(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも手前プーリ及び奥側プーリを含む複数のプーリが当該プーリの中心軸方向に並設された複数段掛プーリと、基軸プーリとの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを巻掛けるに際し、前記基軸プーリと前記手前プーリとの間に巻掛けられた前記ベルトを前記手前プーリから前記奥側プーリにシフトさせるために使用するベルト取付治具であって、
前記複数段掛プーリの外周面に沿う形状をした本体部と、
前記本体部の内周面側に設けられ、前記手前プーリの外周面に前記本体部の内周面を係止する第1係止部と、
前記本体部の内周面側に設けられ、前記奥側プーリの外周面に前記本体部の内周面を係止する第2係止部と、
前記本体部の外周面側に設けられ、前記手前プーリの外周面から導入される前記ベルトを傾斜させる入口規定領域、及び、前記入口規定領域によって傾斜させた前記ベルトの一方の面と対向することにより当該ベルトをガイドする奥側プーリ面領域を有する奥側プーリ側壁部と、
前記本体部の外周面側に設けられ、前記入口規定領域によって傾斜させた前記ベルトの他方の面と対向することにより当該ベルトをガイドする手前プーリ面領域、及び、前記手前プーリ面領域と前記奥側プーリ面領域とによって形成されたベルト通路にガイドされた前記ベルトを、前記奥側プーリの外周面に沿うように、再度傾斜させる出口規定領域を有する手前プーリ側壁部と、
を備えていることを特徴とするベルト取付治具。
前記入口規定領域は、当該入口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記入口規定領域とのなす角が鈍角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜しており、前記出口規定領域は、当該出口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記出口規定領域とのなす角が鋭角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のベルト取付治具。
前記奥側プーリ面領域は、前記入口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記奥側プーリ面領域とのなす角が鈍角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜しており、前記手前プーリ面領域は、前記入口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記手前プーリ面領域とのなす角が鋭角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルト取付治具。
前記手前プーリ面領域と前記奥側プーリ面領域とによって形成された前記ベルト通路は、前記入口規定領域から前記出口規定領域にかけて前記奥側プーリ方向に傾斜していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のベルト取付治具。
前記第1係止部は、前記手前プーリの外周面に設けられた凹状の溝部に嵌合する、少なくとも1つの凸状のリブで形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のベルト取付治具。
前記第2係止部は、前記奥側プーリの外周面に設けられた凹状の溝部に嵌合する、少なくとも1つの凸状のリブで形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のベルト取付治具。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数のプーリにベルトを巻掛けてなるベルト伝動機構では、プーリ間で確実に動力を伝達させるために装着対象であるプーリ間のレイアウト周長よりもベルト周長を短くしてベルトに強い張力がかかるような仕様になっている。
【0003】
このようにプーリ間のレイアウト周長よりもベルト周長が短いベルトをプーリに巻掛ける作業は、ベルトの張力に抗する力が必要となり手間がかかることがある。このような手間は、複数のプーリが並設された複数段掛プーリにベルトを巻掛ける際に一層顕著となる(
図1の二段掛プーリ2参照)。
【0004】
例えば、
図1(b)に示すように、補機プーリ3と二段掛プーリ2の奥側プーリ22との間にVリブドベルト4を巻掛ける場合には、一旦手前プーリ21に巻掛け、手前プーリ21に巻掛けたVリブドベルト4を奥側プーリ22にシフトさせる方法が採られている。このように、Vリブドベルト4を一度に奥側プーリ22に巻掛けずに、手前プーリ21を経由する理由としては、手前プーリ21が、奥側プーリ22と補機プーリ3を結ぶVリブドベルト4の走行線からオフセットされた位置にあり、このオフセットが大きくなると、Vリブドベルト4の装着過程での取付け作業が容易ではないことが挙げられる。また、このようにオフセットが大きい場合、一度にVリブドベルト4を奥側プーリ22に巻掛けると、過度にVリブドベルト4を伸張させて大きな負荷をかけることになり、Vリブドベルト4に永久歪を発生させてしまうことも、Vリブドベルト4を一度に奥側プーリ22に巻掛けずに手前プーリ21を経由する理由の一つである。
