特許第5930885号(P5930885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930885
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20160526BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D47/34 B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-150214(P2012-150214)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-12541(P2014-12541A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100158540
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 博生
(74)【代理人】
【識別番号】100150027
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 早苗
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176876
【弁理士】
【氏名又は名称】各務 幸樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177976
【弁理士】
【氏名又は名称】根木 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100154472
【弁理士】
【氏名又は名称】新庄 孝
(72)【発明者】
【氏名】北山 きょうこ
(72)【発明者】
【氏名】西川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】種谷 有華
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−085581(JP,A)
【文献】 特開2011−240940(JP,A)
【文献】 特表2006−521978(JP,A)
【文献】 米国特許第05083683(US,A)
【文献】 特開2010−269253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方にポンプディスペンサ取付部を有する容器と、この容器のポンプディスペンサ取付部に装着され、吐出口を有するポンプディスペンサとを備える吐出容器であって、
上記容器が、有底筒状の容器本体と、この容器本体の側壁上部から径方向かつ後方に突出する係合突起とを有し、
上記係合突起の下面全体が、上記ポンプディスペンサ取付部の最下部よりも下方に位置しており、
上記係合突起の下面が、径方向外側に向かって上方に傾斜した第一傾斜面、及び上記第一傾斜面に連設され、径方向外側に向かって下方に傾斜した第二傾斜面を有することを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
上記容器本体の側壁前方上部が、径方向外側に向かって上方に、かつ上端にかけて傾斜した第三傾斜面を有する請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
上記係合突起の上面が平面状であり、上記ポンプディスペンサ取付部の最下部と上記係合突起の上面とが略同一高さに形成されている請求項1又は請求項2に記載の吐出容器。
【請求項4】
上記ポンプディスペンサが、容器のポンプディスペンサ取付部に嵌着されるベース、このベースに押し込み可能に弾装されるノズルヘッド、及びこのノズルヘッドの側方に配設される上記吐出口を有し、ノズルヘッドの押し込み動作により容器内の流体を吐出口から噴出するよう構成された請求項1、請求項2又は請求項3に記載の吐出容器。
【請求項5】
上記吐出口の噴出方向と上記係合突起の突出方向との平面視における角度の絶対値が、110°以上170°以下である請求項に記載の吐出容器。
【請求項6】
上記吐出口の噴出方向が、縦断面において斜め上方に傾斜している請求項又は請求項に記載の吐出容器。
【請求項7】
毛髪処理剤吐出容器である請求項、請求項又は請求項に記載の吐出容器。
【請求項8】
