特許第5930774号(P5930774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930774
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/02 20060101AFI20160526BHJP
   H01H 23/30 20060101ALI20160526BHJP
   H01H 23/16 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   H01H23/02 C
   H01H23/30
   H01H23/02 A
   H01H23/16 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-46334(P2012-46334)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-182802(P2013-182802A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】森 幸治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄一
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−188642(JP,U)
【文献】 特開平11−111117(JP,A)
【文献】 特開2006−185732(JP,A)
【文献】 特開2006−302586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/00−23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ノブと、
前記操作ノブを揺動可能に支持する支持軸と、
前記操作ノブに下方へ突出するように設けられたレバーと、
前記操作ノブの下方に設けられた固定接点と、
前記レバーと係合する回転部材と、
前記回転部材を前記固定接点の設置面と平行に回転可能に支持する軸部と、
前記回転部材に設けられた可動接点と、を備え、
前記操作ノブの、前記支持軸の中心軸と直交する揺動面は、前記固定接点の設置面に対して垂直であり、
前記軸部は、前記支持軸の中心軸に対して垂直方向に延びており、
前記操作ノブを揺動操作することにより、前記レバーが前記回転部材を前記操作ノブの揺動面に対して垂直な回転面で回転させて、前記可動接点が前記固定接点に対して接離し、
前記軸部から前記レバーと前記回転部材の係合部分までの距離より、前記軸部から前記可動接点までの距離の方を長くした、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記レバーの下端に凹部が設けられており、
前記回転部材に前記凹部と係合する凸部が設けられており、
前記凸部は、前記支持軸の中心軸に対して垂直方向に突出している、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、
上端に開口を有し、当該開口を塞ぐように前記操作ノブが揺動可能に支持される筒をさらに備え、
前記軸部は、前記筒の内側にあって前記操作ノブの直下に設けられ、
前記回転部材は、前記軸部の径方向に突出する突出部を有し、
前記可動接点は、前記突出部に設けられている、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれかに記載のスイッチ装置において、
前記固定接点が実装された基板と、
前記回転部材と前記基板とを導通させる常閉接点と、を備え、
前記固定接点は、
前記回転部材の一方向への回転時に、前記可動接点が接する第1の固定接点と、
前記回転部材の他方向への回転時に、前記可動接点が接する第2の固定接点とを含む、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項に記載のスイッチ装置において、
前記固定接点は、さらに、
前記回転部材の一方向への回転時に、前記可動接点が前記第1の固定接点の後に接する第3の固定接点と、
前記回転部材の他方向への回転時に、前記可動接点が前記第2の固定接点の後に接する第4の固定接点とを含む、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
請求項または請求項に記載のスイッチ装置において、
前記常閉接点は、前記軸部の直下に設けられている、ことを特徴とするスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブを操作することにより接点が開閉するスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