【0005】
上記のような二段掛プーリ2において、手前プーリ21に巻掛けたVリブドベルト4を奥側プーリ22にシフトさせる際の作業を容易にするためのベルト取付治具が、特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示されたベルト取付治具は、ベルトを取り付ける取付姿勢と、ベルトを奥側にシフトさせるシフト姿勢とを切換自在としており、一旦、ベルトを二段掛プーリである第一プーリの手前側プーリに掛巻してベルトを手前側に位置させ、この状態で第二プーリにベルト取付治具を取付姿勢で装着し、ベルトを手前側の側面に引っ掛けることなく取り付ける。その後、ベルト取付治具を第一プーリにシフト姿勢で装着し直して、手前側プーリに掛巻したベルトを奥側プーリにシフトさせて、二段掛けプーリの奥側プーリにベルトを取り付けている。このようにして、二段掛プーリの手前側プーリの側面とベルトとの引っ掛かりを防止しつつ容易にベルトを取り付け可能としている。
【0007】
より具体的な構成としては、治具本体と、治具本体をプーリフランジに係止するための係止部と、治具本体から背面側に突出する突出部と、周方向に伸長可能なベルトをプーリ軸方向奥側に案内するよう突出部に形成された案内面とを備え、プーリに、前記ベルトをプーリ溝に取り付ける取付姿勢と、前記ベルトを二段掛けプーリのうちの手前側プーリから奥側プーリにシフトさせるシフト姿勢とで、装着可能にするベルト取付治具である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたベルト取付治具では、シフト姿勢の段階において、傾斜した案内面8にベルトを沿わせながら二段掛けプーリの手前側プーリから奥側プーリに移行させるが、案内面8が傾斜しているためベルトが滑ってしまい、ベルトが外に流れてしまう場合があり、手前側プーリから奥側プーリに上手く移行させることができない場合があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、少なくとも手前プーリ及び奥側プーリを含む複数のプーリが並設された複数段掛プーリと、基軸プーリとの間にベルトを巻掛けるに際し、基軸プーリと手前プーリとの間に巻掛けられたベルトを手前プーリから奥側プーリにシフトさせる作業を容易にし、且つ、より確実にベルトを奥側プーリに巻掛けることができるベルト取付治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための第1の発明は、少なくとも手前プーリ及び奥側プーリを含む複数のプーリが当該プーリの中心軸方向に並設された複数段掛プーリと、基軸プーリとの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを巻掛けるに際し、前記基軸プーリと前記手前プーリとの間に巻掛けられた前記ベルトを前記手前プーリから前記奥側プーリにシフトさせるために使用するベルト取付治具であって、前記複数段掛プーリの外周面に沿う形状をした本体部と、前記本体部の内周面側に設けられ、前記手前プーリの外周面に前記本体部の内周面を係止する第1係止部と、前記本体部の内周面側に設けられ、前記奥側プーリの外周面に前記本体部の内周面を係止する第2係止部と、前記本体部の外周面側に設けられ、前記手前プーリの外周面から導入される前記ベルトを傾斜させる入口規定領域、及び、前記入口規定領域によって傾斜させた前記ベルトの一方の面と対向することにより当該ベルトをガイドする奥側プーリ面領域を有する奥側プーリ側壁部と、前記本体部の外周面側に設けられ、前記入口規定領域によって傾斜させた前記ベルトの他方の面と対向することにより当該ベルトをガイドする手前プーリ面領域、及び、前記手前プーリ面領域と前記奥側プーリ面領域とによって形成されたベルト通路にガイドされた前記ベルトを、前記奥側プーリの外周面に沿うように、再度傾斜させる出口規定領域を有する手前プーリ側壁部と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、本体部が複数段掛プーリの外周面に沿う形状をしており、しかも、手前プーリの外周面に本体部の内周面を係止する第1係止部、及び、奥側プーリの外周面に本体部の内周面を係止する第2係止部を備えているので、ベルト取付治具を、複数段掛プーリを構成する手前プーリ及び奥側プーリの外周に沿わせて確実に設置することができる。
