(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1対のギヤと、前記1対のギヤを収容するケーシングとを備え、粒子と樹脂成分とを含有する組成物を、前記ギヤの回転軸線方向に変形させながら搬送するように構成される前記ギヤ構造体であり、
前記1対のギヤのそれぞれは、互いに噛み合う斜歯を備え、
前記斜歯は、回転軸線方向に互いに隣接配置され、歯筋が互いに異なる第1斜歯および第2斜歯を備え、
前記第1斜歯および前記第2斜歯の歯筋は、前記ギヤの回転方向下流側から回転方向上流側に向かうに従って、回転軸線方向の外側に傾斜し、
前記ケーシングには、前記1対のギヤを、前記斜歯と前記ケーシングの内側面との間に密閉空間が形成されるように、収容する収容空間が設けられ、
前記密閉空間に対する搬送方向上流側の上流空間と、前記密閉空間に対する搬送方向下流側の下流空間とが、前記歯筋間の歯溝を介して連通しないように、前記1対のギヤが構成されている
ことを特徴とする、ギヤ構造体。
前記歯筋に交差する方向に延びることにより、前記歯溝を仕切り、前記組成物が前記歯溝に沿って回転軸線方向に移動することを阻止するための仕切り部をさらに備えている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のギヤ構造体。
前記混練押出機の押出方向下流側、かつ、前記ギヤ構造体の搬送方向上流側に設けられ、前記組成物を、前記混練押出機の押出方向に沿う幅を有するように、前記搬送方向に対する交差方向から前記ギヤ構造体に供給するように構成される供給部
をさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載のシート製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0042】
<第1実施形態>
図1は、本発明のギヤ構造体の第1実施形態が備えられるシート製造装置の一部切欠平面図を示す。
図2は、
図1のA−A線に沿う断面図を示す。
図3は、1対のギヤの分解斜視図を示す。
図4は、1対のギヤの噛み合いを説明する側断面図を示す。
図5は、供給部、ギヤ構造体およびシート調整部の側断面図であり、
図1のB−B線に沿う断面図を示す。
図6は、第1ギヤを第2ケーシングの上側面から見たときの展開図を示す。
【0043】
図1において、紙面右側を「右側」、紙面左側を「左側」、紙面下側を「前側」、紙面上側を「後側」として、方向矢印で示し、また、紙面手前側を「上側」、紙面奥側を「下側」として説明する。また、
図1において、右側は、1対のギヤ(後述)の回転軸線方向一方側であり、左側は、回転軸線方向他方側であり、前側は、交差方向(後述)一方側であり、後側は、交差方向他方側である。さらに、
図2以降の図面の方向については、
図1で説明する方向に準じる。
【0044】
図1において、シート製造装置1は、後述する粒子と樹脂成分とを含有する組成物からシート7を製造するように構成されており、例えば、平面視略L字形状に形成されている。シート製造装置1は、混練押出機2と、供給部3と、ギヤ構造体4と、シート調整部5と、巻取部6とを備えている。混練押出機2と供給部3とギヤ構造体4とシート調整部5と巻取部6とは、シート製造装置1において、平面視略L字形状に整列配置されている。つまり、シート製造装置1は、後述する組成物またはシート7(
図2参照)を平面視略L字形状に搬送するように、構成されている。
【0045】
混練押出機2は、シート製造装置1の左側に設けられている。混練押出機2は、例えば、2軸ニーダーなどであって、具体的には、シリンダ11と、シリンダ11内に収容される混練スクリュー12とを備えている。
【0046】
シリンダ11は、軸線が左右方向に延びる略円筒形状にされている。また、シリンダ11の左方は閉塞されている。
【0047】
図2に示すように、シリンダ11の左端部の上壁には、上方に開口する混練機入口14が形成されている。混練機入口14には、ホッパ16が接続されている。
【0048】
シリンダ11の右端部には、右方に開口する混練機出口15が形成されている。混練機出口15には、連結管17が接続されている。
【0049】
なお、シリンダ11には、図示しないブロックヒータが左右方向に沿って複数分割して設けられている。
【0050】
連結管17は、シリンダ11の軸線と共通する軸線を有する略円筒形状に形成されている。
【0051】
混練スクリュー12は、シリンダ11の軸線に平行する回転軸線を有している。混練スクリュー12は、シリンダ11内において、左右方向に沿って設けられている。
【0052】
なお、混練押出機2には、シリンダ11の左側において、混練スクリュー12に接続されるモータ(図示せず)が設けられている。
【0053】
これによって、混練押出機2は、粒子と樹脂成分とを混練押出するように構成されている。
【0054】
図1に示すように、供給部3は、混練押出機2の右側に設けられており、左右方向に延びるように形成されている。供給部3は、
図5に示すように、第1ケーシング21と、供給スクリュー22とを備えている。
【0055】
第1ケーシング21は、
図1に示すように、左右方向に延びる平面視矩形状をなし、前側が左右方向にわたって開口されている。第1ケーシング21の左端部には、供給部入口18が形成され、第1ケーシング21の前端部には、第1貯留部27が形成されている。また、
図5に示すように、第1ケーシング21には、次に説明する供給スクリュー22を収容する第1収容部19が設けられている。第1収容部19は、後部29と、後部29の前側に連通する前部30とを備えている。後部29および前部30のそれぞれは、側断面視略円形状をなし、第1ケーシング21において、左右方向にわたって形成されている。
【0056】
供給部入口18は、
図1および
図5において、第1収容部19(後部29および前部30)に連通している。
【0057】
第1貯留部27は、前方に向かって大きくなる側断面視略テーパ形状に形成されている。また、第1貯留部27は、後述する密閉空間74に対する搬送方向上流側の上流空間とされる。
【0058】
供給スクリュー22は、第1収容部19に収容されており、左右方向に延び、互いに噛み合う第1スクリュー23および第2スクリュー24を備えている。
【0059】
第1スクリュー23は、後部29内に収容されており、第1スクリュー23と回転方向R1に対して傾斜する羽根20を備えている。第1スクリュー23の羽根20の回転軸線方向におけるピッチ間隔は、例えば、5mm以上、好ましくは、10mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下でもある。
【0060】
第2スクリュー24は、前部30内に収容されており、第1スクリュー23と同一構成および同一寸法であり、第1スクリュー23と噛み合いながら、第1スクリュー23と同一方向に回転するように、構成されている。
【0061】
供給スクリュー22(第1スクリュー23および第2スクリュー24)の回転軸方向の長さは、
図1において、第1ケーシング21の幅W0に対して微小なクリアランス(図示せず)の分だけ短く設定されている。
【0062】
なお、供給部3には、第1ケーシング21の右側において、供給スクリュー22に接続されるモータ(図示せず)が設けられている。
【0063】
供給部3は、組成物を、混練押出機2の押出方向(左右方向)に沿う幅W0(つまり、第1ケーシング21の幅W0)を有するように、後方からギヤ構造体4に供給するように構成されている。
【0064】
ギヤ構造体4は、
図5に示すように、第2ケーシング31と、1対のギヤ32とを備えている。なお、
図1に示すように、ギヤ構造体4は、1対のギヤ32の回転軸線方向A1の長さW2が長く、供給部3から供給される組成物をシート調整部5に搬送するギヤポンプでもある。
【0065】
第2ケーシング31は、
図5に示すように、第1ケーシング21の前側に連続して形成されており、後方および前方が左右方向にわたって開口され、左右方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。第2ケーシング31の後端部には、1対のギヤ32を収容する第2収容部40が設けられ、前端部には、吐出口46が形成されている。また、第2収容部40と吐出口46との間には、それらに連通する第2貯留部28および吐出通路44が形成されている。
