(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
皮膚を穿刺するための先端部を有する穿刺部材、およびこの穿刺部材の後端部を固定する本体部を含み、かつ穿刺軌道上を穿刺方向に移動するランセットと、前記ランセットを収容し、かつ先端に第1の穿刺開口部を含むランセットホルダーと、を備えている、ランセットカートリッジであって、
前記ランセットホルダーの内部に保持された皮膚接触部、をさらに備えており、
前記皮膚接触部は、前記穿刺方向に交差する方向に起立するように設けられている板状部材であり、
前記板状部材には、第2の穿刺開口部が形成されており、
前記第1の穿刺開口部は前記皮膚接触部を収容可能な大きさに形成されており、
前記皮膚接触部が前記穿刺方向に押圧されると、前記皮膚接触部は、前記皮膚に接触可能に、前記第1の穿刺開口部に収容された状態となり、前記穿刺部材の前記先端部は、前記第2の穿刺開口部から飛び出すように構成されている、ランセットカートリッジ。
【背景技術】
【0002】
体液中のグルコースやコレステロールなどの成分量を測定するために簡易測定器が使用されている。これらの簡易測定器による測定には少量の体液が必要とされる。たとえば、少量の体液を採取するために、ランセット発射機構を有する本体に使い捨てのランセットを装着した後、更に前記本体の先端にエンドキャップを装着して用いる穿刺器具が使用されている。このエンドキャップの先端には穿刺開口部が設けられている。被験者の皮膚にエンドキャップの先端を押し当て、前記本体を操作してランセットの先端部を前記穿刺開口部から飛び出させ、被験者の皮膚を穿刺することにより、体液が採取される。このような穿刺器具を用いた体液の採取において、測定に十分な体液量を確保するために、従来、次のような対策が行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、皮膚に入るランセットの先端部の深さを変えるため、異なるサイズの多数のエンドキャップを用意することが記載されている。また、特許文献2には、指先や前腕などの複数の異なる採取部位における体液の採取を適切に行えるように、採取部位の形状に合わせた先端形状を有する複数のエンドキャップを用意することが記載されている。
【0004】
一方で、複数の被験者から共通の穿刺器具を用いて採血を行う場合、エンドキャップの先端に体液が付着することや、体液が付着した穿刺部材の先端部がむき出しになることがあり、衛生上問題がある。たとえば、特許文献3には、このような問題を解決するため、ランセットをランセットホルダーに収容して一体化したランセットカートリッジが記載されている。このランセットホルダーは、先端に穿刺開口部が形成されており、上記のエンドキャップと同様の機能を有するものであるが、先端に体液が付着したとしても、ランセットと一体のものとして使い捨てにされる。また、ランセットは、穿刺時を除き、ランセットホルダー中に収容されているので、体液の付着したランセットの先端部が、操作者等に触れることもない。従って、このランセットカートリッジは、感染等を防止する上で好適なものである。
【0005】
一般的に、上記のようなランセットカートリッジは、ランセットホルダー中にランセットが収容されているので、使用済みであるか否かの確認が困難である。これを解決するため、特許文献3に記載のランセットカートリッジは、穿刺器具に装着されると、ランセットに設けられた小突起が前記ランセットホルダーに設けられたスリットから露出するように構成されており、使用済みであるか否かの外部からの視認が可能である。
【0006】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0007】
すなわち、従来のランセットカートリッジにおいては、第1に、ランセットホルダーの側面に露出する前記小突起が小さいため、使用済みであるか否かを外部から容易に視認できるとはいえない。第2に、従来のランセットカートリッジは、ランセットとランセットホルダーが一体化されたものであるため、特許文献1や特許文献2に記載されている穿刺器具のように、測定に十分な体液量を確保するために、ランセットホルダーを形状の異なるものに容易に交換できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、第1に使用済みであるか否かを外部から容易に視認できるランセットカートリッジを提供することを、その課題としている。第2に、ランセットホルダーの先端の形状を容易に変更できることにより、測定に十分な体液量を確保できるランセットカートリッジを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本発明により提供されるランセットカートリッジは、皮膚を穿刺するための先端部を有する穿刺部材、およびこの穿刺部材の後端部を固定する本体部を含み、かつ穿刺軌道上を穿刺方向に移動するランセットと、前記ランセットを収容し、かつ先端に第1の穿刺開口部を含むランセットホルダーと、を備えている、ランセットカートリッジであって、前記ランセットホルダーの内部に保持さ
れた皮膚接触部
、をさらに備えており、
前記皮膚接触部は、前記穿刺方向に交差する方向に起立するように設けられている板状部材であり、前記板状部材には、第2の穿刺開口部が形成されており、前記第1の穿刺開口部は前記皮膚接触部を収容可能な大きさに形成されており、前記皮膚接触部が前記穿刺方向に押圧されると
、前記皮膚接触
部は、前記皮膚に接触可能に、前記第1の穿刺開口部に収容され
た状態となり、前記穿刺部材の前記先端部は