また、基軸プーリと手前プーリとの間に巻掛けられたベルトを手前プーリから奥側プーリにシフトさせる際に、手前プーリ及び奥側プーリの外周に沿わせてベルト取付治具を設置することにより、手前プーリの外周面から導入されるベルトを奥側プーリ側壁部の入口規定領域にて傾斜させ、傾斜させたベルトを、手前プーリ側壁部の手前プーリ面領域と奥側プーリ側壁部の奥側プーリ面領域とによって形成されたベルト通路によってガイドし、ガイドされたベルトを出口規定領域によって再度傾斜させて奥側プーリの外周面に沿うように容易に移行させることができる。
しかも、ベルトを手前プーリから奥側プーリにシフトさせる際に、ベルトを傾斜させている入口規定領域及び出口規定領域を支持部にしてベルトが保持されるので、ベルトが手前プーリ方向又は奥側プーリ方向にズレたり滑ったりして、ベルトがベルト取付治具から外れてしまうことを防止することができる。
また、手前プーリ面領域と奥側プーリ面領域とによって形成されたベルト通路に導入されたベルトをガイドさせることにより、ベルトを手前プーリから奥側プーリにスムーズにシフトさせることができる。
【0013】
また、第2の発明は、第1の発明に係るベルト取付治具において、前記入口規定領域が、当該入口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記入口規定領域とのなす角が鈍角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜しており、前記出口規定領域は、当該出口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記出口規定領域とのなす角が鋭角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜していることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、ベルトを入口規定領域及び出口規定領域において傾斜させる際に、ベルトの傾斜を90°よりも小さな角度に維持することができる。即ち、ベルトを90°よりも大きく傾斜させることなく、手前プーリから奥側プーリにシフトさせることができる。これによれば、ベルトに対して傾斜による過度のストレスをかけることなく、ベルトをスムーズに手前プーリから入口規定領域に導入させるとともに、ベルトをスムーズに出口規定領域から奥側プーリにシフトさせることができる。
【0015】
また、第3の発明は、第1又は第2の発明に係るベルト取付治具において、前記奥側プーリ面領域が、前記入口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記奥側プーリ面領域とのなす角が鈍角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜しており、前記手前プーリ面領域は、前記入口規定領域を対面する方向から見たとき、前記本体部外周面と前記手前プーリ面領域とのなす角が鋭角になるように前記奥側プーリ方向に傾斜していることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、ベルトを手前プーリ面領域と奥側プーリ面領域とによって形成されたベルト通路によってガイドする際に、ベルトを90°よりも小さな角度に傾斜させてガイドすることができる。即ち、ベルトを90°よりも大きく傾斜させることなく、入口規定領域からベルト通路を経由して出口規定領域にガイドすることができる。これによれば、ベルトに対して傾斜による過度のストレスをかけることなく、ベルトをスムーズに入口規定領域から出口規定領域にガイドすることができる。
【0017】
また、第4の発明は、第1〜第3の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記手前プーリ面領域と前記奥側プーリ面領域とによって形成された前記ベルト通路は、前記入口規定領域から前記出口規定領域にかけて前記奥側プーリ方向に傾斜していることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、手前プーリが、奥側プーリと基軸プーリとを結ぶベルトの走行線からオフセットされた位置にある場合に、基軸プーリと手前プーリとの間に巻掛けられてオフセット状態となったベルトを、入口規定領域から出口規定領域にかけて奥側プーリ方向に傾斜したベルト通路を経由させることにより、ベルトのオフセット状態をスムーズに解消しつつ、ベルトを手前プーリから奥側プーリにシフトさせることができる。
【0019】
また、第5の発明は、第4の発明に係るベルト取付治具における前記ベルト通路は、前記奥側プーリの側面と前記ベルト通路とのなす角が、15°〜60°の範囲で形成されていることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、奥側プーリの側面とベルト通路とのなす角を、15°〜60°の範囲にすることにより、コンパクト性を保持しつつ、ベルトに対する過度な負荷を防止することができる。
【0021】
