特許第5930961号(P5930961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930961
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】試薬の在庫品を管理するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20160526BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   G01N35/00 C
   G01N35/00 B
   G01N35/02 B
   G01N35/02 C
【請求項の数】21
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2012-516169(P2012-516169)
(86)(22)【出願日】2010年6月14日
(65)【公表番号】特表2012-530899(P2012-530899A)
(43)【公表日】2012年12月6日
(86)【国際出願番号】US2010038519
(87)【国際公開番号】WO2010147895
(87)【国際公開日】20101223
【審査請求日】2013年6月11日
【審判番号】不服2015-3731(P2015-3731/J1)
【審判請求日】2015年2月26日
(31)【優先権主張番号】12/486,481
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008788
【氏名又は名称】アボット・ラボラトリーズ
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリツチー,パトリツク・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ジヨーンズ,ジヨン・シー
(72)【発明者】
【氏名】シユワルツ,オスカー・エフ
【合議体】
【審判長】 尾崎 淳史
【審判官】 麻生 哲朗
【審判官】 藤田 年彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/002358(WO,A1)
【文献】 特開2007−303882(JP,A)
【文献】 特開2008−214098(JP,A)
【文献】 特開2007−315784(JP,A)
【文献】 特開2008−180640(JP,A)
【文献】 特表2005−514291(JP,A)
【文献】 特開2006−204473(JP,A)
【文献】 実開平02−068754(JP,U)
【文献】 特開2002−142889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬の在庫品を管理するシステムであって、
コントローラと、
コントローラのためのソフトウェアと、
少なくとも1つの棚と、棚に結合された再構成可能なフレームとを備える冷却装置であって、フレームが異なるサイズの試薬キットを収容するように棚を再構成する、試薬を冷却する冷却装置と
を含み、
コントローラは、冷却装置内の試薬の有無を検出するとともに、冷却装置内の試薬の位置を検出し、
再構成可能なフレームが、複数の細長い仕切りのうち少なくとも2つが互いに直角に配置することによって再構成することができるシステム。
【請求項2】
ラボラトリオートメーションシステムと通信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ラボラトリオートメーションシステムが少なくとも1つの臨床分析装置を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ラボラトリオートメーションシステムが試薬の容器からキャップを取り除く装置をさらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
容器を冷却装置から動かし、前記容器を前記ラボラトリオートメーションシステムに置くためのロボット機構をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
人間の操作者が試薬の容器を冷却装置の中にロード可能とするインタフェースをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
試薬を識別しおよび追跡する無線周波数識別システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記冷却装置が、試薬の容器に取り付けられた無線周波数識別タグを読み出す無線周波数識別リーダを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの棚が少なくとも1つのアンテナ基板を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの臨床分析装置に接続されるラボラトリオートメーションシステムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つのベンダに通信可能に結合されるラボラトリオートメーションシステムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つの試薬の在庫品を管理するためのロボットシステムによる方法であって、
冷却装置から取り出される試薬を識別すること、
少なくとも1つの棚と、棚に結合され、異なるサイズの試薬キットを収容するように棚を再構成する、再構成可能なフレームとを備える冷却装置であって、再構成可能なフレームが、複数の細長い仕切りのうち少なくとも2つが互いに直角に配置することによって再構成することができる冷却装置における、前記棚における試薬の位置を判別すること、
冷却装置から試薬を取り出すこと、および
冷却装置から取り出された試薬を臨床分析装置にまたは少なくとも1つの臨床分析装置を有するラボラトリオートメーションシステムに移動させること
を含む方法。
【請求項13】
臨床分析装置を識別することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上の試薬または臨床分析装置が自動的に識別される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薬または他の消耗品目をベンダに自動的に注文することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
人間の操作者によって注文を確認することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上の冷却装置または少なくとも1つの臨床分析装置に関して1つ以上の試薬の状態が判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
1つの細長い仕切りのスロットが、別の細長い仕切りのスロットと互いにかみ合うように、それぞれの細長い仕切りは、1つ以上のスロットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
再構成可能なフレームがアンテナ基板上に配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
コントローラが、冷却装置に収容されたロボットシステムを含み、ロボットシステムが、回転し、伸縮しおよび冷却装置に配設された鉛直および水平なトラックに沿って移動する把持装置を含んで、冷却装置の隔室から試薬を取り寄せるとともに、冷却装置の内部でまたは冷却装置の外部に試薬を移動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
コントローラが、各試薬の使用期限に基づき、試薬および1つ以上の他の試薬の使用に関する優先スケジュールを確立する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は在庫品の管理に関し、より詳細にはラボラトリオートメーションシステムのための試薬の在庫品の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は臨床化学の分野で、および免疫化学の分野で知られている。そのような自動分析装置の代表例が、すべてAbbott Laboratories社から市販されているPRISM(R)分析装置、AxSym(R)分析装置、ARCHITECT(R)分析装置、Roche Diagnostics社から市販されているCobas(R) 6000、Siemens AG社から市販されているAdvia、Dade Behring Inc.社から市販されているDimension Vista、Beckman Coulter Inc.社から市販されているUnicel(R) DxC600i、ならびにOrtho−Clinical Diagnostics社から市販されているVITROSを含むがそれに限定されない。これらの分析装置のそれぞれがさまざまな欠点を持ち、他方より多いものもある。これらの自動分析装置の2つ以上により遭遇される欠点の一部には大量のサンプルの使用、大量の試薬の使用、大量の液体廃棄物および固体廃棄物の発生、ならびに高コストがある。前述の自動分析装置の中には臨床化学アッセイとイムノアッセイ(immunoassay)の両方を実行することができるように設計されていないものがある。前述の自動分析装置の中には特定ユーザの要求に適合させるように修正されることができないものがある。たとえば、ユーザが分析装置上により多くのイムノアッセイ試薬を、および分析装置上により少ない臨床化学試薬を有したいと望む場合、またはその逆の場合でさえ、ユーザは構成を修正することができない。さらに、スループットを増大させるために追加のイムノアッセイモジュールおよび/または臨床化学モジュールを追加することが、不可能ではないとしても困難である。上述の自動分析装置の中には計画されたおよび計画外の両方の相当な量の保守点検を必要とするものがある。加えて、前述の自動分析装置の中には変えられることができない、アッセイのためのスケジューリングプロトコルを有するものがある、すなわちアッセイスケジューリングプロトコルは固定されており、そのことがスループットのような特徴を制限する。たとえば、現在のアッセイプロトコルの修正または新しいアッセイプロトコルの追加が不可能ではないとしても困難なことがある。現在使用されているARCHITECT(R)分析装置は化学発光微粒子イムノアッセイプロトコルの6つの変形形態しかサポートすることができない。加えて、前述の分析装置の中にはかなりの床面積を占有し、大量のエネルギを消費するものがある。
【0003】
自動分析装置のユーザは、自動分析装置がラボラトリ操作に最小の影響を及ぼすように望む、たとえば使用される試薬およびサンプルの量の低減、消耗品目の注文の簡略化を望む。自動分析装置のユーザは、プロセス、たとえば試薬の自動ローディング、別の消耗品目の自動ローディングのさらなる自動化をさらに望む。自動分析装置のユーザはより安全でより信頼できる装置を、たとえば予期しない故障が最少量であること、ダウンタイムが最小であること、予期しない故障を診断し修理するために最小の時間が必要とされること、をさらになお望む。自動分析装置のユーザは音をたてない装置および環境に優しい装置をさらに望む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,033,543号明細書
【特許文献2】米国特許第5,417,922号明細書
【特許文献3】米国特許第5,427,743号明細書
【特許文献4】米国特許第5,589,137号明細書
【特許文献5】米国特許第6,343,690号明細書
【特許文献6】米国特許第6,074,615号明細書
