(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930598
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】直流入力端子コネクタ装置及びコンタクト
(51)【国際特許分類】
H01R 12/57 20110101AFI20160526BHJP
H01R 12/72 20110101ALI20160526BHJP
H01R 24/50 20110101ALI20160526BHJP
【FI】
H01R12/57
H01R12/72
H01R24/50
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-83087(P2011-83087)
(22)【出願日】2011年4月4日
(65)【公開番号】特開2012-221593(P2012-221593A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲学
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 満
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6736649(US,B1)
【文献】
特開2011−034914(JP,A)
【文献】
実開平01−135656(JP,U)
【文献】
実開昭61−033385(JP,U)
【文献】
特開平08−050941(JP,A)
【文献】
実開昭55−036572(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00〜12/91
H01R 24/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流アダプタのプラグを接続するための直流入力端子コネクタと、
所定の導電パターンが設けられ、前記導電パターンに接続する導電性の第1及び第2のコンタクト部を実装した基板と、を備え、
前記直流入力端子コネクタは、
第1の電位及び第2の電位にそれぞれ対応し、前記プラグを前記直流入力端子コネクタに接続したときに前記プラグに接触し、前記第1及び第2のコンタクト部にそれぞれ着脱自在である導電性の第3及び第4のコンタクト部を有し、
前記第1及び第2のコンタクト部は、一端側を曲げて形成された挟み込み片と、他端側を曲げて形成された前記第3及び第4のコンタクト部との接触部を有する弾性屈曲接触片と、を有する上下挟み込み式のばねを有し、
前記接触部が前記挟み込み片を挟むように二つの片に枝分かれしていることを特徴とする直流入力端子コネクタ装置。
【請求項2】
前記挟み込み片と前記弾性屈曲接触片の前記接触部とが重なり合う請求項1に記載の直流入力端子コネクタ装置。
【請求項3】
前記挟み込み片及び前記弾性屈曲接触片は、前記基板のはんだペーストが印刷される面より上に形成される請求項1又は2に記載の直流入力端子コネクタ装置。
【請求項4】
前記直流入力端子コネクタは、凸部を有し、前記基板は、前記直流入力端子コネクタの位置合せを行うために前記凸部を案内するスリットを有する請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の直流入力端子コネクタ装置。
【請求項5】
交流アダプタのプラグを接続するための直流入力端子コネクタの導電性コンタクト部に着脱可能で基板に取り付け可能なコンタクトであって、
一端側を曲げて形成された挟み込み片と、他端側を曲げて形成された前記直流入力端子コネクタの導電性コンタクト部との接触部を有する弾性屈曲接触片と、を有し、
前記接触部が前記挟み込み片を挟むように二つの片に枝分かれしており、
前記挟み込み片及び前記弾性屈曲接触片は、前記基板のはんだペーストが印刷される面より上に形成されることを特徴とするコンタクト。
【請求項6】
前記挟み込み片と前記弾性屈曲接触片の前記接触部とが重なり合う請求項5に記載のコンタクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯機器に設けられた、交流(AC)アダプタのプラグを接続するための直流入力端子(DC−IN)コネクタ装置及び直流入力端子(DC−IN)コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
