台26と取付片27の面一となる端縁に載置可能に構成される。そして、この可動台26と取付片27の切り欠き22aの中央に臨む端縁に鉄心13の連結部13c,13dが載置された状態で、その連結部13c,13dを固定する固定具28がその端縁に取付けられる。図では、固定具28が小ネジ29により取付けられる場合を示す。そして、この固定具28により、一対のコイルボビン12,12は、鉄心13を介してこの可動台26に取付け可能に構成される。
【0018】
図3及び
図4に示すように、この可動台26には、一対のコイルボビン12,12の外周に形成された歯車12a(
図4)と噛み合う駆動歯車31が一対設けられる。この駆動歯車31は、可動台26に枢支された回転軸31aの一端にその中心が固定され、その可動台26を貫通して設けられた回転軸31aの他端には第1傘歯車32が取付けられる。可動台26には、一対のボビン回転モータ33,33が配置され、このボビン回転モータ33の回転軸33aには、第1傘歯車32に歯合する第2傘歯車34が取付けられる。従って、第2傘歯車34をボビン回転モータ33により回転させることにより、第1傘歯車32をX軸回りに回転させ、その第1傘歯車32とともに回転する駆動歯車31を介して一対のコイルボビン12,12をX軸回りに別々に回転させるよう構成される。よって、上述した固定具28、駆動歯車31及びその駆動歯車31を回転させるボビン回転モータ33等は、一対のコイルボビン12,12を保持しかつ回転させるボビン保持回転機構21を構成するものとなる。
【0019】
また、レール23を走行可能に構成されたランナブロック25が可動台26に取付けられ、このランナブロック25により、可動台26は、そのレール23に沿って円弧状に移動可能に支持される。そして、この可動台26には、レール23に沿って設けられた円弧状ギヤ24と噛み合う移動用歯車36が枢支される。この移動用歯車36は、可動台26に枢支された回転軸36aの一端にその中心が固定され、その可動台26を貫通して設けられた回転軸36aの他端には第3傘歯車37が取付けられる。可動台26には、ボビン移動モータ38が設けられ、このボビン移動モータ38の回転軸38aには、第3傘歯車37に歯合する第4傘歯車39が取付けられる。従って、第4傘歯車39をボビン移動モータ38により回転させることにより、第3傘歯車37をX軸回りに回転させ、その第3傘歯車37とともに回転する移動用歯車36を介して可動台26をレール23に沿って円弧状に移動可能に構成される。このため、このレール23、円弧状ギヤ24、移動用歯車36及びボビン移動モータ38は、ボビン保持回転機構21を円弧状に移動させて、そのボビン保持回転機構21に保持される一対のコイルボビン12,12を移動可能なボビン移動機構35を構成するものとなる。
【0020】
図1に戻って、本発明におけるコイルの製造装置20は、線材繰り出しプーリ41から引き出された線材11を支持しかつ切断するニッパクランプ機構50と、引き出された線材11の端部を保持可能なノズル66等を備える。前述したように、この実施の形態におけるコイルボビン12は、線材11を巻回するための巻線溝12b,12cが歯車12aを挟んだ軸方向の両側に形成されている(
図10)。このため、この製造装置20では、コイルボビン12の両側に形成された巻線溝12b,12cに巻回する線材11を別々に準備しかつ同時に巻線する必要がある。よって、本発明におけるコイルの製造装置20では、コイルボビン12の両側に形成された巻線溝12b,12cに線材11を別々にかつ同時に巻回するために、その一対のコイルボビン12,12を保持するボビン保持回転機構21を含むY軸方向の線Lを対称線として、上述したニッパクランプ機構50やノズル66等がそれぞれ一対ずつ設けられる。これらは、線対称を成して同一構造であるので、以下、
図1の上側に示す片側のものを代表して説明することとし、
図2にボビン保持回転機構21を含むその片側のものの斜視図を示す。
【0021】
図1〜
図3及び
図9に示すように、架台20a上面には、線材11を繰り出す線材繰り出しプーリ41が、Y軸方向流体圧シリンダ42及びX軸方向流体圧シリンダ43を介して設けられる。Y軸方向流体圧シリンダ42は架台20a上にY軸方向に延びて設けられ、そのY軸方向流体圧シリンダ42の出没軸42aに、X軸方向流体圧シリンダ43がX軸方向に延び設けられる。線材11を繰り出す線材繰り出しプーリ41はY軸回りに回転可能に枢支台44に枢支され、この枢支台44がこのX軸方向流体圧シリンダ43の出没軸43aに取付けられる。このため、この線材繰り出しプーリ41は、これら各流体圧シリンダ42,43を介して、その架台20a上面において、水平面内において移動可能に構成される。そして、この線材繰り出しプーリ41には、この線材繰り出しプーリ41からX軸方向に離間して設けられた図示しない線材供給源から繰り出された線材11が掛け回され、その線材11の端部はZ軸方向上方に向かって次に説明するニッパクランプ機構50にまで案内される。