【特許文献7】米国特許第6,555,062号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、自動臨床分析装置で使用される試薬および別の消耗品目の管理は手作業で行われる。顧客が必要に基づき、すなわち、少ない在庫品、較正状態すなわち較正されたロットがまず使用される、使用期限日すなわち最も古い品目がまず使用される、およびメニュー配分すなわちラボラトリスループットの最大化に基づき、試薬および消耗品目を自動臨床分析装置にロードする。加えて、顧客は試薬および消耗品目の使用量を追跡し、理にかなった在庫品を維持するために交換品目を手作業で注文する。加えて、顧客は、回収された製品を取り除くため、ならびに材料の安全性に関するデータに関係のある文献、パッケージの添付文書、およびアッセイプロトコルを手作業で配布するために、試薬を手作業で分類する。さらになお、顧客は輸送および貯蔵中の試薬の温度を追跡する。さらになお、消耗品目の確実な確認は多くの産業で必須であり、製品を製造または検査するために使用されるロットの追跡はよい製造慣習と考えられる。試薬および別の消耗品目を管理するために通常実行される機能のできるだけ多くを自動化することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一様態では、本発明はラボラトリオートメーションシステムのための試薬の在庫品を管理するためのシステムを提供する。試薬の在庫品を管理するためのシステムはコントローラ、コントローラのためのソフトウェア、ならびに試薬を冷却し、冷却装置内の試薬の有無を検出し、冷却装置内の試薬の位置を検出することができる冷却装置を含む。試薬の在庫品を管理するためのシステムはラボラトリオートメーションシステムに接続される。ラボラトリオートメーションシステムは少なくとも1つの臨床分析装置を含む。
【0007】
試薬の在庫品を管理するための典型的なシステムが、試薬および別の補給品の箱のローディングのための操作者インタフェースと、在庫品の識別、および追跡のための無線周波数識別システム(radio frequency identification system)と、容器をトラックシステム上にロードし容器をトラックシステムから取り除くためのロボット機構と、キャップ除去装置と、冷却装置と、ラボラトリ分析装置およびベンダへの情報技術接続とを含む。
【0008】
本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムは、ラベルから情報を読み取る方法を含む。この方法によれば、ISO14443またはISO15693およびISO18000のガイドラインに適合する無線周波数識別タグが、たとえば試薬容器、サンプル容器、およびマイクロウェルプレートなどの対象品目の上に配置される。これらのタグは、無線周波数識別リーダの固定アンテナにより読み出され、そこに書き込まれることができる。無線周波数識別タグを読み出すこと、および無線周波数識別タグに書き込むことはソフトウェアにより制御される。無線周波数識別技術の使用は、バーコードより速くより信頼性のある読出しを提供し、さらにレーザスキャン機器に関連する危険性を取り除く。
【0009】
本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムは、操作者が数多くのイムノアッセイおよび/または臨床化学アッセイを綿密に制御しモニタすることができるようにするための使いやすいグラフィカルユーザインタフェースを提供する。グラフィカルユーザインタフェースは燃料計タイプの液面指示計を利用して、容器内の液面の読出しを簡略化することができる。グラフィカルユーザインタフェースは指示の吹き出しを利用して、経験が比較的ない操作者にラボラトリオートメーションシステムの適切な使用について指示することができる。
【0010】
本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムでは、試薬容器の貯蔵、試薬容器の移動、および試薬容器内の試薬の冷却がほとんど困難なく達成されることができる。試薬容器は、冷却された貯蔵領域からラボラトリオートメーションシステムの分析セクションに自動ロボット機構により移動させられることができる。
【0011】
試薬およびサンプルの手作業によるローディングが、自動システムを使用することにより除かれることができる。加えて、試薬および別の消耗品目の注文が、多くのベンダから利用できるオンライン注文入力システムと通信することができる、試薬の在庫品を管理するためのシステムを用いて自動化されることができる。本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムは、試薬および消耗品目の在庫品の手作業による管理に対してかなりの労力を省くことおよび品質改善を提供する。
【0012】
本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムは、無線周波数識別タグ上に符号化されることができるデータを使って試薬および消耗品目の在庫品を管理することができる。たとえば、一部使用された試薬容器が新しいシステムまで動かされた場合、そのシステムは、無線周波数識別ダグ上に記憶されたデータを読み出すことにより、容器が開けられたときにどれだけ多くのアッセイが容器内に残っているか、および試薬輸送および貯蔵のための温度追跡データを決定することができる。
【0013】
使用期限日、較正状態、および臨床分析装置の試薬在庫品要求が自動試薬ローディングおよび注文を提供するためにモニタされることができる。これらの特徴は、典型的にはこれらの機能に割り当てられる労力をラボラトリが省くことができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムから試薬を利用するラボラトリオートメーションシステムの概略図である。
図2】現在利用できるラボラトリオートメーションシステムを図示する概略図である。図2図1に示されるトラックシステムに隣接して配置されることができる構成要素を示す。
図3】本明細書で説明される冷却装置のいくつかの領域を図示する概略図の正面での側面図である。
図4A】試薬の在庫品を管理するためのシステムのコントローラと、さまざまな臨床分析装置と、冷却装置の間のインタフェースを図示する概略図である。
図4B】消耗品目の配置に優先順位をつけるためのプロセスを図示する流れ図である。
図5A】複数の試薬容器を保持するための容器、すなわち箱の斜視図である。この図では、容器が8つの試薬容器を保持することが見てとれる。
図5B】複数の試薬容器を保持するための容器、すなわち箱の斜視図である。この図では、容器が12の試薬容器を保持することが見てとれる。
図5C】複数の試薬容器を保持するための容器、すなわち箱の斜視図である。この図では、容器が4つの試薬容器を保持することが見てとれる。
図6A】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムで使用するのに適したアンテナ基板の平面図である。
図6B】さまざまなサイズの選択された試薬キットを受け入れ配置することができる棚の構成を得るために操作者により置かれることができる1組の仕切りの平面図である。
図6C】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムで使用するのに適したアンテナ基板の平面図である。この図では、6×6アレイ構成を提供するために仕切りがアンテナ基板の上に置かれた。
図6D】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムで使用するのに適したアンテナ基板の平面図である。この図では、2×12アレイ構成を提供するために仕切りがアンテナ基板の上に置かれた。
図6E】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムで使用するのに適したアンテナ基板の平面図である。この図では、3×6アレイ構成を提供するために仕切りがアンテナ基板の上に置かれた。
図6F】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムで使用するのに適したアンテナ基板の平面図である。この図では、3×4アレイ構成を提供するために仕切りがアンテナ基板の上に置かれた。
図6G】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムで使用するのに適したアンテナ基板の平面図である。この図では、2×3アレイ構成を提供するために仕切りがアンテナ基板の上に置かれた。
図6H】本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムで使用するのに適したアンテナ基板の平面図である。この図では、カスタムアレイ構成を提供するために仕切りがアンテナ基板の上に置かれた。
図7】本明細書で説明されるスマート冷却装置(smart refrigerator)の機能およびサブシステム、ならびに本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムを図示する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用されるように、表現「無線周波数識別」または「RFID」は、電波を使用して、たとえば生体サンプルのための容器、および生体サンプルを分析するための試薬のための容器などの対象を自動的に識別する技術に対する包括的用語である。識別の最も一般的方法が、対象を識別する通し番号、およびおそらく対象または対象の内容物に関係のある別の情報を、アンテナに取り付けられたマイクロチップ上に記憶することである。マイクロチップおよびアンテナは一緒に無線周波数識別応答機(transponder)または無線周波数識別タグと呼ばれる。アンテナは、マイクロチップが識別情報および別の情報を無線周波数識別リーダに接続されるアンテナに伝達することができるようにする。無線周波数識別リーダは、無線周波数識別タグから伝達される無線を、次に、デジタル情報を使用することができるコンピュータに渡されることができるデジタル情報に変換する。
【0016】
本明細書で使用されるように、表現「無線周波数識別システム」または「RFIDシステム」は、アンテナを備えるマイクロチップから作り上げられる無線周波数識別タグと、アンテナを備える無線周波数識別照会機(interrogator)または無線周波数識別リーダとを含む。無線周波数識別リーダは電磁波を送出する。タグアンテナはこれらの波を受信するために同調させられる。受動無線周波数識別タグはリーダにより生成される場から電力を引き出し、その電力を使用してマイクロチップの回路に電力を供給する。次に、マイクロチップは、受動無線周波数識別タグが無線周波数識別リーダに送り返す波を変調し、無線周波数識別リーダは無線周波数識別リーダにより受信される波をデジタルデータに変換する。
【0017】
本明細書で使用されるように、無線周波数識別タグ内のマイクロチップは、「読み書きマイクロチップ」、「読出専用マイクロチップ」、または「追記型マイクロチップ」とすることができる。読み書きマイクロチップの場合、無線周波数識別タグが無線周波数識別リーダの範囲内にあるとき、情報が無線周波数識別タグに追加されることができる、または既存の情報が上書きされることができる。読み書きマイクロチップは通常、上書きされることができない通し番号を有する。データの追加ブロックが、無線周波数識別タグが取り付けられる品目に関する追加情報を記憶するために使用されることができる。これらの無線周波数識別タグはデータの上書きを防止するためにロックされる、あるいは独自データの公開、または患者のプライバシを危険にさらすデータの公開を防止するために暗号化されることができる。読出専用マイクロチップは製造プロセス中に読出専用マイクロチップ上に情報が記憶される。読出専用マイクロチップ上の情報は決して変更されることができない。追記型マイクロチップは通し番号、および追記型マイクロチップに一度書き込まれる別のデータを有し、その情報は後で上書きされることができない。
【0018】
能動無線周波数識別タグは送信機、および自分自身の電源、典型的には電池を有する。電源はマイクロチップの回路を動かすため、および信号を無線周波数識別リーダにブロードキャストするために使用される。マイクロチップの回路は多分何らかの種類のモニタリング機能を行うことができる。受動無線周波数識別タグには電池がない。代わりに、受動無線周波数識別タグは、タグのアンテナに電流を誘起する電磁波を送出する無線周波数識別リーダから電力を引き出す。半受動(semi−passive)無線周波数識別タグは、電池を使用してマイクロチップの回路を動かすが、無線周波数識別リーダから電力を引き出すことにより通信する。前述のタイプの無線周波数識別タグのどれでも本発明のシステムで使用されることができる。
【0019】
