(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モーター冷却ファンから送られる風の風路上であって、前記脚部の下流側に、前記加熱室加熱手段の端子部及び前記上方加熱手段の端子部のいずれか又は両方が配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る加熱調理器を、誘導加熱による調理鍋載置部を左右手前に二口と中央奥側に一口設けた、ビルトイン型(組込み型)の加熱調理器(IHクッキングヒーター)に適用した場合を例に説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において、同一の構成には同一の符号を付している。
【0010】
実施の形態1.
[加熱調理器100の構成]
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100を示す斜視図である。
図1において加熱調理器100の筐体1の上側には、筐体上枠2が着脱自在に配置される。筐体上枠2の中央にはトッププレート3、前面側には操作部4、後部右側には筐体吸気口5、後部左側には筐体排気口6が設けられている。筐体吸気口5及び筐体排気口6は、吸排気口カバー7によって覆われている。また、筐体1の内部には、調理室20が設けられている。
【0011】
トッププレート3には、鍋等の被加熱物(図示せず)が載置される載置部9が設けられている。本実施の形態1では、トッププレート3の前面側右、背面側中央、及び前面側左、の3箇所に載置部9が設けられている。筐体1内のトッププレート3の下方には、各載置部9に対向する位置に、載置部9に載置される被加熱物を加熱するための加熱手段として誘導加熱コイルが設けられている。加熱手段としては、誘導加熱コイルのほか、例えばラジエントヒーター等の電気ヒーターを用いることができるが、具体的な加熱手段はこれらに限定されない。また、本実施の形態1では、トッププレート3上においても加熱調理を行う加熱調理器を例に示しているが、トッププレート3上において加熱調理を行うための加熱手段は必要に応じて搭載すればよく、調理室20における加熱調理のみを行う加熱調理器としてもよい。
【0012】
また、トッププレート3には、液晶画面やLED等の視覚的な表示手段を備えた表示部8が設けられている。表示部8は、加熱調理器100の動作状態、操作部4に対する入力内容等を表示するとともに、使用者に対して加熱調理器100の状態等を報知する報知手段として機能する。なお、本実施の形態1では、報知手段として表示部8を設けた例を示すが、表示部8に代えてあるいはこれに加えて、音声で報知を行うブザーやスピーカ等の報知手段を備えてもよい。
【0013】
操作部4は、加熱調理器100における加熱動作の設定を受け付けるための操作ボタンやスイッチ等で構成されている。本実施の形態1では、筐体1の前面にも操作部4が設けられている。操作部4の具体的構成を限定するものではなく、例えばタッチパネルにより構成された操作部4を設けてもよい。
【0014】
筐体吸気口5は、加熱調理器100の内部に設けられた各種発熱部品を冷却するための冷却風を筐体1の内部に導入するための開口部である。筐体排気口6は、加熱調理器100の内部を冷却した後の冷却風及び調理室20からの排気を、筐体1の外部に排出するための開口部である。通常の使用状態においては、筐体吸気口5及び筐体排気口6は、
図1に示すように吸排気口カバー7によって覆われている。
吸排気口カバー7は、通気性を有するパンチングメタル又は格子状の金属部材で構成されていて通気性があり、通気抵抗が少ない。冷却風の吸気及び排気、並びに調理室20からの排気は、吸排気口カバー7をスムースに通過する。
【0015】
筐体1の前面の左側には、調理室扉21が設けられている。この調理室扉21は、筐体1内に設けられた調理室20の前面開口部を開閉自在に覆う扉であり、調理室20内で調理される被加熱物を調理室20内に出し入れできるように、奥行き方向にスライド可能である。また、調理室扉21は、調理室20及び調理室扉21自身の清掃等のメンテナンスを容易にするため、調理室20に対して着脱可能に構成されている。
【0016】
なお、本実施の形態1の調理室20、操作部4、及び表示部8の配置は一例であり、これに限るものではない。例えば、調理室20を筐体1の中央や右側に寄せて配置してもよい。また、操作部4を、トッププレート3と筐体1の前面の両方に設けるのではなく、いずれかにのみ設けてもよい。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の筐体1内部の主要部の斜視図である。
図2は、加熱調理器100から、筐体上枠2、トッププレート3、吸排気口カバー7、及びトッププレート3に載置される被加熱物を加熱するための加熱手段を取り外した状態を示している。
図2に示すように、筐体1の内部は、仕切板10によって概ね左右に仕切られており、一方の収容空間(
図2の紙面右側)には基板ユニット11が収容され、他方の収容空間(
図2の紙面左側)には調理室20が収容されている。