ポンプフォーマーである請求項から請求項のいずれか1項に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、所望の流体を容器内に貯めておき、この流体を適宜適量ずつ取り出すための吐出容器が用いられている。また、かかる吐出容器としては、例えばノズルヘッドを押し込むことで容器内の流体を噴出させるノズル押し込み式吐出容器が知られている。
【0003】
このようなノズル押し込み式吐出容器は、一般に、内部に流体を貯めておく容器と、この容器の開口部に装着されるポンプディスペンサとを具備している。このようなノズル押し込み式吐出容器は、一般に、ポンプディスペンサに設けられるノズルヘッドを上方から下方に押し込み、シリンダ内の流体を圧することでノズルヘッドに連結される吐出口から流体を噴出させる。また、上記吐出容器としては、容器内に貯められる流体を泡状にしたうえで吐出口から噴出させるポンプフォーマーも知られている。
【0004】
かかるノズル押し込み式吐出容器としては、作業の確実性等を向上させるため、使用時に指を支持するための取っ手部を備えているものも存在している。このような取っ手部を備える吐出容器としては、例えばスプレー容器(特開2010−269253号公報参照)が発案されている。このスプレー容器は、容器の上壁から逆U字状に突出される取っ手部を有している。このスプレー容器は、上記取っ手部が容器の上壁から垂直に延びる垂直部と、この垂直部の先端から曲がって下方に延び戻る戻り部とを有している。このスプレー容器は、取っ手部に人差し指と中指とを入れて支え、親指をノズルヘッドに当てて押し下げることで容器内の流体を噴出させるもので、容器を下方から支えた状態で手のひらが容器の周囲に当接できるので、親指に力を入れ易くノズルヘッドが引き下げ易い構造となっている。
【0005】
しかしながら、このスプレー容器は、上述のように、人差し指と中指とを取っ手部に入れ、親指をノズルヘッドに押し当てて使用するものであるため、容器は薬指と小指によって把持されることになる。それゆえ、このスプレー容器は、人差し指と中指とを取っ手部に入れるのに手間が掛るため作業の迅速性に欠けると共に、容器を薬指と小指とで把持するものであるため、使用時に容器を確実に支持することができず、作業の確実性にも劣っているという問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−269253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、作業の迅速性及び確実性に優れる吐出容器の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
上方に開口部を有する容器と、この容器の開口部に装着されるポンプディスペンサとを備える吐出容器であって、
上記容器が、有底筒状の容器本体と、この容器本体の側壁上部から径方向かつ後方に突出する係合突起とを有し、
上記係合突起の下面全体が、上記開口部の最下部よりも下方に位置していることを特徴とする吐出容器である。
【0009】
当該吐出容器は、係合突起が容器本体の側壁上部から径方向に突出されており、かつこの係合突起の下面全体が開口部の最下部よりも下方に位置しているので、この係合突起の下面に使用者の親指と人差し指との股部を係止させた状態で、この使用者の手のひらに容器本体を挟み込ませ、かつ親指、中指、薬指及び小指の4指によって確実に把持させることができる。当該吐出容器は、係合突起の下面に使用者の親指と人差し指との股部を係止させるだけでこの使用者が容器本体を確実に把持することができるので、作業の迅速性及び確実性に優れている。
【0010】
当該吐出容器は、上記係合突起の下面が、径方向かつ上方に傾斜した第一傾斜面を有するとよい。これにより、第一傾斜面によって親指と人差し指との股部を確実に係止させることができる。
【0011】
当該吐出容器は、上記係合突起の下面が、上記第一傾斜面に連設され、径方向かつ下方に傾斜した第二傾斜面を有するとよい。これにより、親指と人差し指との股部の容器本体の径方向に対する動きが制御され、作業の迅速性、確実性及び安全性を向上させることができる。
【0012】
当該吐出容器は、上記容器本体の側壁前方上部が、径方向かつ上端にかけて傾斜した第三傾斜面を有するとよい。これにより、第三傾斜面の上側に中指を添わせ、かつ第三傾斜面の底部付近に薬指を添わせた状態で容器本体を使用者に確実に把持させることができ、作業の迅速性、確実性及び安全性をさらに向上させることができる。
【0013】
当該吐出容器は、上記開口部の最下部と上記係合突起の上面とが略同一高さに形成されているとよい。これにより、作業の迅速性及び確実性を向上させると共に、意匠性を向上させることができる。
【0014】