操作ノブを備えたスイッチ装置では、操作ノブを操作することにより、接点の開閉状態が切り替わる。
【0003】
たとえば、特許文献1および特許文献2に開示されているようなスイッチ装置では、操作ノブを軸で揺動可能に支持し、操作ノブに下方へ突出するレバーを設けている。操作ノブの下方には、基板が設けられ、基板上には、固定接点が設けられ、スライダが配置されている。スライダには、レバーの下端部が係合され、可動接点を有する板ばねが設けられている。操作ノブを揺動操作することにより、レバーがスライダを直線移動させて、可動接点が基板上の固定接点に対して接離(開閉)する。
【0004】
また、たとえば、特許文献3に開示されているようなスイッチ装置では、操作ノブに設けたレバーの下端部が、回転スライダと係合している。回転スライダは、回動軸から離間した位置に、ばねとボールから成る一対の押圧手段を備えている。回転スライダのレバーと反対側には、可動接点を有する一対の揺動接片が設けられ、各揺動接片の中央は電極で支持されている。その各電極の両側には、それぞれ固定接点が設けられている。操作ノブを揺動操作することにより、レバーが回転スライダを回動させるため、ボールが揺動接片上を転動し、揺動接片が揺動して、可動接点が固定接点に対して接離する。
【0005】
これら従来の構造では、各部の寸法や組み付け精度のばらつきの影響を受けずに、接点を確実に開閉させるために、接点の間隔や、スライダおよび可動接点の移動量をある程度大きくする必要がある。しかし、それに伴って、レバーの長さや、操作ノブと固定接点の距離をある程度長くする必要があり、スイッチ装置が高さ方向に大型化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−75128号公報
【特許文献2】特開平9−204842号公報
【特許文献3】特開2010−165530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、各部のばらつきの影響を受けずに接点を確実に開閉させつつ、小型化を図ることができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるスイッチ装置は、操作ノブと、操作ノブを揺動可能に支持する支持軸と、操作ノブに下方へ突出するように設けられたレバーと、操作ノブの下方に設けられた固定接点と、レバーと係合する回転部材と、回転部材を固定接点の設置面と平行に回転可能に支持する軸部と、回転部材に設けられた可動接点とを備える。操作ノブの、支持軸の中心軸と直交する揺動面は、固定接点の設置面に対して垂直であり、軸部は、支持軸の中心軸に対して垂直方向に延びている。操作ノブを揺動操作することにより、レバーが回転部材を操作ノブの揺動面に対して垂直な回転面で回転させて、可動接点が固定接点に対して接離する。軸部からレバーと回転部材の係合部分までの距離より、軸部から可動接点までの距離の方を長くしている。
【0009】
上記によると、操作ノブの揺動が回転部材の回転に変換されて、可動接点と固定接点が開閉される。また、レバーと回転部材の係合部分より可動接点の方が、軸部からの距離が長いので、レバーの長さや操作ノブと固定接点の距離を短く抑えつつ、接点の間隔や可動接点の移動量を大きくすることができる。よって、各部の寸法や組み付け精度のばらつきの影響を受けずに、接点を確実に開閉させつつ、スイッチ装置の高さ方向の小型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、レバーの下端に凹部が設けられ、回転部材にこの凹部と係合する凸部が設けられ、凸部は、操作ノブの支持軸の中心軸に対して垂直方向に突出していてもよい
【0011】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、上端に開口を有し、当該開口を塞ぐように操作ノブが揺動可能に支持される筒をさらに備え、軸部は、筒の内側にあって操作ノブの直下に設けられ、回転部材は、軸部の径方向に突出する突出部を有し、可動接点は、突出部に設けられていてもよい。
【0013】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、さらに、固定接点が実装された基板と、回転部材と基板とを導通させる常閉接点とを備え、固定接点は、回転部材の一方向への回転時に、可動接点が接する第1の固定接点と、回転部材の他方向への回転時に、可動接点が接する第2の固定接点とを含んでいてもよい。
