【実施例】
【0022】
本発明に係る電子部品装着方法を実施する電子部品装着装置の第1実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
電子部品装着装置2は、
図1に示すように、基板3を搬入位置に搬入して所定の位置に位置決めする基板搬送装置4と、部品供給装置5と、基台6に対して水平方向であるX方向及びY方向に移動可能に支持された移動台8に設けられた装着ヘッド10を有する部品移載装置12及びマーク認識用カメラ14と、基台6に固定された部品認識用カメラ16と、部品移載装置12による装着を制御する制御装置18とを備えている。
【0023】
基板搬送装置4は、いわゆるダブルコンベヤタイプで、各コンベヤは、X方向に延在するガイドレール20に沿って並設されて基板3を位置決めされた位置まで搬入する平行に設けられたコンベアベルト(図略)と、搬入された基板3を夫々支持する支持フレーム(図略)と、支持された基板3を実装される位置(所定の位置)まで上昇させる昇降装置(図略)と、実装される位置(装着位置)において基板3をクランプするクランプ装置(図略)とを夫々備えている。
【0024】
部品供給装置5は、前記基板搬送装置4の側部(
図1において手前側)に複数のカセット式フィーダ21を並設して構成したものである。カセット式フィーダ21は、いずれも図略の前記スロットに離脱可能に取り付けたケース部と、ケース部の後部に設けた供給リールと、ケース部の先端に設けた部品取出部を備えている。供給リールには電子部品40(
図5参照)が所定ピッチで封入された細長いテープ(図略)が巻回保持され、このテープがスプロケット(図略)により所定ピッチで引き出され、電子部品40が封入状態を解除されて部品取出部に順次送り込まれる。カセット式フィーダ21にはコード(識別符号)が貼着され、このコードと電子部品40のID・部品番号・封入数・部品重量等との対応データが、制御装置18にライン全体を管理するホストコンピュータ(図略)から伝送された装着プログラムデータに予め記録されている。
基板搬送装置4の側部(
図1における上部側)には部品トレイ17が配置され、部品トレイ17には大型の電子部品やカバー部品19が収納されている
【0025】
基板搬送装置4の上方にはX方向移動ビーム22が設けられ、該X方向移動ビーム22はY方向に延在するとともに、前記基板搬送装置4に沿ってX方向に延在するX方向レール(図略)に沿って移動可能に設けられる。X方向移動ビーム22には、
図1に示すように、移動台8がX方向移動ビーム22の側面に設けられたY方向レール(図略)にスライダ(図略)を介して移動可能に設けられている。該移動台8には装着ヘッド10を備えた部品移載装置12とマーク認識用カメラ14とが移動台8とともに移動可能に保持されている。X方向移動ビーム22はいずれも図略のボールねじ機構を介してサーボモータにより駆動され、移動台8は、図略のY方向移動用ボールねじ機構を介して図略のサーボモータにより駆動される。これらのサーボモータはその駆動を制御装置18によって制御されている。
【0026】
マーク認識用カメラ14の光軸はX方向及びY方向に直角なZ方向に平行になっている。マーク認識用カメラ14は、
図5乃至
図7に示すように、矩形状の視野SAを有している。
【0027】
マーク認識用カメラ14により撮像された撮像画像は、図略のA/D変換機を備えた図略の画像認識装置に入力される。画像認識装置は、撮像された画像を取込んで、参照マークm(
図6参照)からの情報を読み取る。そして、制御装置18に備えられた演算装置(図略)により参照マークmの位置ずれを演算する。次にマーク認識用カメラ14が移動されるときには、この位置ずれを補正して移動する。
【0028】
部品移載装置12は、前記前記移動台8と、移動台8によりX方向及びY方向と直角なZ方向に昇降可能に支持される装着ヘッド昇降装置(図略)と、装着ヘッド昇降装置に支持された装着ヘッド10とを備えている。装着ヘッド10には、
