【0019】
押出発泡体の圧縮強度は20N/cm
2以上であり、好ましくは25N/cm
2以上である。さらに、押出発泡体の曲げ強度は25N/cm
2以上であり、好ましくは30N/cm
2以上である。圧縮強度や曲げ強度が低いと、施工時の破壊が多くなり、床下に施工する場合には使用時の破壊も多くなる。
本発明のスチレン系樹脂組成物による板状押出発泡体シートの製造方法は、通常知られている方法を用いることができる。押出発泡時の発泡剤や発泡核剤については通常用いられる物質を使用できる。発泡剤としてはブタン、ペンタン、フロン、水等を使用することができ、ブタンが好適である。また発泡核剤としてはタルク等を使用できる。ポリスチレン系板状押出発泡シートは、厚み10〜100mm、見かけ密度20〜50g/L、発泡セル径は0.005〜0.5mmであることが好ましい。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0020】
以下、分析方法と発泡体特性の測定法を記す。
(1)メルトマスフローレイト(MFR)
ISO1133に従って200℃、49N荷重でメルトマスフローレイト(グラム/10分)を測定した。
【0021】
(2)分子量
分子量の測定に用いた装置及び条件は次の通りである。
使用装置:東ソー製HLC8220
分析カラム:東ソー製super HZM−H
測定溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:スチレン樹脂5mgを10mlの溶媒に溶解
測定温度:40℃
流速:0.35ml/分
【0022】
(3)板状押出発泡体の発泡体密度
発泡体の重量/発泡体の体積から発泡体密度(kg/m
3)を計算した。
【0023】
(4)板状押出発泡体の平均気泡径
ASTM・D3576−77に準じて発泡体押出断面の平均気泡径(mm)を測定した。
【0024】
(5)板状押出発泡体の独立気泡率
ASTM・D2856−Aに準じて独立気泡率(%)を測定した。
【0025】
(6)難燃性
発泡体から厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片を5個作製し、それぞれJIS A9511に準じた方法で以下の評価基準に従って難燃性を判定した。
○:5本とも3秒以内に炎が消える
×:5本のうち1本以上が3秒以内に消えない
【0026】
(7)熱伝導率
下記の装置、条件で熱伝導率(W/(m・K))を測定した。
使用装置:京都電子工業株式会社製 熱伝導率計 Kemtherm QTM−D3
測定温度:室温
【0027】
(8)圧縮強度
JIS K7220に準じた方法で圧縮強度を測定した。
【0028】
(9)曲げ強度
JIS K7221−2に準じた方法で曲げ強度を測定した。
【0029】
[実施例1]
[スチレン系樹脂の製造]
スチレン86.5重量%、エチルベンゼン13.5重量%の混合液100重量部に対し、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.012重量部を添加した重合液を、5.4リットルの完全混合型反応器に0.7リットル/Hrで連続的に仕込み、121℃に調整した。完全混合型反応器と並列に接続された、攪拌器を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−1に、スチレン68重量%、エチルベンゼン32重量%の混合液100重量部に対し、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン0.08重量部及びα−メチルスチレンダイマー0.6重量部を添加した重合液を、0.34リットル/Hrで連続的に仕込み、層流型反応器−1の温度を135/140/130℃に順次調整した。
【0030】
完全混合型反応器と層流型反応器−1の重合体溶液を合わせて、引き続き、攪拌器を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−2、及びそれと直列に配され、攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−3に、連続的に仕込んだ。層流型反応器−2と層流型反応器−3の温度を、それぞれ、113℃/113℃/113℃と160℃/160℃/165℃に順次調整した。
重合反応器より連続して排出される重合体溶液を直列に配置した2基の、予熱器として0.6リットルの静的混合器を内蔵した4リットルの脱揮タンクに導いた。予熱器温度を240℃とし、脱揮タンク内で240℃に保ちながら、10torrの減圧下、脱揮後ペレタイズした。重合条件を以下の表1に示す。
得られたスチレン系樹脂の特性を以下の表2に示す。メルトマスフローレイトは7.9g/10分、重量平均分子量(Mw)は20.9万であった。
【0031】
[ポリスチレン樹脂組成物の発泡押出し]
上記のポリスチレン樹脂を単軸押出機、ミキサー、ロータリークーラー、及びダイからなる押出発泡機を用いて、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、発泡核剤としてタルク1重量部、ヘキサブロモシクロドデカン3重量部、更に熱安定剤を添加し、厚さ30mmの板状の発泡体を製造した。樹脂溶融ゾーンの温度は180〜220℃、ロータリークーラー温度は150〜160℃、ダイ温度を120〜130℃に調整した。発泡剤としてはLPG(ノルマルブタン/イソブタン=70/30<体積分率>)を5重量部添加した。得られた発泡体の発泡体密度、平均気泡径、独立気泡率、難燃性、熱伝導率、圧縮強度、曲げ強度の評価を行った。結果を以下の表2に示す。
【0032】
[実施例2]
発泡剤量を6重量部にして発泡倍率を高くした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
【0033】
[実施例3,4]
重合条件を以下の表1の通り変更した以外は実施例1と同様に実施して、以下の表2に示す性状のポリスチレン樹脂を製造した。結果を以下の表2に示す。
【0034】
[比較例1〜3]
[スチレン系樹脂の製造]
重合条件を以下の表1の通り変更した以外は実施例1と同様に実施した。結果を以下の表2に示す。
【0035】
[比較例4]
押出機の温度を240℃に変更した以外は、比較例2と同様に実施した。結果を以下の表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】