当該吐出容器は、上記ポンプディスペンサが、容器の開口部に嵌着されるベース、このベースに押し込み可能に弾装されるノズルヘッド、及びこのノズルヘッドの側方に配設される吐出口を有し、ノズルヘッドの押し込み動作により容器内の流体を吐出口から噴出するよう構成されているとよい。当該吐出容器は、係合突起によって使用者の親指と人差し指との股部が下方から係止される結果、この使用者が人差し指でノズルヘッドを押し込む際に、容器が上下方向に対しても左右方向に対しても確実に支持される。それゆえ、当該吐出容器は、容器本体を使用者が確実に把持したうえでこの使用者が人差し指でノズルヘッドを押し込むのに好適な構造を有しており、作業の確実性に優れている。さらに、当該吐出容器は、使用者の親指と人差し指との股部を係合突起に係止させるので、把持状態において容器及びこの容器に連結されるポンプディスペンサの向きが固定され、容器内の流体を吐出口から所定の方向に噴出させることができる。従って、当該吐出容器は、使用時に吐出口の向きを確認する必要がなく、作業の確実性に加え迅速性にも優れている。
【0015】
当該吐出容器は、上記吐出口の噴出方向と上記係合突起の突出方向との平面視における角度の絶対値が、110°以上170°以下であるとよい。これにより、吐出口から噴出される流体を当該吐出容器を把持していない手のひらで受け止める際に、ノズルヘッドを押し込む人差し指と流体を受け止める手のひらとが略平行に保たれる。従って、当該吐出容器は、当該吐出容器を把持した方の手を流体を受け止める手のひら上に自然に移動させるだけで好適に用いることができ、使用容易性を向上させることができる。
【0016】
当該吐出容器は、上記吐出口の噴出方向が、縦断面において斜め上方に傾斜しているとよい。これにより、吐出口から噴出される流体を当該吐出容器を把持していない手のひらで受け止める際の容易性をさらに向上することができる。
【0017】
当該吐出容器は、毛髪処理剤吐出容器であるとよい。毛髪処理剤は、通常、吐出容器から一旦手のひらに噴出させたうえ、手のひら上で一定程度に引き伸ばしたうえで所望の箇所に塗布される。それゆえ、当該吐出容器は、毛髪処理剤吐出容器であることによって、作業の迅速性、確実性を好適に高めることができる。
【0018】
当該吐出容器は、ポンプフォーマーであるとよい。ポンプフォーマーから噴出される泡は滑りやすいため、かかる泡が容器等に付着するとこの容器を確実に保持することが困難となる。これに対し、当該吐出容器は、係合突起によって使用者の親指と人差し指との股部が下方から係止される結果、この使用者が人差し指でノズルヘッドを押し込む際に、容器が上下方向に対しても左右方向に対しても確実に支持されるので、作業の迅速性及び確実性を向上することができる。
【0019】
なお、本発明において、「後方」とは、容器本体の中心軸及び平面視における吐出口の噴出方向と垂直な面を含む仮想平面を基準とした場合における上記噴出方向と逆方向のことをいう。「吐出口の噴出方向と係合突起の突出方向との平面視における角度の絶対値」とは、吐出口の噴出方向と係合突起の突出方向とが平面視で一致している場合を0°とし、ここから吐出口が右回転する場合を0°から180°とし、吐出口が左回転する場合を0°から−180°として算出した値をいうものとする。また、「吐出口の噴出方向が、縦断面において斜め上方に傾斜している」とは、吐出口の噴出方向と容器本体の底壁とが縦断面において平行である場合を0°とし、吐出口の噴出方向と容器本体の底壁とが縦断面において垂直である場合を90°とした場合に、吐出口の噴出方向が0°よりも大きく90°よりも小さいことをいうものとする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の吐出容器は、作業の迅速性及び確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器を示す模式的側面図である。
図2図1の吐出容器の模式的平面図である。
図3図1の吐出容器の容器を示す模式的側面図である。
図4図1の吐出容器のポンプディスペンサを示す模式的側面図である。
図5図1の吐出容器の使用状態を示す図である。
図6図1の吐出容器とは異なる形態に係る吐出容器を示す模式的側面図である。
図7図6の吐出容器を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
[第一実施形態]
〈吐出容器1〉