【0066】
第2収容部40は、下部61と、下部61の上側に連通する上部62とを備えている。
【0067】
また、下部61の上側面(内側面)71、および、上部62の下側面(内側面)72は、円弧面状(2分割された半円周面状)に形成され、1対のギヤ32を収容する収容空間73を区画する。収容空間73は、第1貯留部27に連通し、断面視において上下に方向に延びるように形成されている。なお、下部61および上部62は、第2ケーシング31において、左右方向にわたって形成されている。また、収容空間73の上端部および下端部には、後述する密閉空間74が設けられる。
【0068】
吐出口46は、上下方向に互いに間隔を隔てて形成される2つの吐出壁45によって区画されており、前方に開口されるように形成されている。吐出壁45は、第2ケーシング31の前端部に設けられており、下側壁47および上側壁48を備えている。
【0069】
下側壁47は、左右方向および上下方向に延びる厚肉平板形状をなし、その前面および上面のそれぞれが、平坦状に形成されている。
【0070】
上側壁48は、下面が平坦状に形成されている。また、上側壁48は、側断面視略L字形状をなし、下部の前端部が上部の前面に対して前方に突出するように形成されている。つまり、上側壁48において、下部の前端部が、側断面視略矩形状のドクターとしての突出部63とされている。突出部63の突出長さ(つまり、前後方向長さ)は、例えば、2mm以上であり、また、例えば、150mm以下、好ましくは、50mm以下でもある。また、突出部63の厚み(つまり、上下方向長さ)は、例えば、2mm以上であり、また、例えば、100mm以下、好ましくは、50mm以下でもある。突出部63の前面と、下側壁47の前面とは、上下方向に投影したときに、同一位置となるように、形成されている。
【0071】
第2貯留部28は、第2収容部40の前側に連通しており、後方が開放される側断面視略U字形状に形成されている。また、第2貯留部28は、後述する密閉空間74に対する搬送方向下流側の下流空間とされる。
【0072】
吐出通路44は、第2貯留部28の前側に連通するとともに、吐出口46の後側に連通している。吐出通路44は、側断面視において、前方に向かって延びる略直線状に形成されている。
【0073】
図3に示すように、1対のギヤ32は、例えば、ダブルヘリカルギヤであって、具体的には、第1ギヤ33および第2ギヤ34を備えている。
【0074】
第1ギヤ33の回転軸である第1軸25は、第2ケーシング31(
図5参照)において、左右方向に延び、回転自在となるように設けられている。
【0075】
第2ギヤ34の回転軸である第2軸26は、第2ケーシング31(
図5参照)において、第1軸25と平行して延び、回転自在となるように設けられている。また、第2軸26は、第1軸25に対して上方に対向配置されている。
【0076】
第1ギヤ33および第2ギヤ34のそれぞれは、下部61および上部62に収容されている。また、第1ギヤ33の下半分部分における径方向端部は、下部61の上側面71(後述)に嵌合されるとともに、第2ギヤ34の上半分部分における径方向端部は、上部62の下側面72に嵌合される。
【0077】
第1軸25から上側面71に投影したときの投影面のうち、前側面と第1軸25とを結ぶ線分83と、投影面の後側面と第1軸25とを結ぶ線分84と成す角度α(重複角)は、例えば、30度以上、好ましくは、45度以上であり、また、例えば、180度以下でもある。
【0078】
そして、第1ギヤ33および第2ギヤ34のそれぞれは、具体的には、互いに噛み合う斜歯35を備えている。
【0079】
第1ギヤ33において、斜歯35の歯筋は、第1ギヤ33の回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、回転軸線方向A1の外側に傾斜している。また、斜歯35は、歯筋が互いに異なる第1下斜歯36および第2下斜歯37を一体的に備えている。第1ギヤ33において、第1下斜歯36は、第1ギヤ33の軸線方向中央に対して右側に形成され、第2下斜歯37は、第1下斜歯36の軸線方向中央に対して左側に形成されている。
【0080】
詳しくは、第1下斜歯36の歯筋は、回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、左側(中央部側)から右側(右端部側)に傾斜している。一方、第2下斜歯37の歯筋は、第1下斜歯36の歯筋に対して第1ギヤ33の左右方向中央部を基準として左右対称に形成されており、具体的には、回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、右側(中央部側)から左側(左端部側)に傾斜している。
【0081】
第2ギヤ34は、第1ギヤ33に対して上下対称に形成されており、第1ギヤ33と噛み合うように構成されており、具体的には、第1下斜歯36と噛み合う第1上斜歯38と、第2下斜歯37と噛み合う第2上斜歯39とを一体的に備えている。
【0082】
図4に示すように、1対のギヤ32は、黒丸で示される噛み合い部分が、側断面視において、第1ギヤ33および第2ギヤ34が点状に接触するように構成されることから、側断面点接触タイプとされている。また、1対のギヤ32は、噛み合い部分が、1対のギヤ32の歯筋に沿って、第1ギヤ33および第2ギヤ34の弦巻(つるまき)線状に形成されることから、線接触タイプともされる。
【0083】
1対のギヤ32のそれぞれの斜歯35は、回転方向R2において間隔を隔てて設けられ、径方向内方に湾曲するように形成される凹面42と、各凹面42を連結し、凹面42の周方向両端部から径方向外方に湾曲するように形成される凸面43とを一体的に備える曲面41を備えている。
【0084】
また、斜歯35の歯筋間、つまり、凸面43の頂点間には、凹面42を含む歯溝75が形成されている。
【0085】
また、
図5に示すように、第2ケーシング31には、1対のギヤ32を、第1ギヤ33の斜歯35と下部61の上側面71との間、および、第2ギヤ34の斜歯35と上部62の下側面72との間に密閉空間74が形成されるように、収容する収容空間73が設けられている。
【0086】
つまり、上側面71および下側面72は、1対のギヤ32の直径と同一の曲率を有する断面視円弧状に形成されており、1対のギヤ32の径方向端部(凸面32の頂点、
図4参照。)の回転軌跡と同一の断面視略円弧状に形成されている。これによって、密閉空間74は、斜歯35の歯筋間の歯溝75を、上側面71および下側面72によって、被覆する。
【0087】
また、密閉空間74は、上記した重複角αを満足する歯溝75と、上側面71および下側面72とによって、区画される。
【0088】
そして、この1対のギヤ32は、第1貯留部27と、第2貯留部28とが、斜歯35の歯筋間の歯溝75を介して連通しないように、前記1対のギヤが構成されている。
【0089】
図3および
図6に示すように、第1下斜歯36の歯溝75、および、第2下斜歯37の歯溝75は、それぞれ互いに連通する。また、第1下斜歯36の歯溝75、および、第1下斜歯36の歯溝75には、回転軸線方向A1の全てにわたって、回転軸線A1から径方向に投影したときに、密閉空間74の内側面、つまり、上側面71(
図5参照)と重複する複数(2つ)の重複歯溝76が形成される。
【0090】
重複歯溝76のうち、最前側(最下流側)の重複歯溝76Aでは、第1下斜歯36の左端部および第2下斜歯37の右端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向中央部、つまり、それらの連絡部分)が、上側面71(
図5参照)の前端部(回転方向下流側端部)に対向配置されるときには、対応する第1下斜歯36の右端部および第2下斜歯37の左端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向両端部)は、第1貯留部27(
図5参照)に臨むことなく、上側面71の前後方向(回転方向)途中に対向配置される。
【0091】
また、重複歯溝76のうち、最後側(最上流側)の重複歯溝76Bでは、第1下斜歯36の右端部および第2下斜歯37の左端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向両端部)が、上側面71(
