特許第5930733号(P5930733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機ホーム機器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5930733-加熱調理器 図000002
  • 特許5930733-加熱調理器 図000003
  • 特許5930733-加熱調理器 図000004
  • 特許5930733-加熱調理器 図000005
  • 特許5930733-加熱調理器 図000006
  • 特許5930733-加熱調理器 図000007
  • 特許5930733-加熱調理器 図000008
  • 特許5930733-加熱調理器 図000009
  • 特許5930733-加熱調理器 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930733
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/10 20060101AFI20160526BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   F24C15/10 B
   F24C7/04 301A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-13991(P2012-13991)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-152061(P2013-152061A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(74)【代理人】
【識別番号】100166350
【弁理士】
【氏名又は名称】小銭 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊博
(72)【発明者】
【氏名】須永 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】石井 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 義博
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−135984(JP,A)
【文献】 特開2010−000379(JP,A)
【文献】 特開2003−133042(JP,A)
【文献】 特開昭62−113380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/10
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に設けられた加熱手段と、
前記加熱手段に対応する位置に形成された開口部を有し、前記本体の上面開口を覆うトップフレームと、
前記トップフレームに形成された前記開口部内に着脱可能に設置されるプレートユニットとを備え、
前記トップフレームは、
前記開口部に連なって下方向に延びる周壁と、
前記周壁の内面の少なくとも一部が、下側に対して上側の方が径方向内側に突出するように形成されたことにより、前記周壁内から前記プレートユニットが抜けるのを規制する抜け止め構造とを備え
前記プレートユニットは、
被加熱物が載置されるプレートと、
弾性を有し、前記プレートの少なくとも外周を囲うプレート保持体とを備え、
前記プレート保持体は、前記プレートと前記トップフレームの前記周壁との間に介在して前記抜け止め構造に係止される
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記トップフレームの前記周壁に連なり、前記開口部と対向し前記プレートユニットの面積よりも開口面積の小さい支持部開口部が形成され、前記プレートユニットを下側から支持するプレート支持部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記プレート保持体は、前記プレートの上面を覆う上面被覆部を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記プレートユニットを介して赤外線を受光可能な赤外線センサと、
前記赤外線センサが受光した赤外線量に基づいて前記プレートユニットが前記開口部に設置されているか否かを検出するプレート検知部とを備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記プレート検知部により前記プレートユニットが設置されていないと検出された場合には、前記加熱手段は、加熱動作を行わない
ことを特徴とする請求項記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記プレート検知部による検知結果を報知する報知部を備えた