図1の吐出容器1は、容器2と、ポンプディスペンサ3とを有している。吐出容器1は、容器2内に毛髪処理剤を貯める。吐出容器1は、容器2内に貯められる毛髪処理剤をポンプディスペンサ3を用いて適量ずつ噴出されるノズル押し込み式の毛髪処理剤吐出容器として形成されている。また、吐出容器1は、容器2内に貯められる毛髪処理剤を泡状にして噴出させるポンプフォーマーとして形成されている。
【0024】
容器2は、容器本体4と、係合突起5とを有している。容器本体4は、上方に開口部7を有する有底筒状に形成されている。詳細には、容器本体4は、図3に示すように、略円環状の上壁6と上壁6の内周から立設される開口部7とを有し、有底円筒状に形成されている。容器2の形成材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂やガラス等が用いられる。容器本体4と係合突起5とは、射出成形等によって一体的に成形されている。
【0025】
容器本体4の平均径としては、特に限定されないが3cm以上8cm以下が好ましく、4cm以上6cm以下がさらに好ましい。当該吐出容器1は、容器本体4の平均径が上記範囲であることによって、使用者によって容器本体4の側壁が容易かつ確実に把持される。また、容器本体4の平均高さとしては、特に限定されないが、8cm以上20cm以下とすることができる。当該吐出容器1は、容器本体4の平均高さが上記上限を超える場合、容器2内に保存される流体によって重量が増し、使用性が低下するおそれが高くなる。逆に、容器本体4の平均高さが上記下限未満である場合、使用者の手のひらによって容器本体4の側壁を確実に把持できないおそれが高くなる。
【0026】
容器本体4は、側壁前方上部が、径方向かつ上端にかけて傾斜した第三傾斜面8を有している。第三傾斜面8の側壁に対する平均傾斜角としては、特に限定されないが、1°以上10°以下が好ましい。第三傾斜面8の側壁に対する平均傾斜角の上限は、8°がより好ましく、6°がさらに好ましい。また、第三傾斜面8の側壁に対する平均傾斜角の下限は、2°がより好ましく、3°がさらに好ましい。なお、第三傾斜面8の平均傾斜角とは、側壁前端における第三傾斜面8の頂部と底部とを結んだ仮想線と、第三傾斜部8の底部の接線方向との角度をいうものとする。
【0027】
第三傾斜面8の側壁前端における頂部と底部とを結んだ線分の長さとしては、特に限定されないが、5mm以上2cm以下が好ましい。第三傾斜面8の側壁前端における頂部と底部とを結んだ線分の長さの上限は、1.8cmがより好ましく、1.5cmがさらに好ましい。また、第三傾斜面8の側壁前端における頂部と底部とを結んだ線分の長さの下限は、7mmがより好ましく、1cmがさらに好ましい。
【0028】
係合突起5は、容器本体4の側壁上部から径方向かつ後方に突出して形成されている。係合突起5の内部は、空洞であってもよく、空洞でなくてもよい。係合突起5の下面9の全体は、開口部7の最下部(本実施形態においては上壁6)よりも下方に位置するように形成されている。係合突起5は、容器本体4と同一の材料によって、容器本体4と一体的に形成されている。開口部7の最下部(本実施形態においては上壁6)と係合突起5の上面とは略同一高さに形成されている。係合突起5は、図2に示すように、容器本体4の側壁から突出方向にかけて徐々に幅狭となるように形成されている。係合突起5の突出長さDとしては、特に限定されないが、2.5cm以上3.5cm以下とすることが好ましい。
【0029】
下面9は、容器本体4の側壁と連設され径方向かつ上方に傾斜した第一傾斜面10と、第一傾斜面10に連設され、径方向かつ下方に傾斜した第二傾斜面11とを有している。下面9は、第一傾斜面10及び第二傾斜面11によって逆U字状に形成されている。下面9は、幅方向において中央が下方に隆起したU字状に形成されている。
【0030】
ポンプディスペンサ3は、図4に示すように、主として、容器2の開口部7に嵌着されるベース14と、ベース14に押し込み可能に弾装されるノズルヘッド12と、ノズルヘッド12の側方に配設される吐出口13と、ベース14の下方に連結されるシリンダ15とを有している。ノズルヘッド12の上面には、吐出口13の噴出方向と略垂直に設けられる凹部17が形成されている。ポンプディスペンサ3は、ベース14の下方に設けられるフランジ部16の内周と容器本体4の開口部7とが螺合されることによって容器2に着脱可能に嵌着される。
【0031】
ポンプディスペンサ3は、ノズルヘッド12の押し込み動作により容器2内の流体を泡状にして吐出口13から噴出するように構成されている。具体的には、ノズルヘッド12は、ベース14の中心軸方向にスライド可能に配設され、シリンダ15内に配設されるバネ(図示せず)で突出方向に弾発、負勢されている。ポンプディスペンサ3は、ノズルヘッド12の押し込み動作によってシリンダ15内に蓄えられた流体が押圧されて吐出口13から噴出される。一方、ポンプディスペンサ13は、ノズルヘッド12が突出方向に弾発されることで、シリンダ15内が負圧となり、容器2内の流体がシリンダ15内に吸引される。