図5参照)の後端部(回転方向上流側端部)に対向配置されるときには、対応する第1下斜歯36の左端部および第2下斜歯37の右端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向中央部、つまり、連絡部分)は、第2貯留部28に臨むことなく、上側面71の前後方向(回転方向)途中に対向配置される。
【0092】
そして、これら複数の重複歯溝76は、第1ギヤ33の回転によって、その回転方向上流側に向かう歯溝75へと移行する。
【0093】
また、第2ギヤ34の重複歯溝76および下側面72は、第1ギヤ33の重複歯溝76および上側面71と同様の構成であり、具体的には、噛み合い部分に対して上下対称の構成とされる。すなわち、歯溝75には、下側面72と重複する重複歯溝76が複数形成される。重複歯溝76は、第2ギヤ34の回転によって、回転方向上流側に向かう歯溝75へと移行する。
【0094】
なお、ギヤ構造体4には、供給スクリュー22の右側において、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26に接続されるモータ(図示せず)が設けられている。
【0095】
次に、1対のギヤ32の曲面41における噛み合いを
図4(a)〜
図4(c)を参照して説明する。
【0096】
まず、
図4(a)に示すように、第1ギヤ33の凸面43の回転方向R2の下流側端部と、第2ギヤ34の凹面42の回転方向R2の下流側端部とが噛み合っている場合において、
図4(a)矢印および
図4(b)に示すように、第1ギヤ33および第2ギヤ34が回転方向R2に回転すると、第1ギヤ33の凸面43の回転方向R2の途中部と、第2ギヤ34の凹面42の回転方向R2の途中部とが噛み合う。続いて、
図4(b)矢印および
図4(c)に示すように、第1ギヤ33および第2ギヤ34が回転方向R2に回転すると、第1ギヤ33の凸面43の回転方向R2の上流側端部と、第2ギヤ34の凹面42の回転方向R2の上流側端部とが噛み合う。つまり、第1ギヤ33の凸面43と、第2ギヤ34の凹面42との噛合部分が、各面における回転方向R2の下流側端部、途中部および上流側端部に順次連続的に移動する。
【0097】
続いて、図示しないが、第1ギヤ33の凹面42と、第2ギヤ34の凸面43との噛合部分も、各面における回転方向R2の下流側端部、途中部および上流側端部に順次連続的に移動する。
【0098】
従って、第1ギヤ33の曲面41と、第2ギヤ34の曲面41との噛合部分が、回転方向R2に沿って連続して移動する。この噛合部分の移動は、組成物の搬送において、組成物が溜まる貯留部分が歯筋間の歯溝75に形成されることを防止する。
【0099】
シート調整部5は、
図1および
図5に示すように、ギヤ構造体4の前側において上側壁48の突出部63を含むように設けられており、例えば、ギヤ構造体4における突出部63と、支持ロール51とを備えている。また、シート調整部5は、
図2に示すように、基材送出ロール56と、セパレータラミネートロール57と、転動ロール58と、セパレータ送出ロール59とを備えている。
【0100】
突出部63は、
図5に示すように、ギヤ構造体4における第2ケーシング31の吐出口46を区画する壁の役割と、シート調整部5における吐出口46から吐出される組成物の厚みを調整するドクター(あるいはナイフ)の役割との両方の役割を有する。
【0101】
支持ロール51は、突出部63に対して隙間50が設けられるように対向配置されている。支持ロール51の回転軸線は、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26と平行しており、具体的には、左右方向に延びている。また、支持ロール51の回転軸線は、前後方向に投影したときに、吐出口46および突出部63と重なるように、配置されている。また、支持ロール51は、組成物を支持して搬送するように構成されている。
【0102】
従って、支持ロール51は、組成物を隙間50に通過させるように構成されている。
【0103】
図2に示すように、基材送出ロール56は、支持ロール51の下方に間隔を隔てて設けられている。基材送出ロール56の回転軸線は、左右方向に延びており、基材送出ロール56の周面には、基材8がロール状に巻回されている。
【0104】
セパレータラミネートロール57および転動ロール58は、支持ロール51の前方に間隔を隔てて設けられている。セパレータラミネートロール57および転動ロール58のそれぞれの回転軸線は、左右方向に延びるように配置されている。セパレータラミネートロール57は、転動ロール58に対して上側に対向配置されており、転動ロール58に対して押圧可能に構成されている。
【0105】
転動ロール58は、セパレータラミネートロール57からの押圧を受けて、シート7および基材8に対して転動可能に構成されており、その上端部は、前後方向に投影したときに、支持ロール51の上端部と同一位置となるように、配置されている。
【0106】
セパレータ送出ロール59は、セパレータラミネートロール57の前方斜め上側に間隔を隔てて設けられている。セパレータ送出ロール59の回転軸線は、左右方向に延びており、セパレータ送出ロール59の周面には、セパレータ9がロール状に巻回されている。
【0107】
巻取部6は、シート調整部5の前方に設けられており、テンションロール52と、巻取ロール53とを備えている。
【0108】
テンションロール52は、転動ロール58の前方に間隔を隔てて設けられ、具体的には、テンションロール52の上端部は、前後方向に投影したときに、転動ロール58の上端部と同一位置となるように、配置されている。テンションロール52の回転軸線は、左右方向に延びるように形成されている。
【0109】
巻取ロール53は、テンションロール52に対して前方斜め下側に間隔を隔てて対向配置されている。また、巻取ロール53の回転軸線は、左右方向に延びており、巻取ロール53の周面において、積層シート10をロール状に巻き取ることができるように、構成されている。
【0110】
シート製造装置1の寸法は、用いる粒子および樹脂成分の種類および配合割合と、目的とするシート7の幅W1および厚みT1に対応して適宜設定される。
【0111】
図1に示すように、第1ケーシング21の幅W0は、例えば、1対のギヤ32の回転軸線方向長さW2と下記式(1)の関係、好ましくは、下記式(2)の関係、より好ましくは、下記式(3)の関係を満足するように、設定される。
【0112】
W2−100(mm)≦W0≦W2+150(mm) (1)
W2−50(mm) ≦W0≦W2+100(mm) (2)
W2−20(mm) ≦W0≦W2+50(mm) (3)
1対のギヤ32の回転軸線方向長さW2は、製造するシート7の幅W1によって適宜選択することができ、具体的には、上記した第1ケーシング21の幅W0と同様であって、シート7の幅W1に対して、例えば、70%以上、好ましくは、80%以上であり、また、例えば、100%以下でもある。
【0113】
図5に示すように、1対のギヤ32の回転軌跡において、第1ギヤ33と上側面71とが対向する回転方向長さL2(
図6参照)、および、第2ギヤ34と下側面72とが対向する回転方向長さ(
図6において図示せず)は、例えば、2mm以上、好ましくは、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、324mm以下、好ましくは、315mm以下でもある。上記した長さが上記下限以上であれば、複数の重複歯溝76を確実に形成して、シート7の搬送効率を向上させることができる。一方、上記した長さが上記上限以下であれば、組成物の搬送効率を向上させることができる。
【0114】
図3に示すように、1対のギヤ32の回転軸線方向長さW2は、例えば、200mm以上、好ましくは、300mm以上であり、また、例えば、2000mm以下でもある。
【0115】
1対のギヤ32のギヤ径(ギヤ32の直径(外径)、詳しくは、刃先円の直径)は、組成物の搬送時の圧力で1対のギヤ32が歪まないように設定され、例えば、10mm以上、好ましくは、20mm以上であり、また、例えば、200mm以下、好ましくは、80mm以下でもある。また、1対のギヤ32の歯底円の直径(ギヤ径から次に説明する歯たけL3
の2倍値(L3×2)を差し引いた値)は、例えば、8mm以上、好ましくは、10mm以上であり、また、例えば、198mm以下、好ましくは、194mm以下でもある。