、前記第2の穿刺開口部から飛び出すように構成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、穿刺準備が完了した時点で、皮膚接触部が第1の穿刺開口部に収容される。この皮膚接触部は、外部から視認するのに十分な大きさを有している。これにより、本発明に係るランセットカートリッジは、使用済みであるか否かを容易に判別することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触部と連結し、前記穿刺部材の前記先端部をカバーする保護部と、前記保護部と前記本体部とを前記穿刺部材の周囲を覆うようにして結合しているブリッジ部と、をさらに備えており、前記本体部が前記ランセットホルダーに固定された状態で、前記保護部が前記皮膚接触部とともに前記穿刺方向に押圧されると、前記ブリッジ部が破断するとともに、前記保護部が前記本体部から分離し、前記穿刺部材の前記先端部が露出した状態となるように構成されており、前記保護部および前記皮膚接触部が引き続いて前記穿刺方向に押圧されると、前記保護部が前記穿刺部材の前記穿刺軌道から外れるとともに、前記第2の穿刺開口部が前記穿刺軌道上に配置される。
【0014】
このような構成によれば、穿刺準備が完了した時点で、皮膚接触部が第1の穿刺開口部に収容される。この皮膚接触部は、外部から視認するのに十分な大きさを有している。これにより、本発明に係るランセットカートリッジは、使用済みであるか否かを容易に判別することができる。また、保護部が邪魔になることなしに、穿刺部材の先端部が第2の穿刺開口部から飛び出すことが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触部は、前記第1の穿刺開口部から取り外し可能とされ、前記皮膚接触部が取り外された場合、前記穿刺部材の前記先端部は、前記第1の穿刺開口部から飛び出すように構成されている。
【0016】
このような構成によれば、被採血者の皮膚に押し当てられるランセットホルダーの先端の形状を容易に変更することができる。これにより、複数の異なる採取部位における血液の採取を適切に行うことが可能であり、測定に十分な体液量を確保することができる。また、皮膚接触部が取り外された場合、穿刺部材の先端部は、第1の穿刺開口部から飛び出すように構成されている。たとえば、第1の穿刺開口部は、第2の穿刺開口部よりも相対的に大きく形成されている。よって、第1の穿刺開口部は、第2の穿刺開口部よりも、被採血者の皮膚をランセットホルダーの内部に深く入り込ませることができる。これにより穿刺部材の先端部は、皮膚をより深く穿刺し、第2の穿刺開口部を用いるよりも大量の体液を採取することができる。このように、第1の穿刺開口部と第2の穿刺開口部とを必要に応じて選択することにより、測定に十分な体液量を確保することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触
部は、取り外しの際に摘むための摘み部を有している。
【0018】
このような構成によれば、摘み部を摘むことにより前記皮膚接触部を容易に取り外すことができるので、第2の穿刺開口部から第1の穿刺開口部への変更が容易である。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ランセットホルダーには、スリットが設けられ、前記皮膚接触
部が、前記穿刺方向に押圧されると、前記摘み部が前記スリットから突出するように構成されている。
【0020】
このような構成によれば、未使用時における誤操作を防止することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触
部は、切断可能な脆弱部を有しており、前記皮膚接触部は、前記脆弱部を切断することにより、取り外し可能に構成されている。
【0022】
このような構成によれば、脆弱部を切断するだけで、穿刺部材の先端部が飛び出すランセットホルダーの先端の形状を容易に変更することができる。これにより、穿刺開口部の大きさを変えること、またはランセットホルダーの先端を複数の異なる採取部位に合わせた形状にすることが可能となり、測定に十分な量の体液の採取を適切に行うことができる。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触部として、複数の皮膚接触部が前記穿刺方向に積層されており、前記第2の穿刺開口部は先端側の前記皮膚接触部ほど小さく形成され、先端側の前記皮膚接触部から順に切断することにより、前記第2の穿刺開口部の大きさを選択可能に構成されている。
【0024】
このような構成によれば、必要に応じて、適切な第2の穿刺開口部の大きさを有する皮膚接触部を選択することができる。これにより、体液の採取量を細かく調整することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触部として、複数の皮膚接触部が前記穿刺方向に積層されており、各皮膚接触部は、穿刺部位に合わせた異なる形状を有している。
【0026】
このような構成によれば、ランセットホルダーの先端の形状を穿刺部位の形状に合わせた形状に、容易に変更することができる。これにより、複数の異なる採取部位における体液の採取を適切に行うことができるので、測定に十分な体液量を確保することができる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触部は、平面視において前記第2の穿刺開口部を囲むようにして前記脆弱部によって多重に仕切られた複数の板状部材から構成されており、前記複数の板状部材を内側から順に切断することにより、前記第2の穿刺開口部の大きさを選択可能に構成されている。
【0028】
このような構成によれば、板状部材を取り外すことにより、第2の穿刺開口部の大きさを段階的に調整することができる。これにより、体液の採取量を細かく調整することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記皮膚接触部は、前記第2の穿刺開口部を中心とする渦巻き状に形成されており、前記脆弱部が前記渦巻きの所定の箇所に形成され、前記脆弱部を前記渦巻きの内側から順に切断することにより、前記第2の穿刺開口部の大きさを選択可能に構成されている。
【0030】
