(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930544
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】帯電水並びに帯電還元水製造方法及び帯電水並びに帯電還元水製造装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/46 20060101AFI20160526BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20160526BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20160526BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20160526BHJP
B01D 61/18 20060101ALI20160526BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20160526BHJP
C25B 11/03 20060101ALI20160526BHJP
C25B 11/04 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
C02F1/46 Z
B01D61/08
B01D61/02
B01D61/14
B01D61/18
C02F1/44 A
C02F1/44 D
C02F1/46 A
C25B11/03
C25B11/04 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-49737(P2013-49737)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-172025(P2014-172025A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】508171859
【氏名又は名称】株式会社バイオシールドサイエンス
(73)【特許権者】
【識別番号】501101327
【氏名又は名称】澤村 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112173
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 修身
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 進一
(72)【発明者】
【氏名】澤村 聡
【審査官】
片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−057722(JP,A)
【文献】
特開平09−140328(JP,A)
【文献】
特開2000−241095(JP,A)
【文献】
特開平1−176086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44、46
B01D 61/00−71/82
C25B 1/00−15/08
Japio−GPG/FX
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料水を逆浸透膜または限外濾過膜に通して得られた濾過水中に一対の電極を配置し、両電極間に交流電圧を印加し、水を改質して帯電還元水を製造する方法であって、電極は、多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体であり、多孔質体は90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてなり、前記多孔質体は90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とし、酸化Mn3.8〜4.0体積%、酸化Si3.2〜3.4体積%を有し、その他Fe、Ca、の酸化物を有することを特徴とする帯電水製造方法。
【請求項2】
交流電圧が1.2V以上であることを特徴とする請求項1に記載の帯電水製造方法。
【請求項3】
微細突起がウィスカー(γ型アルミナセラミックス)であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した帯電水製造方法。
【請求項4】
請求項1−3のいずれか記載の帯電水製造方法で得られた帯電水を、直流電解することを特徴とする帯電還元水製造方法。
【請求項5】
原料水を濾過する逆浸透膜または限外濾過膜(イ)、逆浸透膜または限外濾過膜(イ)で濾過された濾過水をためる貯水容器(ロ)、貯水容器(ロ)に浸漬する90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の多孔質体複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてなる多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体である一対の電極(ハ)及び一対の電極(ハ)に交流電圧を付加する交流電源(ニ)を備えてなることを特徴とする帯電水製造装置。