【0018】
なお、図示しないが、基板ユニット11と調理室20の上側には、筐体1の内部を上下に仕切る上下仕切板が配置され、この上下仕切板の上に誘導加熱コイル等の加熱手段が配置される。
【0019】
基板ユニット11は、内部に収容空間を有する基板ケース111を有する。この基板ケース111の内部には、加熱調理器100を構成する発熱部品に冷却風を送るための冷却ファン、トッププレート3に載置される被加熱物を加熱するための誘導加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ回路、及び調理室20を含め加熱調理器100を構成する各部を制御するためのマイコンや制御回路等の電子部品が実装された電子回路基板等が収容されている。なお、
図2では、基板ユニット11内に収容される部品は図示していない。また、本実施の形態1では、加熱調理器100の動作を制御する機能部品の集合体を、制御手段と称する。
【0020】
基板ケース111の上面には、複数の冷却風吹出口12が開口している。基板ユニット11内に設けられた冷却ファンが動作すると、筐体1の外部の空気が筐体吸気口5から筐体1内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は基板ケース111内に流入する。基板ケース111内に流入した空気は、冷却ファンにより吸引されて送出され、冷却風としてインバータ回路及び電子回路基板を冷却した後、冷却風吹出口12から基板ケース111の外側へ吹き出される。
【0021】
冷却風吹出口12から吹き出された冷却風は、筐体1の後部に向かって筐体1内を流れ、その過程において、基板ユニット11及び調理室20の上に配置される誘導加熱コイル等の加熱手段を冷却する。加熱手段を冷却した後の冷却風は、筐体排気口6から筐体1の外部へと排出される。
【0022】
調理室20は、食材等の被加熱物を収容する収容空間を内部に有し、前面を開口している。調理室20の前面開口は、
図1に示した調理室扉21によって開閉自在に覆われる。調理室20の上には吸引ダクト30が設けられ、調理室20の背面にはコンベクションユニット40が設けられている。調理室20、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40は互いに連通している。また、コンベクションユニット40には、調理室20内の空気を排気する調理室排気ダクト41が設けられている。
【0023】
(調理室20)
図3は、実施の形態1に係る調理室20、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の斜視図であり、一部を分解して示している。
図4は、実施の形態1に係る調理室20、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の概略断面図である。
図3及び
図4を参照して調理室20の構成を説明する。
調理室20は、略直方体の外形を有する。調理室20の外郭のうち、天面を構成する部分を上壁201、左右両側の壁を側壁202、前面開口と対向する壁を後壁203と称する。調理室20の内部の上方には、調理室20内を上方から加熱する上ヒーター22が設けられている。本実施の形態1の上ヒーター22は、抵抗発熱体であるシーズヒーターである。この上ヒーター22は、幅方向及び奥行き方向に複数回折り曲げられた形状を有しており、調理室20内の幅方向及び奥行き方向において広範囲に加熱することができる。上ヒーター22の端子部221は、調理室20の後壁203の右側に設けられた開口部から、外部へ突出している。上ヒーター22の端子部221は、基板ユニット11内の電子回路基板に配線接続され、上ヒーター22の加熱の有無や加熱量は、制御手段によって制御される。
【0024】
なお、本実施の形態1では、調理室20内を上方から加熱する上方加熱手段としてシーズヒーターからなる上ヒーター22を設ける例を示したが、シーズヒーターに代えて、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、又はカーボンヒーター等を用いてもよい。また、調理室20内に上ヒーター22を設けるのではなく、調理室20の上壁201の上側にフラットヒーターや誘導加熱コイルを設け、これらにより調理室20の上壁201を加熱してもよい。調理室20内の被加熱物を、放射又は空気の熱伝達で上方から加熱できる手段であれば、上ヒーター22として任意の構成を採用することができる。
【0025】
調理室20の内部の下方には、被加熱物から滴下する油や汁を受けるための受皿23が設けられている。受皿23は、調理室20の内部から取り外すことができるように構成されている。受皿23の外周部には周壁が設けられており、被加熱物から滴下した油や汁を受皿23内に溜めることができる。
【0026】