【0116】
図4に示すように、1対のギヤ32の歯たけL3は、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、20mm以下でもある。
【0117】
斜歯35の回転軸線方向A1におけるピッチ間隔は、例えば、5mm以上、好ましくは、10mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、25mm以下でもある。また、斜歯35の歯筋の、1対のギヤ32の回転軸線に対する角度(傾斜角)は、例えば、0度を超過し、好ましくは、5度以上、より好ましくは、15度以上であり、また、例えば、75度未満、好ましくは、70度以下、より好ましくは、60度以下でもある。傾斜角が上記下限以上であれば、組成物を回転軸線A1の両外側に広げて、幅広のシート7を確実に形成することができる。一方、傾斜角が上記上限以下であれば、重複歯溝76を確実に形成して、シート7の搬送効率を向上させることができる。
【0118】
また、
図5に示すように、隙間50の前後方向距離は、吐出口46の寸法に応じて適宜設定され、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下でもある。
【0119】
以下、このシート製造装置1を用いて、粒子と樹脂成分とを含有する組成物からシート7を製造する方法について説明する。
【0120】
粒子は、粉体、粒体、粉粒体、粉末を含んでおり、粒子を形成する材料としては、例えば、無機材料、有機材料などが挙げられる。好ましくは、無機材料が挙げられる。
【0121】
無機材料としては、例えば、炭化物、窒化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、金属、粘土鉱物、炭素系材料などが挙げられる。
【0122】
炭化物としては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化タングステンなどが挙げられる。
【0123】
窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウムなどが挙げられる。
【0124】
酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ。球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末などを含む。)、酸化アルミニウム(アルミナ、Al
2O
3)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄、酸化ベリリウムなどが挙げられる。さらに、酸化物として、金属イオンがドーピングされている、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズが挙げられる。
【0125】
炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0126】
硫酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム(石膏)などが挙げられる。
【0127】
金属としては、例えば、銅(Cu)、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、亜鉛、錫、鉄、パラジウム、または、それらの合金(はんだなど)が挙げられる。
【0128】
粘土鉱物としては、例えば、モンモリロン石、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、テツマグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロン石、アルミニアンノントロナイト、サポー石、アルミニアンサポー石、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトなどが挙げられる。
【0129】
炭素系材料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノホーン、カーボンマイクロコイル、ナノコイルなどが挙げられる。
【0130】
また、材料として、特定物性を有する材料も挙げられ、熱伝導性材料(例えば、炭化物、窒化物、酸化物および金属から選択される熱伝導性材料、具体的には、BN、AlN、Al
2O
3など)、電気伝導性材料(例えば、金属、炭素系材料から選択される電気伝導性材料、具体的には、Cuなど)、絶縁材料(例えば、窒化物、酸化物など、具体的には、BN、シリカなど)、磁性材料(例えば、酸化物、金属、具体的には、フェライト(軟質磁性フェライト、硬質磁性)、鉄など)なども挙げられる。特定物性を有する材料は、上記で例示した材料と重複してもよい。
【0131】
なお、熱伝導性材料の熱伝導率は、例えば、10W/m・K以上、好ましくは、30W/m・K以上であり、また、例えば、2000W/m・K以下でもある。
【0132】
また、電気伝導性材料の電気伝導率は、例えば、10
6S/m以上、好ましくは、10
8S/m以上、通常、10
10S/m以下である。
【0133】
また、絶縁材料の体積抵抗は、1×10
10Ω・cm以上、好ましくは、1×10
12Ω・cm以上であり、また、例えば、1×10
20Ω・cm以下でもある。
【0134】
また、磁性材料の透磁率(波長2.45GHzにおけるμ’’)は、例えば、0.1〜10である。
【0135】
また、粒子の形状は、特に限定されず、例えば、板状、鱗片状、粒子状(不定形状)、球形状などが挙げられる。
【0136】
粒子の最大長さの平均値(球形状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下でもある。
【0137】
また、粒子のアスペクト比は、例えば、2以上、好ましくは、10以上であり、また、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下でもある。
【0138】
また、粒子の比重は、例えば、0.1g/cm
3以上、好ましくは、0.2g/cm
3以上であり、また、例えば、20g/cm
3以下、好ましくは、10g/cm
3以下でもある。
【0139】
これら粒子は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0140】
樹脂成分は、粒子を分散できるもの、つまり、粒子が分散される分散媒体(マトリックス)であって、絶縁成分を含有し、例えば、熱硬化性樹脂成分、熱可塑性樹脂成分などの樹脂成分が挙げられる。
【0141】
熱硬化性樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂などが挙げられる。
【0142】
熱可塑性樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルスルホン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー、ポリアリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。
【0143】
これら樹脂成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0144】
樹脂成分のうち、熱硬化性樹脂成分として、好ましくは、エポキシ樹脂が挙げられ、また、熱可塑性樹脂成分として、好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。
【0145】
エポキシ樹脂は、常温において、液状、半固形状および固形状のいずれかの形態である。
【0146】
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂(例えば、ビスアリールフルオレン型エポキシ樹脂など)、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂など)などの芳香族系エポキシ樹脂、例えば、トリエポキシプロピルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂、例えば、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0147】