図2及び
図5に示すように、一対のノズルホルダ24,26が設けられ、各ノズルホルダ24,26は図略の軸受により夫々軸方向に回転可能に支承されている。また、ノズルホルダ24,26は図略のガイド部材により上下動可能に支承されている。各ノズルホルダ24,26は図略のサーボモータで駆動されるノズルホルダ昇降装置(図略)によって夫々上下動駆動される。またノズルホルダ24,26は、図略の回転駆動機構及び回転駆動機構を駆動される図略のサーボモータにより、その中心軸回りに回転駆動される。
【0029】
各ノズルホルダ24,26には夫々軸状の吸着ノズル28,30が嵌脱可能に嵌挿されている。吸着ノズル28,30のうちの一方は、
図2に示すように、下端部に矩形状の押圧部32が形成されている。この押圧部32の下端には、負圧源である負圧供給ポンプ34に連通する負圧流路36が開口している。負圧流路36と負圧供給ポンプ34の間には電磁弁38が設けられ、電磁弁38により負圧流路36に対する負圧供給ポンプ34からの負圧空気の連通及び遮断が可能になっている。電磁弁38の作動は前記制御装置18によって制御される。吸着ノズル28の先端及び吸着ノズル30の負圧流路36の開口は負圧空気が供給されることで電子部品40等が吸着保持されるようになっている。ノズルホルダ24,26及び吸着ノズル28,30により上下動部材が構成される。
【0030】
基板搬送装置4と部品供給装置5との間には、部品認識用カメラ16が設けられ、この部品認識用カメラ16によって前記吸着ノズル28,30に吸着された電子部品40が撮像されて、生産される基板の種類に適合する種類の電子部品であるか、吸着状態良いか、部品自体の不良箇所がないか等が判定される。
【0031】
電子部品装着装置2には、基板データ、部品データ等を入力するためのキーボード等の入力装置42が設けられている。入力装置42には表示装置44が併設され、表示装置44の画面には基板データ、部品データ、演算データやマーク認識用カメラ14等で撮像した画像が表示できるようになっている。
【0032】
本実施形態で使用されるカバー部品19は、例えば銅合金、アルミ合金などの金属製で、
図3に示すように、長方形の板状で、周端縁に複数の係合爪46が前記板状のカバー本体部48より90度より少し鋭角に折曲されて形成され、後述する枠部材52のテーパ面54に対応するようになっている。これらの係合爪46が係合手段に対応する。並んだ係合爪46のうち端に位置する係合爪46には円形のすそ野を持つ凸状の係合凸部50が形成されている。
【0033】
基板6の上面には、
図5及び
図8に示すように、被係合手段としての枠部材52が組み付けられている。枠部材52は、例えば銅合金などの金属製で一定の高さを有する矩形の枠状に形成され、周囲には下方に向かって外側に傾斜するテーパ面54が形成され、角部にはカバー部品19の係合凸部50に対応する円形の外縁を持つ凹状の係合凹部56が形成されている。枠部材52は、例えば、半田により基板3に接着されている。
【0034】
上記のように構成された電子部品装着装置2を使用して基板3に装着された電子部品40をカバー部品19でカバーする手順について、
図4のフローチャート等に基づいて以下に説明する。
まず、制御装置18は、前工程であるスクリーン印刷工程で半田が表面に印刷された基板3を電子部品装着装置2に搬送し、図示はしないが、カバー部品19にカバーされる電子部品40とカバー部品19を基板3に組み付ける枠部材52とを搬送された基板3に装着する(ステップ101、以下「S101」と略記する)。
【0035】
そして、制御装置18は、前記電子部品40と枠部材52とが装着された基板3は図略のリフロー炉に搬送し、リフロー炉で加熱・冷却することで、電子部品40等と基板3とを接着していた半田を融解して、その後固化する(S102)。これにより、前記電子部品40及び枠部材52は基板3に組付け固定される。
【0036】
