【文献】
Int. J. Clin. Oncol.,2009年12月 5日,Vol.14,No.6,P.513-517
【文献】
Eur. J. Cancer,1999年 8月,Vol.35,No.8,P.1286-1291
【文献】
遠藤久之 外2名,Clinical Conferenc“Bevacizumabを用いたがんに対する血管新生阻害剤治療−臨床試験の成績を中心に”,がん分子標的治療,日本,メディカルレビュー社,2004年 7月,Vol.2,No.3,P.213-218
【文献】
Tamiya,A.,et al.,“Safety of bevacizumab treatment in combination with standard chemotherapy for metastatic colorectal cancer: a retrospective review of 65 Japanese patients”,Int. J. Clin. Oncol.,SPRINGER-VERLAG,2009年12月 5日,Vol.14,No.6,P.513-517
【文献】
篠崎英司,サポート・医療環境“Team cetuximab−抗EGFRモノクローナル抗体の導入準備”,医学のあゆみ,日本,医歯薬出版,2008年 4月 5日,Vol.225,No.1,P.74-78
【文献】
Jean,G.W.,et al.,“Epidermal Growth Factor Receptor Monoclonal Antibodies for the Treatment of Metastatic Colorectal Cancer”,Pharmacotherapy,米国,2008年 6月 1日,Vol.28,No.6,P.742-754
【文献】
原浩樹 外1名,最新治療コンセンサス“転移性大腸癌の化学療法−現状と戦略“,医学のあゆみ,日本,医歯薬出版,2008年 4月 5日,Vol.225,No.1,P.23-28
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
転移性結腸直腸癌を予防、再発予防又は処置するための方法において使用するための、ヒトプロガストリンに特異的に結合する抗hPGモノクローナル抗体を含む組成物であって、該抗hPGモノクローナル抗体は、
a)CDR1がVHCDR1.3(配列番号1)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.3(配列番号2)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.3(配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.3(配列番号4)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.3(配列番号5)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とか、
b)CDR1がVHCDR1.8(配列番号37)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.8(配列番号41)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.8(配列番号45)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.8(配列番号49)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.8(配列番号52)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.8(配列番号55)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とか、
c)CDR1がVHCDR1.13(配列番号38)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.13(配列番号42)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.13(配列番号46)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.13(配列番号50)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.13(配列番号53)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.13(配列番号56)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とか、
d)CDR1がVHCDR1.16(配列番号39)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.16(配列番号43)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.16(配列番号47)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.16(配列番号50)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.16(配列番号53)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.16(配列番号57)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とかを含む、組成物。
転移性結腸直腸癌幹細胞をその増殖を阻害するために効果的な量の抗hPG抗体に暴露することを含む転移性結腸直腸癌幹細胞の増殖を阻害するための方法において使用するための、抗hPGモノクローナル抗体を含む組成物であって、該抗hPGモノクローナル抗体が、
a)CDR1がVHCDR1.3(配列番号1)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.3(配列番号2)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.3(配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.3(配列番号4)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.3(配列番号5)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とか、
b)CDR1がVHCDR1.8(配列番号37)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.8(配列番号41)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.8(配列番号45)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.8(配列番号49)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.8(配列番号52)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.8(配列番号55)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とか、
c)CDR1がVHCDR1.13(配列番号38)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.13(配列番号42)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.13(配列番号46)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.13(配列番号50)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.13(配列番号53)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.13(配列番号56)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とか、
d)CDR1がVHCDR1.16(配列番号39)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVHCDR2.16(配列番号43)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVHCDR3.16(配列番号47)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、CDR1がVLCDR1.16(配列番号50)のアミノ酸配列を含み、CDR2がVLCDR2.16(配列番号53)のアミノ酸配列を含み、そしてCDR3がVLCDR3.16(配列番号57)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とかを含む、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、異なるヒト原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株の間でガストリン遺伝子発現レベルを比較するグラフを提供する。
【
図2】
図2は、11の異なる患者の各々からの転移性結腸直腸腫瘍における相対的ガストリン遺伝子発現レベルを比較するグラフを提供する。各患者からの転移性結腸直腸腫瘍における発現レベルを、同じ患者からの対応する原発性結腸直腸腫瘍における発現レベルに対して標準化した。
【
図3】
図3は、3つの異なる転移性結腸直腸癌細胞株により成長培地中に分泌されたプロガストリンの量を比較するグラフを提供する。
【
図4】
図4は、健常コントロールと比較した、原発性結腸直腸癌、転移性結腸直腸癌、及び原発腫瘍が切除された転移性結腸直腸癌を伴う患者における血漿又は血清中プロガストリン濃度を示すグラフを提供する。
【
図5】
図5は、培養中のSW620転移性結腸直腸癌細胞の成長に対するコントロール及び抗hPGポリクローナル抗体の効果を比較するグラフを提供する。
【
図6A】
図6Aは、培養中のSW620転移性結腸直腸癌細胞の成長に対するコントロール及び4つの異なる抗hPGモノクローナル抗体(MAb1−MAb4)の効果を比較するグラフを提供する。
【
図6B】
図6Bは、コントロール抗体と比較した、培養中のSW620転移性結腸直腸癌細胞の成長に対する19の異なる抗hPGモノクローナル抗体(MAb5−MAb23)を用いた処理の効果を比較するグラフを提供する。
【
図7】
図7は、培養中のT84転移性結腸直腸癌細胞の成長に対するコントロール及び抗hPGモノクローナル抗体の効果を比較するグラフを提供する。
【
図8A】
図8Aは、目に見える転移が存在しない、抗hPGポリクローナル抗体を用いて処置したヌードマウスから除去した肝臓の写真を提供する。SW620細胞をヌードマウスの脾臓中に注射し、次に、抗hPGポリクローナル抗体、コントロールポリクローナル抗体、又はリン酸緩衝生理食塩水を用いて6週間にわたり処置した。
【
図8B】
図8Bは、コントロールポリクローナル抗体を用いて処置したヌードマウスから除去した、目に見える転移を伴う肝臓の写真を提供する。SW620細胞をヌードマウスの脾臓中に注射し、次に、抗hPGポリクローナル抗体、コントロールポリクローナル抗体、又はリン酸緩衝生理食塩水を用いて6週間にわたり処置した。
【
図9】
図9は、SW620細胞をヌードマウスの脾臓中に注射し、次に、抗hPGポリクローナル抗体、コントロールポリクローナル抗体、又はリン酸緩衝生理食塩水を用いて6週間にわたり処置した後に形成された、目に見える肝臓転移の数を比較するグラフを提供する。
【
図10】
図10は、SW620細胞をコントロールヌードマウスの脾臓中に注射し、次に、コントロールポリクローナル抗体又はリン酸緩衝生理食塩水を用いて6週間にわたり処置した後に形成された、例示的な肝臓微小転移の顕微鏡写真を提供する。
【
図11】
図11は、SW620細胞をヌードマウスの脾臓中に注射し、次に、抗hPGポリクローナル抗体対コントロール抗体を用いて6週間にわたり処置した後に形成された、目に見える肝臓転移の数を比較するグラフを提供する。
【
図12】
図12は、原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株、ならびに原発性ヒト結腸直腸癌の生検サンプルから得られた細胞による幹細胞マーカーLGR5の発現に対する低付着培養条件下での成長の効果を実証するグラフを提供する。
【
図13】
図13は、原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株、ならびに原発性ヒト結腸直腸癌の生検サンプルから得られた細胞により発現されたガストリンmRNAの量に対する低付着培養条件下での成長の効果を実証するグラフを提供する。
【
図14】
図14は、低付着培養条件下で成長させた、原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株、ならびに原発性ヒト結腸直腸癌の生検サンプルから得られた細胞により培地中に分泌されたプロガストリンの量を実証するグラフを提供する。
【
図15】
図15は、低付着培養条件下で成長させたHT−29原発性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果を実証するグラフを提供する。
【
図16】
図16は、低付着培養条件下で成長させたHCT116原発性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果を実証するグラフを提供する。
【
図17】
図17は、低付着培養条件下で成長させた原発性ヒト結腸直腸癌の生検サンプルから得られた細胞によるスフェロイドの形成に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果を実証するグラフを提供する。
【
図18A】
図18Aは、低付着培養条件において14日間にわたりインキュベートしたLGR5陽性HT29原発性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する2つの抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を実証するグラフを提供する。
【
図18B】
図18Bは、低付着培養中のLGR5陽性HT29原発性結腸直腸癌細胞による球形成に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた処理の阻害効果が、抗体が除去された後、少なくとも17日間にわたり継続することを実証するグラフを提供する。
【
図19A】
図19Aは、低付着培養条件において14日間にわたりインキュベートしたLGR5陽性HCT116原発性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する2つの抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を実証するグラフを提供する。
【
図19B】
図19Bは、低付着培養中のLGR5陽性HCT116原発性結腸直腸癌細胞による球形成に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた処理の阻害効果が、抗体が除去された後、少なくとも17日間にわたり継続することを実証するグラフを提供する。
【
図20】
図20は、低付着培養条件下で成長させたCRC1原発性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する4つの異なる抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた処理の効果を実証するグラフを提供する。
【
図21】
図21は、低付着培養条件下で成長させたT84転移性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を実証するグラフを提供する。
【
図22】