また、第6の発明は、第1〜第5の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記第1係止部が、前記手前プーリの外周面に設けられた凹状の溝部に嵌合する、少なくとも1つの凸状のリブで形成されていることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、第1係止部が、手前プーリの外周面に設けられた凹状の溝部に嵌合する、少なくとも1つの凸状のリブで形成されているため、ベルト取付治具を、複数段掛プーリを構成する手前プーリの外周に正確に設置することができる。
【0023】
また、第7の発明は、第1〜第6の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記第2係止部が、前記奥側プーリの外周面に設けられた凹状の溝部に嵌合する、少なくとも1つの凸状のリブで形成されていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、第2係止部が、奥側プーリの外周面に設けられた凹状の溝部に嵌合する、少なくとも1つの凸状のリブで形成されているため、ベルト取付治具を、複数段掛プーリを構成する奥側プーリの外周に正確に設置することができる。
【発明の効果】
【0025】
少なくとも手前プーリ及び奥側プーリを含む複数のプーリが並設された複数段掛プーリと、基軸プーリとの間にベルトを巻掛けるに際し、基軸プーリと手前プーリとの間に巻掛けられたベルトを手前プーリから奥側プーリにシフトさせる作業を容易にし、且つ、より確実にベルトを奥側プーリに巻掛けることができるベルト取付治具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明の実施形態を説明する。本実施形態に係るベルト取付治具9は、
図1に示すように、手前プーリ21及び奥側プーリ22が中心軸方向に並設された二段掛プーリ2(複数段掛プーリ)と、補機プーリ3(基軸プーリ)との間に、周長方向に伸縮可能なVリブドベルト4を巻掛けるに際し、補機プーリ3と手前プーリ21との間に巻掛けられたベルトを手前プーリ21から奥側プーリ22にシフトさせるために使用する(
図10参照)。
【0028】
図1に示されるように、筐体1には、エンジン等のクランク軸に連結される、手前プーリ21及び奥側プーリ22を備えた二段掛プーリ2と、オルタネータの入力軸等に連結される補機プーリ3(基軸プーリ)と、が所定の軸間距離を隔てて回転自在に支持される。また、
図1(b)に示すように、手前プーリ21は、奥側プーリ22と補機プーリ3を結ぶVリブドベルト4の走行線からズレた位置に配置されている(オフセットの位置)。そして、二段掛プーリ2の奥側プーリ22と補機プーリ3との間には、Vリブドベルト4が巻掛けされ、もって、クランク軸の動力が、二段掛プーリ2、Vリブドベルト4、補機プーリ3を順に介してオルタネータの入力軸に伝動されるようになっている。本実施形態では、二段掛プーリ2と補機プーリ3との間の軸間距離は変更不能とされ、また、図示するように、Vリブドベルト4に対して張力を付与する所謂オートテンショナ(張力付与手段)は搭載していない。なお、図示しないが、二段掛プーリ2の手前プーリ21と他のプーリ(図示していない)との間に、別のVリブドベルトを巻掛けることによって、他のプーリにも、クランク軸の動力を伝動することができるようになっている。
【0029】
(二段掛プーリ2の構成)
図1及び
図8に示すように、二段掛プーリ2は、手前プーリ21と手前プーリ21よりも直径が若干大きい奥側プーリ22とが中心軸方向に並設されて一体構造となったプーリである。これによると、中心軸を中心にして手前プーリ21と奥側プーリ22とが連動して回転可能となる。そして、二段掛プーリ2における手前プーリ21及び奥側プーリ22の外周面には、Vリブドベルト4の内周面に周長方向に複数形成されたリブと嵌合可能なプーリ溝21a・22a(溝部)がそれぞれ形成されている。また、二段掛プーリ2は、手前プーリ21のプーリ溝21a及び奥側プーリ22のプーリ溝22aを中心軸方向で挟む3つのプーリフランジ2a・2b・2cを備えている。このプーリフランジ2aは、
図1(b)の側面視で、上記プーリ溝21aより手前プーリ21の径外方向へ若干、突出して形成されている。また、プーリフランジ2b・2cは、
図8の側面視で、上記プーリ溝22aより奥側プーリ22の径外方向へ若干、突出して形成されている。また、二段掛プーリ2のボス部5には、エンジンの図示しないクランク軸が挿入される。また、符号2dは、手前プーリ21の側面を示し、符号2eは、奥側プーリ22の側面を示す。そして、手前プーリ21の側面2dには、Vリブドベルト4を手前プーリ21に巻掛ける際に手前プーリ21の外周からプーリフランジ2aの外周縁をまたいで掛けられたVリブドベルト4を係止するためのベルト係止部6が2つ形成されている(
図5参照)。このベルト係止部6は、
図1(a)に示すように、楕円柱形状をしている。なお、上記Vリブドベルト4は、その周長方向において若干伸縮可能な所謂低モジュラスベルトである。低モジュラスベルトは、心線にポリアミド繊維を用いることで、弾性率を比較的低くしたものであり、高弾性率のもの(所謂高モジュラスベルト)と比較して急激な張力低下が抑制される。