このような構成によれば、渦巻き部分を中心から順番に取り外すことにより、第2の穿刺開口部の大きさを段階的に調整することができる。これにより、体液の採取量を細かく調整することができる。
【0031】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0034】
図1〜
図4は、本発明が適用されたランセットカートリッジの一例を示している。ランセットカートリッジA1は、穿刺器具1に装着して使用されるもので、簡易血糖測定器(図示略)の測定対象物である血液を指先などから採取するためのものである。ランセットカートリッジA1は、糖尿病患者によって個人的に使用されるほか、病院で使用される場合もある。
【0035】
図1に示すように、ランセットカートリッジA1は、穿刺器具1に装着して使用される。穿刺器具1は、装着部10、発射ボタン11などを備えている。また、内部に穿刺機構(図示略)を備えている。装着部10は、ランセットカートリッジA1を装着する部分である。また、発射ボタン11は、後述するランセット3を発射させる際に使用するボタンである。ランセットカートリッジA1が穿刺器具1に装着される過程で、穿刺機構の一部である保護キャップ取り外し部材(図示略)とプランジャー(図示略)が、ランセットカートリッジA1の内部に入り込み、発射の準備が行われる。一方で、穿刺器具1の内部では、穿刺用バネ(図示略)が縮んで弾発力を蓄えるなどの発射準備が行われる。
【0036】
図2および
図3に示すように、ランセットカートリッジA1は、ランセットホルダー2とランセット3とを備えている。なお、以降の説明において、上下方向などの方向は、図面の記載にしたがったものとする。
【0037】
ランセットホルダー2は、後述するランセット3を内部に収納し、保持するためのものである。使用後、ランセット3を収容した状態で廃棄される。ランセットホルダー2は、合成樹脂を材料として、射出成形により成形される。この合成樹脂として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ランセットホルダー2は、ランセット3と異なる着色がなされている。ランセットホルダー2は薄いグレー色に着色されている。その一方、ランセット3は、ピンク色に着色されている。ランセットホルダー2内におけるランセット3の位置を外部から視認し易くするためである。なお、ランセットホルダー2とランセット3との着色の組合せは、色の相違が識別し易ければどのようなものでもよい。
図3に示すように、ランセットホルダー2は、後端開口部20a、ストッパ部21、スロープ部22、先端23、第1の穿刺開口部23a、スリット24、および突起部25を備えている。
【0038】
後端開口部20aは、ランセットホルダー2の後端20に形成されている。ランセットカートリッジA1を組み立てる際、ランセット3は、この後端開口部20aから挿入される。また、ランセットカートリッジA1が穿刺器具1に装着される際、前記した保護キャップ取り外し部材とプランジャーが、後端開口部20aからランセットホルダー2内に入り込む。
【0039】
ストッパ部21は、後述するランセット3の本体部4に設けられたウイング部40の当接部40aが当接する部分である。一対のストッパ部21が、ランセットホルダー2の左右の側壁部26の内面に設けられている。当接部40aがストッパ部21に当接することにより、後述する使用後の穿刺部材5の穿刺方向N1への移動が制限される。これにより、血液が付着した穿刺部材5の先端部5aが、後述する第1の穿刺開口部23aまたは第2の穿刺開口部71aから外部に露出することが防止される。
【0040】
一対のスロープ部22が、一対のストッパ部21に続いて、穿刺方向N1に向けてランセットホルダー2の左右の側壁部26の内面に設けられている。スロープ部22は、穿刺方向N1に進むにつれて下方に傾斜しているスロープ面22aを有している。後述するランセット3の保護キャップ7は、後方から押圧されると、このスロープ面22aに沿って移動する。
【0041】
先端23は、被採血者の皮膚に押し当てられる部分である。先端23の略中央部には、後述する第1の穿刺開口部23aが形成されている。先端23において、第1の穿刺開口部23aの周辺部は、平面的に形成されている。もちろん、第1の穿刺開口部23aの周辺部の形状は好適に採血できるものであればどのようなものでもよく、指先、手のひら、前腕、耳たぶ、などの採血部位に合わせて、湾曲した形状に形成してもよい。
【0042】
第1の穿刺開口部23aは、前述したようにランセットホルダー2の先端23に形成されている。第1の穿刺開口部23aは、後述するランセット3の保護キャップ7に設けられた皮膚接触部71が収容可能な大きさに形成されている。後述するように保護キャップ7がランセットホルダー2から取り外された場合、穿刺部材5の先端部5aは、この第1の穿刺開口部23aからが飛び出すように構成されている。
【0043】
スリット24は、ランセットホルダー2の先端23近傍の底壁部27に設けられている。スリット24は、後述するランセット3の保護キャップ7に設けられた摘み部70bをランセットホルダー2の外部に突出させるためのものである
【0044】
突起部25は、ランセットホルダー2の先端23付近の底壁部27の内面に設けられている。突起部25は、先端23付近まで移動して来た保護キャップ7を係止することにより、保護キャップ7が第1の穿刺開口部23aからランセットホルダー2の外部に脱落するのを防止するためのものである。
【0045】
ランセット3は、ランセットホルダー2の内部に収納されており、被採血者の指先などの皮膚を穿刺するためのものである。ランセット3は、インサート成形により、合成樹脂を材料として、後述する穿刺部材5を埋め込んで成形される。この合成樹脂として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
図3および
図4に示すように、ランセット3は、本体部4、穿刺部材5、ブリッジ部6、および保護キャップ7を備えている。
【0046】