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体上面に配置された被加熱物を本体内に設けられた加熱手段により加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器の本体の上面に設けられたトッププレートと、本体内に設けられた加熱手段とを備え、トッププレート上に載置される被加熱物を加熱手段により加熱する加熱調理器がある。この種の加熱調理器のトッププレートは、鍋などの被加熱物が載置されるものであることからフラットな表面が求められ、また、外観や清掃の容易さも求められるため、本体上面の一面を覆うガラスプレートによってトッププレートを構成したものが知られている。ところが、加熱調理器であることからトッププレートには高耐熱性能も必要とされるので、トッププレートは、熱処理ガラスの中でも特殊な結晶化ガラスを用いて構成されるのが一般的である。このため、トッププレートを構成するガラスを製造するための材料や特殊加工を行うための加工業者が限定され、高コスト化や供給面での不安定さといった課題が生じうる。
【0003】
このような事項を背景として、「本体の上面に設けられ前記複数の加熱手段の夫々に対応する位置に孔部を有するトッププレートと、前記孔部を覆う加熱プレートとを備え、前記加熱プレートを前記トッププレートの下方より前記孔部に固定する構成とした」加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、トッププレートに加熱プレートを取り付けるための構成として、「シリコン接着剤などシール部材」や、「固定金具20、プレート取付金具21および締結具としてのビス22からなる結合部材23」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−317416号公報(第3頁〜第5頁、図3図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のようにシリコン接着剤などのシール部材で加熱プレートをトップフレーム(トッププレート)に接着した場合、廃棄や修理時にトップフレームと加熱プレートが分別廃棄できない。このため、トップフレームや加熱プレートの再利用が困難であって環境負荷を増大させるという課題があった。
【0006】
また、特許文献1にはビスを用いた結合部材で加熱プレートをトップフレームに取り付ける旨の記載があり、この場合には廃棄時に材料分別を行うことができるかもしれないが、加熱プレートが破損して加熱プレートのみを交換したい場合には、キッチンからトップフレームを外すという大がかりな作業が必要であり、保守交換作業が困難であるという課題があった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を背景としてなされたものであり、トップフレームと加熱プレートの分別廃棄や、加熱プレートの交換等の保守が容易な加熱調理器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、本体内に設けられた加熱手段と、前記加熱手段に対応する位置に形成された開口部を有し、前記本体の上面開口を覆うトップフレームと、前記トップフレームに形成された前記開口部内に着脱可能に設置されるプレートユニットとを備え、前記トップフレームは、前記開口部に連なって下方向に延びる周壁と、前記周壁の内面の少なくとも一部が、下側に対して上側の方が径方向内側に突出するように形成されたことにより、前記周壁内から前記プレートユニットが抜けるのを規制する抜け止め構造とを備え、前記プレートユニットは、被加熱物が載置されるプレートと、弾性を有し、前記プレートの少なくとも外周を囲うプレート保持体とを備え、前記プレート保持体は、前記プレートと前記トップフレームの前記周壁との間に介在して前記抜け止め構造に係止されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加熱プレートを接着剤を使わずにトップフレームに着脱可能に取り付けることができるので、トップフレームと加熱プレートの分別廃棄や加熱プレートの保守を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
図2】実施の形態1に係る加熱調理器の加熱ユニット近傍の要部断面模式図である。
図3】実施の形態1に係る加熱調理器の主要部の機能ブロック図である。
図4】実施の形態1に係る加熱調理器の主要部の分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係る加熱調理器のトップフレームとプレートユニットを説明する図である。
図6】実施の形態1に係る加熱調理器のトップフレームを説明する図である。