受皿23の上には、被加熱物が載置される調理台としての調理網24が、着脱自在に載置されている。調理網24の載置面241は、例えば左右方向に延びる棒状のステンレス鋼を複数並べて構成された、いわゆるストレートタイプの焼網で構成されている。調理網24の素材は、耐熱性のある素材で調理に適した毒性のない素材であればステンレス鋼以外でもよく、また、素材の表面に非粘着性や防汚性を備えた無機セラミックコーティング剤等を塗布してもよい。また、調理網24は、受皿23上に起立する脚部242を有する。載置面241と受皿23との間には、脚部242の高さ分の通風空間50が形成されている。なお、調理網24の載置面241の形状は図示のものに限定されず、格子状の焼網や、前後方向に延びる棒状部材を備えた焼網、パンチングメタル等、任意のものを採用することができる。ただし、調理網24の載置面241の下側の通風空間50には、後述するようにコンベクションユニット40から供給される高温の空気(コンベクションユニット40から供給される高温の空気を熱気と称する場合がある)が流れるので、この熱気と被加熱物の下面とが接触できるようにするために、載置面241は、開口のない平板形状ではなく、空気の流通が可能な開口が形成されているのが好ましい。
【0027】
調理室20の後壁203には、背面吸込口25と、この背面吸込口25よりも低い位置に設けられた吹出口26とが開口している。調理室20は、背面吸込口25及び吹出口26を介して、コンベクションユニット40の内部と連通している。
背面吸込口25は、吸引ダクト30を介して吸引される調理室20内の空気を、コンベクションユニット40に流入させるための開口部である。
【0028】
吹出口26は、コンベクションユニット40から送られる熱気を調理室20内に吹き出すための開口部である。吹出口26から調理室20内に吹き出された熱気により、被加熱物が加熱される。本実施の形態1では、概ね円形の複数の吹出口26が設けられており、これら複数の吹出口26は、幅方向に間隔をあけてほぼ同じ高さに設置されている。
吹出口26の一部又は全部は、調理網24の載置面241と受皿23の底面との間の通風空間50の高さの範囲内に配置されるのが好ましい。このようにすることで、吹出口26から吹き出される空気の多くが、載置面241の下側の通風空間50を流れるので、載置面241に載置される被加熱物の下部を効率よく加熱することができる。また、通風空間50の高さの範囲内に、高さ位置の異なる複数の吹出口26を設けてもよい。
【0029】
また、吹出口26は、調理室20内において左右対称に設けられるのが好ましい。このようにすることで、吹出口26から調理室20内に供給される気流の左右方向における偏りを抑制することができ、被加熱物の加熱度合いのばらつきも抑制することができる。
なお、吹出口26の数及び開口形状は、図示のものに限定されない。例えば、幅広の開口形状を有する一又は複数の吹出口26を設けてもよい。
【0030】
調理室扉21の下部には、調理室20内と連通する吸気用開口部29が設けられている。吸気用開口部29は、調理室排気ダクト41を経て排気される調理室20内の空気量に相当する量の空気を、調理室20内に補うためのものである。吸気用開口部29は、本実施の形態1では、調理室扉21の下部であって前面から使用者が調理室扉21を見たときに調理室扉21の取っ手によって隠れる位置に、設けられている。このようにすることで、吸気用開口部29が使用者に視認されにくく、意匠性がよい。
【0031】
(吸引ダクト30)
図3及び
図4を参照して、吸引ダクト30を説明する。
吸引ダクト30は、調理室20内の空気を、コンベクションユニット40内に導くための通風路であり、大まかには上面ダクト31と背面ダクト32とによって構成されている。上面ダクト31は、調理室20の上壁201の上に設けられており、上壁201の手前側から奥側に向かって延びる略直線状の通風路を内部に形成する。上面ダクト31の下面は、調理室20の上壁201によって構成されている。上壁201の手前側には、上面ダクト31への空気の流入口となる上面吸込口27が開口しており、上壁201の奥側には、上面ダクト31からの空気の流出口となる連通口28が開口している。上面吸込口27は、調理室20の奥行き方向中央よりも手前側(調理室扉21側)に開口している。上面ダクト31の一端側に設けられた上面吸込口27から上面ダクト31内に流入した空気は、上面ダクト31の他端側に設けられた連通口28を通って背面ダクト32に流入する。
【0032】
背面ダクト32は、調理室20の上壁201に設けられた連通口28と、後壁203に設けられた背面吸込口25とを結ぶ通風路である。背面ダクト32は、後壁203と背面ダクト32内部との間に通風路を形成する。背面ダクト32は、下方から上方に向かって調理室20の内部方向(前面方向)に突出するように傾斜した傾斜面を有する背面ダクト前壁321と、この背面ダクト前壁321の側端部から背面側に向かって延び後壁203に接続される背面ダクト側壁322とを備えている。背面ダクト32の上端において後壁203との間に形成される開口部は、上壁201に設けられた連通口28に接続される。上面ダクト31と背面ダクト32とによって、上面吸込口27から連通口28を経て背面吸込口25に至る通風路が形成される。
【0033】