本体部4は、穿刺部材5の後端部を固定しており、穿刺軌道V1上を穿刺方向N1に移動し、被験者の皮膚を穿刺する。本体部4は、ウイング部40および係合部41を備えている。
【0047】
ウイング部40は、穿刺後において、第1の穿刺開口部23aまたは後述する第2の穿刺開口部71aから穿刺部材5の先端部5aが露出することのないようにするものである。一対のウイング部40が、穿刺部材5を中心軸線として、左右対称となるように後方に向かって徐々に外向きに広がるように設けられている。一対のウイング部40は、ストッパ部21に当接することにより、穿刺部材5が穿刺方向N1への移動するのを制限する。一対のウイング部40は、ストッパ部21と当接する当接部40aを先端に有している。ウイング部40は、変形可能に形成されており、穿刺時には、後端開口部20aからランセットホルダー2内に入り込んだ穿刺器具1の保護キャップ取り外し部材により内向きに狭められる。これにより、当接部40aはストッパ部21に当接しなくなるので、本体部4は先端23まで移動可能となる。ウイング部40は、ランセットカートリッジA1が穿刺器具1から取り外されると、外向きの弾発力により再び広がる。
【0048】
係合部41は、ランセットカートリッジA1が穿刺器具1へ装着される際に、本体部4が穿刺器具1内のプランジャーと係合する部分である。これにより、穿刺器具1は、本体部4を穿刺方向N1に発射させることが可能となる。
【0049】
穿刺部材5は、第1の穿刺開口部23aまたは第2の穿刺開口部71aからランセットホルダー2の外に飛び出し、被採取者の皮膚を切開するためのものである。穿刺部材5は、金属製であり、具体的な材質はステンレスである。もちろん、穿刺部材5は、被採取者の皮膚を適切に切開できるものであればどのようなものでもよく、ステンレス以外の金属や合成樹脂により形成されてもよい。穿刺部材5の形状は、ニードルタイプでもよいし、ブレードタイプでもよい。穿刺部材5の後端部は本体部4に固定されており、穿刺部材5は常に穿刺軌道V1上を移動するように構成されている。穿刺部材5の先端部5aには、研磨による刃付けがなされている。穿刺部材5の先端部5aは、後述するブリッジ部6を介して、保護キャップ7によりカバーされている。
【0050】
ブリッジ部6は、本体部4と保護キャップ7との間に介在し、穿刺部材5の滅菌性を保つためのものである。ブリッジ部6は、保護キャップ7が穿刺器具1の保護キャップ取り外し部材により後方から押圧されると、破断するように構成されている。ブリッジ部6は、破断しやすいように、穿刺部材5の周囲に肉薄に形成されている。
【0051】
保護キャップ7は、穿刺部材5の刃先をカバーすることにより、穿刺部材5の刃先の曲がりを防止し、滅菌性を維持するためのものである。保護キャップ7は、保護部70および皮膚接触部71を備えている。保護キャップ7の保護部70の部分が、ブリッジ部6を介して、本体部4に接続されており、穿刺部材5の刃先をカバーしている。保護部70は、穿刺部材5を中心軸線として左右に延在する略平面状の部材である。保護部70は、穿刺部材5の穿刺軌道V1上に位置している。従って、穿刺軌道V1上において、そのまま保護部70を外したとしても穿刺部材5は穿刺方向N1に移動できない。保護部70は、両側の側面に、一対のそり部70aを備えている。そり部70aは、保護キャップ7がランセットホルダー2内で適切に保持され、スムーズに移動するようにするためのものである。そり部70aは、穿刺器具1の保護キャップ取り外し部材が保護キャップ7を穿刺方向N1に押圧するための被押圧部70acを備えている。被押圧部70acが後方から押圧されると、保護部70および皮膚接触部71が穿刺方向N1に押圧されることになる。本体部4がランセットホルダー内に固定された状態で、保護キャップ7が後方から押圧されると、ブリッジ部6が破断し、保護キャップ7は本体部4と分離して穿刺方向N1に移動する。その際、そり部70aの上テーパ部70aaは、スロープ面22aに沿って動くので、保護キャップ7は、穿刺方向N1に向けて斜め下方に移動する。このようにして、保護部70は、穿刺部材5の穿刺軌道V1から外れる。
【0052】
皮膚接触部71は、保護部70の先端に穿刺方向N1に交差する方向に起立するように設けられている板状部材である。より具体的には、皮膚接触部71は、穿刺方向N1に直交するように設けられている。保護キャップ7が穿刺方向N1に移動すると、皮膚接触部71は、第1の穿刺開口部23aに収容される。皮膚接触部71の略中央部には、第2の穿刺開口部71aが設けられている。未使用時、すなわち穿刺器具1に装着される前には、第2の穿刺開口部71aは、穿刺軌道V1から上方に外れた位置にある。第2の穿刺開口部71aは、保護キャップ7が、スロープ面22aに沿って移動するのに伴って、第1の穿刺開口部23aの位置まで移動した際に、穿刺軌道V1が通過する位置に来るように構成されている。障害物がなくなることにより、穿刺部材5の先端部5aは、穿刺軌道V1を穿刺方向N1に向けて移動し、第2の開口部71aから飛び出すことが可能となる。皮膚接触部71において、第2の穿刺開口部71aの周辺部は、平面的に形成されている。もちろん、第2の穿刺開口部71aの周辺部の形状は好適に採血できるものであればどのようなものでもよく、指先、手のひら、前腕、耳たぶ、などの採血部位に合わせて、湾曲した形状に形成してもよい。
【0053】
図4に示すように、保護部70の下面に、摘み部70bが設けられている。摘み部70bは、未使用時には、ランセットホルダー2内において、保護キャップ7を支えている。その一方、ランセットカートリッジA1が、穿刺器具1に装着され、保護キャップ7が、先端23付近に移動した場合には、摘み部70bは、スリット24からランセットホルダー2の外部に突出するように構成されている。そり部70aの下テーパ部70abが突起部25に係合することにより、保護キャップ7が第1の穿刺開口部23aから脱落することが防止される。
【0054】