【請求項6】
濾過膜が限外濾過膜であり、交流電圧が100Vである請求項5に記載した帯電水製造装置。
【請求項7】
微細突起がウィスカー(γ型アルミナセラミックス)であることを特徴とする請求項5に記載の帯電水製造装置。
【請求項8】
金属質良導体が銅、銀、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、銅合金、銀合金、アルミニウム合金、ニッケル合金、マグネシウム合金から選ばれる1種又は2種から選ばれる1種又は2種である請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の帯電水製造装置。
【請求項9】
さらに貯水容器の底にアース電極を設けた請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の帯電水製造装置。
【請求項10】
原料水を濾過する逆浸透膜または限外濾過膜(イ)、逆浸透膜または限外濾過膜(イ)で濾過された濾過水をためる貯水容器(ロ)、貯水容器(ロ)に浸漬する90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の多孔質体複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてなる多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体である一対の電極(ハ)及び一対の電極(ハ)に交流電圧を付加する交流電源(ニ)を備えてなる帯電水製造装置で得られた帯電水を、直流電解する直流電解装置(ホ)を備えてなることを特徴とする帯電還元水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料水を濾過して得られる濾過水を特殊な電極を用いて濾過水に交流電圧を印加し、濾過水を改質して帯電水並びに帯電還元水を製造する方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水の処理法として、水に直流電気を通すことにより、水の酸化還元電位を変化させて水を処理する方法が一般に知られている。このような水の浄化処理方法として、電圧印加電極として電解性の高い金属からなる電極を用い、電極間に交流電圧を印加することにより水の酸化還元電位を下げて水を浄化する方法(例えば特許文献1等参照)が提案されている。しかし、この方法には、電極を構成する金属マンガンや金属亜鉛が、通電により水中に溶出することから、水の電位が還元側に移行するのに伴い電極が著しく消耗する上に、金属マンガンや金属亜鉛が電解反応によって酸化物となって、電極表面に堆積したり、沈殿物となって水槽内に沈殿したりして水処理の障害となったり、電極表面からの脱離により電極の消耗をさらに助長するなどの欠点があった。また、水に直流電気を通すことにより、帯電水を得ることもできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−31981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、このような事情のもと、原料水を濾過して得られる濾過水を特殊な電極を用いて濾過水に交流電圧を印加し、濾過水を改質して帯電水並びに帯電還元水を製造する方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく、本発明者は鋭意研究した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、原料水を逆浸透膜または限外濾過膜に通して得られた濾過水中に一対の電極を配置し、両電極間に交流電圧を印加し、水を改質して帯電還元水を製造する方法であって、電極は、多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体であり、多孔質体は90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてな
り、前記多孔質体は90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とし、酸化Mn3.8〜4.0体積%、酸化Si3.2〜3.4体積%を有し、その他Fe、Ca、の酸化物を有することを特徴とする帯電水製造方法である。
また、本発明の帯電水製造方法では、交流電圧が1.2V以上とすることが出来る。
さらに本発明の帯電水製造方法では、微細突起がウィスカー(γ型アルミナセラミックス)であることが好ましい。
さらに、本発明は、上記のいずれかの記載の帯電水製造方法で得られた帯電水を、直流電解することを特徴とする帯電還元水製造方法である。