DC−INコネクタは、ACアダプタのプラグを接続した状態で使用されるため、特に、プラグがDC−INコネクタを抉るときに外力が加わってDC−INコネクタを破損することが多くなり、端末機器のユーザによるDC−INコネクタの取替え依頼が多くなっている。
【0003】
従来の一般的なDC−INコネクタは、はんだ液面を動かさない静止槽(DIP方式)や表面実装技術(SMT)を用いたはんだ付けによって基板に実装されているので、DC−INコネクタを破損したときには、DC−INコネクタを取り替えるためにDC−INコネクタを基板ごと取り替える必要がある。
【0004】
一方、ハーネスを用いて基板に実装されるDC−INコネクタが提案されている(例えば、特許文献1)。この場合、DC−INコネクタを破損した場合でも、DC−INコネクタを取り替えるためには、破損したDC−INコネクタをハーネスから取り外し、破損していないDC−INコネクタを取り付けるだけでよいので、DC−INコネクタを取り替えるためにDC−INコネクタを基板ごと取り替える必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−3300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ハーネスを用いてDC−INコネクタを基板に実装する場合、ハーネスが高価な部品であるので、携帯機器の製造コストが増大する。また、ハーネスを携帯機器の内部に収容する必要があるので、携帯機器を省スペース化する際の障害になる。
【0007】
本発明の目的は、携帯機器の製造コストが増大せず、携帯機器を省スペース化する際の障害にならず、かつ、取替えの際に基板ごと取り替える必要のないDC−INコネクタ装置及びDC−INコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による直流入力端子コネクタ装置は、交流アダプタのプラグを接続するための直流入力端子コネクタと、所定の導電パターンが設けられ、導電パターンに接続する導電性の第1及び第2のコンタクト部を実装した基板と、を備え、直流入力端子コネクタは、第1の電位及び第2の電位にそれぞれ対応し、プラグを直流入力端子コネクタに接続したときにプラグに接触し、第1及び第2のコンタクト部にそれぞれ着脱自在である導電性の第3及び第4のコンタクト部を有することを特徴とする。
【0009】
好適には、第1及び第2のコンタクト部は、弾性構造を有する。
【0010】
好適には、弾性構造は、上下挟み込み式のばねを有する。
【0011】
好適には、直流入力端子コネクタは、凸部を有し、基板は、直流入力端子コネクタの位置合せを行うために凸部を案内するスリットを有する。
【0012】
本発明による直流入力端子コネクタは、交流アダプタのプラグを接続するための直流入力端子コネクタであって、直流入力端子コネクタは、第1の電位及び第2の電位にそれぞれ対応し、プラグを直流入力端子コネクタに接続したときにプラグに接触し、基板に設けられた導電パターンに接続するように基板に実装された導電性の第1及び第2のコンタクト部にそれぞれ着脱自在である導電性の第3及び第4のコンタクト部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、直流入力端子コネクタは、基板に設けられた導電パターンに接続するように基板に実装された導電性の第1及び第2のコンタクト部にそれぞれ着脱自在である導電性の第3及び第4のコンタクト部を有する。これらのコンタクト部を有することによって、ハーネスを有することなく直流入力端子コネクタを基板に対して着脱自在にすることができるので、携帯機器の製造コストが増大せず、携帯機器を省スペース化する際の障害にならず、かつ、取替えの際に基板ごと取り替える必要のない直流入力端子コネクタ装置及び直流入力端子コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるDC−INコネクタ装置を有するノート型パーソナルコンピュータを示す図である。
【
図2】
図1のDC−INコネクタ装置の斜視図である。
【
図3】
図1のDC−INコネクタ装置の分解斜視図である。
【
図4】
図1のDC−INコネクタ装置を
図2の反対側から見た斜視図である。
【
図5】
図1のDC−INコネクタ装置を
図2の反対側から見た分解斜視図である。
【
図6】
図2のDC−INコネクタを