図22は、従来の組織培養条件下で成長させたALDH1陽性原発性結腸直腸癌細胞の成長に対する4つの異なる抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた処理の効果を実証するグラフを提供する。
【
図23】
図23は、低付着培養条件下で成長させた場合のスフェロイドとしての原発性結腸直腸癌細胞の成長に対する4つの異なる抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果を実証するグラフを提供する。
【
図24】
図24は、T84転移性結腸直腸癌細胞における癌幹細胞マーカーALDH1の発現に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果を実証するグラフを提供する。
【
図25】
図25は、SW620転移性結腸直腸癌細胞における癌幹細胞マーカーALDH1の発現に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果を実証するグラフを提供する。
【
図26】
図26は、低付着培養条件下で成長させたT84転移性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果を実証するグラフを提供する。
【
図27】
図27は、低付着培養条件下で成長させたSW620転移性結腸直腸癌細胞によるスフェロイドの形成に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果を実証するグラフを提供する。
【
図28】
図28は、異種移植片から単離された転移性結腸直腸癌細胞が低付着培養条件下でスフェロイドとして成長する能力に対する、抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いてヒト転移性結腸直腸癌異種移植片を保持するマウスを処置することの効果を実証するグラフを提供する。
【
図29】
図29は、異種移植片から単離された転移性結腸直腸癌細胞が、他のマウス中に移植された場合に新たな腫瘍成長を開始する能力に対する、抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いてヒト転移性結腸直腸癌異種移植片を保持するマウスを処置することの効果を実証するグラフを提供する。
【
図30】
図30は、ヒトプレプロガストリン(配列番号100)(そこでシグナルペプチド配列に下線が付いている)、成熟ヒトプロガストリン(配列番号101)、及びプロガストリンプロセシングの特定産物(G34(配列番号102)、G34−Gly(配列番号103)、G17(配列番号104)、G17−Gly(配列番号105)、及びCTFP(配列番号106)を含む)のアミノ酸配列を提供する。
【
図31A】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Aは、マウス抗hPG MAb3のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号12)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号16)を提供する;
【
図31B】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Bは、マウス抗hPG MAb3のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号13)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号17)を提供する;
【
図31C】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Cは、マウス抗hPG MAb4のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号14)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号18)を提供する;
【
図31D】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Dは、マウス抗hPG MAb4のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号15)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号19)を提供する;
【
図31E】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Eは、マウス抗hPG MAb8のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号59)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号67)を提供する;
【
図31F】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Fは、マウス抗hPG MAb8のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号63)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号71)を提供する;
【
図31G】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Gは、マウス抗hPG MAb13のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号60)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号68)を提供する;
【
図31H】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Hは、マウス抗hPG MAb13のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号64)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号72)を提供する;
【
図31I】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Iは、マウス抗hPG MAb16のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号61)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号69)を提供する;
【
図31J】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Jは、マウス抗hPG MAb16のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号65)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号73)を提供する;
【
図31K】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Kは、マウス抗hPG MAb19のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号62)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号70)を提供する;及び
【
図31L】
図31は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図31Lは、マウス抗hPG MAb19のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号66)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号74)を提供する。
【
図32A】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Aは、ヒト化MAb3のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号21);
【
図32B】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Bは、ヒト化MAb3のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号22);
【
図32C】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Cは、ヒト化MAb4のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号23);
【
図32D】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Dは、ヒト化MAb4のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号24);
【
図32E】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Eは、ヒト化MAb8(a)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号75);
【
図32F】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Fは、ヒト化MAb8(a)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号76);
【
図32G】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Gは、ヒト化MAb8(b)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号77);
【
図32H】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Hは、ヒト化MAb8(b)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号78);
【
図32I】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Iは、ヒト化MAb8(c)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号79);
【
図32J】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Jは、ヒト化MAb8(c)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号76);
【
図32K】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Kは、ヒト化MAb13(a)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号80);
【
図32L】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Lは、ヒト化MAb13(a)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号81);
【
図32M】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Mは、ヒト化MAb13(b)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号82);
【
図32N】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Nは、ヒト化MAb13(b)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号83);
【
図32O】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Oは、ヒト化MAb16(a)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号84);
【
図32P】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Pは、ヒト化MAb16(a)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号85);
【
図32Q】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Qは、ヒト化MAb16(b)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号86);
【
図32R】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Rは、ヒト化MAb16(b)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号87);
【
図32S】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Sは、ヒト化MAb16(c)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号88);
【
図32T】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Tは、ヒト化MAb16(c)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号89);
【
図32U】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Uは、ヒト化MAb19(a)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号90);
【
図32V】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Vは、ヒト化MAb19(a)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号91);
【
図32W】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Wは、ヒト化MAb19(b)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号92);
【
図32X】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Xは、ヒト化MAb19(b)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号93);
【
図32Y】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Yは、ヒト化MAb19(c)のV
H鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号94);及び
【
図32Z】
図32は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:
図32Zは、ヒト化MAb19(c)のV
L鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号95)。
【0034】
7. 詳細な説明
7.1. 結腸直腸癌転移
転移は、癌が広がるプロセスを指す。簡単には、腫瘍細胞は、原発腫瘍を離れ、血液循環又はリンパ系を介して新たな組織部位へ移動し、二次腫瘍を形成する。新たな組織部位の腫瘍は転移性腫瘍として言及され、典型的には、原発腫瘍の供給源を同定する。例えば、他の組織に広がっている結腸直腸癌は、二次性の転移性腫瘍の組織部位にもかかわらず、「転移性結腸直腸癌」として言及される。結腸直腸癌が転移する最も共通の臓器は肝臓及び肺であるが、しかし、結腸直腸癌は他の臓器にも広がりうる。
【0035】
癌細胞は原発腫瘍の近くのリンパ節に頻繁に広がり、それはリンパ節転移又は局所疾患と呼ばれる。
【0036】