図7】実施の形態1に係る加熱調理器のプレートユニットを説明する図である。
図8】実施の形態2に係る加熱調理器のトップフレームとプレートユニットを説明する図である。
図9】実施の形態2に係る加熱調理器のプレートユニットを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る加熱調理器を、誘導加熱による調理鍋載置部を左右手前に二口と中央奥側に一口設けた、ビルトイン型(組込み型)IHクッキングヒータに適用した場合を例に説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
なお、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。
【0013】
加熱調理器100は、流し台等の厨房家具に形成された設置口に設置される、いわゆるビルトイン型の加熱調理器である。加熱調理器100は、上面を開口したほぼ直方体の本体1と、本体1の上面開口の上側に設けられたトップフレーム2と、本体1の内部に設けられた箱形のグリル加熱室3とを備える。また、加熱調理器100は、トップフレーム2の上側に載置された鍋などの被加熱物を加熱するための加熱口として、加熱口4a、4b、4c(以下、加熱口4と総称する場合がある)を備える。各加熱口4には、それぞれ、プレートユニット10a、10b、10c(以下、プレートユニット10と総称する場合がある)が設けられ、プレートユニット10の下側であって本体1の内部には、加熱源である加熱ユニット6a、6b、6c(以下、加熱ユニット6と総称する場合がある)が設けられている。また、トップフレーム2の手前側及び本体1の前面側には、使用者からの操作を受けてその操作に応じた信号を出力する操作部7が設けられ、トップフレーム2の手前側には、加熱条件や動作状態などを表示する表示部8が設けられている。
【0014】
なお、本実施の形態1の加熱調理器100の加熱口4a、4b、4cにそれぞれ設けられた加熱ユニット6a、6b、6c、及びプレートユニット10a、10b、10c等の構成は、基本的に同様の構成であるので、以下では、それぞれを区別せずに説明する。
【0015】
トップフレーム2は、全体が例えばステンレス鋼や、表面に琺瑯加工やフッ素加工が施された金属材料等で構成されており、後側に吸排気口21が開口している。吸排気口21は、本体1内に空気を取り込むとともに本体1外へ空気を排出するために本体1に設けられた本体吸排気口(図示せず)と連通している。吸排気口21の上側には、多数の小さな連通孔が形成された吸排気口カバー22が着脱自在に載置されている。この吸排気口カバー22により、吸排気口21への異物の侵入が抑制される。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器の加熱ユニット近傍の要部断面模式図である。
加熱ユニット6は、本実施の形態では、プレートユニット10の上側に載置される鍋等の被加熱物を電磁誘導により加熱する加熱手段である。加熱ユニット6は、環状の加熱コイル61と、加熱コイル61を支持するコイル支持台62と、コイル支持台62を下側から支持して加熱コイル61と加熱プレート11との距離を所定距離に保つための支持部材63と、フェライト64とを備える。本実施の形態では、支持部材63は圧縮バネであり、この圧縮バネがコイル支持台62を上方に押し上げて加熱プレート11の下面に接触させることで、加熱コイル61と加熱プレート11下面との距離を所定距離に保っている。なお、支持部材63の具体的構成はこれに限定されない。フェライト64は、加熱コイル61から発振される磁束の漏れを抑制するための防磁部材であり、コイル支持台62の下側に取り付けられている。
【0017】
加熱コイル61の近傍には、鍋等の被加熱物の温度を検出するための温度センサとして、赤外線センサ5が設けられている。赤外線センサ5は、被加熱物から放射される赤外線を加熱プレート11を介して受光可能であり、受光した赤外線量に応じた信号を出力する。
【0018】
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器の主要部の機能ブロック図である。
加熱調理器100の全体的な動作制御を司る制御手段9は、図3では、全体的な動作制御を行う制御部91と、各加熱口4に載置される鍋の温度を検知する鍋温度検知部92と、プレート検知部93とに機能的に分けて記載されている。
【0019】
鍋温度検知部92は、赤外線センサ5から出力される信号に基づいて、被加熱物の温度を算出する。
【0020】