これらエポキシ樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0148】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、例えば、100〜1000g/eq.、好ましくは、180〜700g/eq.である。また、エポキシ樹脂が、常温固形状である場合には、軟化点が、例えば、20〜90℃である。
【0149】
また、エポキシ樹脂には、例えば、硬化剤および硬化促進剤を含有させて、エポキシ樹脂組成物として調製することができる。
【0150】
硬化剤は、加熱によりエポキシ樹脂を硬化させることができる潜在性硬化剤(エポキシ樹脂硬化剤)であって、例えば、フェノール化合物、アミン化合物、酸無水物化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、イミダゾリン化合物などが挙げられる。また、上記の他に、ユリア化合物、ポリスルフィド化合物なども挙げられる。
【0151】
フェノール化合物は、フェノール樹脂を含み、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとを酸性触媒下で縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、例えば、フェノールとジメトキシパラキシレンまたはビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、例えば、ビフェニル・アラルキル樹脂、例えば、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、例えば、クレゾールノボラック樹脂、例えば、レゾール樹脂などが挙げられる。
【0152】
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン、または、これらのアミンアダクトなど、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
【0153】
酸無水物化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物などが挙げられる。
【0154】
アミド化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミドなどが挙げられる。
【0155】
ヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0156】
イミダゾリン化合物としては、例えば、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどが挙げられる。
【0157】
これら硬化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0158】
硬化促進剤は、硬化触媒であって、例えば、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、例えば、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールなどの3級アミン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエートなどのリン化合物、例えば、4級アンモニウム塩化合物、例えば、有機金属塩化合物、例えば、それらの誘導体などが挙げられる。これら硬化促進剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0159】
エポキシ樹脂組成物における硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.5〜200質量部、好ましくは、1〜150質量部であり、硬化促進剤の配合割合は、例えば、0.1〜10質量部、好ましくは、0.2〜5質量部である。また、硬化剤がフェノール樹脂を含有する場合には、エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、フェノール樹脂の水酸基が、例えば、0.5〜2.0モル、好ましくは、0.8〜1.2モルとなるように調整される。
【0160】
上記した硬化剤および/または硬化促進剤は、必要により、溶媒により溶解および/または分散された溶媒溶液および/または溶媒分散液として調製して用いることができる。
【0161】
溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などケトン、例えば、酢酸エチルなどのエステル、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミドなどの有機溶媒などが挙げられる。また、溶媒として、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールなどの水系溶媒も挙げられる。
【0162】
アクリル樹脂は、アクリルゴムを含み、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマーの重合により得られる。
【0163】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸アルキルエステルおよび/また
はアクリル酸アルキルエステルであって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸オクタドデシルなどの、アルキル部分が炭素数30以下の直鎖状または分岐状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくは、アルキル部分が炭素数1〜18の直鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0164】
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0165】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、モノマーに対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、75質量%以上であり、例えば、99質量%以下でもある。
【0166】
モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと重合可能な共重合性モノマーを含むこともできる。
【0167】
共重合性モノマーは、ビニル基を含有し、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有ビニルモノマー(エポキシ基含有ビニルモノマー)例えば、スチレンなどの芳香族ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0168】
共重合性モノマーの配合割合は、モノマーに対して、例えば、50質量%以下、好まし
くは、25質量%以下であり、例えば、1質量%以上でもある。
【0169】
これら共重合性モノマーは、単独または2種以上併用することができる。
【0170】
共重合性モノマーがシアノ基含有ビニルモノマーおよび/またはエポキシ基含有ビニルモノマーである場合には、得られるアクリル樹脂は、主鎖の末端または途中に結合するエポキシ基および/またはシアノ基などの官能基が導入された、官能基変性アクリル樹脂(具体的には、シアノ変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、シアノ・エポキシ変性アクリル樹脂)とされる。
【0171】
樹脂成分(熱硬化性樹脂成分を含有する場合には、熱硬化性樹脂成分がAステージ状態である樹脂成分)の80℃における溶融粘度は、例えば、10Pa・s以上、好ましくは、50Pa・s以上であり、また、例えば、10000mPa・s以下、好ましくは、10000mPa・s以下でもある。
【0172】
また、樹脂成分の軟化温度(環球法)は、例えば、80℃以下、好ましくは、70℃以下であり、また、例えば、20℃以上、好ましくは、35℃以上でもある。
【0173】