また、本発明は、原料水を濾過する逆浸透膜または限外濾過膜(イ)、逆浸透膜または限外濾過膜(イ)で濾過された濾過水をためる貯水容器(ロ)、貯水容器(ロ)に浸漬する90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の多孔質体複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてなる多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体である一対の電極(ハ)及び一対の電極(ハ)に交流電圧を付加する交流電源(ニ)を備えてなることを特徴とする帯電水製造装置である。
また、本発明の帯電水製造装置では、濾過膜が限外濾過膜とすることが好ましい。
【0006】
さらに、本発明の帯電水製造装置では、微細突起がウィスカー(γ型アルミナセラミックス)であることが好ましい。
また、本発明の帯電水製造装置では、金属質良導体が銅、銀、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、銅合金、銀合金、アルミニウム合金、ニッケル合金、マグネシウム合金から選ばれる1種又は2種とすることができる。
またさらに、本発明の帯電水製造装置では、さらに貯水容器の底にアース電極を設けることができる。
さらに、本発明は、原料水を濾過する逆浸透膜または限外濾過膜(イ)、逆浸透膜または限外濾過膜(イ)で濾過された濾過水をためる貯水容器(ロ)、貯水容器(ロ)に浸漬する90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の多孔質体複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてなる多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体である一対の電極(ハ)及び一対の電極(ハ)に交流電圧を付加する交流電源(ニ)を備えてなる帯電水製造装置で得られた帯電水を、直流電解する直流電解装置(ホ)を備えてなることを特徴とする帯電還元水製造装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、帯電水製造方法及び帯電水製造装置若しくは帯電還元水製造方法及び帯電還元水製造装置であり、水中に一対の特殊な電極を配置し、両電極間に交流電圧を印加することにより、簡単に酸化還元電位を降下させ溶存水素や溶存酸素の豊富な還元水を作ることが出来る。得られた帯電水若しくは帯電還元水は、その酸化還元電位を長期(数ケ月程度)にわたり安定に維持せしめて帯電されている期間の長期化を達成せしめるなどの利点を有する。通常では、電気電解による酸化還元電位の降下は、数時間で、長くても数日で原水の酸化還元電位に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の帯電還元水製造装置の一例の基本構成を示す側断面図である。
【
図2】実施例の帯電還元水及び水道水にそれぞれ添加された油滴の挙動を示す俯瞰写真である。
【
図3】実施例の帯電還元水及びアルカリ電解水にそれぞれ添加された油滴の挙動を示す俯瞰写真および
図2も含めた俯瞰写真の挙動の説明図である。
【
図4】本発明に用いられる電極における多孔質複合体の電子顕微鏡写真である。
【
図5】本発明に用いられる電極における多孔質複合体の特徴を説明するための電子顕微鏡写真である。
【
図6】本発明において、原料水から濾過水を得るための工業製造ラインの一例の模式図である。
【
図7】本発明の帯電還元水製造装置の別の一例の構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明でいう原料水は、例えば水道水、河川、湖沼、池等の地表水、地下水、井戸水、海水などが挙げられ、身近に存在する入手可能な水をいう。
本発明で用いる水の濾過装置に用いる濾過膜としては、逆浸透膜または限外濾過膜を用いることができる。とくに水中のイオン、微生物、微細有機物を除去できる限外濾過膜が望ましい。
さらに本発明に用いられる電極は、多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体であり、多孔質体は90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてなることを特徴とする。
この多孔質複合体は、上記微細突起部がアルミナ、とりわけウィスカー(γ型アルミナセラミックス)であることが好ましい。さらに、微細突起部は花弁状を呈するのが、表面積を高め、例えば平板の数十万倍といった驚くべき超高表面積をもたらしうるので特に好ましい。
特にガンマアルミナは、すでに知られた物質であり、迅速に反応して水を保存および放出するという点で「反応性スポンジ」として作用します。この化学反応性は、長年解けなかった触媒系におけるアルミナの挙動の謎を解明するための基礎となるものです。すなわち、