背面吸込口25の周囲の後壁203であって、背面ダクト32と対向する部分は、後方に向かって凹んでいる。この凹んだ部分を凹部204と称する。背面ダクト32内の後壁203に凹部204が形成されたことにより、背面ダクト32と後壁203(凹部204)との間の空間の容積が拡大されている。
【0034】
上面ダクト31の入口である上面吸込口27には、触媒体33が設けられている。触媒体33は、複数の開口部を有する触媒体支持材34によって上壁201に固定されている。触媒体33は、通風可能な小孔を有しており、調理室20から上面ダクト31内に流入する空気に含まれる汚染物質の少なくとも一部を吸着して酸化分解し、空気の清浄度を高める機能を発揮する。なお、触媒体33は、
図4に示すように上壁201の下面に取り付けられていてもよいし、上面ダクト31の内部に一部又は全部が挿入されていてもよい。
【0035】
触媒体33には、酸化触媒が添着されており、上ヒーター22により加熱され触媒活性を得て、空気が通過するときに油煙や臭気成分等の物質を吸着して酸化分解を行い、空気を浄化する。触媒体33に添着される酸化触媒としては、白金、パラジウム、マンガン等のいずれかまたはすべてを含んだものが用いられる。低温活性の白金やマンガンを含む触媒を用いることで、より高い浄化性能を得ることができる。
【0036】
触媒体33は、上壁201に設けられた上面吸込口27内に設置されており、上ヒーター22によって加熱される。上ヒーター22によって触媒体33の温度を高めることで、触媒体33での汚染物の分解に係る化学反応速度が速まり、より多くの汚染物質が除去され、排気の清浄度を高めることができる。上ヒーター22によって触媒体33を加熱することができるので、触媒体33を加熱するための専用の加熱手段を設ける必要もない。本実施の形態1では、上から見たときに触媒体33と上ヒーター22の少なくとも一部が重なるようにすることで、触媒体33と上ヒーター22とを近接配置し、触媒体33が上ヒーター22からの放射を受けることができるようにしている。なお、触媒体33の触媒活性を得ることができるように触媒体33及び上ヒーター22の配置を決定すればよい。
【0037】
(コンベクションユニット40)
図5は、実施の形態1に係るコンベクションユニット40の斜視図である。
図3、
図4、及び
図5を参照してコンベクションユニット40の構成を説明する。
コンベクションユニット40は、調理室20内の空気を吸い込んで加熱し、加熱した空気を再び調理室20に供給するためのものである。コンベクションユニット40は、内部に収容空間を有する加熱室42と、加熱室42内に収容されるコンベクションファン43及びコンベクションヒーター44と、コンベクションファン43を回転させるモーター45と、加熱室42の後方に設けられモーター45を収容するモーター収容ケース46とを備える。加熱室42を構成する加熱室後壁421の上部には、調理室排気ダクト41が接続されている。加熱室42の内部と調理室排気ダクト41は連通している。調理室排気ダクト41の出口側は、筐体排気口6に接続され、調理室排気ダクト41から排出される排気は筐体排気口6から筐体1の外部へと流出する。
【0038】
加熱室42は、調理室20の後壁203に設けられた吹出口26を、後壁203の背面側から覆っている。すなわち、加熱室42の内部に、複数の吹出口26のすべてが配置されている。
図5に示すように、本実施の形態1の加熱室42は、上部の幅よりも下部の幅の方が大きく構成されており、この幅が拡大された加熱室42の下部に対向して、吹出口26が配置される。
【0039】
コンベクションファン43は、モーター45の回転軸と固定され、モーター45の動作により回転する。コンベクションファン43は、空気を吸引する中央部分が、調理室20の後壁203に設けられた背面吸込口25に対面するようにして、加熱室42内に配置されている。コンベクションファン43が回転すると、その中央部から空気が吸引され、吸引された空気は羽根の外周部から送出される。モーター45とコンベクションファン43は、吸引ダクト30を介して吸い込んだ調理室20内の空気を、吹出口26を介して調理室20へ送る送風手段として機能する。
【0040】
モーター45は、DCモーター又は誘導モーターである。モーター45は、回転軸が後から前に向かって略水平の向きになるように設置されており、モーター45の回転軸には、加熱室42内に設けられたコンベクションファン43が取り付けられている。調理室20内における加熱調理動作中は、モーター45の回転の有無や回転数等が制御手段によって制御される。
【0041】
コンベクションヒーター44は、加熱室42内を加熱する加熱室加熱手段である。本実施の形態1では、コンベクションヒーター44は、シーズヒーターで構成されており、加熱室42内のコンベクションファン43の下側に設けられている。
図5に示すように、コンベクションヒーター44は、加熱室42の下部の一方の加熱室側壁422から他方の加熱室側壁422にわたってほぼ全域に配置されている。加熱室42の下部は、吹出口26と対向配置されるので、コンベクションヒーター44も吹出口26と対向配置される。