具体的には、粒子および樹脂成分の配合割合は、シート7における粒子の体積割合が、例えば、30体積%を超過し、好ましくは、35体積%以上、好ましくは、40体積%以上、より好ましくは、60体積%以上、さらに好ましくは、70体積%以上であり、例えば、98体積%以下、好ましくは、95体積%以下となるように、設定される。
【0174】
粒子および樹脂成分の質量基準の配合割合は、上記したシート7における粒子の体積割合となるように、設定される。
【0175】
なお、樹脂成分には、上記した各成分(重合物)の他に、例えば、ポリマー前駆体(例えば、オリゴマーを含む低分子量ポリマーなど)、および/または、モノマーが含まれる。
【0176】
これら樹脂成分は、単独使用また併用することができる。
【0177】
そして、
図2に示すように、ホッパ16に、粒子および樹脂成分を含有する組成物を仕込む。
【0178】
また、シート製造装置1において、混練押出機2、供給部3およびギヤ構造体4を所定の温度および回転速度に調整する。なお、混練押出機2、供給部3およびギヤ構造体4の温度は、例えば、樹脂成分が熱可塑性樹脂成分を含有する場合には、その軟化温度以上であり、また、樹脂成分が熱硬化性樹脂成分を含有する場合には、その硬化温度未満であって、具体的には、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下でもある。
【0179】
また、基材送出ロール56に、基材8を予め巻回する。
【0180】
基材8としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム(PETなど)、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム類、例えば、クラフト紙などの紙類、例えば、綿布、スフ布などの布類、例えば、ポリエステル不織布、ビニロン不織布などの不織布類、例えば、金属箔などが挙げられる。基材8の厚みは、その目的および用途など応じて適宜選択され、例えば、10〜500μmである。なお、基材8の表面を離型処理することもできる。
【0181】
さらに、セパレータ送出ロール59に、セパレータ9を予め巻回する。
【0182】
セパレータ9は、基材8と同様のものが挙げられ、その表面を表面処理することもできる。セパレータ9の厚みは、その目的および用途など応じて適宜選択され、例えば、10〜500μmである。
【0183】
次いで、組成物をホッパ16から、シリンダ11の混練機入口14を介してシリンダ11内に投入する。
【0184】
混練押出機2では、組成物に含有される粒子および樹脂成分が、ブロックヒータによって加熱されながら、混練スクリュー12の回転によって混練押出されて、粒子が樹脂成分に分散された組成物が、混練機出口15から連結管17を介して、供給部3における供給部入口18に至る(混練押出工程)。
【0185】
そうすると、
図1に示すように、組成物は、供給部3において、供給スクリュー22の回転によって、混練押出機2の押出方向、つまり、左右方向に沿う幅W0(第1ケーシング21の幅W0)を有するように、押出方向に対する交差方向(具体的には、押出方向に対する直交方向)、詳しくは、後方から前方に向けてギヤ構造体4に供給される(供給工程)。つまり、混練押出機2から右側に押し出され、供給部3に至った組成物が、供給部3において搬送方向が90度方向転換される。具体的には、組成物は、右方から前方に搬送方向が変更されながら、左右方向に沿う幅W0を有するように、第1貯留部27を介してギヤ構造体4に供給される。すなわち、供給部3では、組成物の押出方向(左右方向)における押出と、組成物のギヤ構造体4への供給とが同時に進行する。
【0186】
その後、組成物は、ギヤ構造体4において、1対のギヤ32の回転軸線方向A1に変形させながら、前方に搬送される(変形搬送工程)。
【0187】
具体的には、組成物は、1対のギヤ32の噛み合いによって、回転軸線方向A1の中央部から両端部に押し広げられながら搬送される。
【0188】
詳しくは、
図5に示すように、組成物は、第1貯留部27の前側部分の上端部および下端部から、収容空間73における1対のギヤ32の噛み合い部分より後側部分に至り、その後、1対のギヤ32の斜歯35に剪断されながら、歯溝75内に取り巻き込まれ、続いて、密閉空間74に至る。そして、密閉空間74において、組成物が、重複歯溝76となる歯溝75によって、第1貯留部27および第2貯留部28間の連通、つまり、斜歯35の歯筋に沿って移動することが阻止されながら、1対のギヤ32の回転方向R2への回転によって、1対のギヤ32の回転方向R2の下流側、つまり、前方に搬送される。これによって、組成物は、1対のギヤ32の前側に押し出され、収容空間73における1対のギヤ32の噛み合い部分より前側部分に至る。
【0189】
続いて、組成物は、斜歯35の噛み合い部分(
図4参照)を介して第1貯留部27に逆流する(後方に戻る)ことが斜歯35の噛み合い部分によって防止されながら、左右方向に押し広げられる。
【0190】
具体的には、
図3に示すように、ギヤ構造体4の右側部分においては、第1下斜歯36と第1上斜歯38との噛み合いによって、1対のギヤ32における回転軸線方向A1の中央部から右端部に向けて押し広げられる。一方、ギヤ構造体4の左側部分においては、第2下斜歯37と第2上斜歯39との噛み合いによって、1対のギヤ32における回転軸線方向A1の中央部から左端部に向けて押し広げられる。
【0191】
これにより、組成物からなるシート7が得られる。
【0192】
続いて、
図5および
図6に示すように、シート7は、第2貯留部28および吐出通路44を介して吐出口46に至り、次いで、吐出口46から支持ロール51に向かって吐出(搬送)される。
【0193】
具体的には、支持ロール51の周面には、基材送出ロール56(
図2参照)から送り出された基材8が積層されており、シート7は、その基材8を介して支持ロール51に支持されながら、支持ロール51の回転方向に搬送される。
【0194】
吐出口46から吐出されたシート7は、一旦、支持ロール51の後方に、基材8を介して吐出され、直ちに、突出部63と支持ロール51の周面とによって厚みが調整される。具体的には、余分な組成物は、支持ロール51に支持される基材8の表面において、突出部63によって掻き取られ、所望厚みT1および所望幅W1に調整される(隙間通過工程)。
【0195】
調整されたシート7の厚みT1は、隙間50の前後方向距離L1と実質的に同一であり、具体的には、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上、より好ましくは、300μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下、より好ましくは、750μm以下でもある。
【0196】
続いて、
図2に示すように、シート7が積層された基材8は、支持ロール51からセパレータラミネートロール57および転動ロール58に向けて搬送され、セパレータラミネートロール57および転動ロール58の間において、シート7の上面にセパレータ9が積層される。これにより、シート7は、両面(下面および上面)に基材8およびセパレータ9がそれぞれ積層された積層シート10として得られる。
【0197】
その後、積層シート10は、テンションロール52を通過し、続いて、巻取ロール53によってロール状に巻き取られる(巻取工程)。
【0198】
なお、このシート製造装置1において、樹脂成分が熱硬化性樹脂成分を含有する場合には、混練押出機2で加熱された後、巻取ロール53に巻き取られるまで、シート7における熱硬化性樹脂成分は、Bステージ状態であり、巻取ロール53に巻き取られたシート7における熱硬化性樹脂成分も、Bステージ状態とされる。
【0199】
そして、このギヤ構造体4によれば、粒子と樹脂成分とを含有する組成物を、ギヤの回転軸線方向A1に変形させながらシート7として搬送することができる。
【0200】
また、1対のギヤ32の噛み合いによって、組成物に高い剪断力を付与して、それによって、粒子を樹脂中に分散させることができる。
【0201】
さらに、第1下斜歯36および第2下斜歯37の斜歯35は、第1ギヤ33の回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、回転軸線方向A1の両外側に傾斜している。また、第1上斜歯38および第2上斜歯39の斜歯35は、第2ギヤ34の回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、回転軸線方向A1の両外側に傾斜している。