本明細書で使用されるように、表現「無線周波数識別リーダ」または「リーダ」は、無線周波数識別タグと通信するため、および無線周波数識別タグとの間のデータの移動を容易にするための手段を提供する機能を有する機器を意味する。無線周波数識別リーダにより実行される機能はかなり高度な信号調整、信号分類、パリティエラーチェック、および訂正を含むことができる。無線周波数識別タグからの信号が正しく受信され、復号されると、アルゴリズムが、信号が反復伝送であるかどうかを決定するために適用されることができ、次に、無線周波数識別タグに伝送を中止するよう指示することができる。このタイプの照会は「コマンドレスポンスプロトコル」として知られており、短期間に複数の無線周波数識別タグを読み出す問題を回避するために使用される。代替技術が、無線周波数識別リーダが特定の識別を有する無線周波数識別タグを捜し、今度はそれらの無線周波数識別タグに照会することを伴う。単一の無線周波数識別リーダ、または複数の無線周波数識別リーダを使用することは本発明の範囲内である。無線周波数識別リーダは単一のアンテナに、または複数のアンテナに接続される。
【0020】
本明細書で使用されるように、表現「ラボラトリオートメーションシステムの分析セクション」は、イムノアッセイまたは臨床化学アッセイ、あるいはイムノアッセイと臨床化学アッセイの両方が行われるラボラトリオートメーションシステムの部分を意味する。本明細書で使用されるように、「吸引/分配機器」は、吸引により液体を容器から取り除く、および吸引された液体の部分を容器の中に、たとえばマイクロウェルプレートのマイクロウェルの中に分配する二重の機能を有する機器を意味する。本明細書で説明されるシステムのために使用されることができる吸引/分配機器が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,033,543号明細書で説明されている。本明細書で使用されるように、用語「XYZ」は、3方向に、すなわち第1の水平方向、第1の水平方向に対して垂直な第2の水平方向、および第1の水平方向と第2の水平方向の両方に対して垂直な第3の方向に動くことができる機器を指す。本明細書で使用されるように、用語「キット化する(kitting)」は、化学反応を開始する前にマイクロウェルプレートの該当するマイクロウェルにサンプルおよび試薬を分配することを意味する。
【0021】
本明細書で使用されるように、表現「ピックアンドプレースロボット(pick and place robot)」などは、対象を所与の位置から取り出し、その対象を別の位置に移動させることができるロボットを意味する。
【0022】
本明細書で使用される、表現「スマート冷却装置」は、中に含まれる冷却された品目を検出し識別するための無線周波数識別技術を組み入れる冷却装置を意味する。無線周波数は高周波(たとえば13.56MHz)または極超短波(たとえば900MHz)とすることができる。スマート冷却装置は受託者により、または別の供給業者により提供されることができる。
【0023】
本明細書で使用されるように、表現「ラボラトリオートメーションシステム」は、サンプル分析の前、間、後のサンプルの処理を自動化するように設計されたシステムを意味する。処理はサンプルの取り扱うこと、サンプルを臨床分析装置からシステムの別の構成要素に動かすこと、およびサンプルの貯蔵を含む。本明細書で使用されるように、表現「臨床分析装置」はイムノアッセイ分析装置、臨床化学分析装置、ならびに生体サンプルから核酸を抽出するため、およびそのように抽出された核酸を増幅するための装置を含むがそれに限定されない。本明細書で使用されるように、表現「試薬在庫品管理システムのためのコントローラ」、「試薬在庫品管理コントローラ」などは、スマート冷却装置とインタフェースをとるコンピュータハードウェアおよびコンピュータソフトウェアを意味する。試薬在庫品管理システムのためのコントローラはパーソナルコンピュータとすることができる。
【0024】
本明細書で使用されるように、表現「アンテナ基板」は、典型的には金属から形成されるが金属から形成されることに限定されない、電波を送信および受信することができる1つまたは複数の機器を含む装置を意味する。これらの機器は、回路基板上に印刷されたトレースのアレイ、またはワイヤにより形成され絶縁体により分離される機器とすることができる。各アンテナは個々に選択されることができ、1つの特定の位置または1つの特定の領域を読み出すことができる。本明細書で使用するのに適したアンテナ基板に関係がある追加情報が、両方とも参照により本明細書に組み入れられる、SYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2006年6月28日出願の米国特許出願第11/495,430号明細書、および、SYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2008年11月20日出願の米国特許出願第12/274,479号明細書で説明されている。
【0025】
本明細書で使用されるように、用語「イムノアッセイ」は、1つまたは複数の抗体のその(それらの)抗原に対する反応を使用して生体溶液中の、典型的には血清中の物質の濃度を測定する生化学検査を意味する。イムノアッセイが抗体の抗原に対する抗体の特異的結合を利用する。本明細書で使用されるように、代わりに「化学発光磁気イムノアッセイ(chemiluminescent magnetic immunoassay)」と呼ばれる「化学発光微粒子イムノアッセイ(chemiluminescent microparticle immunoassay)」は、抗体または抗原に共役させられた化学発光標識を含む。このアッセイでは、磁気微粒子が抗体でコートされる。アッセイはサンプル中の抗原を捜すことが意図される。第2の抗体が化学発光標識で標識される。この第2の抗体は磁気微粒子に付着させられない。抗体および抗原は以下の順序で、すなわち磁気微粒子上の抗体−抗原−抗体−化学発光標識で付着する。次に、磁気微粒子は洗い落とされる。抗体−抗原−酵素の量はプリトリガ(pre−trigger)溶液およびトリガ溶液を追加することにより、および発生させられる光を測定することにより測定される。このタイプのイムノアッセイは、抗体−抗原−酵素の基質、すなわち特異的結合メンバと化合させられたときに光を発生させる。化学発光反応は高感度および測定しやすさを提供する。このタイプのイムノアッセイは、サンプル中に存在するアナライトの量に直接比例する結果を引き起こす非競合的サンドイッチ形式を含む。本明細書で使用されるように、用語「磁気」は常磁性を意味する。
【0026】
本明細書で使用されるように、表現「臨床化学アッセイ」は人体内で自然に発生する物質の濃度を測定する生化学検査を意味し、その濃度は体のさまざまなシステムの健康の状況および状態を示すのに役立つ。アナライトとしばしば呼ばれるそのような物質は、健康な人間の中に一定の期待される範囲の濃度以内で存在する。化学アナライトは3つの主要な部類の1つ、すなわち、たとえば脂質、栄養分、化学成分、例がグルコース、尿素窒素トリグリセリド、尿酸を含む代謝産物などの日常的なアナライト、たとえばアラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびアミラーゼなどの酵素、ならびにたとえばナトリウム、カリウム、および塩化物などの電解質の1つに属する。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「キャリブレータ」は、未知の濃度のアナライトを含むサンプル中のアナライトの濃度を決定する際に使用するための知られている濃度のアナライトを含む組成を意味する。本明細書で使用されるように、用語「対照」は、臨床分析装置での結果の品質を制御する際に使用するための知られている濃度のアナライトを含む組成を意味する。本明細書で使用されるように、表現「バルク液体」は、溶液がたとえば1リットル以上などの比較的大きな容積で提供される、溶液、典型的には試薬、洗浄緩衝液、希釈液、または液体形態の何らかの別のタイプの処理剤を意味する。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「システム」は複雑な全体を形成する相互に関係のある、相互作用する、または相互依存の構成物のグループを意味する。本明細書で使用されるように、用語「サブシステム」はより大きなシステムの構成要素であるシステムを意味する。
【0029】
本明細書で使用されるように、品目の名前に続く記号「(s)」は文脈に応じて1つまたは複数の対象品目が意図されることを示す。本明細書で使用されるように、表現「および/または(and/or)」は、単語「および」または単語「または」が単語、句、または節を接続するために使用されることができることを示すために使用される。
【0030】
本明細書全体を通して、できる限り、同様の一部または構成要素が同じ参照番号を有し、同様な一部または構成要素が、明確さのために必要とされるとき、異なる参照番号を有することがある。
【0031】
ラボラトリオートメーションシステムの望ましい構成要素が数多くの配列で配置されることができる。図1は本明細書で説明されるシステムおよび方法で使用するために修正されることができるラボラトリオートメーションシステムを図示する。この図には、サンプルを含む容器(本明細書では代わりに「サンプル容器」と呼ばれる)および試薬を含む容器(本明細書では代わりに「試薬容器」と呼ばれる)を入力/出力モジュールから試薬容器およびサンプル容器のための1つまたは複数の短期貯蔵領域に動かすことができるようにするためのトラックシステムの配列が示されている。また、この図には、ラボラトリオートメーションシステムの分析器具を配置するためのセクションも示されている。
【0032】
ここで図1を参照すると、ラボラトリオートメーションシステム10がトラックシステム12を含む。図1に示されるように、トラックシステム12は第1のレーン14および第2のレーン16を有する。第1のレーン14の目的は、サンプルを保持する容器(本明細書では代わりに「サンプル容器」と呼ばれる)18を入力/出力モジュール20(図2を参照のこと)からサンプル容器キュー22に移送することである。サンプル容器18がサンプル容器運搬装置(示されていない)を用いてトラックシステム12の上を適切に移動することができる。トラックシステムのレーン上でサンプル容器18を移送するに適した使用容器運搬装置は、たとえばInpeco S.p.a.社、Thermo Fisher Scientific、Inc.社、Beckman Coulter Inc.社、Lab Interlink社、AT&T Corporation社、Siemens AG社などの供給業者から市販されている。そのようなサンプル容器運搬装置は、たとえば、参照により本明細書にすべて組み入れられる、米国特許第5,417,922号明細書、第5,427,743号明細書、第5,589,137号明細書、および第6,343,690号明細書で説明されている。サンプル容器18は適切なロボット機構(示されていない)を用いてサンプル容器運搬装置内に置かれることができる。サンプル容器運搬装置はエンドレスコンベヤベルトまたはそれに適した代替を用いてトラックシステム12の第1のレーン14に沿って移動する。そのようなコンベヤベルトおよびそれに適した代替は当業者によく知られている。サンプル容器18またはアダプタスリーブ(示されていない)は、所与のサンプル容器18を識別し追跡するために使用されることができる無線周波数識別タグ(示されていない)を備えつけられることができる。サンプル容器運搬装置の代替実施形態では、サンプル容器運搬装置は、サンプル容器運搬装置が、異なる直径または異なる長さ、あるいはその両方を有するサンプル容器18に適合するように試薬容器運搬装置(示されていない)と同じサイズにすることができるようにするアダプタスリーブ(示されていない)を備えつけられることができる。
【0033】
第2のレーン16の目的は、試薬を保持する容器(本明細書では代わりに「試薬容器」と呼ばれる)30を入力/出力モジュール20から試薬容器キュー32に移送することである。試薬容器30が試薬容器運搬装置(示されていない)を用いてトラックシステム12の上を適切に移動することができる。この目的に適した試薬容器の代表例がNittobo Boseki Co.,Ltd.社、およびRexam PLC社から市販されている。そのような試薬容器が、たとえば、両方とも参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,074,615号明細書および第6,555,062号明細書で説明されている。試薬容器30は、適切なロボット機構(示されていない)を用いて試薬容器運搬装置内に置かれることができる。試薬容器運搬装置はエンドレスコンベヤベルトまたはそれに適した代替を用いてトラックシステム12の第2のレーン16に沿って移動する。そのようなコンベヤベルトおよびそれに適した代替は当業者によく知られている。試薬容器30は、所与の試薬容器30を識別し追跡するために使用されることができる無線周波数識別タグ(示されていない)を備えつけられることができる。サンプル容器運搬装置および試薬容器運搬装置を移送するためにトラックシステム12の同じレーンを使用することだけでなく、サンプル容器運搬装置および試薬容器運搬装置のために別々のレーンを使用することも可能である。サンプル容器運搬装置と試薬容器運搬装置の両方のために同じレーンを使用することは、トラックシステム12のコストを低減することができる。加えて、サンプル容器運搬装置と試薬容器運搬装置の両方のために同じレーンを使用することは、サンプル容器運搬装置および試薬容器運搬装置が同じサイズとなることができるようにする。