【0032】
吐出口13の噴出方向と係合突起5の突出方向との平面視における角度αの絶対値としては、特に限定されないが、110°以上170°以下が好ましい。上記角度αの絶対値の上限は、160°がより好ましく、150°がさらに好ましい。また、上記角度αの絶対値の下限は、120°がより好ましく、130°がさらに好ましい。なお、詳細には、吐出口13の噴出方向と係合突起5の突出方向との平面視における角度αとしては、吐出容器1が右手用の場合は、−110°以上−170°以下が好ましく、吐出容器1が左手用の場合は、+110°以上+170°以下が好ましい。
【0033】
吐出口13の噴出方向は、縦断面において斜め上方に傾斜している。吐出口13の傾斜角βとしては、特に限定されないが、1°以上45°以下が好ましい。吐出口13の傾斜角βの上限は、40°がより好ましく、35°がさらに好ましい。また、吐出口13の傾斜角βの下限は、5°がより好ましく、10°がさらに好ましい。
【0034】
また、縦断面における吐出口13の噴出方向とノズルヘッド12の突出方向との角度γとしては、特に限定されないが、45°以上85°以下が好ましい。上記角度γの上限は、80°がより好ましく、75°がさらに好ましい。また、上記角度γの下限は、50°がより好ましく、60°がさらに好ましい。
【0035】
さらに、縦断面における容器2の底壁の前後方向とノズルヘッド12の突出方向との角度δとしては、特に限定されないが、80°以上89°以下が好ましい。上記角度δの上限は、88°がより好ましく、86°がさらに好ましい。また、上記角度δの下限は、82°がより好ましく、84°がさらに好ましい。
【0036】
係合突起5の下面9とノズルヘッド12の上面との距離Hとしては、特に限定されないが、4cm以上7cm以下が好ましい。上記距離Hの上限は、6.5cmがより好ましく、6cmがさらに好ましい。また、上記距離Hの下限は、4.5cmがより好ましく、5cmがさらに好ましい。
【0037】
〈吐出容器1の使用方法〉
次に、図5を参照して、吐出容器1の使用方法について説明する。図5では、吐出容器1を使用者の右手で把持する場合(吐出容器1が右手用の場合)について説明する。
【0038】
まず、吐出容器1の持ち方について説明する。吐出容器1を把持する場合、使用者は、親指と人差し指との股部を係合突起5の下面9に当接させる。そして、使用者は、人差し指の末節をノズルヘッド12の上面に添える。詳細には、使用者は、人差し指を添えた部分がノズルヘッド12の凹部17に収まるようにノズルヘッド12の上面に人差し指を添える。また、使用者は、手のひらで容器本体4を挟み込みつつ、中指を上壁6に添え、薬指を第三傾斜面8の底部付近に添わせ、小指を第三傾斜面8よりも下側の側壁に添える。
【0039】
続いて、吐出容器1を用いて容器2内に蓄えられる流体を噴出させる場合について説明する。
【0040】
使用者は、左手を手のひらが上方を向くように保ち、この手のひらと吐出口13の噴出方向と略垂直になるように所定の間隔をおいて吐出容器1を保持する。そして、使用者は、ノズルヘッド12を押し込み吐出口13から流体を噴出させて左手で受け止める。
【0041】
〈利点〉
当該吐出容器1は、係合突起5が容器本体4の側壁上部から径方向に突出されており、かつこの係合突起5の下面9全体が開口部7の最下部よりも下方に位置しているので、この係合突起5の下面に使用者の親指と人差し指との股部を係止させた状態で、この使用者の手のひらに容器本体4を挟み込ませ、かつ親指、中指、薬指及び小指の4指によって確実に把持させることができる。当該吐出容器1は、係合突起5の下面9に使用者の親指と人差し指との股部を係止させるだけでこの使用者が容器本体4を確実に把持することができるので、作業の迅速性及び確実性に優れている。
【0042】
当該吐出容器1は、係合突起5によって使用者の親指と人差し指との股部が下方から係止される結果、この使用者が人差し指でノズルヘッド12を押し込む際に、容器本体4が上下方向に対しても左右方向に対しても確実に支持される。それゆえ、当該吐出容器1は、容器本体4を使用者が確実に把持したうえでこの使用者が人差し指でノズルヘッド12を押し込むのに好適な構造を有しており、作業の確実性に優れている。さらに、当該吐出容器1は、使用者の親指と人差し指との股部を係合突起5に係止させるので、把持状態において容器2及びこの容器2に連結されるポンプディスペンサ3の向きが固定され、容器2内の流体を吐出口13から所定の方向に噴出させることができる。従って、当該吐出容器1は、使用時に吐出口13の向きを確認する必要がなく、作業の確実性に加え迅速性にも優れている。