図2の反対側から見た斜視図である。
【
図7】
図6のDC−INコネクタのコンタクト部の斜視図である。
【
図8】
図1のDC−INコネクタ装置の基板に対する上下挟み込み式のばねの実装を説明するための図である。
【
図9】
図1のDC−INコネクタ装置の基板に対する上下挟み込み式のばねの実装を説明するための図である。
【
図10】
図6のDC−INコネクタに対するフレームの取付けを説明するための図である。
【
図11】
図6のDC−INコネクタに対するフレームの取付けを説明するための図である。
【
図12】
図2の反対側から見たばね装着前後のDC−INコネクタの正面図である。
【
図14】
図2の反対側から見たばね装着状態のDC−INコネクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によるDC−INコネクタ装置及びDC−INコネクタの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、図面中、同一構成要素には同一符号を付す。
図1は、本発明によるDC−INコネクタ装置を有するノート型パーソナルコンピュータを示す図である。本発明によるDC−INコネクタ装置1は、携帯機器としてのノート型パーソナルコンピュータ2に装備され、交流アダプタ3のプラグ4を接続するためのDC−INコネクタ5と、所定の導電パターン(図示せず)が設けられた基板6と、を備える。
【0016】
図2は、
図1のDC−INコネクタ装置の斜視図であり、
図3は、
図1のDC−INコネクタ装置の分解斜視図であり、
図4は、
図1のDC−INコネクタ装置を
図2の反対側から見た斜視図であり、
図5は、
図1のDC−INコネクタ装置を
図2の反対側から見た分解斜視図である。なお、
図2〜6は、明瞭のために基板6を寸法通りに示さない。
【0017】
基板6には、弾性構造を有する導電性の上下挟み込み式のばね7a,7bが第1及び第2のコンタクト部として実装され、ねじ8が挿入される孔9が設けられる。ばね7a,7bはそれぞれ、弾性屈曲接触片10a,10bと、挟み込み片11a,11bと、を有する。
【0018】
DC−ICコネクタ5は、ばね7a,7bにそれぞれ着脱自在である第3及び第4のコンタクト部としての導体12a,12bと、導体12a,12bを収容する樹脂等で構成された絶縁性のハウジング13と、ハウジング13に嵌め込まれる樹脂等で構成された絶縁性のフレーム14と、を有する。
【0019】
導体12a,12bは、第1の電位(例えば、+)及び第2の電位(例えば、−)にそれぞれ対応し、プラグ4をDC−INコネクタ5に接続したときにプラグ4に接触する。フレーム14は、ねじ8が挿入される孔15が設けられる。
【0020】
本実施の形態では、ハウジング13は、凸部16を有し、基板6は、DC−INコネクタ5の位置合せを行うために凸部16を案内するスリット17を有する。
【0021】
図6は、
図2のDC−INコネクタを
図2の反対側から見た斜視図であり、
図7は、
図6のDC−INコネクタのコンタクト部の斜視図である。なお、
図6では、DC−INコネクタ5に接続されたプラグ4を破線で示す。
【0022】
導体12aは、プラグ4のピン18が挿入される孔及びプラグ4の円筒部19の内周面に接触する外周面を有する略円筒形状の第1の部品20と、部品20の一端が挿入される孔21及び弾性屈曲接触片10aと挟み込み片11aとの間に挿入される挿入片22を有する第2の部品23と、を有する。部品20は、孔21に挿入された一端をかしめることによって部品23に固定される。
【0023】
導体12bは、単一の部品によって構成され、プラグ4の円筒部19の外周面に接触する接点24及び弾性屈曲接触片10bと挟み込み片11bとの間に挿入される挿入片25を有する。
【0024】
図8及び
図9は、
図1のDC−INコネクタ装置の基板に対する上下挟み込み式のばねの実装を説明するための図である。
図8及び
図9は、
図2の反対側から見た基板6の斜視図を示し、明瞭のために基板6を寸法通りに示さない。
【0025】
図8に示すように、ノート型パーソナルコンピュータ2の製造工程において、ばね7a,7bは、SMTを用いたはんだ付けによって基板6に実装される。すなわち、基板6上にはんだペースト26a,26bを印刷し、はんだペースト26a,26bの上にそれぞればね7a,7bを載せ、その後にはんだペースト26a,26bを加熱して溶融する。これによって、