【0014】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、固定接点は、さらに、回転部材の一方向への回転時に、可動接点が第1の固定接点の後に接する第3の固定接点と、回転部材の他方向への回転時に、可動接点が第2の固定接点の後に接する第4の固定接点とを含んでいてもよい。
【0015】
さらに、本発明では、上記スイッチ装置において、常閉接点は、軸部の直下に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各部のばらつきの影響を受けずに接点を確実に開閉させつつ、小型化を図れるスイッチ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態によるスイッチ装置の分解斜視図である。
図2図1のスイッチ装置の組立斜視図である。
図3図1のスイッチ装置の上面図である。
図4図1のスイッチ装置の側面図である。
図5図4のY−Y断面図である。
図6図1のスイッチ装置の操作ノブの内側を示した斜視図である。
図7図1のスイッチ装置のストライカの斜視図である。
図8図1のスイッチ装置の内側を示した斜視図である。
図9図3のX−X断面図である。
図10図1のスイッチ装置の接点の開閉状態を示した図である。
図11】他の実施形態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0019】
図1図4に示す、本発明の実施形態によるスイッチ装置100は、自動車のパワーウインドウシステムで用いられ、たとえば、助手席のドアに設置されたアームレスト(図示省略)に取り付けられる。スイッチ装置100には、ウインドウスイッチWとドアロックスイッチDとが設けられている。
【0020】
スイッチ装置100の容器10は、図1に示すように、ケース10aとカバー10bから構成されている。ケース10aの下側は開口していて、カバー10bを嵌め合わせることにより塞がれる。容器10内には、基板11、ライトガイド12、およびストライカ5が収納される。
【0021】
容器10の上部には、矩形枠状の筒2、22がケース10aと一体で設けられている。筒22には、ドアロックスイッチDの操作ノブ21が取り付けられる。詳しくは、筒22の外側面に設けられた各支持軸22j(図1図3)を、操作ノブ21の側面に設けられた各孔21g(図1図2、および図4)に嵌め込む。すると、図1図4に示すように、操作ノブ21が、筒22の上端の開口を塞ぎ、筒22に支持軸22jで揺動可能に支持される。
【0022】
筒2には、ウインドウスイッチWの操作ノブ1が取り付けられる。詳しくは、筒2の内側面に設けられた各支持軸2j(図1および図5)を、操作ノブ1の内側に設けられた各孔1g(図5および図6)に嵌め込む。すると、図2図3図5、および図9などに示すように、操作ノブ1が、筒2の上端の開口2aを塞ぎ、筒2に支持軸2jで揺動可能に支持される。筒2およびケース10aは、本発明の「支持部材」の一例である。
【0023】
操作ノブ1の揺動面(図9では、軸2jの中心軸と直交する面)に対して垂直な、筒2の両方の側壁2f、2b側には、プランジャ3がそれぞれ設けられている。各プランジャ3は、合成樹脂で形成されていて、筒2の側壁2f、2bの横幅に渡る幅を有している。すなわち、各プランジャ3の横幅は、側壁2f、2bの横幅以上になっている。
【0024】
筒2の側壁2f、2bには、図1に示すように、横幅に渡って溝2kが設けられている。各溝2k内にコイルばね4とともにプランジャ3を挿入してから、前述したように筒2に操作ノブ1を取り付ける。すると、図9に示すように、各プランジャ3が、コイルばね4の弾性力により、筒2の側壁2f、2bから突出して、該側壁2f、2bに対向する操作ノブ1の側壁1f、1bに、横幅に渡って線状に弾性接触する。
【0025】
このようなプランジャ3と側壁1f、1bとの接触状態は、図9(a)〜(e)に示すように、操作ノブ1の揺動状態に関わらず保持される。このため、スイッチ装置100が水を浴びても、操作ノブ1の側壁1f、1bと筒2の側壁2f、2bとの間を通って、筒2の上端の開口2aへ到る水の浸入が、プランジャ3により遮断される。つまり、各プランジャ3は遮水壁として機能する。
【0026】
図9に示すように、操作ノブ1の側壁1f、1bには、節度部1sがそれぞれ設けられている。節度部1sは、谷部1r、1vと山状の傾斜部1p、1qとで構成されている。操作ノブ1の揺動に伴って、プランジャ3と節度部1sとが擦れることにより、節度感(クリック感)が生じる。つまり、各プランジャ3は、節度子としても機能する。
【0027】
