特許第5930818号(P5930818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930818
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】オゾン分解装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20160526BHJP
   B01J 23/34 20060101ALI20160526BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   B01D53/86 260
   B01J23/34 A
   B01J35/02 N
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-91631(P2012-91631)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-220369(P2013-220369A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】398068082
【氏名又は名称】株式会社ワコーシステムコントロール
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 是和
【審査官】 山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−137961(JP,A)
【文献】 特開平04−131126(JP,A)
【文献】 特開2008−062143(JP,A)
【文献】 実開昭53−157139(JP,U)
【文献】 特開平09−206554(JP,A)
【文献】 特開平03−181318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34
B01J 10/00−12/02
B01J 14/00−19/32
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方を開口した中空状ケーシングを有し、その中空状ケーシングの閉塞側にオゾンガスの導入用継手を設け、前記中空状ケーシングの導入側にハニカム状触媒を収納セットし、そのハニカム状触媒の二次側に押え金具を固定し、その押え金具の二次側に粒状触媒を収納セットし、その粒状触媒の二次側に金網をセットし、前記した開口には排出用継手を設けた蓋体を固定してあるオゾン分解装置であって、前記したハニカム状触媒、粒状触媒はセラミックで形成されていることとし、前記したセラミックとして二酸化マンガン、酸化アルミニウム、二酸化珪素のうち一つが使用されていることとし、前記したハニカム状触媒は、ユニットとしてあることとし、前記した蓋体はケーシングの開口縁に形成されたフランジにビスを用いて固定されていることとし、前記した金網はステンレスによって成形されていることとし、前記した粒状触媒と金網の間に活性炭を充填させ、その活性炭の色変化を外部から視認するため、強化ガラスを用いた窓部を有していることとしたオゾン分解装置において、前記したハニカム状触媒の構成壁面は微細なコルゲート状とし、前記したハニカム状触媒のユニットは複数のブロックをビスで一体化した構成であることを特徴とするオゾン分解装置。
【請求項2】
前記したハニカム状触媒のユニットは複数組を組み付けた構成であることを特徴とする請求項1に記載のオゾン分解装置。
【請求項3】
前記したハニカム状触媒のユニットはケーシング内にセットする際に、ケーシングの各内壁面の略中央に粒状触媒の充填スペースを確保して突設されたブラケットとの衝突を避けるための溝が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のオゾン分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオゾン分解装置に関し、主として半導体製造、食品加工等の工業的過程において発生するオゾンを分解し、酸素として排出するためのオゾン分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したような産業分野で発生するオゾンを分解するためのオゾン分解装置、分解器では分解剤(材)としての触媒は単一のもの(特に活性炭)のみで構成されている。このタイプのオゾン分解装置では設計上分解に必要とされる触媒の量のみでは、分解処理の初期にあって、若干の未分解オゾンが通過してしまうこととなる。これを防止するためには、触媒の量を増やす必要があり、装置自体も大型化し、価格も高騰し、圧力損失も増大するといった問題が生じる。
【0003】