図9に示すように、ばね7a,7bが実装された基板6がノート型パーソナルコンピュータ2に取り付けられた状態となる。
【0026】
図10及び
図11は、
図6のDC−INコネクタに対するフレームの取付けを説明するための図である。
図10及び
図11は、
図2の反対側から見た基板6の斜視図を示す。本実施の形態では、
図10に示すように、フレーム14は、ハウジング13とは別の部品として構成され、挿入片22を弾性屈曲接触片10aと挟み込み片11aとの間に挿入し及び挿入片25を弾性屈曲接触片10bと挟み込み片11bとの間に挿入した後、
図11に示すように、フレーム14がDC−INコネクタ5に嵌め込まれ、孔15,9に挿入されたねじ8によってフレーム14が基板6に螺合される。なお、
図10及び
図11において、明瞭のために基板6、ねじ7a,7b及びねじ8を省略している。
【0027】
図12は、
図2の反対側から見たばね装着前後のDC−INコネクタの正面図であり、
図13は、
図12のI−I矢視方向から見た断面図であり、
図14は、
図2の反対側から見たばね装着状態のDC−INコネクタの正面図であり、
図15は、
図14のII−II矢視方向から見た断面図である。なお、
図12〜15は、明瞭のために基板6を寸法通りに示さない。
【0028】
DC−INコネクタ5をばね7a,7bに装着するときには、凸部16がスリット17に対応するように位置合せを行い、凸部16をスリット17に沿って案内しながらDC−INコネクタ5を
図13の矢印A方向に移動させることによって、DC−INコネクタ5は、
図15に示すように、ばね7a,7bに装着された状態となる。このようにDC−INコネクタ5がばね7a,7bに装着された状態において、ねじ8を孔15,9に挿入し、ねじ8によってフレーム14を基板6に螺合することによって、
図14に示すように、DC−INコネクタ5が基板6に固定される。
【0029】
DC−INコネクタ5をばね7a,7bから取り外すときには、ねじ8を基板6から取り外し、凸部16をスリット17に沿って案内しながらDC−INコネクタ5を
図15の矢印B方向に移動させることによって、DC−INコネクタ5は、
図13に示すように、ばね7a,7bから取り外された状態となる。
【0030】
本実施の形態によれば、ばね7a,7bにそれぞれ着脱自在である導体12a,12bを有することによって、ハーネスを有することなくDC−INコネクタ5を基板6に対して着脱自在にすることができるので、携帯機器の製造コストが増大せず、携帯機器を省スペース化する際の障害にならず、かつ、DC−INコネクタ5の取替えの際に基板6ごと取り替える必要がなくなる。
【0031】
また、弾性構造を有するばね7a,7bをDC−INコネクタ5とのコンタクト部として用いているので、DC−INコネクタ5の組立公差及び基板6の厚み交差が変化しても常に接触力が低下しない。
【0032】
さらに、凸部16とスリット17とを位置合せすることができるので、DC−INコネクタ5を基板6に容易に取り付けることができる。
【0033】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、上記実施の形態において、DC−INコネクタ装置1が装備される携帯機器がノート型パーソナルコンピュータである場合について説明したが、PDA等の他の携帯機器においても本発明によるDC−INコネクタ装置1を装備することができる。
【0034】
また、基板6のコンタクト部の弾性構造が上下挟み込み式のばね7a,7bを有する場合について説明したが、他の弾性構造を用いることもできる。さらに、SMTを用いたはんだ付けによってばね7a,7bを基板6に実装する場合について説明したが、DIP方式を用いたはんだ付けによってばね7a,7bを基板6に実装することもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 DC−INコネクタ装置
2 ノート型パーソナルコンピュータ
3 ACアダプタ
4 プラグ
5 DC−INコネクタ
6 基板
7a,7b ばね
8 ねじ
9,15,21 孔
10a,10b 弾性屈曲接触片
11a,11b 挟み込み片
12a,12b 導体
13 ハウジング
14 フレーム
16 凸部
17 スリット
18 ピン
19 円筒部
20、23 部品
22,25 挿入片
24 接点
26a,26b はんだペースト