操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、転移は、多数の別々のステップ(浸潤及び遊走、脈管内への侵入、循環、血管外遊出及びコロニー形成、増殖及び血管新生を含む)を通じて進行すると考えられる。浸潤及び遊走の間に、個々の細胞はそれ自体が原発腫瘍から剥離し、隣接する健常組織に浸潤する。これを達成するために、癌細胞は、上皮から間葉への移行と呼ばれる表現型の形質転換を受けると仮定される。Kalluri, R., et al., J. Clin. Invest., 119(6) (2009), 1420-28.そのような細胞は、細胞外マトリックスを分解することが可能な酵素を産生し、それにより、原発腫瘍外への及び周囲の健常組織中への遊走を促進しうる。遊走する癌細胞が血管又はリンパ管に遭遇する場合、それは、血管を覆う内皮細胞の間にそれ自体を挿入し、血流又はリンパ系中に侵入する。異常細胞は、次に、循環器系又はリンパ系を介して新たな臓器に移動する。癌細胞は、次に、新たな臓器の毛細血管又はリンパ管に留まり、次に、組織空間中へ内皮に侵入することにより血管外遊出しうる。最後に、コロニー形成、増殖、及び血管新生の間に、転移性癌細胞はその新たな宿主組織中に居を定めて、成長を始める。新たな転移性腫瘍が十分なサイズに達する場合、それは、成長因子(例えばVEGFなど)を分泌し、腫瘍中への新たな血管の成長を刺激し、急速に成長する腫瘍により要求される酸素及び栄養を供給しうる。
【0037】
7.2. 結腸直腸癌の再発
結腸直腸癌の再発は、結腸直腸癌を見かけ上消失させた処置の後での結腸直腸癌の戻りとして定義される。戻りの結腸直腸癌が最初の癌と同じ場所にある、又はそれに非常に近接している場合、それは局所再発として公知である。戻りの結腸直腸癌が、最初の癌の場所の近くのリンパ節又は組織において成長する場合、それは局所再発として公知であり、戻りの結腸直腸癌が、最初の癌の場所から遠い臓器又は組織に転移した場合、それは遠隔再発として公知である。
【0038】
7.3. 癌幹細胞及び直腸結腸癌
固形腫瘍は必ずしも均質な組織ではない。むしろ、一部の腫瘍は、別々の表現型特性及び機能特性を有する複数の異常な細胞型を含む。この点において、そのような腫瘍は異常な臓器に類似する。固形腫瘍を含む細胞の間での1つの重要な違いは、同じ宿主中の新たな部位に、又は同じもしくは異なる種の新たな宿主に移植した場合に新たな腫瘍の形成を開始することが可能である範囲である。この特性を有する細胞は、腫瘍又は癌を開始する細胞、又は、あるいは、腫瘍又は癌幹細胞として公知である。対照的に、腫瘍を構成する他の細胞は、より多くの細胞が使用される場合でさせ、移植後の新たな腫瘍を開始するずっと低下した潜在力を有する。1つの非限定的な例において、ヒト腫瘍に由来する数百の結腸癌幹細胞が、マウス中への移植後に新たな腫瘍を開始するのに十分であったのに対し、腫瘍からの10,000個の非幹細胞はそのようにするには不十分であった。Dalerba, P., et al., 2007, "Phenotypic characterization of human colorectal cancer stem cells," Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104: 10158-10163.
【0039】
多くの腫瘍において、癌幹細胞は、腫瘍内に存在する全ての生存可能な細胞の比較的小さな割合を構成する。対照的に、腫瘍の塊を構成する腫瘍細胞の大多数が、移植した場合に新たな腫瘍を開始することはできない。一部の腫瘍において、しかし、癌幹細胞が、腫瘍を構成する大多数、又はさらには全ての細胞を構成しうる。本明細書において使用する通り、塊の腫瘍細胞は、そのような細胞の多数が使用されない場合、移植時に新たな腫瘍を開始することができない腫瘍細胞を指す。癌幹細胞は、また、塊の腫瘍細胞とは異なる表現型の特徴を有する(比較的少数の癌幹細胞の移植時に新たな腫瘍を自己再生及び形成する能力、及び蛍光活性化細胞選別(FACS)又は他のアッセイにより検出可能な異なるマーカーの発現を含む)。癌幹細胞と塊の腫瘍細胞の間での他の区別も可能である。
【0040】
操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、癌幹細胞は、癌幹細胞の状況において、腫瘍を生じるそれらの能力に寄与する、正常幹細胞と特定の特性を共有すると考えられる。特に、癌幹細胞は非対称細胞分裂を受けて、2つの型の娘細胞を産生する。最初のものは未分化のままであり、それ自体を無限に再生することができる、その親の幹細胞の特徴を保持する。他の娘は、前駆細胞と呼ばれ、異常にではあるが、分裂及び分化することが可能であり、多くの固形腫瘍において見出される多くの分化細胞のスペクトラムを生じる。前駆細胞は幹細胞よりも高い速度で増殖し、このように、腫瘍の物理的成長に寄与するのに対し、幹細胞は、新たな前駆体を生成することにより、無限に成長する腫瘍の能力に関与している。
【0041】
これらの特性によって、癌幹細胞は、最終的に、成長する腫瘍を構成する多数の細胞を生じることが許される。このように、新たな動物中に移植した場合、癌幹細胞は、複数の連続移植後でさえ、それらが由来した腫瘍の型を再構成しうる。癌幹細胞は、しかし、正常な幹細胞とは異なり、変化した増殖パターン及び/又は低速度のアポトーシスをもたらしうる遺伝子変異及び/又はエピジェネティック変化を持ち、ならびに、腫瘍の塊を構成しうる異常細胞の蓄積を起こす異常分化をもたらす。
【0042】
癌幹細胞は、それらを塊の腫瘍細胞から区別する多数の表現型の特徴に従って同定することができる。最初に、上に記述した通り、癌幹細胞は、新たな宿主中に移植された場合、新たな腫瘍を開始する能力を有する。対照的に、塊の腫瘍細胞は、新たな腫瘍を開始すること、又は、新たな腫瘍の開始を達成するために癌幹細胞よりも多くの細胞を要求することはできない。癌幹細胞は、また、特定のマーカーのそれらでの発現又は非発現により同定可能であるのに対し、同じ腫瘍からの塊の腫瘍細胞は、マーカー発現の異なるパターンを有する。癌幹細胞は、また、塊の腫瘍細胞と比較して、無血清の低付着培養条件下で成長し、いわゆるスフェロイドを形成する優先的な能力を有する。塊の腫瘍細胞から癌幹細胞を区別することが可能な他の表現型の違いが可能である。
【0043】
上に記述した通り、癌幹細胞は、また、単独で又は他との組み合わせで、特定のマーカーの発現パターンに従って同定されうる。異なる腫瘍からの癌幹細胞は、しかし、異なるマーカー表現型を示しうる。そのようなマーカーは、細胞内で、又は細胞表面上で発現されるタンパク質を含み、種々の技術(しかし、限定しないが、免疫組織化学、免疫蛍光、及びFACS分析を含む)を使用して検出することができる。マーカーを検出するための他の技術が、また、当業者の知識に従って可能である。マーカーは、また、その活性を癌幹細胞において機能的にアッセイすることができるタンパク質を含む。マーカーの型の非限定的な例は、トランスポータータンパク質(例えば、細胞から物質を輸送する又は細胞中に物質を取り込むものなど)、酵素(例えば解毒酵素など)を含む。
【0044】
結腸直腸癌幹細胞を同定するために使用されうる例示的なマーカーは、しかし、限定しないが、以下:CD133、CD44、CD166、EpCAM、及びLGR5を含む。結腸直腸癌幹細胞を同定するための有用な他のマーカーも可能である。一部の実施態様において、マーカーの発現の非存在は、癌幹細胞の表現型を示している。また、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1(ALDH1)は解毒酵素であり、癌細胞は、増加したALDH1活性(癌幹細胞についての別のマーカー)についてアッセイすることができる。
【0045】
本開示の一部の実施態様において、結腸直腸癌幹細胞は、FACS、又は当業者が精通している他の技術を使用して、以下:EpCAM(hi)CD44(+)、EpCAM(hi)CD44(+)CD166(+)、CD133(+)、ALDH1(+)、CD133( )/ALDH1(+)、CD44(+)/CD24(+)又はLGR5(+)のマーカー表現型により同定されうる。他のマーカーの発現、ならびにそれらの組み合わせ及びパターンは、また、これらの癌、ならびに他の型の癌における癌幹細胞を同定するために使用されうる。
【0046】
本開示の他の実施態様において、癌幹細胞は、FACS分析を使用し、特定の色素を除外するそれらの優先的能力に従って、いわゆる副集団に選別されたそれらの細胞として同定されうる。そのような色素の1つの非限定的な例は、Hoechst色素33342である。
【0047】
上に記述する通り、癌幹細胞は、また、新たな宿主中への移植後に新たな腫瘍成長を開始するそれらの増加した能力により、塊の腫瘍細胞から区別することができる。このように、癌幹細胞であることが疑われる細胞集団の同一性を確認するための1つの方法は、塊の腫瘍細胞と比較して、非ヒトレシピエント動物中へのそのような細胞の相対的な小集団の移植後に、腫瘍成長を開始するそれらの能力をテストすることである。
【0048】
腫瘍又は細胞株が癌幹細胞を含むか否かを評価するために有用な移植の方法は、当業者が精通している。非限定的な例として、癌幹細胞を含むことが疑われる腫瘍、又はその一部を、例えば外科的切除などにより単離する。その後、腫瘍組織を刻み、酵素で処理するか、又は腫瘍を脱凝集し、その構成細胞を放出するために効果的な任意の他の処理を用いて処理する。あるいは、細胞株が分析下にある場合、酵素的又は化学的処理を用いて細胞を解離することだけが必要でありうる。
【0049】
細胞懸濁液を調製した後、細胞を遠心により回収し、癌幹細胞に対応することが公知である亜集団を、当技術分野において公知の方法に従って単離する。上に考察する通り、1つの非限定的な例において、そのような細胞は、特定の抗体及び蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して検出可能である、癌幹細胞を示しているマーカーの特定のパターンを発現する。他の実施態様において、癌幹細胞を含むことが疑われる亜集団は、他の表現型の特徴(例えば、特定の色素を除外するそれらの能力など)に従って単離することができる。
【0050】
関連する細胞亜集団を単離した後、所定の数のそのような細胞を、次に、レシピエント動物における1つ又は複数の標的組織又は臓器中に移植する。一部の実施態様において、レシピエント動物は、免疫不全マウス(しかし、限定しないが、ヌードマウス、重症複合免疫不全(SCID)を伴うマウス、及び非肥満−糖尿病SCID(NOD−SCID)マウスを含む)である。他の種を、また、当業者の知識に従って使用することができる。
【0051】
細胞を、脂肪パッド(例えば、マウスの乳房脂肪パッドなど)中に、脳、盲腸、膵臓、もしくは肝臓中に、又は腎臓中(例えば腎被膜中など)に皮下移植することができる。細胞を他の組織及び臓器中にも移植することができる。一部の実施態様において、標的組織又は臓器を選び、分析下の腫瘍が由来する組織又は臓器を複製する。しかし、他の実施態様において、別々の組織又は臓器を選び、それにおいて移植細胞の宿主とする。非限定的な例として、結腸癌幹細胞をNOD−SCIDマウスの腎被膜中に移植し、新たな腫瘍を開始するそれらの能力を評価することができる。
【0052】
移植(当業者が精通する技術を使用して遂げられる)後、細胞を乱さないように放置し、新たな腫瘍が移植部位で成長するか否かを決定する。皮下移植された細胞については、腫瘍成長は、移植部位の目視検査及び触診により評価することができる。腫瘍が成長する場合、そのサイズを、ノギスを使用して、時間を通して測定することができる。内部臓器中に移植した細胞については、動物を移植後の所定の時間に屠殺してもよく、腫瘍が存在するか否か、及び、存在する場合、そのサイズを決定する。あるいは、当業者の知識に従って、非浸潤性の技術を使用して、腫瘍成長を評価することができる。
【0053】
癌幹細胞の表現型は、また、無血清の低付着培養条件下でスフェロイドとして成長する癌幹細胞の優先的な能力により特徴付けられるのに対し、塊の腫瘍細胞は同じ条件下でスフェロイドとして成長することができる可能性は低くなる。スフェロイドは、特定の細胞が脱凝集した懸濁液として播種された後に培養中で成長する際に形成する圧縮した細胞球である。そのようなスフェロイドの形成は、細胞を、一般的には、特定の成長因子(しかし、限定しないが、上皮成長因子(EGF)及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む)の存在において、及び、哺乳動物細胞が不十分に付着する表面を有する組織培養皿において、無血清培地中で成長させる場合に促進される。正常組織からの幹細胞と同様に、癌幹細胞が適切な培養条件下でスフェロイドとして優先的に成長することが発見されている。例えば、Rappa, G., et al., Exp. Cell Res., 314: 2110 (2008);Singh, S.K., et al., Cancer Res., 63: 5821 (2003);Fang, D., et al., Cancer Res., 65: 9328 (2005)を参照のこと。対照的に、塊の腫瘍細胞は、より高度に分化する傾向があり、同一の培養条件下でスフェロイドを形成する可能性が低くなる。塊の腫瘍細胞がスフェロイドを形成することができる場合、それらは、同様の数の癌幹細胞により形成されるものと比較して、小さく及び/又は数が少ない傾向にある。
【0054】
7.4. 癌幹細胞及び結腸直腸癌再発
癌幹細胞の特性を伴う腫瘍細胞が同定されており、放射線及び/又は化学療法剤に対して増強した抵抗性を示す。異なる分子機構が、放射線又は化学療法剤に対する癌幹細胞の抵抗性を説明するために提案されている。例えば、特定の癌幹細胞が遺伝毒性傷害後にそれらのDNAをより容易に修復することができうるのに対し、他の癌幹細胞は、高レベルの抗アポトーシスタンパク質又はそのような細胞に入る化学療法剤を除去するために効果的な分子ポンプを発現すると報告されている。Eyler, C.E., and J.N. Rich, J. Clin.Oncol., 26: 2839-2845 (2008).癌幹細胞が前駆細胞よりも遅く増殖することも、また、塊の腫瘍細胞を殺しうる放射線及び毒性化学療法剤への暴露で生き残る幹細胞の比較上の能力を説明しうる。
【0055】
操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、癌幹細胞が放射線及び化学療法に抵抗性であるという観察は、そのような治療を用いて処置された癌患者における再発の現象を説明しうる。Eyler(上記を参照)そのような患者において、処置は最初は効果的であり、診断スキャンにおいて腫瘍の見かけ上の消失を起こすが、しかし、腫瘍は、処置を止めていくらかの時間後に再出現する。
【0056】
再発の機構における癌幹細胞の役割に関して、大半の又はさらには全ての塊の腫瘍細胞が治療により殺されるが、放射線又は化学療法の効果に抵抗するそれらの増強した能力のため、多数の生存する生存可能な癌幹細胞が残ると仮定される。治療が終わった後、これらの生存細胞は成長し続け、最初の腫瘍の再形成又は新たな腫瘍の形成を可能にする。この理論と一致し、化学療法剤を用いたマウスの処置は、ヒト結腸直腸癌細胞から開始した腫瘍の収縮を起こすが、腫瘍内の癌幹細胞の割合を増加させることが報告された。Dylla, S.J., et al., 2008, "Colorectal Cancer Stem Cells Are Enriched in Xenogeneic Tumors Following Chemotherapy," PLoS ONE, 3 (6): e2428.
【0057】
7.5. 結腸直腸癌におけるプロガストリンの役割の理解における進歩
驚くべきことに、プロガストリン感受性の転移性結腸直腸癌細胞及び結腸直腸癌幹細胞が存在することが発見されており、プロガストリン(「PG」)に特異的に結合し、インビトロ又はインビボでそのような細胞の成長を阻害する特定の抗体の能力により実証される通りである。
【0058】
PG感受性の結腸直腸癌細胞は、その生存及び/又は成長のために、直接的又は間接的に、プロガストリンに少なくとも部分的に依存するものである。操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、特定の抗PG抗体は、PGに結合し、PG依存性のシグナル伝達を遮断することにより、そのような細胞の生存及び/又は成長を阻害するために効果的であることが仮定される。プロガストリンは、従って、その生存及び/又は成長促進効果を媒介することが防止される。抗PG抗体が結腸直腸癌細胞の生存及び/又は成長を阻害する他の機構が存在しうる。特定の作用機構は、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0059】