詳しくは、図9(a)に示すように、操作ノブ1が中立状態にあるときは、各プランジャ3の先端が各節度部1sの谷部1rに係合している。この中立状態から、操作ノブ1の前頭部1aを押し下げて、図9(b)に示すように、操作ノブ1を前方Fへ小さな角度(たとえば、7°)で傾くように揺動操作する。すると、側壁2f、1f間のプランジャ3の先端が節度部1sの傾斜部1pに係合して、節度感が生じる。
【0028】
さらに、操作ノブ1の前頭部1aを押し下げて、図9(c)に示すように、操作ノブ1を前方Fへ大きな角度(たとえば、12°)で傾くように揺動操作する。すると、側壁2f、1f間のプランジャ3の先端が節度部1sの谷部1vを越えて傾斜部1qに係合して、節度感が生じる。
【0029】
また、中立状態から、操作ノブ1の前頭部1aを引き上げて、図9(d)に示すように、操作ノブ1を後方Bへ小さな角度(たとえば、7°)で傾くように揺動操作する。すると、側壁2b、1b間のプランジャ3の先端が節度部1sの傾斜部1pに係合して、節度感が生じる。
【0030】
さらに、操作ノブ1の前頭部1aを引き上げて、図9(e)に示すように、操作ノブ1を後方Bへ大きな角度(たとえば、12°)で傾くように揺動操作する。すると、側壁2b、1b間のプランジャ3の先端が節度部1sの谷部1vを越えて傾斜部1qに係合して、節度感が生じる。
【0031】
操作ノブ1の操作を解除すると、コイルばね4の弾性力により、プランジャ3が節度部1sを摺動して、谷部1rに係合し、操作ノブ1が図9(a)に示す中立状態に復帰する。
【0032】
操作ノブ1の揺動面に対して平行な筒2の側壁2m、2hの外側面には、図1および図5に示すように、横幅に渡って凸部2nが設けられている。この凸部2nにより、筒2の側壁2m、2hとこれに対向する操作ノブ1の側壁1m、1hとは、該筒2の側壁2m、2hの横幅に渡って線状に接している。また、筒2の側壁2m、2hと操作ノブ1の側壁1m、1hの間には、防水用のグリスが塗布されている(図示省略)。
【0033】
このため、スイッチ装置100が水を浴びても、筒2の側壁2m、2hと操作ノブ1の側壁1m、1hとの間を通って、筒2の上端の開口2aへ到る水の浸入が、凸部2nとグリスにより遮断される。
【0034】
操作ノブ1の側壁1m、1hの下端には、凹部1zが設けられている。筒2の側壁2m、2hの外側面の下端には、凸状の制限壁2zが設けられている。制限壁2zの上部は、図2および図4に示すように、凹部1z内に入り込んでいる。操作ノブ1を中立状態から揺動操作すると、操作ノブ1の凹部1zの側端面が制限壁2zに接触し、操作ノブ1の揺動量が制限される。
【0035】
操作ノブ1の内側には、図5図6、および図9に示すように、レバー8が下方へ突出するように設けられている。レバー8は、筒2の内側を貫通していて、操作ノブ1に連動して揺動する。レバー8の下端に設けられた凹部8aは、図5図9、および図10に示すように、ストライカ5に設けられた凸部5aと係合している。凸部5aは、支持軸2jの中心軸に対して垂直方向に突出している。
【0036】
操作ノブ1の下方には、基板11が設けられている。基板11の上面11aには、図1および図10に示すように、複数の固定接点7a〜7eとLED(発光ダイオード)13が実装されている。また、基板11の両面には、その他のスイッチやコネクタなどの電子部品(図示省略)が実装され、これらによって電気回路が形成されている。
【0037】
図9(a)に示すように、揺動前(中立時)のレバー8に対して垂直に、基板11の上面11aおよび下面(符号省略)は設けられている。また、操作ノブ1の揺動面は、基板11の上面11aに対して垂直となっている。基板11の上面11aは、本発明の「固定接点の設置面」の一例である。
【0038】
図5および図9に示すように、操作ノブ1の直下の筒2の内側には、中空状の円筒軸2tが設けられている。円筒軸2tの下端部の外周面には、ストライカ5の円弧部5bが係合されている(図8および図10も参照)。円筒軸2tは、操作ノブ1の支持軸2jの中心軸に対して垂直方向に延びていて、ストライカ5を基板11の上面11aと平行に回転可能に支持する。円筒軸2tは、本発明における「軸部」の一例である。
【0039】
ストライカ5には、図7および図8などに示すように、円弧部5bを切り欠くことにより、切欠き部5cが設けられている。円筒軸2tの下端部にも、図8および図9に示すように、切欠き部2cが設けられている。
【0040】
図1に示すライトガイド12の短アーム部12cは、図8および図9(a)に示すように、ストライカ5の切欠き部5cと円筒軸2tの切欠き部2cを貫通している。そして、短アーム部12cの先から上方へ突出する突出部12aは、円筒軸2tの中空部2dを貫通している。
【0041】