【0022】
図1,
図2及び
図5に示すように、ニッパクランプ機構50は、線材繰り出しプーリ41から引き出された線材11を支持しかつ切断するものであって、このニッパクランプ機構50を移動させるクランプ移動機構45を介して架台20aに取付けられる。
図5に詳しく示すように、この実施の形態におけるクランプ移動機構45は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ46〜48の組合わせにより構成される。このクランプ移動機構45を構成する各伸縮アクチュエータ46〜48は、細長い箱形ハウジング46d〜48dと、そのハウジング46d〜48d内部に長手方向に伸びて設けられサーボモータ46a〜48aによって回動駆動されるボールネジ46b〜48bと、このボールネジ46b〜48bに螺合して平行移動する従動子46c〜48c等によって構成される。そして、これらの各伸縮アクチュエータ46〜48は、サーボモータ46a〜48aが駆動してボールネジ46b〜48bが回転すると、このボールネジ46b〜48bに螺合する従動子46c〜48cがハウジング46d〜48dの長手方向に沿って移動可能に構成される。
【0023】
この実施の形態では、ニッパクランプ機構50は支持板51に設けられる。そして、この支持板51をY軸方向に移動可能にY軸方向伸縮アクチュエータ47のハウジング47dに取付け、そのY軸方向伸縮アクチュエータ47とともにその支持板51をZ軸方向に移動可能に、Y軸方向伸縮アクチュエータ47の従動子47cがZ軸方向伸縮アクチュエータ48の従動子48cに取付けられる。また、そのZ軸及びY軸方向伸縮アクチュエータ47,48とともにその支持板51をX軸方向に移動可能に、そのZ軸方向伸縮アクチュエータ48のハウジング48dがX軸方向伸縮アクチュエータ46の従動子46cに取付けられる。そして、X軸方向伸縮アクチュエータ46のハウジング46dがX軸方向に伸びて架台20aに固定される。それらの各伸縮アクチュエータ46〜48における各サーボモータ46a〜48aは、これらを制御する図示しないコントローラの制御出力に接続される。
【0024】
図5及び
図6に示すように、ニッパクランプ機構50は、支持板51にZ軸方向に所定の間隔をあけて設けられた第1及び第2クランプ装置52,53と、上側の第1クランプ装置52に上側から接近して設けられたニッパ装置54を備える。第1及び第2クランプ装置52,53は、エア圧により開閉する一対の把持片52a,53aを有し、その一対の把持片52a,53aを閉じることにより、線材繰り出しプーリ41により転向して鉛直方向に向かう線材11を把持可能に構成される。
【0025】
またニッパ装置54は、エア圧により開閉する一対の切断刃54aを有し、その一対の切断刃54aを閉じることにより、上側の第1クランプ装置52により把持され、その一対の把持片52aにより把持されて上方に突出する線材11をその近傍において切断可能に構成される。また、この支持板51には、ニッパ装置54の上方にピン状物56をY軸方向に向けて出没させるエアシリンダ57が設けられ、Y軸方向に突出させたピン状物56をこの支持板51と共にクランプ移動機構45が3軸方向に移動させることにより、次に説明するノズル66に保持された線材11をそのノズル66に沿って折り曲げ可能に構成される。
【0026】
ノズル66は、線材繰り出しプーリ41を介して引き出された線材11の端部を保持するものであって、
図5に示すように、ノズル移動機構61を介して架台20aに取付けられる。この実施の形態におけるノズル移動機構61は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ62〜64の組合わせにより構成され、上述したクランプ移動機構45と同一構造のものが用いられる。そして、ノズル66が設けられる取付板67をX軸方向に移動可能にX軸方向伸縮アクチュエータ62のハウジング62dに取付け、そのX軸方向伸縮アクチュエータ62とともにその取付板67をZ軸方向に移動可能に、X軸方向伸縮アクチュエータ62の従動子62cがZ軸方向伸縮アクチュエータ64の従動子64cに取付けられる。また、そのZ軸及びX軸方向伸縮アクチュエータ62,64とともにその取付板67をY軸方向に移動可能に、そのZ軸方向伸縮アクチュエータ64のハウジング64dがY軸方向伸縮アクチュエータ63の従動子63cに取付けられる。そして、Y軸方向伸縮アクチュエータ63のハウジング63dがY軸方向に伸びて架台20aに固定される。それらの各伸縮アクチュエータ62〜64における各サーボモータ63a〜64aは、これらを制御する図示しないコントローラの制御出力に接続される。