【0030】
なお、
図1(a)の太線矢印VはVリブドベルト4の走行方向を示し、この走行方向にVリブドベルト4が走行するときの二段掛プーリ2の回転方向を第一回転方向Aと、この第一回転方向Aと反対の方向を第二回転方向Bと、定義する。
【0031】
(ベルト取付治具9の構成)
次に、
図2〜4を参照しつつ、本実施形態に係るベルト取付治具9の構成を説明する。
【0032】
図2〜
図4に示されるように、ベルト取付治具9は、手前プーリ21及び奥側プーリ22の外周面に沿う形状をした本体部91と、本体部91の内周面側に設けられ、手前プーリ21の外周面に形成されたプーリ溝21aに嵌合する複数の凸状のリブ92(第1係止部)と、本体部91の内周面側に設けられ、奥側プーリ22の外周面に形成されたプーリ溝22aに嵌合する凸状のリブ93(第2係止部)と、本体部91の外周面側に設けられた奥側プーリ側壁部95と、本体部91の外周面側に設けられた手前プーリ側壁部96とを主たる構成として備える。
【0033】
本体部91は、手前プーリ21及び奥側プーリ22の外周面に沿うように湾曲形状をしており、本体部91の内周面側には上記リブ92、リブ93、及び、フランジ対向面94が設けられている。フランジ対向面94は、
図2(b)(c)に示すように、手前プーリ21から奥側プーリ22にかけて傾斜したプーリフランジ2bに対向するように、プーリフランジ2bの傾斜に合わせて傾斜している。
【0034】
リブ92は、
図2(b)(c)に示すように、本体部91の内周面を長手方向に沿って6つの凸状のリブにより構成されている。ベルト取付治具9が二段掛プーリ2に取り付けられた時に、リブ92が手前プーリ21のプーリ溝21aに嵌合することにより、ベルト取付治具9を、手前プーリ21の外周に正確に固定することができる。なお、本実施形態では、手前プーリ21のプーリ溝21aの数に合わせて6つのリブによりリブ92を構成しているが、リブ92を構成するには少なくとも1つの凸状のリブがあればよいので、リブ92はプーリ溝21aの数より少ない数のリブにより構成してもよい。
【0035】
リブ93は、
図2(b)(c)に示すように、本体部91の内周面を長手方向に沿って1つの凸状のリブにより構成されている。ベルト取付治具9が二段掛プーリ2に取り付けられた時に、リブ93が奥側プーリ22のプーリ溝22aに嵌合することにより、ベルト取付治具9を、奥側プーリ22の外周に正確に固定することができる。なお、本実施形態では、1つのリブによりリブ93を構成しているが、リブ93を構成するには少なくとも1つの凸状のリブがあればよいので、リブ93は、リブ92同様に、複数のリブにより構成してもよい。
【0036】
奥側プーリ側壁部95は、
図2〜
図4に示すように、入口規定領域95a及び奥側プーリ面領域95bを有するブロック形状をしており、本体部91の外周面の奥側プーリ22側(ベルト取付治具9を二段掛プーリ2に取り付けた状態の位置関係で規定している)に突出して設けられている。
【0037】
入口規定領域95aは、
図2(b)に示すように、奥側プーリ側壁部95の一端部の領域であり、入口規定領域95aを対面する方向から見たとき、本体部91の外周面と入口規定領域95aとのなす角αが93°になるように奥側プーリ22側に傾斜している。本実施形態では、なす角αを93°に設定しているが、なす角αは鈍角であればよく、更には、91°〜120°の範囲にあればよい。このようになす角αが91°〜120°の範囲であることが望まれる理由としては、なす角αが91°より小さい場合には、手前プーリ21の外周面から導入したVリブドベルト4を入口規定領域95aに当接させた際に、Vリブドベルト4が90°以上の角度でねじれてしまい、Vリブドベルト4に過度な負荷をかけてしまうからである。一方、なす角αが120°より大きい場合には、手前プーリ21の外周面から導入したVリブドベルト4を入口規定領域95aに当接させた際に、Vリブドベルト4が入口規定領域95aから滑り落ちてしまうからである。上記入口規定領域95aによれば、手前プーリ21の外周面から導入されてきたVリブドベルト4の内周面を入口規定領域95aに当接させることにより、Vリブドベルト4を87°の角度で傾斜(ねじれさせる)させることができる。
【0038】
奥側プーリ面領域95bは、
図3に示すように、入口規定領域95aを対面する方向から見たとき、本体部91の外周面と奥側プーリ面領域95bとのなす角γが93°になるように奥側プーリ22側に傾斜している。本実施形態では、なす角γをなす角α同様に93°に設定しているが、入口規定領域95a同様に、なす角γは鈍角であればよく、更には、91°〜120°の範囲にあればよい。そして、奥側プーリ面領域95bは、入口規定領域95aによって傾斜させたVリブドベルト4の内周面と対向することによりVリブドベルト4を後述する出口規定領域96aにガイドする役割を果たす。