【0042】
コンベクションヒーター44の端子部441は、加熱室後壁421の右側に設けられた開口部から、外部へ突出している。
図3に示すように、コンベクションヒーター44の端子部441と上ヒーター22の端子部221はともに、調理室20の右側に配置されている。コンベクションヒーター44の端子部441は、基板ユニット11内の電子回路基板に配線接続され、コンベクションヒーター44の加熱の有無や加熱量は、制御手段によって制御される。なお、本実施の形態1では、コンベクションヒーター44としてシーズヒーターを用いる例を示すが、セラミックヒーター、ニクロム線ヒーター、ハロゲンランプヒーター、カーボンヒーター等のガラス管ヒーターを用いてもよい。
【0043】
また、コンベクションヒーター44は、その少なくとも一部が高さ方向において吹出口26と重なるように配置されていることにより、コンベクションヒーター44と吹出口26とが近接配置されている。このようにコンベクションヒーター44を吹出口26に近づけて配置することで、コンベクションヒーター44により加熱された空気温度をなるべく低下させることなく吹出口26から吹き出すことができる。したがって、調理室20内の被加熱物の加熱効率を高めることができる。なお、
図5に示すコンベクションヒーター44の形状及び配置は一例であり、図示のものに限定されない。
【0044】
本実施の形態1では、コンベクションユニット40は、調理室20の背面の左側に配置されているので、調理室20の背面の右側のスペースに、上ヒーター22の端子部221及びコンベクションヒーター44の端子部441を配置することができる。また、上ヒーター22の端子部221及びコンベクションヒーター44の端子部441が近くに配置されているので、加熱調理器100を組み立てる際の結線作業が容易である。
なお、調理室20の左右方向におけるコンベクションユニット40の配置は、実施の形態1で例示したものに限定されない。例えば、コンベクションユニット40を調理室20の背面の中央に配置してもよい。
また、上ヒーター22の端子部221及びコンベクションヒーター44の端子部441の配置についても、実施の形態1で例示したものに限定されない。
【0045】
図6は、実施の形態1に係るモーター収容ケース46及びこれに付帯する構成の斜視図である。
図6では、説明の関係上、モーター支持台47を透視して示している。また、
図7は、実施の形態1に係る調理室20及びコンベクションユニット40の平面図である。
図7では、モーター収容ケース46の内部を透視して示すとともに、空気の流れを矢印で概念的に示している。また、
図8は、実施の形態1に係る調理室20及びコンベクションユニット40の側面図である。
図6〜
図8に示すように、モーター収容ケース46の中には、モーター45と、モーター45を加熱室42の背面に固定するためのモーター支持台47と、モーター冷却ファン48とが収容されている。
【0046】
モーター収容ケース46は、例えば合成樹脂または金属で構成されており、モーター収容ケース46内への空気の流入口となる冷却風吸込口461と、空気の吹出口となる冷却風吹出口462とが形成されている。本実施の形態1では、モーター収容ケース46の後壁の左側に冷却風吸込口461が形成されている。また、モーター収容ケース46の右側の側壁に相当する部分が開放されていて、この部分が冷却風吹出口462である。モーター収容ケース46の上壁の一部には、上面開口464が形成されている。この上面開口464は、モーター収容ケース46が加熱室42に取り付けられたときに調理室排気ダクト41の下側に位置し、上面開口464から流出するモーター収容ケース46からの空気によって、調理室排気ダクト41を冷却する。なお、この上面開口464を設けなくともよい。
【0047】
また、モーター45の端子部451は、本実施の形態1では、冷却風吹出口462の内部に配置されている。また、コンベクションヒーター44の端子部441及び上ヒーター22の端子部221は、モーター収容ケース46の冷却風吹出口462の下流側に配置されている。
【0048】
モーター支持台47は、モーター45の回転軸が挿入される孔475を有し背面側にモーター45の本体が取り付けられる支持板471と、支持板471の四隅からそれぞれ加熱室42側に向かって延び加熱室42に取り付けられる脚部472とを有する。脚部472には、モーター支持台47を加熱室42の加熱室後壁421に固定するためのネジ穴が形成されている。モーター支持台47は、金属等の熱伝導率の高い材料で構成されている。
【0049】
モーター45の本体と加熱室42の加熱室後壁421との間には、奥行き方向に隙間が設けられている。この隙間を、バイパス風路463と称する。モーター支持台47の支持板471及び脚部472の大半は、バイパス風路463内に設置されている。本実施の形態1では
図6に示すように、上下に分かれて脚部472が設けられているので、支持板471の前側(加熱室42側)の空間は左右方向に貫通しており、バイパス風路463においては左右方向に空気の流通が可能である。
【0050】