摘み部70bを摘んで、スリット24に沿って穿刺方向N1にスライドさせることにより、下テーパ部70abと突起部25との係合が外れ、保護キャップ7をランセットホルダー2から外すことができる。この場合には、穿刺部材5は、第1の穿刺開口部23aから飛び出すことになる。
【0055】
次に、ランセットカートリッジA1の動作について、
図5ないし
図9を参照しつつ説明する。
【0056】
先ず、ランセットカートリッジA1が装着部10に挿入されると、前記の保護キャップ取り外し部材がランセットカートリッジA1内に入り込み、ランセット3の被押圧部70acを押圧する。
図5に示すように、この押圧により、保護キャップ7が穿刺方向N1に移動する。その際、本体部4はランセットホルダー2内で固定されたままであるので、ブリッジ部6が破断され、穿刺部材5の先端部5aがむき出しになる。その一方で、図には表れていないが、穿刺器具1のプランジャーが、係合部41に係合する。この時点においては、保護部70は穿刺部材5の穿刺軌道V1上に有り、第2の穿刺開口部71aは穿刺軌道V1から外れている。
【0057】
次に、
図6に示すように、保護キャップ7が更に穿刺方向N1に押圧されると、皮膚接触部71は、第1の穿刺開口部23aに収容され、第1の穿刺開口部23aを塞ぐ。その際、上テーパ部70aaがスロープ面22aに沿って移動するので、保護キャップ7は、矢印N2で示すように斜め下方に移動する。その結果、保護部70は、穿刺部材5の穿刺軌道V1から外れる。その一方で、第2の穿刺開口部71aが穿刺軌道V1上に移動する。なお、この時、保護キャップ7は、そり部70aの下テーパ部70abが突起部25に係合することにより、ランセットホルダー2から脱落することが防止されている。また、摘み部70bは、スリット24からランセットホルダー2の外部に突出する。
【0058】
次に、穿刺器具1の発射ボタン11を押すと、前記プランジャーが前記穿刺用バネの弾発力により発射される。それにより、
図7に示すように、本体部4は、穿刺方向N1に移動する。本体部4に固定されている穿刺部材5もまた穿刺軌道V1上を穿刺方向N1に移動する。その結果、穿刺部材5の先端部5aが第2の穿刺開口部71aから飛び出し、被採血者の皮膚を穿刺する。なお、この時、一対のウイング部40は穿刺器具1の保護キャップ取り外し部材により内向きに狭められており、本体部4は、当接部40aがストッパ部21に当接することなく、穿刺方向N1に移動可能な状態となっている。
【0059】
穿刺部材5の先端部5aが第2の穿刺開口部71aから飛び出すのでは、適切な採血量が得られない場合には、
図8に示すように、ランセットカートリッジA1を穿刺器具1に装着した状態で、ランセットホルダー2の先端23から保護キャップ7を取り外す。具体的には、摘み部70bを摘んで、スリット24に沿って穿刺方向N1にスライドさせることにより、そり部70aの下テーパ部70abと突起部25との係止を外し、保護キャップ7をランセットホルダー2から取り除く。こうすることにより、穿刺部材5の先端部5aは、第1の穿刺開口部23aから飛び出すことになる。
【0060】
図9に示すように、穿刺器具1の発射ボタン11を押すと、本体部4が穿刺方向N1に移動する。穿刺部材5の先端部5aが第1の穿刺開口部23aから飛び出し、被採血者の皮膚を穿刺する。第1の穿刺開口部23aは、第2の穿刺開口部71aよりも大きく形成されており、被採血者の皮膚がランセットホルダー2の内部により深く入り込む。穿刺が深く行われるので、採血量が多くなる。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、使用時、保護キャップ7の皮膚接触部71が第1の穿刺開口部23aを塞ぐように配置される。この皮膚接触部71は、外部から視認するのに十分な大きさを有している。これにより、ランセットカートリッジA1は、使用済みであるか否かを容易に判別することができる。従って、使用済みのランセットカートリッジA1の再使用を容易に防止することができる。また、穿刺準備が完了した時点で、保護部70が穿刺部材5の穿刺軌道V1から外れるとともに、第2の穿刺開口部71aが穿刺軌道V1上に配置されるので、保護部70が邪魔になることなしに、穿刺部材5の先端部5aが第2の穿刺開口部71aから飛び出すことが可能となる。
【0062】
ランセットカートリッジA1においては、ランセットホルダー2とランセット3とは、異なる着色がなされているので、使用済みであるか否かの判別がより容易となる。
【0063】
ランセットカートリッジA1において、皮膚接触部71は、使用する際に初めて、被採血者の皮膚に押し当てられる先端23に移動するので、未使用時に汚染される可能性が少ない。よって、ランセットカートリッジA1は、衛生を保つ上で有利である。
【0064】
ランセットカートリッジA1は、保護キャップ7をランセットホルダー2から取り外し可能とされている。従って、被採血者の皮膚に押し当てられるランセットホルダー2の先端23の形状を容易に変更することができる。これにより、複数の異なる採取部位における血液の採取を適切に行うことが可能であり、測定に十分な血液量を確保することができる。また、保護キャップ7が取り外された場合、穿刺部材5の先端部5aは、第1の穿刺開口部23aから飛び出すように構成されている。たとえば、第1の穿刺開口部23aは、第2の穿刺開口部71aよりも相対的に大きく形成されている。よって、第1の穿刺開口部23aは、第2の穿刺開口部71aよりも、被採血者の皮膚をランセットホルダー2の内部に深く入り込ませることができる。これにより穿刺部材5の先端部5aは、皮膚をより深く穿刺し、第2の穿刺開口部71aを用いるよりも大量の血液を採取することができる。このように、第1の穿刺開口部23aと第2の穿刺開口部71aとを必要に応じて選択することにより、測定に十分な血液量を確保することができる。従って、ランセットカートリッジA1は、穿刺器具1が穿刺深さを調整するための機構を有していたとしても、それでは調整しきれない場合に、採血量の調整をすることが可能である。
【0065】