【0043】
当該吐出容器1は、開口部7の最下部と係合突起5の上面とが略同一高さに形成されているので、使用者の人差し指をノズルヘッド12に添えやすく、かつ他の指の位置も容易に固定され易い構造となっている。それゆえ、当該吐出容器1は、作業の迅速性及び確実性を向上させることができる。また、当該吐出容器1は、かかる構成によれば、意匠性を向上させることができる。
【0044】
当該吐出容器1は、係合突起5の下面9が、第一傾斜面10を有しているので、第一傾斜面10によって親指と人差し指との股部を容易かつ確実に係止させることができる。
【0045】
当該吐出容器1は、係合突起5の下面9が、第一傾斜面10に連設される第二傾斜面11を有しているので、親指と人差し指との股部の容器本体4の径方向に対する動きが制御され、作業の迅速性、確実性及び安全性を向上させることができる。
【0046】
当該吐出容器1は、容器本体4の側壁前方上部が、第三傾斜面8を有しているので、容器本体4の上壁6に中指を添わせ、かつ第三傾斜面8の底部付近に薬指を添わせた状態で容器本体4を使用者に確実に把持させることができ、作業の迅速性、確実性及び安全性をさらに向上させることができる。
【0047】
当該吐出容器1は、第三傾斜面8の側壁に対する平均傾斜角が上記範囲とされ、かつ第三傾斜面8の側壁前端における頂部と底部とを結んだ線分の長さが上記範囲とされているので、容器本体4の上壁6に中指を添わせ、かつ第三傾斜面8の底部付近に薬指を添わせた状態で容器2を使用者にさらに容易かつ確実に把持させることができる。
【0048】
当該吐出容器1は、吐出口13の噴出方向と係合突起5の突出方向との平面視における角度αの絶対値が上記範囲とされているので、吐出口13から噴出される流体を当該吐出容器1を把持していない手のひらで受け止める際に、ノズルヘッド12を押し込む人差し指と流体を受け止める手のひらとが略平行に保たれる。従って、当該吐出容器1は、当該吐出容器1を把持した方の手を流体を受け止める手のひら上に自然に移動させるだけで好適に用いることができ、使用容易性を向上させることができる。
【0049】
当該吐出容器1は、吐出口13の噴出方向が縦断面において斜め上方に傾斜しているので、吐出口13から噴出される流体を当該吐出容器1を把持していない手のひらで受け止める際の容易性をさらに向上することができる。
【0050】
当該吐出容器1は、縦断面における吐出口13の噴出方向とノズルヘッド12の突出方向との角度γが上記範囲とされているので、当該吐出容器1を把持した方の手を体の前方に自然に移動させるだけで当該吐出容器1を把持していない手のひら上に吐出口13を向けることができる。従って、当該吐出容器1は、作業の容易性をさらに向上させることができる。
【0051】
当該吐出容器1は、縦断面における容器2の底壁の前後方向とノズルヘッド12の突出方向との角度δが上記範囲とされているので、親指と人差し指との股部を係合突起5に係止させた状態におけるノズルヘッド12の押し込み容易性を向上させることができる。
【0052】
当該吐出容器1は、係合突起5の下面9とノズルヘッド12の上面との距離Hが上記範囲とされているので、人差し指でノズルヘッド12の上面を容易に押し込むことができる。
【0053】
また、毛髪処理剤は、通常、吐出容器から一旦手のひらに噴出させたうえ、手のひら上で一定程度に引き伸ばしたうえで所望の箇所に塗布される。それゆえ、当該吐出容器1は、毛髪処理剤吐出容器であることによって、作業の迅速性、確実性を好適に高めることができる。
【0054】
さらに、ポンプフォーマーから噴出される泡は滑りやすいため、かかる泡が吐出容器の容器等に付着するとこの容器を確実に保持することが困難となる。これに対し、当該吐出容器1は、係合突起5によって使用者の親指と人差し指との股部が下方から係止される結果、この使用者が人差し指でノズルヘッド12を押し込む際に、容器2が上下方向に対しても左右方向に対しても確実に支持されるので、作業の迅速性及び確実性を向上することができる。
【0055】
[第二実施形態]
〈吐出容器21〉
図6の吐出容器21は、容器22と、ポンプディスペンサ3とを有している。ポンプディスペンサ3については、図1の吐出容器1と同様のため、同一番号を付して説明を省略する。
【0056】