モーター冷却ファン48は、モーター45に向けて送風する送風手段であり、モーター収容ケース46の冷却風吸込口461からモーター収容ケース46内に空気を吸い込み、吸い込んだ空気を冷却風としてモーター45の方向に送る。モーター冷却ファン48の吸込み側と、モーター収容ケース46の側壁との間には通風可能な空間である通風路49が設けられている。
【0051】
図9は、
図8のA−A断面図である。
図9では、空気の流れを矢印で概念的に示している。
図9に示すD1は回転軸を除くモーター45の奥行き外形寸法、D2はバイパス風路463の奥行き寸法、D3はモーター冷却ファン48の外径寸法である。これらD1、D2、及びD3は、以下の関係となるように構成されている。
D3=D1+D2(但し、D1及びD2は0より大きい)
モーター冷却ファン48の外径寸法D3の範囲内、すなわちモーター冷却ファン48から送られる風の流路幅の範囲内に、上記D1及びD2が配置されている。このような構成とすることで、モーター冷却ファン48により送り出された冷却風の一部はD1の範囲に供給され、冷却風の一部はD2の範囲に供給される。
【0052】
モーター冷却ファン48から送られるD1の範囲の冷却風により、モーター45の回転軸の軸受452及び端子部451を冷却することができるので、これらの部品の過度な高温化を抑制し、軸受452等の適正な寿命を保持することができる。
また、モーター冷却ファン48から送られるD2の範囲の冷却風は、モーター支持台47の脚部472の隙間を通って進み、その下流側に配置されている部材を冷却する。本実施の形態1では、モーター収容ケース46の冷却風吹出口462の下流側に配置された、コンベクションヒーター44の端子部441及び上ヒーター22の端子部221を冷却することができる。
【0053】
図10は、実施の形態1に係る加熱調理器100のコンベクションユニット40近傍の背面図である。
図11は、実施の形態1に係る加熱調理器100のコンベクションユニット40近傍の背面側斜視図である。
図12は、実施の形態1に係る加熱調理器100を一部破断して示す側面図である。
図11、
図12に示すように、筐体1の背面の壁の下部には、下側が前方に向かって傾いた背面傾斜壁13が設けられている。このような背面傾斜壁13を設けて筐体1の背面下部の角を取っているのは、加熱調理器100をキッチンの開口部に設置する際の作業性を考慮したものである。すなわち、加熱調理器100の前側をキッチンの開口部に挿入し、続けて加熱調理器100の背面側を下げつつキッチンの開口部に挿入する際に、筐体1の背面の下部がキッチンの開口部に引っかかりにくく、設置作業が容易となる。
【0054】
そして、本実施の形態1では、
図10〜
図12に示すように、モーター収容ケース46の冷却風吸込口461は、筐体1の背面に向かって開口している。また、筐体1には、冷却風吸込口461と連通する開口部(図示せず)が設けられている。上述のように、筐体1の背面下部には背面傾斜壁13が設けられているので、キッチンに加熱調理器100が設置された状態においては、背面傾斜壁13の外側とキッチンとの間に空間が生じる。冷却風吸込口461を、筐体1の背面に向かって開口させることで、背面傾斜壁13の外側とキッチンとの間の空間から冷却風となる空気を容易に吸い込むことができる。
【0055】
[加熱調理器の動作]
次に、実施の形態1に係る加熱調理器100の動作を説明する。
【0056】
(トッププレート3上での加熱調理)
使用者がトッププレート3上の載置部9に鍋等の被加熱物を載置し、その載置部9に対応する操作部4を操作すると、基板ユニット11内の電子回路基板に実装された制御手段が、トッププレート3の下方に設けられた誘導加熱コイルやラジエントヒーター等の加熱手段に電力を供給する。これにより、トッププレート3の上に載置された被加熱物の加熱調理が行われる。また、制御手段は、基板ユニット11内に設けられた冷却ファンを駆動し、冷却ファンから供給される冷却風によって上述のように加熱調理器100内の各部の冷却が行われる。
【0057】
(調理室20での加熱調理)
調理室20内における加熱動作を、
図4を参照して説明する。なお、
図4では、空気の流れを矢印で概念的に示している。
使用者が調理室20内の調理網24の上に被加熱物を載置して調理室扉21を閉じ、調理室20に対応した操作部4を操作して加熱条件の設定を行うと、制御手段は、設定内容に応じた制御シーケンスにより、調理室20内における加熱制御を開始する。より具体的には、制御手段は、調理室20及び加熱室42内にそれぞれ設けられた図示しない温度検知センサの検知温度、及び操作部4によって設定された設定条件に基づき、上ヒーター22、コンベクションヒーター44、及びモーター45を動作させる。
【0058】
上ヒーター22が加熱を開始すると、上ヒーター22の放射により、調理網24に載置された被加熱物の上面が主に加熱される。
【0059】
また、コンベクションヒーター44が加熱を開始すると、コンベクションヒーター44の放射により、加熱室42内の空気が加熱される。