ランセットカートリッジA1の保護キャップ7は、取り外しの際に摘むための摘み部70bを備えている。これにより、摘み部70bを摘むことにより保護キャップ7を容易に取り外すことができる。これにより、第2の穿刺開口部71aから第1の穿刺開口部23aへの変更が容易である。
【0066】
摘み部70bは、ランセットカートリッジA1が穿刺器具1の装着部10に挿入される際に初めて、ランセットホルダー2の底部27に設けられたスリット24から突出するように構成されている。これにより、保護キャップ7は、摘み部70bを摘んで、スリット24に沿ってスライドさせることにより容易に取り外すことができるようになる。このように、保護キャップ7が、穿刺方向N1に押圧される際に初めて、摘み部70bがスリット24から突出するように構成されているので、未使用時における誤操作を防止することができる。
【0067】
図10(A)および
図10(B)は、本発明に係るランセットカートリッジの他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。以下の実施形態についても、同様である。
【0068】
ランセットカートリッジA2の基本的な構成は、先に説明したランセットカートリッジA1と同様であるが、皮膚接触部71Aを取り外すための構成が異なっている。
【0069】
ランセットカートリッジA2において、保護キャップ7Aは、ミシン目71Aaおよび摘み部71Abを備えている。
図10(A)に示すように、ミシン目71Aaは、保護部70と皮膚接触部71Aとの境目に設けられている。ミシン目71Aaの部分は、容易に破断できるように、周囲よりも強度が弱くなっている。ミシン目71Aaは、本発明でいう脆弱部の一例に相当するものである。ランセットカートリッジA2は、皮膚接触部71Aの上部に摘み部71Abを備えている。摘み部71Abは、ランセットホルダー2の上壁部28に形成されたスリット24Aから外部に突出しており、穿刺器具1に装着される際にスリット24Aをスライドして先端23に向けて移動する。
図10(B)に示すように、摘み部71Abを矢印で示す方向に動かすことにより、皮膚接触部71Aは、ミシン目71Aaに沿って切断され、取り外すことが可能である。そうすると、保護キャップ7Aを収容していた第1の穿刺開口部23aが現れる。
【0070】
本実施形態によれば、穿刺部材5の先端部5aが飛び出すランセットホルダー2の先端23の形状を容易に変更することができる。これにより、これにより、穿刺開口部の大きさを変えること、またはランセットホルダー2の先端23を複数の異なる採取部位に合わせた形状にすることが可能となり、測定に十分な量の血液の採取を適切に行うことができる。
【0071】
図11(A)および
図11(B)は、本発明に係るランセットカートリッジの他の実施形態を示している。ランセットカートリッジA3は、先に説明したランセットカートリッジA1と皮膚接触部71Bを取り外すための構成が異なっている。
【0072】
図11(A)に示すように、ランセットカートリッジA3において、保護キャップ7Bの皮膚接触部71Bは、平面視において第2の穿刺開口部71aを囲むようにしてミシン目71Ba,71Bbによって多重に仕切られた複数の板状部材71Bc,71Bdにより構成されている。ミシン目71Ba,71Bbは、本発明でいう脆弱部の一例に相当する。
図11(A)および
図11(B)に示すように、板状部材71Bc,71Bdは、内側から順に切断可能とされている。先ず、ミシン目71Baに沿って板状部材71Bcを切断し、取り除くことにより、第2の穿刺開口部71aは、第2の穿刺開口部71Beに置き換わる。次に、ミシン目71Bbに沿って板状部材71Bdを切断し、取り除くことにより、第1の穿刺開口部23aが現れる。
【0073】
本実施形態によれば、複数の板状部材71Bc,71Bdを順に取り外すことにより、第2の穿刺開口部71a,71Beを選択することができる。すなわち、穿刺開口部の大きさを段階的に調整することができる。これにより、血液の採取量を細かく調整することができる。
【0074】
図12(A)および
図12(B)は、本発明に係るランセットカートリッジの他の実施形態を示している。ランセットカートリッジA4は、先に説明したランセットカートリッジA1と皮膚接触部71Cを取り外すための構成が異なっている。
【0075】
図12(A)に示すように、ランセットカートリッジA4において、保護キャップ7Cの皮膚接触部71Cは、第2の穿刺開口部71aを中心とする渦巻き状に形成されている。この渦巻きは、ミシン目71Caにより形成されている。渦巻きには、所定の箇所にミシン目71Cb,71Cc,71Cdが形成されている。ランセットカートリッジA4は、ミシン目71Cb,71Cc,71Cdを渦巻きの内側から順に切断することにより、第2の穿刺開口部の大きさを段階的に選択可能に構成されている。なお、ミシン目71Ca,71Cb,71Cc,71Cdは、本発明でいう脆弱部の一例に相当するものである。
図12(A)および
図12(B)に示すように、先ず、ミシン目71Cbからミシン目71Ccまでの断片71Ceを取り外すことにより、第2の穿刺開口部71aは、第2の穿刺開口部71Cgに置き換わる。次に、ミシン目71Cdから皮膚接触部71Cと保護部70との境目に形成されたミシン目(図示略)までの断片71Cfを切断して取り外すと、第1の穿刺開口部23aが現れる。
【0076】
本実施形態によれば、渦巻き部分を中心から順番に取り外すことにより、第2の穿刺開口部の大きさを段階的に調整することができる。これにより、血液の採取量を細かく調整することができる。
【0077】
図13(A)および
図13(B)は、本発明に係るランセットカートリッジの他の実施形態を示している。ランセットカートリッジA5は、先に説明したランセットカートリッジA1と皮膚接触部71Da,71Db,71Dcを取り外すための構成が異なっている。
【0078】