【0027】
図5〜
図8に示すように、ノズル66は、正面から見て菱形を成す板材から成り、その中央に鉛直方向に伸びる貫通孔66aが形成される。このノズル66はその貫通孔66aの軸芯方向に沿ってY軸方向に分割され、このノズル66は、その左右における分割片66b,66cを分割し又は合体させる分割片移動機構68を介して取付板67に取付けられる。そして、ニッパクランプ機構51における第1及び第2クランプ装置52,53のそれぞれに線材11が支持された場合に、このノズル66は、その第1及び第2クランプ装置52,53の間に鉛直方向に延びる線材11を保持可能に構成される。
【0028】
取付板67にはY軸方向に延びる支持壁69が取付けられ、この支持壁69には分割片移動機構であるエアシリンダ68,68が一対設けられる。ノズル66における左右の分割片66b,66cは、この一対のエアシリンダ68,68のエア圧によりY軸方向に移動するスライダ68a,68aに支持棒68b,68bを介して取付けられる。よって、左右の分割片66b,66cは、一対のエアシリンダ68,68により独立して左右に移動可能に取付けられ、左右の分割片66b,66cが離間した状態でその間に線材11が挿通され、その状態で左右の分割片66b,66cの対向面を互いに接触させることにより、その対向面に形成された貫通孔66aにその線材11が収容され、これにより、このノズル66はその線材11を長手方向に移動可能に保持するように構成される。
【0029】
図6及び
図8に示すように、取付板67には、このノズル66に隣接して線材ガイド71が設けられる。この線材ガイド71は、ボビン保持回転機構21が保持する一対のコイルボビン12,12の軸方向、即ち、X軸方向の両側から線材11を挟むように形成される。この実施の形態における線材ガイド71は鋼板をU字状に折り曲げ加工することにより作られ、この線材ガイド71は取付板67にエアシリンダ72を介して取付けられる。このエアシリンダ72は、
図8の一点鎖線で示すように、その出没軸72aを突出させることによりその線材ガイド72をノズル66に隣接させ、
図8の実線で示すように、その出没軸を没入させることにより、その線材ガイド72を取付板67側に引き戻してノズル66から離間させるように構成される。そして、ノズル移動機構61は、そのような線材11を保持するノズル66及び線材11を挟む線材ガイド71を三軸方向に移動させて、そのノズル66に保持された線材11の端部をコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させ、又は線材ガイド71が挟んだ線材11を、コイルボビン12の巻線溝12c,12cに案内するように構成される。
【0030】
図5〜
図7に示すように、取付板67の上下には、ノズル66を挟むように第3及び第4クランプ装置73,74が設けられる。
図6に示すように、第1及び第2クランプ装置52,53の間の線材11をノズル66が保持する状態で、この第1及び第2クランプ装置52,53を更にその上下から挟むように第3及び第4クランプ装置73,74は取付板67の上下に取付けられる。
【0031】
この第3及び第4クランプ装置73,74は、X軸方向流体圧シリンダ76とZ軸方向流体圧シリンダ77を介して取付板67にそれぞれ取付けられる。このX軸方向流体圧シリンダ76とZ軸方向流体圧シリンダ77はエア圧によりスライダ76a,77aを移動させるものであって、Z軸方向流体圧シリンダ77が取付板67にZ軸方向に伸びて設けられ、そのZ軸方向流体圧シリンダ77のZ軸方向に移動するスライダ77aにX軸方向流体圧シリンダ76がX軸方向に延びて取付けられる。そして、そのX軸方向流体圧シリンダ76のX軸方向に移動するスライダ76aに第3及び第4クランプ装置73,74が設けられる。このため、それぞれのZ軸方向流体圧シリンダ77は、それらのスライダ77aを互いに離間させることにより第3及び第4クランプ装置73,74をノズル66からそれぞれ離間させることになり、
図6に示すように、このように互いに離間した第3及び第4クランプ装置73,74が、第1及び第2クランプ装置52,53を更にその上下から挟むように構成される。
【0032】