以下、工程を細かく区切って説明すると、制御装置18は、被カバー部品(電子部品)40及び枠部材52が組付けられた基板3を、電子部品装着装置2に搬入し、基板搬送装置4により所定搬送位置まで搬送する(S103)。
【0037】
所定搬送位置まで搬送された基板3は、図略の昇降装置により所定搬送位置より装着位置に上昇され、位置決めされて図略のクランプ装置によりクランプされる(基板搬送位置決め工程・S104)。
【0038】
次に、制御装置18は、
図6に示すように、位置決めされた基板3の対角線上のコーナーに設けられた一対の参照マークmにマーク認識用カメラ14を位置決めし、参照マークmの位置座標を読み取る(S105)。これによって、予め制御装置18の記憶装置に記憶されている基板3の位置座標のデータとの対比において、基板3が基板搬送装置4によって位置決めされた位置の水平方向の位置ずれ(X方向、Y方向及び回転方向)を認識する。
【0039】
次に、制御装置18は、
図7に示すように、枠部材52の対角上に対向するコーナー部52a,52bにマーク認識用カメラ14の中心部を夫々位置決めし、マーク認識用カメラ14が位置決めされた各コーナー部52a,52bの位置座標を読み取り(位置座標読取工程)、予め記憶装置に記憶されている枠部材52の位置座標のデータとの対比において、基板3が位置決めされた位置に対する位置ずれを認識する(位置ずれ認識工程・S106)。
【0040】
次に、制御装置18は、
図8に示すように、押圧部32を有する吸着ノズル30により部品トレイ17よりカバー部品19を採取し、前記枠部材52の位置補正された位置座標に位置決め載置する(カバー部品位置決め載置工程・S107)。この際、制御装置18は電磁弁38により負圧流路36を負圧供給ポンプ34と連通させ、押圧部32の下端部の開口部でカバー部品19を吸着保持する。そして、
図9に示すように、吸着ノズル30を下降させて位置決め位置で、電磁弁38により負圧流路36を遮断し、真空破壊をおこなって吸着ノズル30からカバー部品19を離脱させてカバー部品19を枠部材52に載置する。カバー部品19の係合爪46の先端部は、枠部材52の上端側縁部に接触して、対向する係合爪46によって枠部材52の上端側縁部を挟持した状態となる。
【0041】
次に、制御装置18は、
図10に示すように、吸着ノズル30をカバー部品19の上方に上昇させ、続いて、
図11に示すように、吸着ノズル30を下降させることで、カバー部品19の中央部を押圧する(押圧組付け工程・S108)。この押圧によりカバー部品19の中央部にある係合爪46の一部の先端部が、枠部材52の上端側縁部を越えてテーパ面54に達して係合爪46の弾性力によってテーパ面54に沿って下方にスライドし、短手方向に対向する係合爪46がテーパ面54を挟持した状態で係合する。
【0042】
次に、制御装置18は、
図12に示すように、吸着ノズル30を上昇後、カバー部品19の一方の端部に移動させて位置決めし、
図13に示すように、吸着ノズル30を下降させることで、カバー部品19の一方の端部を押圧部32で押圧する。この押圧により、カバー部品19の対向する係合爪46が前述と同様にして枠部材52のテーパ面54を挟持した状態で係合するとともに、係合爪46に設けられた係合凸部50が、枠部材52の係合凹部56に係合する。
【0043】
次に、制御装置18は、
図14に示すように、吸着ノズル30を上昇後、カバー部品19の他方の端部に移動させて位置決めし、
図15に示すように、吸着ノズル30を下降させることで、カバー部品19の他方の端部を押圧部32で押圧する。この押圧作業によって、カバー部品19の係合爪46が前述と同様にして枠部材52のテーパ面54に係合するとともに、係合爪46に設けられた係合凸部50が、枠部材52の係合凹部56に係合する。そして、カバー部品19の基板3への組付けを終了する。
【0044】
次に、制御装置18は、カバー部品19が組付けられた基板3をアンクランプして昇降装置で装着位置から搬送位置に降下させることで基板搬送装置4に受渡す(S109)。