実施例においてさらに詳細に記載する通り、出願人らは、驚くべきことに、ガストリン遺伝子(GAST)が、6つの異なるヒト原発性結腸直腸癌細胞株HT29、HCT116、RKO、SW480、DLD1、及びCRC1細胞において、2つの異なるヒト転移性結腸直腸癌細胞株SW620及びT84細胞において発現していることを発見している。インビトロ実験からのデータに関連して、出願人らは、また、驚くべきことに、ガストリン遺伝子が11人の異なる患者の各々から得られた原発性結腸直腸腫瘍及び対応する結腸直腸転移において発現していることを発見したが、原発腫瘍におけるレベルと比べて、対応する転移における発現レベルは異なる患者の間で変動した。なぜなら、プロガストリンはガストリン遺伝子の産物(同じ遺伝子産物から翻訳後にプロセシングされた他のペプチドと共に)であるため、このデータは、原発性及び転移性結腸直腸腫瘍がプロガストリンを分泌することを示唆する。追加実験では、以下に説明する通り、これが確認された。
【0060】
最初に、出願人らは、検出可能な量のPGタンパク質がSW620及びT84細胞により成長培地中に分泌される(Colo−205細胞により分泌されない)ことを確認した。加えて、出願人らは、原発性結腸直腸癌だけ、原発性及び転移性結腸直腸癌を同時に、及び原発腫瘍の切除後に転移性結腸直腸癌を有する患者は、全てが、健常コントロールの血液中よりも統計的に有意に高い、それらの血液中のPGレベルを有することを実証した。これらの結果は、原発性及び転移性結腸直腸腫瘍がPGを分泌し、それが直接的又は間接的に血流に入ることを示す。このように、上昇した血液PGレベルは、原発性ならびに転移性結腸直腸癌の存在を示している。したがって、本開示の方法は、異なる患者集団における原発性及び転移性結腸直腸癌の両方の存在を検出又は診断する方法を提供する。
【0061】
出願人らは、また、驚くべきことに、特定の抗PG抗体、即ち、中和性抗体が、培養中の転移性結腸直腸癌細胞の成長を阻害することが可能であることを発見している。具体的には、出願人らは、抗PGポリクローナル抗体及び4つの異なる抗PGモノクローナル抗体が、培養中で成長しているSW620細胞の成長を阻害することができることを実験的に実証した。同様に、T84細胞の成長は、抗PGモノクローナル抗体を用いたインキュベーションにより阻害された。これらのデータは、中和性抗PG抗体が転移性結腸直腸癌細胞の成長を防止することが可能であること及びそのような細胞が、従って、PG感受性であることを実証する。これらのデータは、さらに、そのような抗体の治療的に効果的な量が、転移性結腸直腸癌の処置を必要とする被験者に投与される場合、そのような転移を処置するために効果的であることを示す。
【0062】
ヌードマウスにおいて行ったさらなる実験は拡大し、出願人らのインビトロ実験を確認する。このように、出願人らは、ヌードマウスの脾臓中に転移性SW620細胞を注射した。その後、直ちに、脾臓を切除し、マウスに抗PGモノクローナル抗体を時間経過にわたり投与した。コントロール動物を同様に処理したが、しかし、コントロール抗体を用いて注射した。6週間の処置後、マウスを屠殺し、肝臓において形成した転移の数及び重量をカウントした。驚くべきことに、出願人らは、転移の平均数が、処置動物対コントロール動物において、統計的に有意な41%だけ下落することを見出した。この説得力のあるデータは、中和性抗PG抗体がインビボで転移性結腸直腸癌の成長を阻害することが可能であることを確認し、そのような抗体の治療的に効果的な量は、転移性結腸直腸癌のための処置を必要とする被験者に投与される場合、そのような転移を処置するために効果的であることを実証する。
【0063】
出願人らによりインビトロ及びインビボで行われた追加実験では、驚くべきことに、原発性及び転移性結腸直腸癌が、PG感受性である結腸直腸癌幹細胞を含むこと、及び、中和性抗hPG抗体がそのような細胞の成長を阻害することが可能であることが実証されている。
【0064】
1つの実験において、出願人らは、低付着培養条件下での原発性(HT29、HCT116、CRC1)及び転移性(SW620及びT84)結腸直腸癌細胞株の成長が、LGR5(結腸直腸癌幹細胞の表現型マーカー)を発現する細胞の割合を増加させることを実証した。そのような培養条件によって、非幹細胞亜集団と比較して、癌幹細胞の成長について優先的に選択され、LGR5の増加発現によって、原発性及び転移性の両方の結腸直腸癌が癌幹細胞を含むことが確認される。
【0065】
出願人らは、次に、低付着条件が、従来の条件下での細胞の成長と比較して、同じ細胞におけるガストリン遺伝子発現のレベルを増加させることを発見した。このデータは、ガストリン遺伝子発現が、同じ集団における非幹細胞と比較して、原発性及び転移性の両方の結腸直腸癌からの結腸直腸癌幹細胞においてより高いことを示唆し、分泌されたプロガストリンのレベルも高くなりうることをさらに示唆する。出願人らは、低付着条件下で成長させた場合、CRC1、HT29、SW620、及びT84細胞においてプロガストリン発現を様々なレベルで確認したが、これらの細胞株がPG感受性の結腸直腸癌幹細胞を含むことを示唆する。
【0066】
出願人らは、低付着条件下で成長させた原発性及び転移性結腸直腸癌細胞を、抗hPG抗体を用いて処理することによりこれを確認し、驚くべきことに、形成されたいわゆる細胞スフェロイドの数が、コントロール抗体を用いた処置と比較して低下することを見出した。なぜなら、低付着条件下でのスフェロイドの形成は、結腸直腸癌幹細胞(しかし、非幹細胞亜集団ではない)の特性であるため、この結果は、抗hPG抗体が原発性及び転移性の両方の結腸直腸癌における結腸直腸癌幹細胞の成長を阻害するために効果的であることを意味すると解釈される。
【0067】
例えば、抗hPGポリクローナル抗体を用いたHT29、HCT116、及びCRC1細胞(それらの全てが原発性結腸直腸癌細胞である)の処理は、低下した球形成をもたらした。HCT116及びHT29細胞でのさらなるテストでは、2つの異なる抗hPGモノクローナル抗体を使用して、LGR5陽性癌幹細胞の亜集団による球成長に対する同様の効果が見出された。興味深いことに、洗浄による抗体の除去、それに続く、加えられた抗体の非存在における17日間にわたる継続的なインキュベーションは、増加した球数をもたらさなかったが、結腸直腸癌幹細胞に対する抗hPG抗体の阻害効果が永続的であり、それらの継続的な存在に依存しなかったことを示唆する。4つの異なる抗hPGモノクローナル抗体を用いたCRC1細胞の処理も、球形成を低下させるために効果的であった。加えて、抗hPGモノクローナル抗体の同じセットを用いた従来の条件下で成長しているCRC1細胞の前処理は、ALDH1陽性細胞の数、ならびに、前処理した細胞を低付着培養条件に移した後に形成されるスフェロイドの数を低下させた。抗体の3つがC末端部分PGを認識したのに対し、1つがN末端部分を認識した。
【0068】
同様の結果が、転移性結腸直腸癌細胞株をテストした場合に得られた。このように、ALDH1(結腸直腸癌幹細胞の別のマーカー)について陽性であるT84細胞の亜集団の単離後、そのような細胞により形成されるスフェロイドの数は、コントロール抗体と比較して、抗hPGモノクローナル抗体を用いた処理により、用量反応的な様式で低下した。同様に、同じ抗hPGモノクローナル抗体を用いた従来の条件下で成長しているT84及びSW620細胞の前処理は、ALDH1陽性細胞の数、ならびに、前処理した細胞を低付着培養条件に移した後に形成されるスフェロイドの数を低下させた。実際には、成長阻害効果は、5−フルオロウラシル(化学療法薬)のそれより大きかった。このデータは、転移性結腸直腸癌細胞がプロガストリン感受性の幹細胞を含むという驚くべき結論を確認しており、その成長は、特定の抗hPGモノクローナル抗体を用いた処理により阻害することができる。
【0069】
先に考察した通り、癌幹細胞の特徴的な特性の1つは、移植後に新たな腫瘍を開始するそれらの能力である。結腸直腸癌幹細胞を阻害する抗hPG抗体の能力を確認するために、出願人らは、結腸直腸癌肝臓転移からの細胞が培養中でスフェロイドとして成長し、移植後に新たな腫瘍を開始する能力に対する特定の抗hPGモノクローナル抗体の効果をテストした。実施例においてさらに説明する通り、出願人らは、ヌードマウスの脾臓中に転移性SW620細胞を注射した。その後、直ちに、脾臓を切除し、マウスに抗PGモノクローナル抗体を時間経過にわたり投与した。コントロール動物を同様に処理したが、しかし、コントロール抗体を用いて注射した。
【0070】
6週間の処置後、マウスを屠殺し、肝臓において形成している結腸直腸転移を解剖し、次に、生存可能な転移性結腸直腸癌細胞を放出するために処理した。細胞を、次に、低付着培養中でスフェロイドを形成し、新たなマウス中に移植した後に新たな腫瘍を形成するそれらの能力についてテストした。これらの特性の両方が結腸直腸癌幹細胞の特徴である。
【0071】
結果によって、結腸直腸癌幹細胞の成長に対する抗hPG抗体の阻害効果が確認された。最初に、出願人らは、コントロールと比較して、より少数のスフェロイドが、特定の抗体を用いて処置された動物の肝臓から単離された転移性結腸直腸癌細胞からの低付着培養において形成されることを見出した。さらに、出願人らは、また、スフェロイドからの細胞を2匹の新たなテスト動物の大腿に皮下注射した場合、特定の抗体を用いてインビボで処理した細胞から成長している腫瘍のサイズが、コントロール抗体を用いてインビボで処理した細胞から成長しているものよりも平均してかなり小さいことを見出した。これらの説得力のある結果は、hPGについて特異的な抗体を用いたインビボでの転移性結腸直腸癌細胞の処置が、転移性腫瘍における結腸直腸癌幹細胞の数を低下させることを実証する。
【0072】
上に記載する驚くべき、説得力のある結果に基づき、抗hPG抗体を用いて患者を処置することは、原発性又は転移性結腸直腸癌の再発を防止するために効果的であることが期待される。さらに、そのような幹細胞の成長に対する抗体の阻害効果は、抗hPG抗体の継続的な存在を要求しないことがある。
【0073】
7.6. 抗体
本明細書に開示する方法及びキットにおいて有用な抗体は、ガストリン遺伝子の他の産物を上回りヒトプロガストリンに特異的に結合するものである。
図30に例証する通り、ガストリン遺伝子は、101アミノ酸ポリペプチド(プレプロガストリンと呼ばれる)に翻訳され、それは、切断されて、プロガストリン(80アミノ酸ポリペプチド)を生じるシグナル配列(下線)を含む。プロガストリンは、順に、切断されて、34アミノ酸産物(配列において、プロガストリンの残基38−71に対応する)を生成し、それは、次に、グリシン残基を用いてそのカルボキシ末端で伸長されて、グリシン伸長G34(「G34−Gly」)を生成する。この切断の副産物は、6アミノ酸ペプチド(C末端隣接ペプチド、又はCTFPと呼ばれる)であり、それは、配列において、プロガストリンの残基75−80に対応する。G34−Glyは、次に、さらに切断されて、配列において、プロガストリンの残基55−71に対応し、G17−Glyとして言及される17残基ポリペプチドを生成する。G34−Gly及びG17−GlyのC末端グリシンの除去、それに続くC末端アミド化は、それぞれG34及びG17をもたらし、それらの両方がC末端アミド化されている。
【0074】
本明細書において使用する通り、抗体は、それが全長プロガストリンに結合するが、しかし、CTFP、アミド化ガストリン、又はグリシン伸長ガストリンには全く結合しない場合、hPG「について高度に特異的」又はhPGに「高度に特異的に結合する」、及び、それがCTFP及びガストリン遺伝子の他の産物よりも少なくとも約5倍大きなhPGの結合を示す場合(標準的な結合アッセイにおいて測定した通り)、hPG「について特異的」又はhPGに「特異的に結合する」。特定の抗hPG抗体の特異性を評価するために使用することができる特定のELISAアッセイが、実施例21に提供される。
【0075】
そのような高度に特異的及び/又は特異的な抗hPG抗体(本明細書において「抗hPG抗体」として言及される)は、ポリクローナル(「抗hPG PAb」)又はモノクローナル(「抗hPG MAb」)であるが、治療的使用、一部の例において、診断又は他のインビトロでの使用のために、モノクローナル抗体が好ましい。
【0076】
抗hPG抗体により結合されるエピトープは決定的ではない。有用な抗hPG抗体は、hPGのN末端領域、hPGのC末端領域、又はhPGの異なる領域に結合しうる。近年、少なくともモノクローナル抗hPG抗体について、抗hPG抗体を産生するために使用される抗原の選択が重要でありうることが発見されている(国際出願第PCT/EP2010/006329号(2010年10月15日出願)及び米国出願第12/906,041号(2010年10月15日出願)、その開示及び具体的に開示される抗hPG抗体が参照により本明細書において組み入れられる;以下、‘329及び‘041出願としてそれぞれ言及される)。‘329及び‘041出願において開示される通り、hPGに由来する全ての抗原が、生理学的条件下でhPGに特異的に結合するモノクローナル抗体の産生を刺激するわけではない。実際に、ポリクローナル抗hPG抗体を成功裏に産生するために使用されてきた特定の抗原(例えば全長組換えhPG(例、WO08/076454 Singhを参照のこと)及びhPGのC末端の最後の10アミノ酸に対応するペプチド(WO07/135542 Hollande et al.を参照のこと)など)は、モノクローナル抗体の生成に失敗した。‘329及び‘041出願において記述される通り、hPG配列内の抗原性N末端及びC末端配列が同定されており、hPGに特異的に結合するモノクローナル抗体を生成するために使用することができる。興味深いことに、抗原性配列は、それに固有であるhPG配列の領域に限定する必要はない。ガストリン遺伝子の他の産物と共通の配列の領域を有するペプチド抗原(例えば、G17、G34、及びCTFP)は、hPGに結合するだけでなく、しかし、それに特異的に結合するモノクローナル抗体をもたらす。
【0077】
hPGのN末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して入手可能であり及び/又はhPGのN末端領域に結合する抗hPG抗体を、本明細書において「N末端抗hPG抗体」として言及する。hPGについて特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を得るために適した免疫原を構築するために使用することができるhPGの特定の例示的な抗原性領域は、hPGの残基1〜14:SWKPRSQQPDAPLG(配列番号25)に対応する。N末端抗hPG抗体を得るために有用な例示的な免疫原、ならびに、これらの例示的な免疫原を用いて得られたN末端抗hPGモノクローナル抗体のCDRならびにV
H及びV
L配列を以下の表1A及び実施例のセクションに提供する:
【0078】
【表1】
【0079】
hPGのC末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して入手可能であり及び/又はhPGのC末端領域に結合する抗hPG抗体を、本明細書において「C末端抗hPG抗体」として言及する。hPGについて特異的なポリクローナル及びモノクローナル(末端抗hPG)抗体の両方を得るために有用な免疫原を構築するために使用することができる特定の例示的な抗原性領域は、hPGの残基55〜80:QGPWLEEEEEAYGWMDFGRRSAEDEN(配列番号27)に対応する。C末端抗hPG抗体を得るために有用なこの抗原を含む例示的な免疫原、ならびに、これらの例示的な免疫原を用いて得られたC末端抗hPGモノクローナル抗体のCDRならびにV
H及びV
L配列を以下の表1B及び実施例のセクションに提供する。
【0080】
【表2】
【0081】
表1A及び1Bに提供する例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb1−MAb23により結合される特定のエピトープは、SPOT技術及びアラニンスキャンを使用してマッピングされた(Laune et al., 2002, J. Immunol. Methods 267: 53-70及びLaune, 1997, J. Biol. Chem. 272: 30937-30944にそれぞれ記載される通り)(‘329出願の実施例6も参照のこと)。
【0082】