また、それぞれのX軸方向流体圧シリンダ76は、それらのスライダ76aをノズル66側に移動させることにより第3及び第4クランプ装置73,74におけるそれぞれの把持片73a,74aがノズル66の貫通孔66aの延長線上に位置し、そのノズル66が保持する線材11をそのノズル66の上下において把持可能に構成される。その一方、それぞれのX軸方向流体圧シリンダ76は、それらのスライダ76aをノズル66側から引き戻すにように移動させることにより、第3及び第4クランプ装置73,74におけるそれぞれの把持片73a,74aがノズル66の貫通孔66aの延長線上から後退するように構成される。
【0033】
図1,
図2及び
図5に示すように、このコイルの製造装置20には、コイルボビン12の係止部12d,12eに端部が係止した線材11を線材繰り出しプーリ41から引き出す線材引き出し機構80が設けられる。この実施の形態における線材引き出し機構80は、架台20a上にY軸方向の延びて設けられた伸縮アクチュエータ81と、その伸縮アクチュエータ81の従動子81cにZ軸方向に向かって立設された支柱82と、その支柱82に上下動可能に嵌入された移動体83と、その移動体83に基端が固定されてY軸方向に延び、その先端に線材11が係止可能な係止ローラ84が設けられた昇降棒85とを備える。この昇降棒85の先端には、出没軸86aをX軸方向に向けた流体圧シリンダ86が設けられ、この流体圧シリンダ86の出没軸86aに係止ローラ84がX軸回りに回転可能に設けられる。
【0034】
一方、支柱82の下部には昇降用モータ87が設けられ、支柱82の上部には上部プーリ88が枢支される。昇降用モータ87の回転軸87aには下部プーリ89が設けられ、上部プーリ88と下部プーリ89の間にはベルト90が掛け回される。このベルト90はその周方向の一部が移動体83に固定され、昇降用モータ87が駆動して、上部プーリ88と下部プーリ89の間でベルト90が循環すると、そのベルト90の一部が固定された移動体83が昇降棒85と共にその支柱82に沿って昇降するように構成される。そして、このように昇降する昇降棒85の先端に設けられた係止ローラ84がコイルボビン12の係止部12d,12eに端部が係止した線材11に掛け回され、その状態で上昇することにより、その掛け回された線材11を線材繰り出しプーリ41から新たに引き出すように構成される。
【0035】
次に、上記巻線装置を用いた本発明のコイルの製造方法について説明する。
【0036】
本発明のコイルの製造方法は、所定の長さの線材11を両側から一対のコイルボビン12,12に巻回させる方法である。その特徴ある点は、線材繰り出しプーリ41を介して繰り出された線材11の一端部を一方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させる線材一端部係止工程と、線材繰り出しプーリ41から線材11を所定長さ引き出す線材引き出し工程と、繰り出された線材11を線材繰り出しプーリ41側において切断する線材切断工程と、引き出された線材11の切断により形成された他端部を他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させる線材他端部係止工程と、一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方を同時に回転させて引き出された線材11を両側から一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に巻回させる巻付け工程とを有するところにある。そして、この実施の形態では、線材一端部係止工程と線材他端部係止工程の間に一対のコイルボビン12,12を円弧状に移動させるボビン移動工程が設けられる場合を示す。
【0037】
ここで、この実施の形態におけるコイルボビン12は、線材11を巻回するための巻線溝12b,12cが歯車12aを挟んだ軸方向の両側に形成されている(
図10)。このため、
図1に示すボビン保持回転機構21を含むY軸方向の線Lを対称線として、対照構造を成して一対ずつ設けられたニッパクランプ機構50やノズル66等が、それぞれ同一の動きを同時に成して、コイルボビン12の両側に形成された巻線溝12b,12cに線材11をそれぞれ同時に巻回するものとして、以下に、各工程を詳説する。
【0038】
<線材一端部係止工程>
この工程では、線材繰り出しプーリ41を介して繰り出された線材11の一端部を一方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させる。このため、その前提として、
図10及び
図11に示すように、一対のコイルボビン12,12は鉄心13の両側における足部13a,13bを挟み込む状態に組立てられており、