【0034】
トラックシステム12に隣接しているのが、ラボラトリオートメーションシステム10の少なくとも1つの分析セクション60である。トラックシステム12のサイズに応じて、2つ以上の分析セクション60が用いられることができる。分析セクション60には4つの主要なサブセクションが、すなわち、アッセイで使用されるべきサンプルおよび試薬を保持するためのサブセクション62、サンプルおよび試薬を反応容器たとえばマイクロウェルプレートの中に導入し操作するために必要とされる装置のための使い捨てできる構成要素を保持するためのサブセクション64、イムノアッセイを実行するために必要とされる器具をサポートするためのサブセクション66、および臨床化学アッセイを実行するために必要とされる器具をサポートするためのサブセクション68がある。サブセクション66は吸引/分配機器に直接アクセス可能であることは必要とされず、キット化されたマイクロウェルプレートを利用することができる。サブセクション68は、マイクロウェルプレートに直接アクセスできる吸引/分配機器を一般に必要とする。マイクロウェルプレートおよびその位置は、文字「P」により指定される。
【0035】
分析セクション60のサブセクション62は、無線周波数識別タグ26、36から情報を読み出すために無線周波数識別リーダ(示されていない)を収容するのに十分な高さまで持ち上げられることが好ましい。そのような無線周波数識別リーダは、両方とも前に参照により本明細書に組み入れられた、SYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2006年7月28日出願の米国特許出願第11/495,430号明細書、および、SYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2008年11月20日出願の米国特許出願第12/274,479号明細書で説明されている。
【0036】
本明細書で説明されるラボラトリオートメーションシステム10では、サンプルはイムノアッセイと臨床化学アッセイの技術装置の両方のために共有される。サンプルは、ラボラトリオートメーションシステム10の分析セクション60でのサンプルの貯蔵を最小にするため、ならびに再検査および/または反射検査を自動化するために、ラボラトリオートメーションシステム10のトラックシステム12により分析セクション60のサブセクション62に移送されることができる。代わりに、サンプルは、たとえば手作業で、または望まれる場合にはロボット機構(示されていない)によるなどの別の手段により、分析セクション60のサブセクション62に配置されることができる。前に説明されたように、サンプルは、サンプル容器運搬装置24を用いて、またはサンプル容器18をサポートするトレイ38を用いて、ラボラトリオートメーションシステム10の分析セクション60に移動させられることができる。典型的なサンプル容器トレイ38が5つのサンプル容器18まで保持することができ、1列のサンプル容器トレイが典型的には3つのサンプル容器トレイ38まで含むことができ、サブセクション62は典型的には12のサンプル容器トレイまで保持することができる。サンプル容器18のために配置される分析セクション60のサブセクション62の領域は決定的に重要ではないが、60のサンプル容器18までがサブセクション62に貯蔵されることができることが見てとれる。しかし、分析セクション60の寸法が大きくされた場合、60を超えるサンプル容器18が分析セクション60のサブセクション62に貯蔵されることができる。
【0037】
分析セクション60のサブセクション62は、臨床化学アッセイのための試薬容器30の一時的貯蔵のため、イムノアッセイのための攪拌試薬のための装置と共にイムノアッセイのための試薬容器30の一時的貯蔵のため、およびサンプル容器18の一時的貯蔵のための十分な空間を提供する。サブセクション62は臨床化学アッセイだけのための試薬容器30、イムノアッセイだけのための試薬容器30、または両方のタイプのアッセイのための試薬容器30の組み合わせを含むように設計されることができる。サブセクション62は、試薬およびサンプルのための冷却および蒸発の対照を提供するように備えつけられることが好ましい。
【0038】
臨床化学アッセイのための個々の試薬容器30およびイムノアッセイのための個々の試薬容器30は、試薬容器運搬装置から取り除かれ、ロボットシステムを用いて分析セクション60のサブセクション62の該当する位置に挿入されることができ、グリッピング機器92が、以下で吸引/分配機器94と代わりに呼ばれる、液体を吸引および分配するこことができる機器94に固定されることができる。吸引/分配機器94は、液体を容器から吸引し、液体をマイクロウェルプレートのマイクロウェルの中に分配することができる。
【0039】
たとえばある種のタイプのイムノアッセイのためのプリトリガ溶液、洗浄緩衝液、および脱イオン水などのバルク液体が水槽(trough)116a、116b、116cなどの中に含まれることが好ましく、その結果、複数のピペット先端110が特定の液体を同時に吸引することができる。該当する場合に、別のバルク液体が貯蔵されることができる。たとえば、プリトリガ溶液と一緒に使用されるある種のタイプのイムノアッセイのためのトリガ溶液は、たとえば発光リーダなどのリーダの中に貯蔵されることができ、それによりトリガ溶液は、アッセイの結果が読み出されるべき時点に放出される。トリガ溶液は、光子が約3秒から約5秒の範囲内でイムノアッセイの反応生成物の標識から放出されることができるようにする。
【0040】
ピペット先端(未使用のピペット先端と再利用のためのピペット先端の両方)のための貯蔵領域120、および温度制御可能マイクロウェルプレート回転部122、または固定吸引/分配位置124が、分析セクション60のサブセクション64に配置される。固定吸引/分配機器が使用される場合、マイクロウェルプレート回転部は使用される必要がない。
【0041】
使い捨てできるピペット先端のためのラック126、および固体廃棄物のための容器128が分析セクション60の中央に、またはその近くに配置されることができ、それにより、吸引/分配操作のために清潔なラボラトリ装置の上を吸引/分配機器94たとえばピペット先端、マイクロウェルプレートが移動する距離を最小にする。使い捨てできるピペット先端のためのこれらのラック126は、使い捨てできるピペット先端の使用前にイムノアッセイおよび臨床化学アッセイのために使い捨てできるピペット先端を貯蔵するために使用される。先端コーム(comb)のための、すなわち逆磁気粒子処理で使用される使い捨てできる品目のためのラック130が、先端コームの使用前に先端コームを貯蔵するために使用される。使用された先端コームが、使用された先端コームのためのラック132の中に捨てられることができる。ピペット先端のための「再利用」ラック134が、ピペット先端の消費を低減するために、特定の試薬容器30またはバルク溶液に配置されるピペット先端を貯蔵するために使用されることができる。使い捨てできる先端のためのラックスタッカ136が、使い捨てできる先端のラックを分配するディスペンサの中に、使い捨てできる先端の多数のラックを貯蔵することができる。ラックスタッカ136は、ばねまたはモータの駆動が、貯蔵されたラックを分析セクション60の表面に向かって力強く動かす細長い容器とすることができる。ピペット先端のための別の「再利用」ラック(示されていない)が、ピペット先端の消費を低減するために、特定のサンプルに配置されるピペット先端を、それらのサンプルがイムノアッセイモードおよび臨床化学アッセイモードで検査されるときに貯蔵するために使用されることができる。ピペット先端が同じサンプルまたは同じ試薬の使用を繰り返す場合、すなわち別のサンプルまたは別の試薬からの持ち越しがない限り、ピペット先端が再利用されることができる。所与のサンプルに対する検査のすべてが完了した後、サンプルに対するピペット先端は、分析セクション60近くの該当する位置に配置される固体廃棄物のための容器128の中の固体廃棄物に排出される。前述のラックはその期待される内容物に適合するように設計されることができる。そのようなラックは市販されており、当業者によく知られている。
【0042】
前処理および希釈領域が固定吸引/分配位置124に配置される。この位置では、望まれる場合、マイクロウェルプレートが固定位置で維持されることができる、すなわち回転できない。前処理ステップおよび/または希釈ステップは、イムノアッセイ処理および臨床化学アッセイ処理の前に行われる。
【0043】
ここで、図1図5、および図6に戻ると、イムノアッセイプロセッサ140が分析セクション60のサブセクション66に配置される。図7では、異なるタイプのイムノアッセイプロセッサが使用される。このイムノアッセイプロセッサは参照番号140aにより指定される。2つ以上のイムノアッセイプロセッサ140が利用されることができる。臨床化学アッセイプロセッサ142が分析セクション60のサブセクション68に配置される。2つ以上の臨床化学アッセイプロセッサが利用されることができる。マイクロウェルプレートのための貯蔵ラック144が分析セクション60のサブセクション68に、またはその近くに配置される。マイクロウェルプレートのためのスタッカ146が、イムノアッセイまたは臨床化学アッセイのためにマイクロウェルプレートをキット化する前にイムノアッセイおよび臨床化学アッセイのためのマイクロウェルプレートを貯蔵するために使用される。前に示されたように、本明細書で説明されるラボラトリオートメーションシステムは、イムノアッセイプロセッサが何もなしに1つまたは複数の臨床化学アッセイプロセッサで機能することができる、または臨床化学アッセイプロセッサが何もなしに1つまたは複数のイムノアッセイプロセッサで機能することができる。
【0044】
イムノアッセイプロセッサ140は、以下の機能を、すなわち反応混合物のインキュベーション、反応混合物の混合、反応混合物からの成分の分離、1つまたは複数の反応生成物の洗浄、およびイムノアッセイの結果の読出しを可能にするための標識の放出を提供する。本明細書で使用するために修正されることができるイムノアッセイプロセッサ140が、Thermo Fisher Scientific,Inc.社、Waltham、MAから市販され、参照により本明細書に組み入れられる、METHOD OF PERFORMING ULTRA−SENSITIVE IMMUNOASSAYSと題する2007年10月25日出願の米国特許出願第11/923,828号明細書で説明されているKingFisher(TM)磁気粒子プロセッサである。
【0045】
イムノアッセイプロセッサ140から分離された発光リーダ150が、反応混合物が処理された後、イムノアッセイの結果をマイクロウェルプレートから読み出すために、分析セクション60のサブセクション68に配置される。マイクロウェルプレートは、コンベヤベルト151を用いてイムノアッセイプロセッサ140から発光リーダ150まで動かされることができる。代わりに、マイクロウェルプレートは、ロボット機構を用いてイムノアッセイプロセッサ140から発光リーダ150まで動かされることができる。
【0046】
図1に示される項目は、参照により本明細書に組み入れられる、AUTOMATED ANALYZER FOR CLINICAL LABORATORYと題する2008年10月24日出願の米国特許出願第12/257,495号明細書でより詳細に説明されている。
【0047】
図2は、トラック配列の周りに置かれることができるラボラトリオートメーションシステムの別の従来の構成要素を図示する。これらの構成要素は第1のイムノアッセイ分析装置50a、第2のイムノアッセイ分析装置50b、第1の臨床化学分析装置50c、および第2の臨床化学分析装置50dを含む。本明細書で説明される本発明は異なるタイプのイムノアッセイ分析装置および異なるタイプの臨床化学分析装置を利用することができる。図2に示される項目は、前に参照により本明細書に組み入れられた、AUTOMATED ANALYZER FOR CLINICAL LABORATORYと題する2008年10月24日出願の米国特許出願第12/257,495号明細書でより詳細に説明されている。