SPOT技術において、推定エピトープに及ぶ15のアミノ酸ペプチド配列を生成し、ニトロセルロース膜上にスポットし、それを、次に、テスト抗体を用いてプローブし、抗体により認識される最小エピトープ配列を決定する。アラニンスキャンを使用して、抗体結合のために決定的であるエピトープ内の残基を決定する。推定エピトープ内の各残基が、1つずつ、アラニンに変異しており、アラニン含有ペプチドを、次に、テスト抗体を用いてプローブする。
【0083】
N末端抗hPGモノクローナル抗体MAb1−4及び15−20について、エピトープは少なくとも以下:DAPLG(配列番号28)、PDAPLG(配列番号29)、PRSQQPD(配列番号30)、WKPRSQQPD(配列番号31)、又はWKPRSQQPDAPLG(配列番号32)(以下の表2Aに示す通り)の配列を含む。
【0084】
【表3】
【0085】
C末端抗hPGモノクローナル抗体MAb5−7、9−12、14、及び21−23について、エピトープは少なくとも以下:FGRR(配列番号33)、MDFGR(配列番号34)、AEDEN(配列番号35)、及びGWMDFGRR(配列番号36)(以下の表2Bに示す通り)の配列を含む。
【0086】
【表4】
【0087】
エピトープマッピング実験では、抗hPG MAb2及びMAb4が同じエピトープに結合することが明らかになる;抗hPG MAb1及びMAb3はほぼ同じエピトープに結合する;MAb17、MAb18、MAb19、及びMAb20はほぼ同じエピトープに結合する;MAb15及びMAb16はほぼ同じエピトープに結合する;抗hPG MAb5、MAb6、MAb7、MAb9、及びMAb12は同じエピトープに結合し、抗hPG MAb10とほぼ同じエピトープに結合する;ならびに抗hPG MAb11及びMAb14はほぼ同じエピトープに結合する。
【0088】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なN末端抗PG抗体の特定の実施態様は、hPGの残基10〜14(配列番号28)、hPGの残基9〜14(配列番号29)、hPGの残基4〜10(配列番号30)、hPGの残基2〜10(配列番号31)、又はhPGの残基2〜14(配列番号32)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0089】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なC末端抗PG抗体の特定の実施態様は、hPGの残基71〜74(配列番号33)、hPGの残基69〜73(配列番号34)、hPGの残基76〜80(配列番号35)、又はhPGの残基67〜74(配列番号36)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0090】
本明細書に開示する方法及びキットにおいて有用なN末端及びC末端抗hPG抗体は、表1A&1Bに提供するものに加えて、例示的なMAb1−23を用いたあるいはN又はC末端エピトープに結合する他の参照抗体を用いた競合結合アッセイにおいて同定することができる(後のセクションにおいてより詳細に記載する通り)。
【0091】
実施例において実証する通り、全ての抗hPG抗体(hPGについて高い程度の特異性及び親和性を示すものでさえ)が、hPGの生物学的活性を中和するわけではない。例えば、抗hPG MAb14は約6pMのK
DでhPGに結合するが、それは少なくともテストした濃度では、インビトロアッセイにおいて結腸直腸癌細胞の成長を阻害しなかったのに対し、他の抗hPGモノクローナル抗体(例えば、MAb1−MAb13及びMAb15−MAb23)は様々な程度まで阻害活性を示した。hPGに特異的に結合する非中和及び中和性抗体の両方が本開示の診断方法のために有用であるが、治療方法のために有用な抗hPG抗体は中和活性を示すはずである。
【0092】
本明細書において使用する通り、「中和性抗hPG抗体」は、非特異的抗体を用いて処理したコントロールサンプルと比較して、抗hPG抗体を用いて処理したテストサンプル中の生きた結腸直腸癌細胞の数における統計的に有意な低下をもたらす抗hPG抗体である。任意の特定の抗hPG抗体が中和性である能力を評価するための特定のアッセイが、実施例22に記載される。このアッセイにおいて生きた結腸直腸癌細胞の数における少なくとも約50%低下を示すそれらの抗hPG抗体は、結腸直腸癌を処置する際に特に有用であると考えられるが、このアッセイにおける生きた結腸直腸細胞の数におけるより低いレベルの中和活性、例えば、40%、30%、20%、15%、又は10%の統計的に有意な低下を示す抗hPG抗体が治療的利益を提供することが期待される。これらのアッセイにおける使用のための例示的な細胞は、しかし、限定しないが、本明細書に記載する原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株を含む。
【0093】
したがって、一部の実施態様、例えば、治療的な実施態様において、有用な抗hPG抗体は中和性である。本明細書において、ならびに‘329及び‘041出願において開示される通り、抗hPGモノクローナル抗体が中和性である能力は、エピトープ依存的ではない。なぜなら、N末端及びC末端抗hPGモノクローナル抗体の両方が、結腸直腸癌細胞を用いたアッセイにおいて中和活性を示したからである。このように、一部の特定の実施態様において、中和性抗hPG抗体はN末端中和性抗hPG抗体である。他の実施態様において、中和性抗hPG抗体はC末端中和性抗hPG抗体である。
【0094】
任意の特定の抗hPG抗体の親和性は決定的ではない。しかし、一部の使用のために、少なくとも約1μMの親和性を示す抗体が好まれうる。治療的使用のために、少なくとも約90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.1nM、0.01nM、0.001nM又はさらに大きい親和性が望まれうる。表1A&1Bにおいて同定された抗hPGモノクローナル抗体の測定された親和性は、10
−6〜10
−12Mの範囲である(以下の表3に記述する通り):
【0095】
【表5】
【0096】
特定の所望の適用のために特に適する親和性を有する抗PGモノクローナル抗体を、これらの間より容易に選択する、あるいは、本明細書に記載する抗hPG抗体の種々の免疫原、相補性決定領域(CDR)配列、可変重鎖(V
H)及び可変軽鎖(V
L)配列を使用して生成又は設計することができる。任意の特定の抗PGモノクローナル抗体の親和性は、当技術分野において周知の又は本明細書に記載する技術(例えばELISA、等温滴定熱量測定(ITC)、BIAcore、又は蛍光偏光アッセイなど)を使用して決定することができる。特定のアッセイを実施例23に提供する。
【0097】
表1A&1Bに記述する通り、いくつかのN末端及びC末端モノクローナル抗hPG抗体が同定されている。これらの抗体の全てがhPGについて特異的であり、列挙される全てのもの(MAb14を除く)が中和活性を示す。抗体を得るための有用なハイブリドーマのいくつかが、2010年10月6日に、ブダペスト条約に従って、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託された。抗hPG MAb1−23を産生するハイブリドーマの指定名称及び寄託されたそれらのハイブリドーマの寄託登録番号を表1A&1Bに提供する。また、抗体のいくつかについて、それらの可変重鎖(V
H)、可変軽鎖(V
L)、V
L相補性決定領域(CDR)、及びV
H CDRのアミノ酸配列が決定されている。これらのアミノ酸配列、及び開示を通じてそれらを参照するために使用される省略命名法も表1A&1Bに提供する。簡単には、マウス重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてmV
H及びmV
Lとして言及され、対応するモノクローナル抗体の番号が続く(例えば、抗hPG MAb3の可変軽鎖及び可変重鎖についてそれぞれmV
H.3及びmV
L.3)。同様に、ヒト重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてhV
H及びhV
Lとして言及され、対応するモノクローナル抗体の番号が続く。3つの可変重鎖CDR及び3つの可変軽鎖CDRは、それぞれV
H CDR1、2、又は3及びV
L CDR1、2、又は3として言及され、特定の抗hPGモノクローナル抗体の番号が続く。例えば、MAb3のV
H CDR1はV
H CDR1.3と表示され、及び、MAb3のV
L CDR 1はV
L CDR1.3と表示される。MAb3のV
H CDR2はV
H CDR2.3と表示され、及び、MAb3のV
L CDR2はV
L CDR2.3と表示される。
【0098】
ほぼ同じエピトープに結合する抗hPGモノクローナル抗体の対応するCDR及び/又はV
H及びV
L鎖を交換して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な新たな抗hPGモノクローナル抗体をもたらしうることが期待される。例えば、上に記述する通り、例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb5及びMAb6は同じエピトープに結合する。そのV
L鎖において、これらの2つの抗体のV
L CDRの種々の組み合わせ、及び/又は、そのV
H鎖において、これらの2つの抗体のV
H CDRの種々の組み合わせを含む抗hPGモノクローナル抗体を設計することができる。可能な種々の組み合わせを例証するための特定の非限定的な例として、そのような抗体は、そのV
L鎖において、MAb5のCDR1及び2(それぞれV
L CDR 1.5及びV
L CDR 2.5)ならびにMAb6のCDR3(V
L CDR 3.6)、及び、そのV
H鎖において、MAb6のCDR1(V
H CDR 1.6)ならびにMAb5のCDR2及び3(それぞれV
H CDR 2.5及びV
H CDR 3.5)を含みうる。
【0099】
寄託されているハイブリドーマにより産生される抗体のCDRのアミノ酸配列は、従来の手段を使用して得ることができる。例えば、ハイブリドーマ6B5B11C10及び20D2C3G2により産生される抗体の関連配列を以下の通りに決定した。簡単には、全RNAを、製造者の指示に従って使用したRNABee試薬(AMSBioカタログno.CS−104B)を使用して凍結細胞ペレットから単離した。V領域についてのcDNAを、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、それに続くcDNA末端の5’迅速増幅(RACE)を使用してmRNAから調製した。cDNA合成を、定常領域特異的プライマーを使用して行い、その後、第1鎖産物を精製し、末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを使用して、cDNAの3’末端にホモポリマーテールを加えた。「テール付き」cDNA配列を、次に、プライマーペア(ホモポリマーテール及びV
H又はV
L領域のいずれかについての各々1つのプライマー)をそれぞれ使用したPCRにより増幅した。重鎖及び軽鎖可変領域のPCR産物を、次に、「TA」クローニングベクター(p-GEM-T easy, Promega cat. no A 1360)中にクローン化し、標準的手順を使用して配列決定した。
図31A−B(MAb 3)、
図31C−D(MAb 4)を参照のこと。
【0100】
同様に、ハイブリドーマ1C10D3B9、2C6C3C7、1B3B4F1、及び1E9D9B61により産生される抗体の関連配列を以下の通りに決定した。全RNAを、製造者の指示に従って使用したRNAqueous(登録商標)-4PCRキット(Ambion cat.No.AM1914)を使用して凍結細胞ペレットから単離した。重鎖V領域のmRNAを、6つの縮重プライマープールのセット(HA〜HF)を使用して増幅し、軽鎖V領域のmRNAを、8つの縮重プライマープールのセットを使用して増幅した(κクラスターについて7つ(KA〜KG)及びλクラスターについて1つ(LA))。可変領域についてのcDNAを、RT−PCRを使用してmRNAから調製した。cDNA合成を、定常領域特異的プライマーを使用して行い、5’マウスシグナル配列についての縮重プライマーのプール及びIgGV
H、IgκV
L、及びIgλV
Lの各々についての3’定常領域に対するプライマーを使用したPCRが続いた。(Jones et al., 1991, Rapid PCR cloning of full-length mouse immunoglobulin variable regions, Bio/Technology 9:88-89).重鎖及び軽鎖可変領域のPCR産物を、次に、「TA」クローニングベクター(p-GEM-T easy, Promega cat. no A 1360)中にクローン化し、標準的手順を使用して配列決定した。
図31E−F(MAb 8)、31G−H(MAb 13)、31I−J(Mab 16)、及び31K−L(Mab 19)を参照のこと。
【0101】
表1Aを参照して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なN末端抗hPG抗体の特定の実施態様は、しかし、限定しないが、以下:
(a)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV
L CDRに対応するV
L CDR、及び、配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV
H CDRに対応するV
H CDRを有する抗体;
(b)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV
L及びV
H CDRに対応するV
L CDR及びV
H CDRを有する抗体;
(c)抗体、それにおいて:
(i)V
L CDR 1はQSIV
HSNGNTY(「V
L CDR 1.3」;配列番号4)、QSLV
HSSGVTY(「V
L CDR 1.4」;配列番号10)、QSLLDSDGKTY(「V
L CDR 1.16」;配列番号50)、及びSQHRTYT(「V
L CDR 1.19」;配列番号51)より選択される;
(ii)V
L CDR2はKVS(「V
L CDR 2.3」及び「V
L CDR 2.4」;配列番号5)、LVS(「V
L CDR 2.16」;配列番号53)、及びVKKDGSH(「V
L CDR 2.19」;配列番号54);
(iii)V
L CDR3はFQGSHVPFT(「V
L CDR 3.3」; 配列番号6)、SQSTHVPPT(「V
L CDR 3.4」;配列番号11)、WQGTHSPYT(「V
L CDR 3.16」;配列番号57)、及びGVGDAIKGQSVFV(「V
L CDR 3.19」;配列番号58)より選択される;
(iv)V
H CDR1はGYIFTSYW(「V
H CDR 1.3」;配列番号1)、GYTFSSSW(「V
H CDR 1.4」;配列番号7)、GYTFTSYY(「V
H CDR 1.16」;配列番号39)、及びGYSITSDYA(「V
H CDR 1.19」;配列番号40)より選択される;
(v)V
H CDR2はFYPGNSDS(「V
H CDR 2.3」;配列番号2)、FLPGSGST(「V
H CDR 2.4」;配列番号8)、INPSNGGT(「V
H CDR 2.16」;配列番号43)、及びISFSGYT(「V
H CDR 2.19」;配列番号44)より選択される;及び
(vi)V
H CDR3はTRRDSPQY(「V
H CDR 3.3」;配列番号3)、ATDGNYDWFAY(「V
H CDR 3.4」;配列番号9)、TRGGYYPFDY(「V
H CDR 3.16」;配列番号47)、及びAREVNYGDSYHFDY(「V
H CDR 3.19」;配列番号48)より選択される;
(d)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV
Lに対応するV
L、及び、配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV
Hに対応するV
Hを有する抗体;及び
(e)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV
L及びV
Hに対応するV
L及びV
Hを有する抗体
を含む。
【0102】
表1Bを参照して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なC末端抗hPG抗体の特定の実施態様は、しかし、限定しないが、以下:
(f)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22又はMAb23のV