図4に示すように、その鉄心13の連結部13c,13dを固定具28により可動台26に取付けておく。そして、
図3に示すように、一対のコイルボビン12,12が保持されたボビン保持回転機構21は、ボビン移動機構35により円弧状に移動されて、一点鎖線で示すように、円弧状の切り欠き22aの上方に位置させる。
【0039】
具体的には、ボビン移動機構35を構成するボビン移動モータ38により第4傘歯車39を回転させ、第3傘歯車37をX軸回りに回転させ、その第3傘歯車37とともに回転する移動用歯車36を介して可動台26をレール23に沿って一点鎖線矢印で示すように円弧状に移動させる。そして、一対のコイルボビン12,12が円弧状の切り欠き22aの上方に位置した段階でそのボビン移動モータ38による第4傘歯車39の回転を停止させ、その位置に一対のコイルボビン12,12を停止させておく。
【0040】
線材11の端部の係止部12d,12e(
図10及び
図11)への係止は、その線材11の端部を保持するノズル66を移動させることにより行われる。ここで、
図6に示すように、線材繰り出しプーリ41を介して繰り出された線材11の端部は、この工程を開始するに際して、第1及び第2クランプ装置52,53のそれぞれに支持される。そして、第1及び第2クランプ装置52,53の間に鉛直方向に延びて存在する線材11をノズル66における左右の分割片66b,66cが離間した状態で挟み、その後、分割片移動機構68により、その左右の分割片66b,66cの対向面を互いに接触させる。すると、左右の分割片66b,66cの対向面に形成された貫通孔66aにその線材11が収容され、これにより、ノズル66はその線材11を長手方向に移動可能に保持することになる。
【0041】
また、このノズル66による線材11の保持に際して、取付板67に設けられた下側の第4クランプ装置74は、線材繰り出しプーリ41と第2クランプ装置53の間にある線材11を把持する。即ち、
図13に示すように、取付板67に設けられたそれぞれのZ軸方向流体圧シリンダ77は、それらのスライダ77aを互いに離間させることにより第3及び第4クランプ装置73,74をノズル66からそれぞれ離間させる。そして、下側のX軸方向流体圧シリンダ76のスライダ76aをノズル66側に移動させて第4クランプ装置74を実線で示すように突出させ、その把持片74aによりノズル66の下方にある線材11を把持する。その後、
図6に示す第1及び第2クランプ装置53における線材11の把持を解消させる。このとき下側の第4クランプ装置74により線材11を把持しているので、ノズル66により保持された線材11がそのノズル66に対して移動して、その貫通孔66aから抜け出てしまうようなことを防止する。
【0042】
すると、ノズル66の上端から線材11が突出することになるので、その突出した線材11の端部をそのノズル66に沿って折り返す。具体的には、
図6に示すニッパ装置54の上方に設けられたエアシリンダ57によりピン状物56をY軸方向に向けて突出させ、
図12の実線矢印で示すようにピン状物56を支持板51と共にクランプ移動機構45が移動させる。そして、
図12に一点鎖線で示すように、そのノズル66から上方に突出した線材を、そのピン状物56によりノズル66に沿って折り曲げる。その後、クランプ移動機構45は、そのピン状物56とともに、ニッパクランプ機構50をそのノズル66から遠ざける方向に移動させて、その後のノズル66の移動に支障を生じさせないようにする。
【0043】
一方、一対のコイルボビン12,12が保持されたボビン保持回転機構21は、
図3の一点鎖線で示すように円弧状の切り欠き22aの上方に位置しており、この状態で、線材11の一端部は下方から一方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させることになる。具体的には
図13に示すように、取付板67に設けられた下側におけるZ軸方向流体圧シリンダ77により第4クランプ装置74を一点鎖線で示すように上昇させて、その第4クランプ装置74が把持する線材11を持ち上げ、それにより折り返された線材11の一端部をノズル66の上端から上方に突出させる。
【0044】
このように折り返された線材11の端部が上方に突出した線材11を保持するノズル66をその第4クランプ装置74と共に移動させて、
図14に示すように、一方のコイルボビン12の係止部12d,12eに下方から係止させる。そして、第4クランプ装置74による線材11の把持を解消して、その一方のコイルボビン12を半回又は1回又は2回ぐらい回転させる。これにより、