そして、モーター45の動作によってコンベクションファン43が回転すると、コンベクションファン43に対向して開口している背面吸込口25に吸引力が生じる。そうすると、背面吸込口25と背面ダクト32及び上面ダクト31を介して連通する上面吸込口27に吸引力が生じ、調理室20内の空気が上面吸込口27から上面ダクト31内へと吸い込まれる。上面吸込口27に吸い込まれる調理室20内の空気は、上ヒーター22の近傍を通過する際に、上ヒーター22の放射によって加熱される。また、上面吸込口27に吸い込まれる空気は、触媒体33を通過する際に煙及び油煙が浄化され、また酸化分解の反応熱でさらに加熱される。また、上面ダクト31内を流れる空気は、上面ダクト31の下面を構成する調理室20の上壁201からの伝熱によってさらに加熱される。
【0060】
上面ダクト31内を流れる空気は、連通口28を通って背面ダクト32に流入する。背面ダクト32の背面ダクト前壁321は、その上部が調理室20の内部に向かって傾斜しており、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分は鈍角であるので、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失が低減され、スムースに空気が流れる。
なお、背面ダクト前壁321の傾斜角度を大きくすると、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における流路の曲がりが小さくなって圧力損失を低減することができる一方で、調理室20内の容積が縮小されて調理室20内に収容できる被加熱物の大きさが制限される。また、背面ダクト前壁321の傾斜角度を小さくすると、調理室20内の容積を拡大することができる一方で、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失が相対的に大きくなる。このため、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失と、調理室20内の容積とを考慮して、背面ダクト前壁321の傾斜角度を設定するのがよい。
【0061】
背面ダクト32に流入した空気は背面吸込口25を通って加熱室42内に流入する。背面吸込口25の周囲の後壁203に凹部204を形成することにより、背面ダクト32内の容積を拡大しているので、背面吸込口25に空気を吸い込みやすい。
背面吸込口25から加熱室42内に流入した空気は、コンベクションファン43の回転中心に吸い込まれ、コンベクションファン43の羽根の外周へと送出される。
【0062】
コンベクションファン43から遠心方向に送出された空気の多くは、コンベクションファン43の下側に設けられたコンベクションヒーター44の近傍を通り、コンベクションヒーター44によって加熱される。コンベクションヒーター44によって加熱された空気は、コンベクションヒーター44と対向する位置に設けられた吹出口26から、調理室20内へと吹き出される。コンベクションヒーター44と吹出口26とが対向しているので、コンベクションヒーター44により加熱された高温の空気を吹出口26から吹き出すことができる。
【0063】
吹出口26から吹き出された熱気は、調理網24の載置面241と受皿23との間の通風空間50内を、調理室扉21側に向かって流れる気流となる。調理網24の載置面241の下側を流れる気流は、載置面241に載置された被加熱物の下面を主に加熱する。
【0064】
調理網24の載置面241の下側を調理室扉21側に向かって流れる気流は、調理室扉21に到達すると、調理室扉21により上方に向きを曲げられ、上面吸込口27に生じる吸引力によって上面吸込口27へと吸い込まれる。上面吸込口27に吸い込まれた空気は、上面ダクト31及び背面ダクト32を通って加熱室42に流入し、加熱室42内のコンベクションファン43によって吹出口26から調理室20内に吹き出される。このように、調理室20内の空気は、上ヒーター22からの放射、触媒体33の反応熱、上ヒーター22によって加熱された調理室20の上壁201からの伝熱、及びコンベクションヒーター44によって加熱され、調理室20内の被加熱物を加熱する。
【0065】
また、加熱室42内でコンベクションファン43により送出された空気の一部は、調理室排気ダクト41を経て、加熱調理器100の外部に排気される。調理室排気ダクト41から排気された調理室20内の空気に相当する量の空気は、調理室扉21と調理室20との隙間(図示せず)又は吸気用開口部29から調理室20内に供給される。なお、本実施の形態1では、吸気用開口部29を調理室扉21の下部に設けているが、吸気用開口部29を調理室扉21の上部(すなわち調理網24の載置面241の下側を流れる気流と高さ方向において対向する位置)に、設けてもよい。このようにすることで、載置面241の下側を流れる気流は、吸気用開口部29から調理室20内に供給される空気によって流れを乱されにくいので、調理室扉21側に向かってまっすぐに流れやすい。したがって、調理網24の載置面241に載置される被加熱物の下面の加熱ムラを抑制することができる。