【0202】
そのため、組成物は、回転軸線方向A1の両外側に広がるように、確実に押し広げられながら、搬送される。そのため、組成物をシート7として確実に形成することができる。
【0203】
そして、密閉空間74に対する搬送方向上流側の第1貯留部27と、密閉空間74に対する搬送方向下流側の第2貯留部28とが、歯筋35間の歯溝75を介して連通しないように、1対のギヤ32が構成されている。そのため、組成物が第1貯留部27と第2貯留部28との間の歯溝75を介する組成物の自由な移動を規制して、1対のギヤ32の回転に基づいて回転方向R2の上流側から下流側に向かう歯溝75の移動に伴って、組成物を搬送することができる。
【0204】
一方、
図7に示すように、重複歯溝76が形成されない場合には、歯筋35間の歯溝75を介して、第1貯留部27および第2貯留部28(
図5参照)が連通する。そのため、歯溝75を介して組成物が自由に移動して、1対のギヤ32の回転に基づいて回転方向R2の上流側から下流側に向かう歯溝75の移動に伴って、組成物を効率的に搬送することができない。
【0205】
これに対して、このギヤ構造体4によれば、粒子および樹脂成分を含有する組成物に高い剪断力を付与しながら、高い効率で幅広のシート7を搬送することができる。
【0206】
また、このギヤ構造体4では、第1下斜歯36の歯溝75および第2下斜歯37の歯溝75には、回転軸線A1方向の全てにわたって、回転軸線A1から径方向に投影したときに、第2ケーシング31の内側面、つまり、上側面71および下側面72と重なる重複歯溝76が複数形成される。そのため、重複歯溝76によって、第1貯留部27と第2貯留部28との歯溝75を介する連通を確実に阻止することができる。
【0207】
また、このギヤ構造体4では、1対のギヤ32の回転軸線方向長さW2が、200mm以上であれば、幅広のシート7を確実に搬送することができる。
【0208】
また、このギヤ構造体4では、粒子の体積割合が30体積%を超過する組成物であっても、1対のギヤ32の噛み合いに基づく高い剪断力によって、粒子が分散された組成物をシート7として搬送することができる。
【0209】
このシート製造装置1では、組成物を、ギヤ構造体4を用いてその回転軸線方向A1に変形させながらシート7に確実に搬送させた後、回転軸線方向A1に変形されたシート7を支持ロール51により支持して搬送させながら、突出部63との隙間に通過させる。
【0210】
そのため、シート7を画一的に製造することができる。具体的には、シート7を均一な厚みで形成することができる。
【0211】
このシート製造装置1によれば、混練押出機2によって、予め、粒子と樹脂成分とを十分に混連した組成物を、ギヤ構造体4によってシート7として搬送することができる。
【0212】
そのため、得られるシート7における粒子の樹脂成分に対する分散性を向上させることができる。
【0213】
このシート製造装置1によれば、混練押出機2から押し出されて、供給部3に至る組成物が、供給部3において搬送方向が交差方向に変更されながら、組成物の搬送方向を右方から前方に変更させながら、混練物を左右方向に沿う幅W0を有するように、第1貯留部27を介してギヤ構造体4に供給する。
【0214】
これによって、ギヤ構造体4に供給される混練物の幅W0をより確実に広げることができる。そのため、幅広のシート7をより一層確実に製造することができる。
【0215】
また、このシート製造装置1によれば、巻取部6によってロール状シート60を得ることができる。
【0216】
そして、得られたロール状シート60からシート7を引き出せば、例えば、放熱性シートなどの熱伝導性シート、例えば、電極材、集電体などの導電性シート、例えば、絶縁シート、例えば、磁性シートなどとして好適に用いることができる。
【0217】
さらには、粒子が絶縁材料から形成され、かつ、樹脂成分が絶縁性の熱硬化性樹脂成分を含有する場合には、シート7を、例えば、熱硬化性樹脂シートなどの熱硬化性絶縁樹脂シート(具体的には、封止シート)として好適に用いることもできる。
<第2実施形態>
図8は、本発明のギヤ構造体の第2実施形態の第1ギヤを第2ケーシングの上側面から見たときの展開図を示す。
【0218】
なお、
図8において、第1実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0219】
第1実施形態では、
図6に示すように、第1下斜歯36の歯溝75、および、第2下斜歯37の歯溝75のそれぞれに、複数(2つ)の重複歯溝76を設けているが、本発明において、重複歯溝76は少なくとも1つであればよく、例えば、
図8に示すように、1つの重複歯溝76をそれぞれ設けることもできる。
【0220】
図8に示すように、1つの重複歯溝76では、第1下斜歯36の左端部および第2下斜歯37の右端部(第1ギヤ33の左右方向中央部、すなわち、連絡部分)が、上側面71(
図5参照)の前端部に対向配置されるときには、対応する第1下斜歯36の右端部および第2下斜歯37の左端部(第1ギヤ33の左右方向両端部)は、第1貯留部27(
図5参照)に臨むことなく、上側面71の後端部に対向配置される。
【0221】
第2実施形態のギヤ構造体4によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<第3実施形態>
図9は、本発明のギヤ構造体の第3実施形態の1対のギヤの分解斜視図を示す。
図10は、
図9に示す1対のギヤとそれを収容する第2ケーシングの一部分解斜視図を示す。
図11は、
図10に示すギヤ構造体の第2ケーシングのみを切り欠いた正断面図を示す。
図12は、
図10に示すギヤ構造体の側断面図を示す。
【0222】
なお、
図9〜
図12において、第1実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0223】
図9に示すように、ギヤ構造体4には、複数の仕切り部材77を設けることができる。
【0224】
各仕切り部77は、第1ギヤ33および第2ギヤ34において、複数(8つ)設けられており、具体的には、仕切り部77は、第1下斜歯36、第2下斜歯37、第1上斜歯38および第2上斜歯39に対応して、それぞれ、2つ設けられている。また、仕切り部77は、第1下斜歯36、第2下斜歯37、第1上斜歯38および第2上斜歯39のそれぞれの斜歯35および歯溝75を、回転軸線方向A1に分断するように、第1ギヤ33および第2ギヤ34のそれぞれの回転軸線方向A1途中に介在されている。
【0225】
また、仕切り部77は、回転軸線方向A1に互いに隣接配置されて1対をなす仕切り部77Aおよび77Bを備えている。仕切り部77Aおよび77Bから構成される1対の仕切り部77は、回転軸線方向A1において、回転軸線方向A1の中央部から対称に配置され、間隔を隔てて配置されている。
【0226】
図10〜
図12に示すように、仕切り部77は、1対のギヤ32のいずれか一方に設けられ、ギヤ32のギヤ径(外径)
(刃先円)と同じ高さで、ギヤ32の周方向に沿って連続して形成される主仕切り部78と、1対のギヤ32の他方において、主仕切り部78に対応して設けられ、ギヤ32の
歯底円と同じ高さで、ギヤ32の周方向に沿って連続して形成される第1補助仕切り部
79と、第2ケーシング31において、第1補助仕切り部78に対応するように突出形成される第2補助仕切り部
80とを備えている。
【0227】
1対の仕切り部77のうち、一方、すなわち、第1仕切り部77Aにおいて、
図10および
図12(特に、
図12(c)参照)に示すように、主仕切り部78は、第1ギヤ33に設けられ、第1補助仕切り部79は、第2ギヤ34に設けられ、第2補助仕切り部80は、第2ケーシング31に設けられる。
【0228】
一方、1対の仕切り部77のうち、他方、すなわち、第2仕切り部77Bにおいて、主仕切り部78は、第2ギヤ34に設けられ、具体的には、第1仕切り部77Aの第1補助仕切り部79の回転軸線方向A1に隣接配置され
、第1補助仕切り部79は、第1ギヤ33に設けられ、具体的には、第1仕切り部77Aの主仕切り部78の回転軸線方向A1に隣接配置され、第2補助仕切り部80は、第2ケーシング31に設けられ、第1仕切り部77Aの主仕切り部78および第1補助仕切り部79の回転軸線方向A1に隣接配置されている。