【0048】
ラボラトリオートメーションシステムに関連する自動臨床分析装置が、典型的には、吸引/分配機器の1つのピペット(または複数のピペット)が3次元に、すなわち水平面内の2次元(すなわちXおよびY)および垂直に1次元(すなわちZ)に動かされることができる吸引/分配機器を用いる。ラボラトリオートメーションシステムの残りの構成要素は、1つのピペット(または複数のピペット)がラボラトリオートメーションシステムのさまざまな構成要素にアクセスを得ることができるようにするために、吸引/分配機器の近くに配置される、または吸引/分配機器に接続されることができる。しかしすべての構成要素が吸引/分配機器からの直接アクセスを必要とするわけではない。
【0049】
ラボラトリオートメーションシステムの所望の能力に応じて、ラボラトリオートメーションサブシステム(たとえばさまざまな診断アッセイ技術)が吸引/分配機器に追加される、またはそこから取り去られることができる。加えて、複数のサブシステムがスループットを増大させるためにラボラトリオートメーションシステムに追加されることができる、たとえば1つまたは複数のイムノアッセイサブシステムが、イムノアッセイのスループットを増大させるためにイムノアッセイサブシステムに追加されることができる、または1つまたは複数の臨床化学アッセイサブシステムが、臨床化学アッセイのスループットを増大させるために臨床化学アッセイサブシステムに追加されることができる。
【0050】
試薬の在庫品を管理するための典型的なシステムが、試薬および別の補給品の箱のローディングのための操作者インタフェースと、試薬および別の消耗品目の識別および追跡のための無線周波数識別システムと、試薬および別の消耗品目をラボラトリオートメーションシステムのトラックシステム上にロードし、試薬および別の消耗品目をラボラトリオートメーションシステムのトラックシステムから取り除くためのロボット機構と、キャップ除去装置と、冷却装置と、臨床分析装置ならびに試薬および別の消耗品目のベンダへの情報技術接続とを含む。情報技術接続は結合してラボラトリオートメーションシステムを形成する。
【0051】
試薬の在庫品を管理するためのシステムが、試薬容器30を試薬容器運搬装置の中に置くように設計されることができ、置いた後、これらの試薬容器運搬装置はラボラトリオートメーションシステム10の分析セクション60に送られることができ、そこでこれらの試薬容器運搬装置は正しいローカルキュー32の中に方向転換されることができる。そのように置くことは、試薬容器30をトラックシステム12近くの貯蔵位置から取り上げて試薬容器30を試薬容器運搬装置の上に置く能力を有するロボット機構(示されていない)により達成されることができる。同様に、サンプルを提供するためのシステムが、サンプル容器18をサンプル容器運搬装置(示されていない)またはアダプタスリーブ(示されていない)を有する試薬容器運搬装置(示されていない)の中に置くように設計されることができ、置いた後、これらの試薬容器運搬装置はラボラトリオートメーションシステム10の分析セクション60に送られることができ、そこでこれらの試薬容器運搬装置は正しいローカルキュー22の中に方向転換されることができる。そのように置くことは、サンプル容器18をトラックシステム12近くの貯蔵位置から取り上げてサンプル容器18をサンプル容器運搬装置(示されていない)またはアダプタスリーブ(示されていない)を有する試薬容器運搬装置(示されていない)の上に置く能力を有するロボット機構(示されていない)により達成されることができる。
【0052】
複数のスマート冷却装置および複数の臨床分析装置が、試薬の在庫品を管理するためのシステムのための1つのコントローラにより管理されることができる。このアーキテクチャは、最大レベルの柔軟性がラボラトリの必要性に応じて少ないまたは多い試薬在庫品を把握することができるようにする。
【0053】
図3はスマート冷却装置200を示す。スマート冷却装置200は最上部壁202、底壁204、第1の側壁206、第2の側壁208、および背面壁210を有する。スマート冷却装置はまた、背面壁210と平行な前面壁を形成する扉を有する。図3に示されるスマート冷却装置200では、扉は引き戸または開き戸とすることができる。扉はたとえばプラスチック、飛散しにくいガラスなどの透明な材料から作られることができる。扉はまた、透明ではない材料から作られることができる。扉は、(a)それぞれが1つまたは複数の試薬容器を含む1つまたは複数のパッケージ、または(b)ユーザに出荷されたパッケージのない1つまたは複数の個々の試薬容器を、操作者が挿入することができるようにするために開けられることができる。
【0054】
スマート冷却装置200は2つの内部構成要素を有する。冷却コンパートメントが参照番号212により指定される。冷凍庫コンパートメントが参照番号214により指定される。キャリブレータおよび対照「CC」が冷却コンパートメント212のサブコンパートメント212a内に貯蔵されることができる。典型的には液体形態でありバルク液体と代わりに呼ばれるバルク流体「BF」が冷却コンパートメント212のサブコンパートメント212bに貯蔵されることができる。特定のアッセイのための試薬「R」が冷却コンパートメント212の第3のサブコンパートメントに貯蔵されることができる。図3に示されるように、冷却コンパートメント212の第3のサブコンパートメントは、サブコンパートメント212aとサブコンパートメント212bの間に配置される。入力/出力モジュール216はスマート冷却装置200に隣接して配置される。図3に示されるように、入力/出力モジュール216は、図1および図2に示されるラボラトリオートメーションシステムにつながるトラック「T」に接続される。冷凍庫コンパートメントは好ましくは約−30℃から約−20℃の範囲の温度に維持される。冷却セクションは好ましくは約2℃から約8℃の範囲の温度に維持される。一部のバルク液体が冷却を必要とする。サブコンパートメント212bの上部内の開かれた貯蔵領域は、顧客が貯蔵することを望むどんなものに対しても貯蔵空間を提供する。スマート冷却装置の典型的な寸法が幅50インチ(127cm)×高さ60インチ(152cm)×奥行き24インチ(61cm)である。前に明言されたように、サブコンパートメント212aとサブコンパートメント212bの間に配置される、冷却コンパートメント212の第3のサブコンパートメンは、複数の棚218a、218b、218c、218d、218e、および218fを含む。スマート冷却装置200は6つより多くの棚、または6つ未満の棚を用いることができることに留意されたい。
【0055】
ロボットシステムが、スマート冷却装置200のサブ構成要素212cの所与の棚の所与の位置から所与の試薬容器を取り出すために用いられることができる。ロボットシステムはガントリシステム内にXYZロボットを含むことができる。XYZロボットは容器をつかむためのグリッパ(gripper)を有する。グリッパは、スマート冷却装置に貯蔵されるべき任意のタイプの容器を握ることができるべきである。このロボットシステムは、容器を1つまたは複数の冷却された領域から握り、持ち上げて、人間の操作者による手作業での移送のために試薬容器上に、または臨床分析装置への容器の自動移送のために、ラボラトリオートメーションシステムの移送構成要素に容器を置く。本明細書で使用するのに適したロボットシステムは当業者により、たとえばロボットシステムのベンダにより製造されることができる。
【0056】
図3を再び参照すると、ロボットグリッピング機器220が、ねじを切られたスクリュ222を用いて垂直に動くことができる。ロボットグリッピング機器220に取り付けられているのが、ロボットグリッピング機器220が、ねじを切られたスクリュ222に沿って垂直に動くことができるようにするナット(示されていない)である。ナットの動きはモータ(示されていない)、典型的にはステッピングモータにより作動させられることができる。ロボットグリッピング機器220はさらにロボットグリッピング機器220専用のトラック224、226に沿って水平方向に動くことができる。ロボットグリッピング機器220は伸縮運動および回転運動を可能にする特徴を有するように設計されることができる。伸縮する特徴は、ロボットグリッピング機器220がその届く範囲を拡大させるまたは収縮させることができるようにする。回転する特徴は所望の位置でマイクロウェルプレートを握る、持ち上げる、下げる、および置くのを容易にする。ロボットグリッピング機器220は、試薬容器をスマート冷却装置200の任意のコンパートメントまたはサブコンパートメントから取り出し、試薬容器を入力/出力モジュール216の上、またはラボラトリオートメーションシステムにつながるトラック「T」の上に置くことができる。ロボットグリッピング機器220は、入力/出力モジュール216に、または第1の側壁206内に形成された開口(示されていない)を用いてラボラトリオートメーションシステムにつながるトラック「T」にアクセスすることができる。必要であれば、ロボットグリッピング機器220と、入力/出力モジュール216と、ラボラトリオートメーションシステムにつながるトラック「T」との間の任意の別の障壁内に追加の開口が形成されることができる。1つまたは複数の開口は、コントローラにより必要とされるときに開けられるまたは閉められることができる扉を用いて開けられるまたは閉められることができる。ロボットグリッピング機器は、前に参照により本明細書に組み入れられた、AUTOMATED ANALYZER FOR CLINICAL LABORATORYと題する2008年10月24日出願の米国特許出願第12/257,495号明細書でより詳細に考察されている。
【0057】
スマート冷却装置の機械的および化学的構成要素は市販されており、ベンダから容易に得られることができる。
【0058】
ここで図4Aを参照すると、試薬の在庫品を管理するためのシステム300が、複数の臨床分析装置304aと304nを含めて304aから304n、および複数のスマート冷却装置306aと306nを含めて306aから306nとインタフェースをとる中央コントローラ302を有する。
【0059】
試薬の在庫品を管理するためのシステム300のためのコントローラ302は、少なくとも1つの臨床分析装置304aと304nを含めて304aから304nから以下のタイプの情報を受け取る。
(a)臨床分析装置に対する構成情報
(b)臨床分析装置に対する識別情報
(c)臨床分析装置の較正状態
(d)臨床分析装置の機能状態を示すための組込検査(built−in test、BIT)
(e)臨床分析装置に対する在庫品情報
【0060】
試薬の在庫品を管理するためのシステム300のためのコントローラ302は、少なくとも1つのスマート冷却装置306aと306nを含めて306aから306nから以下のタイプの情報を受け取る。
(a)スマート冷却装置に対する構成情報
(b)スマート冷却装置に対する識別情報
(c)スマート冷却装置の較正状態
(d)スマート冷却装置の機能状態を示す組込検査(BIT)
(e)スマート冷却装置に対する在庫品情報
【0061】
試薬の在庫品を管理するためのシステム300のためのコントローラ302は、1つまたは複数のスマート冷却装置306aと306nを含めて306aから306nに割当情報およびルーティング情報を提供する。
【0062】
供給業者により操作される試薬注文システム308が、顧客により操作される、試薬の在庫品を管理するためのシステム300のコントローラ302とインタフェースをとる。操作者は典型的には試薬および別の消耗品目310に対する注文を確認する。しかし、試薬の在庫品を管理するためのシステムは、操作者の介在なしに供給業者から試薬および別の消耗品目に対する注文を生成し確認することができる。
【0063】
試薬の在庫品を管理するためのシステムと通信することができる別のシステムが、(a)たとえば試薬などの消耗品目の使用に優先順位をつけるためのシステム314、(b)品質保証および世界的商業運用のためのシステム316、ならびに(c)試薬の在庫品の計画のためのシステム318である。無線周波数識別パッドリーダ320が、データを入力するための機器として、またはスマート冷却装置の代替として使用されることができる。
【0064】