プレート検知部93は、赤外線センサ5から出力される信号に基づいて、プレートユニット10の有無を検知する。具体的には、例えば、プレートユニット10が設置されていない場合にはほぼ自然光や照明光に由来する赤外線が赤外線センサ5に受光されることを利用し、この場合の赤外線量を予め閾値として保持しておくとともに、電源オンや加熱開始指示のタイミングで赤外線センサ5が受光した赤外線量と閾値とを比較することで、プレートユニット10が設置されているか否かを検出する。このようにすることで、鍋などの被加熱物の温度を検出するための赤外線センサ5を利用して、プレートユニット10が設置されているかを検出することができる。プレートユニット10の有無を検出するために、専用のセンサ等を別途設ける必要がないので、製造コストを増加させることもない。
【0021】
制御部91は、操作部7から出力される加熱条件、加熱開始、加熱停止等の信号を取得すると、その信号及び鍋温度検知部92により検知された被加熱物の温度に基づいて、加熱コイル61に高周波電力を供給するインバータ回路65を駆動制御する。加熱コイル61に高周波電流が供給されると、加熱コイル61から誘導磁界が発せられ、加熱プレート11の上側に載置された被加熱物が誘導加熱される。また、制御部91は、各加熱ユニット6による加熱状態や使用者に対する注意喚起等の情報を、表示部8に表示させる。また、制御部91は、プレート検知部93により検知されるプレートユニット10の有無に関する情報を、表示部8に表示させる。
【0022】
なお、制御手段9は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。また、図3では、制御手段9の機能を、制御部91と、鍋温度検知部92と、プレート検知部93とに概念的に分けて記載しているが、制御手段9は必ずしも物理的に図3に記載のように構成されていることを要しない。すなわち、これらの構成の機能を実現できるものであれば、具体的な装置の分散・統合に関する具体的形態は図示のものに限定されない。
【0023】
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器の主要部の分解斜視図である。図5は、実施の形態1に係る加熱調理器のトップフレームとプレートユニットを説明する図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)は図5(a)のA−A線断面模式図である。図6は、実施の形態1に係る加熱調理器のトップフレームを説明する図であり、図6(a)は斜視図、図6(b)は図6(a)のB−B線断面模式図である。図7は、実施の形態1に係る加熱調理器のプレートユニットを説明する図であり、図7(a)は分解斜視図、図7(b)は断面模式図である。
【0024】
トップフレーム2には、各加熱口4に対応する位置に、略円形の開口部23a、23b、23c(以下、開口部23と総称する場合がある)が形成されている。また、トップフレーム2には、それぞれの開口部23に連なって下方向に延びる周壁24が設けられており、各開口部23の周壁24の内側には、それぞれ、略円盤形状の外形を有するプレートユニット10a、10b、10cが設置される。各プレートユニット10の下側であって本体1の内部には、それぞれ、加熱ユニット6が設けられている(図2参照)。
【0025】
図6(b)に示すように、開口部23に連なる周壁24には、高さ方向に段差が形成されている。より具体的には、周壁24の断面形状は、上面側に設けられ径方向内側に突出する凸部25と、凸部25の下側に設けられ径方向外側に凹んだ凹部26からなる凹凸形状で構成されている。本実施の形態1では、周壁24に形成された凸部25及び凹部26が、プレートユニット10が周壁24から抜けるのを規制する抜け止め構造として機能する。
【0026】
トップフレーム2において、各周壁24の凹部26の下側には、それぞれ、プレートユニット10を下側から支持するためのプレート支持部27a、27b、27c(以下、プレート支持部27と総称する場合がある)が設けられている。プレート支持部27の上面は、トップフレーム2の上面よりも低く、トップフレーム2を断面的に見ると、プレート支持部27の上面とトップフレーム2の上面との間には、上下方向の段差が形成されている。プレート支持部27は、本実施の形態1では、周壁24の内周全周から径方向内側に向かって延びる環状の平板形状である。プレート支持部27の略中央には、開口部23に対向するようにして、プレートユニット10の面積よりも開口面積の小さい支持部開口部28が形成されている。このプレート支持部27の上面に、プレートユニット10が載置されるが、プレート支持部27に形成された支持部開口部28は、プレートユニット10の面積よりも開口面積が小さいため、プレートユニット10が落下することもない。
【0027】
プレートユニット10は、鍋などの被加熱物を載置するためのものであり、加熱プレート11と、加熱プレート11の外周部を囲うプレート保持体12とを有する。
加熱プレート11は、略円形の平板状の部材であり、耐熱性を有する材料、例えば耐熱性の結晶化ガラスやセラミックスで構成されている。
【0028】