ライトガイド12は、アクリル樹脂などの光透過性樹脂から形成されている。ライトガイド12は、図1に示すLED13が発した光を、受光部12pで受光して、アーム部12b、12c、12dと突出部12a、12e、12fにより、操作ノブ1、21の内側まで導く。これにより、操作ノブ1、21の上壁が内側から照らされて、該上壁に設けられた光透過性を有する表示部1e、表示部21e、21fが発光する。
【0042】
図8および図9に示すように、ストライカ5は、円筒軸2tの径方向に突出する突出部5dを有している。突出部5dには、図7および図10に示すように、接触子6が設けられている。詳しくは、ストライカ5は合成樹脂で形成されていて、接触子6は導電性を有する板ばねから成る。ストライカ5と接触子6は、インサート成形により一体になっている。
【0043】
接触子6は、フォーク状に形成されていて、3つの先端部にそれぞれ可動接点6a、6b、6cが設けられている。そのうち、可動接点6aが円筒軸2tの最も近くに設けられ、可動接点6cが円筒軸2tの最も遠くに設けられている。可動接点6bは、可動接点6a、6cの間に設けられている。
【0044】
図10に示すように、可動接点6a〜6cが基板11の上面11aに着地することにより、ストライカ5は基板11に下方から支持されている。また、ストライカ5は、図9に示すように、円筒軸2tに設けられた段差部2yと、ケース10aに設けられた凸部14とにより、上方から基板11に押し付けられている。
【0045】
図10に示すように、操作ノブ1を揺動操作すると、レバー8が傾斜して、ストライカ5を円筒軸2tの外周面に沿って、基板11と平行に回転させる。この際、ストライカ5に伴って接触子6も、基板11と平行に回転する。すなわち、ストライカ5および接触子6は、操作ノブ1の揺動面に対して垂直な回転面で回転する。ストライカ5と接触子6は、本発明の「回転部材」の一例である。
【0046】
基板11の上面11aに実装された各固定接点7a〜7eは、所定の幅で円弧状に形成されている。固定接点7aは、図10(a)〜(e)に示すように、ストライカ5と接触子6の回転状態に関わらず、可動接点6aが常に接するように、基板11上に設けられている。つまり、可動接点6aと固定接点7aは、接触子6と基板11とを導通させる常閉接点である。また、固定接点7aは、コモン接点である。
【0047】
固定接点7bは、図10(b)に示すように、ストライカ5と接触子6が一方向へ小さな角度(たとえば、7°)で回転したときに、可動接点6bが接する基板11上の位置に設けられている。固定接点7cは、図10(c)に示すように、ストライカ5と接触子6が一方向へ大きな角度(たとえば、12°)で回転したときに、可動接点6cが接する基板11上の位置に設けられている。
【0048】
すなわち、ストライカ5と接触子6の一方向への回転時に、可動接点6bが固定接点7bに接した後に、可動接点6cが固定接点7cに接する。固定接点7bと可動接点6bの接触状態が、固定接点7cと可動接点6cの接触時も維持されるように、固定接点7bは固定接点7cより円弧長が長くなっている。固定接点7bは、パワーウインドウのマニュアル閉動作用の接点である。固定接点7cは、パワーウインドウのオート閉動作用の接点である。
【0049】
固定接点7dは、図10(d)に示すように、ストライカ5と接触子6が他方向へ小さな角度(たとえば、7°)で回転したときに、可動接点6bが接する基板11上の位置に設けられている。固定接点7eは、図10(e)に示すように、ストライカ5と接触子6が他方向へ大きな角度(たとえば、12°)で回転したときに、可動接点6cが接する基板11上の位置に設けられている。
【0050】
すなわち、ストライカ5と接触子6の他方向への回転時に、可動接点6bが固定接点7dに接した後に、可動接点6cが固定接点7eに接する。固定接点7dと可動接点6bの接触状態が、固定接点7eと可動接点6cの接触時も維持されるように、固定接点7dは固定接点7eより円弧長が長くなっている。固定接点7dは、パワーウインドウのマニュアル開動作用の接点である。固定接点7eは、パワーウインドウのオート開動作用の接点である。
【0051】
また、固定接点7bは、本発明の「第1の固定接点」の一例である。固定接点7dは、本発明の「第2の固定接点」の一例である。固定接点7cは、本発明の「第3の固定接点」の一例である。固定接点7eは、本発明の「第4の固定接点」の一例である。
【0052】
図10(a)に示すように、操作ノブ1の中立状態では、接触子6の可動接点6aが固定接点7aに接し(閉路状態)、可動接点6b、6cはいずれの固定接点7b〜7dにも接していない(開路状態)。
【0053】
この中立状態から、操作ノブ1を揺動操作することにより、レバー8がストライカ5と接触子6を回転させて、可動接点6a〜6cが固定接点7a〜7eに対して接離し、接点6a〜6c、7a〜7eの開閉(OFF・ON)状態が切り替わる。