図15に示すように、係止部12d,12eに係止された線材11の端部を貯線溝12f,12gに収容させると共に、その係止部12d,12eから折り返されて繰り出しプーリ41に向かう線材11をその一方のコイルボビン12の巻付溝12b,12cに半回又は1回又は2回巻回させる。図では1回巻回した状態を示す。
【0045】
コイルボビン12の回転は、
図3及び
図4に示すボビン回転モータ33を駆動して、その一方のコイルボビン12に歯合する駆動歯車31を回転させることにより行われ、これにより、線材11の端部がその係止部12d,12eから離脱するようなことを防止する(
図15)。このように線材11の端部が一方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止された後には、線材11の把持を解消させた第4クランプ装置74(
図13)は、X軸方向流体圧シリンダ76のスライダ76aをノズル66側から引き戻すにように移動させて、その第4クランプ装置74を後退させ、次の線材引き出し工程に支障を生じさせないようにする。
【0046】
<ボビン移動工程>
この工程では、一対のコイルボビン12,12を円弧状に移動させる。具体的には、
図3に示すように、ボビン移動機構35を構成するボビン移動モータ38により第4傘歯車39を再び回転させ、第3傘歯車37をX軸回りに回転させ、その第3傘歯車37とともに回転する移動用歯車36を介して、切り欠き22aの上部に位置する可動台26をレール23に沿って実線矢印で示すように円弧状に移動させる。そして、一対のコイルボビン12,12が円弧状の切り欠き22aの下方に位置した段階で、そのボビン移動モータ38を停止させ、その位置に一対のコイルボビン12,12を停止させる。
【0047】
<線材引き出し工程>
この工程では、線材繰り出しプーリ41から線材11を所定長さ引き出す。この引き出しは、
図1,
図2及び
図5に示す線材引き出し機構80により行われ、この線材引き出し機構80における昇降用モータ87を駆動して、循環するベルト90により移動体83とともに昇降棒85を下降させる。そして、昇降棒85の先端に設けられた係止ローラ84を一方のコイルボビン12の係止部12d,12eに端部が係止されて線材繰り出しプーリ41にまで延びる線材11の下方にまで下げる。昇降棒85の先端に設けられた流体圧シリンダの出没軸を突出させて、その係止ローラ84をその線材11の下方に位置させる。その状態で上述したボビン移動工程が行われる。すると、切り欠き22aの上部に位置する可動台26が一方のコイルボビン12とともに円弧状に移動し、
図16に示すように、その一方のコイルボビン12に端部が係止された線材11は、そのコイルボビン12が円弧状の切り欠き22aの下方に位置した段階で、係止ローラ84に掛け回されることになる。
【0048】
その後、その状態から、
図5に示す昇降用モータ87を逆方向に駆動して、昇降棒85を係止ローラ84とともに上昇させ、上昇する係止ローラ84は、その係止ローラ84に掛け回された線材11をノズル66を介して線材繰り出しプーリ41から新たに引き出す。この引き出しは引き出された線材11の長さが一対のコイルボビン12,12に巻回させる長さに十分になった段階で昇降棒85の上昇は停止され、線材引き出し工程を終了させる。
【0049】
<線材切断工程>
この工程では、繰り出された線材11をノズル66の線材繰り出しプーリ41側において切断する。具体的には、クランプ移動機構45によって支持板51と共にニッパクランプ機構50を移動させ、
図17に示すように、その第1及び第2クランプ装置52,53の双方によりノズル66の下方における線材11を把持する。それと共に、取付板67に設けられた上側の第3クランプ装置73によりノズル66の上方に位置する線材11を把持する。即ち、
図18に示すように、取付板67に設けられたそれぞれのZ軸方向流体圧シリンダ77は、それらのスライダ77aを互いに離間させることにより第3及び第4クランプ装置73,74をノズル66からそれぞれ離間させる。そして、上側のX軸方向流体圧シリンダ76のスライダ76aをノズル66側に移動させて第3クランプ装置73を実線で示すように突出させ、その把持片73aによりノズル66より上方にある線材11を把持する。
図17に戻って、この状態で第1クランプ装置52の上部に設けられたニッパ装置54によりノズル66の下方における線材11を切断する。このとき上側の第3クランプ装置73により線材11を把持しているので、ノズル66により長手方向に移動可能に保持された線材11がそのノズル66に対して移動して、その貫通孔66aから抜け出てしまうようなことを防止する。
【0050】
<線材他端部係止工程>