消耗品目の使用に優先順位をつけるためのシステム314は、図4Bの流れ図により図示される。試薬の在庫品の管理のためのソフトウェアは、1つまたは複数の臨床分析装置内の試薬の在庫品を再調査することができ(ステップ332)、1つまたは複数のスマート冷却装置内の試薬の在庫品を再調査することができる(ステップ334)。ステップ336では、消耗品目の使用に優先順位をつけるためのシステムは、消耗品目が回収されたかどうかを決定する。消耗品目が回収された場合、消耗品目は検疫され、無線周波数識別タグがこのステップの明細を明らかにするために更新される(ステップ338)。次に、在庫品処分報告書が生み出されることができる(ステップ340)。次に、在庫品処分報告書は該当する受取人に伝達され、印刷されることができる(ステップ342)。消耗品目が回収されなかった場合、または消耗品目が回収されたが依然として存続可能であると考えられる場合、開けられた容器内の試薬が優先させられる(ステップ344)。次に、最も古い試薬、すなわち使用期限日に達するのに最も近い試薬が優先させられる(ステップ346)。次に、較正された試薬が優先させられる(ステップ348)。次に、優先順位のためのシステムは、操作者により必要とされる動作を最小にするための順序を決定する(ステップ350)。次に、優先順位のためのシステムは、システムのスループットを最大にするための順序を決定する(ステップ352)。次に、試薬の移動が計画される(ステップ354)。試薬の移動は3つの方法のうちの1つ、すなわち(a)試薬の手作業での取り出しおよび移送(ステップ356)、(b)試薬の自動取り出しおよび試薬の手作業での移送(ステップ358)、(c)試薬の完全自動取り出しおよび移送(ステップ360)のうちの1つで実行されることができる。この時点(ステップ362)で、優先順位アルゴリズムは完了する。
【0065】
品質保証/世界的商業運用のためのシステム316は、試薬に対する回収通知を発行することができる。計画のためのシステム318は、試薬の在庫品を管理するためのシステム300に照会することができる。照会を受け取ったとき、試薬の在庫品を管理するためのシステム300は、試薬および別の消耗品の在庫品を計画のためのシステム318に提供することができる。
【0066】
前に説明されたラボラトリオートメーションシステムが、たとえばトラックシステムなどのルーティングシステム312とインタフェースをとる。ルーティングシステム312は、分析装置の在庫品の中に置くために特定の臨床分析装置に試薬を送る。ラボラトリオートメーションシステムは任意選択である、すなわち試薬の在庫品を管理するためのシステムは、ラボラトリオートメーションシステムが使用されない環境で機能することができる。
【0067】
ラボラトリオートメーションシステムとスマート冷却装置の間のリアルタイム制御が、ラボラトリオートメーションシステムおよびスマート冷却装置がそれらの機能を調整することができるようにする。たとえば、試薬容器が1組のアッセイのためにラボラトリオートメーションシステムにより配置されたとき、メッセージがスマート冷却装置に送信される。次に、スマート冷却装置は試薬容器を提供し、該当する臨床分析装置に試薬容器を動かすようにメッセージをラボラトリオートメーションシステムに送信する。リアルタイム制御は、参照により本明細書に組み入れられる、http://www.embedded.com/story/OEG20011016S0120にある、Stewart、Introduction to Real Time、Embedded Systems Design−Embedded.com、November 1、2001でさらに説明されている。
【0068】
ラボラトリオートメーションシステムと臨床分析装置の間の位置ハンドシェーキングが、ラボラトリオートメーションシステムおよび臨床分析装置がそれらの機能を調整することができるようにする。たとえば、サンプル管が吸引ステップのためにラボラトリオートメーションシステムにより配置されたとき、メッセージが臨床分析装置に送信される。次に、臨床分析装置はサンプルを吸引し、次の臨床分析装置にサンプルを動かすようにメッセージをラボラトリオートメーションシステムに送信する。
【0069】
試薬が顧客に販売される複数のパッケージサイズ、および容器の底で無線周波数識別タグを読み出すための位置的要件のために、容器のための運搬装置、および再構成されることができる棚を開発することが必要である。加えて、パッケージをロードする方法が直感的であり、操作者が実行することが容易であるべきである。パッケージングは、たとえば2列で各列に2つの容器を含む、1列で列に6つの容器を含む、4列で各列に2つの容器を含む、4列で各列に3つの容器を含む、4列で各列に6つの容器を含むなど、容器のためのいくつかのアレイを提供することができる。
【0070】
図5A図5B、および図5Cは、試薬のためのさまざまなパッケージを図示する。図5Aは8つの試薬容器を2×4アレイに保持するためのパッケージ400の斜視図である。パッケージ400は4つのより小さいパッケージ402a、402b、402c、および402dを含む。より小さいパッケージのそれぞれが2×1アレイに2つの試薬容器404を含む。パッケージ400は前面壁400a、背面壁400b、第1の側壁400c、第2の側壁400d、底壁400e、および最上部壁400fを有する。最上部壁400fは第2の側壁400dに接合されるが、第1の側壁400cに接合されない。最上部壁400fは、XYZロボットが容器404にアクセすることができるようにするために第2の側壁400dの端を中心に回転できる。各パッケージ402a、402b、402c、および402dは前面壁、背面壁、第1の側壁、第2の側壁、および底壁を有する。各パッケージ402a、402b、402c、402dには最上部壁がない。操作者またはバーコードリーダがパッケージ400の内容物を識別することができるように、ラベル406がパッケージ400の外面に付着させられる。
【0071】
図5Bは、3×4アレイに8つの試薬容器を保持するためのパッケージの斜視図である。パッケージ500は4つのより小さいパッケージ502a、502b、502c、502dを含む。より小さいパッケージのそれぞれが3×1アレイに3つの試薬容器504を含む。パッケージ500の構成はパッケージ400の構成と実質的に類似し、パッケージ502a、502b、502c、502dの構成はそれぞれパッケージ402a、402b、402c、402dの構成に実質的に類似する。図5Bではパッケージは12の試薬容器を含み、図5Aではパッケージは8つの試薬容器を含むという事実のために、パッケージ500とパッケージ400、ならびにパッケージ502a、502b、502c、502dとパッケージ402a、402b、402c、および402dの間のそれぞれの唯一の重要な違いはサイズである。パッケージ500は前面壁500a、背面壁500b、第1の側壁500c、第2の側壁500d、底壁500e、および最上部壁500fを有する。最上部壁500fは第2の側壁500dに接合されるが、第1の側壁500cに接合されない。最上部壁500fは、XYZロボットが容器504にアクセスできるようにするために第2の側壁500dの端を中心に回転できる。各パッケージ502a、502b、502c、および502dは前面壁、背面壁、第1の側壁、第2の側壁、および底壁を有する。各パッケージ502a、502b、502c、502dには最上部壁がない。操作者またはバーコードリーダがパッケージ500の内容物を識別することができるように、ラベル506がパッケージ500の外面に付着させられる。
【0072】
図5Cは、2×2アレイに4つの試薬容器を保持するためのパッケージの斜視図である。パッケージ600は2つの挿入物602a、602bを含む。パッケージ600は2つの試薬容器604を含む。挿入物602a、602bは、容器604間の適切な間隔を維持しながら、試薬容器604が1組としてパッケージ600から取り除かれることができるようにするように機能する。パッケージ600の構成は、パッケージ400の構成に、およびパッケージ500の構成に実質的に類似する。パッケージのそれぞれに供給される容器の数のために、パッケージ600とパッケージ400とパッケージ500の間の唯一の重要な違いはサイズである。パッケージ600は前面壁600a、背面壁600b、第1の側壁600c、第2の側壁600d、底壁600e、および最上部壁600fを有する。最上部壁600fは第2の側壁600dに接合されるが、第1の側壁600cに接合されない。最上部壁600fは、XYZロボットが容器604にアクセスすることができるようにするために第2の側壁600dの端を中心に回転できる。操作者またはバーコードリーダがパッケージ600の内容物を識別することができるように、ラベル606がパッケージ600の外面に付着させられる。
【0073】
試薬のための容器の形状は決定的に重要ではない。一般に、試薬は典型的には円柱形状容器で提供される。容器のためのパッケージの形状は決定的に重要ではない。しかし、一般に、パッケージは6面の箱の形をしている。パッケージは典型的には、一般に平行四辺形の形の底部、一般に平行四辺形の形の最上部、一般にそれぞれ平行四辺形の形の4つの側面を有する。臨床分析装置で使用するのに適した任意のタイプの試薬が容器に含まれることができる。本明細書で使用するのに適した試薬の代表例が、ARCHITECT(R)イムノアッセイ分析装置およびARCHITECT(R)臨床化学分析装置で使用されることができる試薬を含む。これらの試薬はAbbott Laboratories、Abbott Park、IL USAから市販されている。
【0074】
さまざまなサイズのパッケージを収容し、さらに容器および無線周波数識別タグを無線周波数識別照会機の上に正確に置くために、操作者により構成可能な仕切りが、スマート冷却装置内に配置されるアンテナ基板の上に配置されることができる。仕切りは重合体材料、好ましくは試薬により分解させられることに耐性のある重合体材料から作られることができる。仕切りの寸法は決定的に重要ではない。本明細書で使用するのに適した仕切りが幅ほぼ1/4インチ(0.635cm)および高さほぼ1/2インチ(1.27cm)を有する。好ましくは、仕切りは、複数の仕切りが一緒にロックされることができるようにする特徴を有する。スマート冷却装置内の棚は市販されている冷却装置内に存在する棚のタイプである。そのような冷却装置はクロムめっきされ溶接された網棚を有する。加えて、棚が構成されると、試薬パッケージをロードすることは直感的であり、容易である。パッケージが変わるとき、棚は必要に応じて再構成されることができる。この試薬パッケージの唯一の「仮定される」特徴は、スマート冷却装置の棚の上の無線周波数識別照会機の中心間の間隔とマッチするように、各容器に対する中心間の距離が同じであることである。
【0075】
図6A図6B図6C図6D図6E図6F図6G、および図6Hは、スマート冷却装置の棚のさまざまな構成を示す。スマート冷却装置にロードするのを簡略化するために、各棚は異なるサイズの試薬パッケージに合わせて構成されることができる。しかし、最高の密度を求めて、顧客が必要とする試薬パッケージの任意の組み合わせに対して所与の棚が構成されることができる。
【0076】
図6Aは、本明細書で説明されるスマート冷却装置で使用するのに適したアンテナ基板700の平面図を示す。典型的な寸法が22インチ(55.9cm)×24インチ(61cm)である。アンテナ(示されていない)に加えて、図6Aに示されるアンテナ基板700は255チャネルRF出力多重化スイッチ700a、255チャネルRF入力多重化スイッチ700b、CPUおよび周辺ロジックインタフェース700c、USB I/Fインタフェース700dを含む。しかし、アンテナ基板の実際の設計は、別の望ましい構成を収容するために修正されることができる。アンテナ基板700の上に重なるのがフレーム702であり、そうする目的は以下で説明される。
【0077】
図6Bは、フレーム702、およびさまざまなサイズの試薬キットを受け入れて配置するためにスマート冷却装置の棚の間隔を構成するように操作者によりあちこちに動かされることができる1組の細長い仕切り704、706、708、710、および712の平面図を示す。フレーム702は細長い仕切り704、706、708、710、および712の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット702aを有する。細長い仕切り704はまた、細長い仕切り706、708、710、および712の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット704aを含む。
【0078】