プレート保持体12は、図7に示すように、シリコン、フッ素、またはそれらの複合材料などの弾性部材で構成された略環状の部材であり、加熱プレート11の外周端及び加熱プレート11の底面外周縁に密着して当該部分を覆う。また、プレート保持体12の外周部の下側には、径方向外側に突出する鍔状部13が設けられている。鍔状部13は、開口部23の凹部26に嵌入可能な形状を有している。
【0029】
プレートユニット10が開口部23に嵌め込まれた状態においては、図5に示すように、プレート保持体12が、開口部23の周壁24の内面及びプレート支持部27の上面にやや押し付けられた状態で密着する。加熱プレート11と開口部23との間に、プレート保持体12が密着状態で介在し、加熱プレート11とトップフレーム2との間が水密状態に保持されるので、トップフレーム2や加熱プレート11の上側から両者の隙間への液体等の侵入が抑制される。
【0030】
次に、以上のように構成された加熱調理器100の動作、作用を説明する。
【0031】
操作部7にて電源がオンされると、あるいはいずれかの加熱口4に対して加熱開始の指示がなされると、制御手段9のプレート検知部93は、赤外線センサ5が検出した赤外線量に基づいてプレートユニット10が設置されているか否かを検出する。そして、プレートユニット10が設置されていない場合には、表示部8にてその旨を報知するとともに少なくとも当該加熱口4での加熱を行わない。一方、プレートユニット10が設置されている場合には、操作部7にて当該加熱口4における加熱開始が指示されると、制御手段9は、当該加熱口4の加熱コイル61に対応するインバータ回路65を駆動して、加熱コイル61に高周波電流を流す。これにより、プレートユニット10の上に載置された被加熱物が電磁誘導により加熱される。
【0032】
加熱プレート11及びプレート保持体12の上面とトップフレーム2の上面は、ほぼ同一面状に構成されていて凹凸がなく平らな状態である。このため、鍋などの被加熱物から吹きこぼれが生じた場合でも掃除しやすい。なお、加熱プレート11及びトップフレーム2の上面に対し、プレート保持体12の上面を凹ませて(低くして)もよい。このようにすることで、載置した鍋などの被加熱物の底面と弾性部材からなるプレート保持体12の上面とが接しないため、被加熱物を滑らせるように移動させたときにプレート保持体12に引っかかることがなく、使い勝手がよい。
【0033】
また、本実施の形態1では、開口部23に連なる周壁24の内面の一部を、下側に設けた凹部26に対して上側に設けた凸部25の方が径方向内側に突出するように形成することによって、プレートユニット10の抜け止め構造を構成した。そして、プレート保持体12の外周に設けられた鍔状部13が開口部23の凹部26に嵌入されて凹部26に係止される構成とした。このため、接着剤を使用しなくてもプレートユニット10をトップフレーム2の開口部23内に設置することができる。なお、本実施の形態1では、開口部23に連なる周壁24に一対の凸部25と凹部26を設けた例を示したが、開口部23内に設置されたプレートユニット10の抜け止め構造として機能することができるものであれば、多数の凹凸を形成してもよいし、周壁24を上面側に近づくほど開口径が小さくなるテーパー状に構成してもよい。
【0034】
また、本実施の形態1では、高価な材料で構成される加熱プレート11は、被加熱物を載置するのに必要な面積だけでよいので、本体1の上面全体を覆う従来のトッププレートと比較して小型であり、加熱プレート11はトップフレーム2に対して着脱可能である。このため、加熱調理器100を使用中に加熱プレート11が割れたり劣化したりした場合には、加熱プレート11のみを交換して加熱調理器100を使用することができる。加熱プレート11は小型であるので、交換作業の負担も軽減することができる。
【0035】
また、プレートユニット10は、上述のように開口部23から容易には取り外しできない構造であるものの、接着剤等でトップフレーム2に固着されていないため、吸盤等の専用の器具を使用することでプレートユニット10を開口部23から取り外すことが可能である。したがって、プレートユニット10が劣化・破損した場合には、メンテナンス担当者が吸盤等の専用の器具を使用してプレートユニット10のみ交換することが可能であり、修理費用を抑制することができる。また、加熱調理器100を廃棄する際には、プレートユニット10を取り外して分別廃棄が可能であるので、トップフレーム2や加熱プレート11、プレート保持体12の再利用が容易であり、環境負荷を軽減することができる。
【0036】
また、上述のように加熱プレート11の上面とトップフレーム2の上面は平らに形成されているので、例えば使用者が上側からプレートユニット10を取り外そうとしても指をかけにくい。さらに、上述のようにプレートユニット10は、トップフレーム2の周壁24に形成された抜け止め構造によってトップフレーム2からの抜けが規制されている。このため、プレートユニット10が使用者によってみだりに取り外されるのを防ぐことができ、加熱ユニット6の露出を抑制することができる。