【0039】
手前プーリ側壁部96は、
図2〜
図4に示すように、手前プーリ面領域96b及び出口規定領域96aを有するブロック形状をしており、本体部91の外周面の手前プーリ21側(ベルト取付治具9を二段掛プーリ2に取り付けた状態の位置関係で規定している)に突出して設けられている。
【0040】
手前プーリ面領域96bは、
図3に示すように、入口規定領域95aを対面する方向から見たとき、本体部91の外周面と手前プーリ面領域96bとのなす角θが87°になるように奥側プーリ22側に傾斜している。本実施形態では、なす角θを87°に設定しているが、なす角θは鋭角であればよく、更には、60°〜89°の範囲にあればよい。なお、
図3に示すように、奥側プーリ面領域95bと手前プーリ面領域96bとは平行関係にあることが望ましいので、γ+θ=180°の関係にあるとよい。そして、手前プーリ面領域96bは、入口規定領域95aによって傾斜させたVリブドベルト4の外周面と対向することによりVリブドベルト4を後述する出口規定領域96aにガイドする役割を果たす。
【0041】
出口規定領域96aは、
図2(c)に示すように、手前プーリ側壁部96の一端部の領域であり、出口規定領域96aを対面する方向から見たとき、本体部91の外周面と出口規定領域96aとのなす角βが87°になるように奥側プーリ22側に傾斜している。本実施形態では、なす角βを87°に設定しているが、なす角βは鋭角であればよく、更には、60°〜89°の範囲にあればよい。なお、入口規定領域95aと出口規定領域96aとは平行関係にあることが望ましいので(
図3参照)、α+β=180°の関係にあるとよい。上記出口規定領域96aによれば、手前プーリ面領域96b、本体部91の外周面、及び、奥側プーリ面領域95bによって囲われたベルト通路97(
図3参照)によってガイドされてきたVリブドベルト4の外周面を出口規定領域96aに当接させることにより、奥側プーリ22の外周面に沿うように、再度傾斜(ねじれさせる)させることができる。
【0042】
このベルト通路97は、
図2(d)に示すように、入口規定領域95aから出口規定領域96aにかけて奥側プーリ22が配置される方向に傾斜している。この傾斜角度は、奥側プーリ22の側面2eとベルト通路97とのなす角εで規定され(
図2(d)参照)、本実施形態では、なす角εは16°に設定している。なお、なす角εは、15°〜60°の範囲で形成されることが望ましい。その理由として、なす角εが15°よりも小さい場合には、ベルト通路97が長くなってしまい、ベルト取付治具9の長手方向の幅を大きくしてしまうため、ベルト取付治具9自体のコンパクト性に欠けるからである。一方、なす角εが60°より大きい場合には、入口規定領域95aから出口規定領域96aにかけての傾斜が大きなものとなるので、Vリブドベルト4をベルト通路97に導入する際に、入口規定領域95a及び出口規定領域96aに当接するVリブドベルト4に過度の負荷を与えてしまうおそれがあるからである。
【0043】
また、ベルト通路97の幅(奥側プーリ面領域95bと手前プーリ面領域96bとに間に挟まれた箇所)は、Vリブドベルト4の側面幅(Vリブドベルト4の厚み)よりも若干大きめに設定されている。
【0044】
(ベルト取付治具9の使用方法)
次に、
図5〜
図11を参照しつつ、上記のベルト取付治具9の使用方法を説明する。具体的には、先ず、補機プーリ3と二段掛プーリ2の手前プーリ21との間に、Vリブドベルト4を巻掛ける手順について説明した後、手前プーリ21に巻掛けられたVリブドベルト4を、ベルト取付治具9を使用して奥側プーリ22にシフトさせる手順について説明する。
【0045】
なお、図示しないが、二段掛プーリ2のボス部5にレンチを連結し、二段掛プーリ2を手動で自由に回転できるようにしている。
【0046】
<手順(a)>
先ず、二段掛プーリ2のベルト係止部6にVリブドベルト4を掛けやすい位置にくるようにレンチを回して二段掛プーリ2を回転させる。そして、
図5に示すように、Vリブドベルト4を補機プーリ3に巻掛けると共に、Vリブドベルト4を二段掛プーリ2の手前プーリ21の外周からプーリフランジ2aをまたいでベルト係止部6に引っ掛けた状態となるように係止する。
【0047】
<手順(b)>
次に、
図6に示すように、レンチを回して二段掛プーリ2を第一回転方向Aに回転させる。そして、更に、継続して二段掛プーリ2を第一回転方向Aに回転させると、ベルト係止部6がVリブドベルト4を押し出して、手前プーリ21の外周上にVリブドベルト4が巻掛けられた状態になる。即ち、
図7及び
図8に示すように、ベルト係止部6に掛けられて係止されていたVリブドベルト4は、自己の張力によってベルト係止部6を離れ、手前プーリ21の外周上へと自発的に移動する。このようにして、
図8に示すように、補機プーリ3と手前プーリ21との間にVリブドベルト4が巻掛けられる。
【0048】