【0045】
次に、制御装置18は、基板搬送装置4を駆動させてカバー部品19が組付けられた基板3を次工程に払い出す(S110)。
【0046】
上記のように構成された電子部品装着装置2を用いたカバー部品の組付け方法によると、部品移載装置12によって基板3の所定位置に位置決めされたカバー部品19を、位置決めされた直後に吸着ノズル30の押圧部32で押圧することで、位置決め後の機械の振動等によるカバー部品19の基板3に対する位置ずれを生じることなく、カバー部品19を押圧して基板3に組み付けることができる。カバー部品19は吸着により採取され、従来のクランプ爪のように、カバー部品19の寸法に規制されることなく部品移載装置12に多種類のノズルを準備する必要がないので、ノズルを貯留するノズルステーションの省スペース化を図ることができる。
【0047】
また、枠部材52の基板3における位置座標を読み取り、読み取られた枠部材52の位置座標より、カバー部品19が前記マーク認識用カメラ14によって位置決めされた基板3の位置に対する位置ずれを認識し、認識された位置ずれにより位置補正してカバー部品19を所定位置に位置決め載置する。これによって、基板3におけるカバー部品19を取り付けるべき所定位置が予め設定された位置座標からずれている場合にも、カバー部品19を基板3に位置ずれを補正して確実に組み付けることができる。
【0048】
また、押圧部32の下端に開口する負圧流路36を負圧供給ポンプ34に連通させてカバー部品19を吸着することで、押圧部32が設けられた吸着ノズル30によりカバー部品19を採取して位置決めし、負圧流路36を負圧供給ポンプ34と遮断することで吸着されたカバー部品19を押圧部32から離脱させて所定位置に載置し、直ちに押圧部32でカバー部品19を押圧して基板3に組付けることができる。
【0049】
また、部品移載装置12に設けられた二つのノズル28,30の一方には押圧部32が設けられているので、部品移載装置12により所定位置に位置決めされたカバー部品19を、部品移載装置12に装着されたノズル28,30を取り替える作業を必要とせずに直ちにカバー部品19を押圧することができる。また、各ノズル28,30には負圧供給ポンプ34に連通する負圧流路36が設けられているので、部品移載装置12に装着されたノズル28,30を取り替える作業を必要とせずに電子部品等の採取及び装着作業をすることができる。
【0050】
また、基板3にカバーされる電子部品40を囲むように立設された枠部材52の外周に設けられた被係合凹部56に、カバー部品19に設けられた複数の係合爪46に設けられた係合凸部50を係合させるという簡単な構成としたので、カバー部品位置決め載置工程で位置決め載置されたカバー部品19を、載置された直後に、押圧組付け工程において確実に基板3に組付けることができる。
【0051】
なお、上記実施形態において、上下動部材として2つ設けられた吸着ノズルの一方の吸着ノズル30に押圧部32を設けることとしたが、これに限定されず、例えば、
図16に示すように、両方の吸着ノズル60,62の下端部に夫々大きさの異なる第1押圧部64及び第2押圧部66を設けてもよい。また、押圧部は必ずしも吸着ノズルと一体であるものに限定されず、例えば、
図17に示すように、吸着ノズル68,70の一方の先端に吸着固定される押圧部材72でもよい。
【0052】
また、上下動部材は、2つに限定されず、例えば1つでもよく3つ以上のものでもよい。
【0053】
また、被係合手段として基板3に固定された枠部材52とし、係合手段として枠部材52に係合する係合爪46としたが、これに限定されず、例えば、被係合手段は基板に設けられた係合穴でもよく、係合手段は前記係合穴に係合する係合突起でもよい。
【0054】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。