また、触媒はある程度の量のオゾンを連続的に分解すると、その分解熱(約700cal/g−O3)の蓄積で、分解効率が向上する。この状態を保持しながら運転を続ける場合には触媒の少量化も考えられるが、反応初期の未分解オゾンの通過の問題は残ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
出願人は、本願発明に関し、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、従来、運転初期を含めて、未分解オゾンが通過してしまうことがない完全なオゾン分解を行うことができ、処理速度が速く、また、高湿度であっても使用が可能となり、製品寿命の長いオゾン分解装置は存在していなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題点を解決するために、本願発明に係るオゾン分解装置は、一方を開口した中空状ケーシングを有し、その中空状ケーシングの閉塞側にオゾンガスの導入用継手を設け、前記中空状ケーシングの導入側にハニカム状触媒を収納セットし、そのハニカム状触媒の二次側に押え金具を固定し、その押え金具の二次側に粒状触媒を収納セットし、その粒状触媒の二次側に金網をセットし、前記した開口には排出用継手を設けた蓋体を固定してあるオゾン分解装置であって、前記したハニカム状触媒、粒状触媒はセラミックで形成されていることとし、前記したセラミックとして二酸化マンガン、酸化アルミニウム、二酸化珪素のうち一つが使用されていることとし、前記したハニカム状触媒は、ユニットとしてあることとし、前記した蓋体はケーシングの開口縁に形成されたフランジにビスを用いて固定されていることとし、前記した金網はステンレスによって成形されていることとし、前記した粒状触媒と金網の間に活性炭を充填させ、その活性炭の色変化を外部から視認するため、強化ガラスを用いた窓部を有していることとしたオゾン分解装置において、前記したハニカム状触媒の構成壁面は微細なコルゲート状とし、前記したハニカム状触媒のユニットは複数のブロックをビスで一体化した構成であることを特徴としている。
【0007】
また、本願発明に係るオゾン分解装置は、前記したハニカム状触媒のユニットは複数組を組み付けた構成であることを特徴としている。
【0008】
さらに、本願発明に係るオゾン分解装置は、前記したハニカム状触媒のユニットはケーシング内にセットする際に、ケーシングの各内壁面の略中央に粒状触媒の充填スペースを確保して突設されたブラケットとの衝突を避けるための溝が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るオゾン分解装置は上記のように構成されている。触媒をセラミックで形成してあるため、オゾンによる燃焼灰化や爆発の危険性もなく安全で、幅広いオゾン濃度や温度範囲で高性能を発揮し、第一触媒はコルゲートハニカム構造としてあるので、低圧力損失で長寿命が得られ、第二触媒は粒状のため低温でも反応速度が速く、高SVで処理がなされ、全体として高湿度でも優れた対応をし、より完全にオゾンを分解することができることとなる。
【0011】
また、活性炭(セカード)をオゾンの流路に加えることで、セラミック触媒が劣化してくると、この活性炭がオゾン分解を行い、この活性炭が劣化してくると、白く変色するので、触媒の交換も迅速に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願の第一実施例を示すオゾン分解装置の側断面図である。
図2】正面図である。
図3】本願の第二実施例を示すオゾン分解装置の側断面図である。
図4】ケーシングの側面図である。
図5】平面図である。
図6】分解側面図である。
図7】オゾンの分解過程を示す図である。
図8】オゾンの分解反応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本願発明の第一実施例を図1及び図2を参照して説明する。図中1はケーシングを示しており、このケーシング1は耐熱性のある素材で成形され、表面は鏡面加工が施され、一方側を底面として閉塞された略正方形筒体となっているもので、前記した底面の略中央にはオゾンガスの導入用継手10aが設けられている。また、ケーシング1の一方側面の縁部には取り付け固定用のアングル11、11が一体的に設けられている。
【0015】
このケーシング1には、底板から所定の距離をおいて受座14、14‥が一体的に突設されており、その受座14、14‥に第一触媒としてハニカム状触媒2の一次側面が当接されて収容セットされている。このハニカム状触媒はセラミック、特に二酸化マンガン、酸化アルミニウム、二酸化珪素のうち選ばれた一つで成形されているもので、本実施例では二酸化マンガンを想定している。また、このハニカム状触媒2は、その構成壁面が微細なコルゲート状となっており、低圧力損失のものとされている。
【0016】