容器22は、容器本体23と、係合突起24とを有している。容器本体23は、略円環状の上壁25と上壁25の内周から立設される開口部(図示せず)とを有する有底円筒状に形成されている。容器22の形成材料としては、図1の容器2と同様とすることができる。また、容器本体23の平均径、平均高さは、図1の容器本体4と同様である。容器本体23は、側壁前方上部が、径方向かつ上端にかけて傾斜した第三傾斜面26を有している。第三傾斜面26の側壁に対する平均傾斜角、第三傾斜面26の側壁前端における頂部と底部とを結んだ線分の長さについては、図1の吐出容器1と同様である。
【0057】
係合突起24は、容器本体23の側壁上部から径方向かつ後方に突出して形成されている。係合突起24の下面27全体は、開口部の最下部よりも下方に位置するように形成されている。係合突起24は、容器本体23と同一の材料によって、容器本体23と一体的に形成されている。開口部の最下部と係合突起24の上面とは略同一高さに形成されている。係合突起24の下面27は、容器本体23の側壁と連設され径方向かつ上方に傾斜した第一傾斜面として形成されている。吐出口13の噴出方向と係合突起24の突出方向との平面視における角度の絶対値、吐出口13の噴出方向及び吐出口13の傾斜角、縦断面における吐出口13の噴出方向とノズルヘッド12の突出方向との角度、縦断面における容器22の底壁の前後方向とノズルヘッド12の突出方向との角度、係合突起24の下面27とノズルヘッド12の上面との距離は、図1の吐出容器1と同様である。
【0058】
〈利点〉
当該吐出容器21は、図1の吐出容器1と同様、容器22を使用者が確実に把持したうえでこの使用者が人差し指でノズルヘッド12を押し込むのに好適な構造を有しており、作業の確実性に優れている。当該吐出容器21は、使用者の親指と人差し指との股部を係合突起24に係止させるので、把持状態において容器22及びこの容器22に連結されるポンプディスペンサ3の向きが固定され、容器22内の流体を吐出口13から所定の方向に噴出させることができる。従って、当該吐出容器21は、使用時に吐出口13の向きを確認する必要がなく、作業の確実性に加え迅速性にも優れている。
【0059】
[その他の実施形態]
なお、本発明の吐出容器は、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、当該吐出容器は、必ずしもノズル押し込み式吐出容器である必要はなく、トリガーを手前に引くことによって容器内の流体を噴出させるトリガー式吐出容器であってもよい。また、当該吐出容器は、容器内の流体を吐出口から噴出させるものである限り必ずしもポンプフォーマーである必要はない。容器本体は、必ずしも上壁を有している必要はなく、開口部と側壁とが連設されていてもよい。また、容器本体は、有底筒状に形成されている限り、必ずしも有底円筒状に形成されている必要はなく、有底多角筒状等であってもよい。係合突起は、容器本体の側壁上部から径方向かつ後方に突出して形成されていればよく、必ずしも係合突起の開口部の最下部と係合突起の上面とが略同一高さに形成されていなくともよい。当該吐出容器は、係合突起が容器本体の側壁上部から突出して形成され、かつこの係合突起の下面全体が開口部の最下部よりも下方に位置していることによって、係合突起の下面に使用者の親指と人差し指との股部を係止させた状態で、この使用者の手のひらに容器本体を挟み込ませ、かつ親指、中指、薬指及び小指の4指によって確実に把持させることができる。また、係合突起は、必ずしも容器本体と一体的に形成されている必要はなく、別々に製造したうえで連結してもよい。
【0060】
当該吐出容器は、必ずしも毛髪処理剤吐出容器として用いられる必要はなく、化粧品、ボディソープ、食器用洗剤等種々の流体を容器内に貯めて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明の吐出容器は、作業の迅速性及び確実性を向上させることができ、毛髪処理剤、化粧品、ボディソープ、食器用洗剤等種々の流体を容器内に貯めて使用するのに適している。
【符号の説明】
【0062】
1 吐出容器
2 容器
3 ポンプディスペンサ
4 容器本体
5 係合突起
6 上壁
7 開口部
8 第三傾斜面
9 下面
10 第一傾斜面
11 第二傾斜面
12 ノズルヘッド
13 吐出口
14 基盤
15 シリンダ
16 フランジ部
17 凹部
21 吐出容器
22 容器
23 容器本体
24 係合突起
25 上壁
26 第三傾斜面
27 下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7