この構造が稀有な表面化学を生み、それにより遷移アルミナの汎用性と有用性の一部を説明することができます。水分子がガンマアルミナに到達した時に、その分子は崩壊します。水素はその物質に入り込み、酸素はその表面上に留まります。アルミニウム原子はその物質の中心から移動して酸素と結合し、その結果結晶基盤を拡大します。原子価に関する要請によって、どの3 個の水分子についても、6 個の水素原子がその物質に入り込み、2 つのアルミニウム原子が外に移動して、その結晶は化学量論的Al2O3 単位を拡張することが確認されています。その逆の過程も可能です。この挙動は、ガンマアルミナにおける水素含有量がAl
2O
3・n(H
2O)について[0<n<0.6]の範囲内のどこかに収まるという事実の結果とされている。
ガンマアルミナ表面でのHとOの可用性は、この物質の顕著な触媒作用の理解について重要な意味あいをもっている。γ型アルミナセラミックスは、遷移アルミナ(擬ベーマイト及びそれを焼成した製品)であり、例えばγアルミナC20(日本軽金属株式会社)やγアルミナC20Lとして市販されている。
【0010】
この多孔質複合酸化物は、平均空孔率40〜70%の複合酸化物であって、その空孔率は好ましくは45〜60%、より好ましくは45〜55%の範囲で選ばれる。ここで空孔率(Porosity)とは、孔のあいている面積を全面積で除した値である。
また、その平均空孔径が通常10〜20nm、好ましくは13〜18nmの範囲である。
【0011】
多孔質複合酸化物体の一例を
図4に電子顕微鏡写真で示す。
図4のうち、上方のは5万倍率、下方のは100万倍率のものである。
この下方の高倍率のものについて、それに説明の便宜のため印を付した
図5から明らかなように、○印の箇所には微細突起部があって、そこには電圧の負荷による電解が集中すると考えられ、また、△印の箇所には空隙があって、これには、本発明方法における水の改質時に上記濾過水が絶縁体として充填され、濾過水はあたかもコンデンサにおけるような誘電体の役割を担っていると考えられる。微細突起部に集中した電荷は、交流での振動運動を有するためエネルギーを持った電磁場が形成される。(交流電圧の印加により近傍の水分子に静電誘導が生じ電場を生じる。その電場により磁場が生じ、その磁場が電場を発生させ連鎖的に電磁場が形成される)このエネルギーにより水素の電子が励起し、水の分解が発生する。その結果プロトンと電子が高濃度で生成され水の酸化還元電位を大幅に低下させる。
【0012】
本発明の帯電水製造方法においては、電極は一対水中に配置し、これら電極に交流電圧を印加する。
交流電圧は、1.2V以上あれば有効であり、理論上その上限はないが、通常100Vを用いるのが安価で好ましい。また、商用周波を含む低周波から高周波のもの、通常50Hz〜100kHzを用いることができるが、好ましくは商用電源50Hz又は60Hzを用いるのが安価である。
【0013】
また、交流電圧は、その波形が零電位を中心として対称であるもの(例えば正弦波等)や、非対称であるもの(例えば鋸歯状波、三角波、複合波等)を使用することができる。
【0014】
本発明の帯電水製造装置では、金属質良導体を銅、銀、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、銅合金、銀合金、アルミニウム合金、ニッケル合金、マグネシウム合金から選ばれる1種又は2種とすることが出来る。
【0015】
本発明の帯電還元水製造方法においては、本発明の帯電水製造装置で得られた帯電水を直流電解することにより、帯電還元水を作ることができる。
直流電解装置の電源としては、直流電源を用いる。直流電圧は1.2V以上である。
さらに直流電源としてパルス電流を用いることができる。パルス電流は水中の微生物の殺菌に好ましい。
一槽式直流電解生成装で電解することにより、pHを13程度まで上げ、酸化還元電位を-200mV程度のアルカリ電解水(油分のエマルジョン化に好適な水となる)を生成できる
【0016】
本発明方法に用いられる濾過水は、原料水を逆浸透膜や限外濾過膜に通して浄化してなるものであり、逆浸透膜や限外濾過膜による浄化処理は、繰り返し行ってもよい。
【0017】
本発明においては原料水の前処理は、適宜行うことができる。
例えば
図6に示されるような製造ラインにより行うことができる。
図6では、水道水などの原料水は先ず交流変調電磁場生成装置で処理されたのち、第一の水槽に送給される。第一の水槽内には底部近くにセラミックスや天然鉱石が、また、その上方に水槽外のトランスに接続された電極が配設されている。送給された水は、電極に印加された電圧により活性化されたのち、第二の水槽に送給される。第二の水槽内には水槽外のトランスに接続された電極が配設されている。送給された水は、電極に印加された電圧によりさらに活性化されたのち、逆浸透膜や限外濾過膜に通され、濾過水となる。
【0018】