図13(A)に示すように、ランセットカートリッジA5において、複数の皮膚接触部71Da,71Db,71Dcが穿刺方向N1に積層された保護キャップ7Dを備えている。複数の皮膚接触部71Da,71Db,71Dcの第2の穿刺開口部71Dg,71Dh,71Diは先端23側の皮膚接触部ほど小さく形成されている。皮膚接触部71Da,71Db,71Dcは、それぞれの後方側に、V溝71Dd,71De,71Dfを備えている。これらのV溝71Dd,71De,71Dfは、本発明でいう脆弱部の一例に相当するものである。
図13(A)および
図13(B)に示すように、皮膚接触部71Da,71Db,71Dcは、V溝71Dd,71De,71Dfのところで切断することにより、先端側から順に取り外すことができるように構成されている。これにより、ランセットカートリッジA5は、第2の穿刺開口部の大きさを選択可能に構成されている。なお、皮膚接触部71Da,71Db,71Dcは、第2の穿刺開口部71Dg,71Dh,71Diの大きさを異なるものとする代わりに、穿刺部位に合わせた異なる形状を有するように構成してもよい。
【0079】
本実施形態によれば、必要に応じて、複数の皮膚接触部71Da,71Db,71Dcの中からから適切な大きさの第2の穿刺開口部を有するものを選択することができる。これにより、血液の採取量を細かく調整することができる。ランセットホルダー2の先端23の形状を穿刺部位の形状に合わせた形状に変更することができるようにした場合には、複数の異なる採取部位における血液の採取を適切に行うことができるので、測定に十分な血液量を確保することができる。
【0080】
図14は、本発明に係るランセットカートリッジの他の実施形態を示している。ランセットカートリッジA6は、先に説明したランセットカートリッジA1と以下の点が異なっている。すなわち、保護キャップ7に代えて、移動式皮膚接触部材8を備えている。また、スロープ部22Aの構成が異なっている。また、ランセットカートリッジA6は、先端シール材9aおよび後端シール材9bを備えている。一方で、スリット24を備えていない。
【0081】
ランセットカートリッジA6は、ランセットホルダー2の左右の側壁部26の内面に 一対のスロープ部22Aを備えている。スロープ部22Aは、ストッパ部21に続いて、穿刺方向N1に設けられており、スロープ面22Aaを備えている。後述する移動式皮膚接触部材8は、後方から押圧されると、このスロープ面22Aaに沿って移動する。スロープ部22Aの後方部は、後述する移動式皮膚接触部材8のそり部80aを、スロープ面22Aaと底壁部27の間に嵌合可能に構成されている。スロープ部22Aの穿刺方向N1側の部分では、上方向に傾斜している段差22Abが設けられることにより、そり部80aが自由に移動可能に構成されている。
【0082】
移動式皮膚接触部材8は、採血時に、被採血者の皮膚に接触する部分である。移動式皮膚接触部材8は、ランセットホルダー2と異なる着色がなされている。たとえば、移動式皮膚接触部材8は、ピンク色に着色されている。その一方、ランセットホルダー2は薄いグレー色に着色されている。移動式皮膚接触部材8は、ランセットカートリッジA6が未使用時には、ランセットホルダー2の内部に配置されているが、ランセットカートリッジA6が穿刺器具1に装着されると、穿刺方向N1に移動する。これにより、移動式皮膚接触部材8は、外部から視認可能となる。この移動式皮膚接触部材8は、スライド部80と皮膚接触部81とを備えている。
【0083】
スライド部80は、移動式皮膚接触部材8がランセットホルダー2内でスムーズに移動するようにするために設けられている。
図14に示すように、スライド部80は、ランセットホルダー2の底壁部27に平行になるように配置されている板状の部材である。スライド部80の底面が、底壁部27の内面に設けられたレール部29の上をスライドするように構成されている。
【0084】
スライド部80は、両側の側面に、一対のそり部80aを備えている。そり部80aは、移動式皮膚接触部材8がランセットホルダー2内で適切に保持され、スムーズに移動するようにするためのものである。そり部80aは、穿刺器具1の穿刺機構が移動式皮膚接触部材8を穿刺方向N1に押圧するための被押圧部80acを備えている。被押圧部80acが後方から押圧されると、スライド部80および皮膚接触部81が穿刺方向N1に押圧されることになる。そり部80aは、穿刺器具1に装着される前には、スロープ部22Aのスロープ部22Aaと底壁部27の間に嵌合され、ランセットホルダー2の内部に固定されている。ランセットカートリッジA6が穿刺器具1の装着部10に挿入されると、そり部80aの被押圧部80acは後方から押圧され、そり部80aとスロープ面22Aaとの嵌合が解除される。前述したように、スロープ部22Aのスロープ面22Aaには、上方向に傾斜している段差22Abが設けられている。従って、移動式皮膚接触部材8は、この位置まで押圧されると、自由に動くことが可能となる。被押圧部22Aaが、引き続いて押圧されると、移動式皮膚接触部材8は、ランセットカートリッジA6の先端23の位置まで移動する。移動式皮膚接触部材8がランセットカートリッジA6の先端23の位置まで移動すると、後述するように、そり部80aの下テーパ部80acが突起部25と係合する。これにより、移動式皮膚接触部材8は、ランセットカートリッジA6の先端23の位置に止まる。
【0085】
皮膚接触部81は、スライド部80の先端に穿刺方向N1に交差する方向に起立するように設けられている板状部材である。より具体的には、皮膚接触部81は、穿刺方向N1に直交するように設けられている。皮膚接触部81は、移動式皮膚接触部材8が穿刺方向N1に移動すると、第1の穿刺開口部23aに収容されるように構成されている。皮膚接触部81の略中央部には、第2の穿刺開口部81aが設けられている。第2の穿刺開口部81aは、第1の穿刺開口部23aの位置まで移動した際に、穿刺軌道V1が通過する位置に配置されるように構成されている。穿刺部材5の先端部5aは、穿刺軌道V1を穿刺方向N1に向けて移動し、第2の開口部81aから飛び出す。皮膚接触部81において、第2の穿刺開口部81aの周辺部は、平面的に形成されている。もちろん、第2の穿刺開口部81aの周辺部の形状は好適に採血できるものであればどのようなものでもよく、指先、手のひら、前腕、耳たぶ、などの採血部位に合わせて、湾曲した形状に形成してもよい。