この工程では、引き出された線材11の切断により形成された他端部を他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させる。即ち、先の線材切断工程において、ノズル66の下方における線材11を切断すると、切断により形成された線材11の他端部はノズル66の下端から下方に突出することになる。このノズル66の下端から下方に突出する線材11の他端部を他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させることになるけれども、その係止のために、ノズル66の下端から下方に突出した線材11の端部をそのノズル66に沿って折り返す。
【0051】
この折り返しは、
図12に示す上述した線材11の一端部における折り曲げ動作と同一であって、図示しないが、ニッパ装置54の上方に設けられたエアシリンダ57によりピン状物56をY軸方向に向けて突出させ、その突出したピン状物56をこの支持板51と共にクランプ移動機構45が3軸方向に移動させて、ノズル66に保持されてそのノズル66から下方に突出する線材11をそのノズル66に沿って
図18に示すように折り曲げる。その後、
図17に示すクランプ移動機構45は、線材繰り出しプーリ41から繰り出される線材11の端部を第1及び第2クランプ装置52,53が保持した状態で、そのニッパクランプ機構50をそのノズル66から遠ざける方向に移動させて、その後の工程に支障を生じさせないように待避させる。
【0052】
ここで、一対のコイルボビン12,12が保持されたボビン保持回転機構21は、先のボビン移動工程においてボビン移動機構35により円弧状の移動されて、円弧状の切り欠き22aの下方に位置される。このため、線材11の他端部は上方から他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させることになる。ここで、
図19に示すように、一対のコイルボビン12,12は円弧状に移動されてその上下が反転しているので、下方から係止部12d,12eに係止された一方のコイルボビン12は、この他端部の係止に際して反転しているので、線材11の一端部はその一方のコイルボビン12の係止部12d,12eに上側から係止させている状態となる。そして、この状態で、線材11の他端部を上方から他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止させるので、その線材11の両端部は上側からその一対のコイルボビン12,12の双方に係止されることになる。
【0053】
線材11の他端部の具体的な係止にあっては、先ず、
図18に示すように、取付板67に設けられた上側におけるエアシリンダ57により第3クランプ装置73を下降させて、その第3クランプ装置73が把持する線材11をノズル66に向かって押し下げる。すると、そのノズル66の下端において、折り返された線材11の他端部はノズル66の下端から下方に突出する。このように折り返された線材11の端部が下方に突出した線材11を保持するノズル66をその第3クランプ装置73と共にノズル移動機構61により移動させて、
図19に示すように、他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに上方から係止させる。
【0054】
そして、第3クランプ装置73による線材11の把持を解消して、
図20に示すように、その他方のコイルボビン12を半回又は1回又は2回ぐらい回転させる。図では1回回転させた場合を示す。これにより、係止部12d,12eに係止された線材11の端部を貯線溝12f,12gに収容させると共に、その係止部12d,12eから折り返されてノズル66に向かう線材11をその一方のコイルボビン12の巻付溝12b,12cに半回又は1回又は2回巻回させる。この他方のコイルボビン12の回転は、
図3に示すボビン回転モータ33を駆動して、その他方のコイルボビン12に歯合する駆動歯車31を回転させることにより行われ、これにより、線材11の端部がその係止部12d,12eから離脱するようなことを防止する。
【0055】
そして、線材11の他端部が他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに係止された後には、ノズル66の左右における分割片66b,66cを分割して、他方のコイルボビン12の係止部12d,12eに端部が係止した線材11のノズル66による保持を解消する。その後、ノズル移動機構61は、そのノズル66及び第3及び第4クランプ装置73,74をコイルボビン12から遠ざける方向に移動させて、このノズル66等が次の巻付け工程に支障を生じさせないようにする。
【0056】
<巻付け工程>