【0037】
また、本実施の形態1によれば、高価な材料で構成される加熱プレート11の面積は、被加熱物を載置するのに最低限必要な面積だけでよいので、トッププレート全体を特殊な結晶化ガラスで構成した従来の誘導加熱調理器と比較して、製造コストを低減させることができる。また、加熱プレート11のサイズが小さいので、製造時の破損や反りも生じにくく、歩留まりを向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態1の加熱調理器100は、プレートユニット10の有無を検知し、プレートユニット10が設置されていない場合には、制御部91は少なくとも当該加熱口4の加熱ユニット6で加熱を行わない。このため、露出した状態の加熱ユニット6で加熱を行うこともなく、安全性を高めることができる。
また、本実施の形態1の加熱調理器100は、赤外線センサ5が検知した赤外線量に基づいて、プレートユニット10の有無を検知する。そして、プレートユニット10が設置されていない場合には、その旨を表示部8に表示して使用者に報知する。このようにすることで、プレートユニット10の設置忘れを使用者やメンテナンス担当者に知らせて、プレートユニット10の設置を促すことができる。なお、表示部8による表示に代えて、あるいはこれに加えて、ブザーやスピーカー等を用いた音声による報知を行ってもよく、同様の効果を得ることができる。
【0039】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る加熱調理器のトップフレームとプレートユニットを説明する図であり、図8(a)は斜視図、図8(b)は図8(a)のC−C線断面模式図である。図9は、実施の形態2に係る加熱調理器のプレートユニットを説明する図であり、図9(a)は分解斜視図、図9(b)は断面模式図である。本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付す。
【0040】
前述の実施の形態1のプレート保持体12は、加熱プレート11の外周端及び加熱プレート11の底面外周縁を覆う構成であったが、本実施の形態2のプレート保持体12Aは、図8に示すように、加熱プレート11の上面を覆う上面被覆部14をさらに備えている。上面被覆部14は、プレート保持体12Aと同様の材料にて一体成形することができる。なお、実施の形態1と同様に被加熱物の温度を検出するための赤外線センサ5を設ける場合には、上面被覆部14の全部、あるいは赤外線センサ5の受光経路に該当する領域を、赤外線が透過可能な材料で構成する。また、加熱プレート11の上面を覆う上面被覆部14の上面とトップフレーム2の上面は、ほぼ同一面状に構成されて凹凸がなく平らな状態である。
【0041】
このように、本実施の形態2では、プレート保持体12Aが加熱プレート11を覆うので、実施の形態1で説明した作用に加え、加熱プレート11への汚れの付着やこびりつきを防ぐことができ、加熱プレート11を長期間使用することができるという効果を得ることができる。また、例えばプレート保持体12Aが劣化したり汚れたりした場合には、プレート保持体12Aのみを交換すればよいので、比較的高価な材料で構成される加熱プレート11の交換頻度を抑えることができ、メンテナンス費用を低減させることができる。
【0042】
なお、上述の実施の形態1、2では、加熱プレートとプレート保持体とが着脱可能なものとして説明したが、加熱プレートとプレート保持体とが溶着等により一体化されていてもよい。
【0043】
また、上述の説明ではビルトイン型の加熱調理器を例に説明したが、据え置き型の加熱調理器に本発明を適用することもできる。また、上述の説明では、各加熱口の加熱源が誘導加熱により加熱を行う加熱コイルであるものとして説明したが、複数の加熱口のうちいずれかまたは複数の加熱源を、例えばラジエントヒータ等の電気ヒータとしてもよく、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 本体、2 トップフレーム、3 グリル加熱室、4 加熱口、5 赤外線センサ、6 加熱ユニット、7 操作部、8 表示部、9 制御手段、10 プレートユニット、11 加熱プレート、12 プレート保持体、12A プレート保持体、13 鍔状部、14 上面被覆部、21 吸排気口、22 吸排気口カバー、23 開口部、24 周壁、25 凸部、26 凹部、27 プレート支持部、28 支持部開口部、61 加熱コイル、62 コイル支持台、63 支持部材、64 フェライト、65 インバータ回路、91 制御部、92 鍋温度検知部、93 プレート検知部、100 加熱調理器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9