図6Cは、6×6アレイ構成を提供するために、フレーム702および1組の細長い仕切り704がアンテナ基板700の上に置かれたアンテナ基板700の平面図である。フレーム702は、細長い仕切り704の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット702aを有する。細長い仕切り704はまた、左から右に通る細長い仕切り704が前から後に通る細長い仕切り704と交差し、フレーム702の水平面内に残ることができるようにするための複数のスロット704aを有する。左から右に通る細長い仕切り704は前から後に通る細長い仕切り704と同一であるが、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aが前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)と互いにかみ合うように、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aは上方に向き、前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)は下方に向くことに留意されたい。
【0079】
図6Dは、2×12アレイ構成を提供するために、フレーム702および1組の細長い仕切り704がアンテナ基板700の上に置かれたアンテナ基板700の平面図である。フレーム702は細長い仕切り704の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット702aを有する。細長い仕切り704はまた、左から右に通る細長い仕切り704が前から後に通る細長い仕切り704と互い交差し、フレーム702の水平面内に残ることができるようにするための複数のスロット704aを有する。左から右に通る細長い仕切り704は前から後に通る細長い仕切り704と同一であるが、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aが前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)と互いにかみ合うように、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aは上方に向き、前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)は下方に向くことに留意されたい。
【0080】
図6Eは、3×6アレイ構成を提供するために、フレーム702および1組の細長い仕切り704がアンテナ基板700の上に置かれたアンテナ基板700の平面図である。フレーム702は細長い仕切り704の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット702aを有する。細長い仕切り704はまた、左から右に通る細長い仕切り704が前から後に通る細長い仕切り704と交差し、フレーム702の水平面内に残ることができるようにするための複数のスロット704aを有する。左から右に通る細長い仕切り704は前から後に通る細長い仕切り704と同一であるが、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aが前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)と互いにかみ合うように、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aは上方に向き、前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)は下方に向くことに留意されたい。
【0081】
図6Fは、3×4アレイ構成を提供するために、フレーム702および1組の細長い仕切り704がアンテナ基板700の上に置かれたアンテナ基板700の平面図である。フレーム702は細長い仕切り704の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット702aを有する。細長い仕切り704はまた、左から右に通る細長い仕切り704が前から後に通る細長い仕切り704と交差し、フレーム702の水平面内に残ることができるようにするための複数のスロット704aを有する。左から右に通る細長い仕切り704は前から後に通る細長い仕切り704と同一であるが、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aが前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)と互いにかみ合うように、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aは上方に向き、前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)は下方に向くことに留意されたい。
【0082】
図6Gは、2×3アレイ構成を提供するために、フレーム702および1組の細長い仕切り704がアンテナ基板700の上に置かれたアンテナ基板700の平面図である。フレーム702は細長い仕切り704の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット702aを有する。細長い仕切り704はまた、左から右に通る細長い仕切り704が前から後に通る細長い仕切り704と交差し、フレーム702の水平面内に残ることができるようにするための複数のスロット704aを有する。左から右に通る細長い仕切り704は前から後に通る細長い仕切り704と同一であるが、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aが前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)と互いにかみ合うように、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aは上方に向き、前から後に通る細長い仕切り704内のスロット(示されていない)は下方に向くことに留意されたい。
【0083】
図6Hは、カスタムアレイ構成を提供するために、フレーム702および1組の細長い仕切り704、714、716、718、720がアンテナ基板700の上に置かれたアンテナ基板700の平面図である。フレーム702は細長い仕切り704、714、716の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れるための複数のスロット702aを有する。細長い仕切り704はまた、細長い仕切り718、720が細長い仕切り704と交差する、または細長い仕切り718、720の末端に配置されるタブ(示されていない)を受け入れて、それにより仕切り704、714、716、718、720がフレーム702の水平面内に残ることができるようにすることができるようにするための複数のスロット704aを有する。左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aが前から後に通る細長い仕切り716、718内のスロット(示されていない)と互いにかみ合うように、左から右に通る細長い仕切り704内のスロット704aは上方に向き、前から後に通る細長い仕切り716、718内のスロット(示されていない)スロットは下方に向くことに留意されたい。
【0084】
図7は、試薬の在庫品を管理するためのシステム800の機能的アーキテクチャ(およびサブシステム)を示す。スマート冷却装置に接続されるリアルタイムコントローラ802が以下のサブシステムのそれぞれとインタフェースをとる。
(a)ラボラトリオートメーションシステムのトラック804、
(b)無線周波数識別アンテナセレクタ806、
(c)無線周波数識別リーダ808、
(d)セプタム適用ロボット810、
(e)キャップ除去ロボット812、
(f)ピックアンドプレースロボット814、
(g)冷却装置のための冷却エンジン816、
(h)ローカルユーザインタフェース818、
(i)試薬の在庫品を管理するためのシステム820。
【0085】
ラボラトリオートメーションシステムのトラック804は、特定の臨床分析装置に対する在庫品の中に置くために試薬を特定の臨床分析装置に送る。無線周波数識別アンテナセレクタ806は、スマート冷却装置のリアルタイムコントローラ802が、選択された位置で特定の無線周波数識別タグから無線周波数識別信号を読み出すための任意の位置を選択することができるようにする。無線周波数識別リーダ808は、13.56MHzでISO14443およびISO15693に適合する低電力リーダである。セプタム適用ロボット810は、キャップを除去された試薬容器上にセプタムを取り付ける。キャップ除去ロボット812は、試薬容器からキャップを取り除き、取り除かれたキャップを捨てる。ピックアンドプレースロボット814は試薬、および入力/出力モジュールへのアクセスを可能にする。ピックアンドプレースロボット814はまた、試薬容器を逆さにして、試薬の液相状態の微粒子を再懸濁することができる。冷却装置のための冷却エンジン816は、約2℃から約8℃の範囲の温度で試薬の冷却を可能にする。ローカルユーザインタフェース818は、たとえば状態、温度、などの最小量の情報を提供するインタフェースであり、その結果、操作者がメインコンピュータを参照する必要がない。試薬在庫品管理構成要素820は、スマート冷却装置のコントローラ802と通信して、以下のタイプの情報の明細を明らかにして記録する。
(a)スマート冷却装置に対する構成情報
(b)スマート冷却装置に対する識別情報
(c)スマート冷却装置の較正状態
(d)スマート冷却装置の組込検査(BIT)
(e)スマート冷却装置に対する在庫品情報
【0086】
試薬の在庫品の管理のためのソフトウェアが、顧客の設備内のパーソナルコンピュータ上にインストールされることができる。試薬の在庫品の管理のためのソフトウェアは、1つまたは複数の臨床分析装置内の試薬の在庫品をモニタし、1つまたは複数のスマート冷却装置にルーティングコマンドを送信して、1つまたは複数の臨床分析装置により消費された試薬を補充することができる。試薬の在庫品の管理のためのソフトウェアは、1つまたは複数のスマート冷却装置内の試薬の在庫品をモニタし、注文業者の注文システムに注文を送信して消耗品目を補充することができる。これらの注文は介在なしに送信される、または顧客により再調査され修正されることができる。試薬の在庫品の管理のためのソフトウェアは、試薬の補充を最も必要としている分析装置の助けになり、較正された試薬を利用し、最も古い試薬を利用し、開けられた試薬を利用し、スループットおよび/またはワークフローを最大にするためのメニューを配布することにより、1つまたは複数のスマート冷却装置から1つまたは複数の臨床分析装置に送られる試薬に優先順位をつけることができる。試薬の在庫品の管理のためのソフトウェアは、試薬回収、輸送および貯蔵の温度記録だけでなく、アッセイプロトコル、材料の安全性データ、パッケージの添付文書、およびアッセイ較正を管理することができる。
【0087】
試薬の在庫品を管理するためのシステムを使用する顧客の数を最大にするために、いくつかの構成オプションが、各システムインストールの調整を顧客のニーズに最もよくあうことができるようにするために規定された。
【0088】
試薬の在庫品の管理のためのシステムの必須の構成要素は少なくとも1つの臨床分析装置、試薬の在庫品の管理のためのコントローラ、およびスマート冷却装置を含む。スマート冷却装置のアーキテクチャは、試薬キットの手作業によるローディングおよびアンローディング、ならびに顧客に開放されている貯蔵(冷却されかつ冷凍される)を可能にするために簡略化されることができる。試薬の在庫品の管理のためのシステムは、前に説明されたすべてのソフトウェア機能を実行することができる。しかし手作業で取り除かれる容器が識別され、(コンピュータ表示装置および/または別の可視表示を有する)分析装置内に置かれることができる。スマート冷却装置は温度制御および無線周波数識別照会能力だけを提供することができる。
【0089】