この工程では、一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方を同時に回転させて引き出された線材11を両側からこの一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に巻回させる。具体的には、
図3及び
図4に示す可動台26に配置された一対のボビン回転モータ33,33を同期してそれぞれを駆動し、第1及び第2傘歯車32,34を介して駆動歯車31をそれぞれ回転させ、それに歯車12aが歯合する一対のコイルボビン12の双方を同方向に同速度で回転させる。このようにして、引き出された線材11を両側からこの一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に巻回させる。
【0057】
この巻付け工程において、
図21に示すように、引き出された線材11の両端部、即ち、一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に巻回させる2本の線材を、その一対のコイルボビン12,12の近傍において線材ガイド71によりX軸方向の両側から挟む。その後、そのように線材11を挟んだ線材ガイド71を、ノズル移動機構61(
図5)により一対のコイルボビン12,12の回転と共に一対のコイルボビン12,12の軸方向に往復移動させる。線材ガイド71はノズル66に隣接して取付板67(
図8)に設けられるので、この線材ガイド71の移動はノズル移動機構61によりノズル66と共に行われる。この線材ガイド71によりコイルボビン12の軸方向の両側から挟まれた線材11を一対のコイルボビン12,12のそれぞれに巻回することにより、その線材11は線材ガイド71が位置するコイルボビン12の巻付溝12b,12cに巻回される。そして、そのコイルボビン12に線材11が1回巻回される毎にその線材11の外径に略等しい量だけ、その線材ガイド71をコイルボビン12の軸方向に移動させることにより、その線材11をコイルボビン12の巻付溝12b,12cにいわゆる整列巻きすることが可能になる。
【0058】
上昇する係止ローラ84により引き出されて切断された線材11を、その両側からこの一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に巻回させると、その線材11の巻回されていない部分の長さは徐々に短くなる。このため、この巻回の際に、その線材11をZ軸方向の上方に引き上げている係止ローラ84を、その巻回と共に順次下降させる。即ち、
図5に示す昇降用モータ87を駆動して、昇降棒85をその先端に設けられた係止ローラ84とともに下降させ、
図22の破線矢印で示すように、その下降する係止ローラ84に掛け回された線材11を一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に順次繰り出す。そして、この係止ローラ84により引き出された線材11の全てが、その両側から一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に巻回される直前に、昇降棒85の先端に設けられた流体圧シリンダ86の出没軸86aを没入させて、
図22の実線矢印で示すように、線材11から係止ローラ84を引き抜いて、その線材11を解き放す。これにより、線材11の全てを一方のコイルボビン12と他方のコイルボビン12の双方に巻回させることができる。
【0059】
その後、このように線材11が巻回された一対のコイルボビン12,12を鉄心13と共にボビン保持回転機構21から取り外すことにより、一連のコイルの製造を終了させる。これにより、本発明では、自動的に、所定の長さの線材11を両側から一対のコイルボビン12,12に巻回させることができるのである。
【0060】
なお、上述した実施の形態では、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータの組合わせにより構成されたクランプ移動機構45及びノズル移動機構61を説明したけれども、これらの移動機構45,61は、この構造のものに限るものではなく、支持板51又は取付板67が架台20aに対して3軸方向に移動可能である限り、他の形式のものであっても良い。
【0061】
また、上述した実施の形態では、固定具28が小ネジ29により取付けられる場合を説明したけれども、この固定具28は、小ネジ29により取付けられるようなものに限定されない。この固定具28は、鉄心13を介して一対のコイルボビン12,12を固定し得る限り、例えばクランプ等の他の形式による止め具により、鉄心13を取付けるようなものであっても良い。