L CDRに対応するV
L CDR、及び、配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV
H CDRに対応するV
H CDRを有する抗体;
(g)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV
L及びV
H CDRに対応するV
L及びV
H CDRを有する抗体;
(h)抗体、それにおいて:
(vii)V
L CDR1はKSLRHTKGITF(「V
L CDR 1.8」;配列番号49)及び QSLLDSDGKTY(「V
L CDR 1.13」;配列番号50)より選択される;
(viii)V
L CDR2はQMS(「V
L CDR 2.8」;配列番号52)及び LVS(「V
L CDR 2.13」;配列番号53)より選択される;
(ix)V
L CDR3はAQNLELPLT(「V
L CDR 3.8」;配列番号55)及び WQGTHFPQT(「V
L CDR 3.13」;配列番号56)より選択される;
(x)V
H CDR1はGFTFTTYA(「V
H CDR 1.8」;配列番号37)及び GFIFSSYG(「V
H CDR 1.13」;配列番号38)より選択される;
(xi)V
H CDR2はISSGGTYT(「V
H CDR 2.8」;配列番号41)及び INTFGDRT(「V
H CDR 2.13」;配列番号42)より選択される;及び
(xii)V
H CDR3はATQGNYSLDF(「V
H CDR 3.8」;配列番号45)及び ARGTGTY(「V
H CDR 3.13」;配列番号46)より選択される;
(i)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV
Lに対応するV
L、及び、配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV
Hに対応するV
Hを有する抗体;及び
(j)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV
L及びV
Hに対応するV
L及びV
Hを有する抗体
を含む。
【0103】
当業者により理解される通り、診断方法において有用な抗hPG抗体は、任意の起源(例えば、哺乳動物(例、ヒト、霊長類、げっ歯類、ヤギ、又はウサギ)、非哺乳動物、又は自然におけるキメラ(1を上回る種に由来する)を含む)でありうる。動物(ヒトを含む)における治療的使用のために適した抗体は、好ましくは、処置されることが意図される同じ種に由来する、あるいは、改変又は設計され、非免疫原性である、又は処置されている動物において低下した免疫原性を有する。ヒトにおける治療的使用のために有用な抗hPG抗体の特定のクラスは、ヒト化抗体のクラスであり、以下により詳細に考察する。本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な抗hPG抗体は、また、任意のアイソタイプ(例えば、IgA(例、IgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgG(例、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)、又はIgMを含む)でありうる、又はそれに由来しうる。治療的使用のために設計された抗hPG抗体は、好ましくは、IgGアイソタイプである。
【0104】
一部の実施態様において、本明細書に記載する治療的方法のために有用な抗hPG抗体はヒト化される。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、それにおいて、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであり、「CDR移植」として言及することができる。ヒト化抗体は、また、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものを含むことができる。抗体をヒト化するための方法(ヒト化抗体を設計するための方法を含む)は、当技術分野において周知である。例えば、Lefranc et al., 2003, Dev. Comp. Immunol. 27: 55-77;Lefranc et al., 2009, Nucl. Acids Res. 37: D1006-1012;Lefranc, 2008, Mol. Biotechnol. 40: 101-111;Riechmann et al., 1988, Nature 332: 323-7;米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、及び第6,180,370号、Queen et al.;EP239400;PCT公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号;EP592106;EP519596;Padlan, 1991, Mol. Immunol. 28: 489-498;Studnicka et al., 1994, Prot. Eng. 7: 805-814;Roguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. 91: 969-973;及び米国特許第5,565,332号(その開示は、その全体において参照により本明細書により組み入れられる)。
【0105】
非ヒト抗hPG抗体のCDRに対応するCDR配列を有する抗体のヒト化バージョン(例として、限定しないが、表1Aに提供する種々のN末端抗hPGモノクローナル抗体及び表1Bに提供する種々のC末端抗hPGモノクローナル抗体を含む)を、これらの周知の方法を使用して得ることができる。選択された抗hPG抗体のヒト化V
L及びV
H鎖の予測配列を、表1A及び1Bに提供する。ヒト化抗体の特定の例は、以下:
(k)本明細書に開示される任意の3つのV
L CDR及び任意の3つのV
H CDR;
(l)配列番号21に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号22に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(m)配列番号23に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号24に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(n)配列番号75、77、及び79からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号76及び78からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(o)配列番号80及び82からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号81及び83からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(p)配列番号84、86、及び88からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号85、87、及び89からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び
(q)配列番号90、92、及び94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号91、93、及び95からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体を含む。
【0106】
当業者により認識される通り、特定の結合特性(例えば、目的の特定のエピトープに結合する能力など)を有する抗hPG抗体は、本明細書に記載する種々の抗原及び免疫原を使用し、目的の参照抗体とhPG結合について競合するそれらの能力を評価して容易に得ることができる。本明細書に記載する抗hPG抗体のいずれかを、そのような競合アッセイにおける参照抗体として利用することができる。目的のビオチン化参照抗hPG抗体を用いてhPG結合について競合する抗体の能力を評価するために有用な特定のアッセイを、実施例24に提供する。
【0107】
参照抗hPG抗体と任意のテスト抗体(種又はアイソタイプと無関係)の間での抗体競合試験を行う際、最初に、参照を、直接的(例えばラジオアイソトープ又はフルオロフォア)又は間接的(例えばビオチン(蛍光標識ストレプトアビジンとの結合を介して検出可能)又は酵素(酵素反応を介して検出可能)など)のいずれかで検出可能な標識を用いて標識し、その後の同定を可能にする。この場合において、標識参照抗hPG抗体(固定又は増加濃度で)を、既知量のhPGを用いてインキュベートし、hPG:標識抗hPG抗体複合体を形成する。非標識テスト抗体を、次に、複合体に加える。複合標識の強度を測定する。テスト抗体が、重複するエピトープに結合することにより、hPGについて標識参照抗hPG抗体と競合する場合、複合標識の強度は、テスト抗体の非存在において行うコントロール実験と比べて減少する。
【0108】
結合競合アッセイを行うための多数の方法が公知であり、適応して、上に及び実施例24に記載するアッセイと同等の結果をもたらすことができる。
【0109】
抗体は、それが、競合結合アッセイ、及び、具体的には、実施例24の競合結合アッセイにおいて参照抗hPG抗体のhPGへの結合を、少なくとも50%だけ(より高いレベルの低下、例えば60%、70%、80%、90%、又はさらには100%が望まれうる)、テスト抗体濃度の範囲0.01〜100μg/ml(例、0.01μg/ml、0.08μg/ml、0.4μg/ml、2μg/ml、10μg/ml、50μg/ml、又は100μg/ml、あるいは記述する範囲内の他の濃度)で低下させる場合、参照抗hPG抗体とhPG結合について競合すると考えられ、このように、参照抗hPG抗体とほぼ同じ又は重複するhPGのエピトープに結合すると考えられる。
【0110】
本開示の抗体は、また、誘導体化し、共有結合的に修飾し、又は他の分子に結合させ、それらの特性を変え、もしくは、その機能を向上させることができる。例えば、しかし、限定しないが、誘導体化抗体は、修飾されている(例、グリコシル化、フコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、ホルミル化、公知の保護/遮断基による誘導体化、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによる)抗体を含む。あるいは、可変又は定常領域中の特定のアミノ酸を改変し、機能を変化又は改善することができる。1つの非限定的な例において、抗体のFc領域中のアミノ酸残基を改変し、FcRnへのその結合を増加させることにより抗体の血清半減期を増加させてもよい。
【0111】
抗hPGモノクローナル抗体は、検出可能な成分を用いて標識された抗体を含む。そのような標識は、開示の抗hPGモノクローナル抗体に直接的又は間接的に結合させることができる。標識はそれ自体が検出可能であり(例、ラジオアイソトープ標識、アイソトープ標識、又は蛍光標識)、又は、酵素標識の場合において、検出可能である基質化合物又は組成物の化学変化を触媒することができる。検出可能物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、種々の陽電子放射断層撮影を使用した陽電子放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンを含む。
【0112】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な種々の抗hPG抗体は、全長抗体を用いて例示されてきたが、当業者は、結合フラグメント、あるいは全長抗体又は結合フラグメントから設計される又はそれに由来するサロゲート抗体も使用してもよいことを理解するであろう。適したフラグメント、サロゲートなどは、しかし、限定しないが、Fab’、F(ab’)
2、Fab、Fv、vIgG、scFvフラグメント及びサロボディ、rIgG、ジスルフィド安定化Fv抗体(dsFv)、ダイアボディ、トリアボディ、及び単一ドメイン抗体(例えばラクダ化抗体又はナノボディなど)を含む。
【0113】
本開示の抗体は、当業者に公知の任意の方法に従って産生することができる。1つの非限定的な例において、抗体は天然の供給源(抗体、例えば、ヒト、サル、ニワトリ、ヤギ、ウサギ、及びげっ歯類(例、ラット、マウス、及びハムスター)に由来する抗体などを産生することが可能である任意の種を含む)から得ることができる。他の種も可能である。抗体は、また、遺伝子操作又は組換えDNAテクノロジー(例えば、しかし、限定しないが、培養中の酵母細胞、細菌細胞、及び哺乳動物細胞(例えばCHO細胞など)における組換え抗体の発現など)を利用するシステムから生成及び単離されうる。抗体は、また、完全に又は部分的に合成的でありうる。
【0114】
本開示のモノクローナル抗体(MAb)は、ハイブリドーマテクノロジーを通じて産生された抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、当技術分野において利用可能な又は公知の任意の手段により、単一クローン(任意の真核生物、原核生物、又はファージのクローンを含む)に由来する。モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の多様な技術(ハイブリドーマ、組換え、及びファージディスプレイテクノロジー、又はそれらの組み合わせの使用を含む)を使用して調製することができる。
【0115】
転移性結腸直腸癌のための従来の処置
転移性結腸直腸癌は、生物学的治療、標的治療、抗体治療、放射線治療、化学療法、手術、凍結手術、又はこれらの組み合わせを用いて処置されうる。転移性結腸直腸癌のための他の処置も可能である。
【0116】
生物学的治療は、癌と闘うための免疫システムの能力を強化又は回復する処置である。生物学的治療において使用される薬剤は、生物学的応答の修飾因子(例えばインターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、モノクローナル抗体、ワクチン、遺伝子治療、及び非特異的免疫調節剤など)を含む。これらの薬剤の一部は、また、直接的な抗腫瘍効果を有しうる。標的癌治療は、腫瘍の成長及び進行に関与する特定の分子に干渉することにより癌の成長及び広がりを遮断する薬物又は他の物質である。
【0117】
抗体治療は、抗体(しかし、限定しないが、転移性結腸直腸癌細胞を直接的又は間接的に殺す、その成長を減速又は停止させるモノクローナル抗体を含む)の投与を含む。そのような抗体は、種々の別々の機構を通じて機能することができる。例えば、特定の抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)又は他の機構を介した患者の免疫システムによる攻撃のために癌細胞をマークすることができる。他の抗体が結合し、癌細胞が生存又は成長のために要求する抗原の機能を変える又は阻害する。多数の抗体がこのように機能すると考えられる。例えば、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))(成長因子VEGFに結合する)を含む。他の機構も可能である。特定の抗体は、1つ又は複数の作用機構を介して働くことができうる。さらに他の抗体を放射性又は化学毒性成分に結合させ、それらを、抗体により特異的に認識される抗原を優先的に発現する癌細胞に標的化することができる。ベバシズマブ、セツキシマブ、及びパニツムマブは、転移性結腸直腸癌を処置する際に有用な抗体の具体的な例である。
【0118】
放射線治療は、癌細胞を殺し、腫瘍を縮小するためのX線、ガンマ線、中性子、陽子、及び他の供給源からの高エネルギー放射線の使用である。放射線は身体外の機械から来ることがあり(外部ビーム放射線治療)、又は、それは、癌細胞の近くの身体において配置された放射性材料から来ることがある(内部放射線治療又は近接照射療法)。全身放射線治療では放射性物質(例えば放射標識モノクローナル抗体など)が使用されており、それは身体全体にわたる組織へ血液中を移動する。放射線治療は、また、照射及び放射線治療とも呼ばれることがある。他の放射線治療は、三次元原体放射線治療(3D−CRT)及び強度変調放射線治療(IMRT)を含む。他の放射線治療も可能である。
【0119】