試薬の在庫品の管理のための標準システムが、分析装置にロードされるべき試薬の手作業による移送を可能にする特殊な試薬キャリアをロードすることを可能にする特徴と一緒に、上記で説明される試薬の在庫品の管理のためのシステムの必須の構成要素を含むことができる。試薬の在庫品の管理のためのシステムは、前に説明されたすべてのソフトウェア機能を実行することができるが、(コンピュータ表示装置および/または別の可視表示を有する)分析装置に手作業で移送される試薬キャリアを識別することができる。スマート冷却装置は、分析装置へのラボラトリオートメーションシステムインタフェースを除き、前に説明された機能のすべてを提供することができる。これらの機能は、温度を制御すること、無線周波数識別タグを読み出すこと、容器を臨床分析装置上に置く前に微粒子を含む懸濁液を含む容器を攪拌すること、容器からキャップを取り除くこと、容器の上にセプタムを取り付けることを含むことなどができる。
【0090】
試薬の在庫品の管理のための完全自動化システムは標準的特徴に加えて、1つまたは複数の臨床分析装置からロードされるまたはアンロードされる試薬の自動移送を可能にするための特徴を含むことができる。試薬キットを最初にロードする以外に、操作者による介在が必要とされない。
【0091】
中央試薬貯蔵領域(示されていない)が試薬のかなりの在庫品を提供することができる。これらの試薬は必要に応じてトラックシステムに、またはラボラトリオートメーションシステムの分析セクションに移送されることができる。試薬を中央貯蔵領域からトラックシステムに、またはラボラトリオートメーションシステムの分析セクションに移送するのに適した移送の手段はガントリ、エンドレスコンベヤベルト、およびロボット機構を含むがそれに限定されない。
【0092】
プリント回路基板上に描かれた複数のアンテナが、別個の固定無線周波数識別リーダとして機能する。これらのアンテナはデータの別個の集まりを受信することができる。無線周波数識別タグを読み出すためのリーダの好ましい実施形態では、単一のプリント回路基板が試薬貯蔵領域およびサンプル貯蔵領域の下に複数のアンテナを有する。アンテナは試薬容器に、好ましくは試薬容器の底部に付着させられた無線周波数識別タグを読み出すことができる。前に示されたように、アンテナ基板は、両方とも前に参照により本明細書に組み入れられた、SYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2006年7月28日出願の米国特許出願第11/495,430号明細書、およびSYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2008年11月20日出願の米国特許出願第12/274,479号明細書で説明されている。
【0093】
試薬の在庫品を管理するためのシステムは、対象を識別するために無線周波数識別システムを用いることができる。無線周波数識別システムのためのプリント回路基板が、遠隔アンテナのための接続、およびそれらのアンテナを一度に1つ選択するための手段を提供することができる。たとえば、無線周波数識別システムは、いくつかの遠隔読出位置のための、たとえばマイクロウェルプレート回転部、前処理領域、磁気粒子プロセッサ、1つまたは複数の発光リーダ、1つまたは複数の吸収リーダ、在庫品読出位置、ならびにローカルキューおよび移送トラック上の位置のための外部接続を有することができる。これらの遠隔位置でアンテナを読み出すことにより、マイクロウェルプレートがラボラトリオートメーションシステム全体を通して追跡され、保管の連鎖を提供することができる。
【0094】
本明細書で説明される無線周波数識別システムを実現するために、無線周波数識別タグが容器、たとえば試薬容器30の最下部に配置されることができる。カプセルに包まれた無線周波数識別タグを容器の最下部に配置することがしばしば望ましい。
【0095】
書込可能無線周波数識別タグが、無線周波数識別タグを備えつけられた容器の内容物に関して発生した変化を反映させるために無線周波数識別タグを更新するために使用されることができる。無線周波数識別システムはパーソナルコンピュータへのインタフェースを提供することができる。前に説明されたように、試薬容器30は、分析セクション60のサブセクション62の下に配置される自動無線周波数識別リーダ(示されていない)により読み出されることができる無線周波数識別タグを備えつけられることができる。試薬の部分またはサンプルの部分の吸引が行われるとき、または在庫品の中の品目をスキャンするための操作が開始されたとき、無線周波数識別リーダが試薬容器30上の、およびサンプル容器18上の(またはサンプル容器キャリア24上の)無線周波数識別タグを読み出し、更新することができる。表1に示されるタイプの情報が、無線周波数識別リーダにより無線周波数識別タグ上で更新されることができる。
【0096】
無線周波数識別タグは、成形プロセスを用いて、または接着プロセスを用いて、所与の構成要素、すなわち容器に恒久的に適用されることができる。成形または接着により適用された無線周波数識別タグは再利用できない。しかし、無線周波数識別タグは、試薬容器、サンプル容器、またはマイクロウェルプレートが破壊され、無線周波数識別タグが取り戻されることを保証することにより再利用可能にされることができる。
【0097】
無線周波数識別タグを読み出すこと、および無線周波数識別タグに書き込むことは、参照によりすべて本明細書に組み入れられる、ISOプロトコル14443、15693、または18000、あるいは前述のISOプロトコルの組み合わせを使用して行われることができる。これらのプロトコルは3層通信モデル、すなわち
(a)アプリケーション層
(b)通信層
(c)物理層
を利用する。
【0098】
3層通信モデル、主として通信層はエラー検出、エラー訂正、識別認証、衝突回避などの機能を提供する。これらの機能は、無線周波数識別リーダが無線周波数識別タグと通信することができるようにするためのプロトコルの一部であるので、自動的なものであると考えられることができる。
【0099】
アプリケーション層は無線周波数識別タグに含まれる情報を取り扱う。そのような情報は表1中の情報の少なくとも一部を含むことができる。
【表1】
【0100】
分析セクション(たとえば図1の項目60を参照こと)の前に配置される領域が、マイクロウェルプレートのための無線周波数識別読出ゾーンとして使用されることができる。無線周波数識別タグおよび無線周波数識別リーダを利用するためのシステムが、両方とも前に参照により本明細書に組み入れられた、SYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2006年7月28日出願の米国特許出願第11/495,430号明細書、およびSYSTEM FOR TRACKING VESSELS IN AUTOMATED LABORATORY ANALYZERS BY RADIO FREQUENCY IDENTIFICATIONと題する2008年11月20日出願の米国特許出願第12/274,479号明細書で説明されている。
【0101】
本明細書で説明されるシステムでは、液体形態のバルク試薬が用いられることができる。液体形態のバルク試薬の使用は、複数のピペットを有する吸引/分配機器が高い率のスループットで試薬を吸引し分配することができるようにする。たとえばある種のタイプのイムノアッセイのためのプリトリガ溶液、洗浄緩衝液、脱イオン水などのバルク液体は、好ましくは水槽に含まれ(たとえば図1の項目116a、116b、116cなどを参照のこと)、その結果、複数のピペット先端110が特定の液体を同時に吸引することができる。別のバルク液体が該当する場所に貯蔵されることができる。たとえば、プリトリガ溶液と一緒に使用されるある種のタイプのイムノアッセイのためのトリガ溶液は、たとえば発光リーダなどのリーダ内に貯蔵されることができ、それにより、トリガ溶液はアッセイの結果が読み出されるべき時点に放出される。トリガ溶液は、光子が約3秒から約5秒以内にイムノアッセイの反応生成物の標識から放出されることができるようにする。
【0102】
アーキテクチャは、スマート冷却装置の棚の上への試薬の冷却貯蔵、(各パッケージ上の無線周波数識別タグを介した)貯蔵および輸送の温度記録のアップローディング、分析装置上に置く前の微粒子攪拌、キャップ除去、セプタム取付け、試薬容器の自動ローディング(分析装置に手作業で移送される)、(ラボラトリオートメーションシステムのトラックを介した)臨床分析装置への試薬の自動移送、対照およびキャリブレータの冷却貯蔵、(トリガ溶液およびプリトリガ溶液のような)バルク溶液の冷却貯蔵、試薬運搬装置のアンローディング、臨床分析装置から試薬のアンローディング、ユーザ規定可能な冷却貯蔵、およびユーザ規定可能な冷凍貯蔵を用意する。
【0103】
試薬およびサンプルの手作業でのローディングは、自動システムを使用することにより除かれることができる。加えて、試薬および別の消耗品目の注文が、多くのベンダから利用できるオンライン注文入力システムと通信することができる、試薬の在庫品を管理するためのシステムを用いて自動化されることができる。本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムは、試薬および消耗品目の在庫品の手作業による管理に対してかなりの労力を省くことおよび品質改善を提供する。
【0104】
本明細書で説明される試薬の在庫品を管理するためのシステムは、無線周波数識別タグ上に符号化されることができるデータを使って試薬および消耗品目の在庫品を管理することができる。たとえば、一部使用された試薬容器が新しいシステムに移された場合、そのシステムは、無線周波数識別タグ上に記憶されるデータを読み出すことにより、容器が開けられたときにどれだけのアッセイが容器内に残っているか、および試薬輸送および貯蔵のための温度追跡データを決定することができる。
【0105】
使用期限日、較正状態、および臨床分析装置の試薬在庫品要求が自動試薬ローディングおよび注文を提供するためにモニタされることができる。これらの特徴はラボラトリが典型的にはこれらの機能に割り当てられる労力を省くことができるようにする。
【0106】
本明細書で説明されるシステムは、供給契約のモニタリングを容易にすることができる。本明細書で説明されるシステムは供給業者による予測を容易にし、供給業者の工場利用を改善するのに役立つ。システムは、試薬の期限切れにより引き起こされる廃棄物、および容器のサイズの次善の使用を低減するのを容易にする。加えて、パッケージの添付文書上のデータが電子フォーマットに統合されることができ、それにより、紙の過剰な浪費を低減する。さらになお、システムは、材料の変更に対する重要なガイドラインを提供する。
【0107】
操作
試薬容器30が輸送部門から輸送カートンの形で受け取られたとき、試薬容器30は操作者によりスマート冷却装置の中にロードされることができる。このローディングプロセスは、輸送カートンの最上部を取り除くことを必要とすることがある。試薬容器30に取り付けられた無線周波数識別タグ(示されていない)はスマート冷却装置に関連する無線周波数識別リーダ(示されていない)により読み出されることができ、在庫品が記録される。試薬の在庫品を管理するためのシステムに接続されるラボラトリオートメーションシステム10の分析セクション60が1つまたは複数の試薬容器30を要求したとき、試薬の在庫品を管理するためのシステムは典型的には要求されたタイプの1つまたは複数の最も古い較正された試薬を、スマート冷却装置内の輸送カートンから、すなわち先入れ先出しのやり方で取り除き、処理するために1つまたは複数の試薬容器30を準備し(たとえばキャップが取り除かれ、セプタムが取り付けられるなど)、および1つまたは複数の試薬容器30を1つまたは複数の試薬容器運搬装置の中に置く。試薬容器30を輸送カートンから取り除くこと、および試薬容器30を試薬容器運搬装置の中に置くことは、ロボット機構(示されていない)を用いて実行されることができる。次に、試薬容器30を保持する試薬容器運搬装置は、トラックシステム12の該当するレーン上に方向転換させられ、引き続き1つまたは複数の試薬を要求したラボラトリオートメーションシステム10の分析セクション60に送られる。結局、空の輸送カートンがスマート冷却装置から固体廃棄物容器の中に排出される。図1に示される項目は、前に参照により本明細書に組み入れられた、AUTOMATED ANALYZER FOR CLINICAL LABORATORYと題する2008年10月24日出願の米国特許出願第12/257,495号明細書でより詳細に説明されている。
【0108】
本発明のさまざまな修正形態および改変形態が、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者により明らかになり、本発明は本明細書で明らかにされる例示的実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7