【0054】
詳しくは、図10(b)に示すように、前頭部1aを小さな角度で押し下げるように、操作ノブ1を揺動操作すると、ストライカ5と接触子6が一方向へ小さな角度で回転して、可動接点6aが固定接点7aに接したまま、可動接点6bが固定接点7bに接する(閉路状態)。これにより、固定接点7a、7bが接触子6を介して導通し、マニュアル閉動作信号がスイッチ装置100からパワーウインドウシステムの制御装置(図示省略)へ出力される。
【0055】
さらに、図10(c)に示すように、前頭部1aを大きな角度で押し下げるように、操作ノブ1を揺動操作すると、ストライカ5と接触子6が一方向へ大きな角度で回転して、可動接点6a、6bが固定接点7a、7bにそれぞれ接したまま、可動接点6cが固定接点7cに接する(閉路状態)。これにより、固定接点7a、7b、7cが接触子6を介して導通し、オート閉動作信号がスイッチ装置100からパワーウインドウシステムの制御装置へ出力される。
【0056】
また、図10(d)に示すように、前頭部1aを小さな角度で引き上げるように、操作ノブ1を揺動操作すると、ストライカ5と接触子6が他方向へ小さな角度で回転して、可動接点6aが固定接点7aに接したまま、可動接点6bが固定接点7dに接する(閉路状態)。これにより、固定接点7a、7dが接触子6を介して導通し、マニュアル開動作信号がスイッチ装置100からパワーウインドウシステムの制御装置へ出力される。
【0057】
さらに、図10(e)に示すように、前頭部1aを大きな角度で引き上げるように、操作ノブ1を揺動操作すると、ストライカ5と接触子6が他方向へ大きな角度で回転して、可動接点6a、6bが固定接点7a、7dにそれぞれ接したまま、可動接点6cが固定接点7eに接する(閉路状態)。これにより、固定接点7a、7d、7eが接触子6を介して導通し、オート開動作信号がスイッチ装置100からパワーウインドウシステムの制御装置へ出力される。
【0058】
図7(b)に示すように、円筒軸2tからレバー8とストライカ5の係合部分8a、5aまでの距離L1より、円筒軸2tから固定接点7b〜7eと開閉する可動接点6b、6cまでの距離L2、L3の方が長くなっている(L1<L2<L3)。すなわち、レバー8と係合するストライカ5の凸部5aより、可動接点6b、6cの方が、回動半径や移動量(回動量)が大きくなるように設定されている。
【0059】
上記実施形態によると、操作ノブ1の揺動がストライカ5の回動に変換されて、接触子6の可動接点6a〜6cと基板11上の固定接点7a〜7eとが開閉される。また、レバー8とストライカ5の係合部分8a、5bより可動接点6b、6cの方が、円筒軸2tからの距離が長くなっている。このため、レバー8の長さや操作ノブ1と固定接点7a〜7eの距離を短く抑えつつ、固定接点7a〜7eの間隔や可動接点6a〜6cの間隔と移動量を大きくすることができる。よって、各部の寸法や組み付け精度のばらつきの影響を受けずに、接点6a〜6c、7a〜7eを確実に開閉させつつ、スイッチ装置100の高さ方向の小型化を図ることができる。
【0060】
特に、上記実施形態では、固定接点7a〜7eを設置した基板11を、揺動前のレバー8に対して垂直に配置しているので、ストライカ5と接触子6の可動接点6a〜6cが、操作ノブ1の揺動面に対して垂直な、レバー8の側方へ回転して、上下に移動しなくなる。このため、ストライカ5と接触子6の可動接点6a〜6cの可動範囲を上下方向に設定する必要がなくなり、スイッチ装置100の高さ方向の小型化を一層図ることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、円筒軸2tが操作ノブ1の直下に設けられているので、操作ノブ1の下方に各部を寄せ集めて、スイッチ装置100の横方向の小型化を図ることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、円筒軸2tの径方向に突出するストライカ5の突出部5dに、可動接点6a〜6cを有する接触子6を設けている。このため、レバー8の長さや操作ノブ1と基板11上の固定接点7a〜7eとの距離を変えなくても、ストライカ5の突出部5dの長さを変えることで、可動接点6a〜6cの移動量を調整することができる。詳しくは、円筒軸2tから接触子6までの距離を長くするに連れて、可動接点6a〜6cの回動量を大きくすることができる。また、それに応じて可動接点6a〜6cや固定接点7a〜7eの間隔を大きく設定することができる。さらにこの結果、レバー8の長さや操作ノブ1と基板11との距離を短くすることができる。
【0063】