【0229】
次に、1対の第1仕切り部77Aおよび第2仕切り部77Bのうち、第1仕切り部77Aについて説明する。なお、第2仕切り部77Bについては、第1仕切り部77Aを上下反転させた構成であるため、その説明を省略する。
【0230】
図12(c)に示すように、主仕切り部78は、第1ギヤ33の第1軸25を軸線とし、第1ギヤ33の回転軸線に直交する方向(上下方向および前後方向)に沿う略円板形状に形成されている。主仕切り部78の外径は、第1ギヤ33の外径と略同一に形成されている。主仕切り部78は、第1軸25と相対回転不能で、第2ケーシング31の下部61に対して相対回転可能で、かつ、第2ケーシング31の上側面71に対して摺動可能となるように形成されている。
【0231】
第1補助仕切り部79は、主仕切り部78と径方向に隣接配置されている。第1補助仕切り部79は、第2ギヤ34の第2軸26を軸線とし、第2ギヤ34の回転軸線に直交する方向に沿う略円板形状に形成されている。第1補助仕切り部79の外径は、第2ギヤ34の歯底円の直径と略同一に形成されている。また、第1補助仕切り部79の周面は、第1ギヤ33における主仕切り部78の周面と転動可能に接触する。また、第1補助仕切り部79は、第2軸26と相対回転不能で、第2ケーシング31の上部62に対して相対回転可能で、かつ、次に説明する第2補助仕切り部80の下側面(内側面)と摺動可能となるように形成されている。
【0232】
第2補助仕切り部80は、
図10および
図12(c)に示すように、第2ケーシング31の上部62および下部61に設けられており、主仕切り部78および第1補助仕切り部79に対応して、それらを取り囲む形状であって、第2ケーシング31の内側面からそれらの周面に接触するように突出する突出板81として形成されている。つまり、第2補助仕切り部80は、第1補助仕切り部79の全周面および主仕切り部78の上側半分部分の周面を被覆するように、周方向に延び、具体的には、断面略A字形状に形成されている。第2補助仕切り部80は、第1補助仕切り部79および主仕切り部78に対して相対回転可能に形成されている。また、第1補助仕切り部79の内側面は、第1補助仕切り部79および主仕切り部78の周面を摺動可能に受け入れる。
【0233】
そして、この実施形態では、仕切り部77が、組成物が歯溝75に沿って回転軸線方向A1に移動することを阻止するので、第1貯留部27と第2貯留部28との歯筋間の歯溝75を介する連通を確実に防止することができる。
【0234】
そのため、シート7の搬送効率を向上させることができる。
【0235】
さらに、主仕切り部78、第1補助仕切り部79および第2補助仕切り部80によって、第1貯留部27と第2貯留部28との歯筋間の歯溝75を介する連通をより一層確実に防止することができる。
【0236】
そのため、シート7の搬送効率をより一層向上させることができる。
<変形例>
上記第3実施形態では、主仕切り部78および第1補助仕切り部79をそれぞれ、1対のギヤ32を回転軸線方向A1に分断する略円板部材を挿入して形成しているが、例えば、図示しないが、1対のギヤ32の周面に略円環部材を嵌め込む(あるいは巻回する)ことにより、主仕切り部78を形成し、かつ、1対のギヤ32の斜歯35を切り欠くことにより、第1補助仕切り部79を形成することもできる。
【0237】
図13は、
図11に示すギヤ構造体の変形例の正断面図を示す。
図14は、
図11に示すギヤ構造体の変形例の正断面図を示す。
【0238】
なお、
図13および
図14において、第3実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0239】
第3実施形態において、1対を成す第1仕切り部77Aおよび第2仕切り部77Bを回転軸線方向A1において隣接配置しているが、例えば、
図13に示すように、回転軸線方向A1に間隔を隔てて対向配置することもできる。
【0240】
また、仕切り部77を、第1仕切り部77Aおよび第2仕切り部77Bから構成しているが、いずれか一方のみ、例えば、
図14に示すように、第1仕切り部77Aのみから形成することができ、あるいは、図示しないが、第2仕切り部77Bのみから形成することもできる。
<第4実施形態>
図15は、本発明のギヤ構造体の第4実施形態の第2ケーシングのみを切り欠いた正断面図を示す。
【0241】
なお、
図15において、第1実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0242】
第3実施形態では、第2補助仕切り部80を突出板81から形成しているが、例えば、突出板81および切欠部82から形成することもできる。
【0243】
主仕切り部78は、1対のギヤ32のギヤ径(外径)
(刃先円)よりも高い高さで形成する。つまり、第1仕切り部77Aにおける主仕切り部78は、第1ギヤ33の外径より大きい外径を有する。
【0244】
一方、第1補助仕切り部79は、主仕切り部78に対応して設けられ、具体的には、第1仕切り部77Aにおける第1補助仕切り部79は、第2ギヤ34の歯底円の直径より小さい外径を有する。
【0245】
切欠部82は、第2ケーシング31の下部61が径方向外方向に周方向に連続して切り欠かれており、上側面71から凹んで形成されている。具体的には、切欠部82は、略半割円環形状に形成されている。また、切欠部82の周面は、主仕切り部78に対して相対回転可能に形成されている。また、切欠部82の周面は、主仕切り部78のギヤ径
(刃先円)より高い部分を摺動可能に受け入れる。
【0246】
この第4実施形態によっても、第3実施形態と同様の作用効果を奏する。
<第5実施形態>
図16は、本発明のギヤ構造体の第5実施形態の第2ケーシングのみを切り欠いた正断面図を示す。
【0247】
なお、
図16において、第3実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0248】
第3実施形態では、
図11に示すように、仕切り部77に、互いに外径が異なる主仕切り部78および第1補助仕切り部79を形成しているが、例えば、
図16に示すように、外径が同一の2つの主仕切り部78のみから形成することもできる。
【0249】
図16において、第1仕切り部77Aにおいて、第1ギヤ33および第2ギヤ34のそれぞれに、外径が同一である主仕切り部78が設けられている。
【0250】
2つの主仕切り部78は、それぞれ、歯たけL3の略半分の高さで形成されており、互いに転動可能に接触する。一方、主仕切り部78は、第2補助仕切り部80の内側面と摺動可能となるように形成されている。
【0251】
この第5実施形態によっても、第3実施形態と同様の作用効果を奏する。
<第6実施形態>
図17は、本発明のギヤ構造体の第6実施形態の第2ケーシングのみを切り欠いた正断面図を示す。
図18は、本発明のギヤ構造体の第6実施形態の変形例の第2ケーシングのみを切り欠いた正断面図を示す。
【0252】
なお、
図17および
図18において、第1実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0253】
第1実施形態では、第1貯留部27および第2貯留部28のそれぞれの形状を、側断面視略テーパ形状および側断面視略U字形状に形成しているが、たとえば、
図17に示すように、側断面視略直線状に形成することもできる。
【0254】
また、
図17において、密閉空間74を区画する重複角αは、例えば、30度以上、好ましくは、45度以上、より好ましくは、60度以上であり、また、例えば、180度以下、好ましくは、175度以下、より好ましくは、170度以下でもある。
【0255】
上記した実施形態では、重複角αを180度以下に設定しているが、例えば、
図18に示すように、重複角αを、180度を超えるように設定することもできる。
【0256】
図18において、重複角αは、好ましくは、200度以上、より好ましくは、220度以上であり、また、例えば、300度以下、好ましくは、270度以下でもある。
【0257】
重複角αが180度を超えれば、密閉空間74をより一層確実に確保することができ、第1貯留部27と第2貯留部28との歯溝75を介する連通を確実に阻止して、組成物に確実に剪断力を付与することができる。