【0066】
上述のように調理室20内において加熱動作が開始されると、制御手段は、モーター冷却ファン48を駆動する。
図7及び
図9に示すように、モーター冷却ファン48が回転すると、モーター収容ケース46の冷却風吸込口461に吸引力が生じ、筐体1の外部から冷却風吸込口461に冷却風が吸い込まれる。筐体1の背面傾斜壁13に冷却風吸込口461が開口しているので、背面傾斜壁13とキッチンとの間の空間から効率よく冷却風を吸い込むことができる。
【0067】
モーター収容ケース46に流入した空気は、通風路49を通り、モーター冷却ファン48に吸い込まれ、冷却風として送り出される。モーター冷却ファン48から送り出された冷却風の一部は、モーター45の軸受452を冷却し、さらにその下流に位置するモーター45の端子部451を冷却する。また、モーター冷却ファン48から送り出された冷却風の一部は、モーター支持台47の支持板471と加熱室42の背面との間のバイパス風路463を通り、冷却風吹出口462から出て、コンベクションヒーター44の端子部441及び上ヒーター22の端子部221を冷却する。バイパス風路463を通る冷却風は、金属製のモーター支持台47と接してこれを冷却するので、モーター支持台47に取り付けられているモーター45も間接的に冷却される。モーター収容ケース46から出た冷却風は、筐体排気口6を通って筐体1の外部へと排出される。
【0068】
このように、調理室20内での加熱動作中には、モーター冷却ファン48が送出する冷却風でモーター45の軸受452、モーター45の端子部451、コンベクションヒーター44の端子部441、及び上ヒーター22の端子部221を冷却することができる。したがって、これらの部品の過度な高温化を抑制することができる。
【0069】
使用者が操作部4を操作して調理室20における加熱停止を指示すると、あるいは予め定められた加熱時間が経過すると、制御手段は、調理室20における加熱動作を停止する。
なお、モーター冷却ファン48は、調理室20における加熱動作を停止した後も、しばらく動作するようにしてもよい。このようにすることで、調理室20における加熱調理によって高温化したモーター45の軸受452、モーター45の端子部451、コンベクションヒーター44の端子部441、及び上ヒーター22の端子部221を速やかに冷却することができる。
【0070】
[実施の形態1の効果]
以上のように本実施の形態1では、コンベクションユニット40により送出される空気を調理室20の後壁203に設けた吹出口26から吹き出し、調理室20の前方の空気を、吸引ダクト30を介してコンベクションユニット40に吸引するようにした。高温の空気が奥から手前にわたって流れるので、調理網24に載置された被加熱物を加熱することができる。
【0071】
また、モーター冷却ファン48を設け、このモーター冷却ファン48から送られる冷却風の風路上に、コンベクションファン43を駆動するモーター45の軸受452、端子部451、コンベクションヒーター44の端子部441、及び上ヒーター22の端子部221を配置した。このため、一つのモーター冷却ファン48を用いて、調理室20内で加熱調理を行う際に動作する発熱部品を効率よく冷却することができる。モーター45の軸受452を冷却して過度な高温化を抑制できるので、モーター45の軸受452の適正な寿命を保持することができる。また、モーター45の端子部451、コンベクションヒーター44の端子部441、及び上ヒーター22の端子部221を冷却することで、これらの端子部が耐熱温度を超えて破損するのを抑制することができる。
【0072】
また、モーター冷却ファン48の外径寸法D3よりも、回転軸を除くモーター45の奥行き寸法D2を小さくし、モーター45の軸受452の手前側(加熱室42側)にモーター冷却ファン48から送られる冷却風が通るバイパス風路463を設けた。このため、モーター冷却ファン48が送出する冷却風の一部は、モーター45の軸受452等と接触せず比較的低温状態が保たれたまま、モーター45の端子部451、コンベクションヒーター44の端子部441、及び上ヒーター22の冷却に用いられる。したがって、モーター45の端子部451、コンベクションヒーター44の端子部441、及び上ヒーター22を効果的に冷却することができる。
【0073】
また、バイパス風路463内に、モーター45を支持するモーター支持台47を設置した。このため、モーター収容ケース46の奥行き寸法を最小限として、上述のようなモーター冷却ファン48の冷却効果を得ることができる。
【0074】
また、モーター45の端子部451、コンベクションヒーター44の端子部441、及び上ヒーター22の端子部221の配置箇所を、一箇所に集中させているので、加熱調理器100を組み立てる際の配線の接続作業が容易である。
【0075】
なお、実施の形態1では、吸引ダクト30を介して調理室20内の空気を背面吸込口25から加熱室42に吸い込むことを説明したが、吸引ダクト30を設けず、調理室20の後壁203に設けられた背面吸込口25から調理室20内の空気を吸い込むようにしてもよい。