また、上記実施形態では、接触子6の可動接点6aと基板11上の固定接点7aから成る常閉接点を設け、ストライカ5と接触子6の一方向と他方向への回転時に、可動接点6bが接する基板11上の位置に固定接点7b、7dをそれぞれ設けている。このため、操作ノブ1を揺動させる前の中立時に、可動接点6aが固定接点7aに接し、操作ノブ1の一方向または他方向への揺動操作時に、可動接点6bが固定接点7bまたは固定接点7dに接するので、接点6a、6b、7a、7b、7dを3つの開閉状態に切り替えることができる。
【0064】
さらに、上記実施形態では、ストライカ5と接触子6の一方向と他方向への回転時に、可動接点6bが固定接点7b、7dに接した後に、可動接点6cが接する基板11上の位置にそれぞれ固定接点7c、7eを設けている。このため、操作ノブ1の一方向または他方向への揺動操作時に、可動接点6bが固定接点7bまたは固定接点7dに接した後、可動接点6cが固定接点7cまたは固定接点7eに接するので、接点6a〜6c、7a〜7eを5つの開閉状態に切り替えることができる。
【0065】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、円筒軸2tの側方に接点6a〜6c、7a〜7eを設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、図11に示すように、円筒軸2tの切欠き部2c’から円筒軸2tの中空部2dに接触子6を挿入して、円筒軸2tの直下に可動接点6a’を設け、該可動接点6a’が常に接する基板11上の位置に固定接点7a’を設けるようにしてもよい。
【0066】
また、他の例として、ストライカ5と接触子6の回転に伴って、可動接点6aがその場で回転して、固定接点7aに対する接触位置を一定にしたり、可動接点6aが円弧を描くように回転して、固定接点7aに対する接触位置を変化させたりしてもよい。いずれにしても、操作ノブ1の揺動に伴うストライカ5と接触子6の回転に関わらず、可動接点6aと固定接点7aは常に接触状態となる。つまり、可動接点6aと固定接点7aは常閉接点である。
【0067】
このようにすると、円筒軸2tの直下の基板11上を有効利用しつつ、基板11のその他の実装部分を大きく空けることができる。また、接点6a〜6c、7a〜7eを操作ノブ1の下方に寄せ集めて、スイッチ装置100の横方向の小型化を図ることができる。
【0068】
また、上記実施形態では、操作ノブ1の直下に円筒軸2tを設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、円筒軸2tを操作ノブ1から離れた位置に設けるようにしてもよい。この場合、可動接点6a〜6cと固定接点7a〜7eを操作ノブ1の直下に設けるようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、接触子6に3つの可動接点6a〜6cを設け、基板11に5つの固定接点7a〜7eを設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、可動接点と固定接点の設置数は、1つでも複数でもよく、接点の切り替え数に応じて適宜設定すればよい。たとえば、パワーウインドウのオート開閉動作が無い場合は、接点6c、7c、7eを省略してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、固定接点7a〜7eを基板11の上面11aに設置した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、固定接点7a〜7eを基板11の下面に設置するようにしてもよい。この場合、ストライカ5、接触子6、および可動接点6a〜6cを基板11の下方に配置し、レバー8を基板11に設けた孔を通して、ストライカ5と係合させればよい。
【0074】
さらに、上記実施形態では、パワーウインドウシステムで使用されるスイッチ装置100のウインドウスイッチWに本発明を適用した例を示したが、本発明はドアロックスイッチDに対しても適用することができる。また、車載以外の用途に用いられるスイッチ装置にも、本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1、1’ 操作ノブ
2 筒
2j 支持軸
2t 円筒軸
5 ストライカ
5a 凸部
5d 突出部
6 接触子
6a、6a’、6b、6c 可動接点
7a、7a’、7b、7c、7d、7e 固定接点
8 レバー
8a 凹部
10a ケース
11 基板
11a 基板の上面
100 スイッチ装置
L1 円筒軸からレバーとストライカの係合部分までの距離
L2、L3 円筒軸から可動接点までの距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11