化学療法は、癌細胞を殺す(細胞傷害又は細胞破壊)又はその成長を防止する(細胞分裂停止)有機小分子薬の使用である。多くの化学療法剤が、種々の機構を通じてそれらの抗腫瘍効果を媒介し、転移性結腸直腸癌の処置のために利用可能である。
【0120】
例示的な化学療法剤は以下:葉酸拮抗剤(メトトレキサート及びペメトレキセドを含む);プリン拮抗剤(クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、6メルカプトプリン、ネララビン、ペントスタチンを含む);ピリミジン拮抗剤(カペシタビン、シタラビン、5フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレアを含む);ブレオマイシン;DNAアルキル化剤(ニトロソウレア、カルムスチン、ロムスチンを含む);DNA架橋薬及びアルキル化剤(ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、ダカルバジン、テモゾロミド、プロカルバジンを含む);アスパラギナーゼ;抗生物質(マイトマイシンを含む);白金錯体(カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンを含む);プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含む);紡錘体毒、例えばタキサン(ドセタキセル、パクリタキセルを含む)及びビンカ(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンを含む)など;トポイソメラーゼ阻害剤、例えばアントラサイクリン(ダウノルビシン、ダウノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシンを含む)、カンプトテシン(イリノテカン及びトポテカンを含む)、ポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド、及びミトキサントロンを含む)などを含む。他の化学療法剤も可能である。
【0121】
転移性結腸直腸癌は、しばしば、化学療法剤を互いに及び/又は抗体と組み合わせて使用して処置される。そのような組み合わせの例は、ロイコボリン(フォリン酸又はLV)と組み合わせた5フルオロウラシル(5FU)を含む。ウラシル(UFT)及びロイコボリンと組み合わせたテガフール;5FUと組み合わせた、又はさらにカペシタビンと組み合わせでのオキサリプラチン;カペシタビンと組み合わせたイリノテカン;5FU、イリノテカン、又はカペシタビンと組み合わせたマイトマイシンC ;単独で、又はベバシズマブもしくはセツキシマブと組み合わせたFOLFOX(ロイコボリン(フォリン酸)、5−FU、及びオキサリプラチン);単独で、又はベバシズマブもしくはセツキシマブと組み合わせたFOLFIRI(ロイコボリン、5−FU、及びイリノテカン);単独で、又はベバシズマブもしくはセツキシマブと組み合わせたCapeOX(カペシタビン及びオキサリプラチン);ベバシズマブと組み合わせた5−FU及びロイコボリン;ベバシズマブと組み合わせたカペシタビン;FOLFOXIRI(ロイコボリン、5−FU、オキサリプラチン、及びイリノテカン);セツキシマブと組み合わせたイリノテカン。他の組み合わせ計画は、5FU Mayo、5FU Roswell Park、LVFU2、FOLFOX4、FOLFOX6、bFOL、FUFOX、IFL、XELOX、XELIRI、及びCAPIRIを含み、それらはChau, I., and Cunningham, D., Br. J. Cancer 100 (2009) 1704-19;及びField, K. and Lipton, L., World J. Gastroenterol.13 (2007) 3806-15においてさらに詳細に記載され、それらは参照により組み入れられる。化学療法剤及び他の治療用薬剤の他の組み合わせも可能である。
【0122】
抗PG抗体を使用した治療方法
本開示は、転移性結腸直腸癌を処置及び防止し、結腸直腸癌の再発を防止し、及び結腸直腸癌幹細胞の成長を防止する目的のために、被験者に組成物中で抗PG抗体を投与することを含む治療方法を提供する。特定の実施態様において、抗体はヒトプロガストリン(「hPG」)について特異的であり、他の実施態様において、そのような抗体はモノクローナル抗体である。
【0123】
これらの実施態様の一部によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、転移性結腸直腸癌のための処置を必要とする被験者へ、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、転移性結腸直腸癌と診断された者を含む。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0124】
他の実施態様によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、転移性結腸直腸癌の防止を必要とする被験者へ、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、原発性結腸直腸癌を有すると決定されているが、しかし、それらにおいて癌が遠隔組織又は臓器に広がっていることが知られていない者を含む。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0125】
さらに他の実施態様によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、転移性結腸直腸癌の再発についての防止を必要とする被験者へ、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、原発性又は転移性結腸直腸癌のために以前に処置されたが、その処置後、そのような癌が見かけ上消失した者を含む。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0126】
他の実施態様によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、結腸直腸癌幹細胞の成長の阻害を必要とする被験者に、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、結腸直腸癌(その成長又は転移はその内での癌幹細胞の存在に少なくとも部分的に起因している)を有する者を含む。他の実施態様は、そのような幹細胞を、そのような細胞の成長を防止又は阻害するために効果的な抗PG抗体組成物の量を用いて接触させることにより、結腸直腸癌幹細胞の成長を防止又は阻害する方法を提供する。そのような方法は、インビトロ又はインビボで行うことができる。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0127】
中和性抗PG抗体は、治療的抗体組成物中で主要な活性薬剤になりうるが、非中和性抗PG抗体が、それらの存在が中和性抗体の治療効力を実質的に阻害しない場合、存在しうる。
【0128】
抗PG抗体組成物を投与することができる被験者は、哺乳動物、例えば非霊長類(例、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例、サル、チンパンジー、類人猿、又はヒト)でありうる。被験者は、ヒト(例えば成人患者又は小児患者など)でありうる。
【0129】
転移性結腸直腸癌を処置又は防止する、あるいは、結腸直腸癌の再発を防止する目的のために、抗PG抗体組成物を、単剤療法として、あるいは転移性結腸直腸癌を処置又は防止する、あるいは、結腸直腸癌の再発を防止するために効果的な1つ又は複数の一次治療の補助として被験者に単独で投与することができる。
【0130】
このように、本開示の特定の実施態様において、抗hPG抗体組成物は、化学療法の補助として、放射線治療の補助として、生物学的治療の補助として、外科的治療の補助として、あるいは転移性結腸直腸癌を処置又は防止するために効果的な他の型の抗体治療の補助として、転移性結腸直腸癌を処置又は防止することを必要とする被験者に投与することができる。さらに他の実施態様において、抗hPG抗体組成物は、そのような再発を防止するために効果的な他の治療の補助として、結腸直腸癌の再発を防止することを必要とする被験者に投与することができる。
【0131】
補助治療として、抗hPG抗体組成物を、一次治療と同時に、それに連続して、又はそれと別々に投与することができる。
【0132】
抗hPG抗体組成物及び一次治療は、同じ時間に投与される場合、さらには、それぞれの投与が重複する場合、同時に投与されるが、しかし、異なる時間に開始又は終了する。同時投与の非限定的な例は、被験者が転移性結腸直腸癌のための化学療法を受けている又は原発性結腸直腸腫瘍の外科的切除を受けているのと同時での抗hPG抗体組成物の投与である。
【0133】
抗hPG抗体組成物及び一次治療は、同じ日に(例えば、同じ診察の間に)、しかし、同時ではなく被験者に投与される場合、連続的に投与される。連続投与は、1、2、3、4、5、6、7、8時間又はそれ以上離して生じうる。一次治療は最初に投与してもよく、抗hPG抗体組成物の投与が続く。代替の実施態様において、抗hPG抗体組成物は最初に投与してもよく、一次治療が続く。
【0134】
抗hPG抗体組成物及び一次治療は、それらが異なる日に被験者に投与される場合、別々に投与される。特定の実施態様において、抗hPG抗体組成物及び一次治療は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、又は1ヶ月又はそれ以上の間隔で投与することができる。連続投与と同様に、抗hPG抗体組成物の投与は、一次治療の別々の投与に先行する又はそれに続くことができる。
【0135】
本開示の特定の他の実施態様において、抗hPG抗体組成物及び一次治療を、連続で又は別々に投与するかを問わず、交互パターンで反復的に投与することができる。
【0136】
特定の実施態様において、一次治療の補助として抗hPG抗体組成物を投与することは、相加よりも大きな、又は相乗な効果をもたらし、治療的利益を提供し、そこでは、いずれの治療も、単独では、陥る許容不可能な副作用を伴わず、治療的に効果的でありうる量で投与することはできない。これらの状況下で、抗hPG抗体組成物及び/又は一次治療は、より低い量で投与することができ、それにより有害作用の可能性又は重症度を低下させる。しかし、相乗効果は、抗hPG抗体組成物を用いた補助治療が治療的に効果的であるために要求されない。
【0137】
7.7. 転移性結腸直腸癌の処置の効力をモニターする方法
上に記述する通り、原発性及び/又は転移性結腸直腸癌を伴う患者は、上昇したPGの血漿及び/又は血清レベルを有するのに対し、健常個人におけるPGのベースラインレベルは無視できる。原発性及び/又は転移性結腸直腸癌を伴う被験者におけるPG血漿及び/又は血清レベルを測定可能であり、約25pM又はそれより大きい。この観察に基づき、PGの血漿及び/又は血清レベルを使用して、とりわけ、原発性又は転移性結腸直腸癌の処置の有効性をモニターし、原発性又は転移性結腸直腸癌の存在を検出及び診断し、抗PG抗体を用いた処置から利益を得うる被験者を選択することができる。
【0138】
このように、本開示は、転移性結腸直腸癌のための前のラウンドの治療の有効性を決定するために、結腸直腸転移癌のために処置されている被験者をモニターする方法を提供する。これらの方法は、単独で、又は他(しかし、限定しないが、抗hPG抗体組成物の投与、他の型の抗体を用いた治療、化学療法、放射線治療、生物学的治療、及びその他を含む)との組み合わせにおいて使用される転移性結腸直腸癌に対する任意の型の治療のために使用することができる。1ラウンドの治療が完了した後、被験者のケアについて責任がある処置チームは、それが、新たなラウンドの処置を投与するかしないかを決定し、他の臨床決定を行うために効果的であるか否かを確認する必要がある。
【0139】
モニタリング方法の一部の実施態様において、1つ又は複数の体液(例えば血液、血漿、血清、又はその他など)におけるPGの濃度は、転移性結腸直腸癌のための処置を開始する前に測定し、処置が完了した後に、ある時間に同じ型の体液中で測定されたPGレベルと比較することができる。他の実施態様において、目的の組織(例えば結腸直腸癌の生検など)におけるPGレベルを測定する。
【0140】
PG濃度における低下は効力を示している。典型的には、処置後のPC処置における低下の範囲が大きいほど、治療はより有効であった。操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、患者における転移の数及び/又はサイズが、有効な処置の結果として低下するにつれて、転移により産生されたPGの総量も減退すると考えられる。対照的に、処置が完了した後でのPGレベルにおける低下又は上昇の欠如は、治療が効果的ではなかったことを示しうる。この情報に基づき、処置チームは、新たなラウンドの治療を開始するか否かを決めることができる。
【0141】
1ラウンドの治療が完了し、その時間の前にサンプルをモニタリングのために取る適した間隔が、当業者により容易に決定され、考慮下にある治療の型、被験者の性別及び年齢、ならびにその他といった変数に依存する。例示的な間隔は、1ラウンドの治療が完了した後、サンプルを本開示のモニタリング方法における使用のために取る前の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11週間及び3、4、5、又は6ヶ月を含む。他の間隔も可能である。他の実施態様において、治療の完了後の異なる時間間隔での複数の測定値を取り、次に、グラフ化し、傾向が存在するか否かを決定しうる。非限定的な例において、PGレベルを、1ラウンドの治療が終わった後、最初の6ヶ月にわたり毎週又は毎月決定することができる。他の間隔も可能である。
【0142】
体液中のPG濃度レベルは、当業者が精通する分析技術(例えば、しかし、限定しないが、RIA及びELISAなど)を使用して測定することができる。hPGについて特異的な抗体に頼るアッセイ方法(例えばこれらなど)は、当業者の知識に従って、非中和性又は中和性抗体(例えば本明細書に開示するものなど)を使用して行うことができる。
【0143】
特定の実施態様において、PGレベルは、プロガストリンのN末端を標的化する1つの抗PG抗体及びプロガストリンのC末端を標的化する第2の抗PG抗体を用いたサンドイッチELISA法を使用して測定されうる。そのようなサンドイッチアッセイのために有用な例示的なN及びC末端抗PG抗体を、後のセクションに記載する。そのようなアッセイにおいて、表面(例えば96ウェルプレート中のウェルなど)を調製し、それに、既知量の第1の「捕捉」N末端又はC末端抗PG抗体を結合させる。テストサンプルを次に表面に適用し、インキュベーション期間が続く。表面を次に洗浄し、非結合抗原を除去し、第2「検出」抗PG抗体を含む溶液を適用し、そこで検出抗体がPGの異なるエピトープに結合する(例えば、捕捉抗体がC末端抗PG抗体である場合、N末端抗PG抗体が検出抗体として使用され、及び逆もまた同様である)。PGレベルを次に直接的(例えば、検出抗体が検出可能な標識に結合している場合)又は間接的(検出抗PG抗体に結合する標識二次抗体を通じて)のいずれかで測定する。血漿及び/又は血清PGレベルを測定するための特定のサンドイッチアッセイを、実施例20に提供する。
【0144】
本開示の方法の代替の実施態様において、目的の体液中のPGレベルを低下させる際での被験者への抗hPG抗体組成物の投与の効力をモニターしてもよい。これらの方法において、サンプルを経時的に取り、PG濃度をグラフ化し、傾向を評価してもよい。残留抗hPG抗体が存在する場合、データは、抗体によるPGの隔離に起因するPGレベルにおける低下を示すことがあり、この効果が軽減するにつれて上昇が続き、処置が転移性結腸直腸癌を処置するために効果的である場合にはその後の減退が続く。
【0145】
本開示の方法の他の実施態様によれば、約50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM又はそれ以下の既定の閾値を下回る血液、血清、又は血漿PG濃度は、転移性結腸直腸癌を処置するための効力を示している。効力を示している他のPG濃度の閾値も可能であり、当業者により容易に決定される。
【0146】
7.8. 結腸直腸癌の存在を決定する方法
本開示は、また、いずれの被験者がテストされうるのかに従って、特定の実施態様を提供し、原発性又は転移性結腸直腸癌の存在あるいは処置後の結腸直腸癌の再発を検出する目的のために、適切なベースラインと比較して、それらが体液(例えば血液、血漿、血清、又はその他など)において上昇したPGレベルを有するか否かを決定する。