これらの濾過膜の素材としては、例えばアセチルセルロース、芳香族ポリアミド、ポリエーテル、脂肪族ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、4フッ化エチレン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなどを使用することができ、その膜モジュールとしては、例えば平膜、スパイラル、中空糸、管形などの形状のものを使用することができる。
【0019】
本発明に係る帯電水若しくは帯電還元水製造装置は、前述の本発明方法を実施するために用いられる装置であって、帯電水製造装置は、原料水を濾過する逆浸透膜または限外濾過膜(イ)、逆浸透膜または限外濾過膜(イ)で濾過された濾過水をためる貯水容器(ロ)、貯水容器(ロ)に浸漬する90体積%以上の酸化アルミニウムを有するAl−Mn−Siを主成分とする平均空孔率40〜70%の多孔質体複合酸化物であって、細孔部を含めた全面が微細突起で覆われてなる多孔質体の表面に取り付けられた金属質良導体である一対の電極(ハ)及び一対の電極(ハ)に交流電圧を付加する交流電源(ニ)を備えてなることを特徴とする。
また、帯電還元水製造装置は、さらに、上記帯電水製造装置で得られた帯電水を、直流電解する直流電解装置(ホ)を備えてなることを特徴とする。
【0020】
本発明装置の基本構成は、
図1や
図7に示すとおりであって、
図1の一例では、貯水容器1、該容器1内に配置された上記多孔質複合体2bの外面全面に導電端子2aを設けてなる一対の電極2,2及びこれら電極に接続された交流電源3からなり、
図7の別の一例は、
図1の基本構成にさらに貯水容器1内の底部上方であって、一対の電極2,2の間に配設されたアース電極3を加えてなるものである。アース電極3を設けることにより、電圧、電流が安定する。
【0021】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1に示すように、貯水容器1内の60リットルの水道水中に、構成元素中、アルミニウム92.1質量%、マンガン3.9質量%、珪素3.3質量%(株式会社リガク製蛍光X線分析装置,ZSX PrimusIIによる測定値)であり、微細突起部で細孔部を含め全面が覆われてなる多孔質複合体{(有限会社テクノクエスト社製):
空孔率48%、平均空孔径100μm、密度1.48g/cm
3、熱伝導率96kcal/m・h・K、熱放射率(ε)0.8、熱膨張係数28.5×10
−6/K、引張り強さ100kgf/cm
2、酸不溶解残渣:アルミナ,Si]}2bの外面全面に導電端子2aを配設してなる電極2を一対セットした。一対の電極間に100V、60Hzの交流電圧を印加した。
【0023】
このようにして得られた帯電水は、それに油滴を添加すると、
図2の左側に示されるように、油滴は水面上に丸まった状態で維持される。
一方、これとの比較のため、水道水に油滴を添加すると、
図2の右側に示されるように、油は水面に平たく拡散される。
同様に上記帯電水とアルカリ電解水との間でも、油滴添加により、前者では
図3の上部左側に示されるように、油滴は水面上に丸まった状態で維持されるのに対し、後者では、
図3の上部右側に示されるように、油は水面に拡散される。
このような挙動を示すのは、
図3の下部に示されるように、油と水の分子集団間の静電力による引く力が、分子集団が小さいほど小さくなるところ、水道水の方が帯電還元水に比し分子集団が大きいため、油滴を引く力が大きく、油は水面に平たく拡散されると考えられ、また、アルカリ電解水も帯電還元水と同様に分子集団が小さいものの、アルカリ性であるため、油すなわち油脂と反応して石鹸が生成され、この石鹸の界面活性作用により油脂は乳化され、水面に拡散されると考えられる。
【0024】
(比較例1)
実施例1の電極の代わりにチタン合金電極及び白金合金電極を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示すと共に、通電時間による処理水の酸化還元電位の変化を表2に示す。検査検体は、RO経過水酸化還元電位261mVを実施例1では、交流電解を比較例では、直流電解を各々1時間印加した。その後電源をOFFとし酸化還元電位の変化を表1に示した。
【0025】
【表1】
【実施例2】
【0026】
また、実施例1で得られた帯電水を、そのまま12Vの直流にて電解して、帯電還元水を得た。電解質を添加せずに、還元水を得ることが出来た。
通電時間による処理水の酸化還元電位の変化を後出の表2に示す。
【表2】
【0027】
表1から、実施例1では、比較例に比べて帯電水が順調に製造されていることが判明する。また比較例1では、電解質やミネラルを除去したRO経過水を直流電気分解した。(通説では、電解質なしであり、電極の幅も8cm程度あり、水の電気分解は、起こらないが、僅かなミネラルの含有が、進行させた。)
また、表2から、実施例2では帯電還元水が作られていることが判明する。
【符号の説明】
【0028】
1 貯水容器
2 電極
2a 導電端子
2b 多孔質複合酸化物
3 アース電極
4 交流電源