なお、本実施形態では、補機プーリ3と手前プーリ21との間にVリブドベルト4を巻掛けるに際して、二段掛プーリ2の側面2dに設けられたベルト係止部6を使用した場合について説明したが、これに限らず、補機プーリ3と手前プーリ21との間にVリブドベルト4を巻掛ける場合には、一般的な一段掛けプーリ間におけるVリブドベルト4の巻掛けに使用されるベルト取付治具を使用してもよい(例えば、特開2011−208753号公報に開示されたベルト取付治具)。
【0049】
<手順(c)>
次に、補機プーリ3と手前プーリ21との間に巻掛けられたVリブドベルト4を、ベルト取付治具9を使用して手前プーリ21から奥側プーリ22にシフトさせる手順について説明する。
【0050】
まず、
図9(a)に示すように、ベルト取付治具9を手に持ち、手に持ったベルト取付治具9のベルト通路97を、補機プーリ3と手前プーリ21との間に巻掛けられたVリブドベルト4の側面に対して対向した状態にする(
図9(a)の破線状のベルト取付治具9参照)。そして、ベルト取付治具9を矢印方向に移動して、ベルト取付治具9のベルト通路97をVリブドベルト4の側面に挟み込む(
図9(a)の実線のベルト取付治具9参照)。この際、奥側プーリ面領域95bと手前プーリ面領域96bとによってVリブドベルト4が挟まれることになる。また、奥側プーリ面領域95bとVリブドベルト4の裏面側(リブが設けられている側)とが対向した状態になる。また、手前プーリ面領域96bとVリブドベルト4の表側とが対向した状態となる。
【0051】
次に、
図9(b)に示すように、ベルト取付治具9のベルト通路97にVリブドベルト4が挟まれた状態のまま、ベルト取付治具9の長手方向を回転軸として、手前から奥に90°回転させる(
図9(b)の回転方向K参照)。
【0052】
上記のようにベルト取付治具9を90°回転させると、
図9(c)に示すように、Vリブドベルト4の内周面(リブが設けられている面)が入口規定領域95aに当接することにより、Vリブドベルト4は、手前プーリ21の外周面上にあるVリブドベルト4を基準にして、入口規定領域95aの傾斜角度(180°−93°(なす角α))である87°の角度で傾斜(ねじれた)した状態となる。同様に、Vリブドベルト4の外周面が出口規定領域96aに当接することにより、Vリブドベルト4は、手前プーリ21の外周面上にあるVリブドベルト4を基準にして、出口規定領域96aの傾斜角度(なす角β)である87°の角度で傾斜(ねじれた)した状態となる。また、ベルト取付治具9のリブ92は、手前プーリ21の外周面に設けられたプーリ溝21aと対向した位置関係になる。また、ベルト取付治具9のリブ93も、奥側プーリ22の外周面に設けられたプーリ溝22aと対向した位置関係になる。
【0053】
<手順(d)>
次に、
図10(a)に示すように、レンチを回して二段掛プーリ2を第一回転方向Aに回転させながら、ベルト取付治具9を二段掛プーリ2の外周面に移行させる(
図11(1)参照)。これにより、ベルト取付治具9のリブ92は、手前プーリ21の外周面に設けられたプーリ溝21aに嵌合した状態になる。同様に、ベルト取付治具9のリブ93も、奥側プーリ22の外周面に設けられたプーリ溝22aに嵌合した状態になる。その結果、ベルト取付治具9は、リブ92と手前プーリ21のプーリ溝21aとの嵌合、リブ93と奥側プーリ22のプーリ溝22aとの嵌合、及び、Vリブドベルト4の張力により、二段掛プーリ2の外周上に固定されることになる。
【0054】
次に、ベルト取付治具9が二段掛プーリ2の外周上に固定された状態でレンチを回して二段掛プーリ2を第一回転方向Aに、更に回転させる(
図11(2)(3)参照)。すると、
図10(b)に示すように、手前プーリ21の外周面からベルト取付治具9のベルト通路97に導入されたVリブドベルト4は、奥側プーリ22の外周面に沿うように移行する。より具体的に、手前プーリ21の外周面から導入されたVリブドベルト4は、入口規定領域95aによって傾斜させられ、傾斜させられたVリブドベルト4は、ベルト通路97によってガイドされ、更に、出口規定領域96aによって再度傾斜させられて奥側プーリ22の外周面に沿うように移行されることになる。
【0055】
更に、二段掛プーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、Vリブドベルト4は、自然とベルト通路97から離れて二段掛プーリ2の外周へと移動する(
図11(4)参照)。この移動後、ベルト取付治具9を二段掛プーリ2の外周から回収する。
【0056】
上記手順に従えば、補機プーリ3と手前プーリ21との間に巻掛けられたVリブドベルト4を、補機プーリ3と奥側プーリ22との間に巻掛けられた状態にシフトすることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係るベルト取付治具9によれば、本体部91が二段掛プーリ2の外周に沿う形状をしており、しかも、手前プーリ21の外周面に本体部91の内周面を係止するリブ92、及び、奥側プーリ22の外周面に本体部91の内周面を係止するリブ93を備えているので、ベルト取付治具9を、二段掛プーリ2を構成する手前プーリ21及び奥側プーリ22の外周に沿わせて確実に設置することができる。