【0086】
先端シール材9aは、第1の穿刺開口部23aを塞ぐためのものである。後端シール材9bは、後端開口部20aを塞ぐためのものである。また、ランセットホルダー2には、スリット24が設けられていない。先端シール材9aおよび後端シール材9bは、ランセットカートリッジA6が穿刺器具1に装着される際に、剥がされる。ランセットカートリッジA6では、穿刺部材5の先端部5aがむき出しになっている。これらにより、ランセットホルダー2の内部が密閉されるため、穿刺部材5の先端部5aの滅菌性を維持することができる。
【0087】
次に、ランセットカートリッジA1の動作について、
図15(A)および
図15(B)を参照しつつ説明する。
【0088】
図15(A)に示すように、移動式皮膚接触部材8が穿刺方向N1に押圧されると、皮膚接触部81は、第1の穿刺開口部23aに収容され、第1の穿刺開口部23aを塞ぐ。その際、移動式皮膚接触部材8は、そり部80aの下テーパ部80abが突起部25に係合することにより、ランセットホルダー2から脱落することが防止されている。
【0089】
穿刺部材5の先端部5aが第2の穿刺開口部81aから飛び出すのでは、適切な採血量が得られない場合には、ランセットカートリッジA6を穿刺器具1に装着した状態で、ランセットホルダー2の先端23から移動式皮膚接触部材8を取り外す。具体的には、
図15(B)に示すように、そり部80aの下テーパ部80abと突起部25との係合を外し、移動式皮膚接触部材8をランセットホルダー2から取り除く。こうすることにより、穿刺部材5の先端部5aは、第1の穿刺開口部23aから飛び出すことになる。
【0090】
ランセットカートリッジA6においては、前述したランセットカートリッジA2と同様、移動式皮膚接触部材8に切断可能な脆弱部を形成し、皮膚接触部81を取り外せる構成としてもよい。また、ランセットA3と同様、皮膚接触部81は、平面視において第2の穿刺開口部81aを囲むようにして前記脆弱部によって多重に仕切られた複数の板状部材により構成してもよい。これらの複数の板状部材を内側から順に切断することにより、第2の穿刺開口部81aの大きさを選択することが可能である。
【0091】
また、前述したランセットカートリッジA4と同様、皮膚接触部81は、第2の穿刺開口部81aを中心とする渦巻き状に形成してもよい。この場合、前記渦巻きの所定の箇所に切断可能な脆弱部を形成し、前記脆弱部を前記渦巻きの内側から順に切断することにより、第2の穿刺開口部81aの大きさを選択可能に構成することができる。
【0092】
ランセットカートリッジA6においては、前述のランセットカートリッジA5と同様、皮膚接触部81を穿刺方向N1に複数積層する構成としてもよい。その際、第2の穿刺開口部81aを先端側の皮膚接触部81ほど小さく形成し、先端側の皮膚接触部81から順に取り外すことにより、第2の穿刺開口部81aの大きさを選択可能な構成とすることができる。また、複数積層された各皮膚接触部81が、被採血者の穿刺部位に合わせた異なる形状を有する構成としてもよい。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば、使用時、移動式皮膚接触部材8の皮膚接触部81が第1の穿刺開口部23aを塞ぐように配置される。この皮膚接触部81は、外部から視認するのに十分な大きさを有している。これにより、ランセットカートリッジA6は、使用済みであるか否かを容易に判別することができる。従って、使用済みのランセットカートリッジA6の再使用を容易に防止することができる。
【0094】
ランセットカートリッジA6において、皮膚接触部81は、使用する際に初めて、被採血者の皮膚に押し当てられる先端23に移動するので、未使用時に汚染される可能性が少ない。よって、ランセットカートリッジA6は、衛生を保つ上で有利である。
【0095】
ランセットカートリッジA6において、移動式皮膚接触部材8はランセットホルダー2と異なる着色がなされているので、使用済みであるか否かの判別がより容易となる。
【0096】
ランセットカートリッジA6は、移動式皮膚接触部材8をランセットホルダー2から取り外し可能とされている。従って、被採血者の皮膚に押し当てられるランセットホルダー2の先端23の形状を容易に変更することができる。これにより、複数の異なる採取部位における血液の採取を適切に行うことが可能であり、測定に十分な血液量を確保することができる。また、移動式皮膚接触部材8が取り外された場合、穿刺部材5の先端部5aは、第1の穿刺開口部23aから飛び出すように構成されている。たとえば、第1の穿刺開口部23aは、第2の穿刺開口部81aよりも相対的に大きく形成されている。よって、第1の穿刺開口部23aは、第2の穿刺開口部81aよりも、被採血者の皮膚をランセットホルダー2の内部に深く入り込ませることができる。これにより穿刺部材5の先端部5aは、皮膚をより深く穿刺し、第2の穿刺開口部81aを用いるよりも大量の血液を採取することができる。このように、第1の穿刺開口部23aと第2の穿刺開口部81aとを必要に応じて選択することにより、測定に十分な血液量を確保することができる。従って、ランセットカートリッジA6は、穿刺器具1が穿刺深さを調整するための機構を有していたとしても、それでは調整しきれない場合に、採血量の調整をすることが可能である。
【0097】
本発明は、上述した実施の形態の内容に限定されない。本発明に係るランセットカートリッジの具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0098】
本発明に係るランセットカートリッジを用いて採取できる体液は血液に限らない。本発明に係るランセットカートリッジは、間質液など、他の体液を採取する場合にも適用することができる。