さらに、このハニカム状触媒2は複数のブロックをビスで連結し一体化したユニットとなっており、このユニットにはケーシング1内にセットする際に、ケーシング1の各内壁面の略中央に後述する粒状触媒4の充填スペースを確保して突設されたブラケット12、12‥との衝突を避けるための溝が形成された構成とされている。このユニットは一組に限らず、複数組を組付けることも可能となる。本実施例では4方向から組み合わせることで各壁面に前記溝を構成したものとなっている。
【0017】
また、図中3はハニカム状触媒2のユニットを位置決め固定する押え金具であり、この押え金具3はフラットな十字状に板材を組み付けて用いてあり、上方から、ハニカム状触媒2のユニット上でブラケット12、12‥の下方に摺り込ませ、ブラケット12、12の上方からねじ13、13によって締結し、ハニカム状触媒2のユニットを押え付けることとしている。尚、この押え金具3は装置の大きさによって単に直状の一本材のみとすることもできる。
【0018】
この押え金具3の二次側には粒状触媒4が充填される。この粒状触媒4もハニカム状触媒2と同様の素材で形成されており、その粒状触媒4の上面には内側に40メッシュの金網5を、その外側に10メッシュの金網6を重合させて、この粒状触媒4を抑え、零れてしまうことがないものとしている。
【0019】
また、前記したケーシング1の開口縁にはフランジ15が一体形成されており、このフランジ15に対して、バイトンを使用したパッキン7を介して蓋体8がビス9、9‥によって固着されている。この蓋体8の略中央にはオゾン分解後の酸素を排出する排出用継手10bが設けられている。この排出用継手10b及び前記した導入用継手10aはスウェッジロックタイプのものが好ましい。
【実施例2】
【0020】
続いて、図3乃至図6を参照して、本願発明の第二実施例を説明する。第一実施例と共通する部分には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施例にあっては、ケーシング1の高さ(長さ)が第一実施例のものより大きくなっており、また、内部ブラケット12、12は相対向する内壁面に一対突設されているもので、押え金具3はフラットな一枚の板状のものが使用されている。
【0021】
この第二実施例にあっては粒状触媒4の二次側に第二の10メッシュの金網16を配設し、その第二の10メッシュの金網16の二次側に活性炭17、特にオゾン分解能を有するセカードが充填されている。
【0022】
また、この第二実施例にあってはケーシング1の活性炭17の充填部分と対応する個所に活性炭17の劣化変色を確認するため強化ガラス18を嵌め付けた監視窓19を、パッキン20を介して設けてある。
【0023】
この第二実施例の場合、ハニカム状触媒2及び粒状触媒4が劣化してくると、活性炭17が触媒を通過したオゾン分解を行い、排出することとなる。この活性炭17は劣化に伴って白く変色していくので、監視窓19から視認確認することで、触媒2、4及び活性炭17の交換時期を把握することができる。
【0024】
各実施例に係るオゾン分解装置は上記のように構成されている。図7には、導入用継手10aからケーシング1内に導入されたオゾンガスがハニカム状触媒2を通り、粒状触媒4を通過して酸素ガスとして排出用継手10bから外部へ排出される過程を示している。尚、第二実施例の場合、粒状触媒4に続いて活性炭17も通過することとなる。
【0025】
ハニカム状触媒2では高濃度のオゾンであっても、接触する表面積が大きいため、効率よく低圧力損失でオゾンを分解し、さらに、粒状触媒4では反応速度が速く、高SVで処理が可能となり、略完全にオゾンを分解することができ、低温でも高湿度でも優れた性能を発揮し、運転初期で未分解オゾンが残ってしまう虞もない。
【0026】
図8では、オゾンの分解反応を示しており、触媒2、4が二酸化マンガン、及びそれが分解した三酸化マンガンの場合の2通りのものを示している。いずれもオゾンO3が分解して酸素O2となることが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係るオゾン分解装置は上記のように構成されている。本実施例ではケーシング1を角筒形状のものとしているが、これにこだわることなく、ハニカム状触媒2の構成形態にもよるが、円筒状や多角形状のものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ケーシング
2 ハニカム状触媒
3 押え金具
4 粒状触媒
5 40メッシュの金網
6 10メッシュの金網
7 パッキン
8 蓋体
9 ビス
10a 導入用継手
10b 排出用継手
11 アングル
12 ブラケット
13 ねじ
14 受座
15 フランジ
16 第二の10メッシュの金網
17 活性炭
18 強化ガラス
19 監視窓
20 パッキン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8