【0058】
また、補機プーリ3と手前プーリ21との間に巻掛けられたVリブドベルト4を手前プーリ21から奥側プーリ22にシフトさせる際に、手前プーリ21及び奥側プーリ22の外周に沿わせてベルト取付治具9を設置することにより、手前プーリ21の外周面から導入されるVリブドベルト4を奥側プーリ側壁部95の入口規定領域95aにて傾斜させ、傾斜させたVリブドベルト4を、手前プーリ面領域96bと奥側プーリ面領域95bとによって挟まれたベルト通路97によってガイドし、ガイドされたVリブドベルト4を出口規定領域96aによって再度傾斜させて奥側プーリ22の外周面に沿うように容易に移行させることができる。
しかも、Vリブドベルト4を手前プーリ21から奥側プーリ22にシフトさせる際に、Vリブドベルト4を傾斜させている入口規定領域95a及び出口規定領域96aを支持部(支点)にしてVリブドベルト4が保持されるので、Vリブドベルト4が手前プーリ21の方向又は奥側プーリ22の方向にズレたり滑ったりして、Vリブドベルト4がベルト取付治具9から外れてしまうことを防止することができる。
また、手前プーリ面領域96bと奥側プーリ面領域95bとによって挟まれたベルト通路97に導入されたVリブドベルト4をガイドさせることにより、Vリブドベルト4を手前プーリ21から奥側プーリ22にスムーズにシフトさせることができる。
【0059】
また、上記の構成によれば、Vリブドベルト4を入口規定領域95a及び出口規定領域96aにおいて傾斜させる際に、Vリブドベルト4の傾斜を90°よりも小さな角度に維持することができる。即ち、Vリブドベルト4を90°よりも大きく傾斜させることなく(ねじれさせることなく)、手前プーリ21から奥側プーリ22にシフトさせることができる。これによれば、Vリブドベルト4に対して傾斜による過度のストレスをかけることなく、Vリブドベルト4をスムーズに手前プーリ21から入口規定領域95aに導入させるとともに、Vリブドベルト4をスムーズに出口規定領域96aから奥側プーリ22にシフトさせることができる。
【0060】
また、上記の構成によれば、Vリブドベルト4を手前プーリ面領域96bと奥側プーリ面領域95bとによって形成されたベルト通路97によってガイドする際に、Vリブドベルト4を90°よりも小さな角度に傾斜させてガイドすることができる。即ち、Vリブドベルト4を90°よりも大きく傾斜させることなく、入口規定領域95aからベルト通路97を経由して出口規定領域96aにガイドすることができる。これによれば、Vリブドベルト4に対して傾斜による過度のストレスをかけることなく、Vリブドベルト4をスムーズに入口規定領域95aから出口規定領域96aにガイドすることができる。
【0061】
また、上記の構成によれば、手前プーリ21が、奥側プーリ22と補機プーリ3とを結ぶVリブドベルト4の走行線からオフセットされた位置にある場合に、補機プーリ3と手前プーリ21との間に巻掛けられてオフセット状態となったVリブドベルト4を、入口規定領域95aから出口規定領域96aにかけて奥側プーリ22側の方向に傾斜したベルト通路97を経由させることにより、Vリブドベルト4のオフセット状態をスムーズに解消しつつ、Vリブドベルト4を手前プーリ21から奥側プーリ22にシフトさせることができる。
【0062】
また、上記の構成によれば、奥側プーリ22の側面2eとベルト通路97とのなす角εを、15°〜60°の範囲にすることにより、コンパクト性を保持しつつ、Vリブドベルト4に対する過度な負荷を防止することができる。
【0063】
また、上記の構成によれば、第1係止部としてのリブ92が、手前プーリ21の外周面に設けられた凹状のプーリ溝21aに嵌合する、少なくとも1つ以上の凸状のリブで形成されているため、ベルト取付治具9を、二段掛プーリ2を構成する手前プーリ21の外周に正確に設置することができる。
【0064】
また、上記の構成によれば、第2係止部としてのリブ93が、奥側プーリ22の外周面に設けられた凹状のプーリ溝22aに嵌合する、少なくとも1つ以上の凸状のリブで形成されているため、ベルト取付治具9を、二段掛プーリ2を構成する奥側プーリ22の外周に正確に設置することができる。
【0065】
(その他の実施形態)
上記実施形態におけるベルト取付治具9において、奥側プーリ側壁部95及び手前プーリ側壁部96は、
図2(d)に示すように、ベルト取付治具9の短手方向に厚みがある構成としているが、これに限らず、奥側プーリ側壁部95及び手前プーリ側壁部96の短手方向の厚みを小さくした形状にしてもよい。例えば、
図12に示すベルト取付治具109のように、奥側プーリ側壁部195及び手前プーリ側壁部196を板形状として厚みを減らす構造が挙げられる。これによれば、ベルト取付治具109自体のコンパクト化・軽量化を図ることができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。