【0147】
本開示の方法の特定の実施態様において、被験者は、結腸直腸癌(原発性又は転移性)が被験者において存在するか否かを決定することが望まれる者でありうる。そのような被験者において、上昇したPGレベル(ベースラインと比べて)は、結腸直腸癌が存在することを示す。操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、被験者における結腸直腸癌のサイズ及び/又は範囲が増加するにつれて、全身及び/又は局所PGレベルも被験者において増加すると考えられる。
【0148】
他の実施態様において、被験者は、結腸直腸癌が遠隔組織又は臓器に転移したか否かを決定することが望まれる、原発性結腸直腸癌のために以前に処置された者でありうる。そのような被験者において、上昇したPGレベル(ベースラインと比べて)は、転移性結腸直腸癌が存在することを示す。そのような被験者についても、本開示の方法が、とりわけ、転移性結腸直腸癌を防止することが意図される処置が効果的であったか否かを決定するために有用である。操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、被験者における転移の数及び/又はサイズが増加するにつれて、全身及び/又は局所PGレベルも被験者において増加すると考えられる。
【0149】
さらなる他の実施態様によれば、被験者は、癌が見かけ上消失し、結腸直腸癌が再発している又は戻っているか否かを決定することが望まれる、結腸直腸癌(原発性又は転移性)のために以前に処置された者でありうる。そのような被験者において、上昇したPGレベル(ベースラインと比べて)は、結腸直腸癌が再発したことを示す。操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、被験者における再発性結腸直腸癌のサイズ及び/又は範囲が増加するにつれて、全身及び/又は局所PGレベルも被験者において増加すると考えられる。
【0150】
転移性結腸直腸癌がPGを分泌し、PG感受性であるとの、本明細書に記載する発見の観点から、本開示は、また、抗PG抗体を投与することにより、治療から利益を受けうる被験者を選択する方法を提供する。このように、被験者は、それらが上昇した血漿及び/又は血清PGレベル(ベースラインと比べて)を有するか否かを検出するために、ケア提供者によりスクリーニングされうる。一旦、そのような被験者が同定されると、ケア提供者は、被験者における転移性結腸直腸癌の存在を確認するために追加のテストを注文することができる。転移性結腸直腸癌が確認された場合、次に、処置(抗hPG抗体の投与を含む)を始めることができる。
【0151】
被験者を選択するための方法の特定の実施態様において、スクリーニングを、被験者のプライマリケア医師による定期的な健康診断の一部として、又は、被験者の大規模集団を対象とする公衆衛生への取り組みの一部として実施しうる。他の実施態様において、スクリーニングされる被験者は、転移性結腸直腸癌を発生するより高い、次に、平均的なリスクを伴う特定の亜集団のメンバーである。そのような群は、しかし、限定しないが、結腸直腸癌を有していた近親者(親、兄弟、姉妹、又は子供)、結腸直腸ポリープの病歴を有する被験者、肥満である被験者、喫煙する被験者、及び身体的に不活性である被験者を含む。他のそのような被験者は、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)と診断されたもの、あるいはHNPCC遺伝子における変異、APC遺伝子における変異、又は結腸直腸癌の増加リスクと関連する他の遺伝子を有するものである。さらに他の群は、結腸直腸癌について以前に診断され、成功裏に処置された被験者を含む。
【0152】
PG濃度を、当業者が精通した技術(例えば、しかし、限定しないが、RIA及びELISAなど)を使用して測定することができる。hPGについて特異的な抗体に頼るアッセイ方法(例えばこれらなど)は、当業者の知識に従って、非中和性又は中和性抗体(例えば本明細書に開示するものなど)を使用して行うことができる。
【0153】
本開示の方法を使用した上昇PGレベルの検出に基づき、処置チームは、次に、結腸直腸癌の存在又は処置後の結腸直腸癌の再発を確認するための追加試験を試みる、あるいは被験者を処置することに直接進むか否かを決めることができる。
【0154】
異なるベースラインを使用してもよく、それに対して、被験者において測定されたPGレベルを比較する。本開示の方法の一部の実施態様において、ベースラインを、先の時間に同じ被験者からサンプリングした目的の体液中のPGレベルを測定することにより確立する。そのようなサンプルを所定の間隔で取り、PGレベルを測定してもよい。非限定的な例において、PGレベルを、処置の終了後、最初の6ヶ月にわたり毎週又は毎月、次に、処置の終了の2周年目まで3ヶ月毎に1回、次に、その後、6ヶ月又は1年毎に測定する。他の所定の間隔も可能である。
【0155】
本開示の方法の他の実施態様において、ベースラインは、結腸直腸癌の転移又は再発の検出のためのサンプリングを受けた被験者のものと同様の特徴を伴う個体の集団における平均PGレベルから確立することができる。そのような特徴は、しかし、必ずしも限定しないが、性、年齢、原発性結腸直腸腫瘍のステージ、特定の処置へ先の曝露、これらの又は他の因子の組み合わせを含みうる。さらに他の実施態様において、被験者に特異的なベースライン、ならびに集団由来のベースラインの両方を、対象の状態を評価する際に使用することができる。
【0156】
当業者の知識によれば、特定の閾値を超える(ベースラインと比べて)被験者からのサンプル中でのPGレベルは、結腸直腸癌又は処置後に再発した結腸直腸癌を有するとして結論付けられる。処置チームは、次に、結腸直腸癌の存在を確認するための確認試験を試みてもよい。そのようなテストの非限定的な例は、結腸直腸癌を検出するための探索的手術、結腸直腸癌を検出するための医学的画像テスト、潜血を検出するための被験者の便のテスト、結腸内視鏡検査、増加リスクの結腸直腸癌を示している遺伝子変異(例えばHNPCC遺伝子又はAPC遺伝子など)の存在についての被験者から得られたサンプルのテスト、及び結腸直腸癌を示している生物学的因子(例えば癌胎児性抗原(CEA)など)の存在についての被験者から得られたサンプルのテストを含む。
【0157】
なぜなら、摂食は、通常、ガストリン合成及び分泌を増加させることから、摂食は、結腸直腸癌転移又は再発性結腸直腸癌により産生されたPGの正確な測定に干渉しうる血中PGレベルにおける一過性の増加をもたらしうる。この効果を回避するために、特に血漿及び/又は血清中のPGレベルを決定すべき場合、サンプルを、当業者により容易に決定することができる通り、十分な時間にわたる絶食後に被験者から取ることができる。
【0158】
7.9. 医薬的組成物
本発明の方法における使用のための抗hPG抗体は、組成物として製剤化することができる。場合により、組成物は、1つ又は複数の追加の治療用薬剤(例えば、転移性結腸直腸癌又は結腸直腸癌の再発に対する治療的効力を伴う化学療法剤又は他の抗体など)を含むことができる。組成物は、医薬的に許容可能な担体を通例含む無菌の医薬的組成物の部分として通常供給される。この組成物は、患者にそれを投与する所望の方法に依存して、任意の適した形態でありうる。
【0159】
抗PG抗体は、種々の経路により、典型的には、非経口的に、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、又は筋肉内注射を介して被験者に投与することができる。投与は、1つ又は複数のボーラス注射として、あるいは1つ又は複数の注入としてもたらすことができる。他の投与経路が、また、当業者の知識に従って可能である。任意の所与の場合における投与のための最も適した経路は、投与される特定の組成物及び被験者の特徴(例えば年齢又は性など)に依存しうる。
【0160】
医薬的組成物は、用量当たりに開示の抗hPG抗体の所定量を含む単位用量形態で便利に提示することができる。そのような単位は、しかし、限定しないが、例えば、5mg〜5g、10mg〜1g、又は20〜50mgを含みうる。開示における使用のための医薬的に許容可能な担体は、例えば、投与経路に依存して、多様な形態を取ることができる。
【0161】
開示の医薬的組成物は、所望の純度を有する抗体を、当技術分野において典型的に用いられる任意の医薬的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤(それらは全て本明細書において「担体」として言及される)、即ち、緩衝化薬剤、安定化薬剤、保存剤、等張剤、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤、及び他の種々の添加剤を混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液としての保存のために調製することができる。Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition (Osol, ed.1980)を参照のこと。そのような添加剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに非毒性でなければならない。
【0162】
緩衝化薬剤は、生理的条件に近似する範囲内のpHを維持するために役立つ。それらは約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在することができる。本開示を用いた使用のための適した緩衝化薬剤は、有機酸及び無機酸の両方ならびにその塩、例えばクエン酸緩衝剤(例、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸緩衝剤(例、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝剤(例、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸塩緩衝剤(例、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝剤(例、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸緩衝剤(例、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝剤(例、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)、及び酢酸緩衝剤(例、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)などを含む。加えて、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、及びトリメチルアミン塩(例えばTrisなど)を使用することができる。
【0163】
保存剤を加えて、微生物の成長を遅らせることができ、0.2%−1%(w/v)の範囲の量で加えることができる。本開示を用いた使用のための適した保存剤は、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムハロゲン化物(例、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、及びアルキルパラベン(例えばメチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3ペンタノールなど)を含む。等張剤(時折「安定剤」として公知である)を加えて、本開示の液体組成物の等張性を確実にし、多価糖アルコール、例えば、三価又はそれより高い糖アルコール(例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトールなど)を含む。安定剤は、機能において、増量剤から添加剤(治療用薬剤を安定化する、又は、変性もしくは容器壁への付着を防止することを助ける)に及びうる広範なカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(上に列挙)でありうる;アミノ酸(例えばアルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなど)、有機糖又は糖アルコール(例えばラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロールなど)、シクリトール(例えばイノシトールなど)を含む;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;含硫の還元剤(例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、αモノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウムなど;低分子量ポリペプチド(例、10残基又はそれより少ないペプチド);タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなど);親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドンなど)単糖類(例えばキシロース、マンノース、フルクトース、グルコースなど);二糖類(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース)、及び三糖類(例えばラフィノースなど);及び多糖類(例えばデキストランなど)。安定剤は、0.1〜10,000重量部の活性タンパク質重量の範囲で存在することができる。
【0164】
非イオン性界面活性物質又は界面活性剤(「湿潤剤」としても公知である)を加えて、治療的薬剤を可溶化し、ならびに、撹拌誘導性の凝集に対して治療的タンパク質を保護するのを助けることができ、それは、また、タンパク質の変性を起こすことなく、製剤が剪断面に曝露されることを許す。適した非イオン性界面活性物質は、ポリソルベート(20、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、プルロニックポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80など)を含む。非イオン性界面活性物質は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、例えば、約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在しうる。界面活性物質は、しかし、抗体に結合する傾向を有し、それらの立体構造を損ないうる。従って、使用した場合、濃度の安定化は低く、実験的に識別しなければならない。
【0165】
追加の種々の賦形剤は、キレート剤(例、EDTA)、酸化防止剤(例、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、及び共溶媒を含むことができる。
【0166】
抗hPG抗体は、単独であるいは1つ又は複数の抗hPG抗体単独の混合物として、あるいは結腸直腸癌転移又は再発を防止するために有用な他の薬剤(しかし、限定しないが、化学療法剤、生物学的治療用薬剤、及び抗体治療用薬剤(例、ベバシズマブ)を含む)との混合物又は組み合わせで投与することができる。
【0167】
7.10. 医薬的キット
特定の実施態様において、本発明は、臨床医又は他のユーザーによる使用のための医薬的キットを提供する。医薬的キットは、開示の抗hPG抗体(例、凍結乾燥形態又は水溶液のいずれか)及び以下:本開示において他に記載する少なくとも第2の治療用薬剤;抗hPG抗体を投与するためのデバイス(例、ニードル及び/又はシリンジ);及び抗体が凍結乾燥又は濃縮形態である場合、抗体を再懸濁又は希釈するための医薬品グレードの水又は緩衝液の1つ又は複数を含むパッケージである。キットは、また、抗体組成物を調製する及び/又は組成物を患者に投与するための指示を含みうる。
【0168】
抗hPG抗体組成物の各単位用量は別々にパッケージ化することができる。キットは1つ又は複数の単位用量(例、2単位用量、3単位用量、4単位用量、5単位用量、7単位用量、8単位用量、10単位用量又はそれ以上)を含むことができる。一実施態様において、1つ又は複数の単位用量はシリンジ中に各々収容される。別の実施態様において、1つ又は複数の単位用量は、IVラインに接続するために適したバッグ又は同様の容器中に各々含める。
【0169】
7.11. 効果的な投与量
本発明の中和性抗hPG抗体を含む組成物は、一般的に、少なくとも部分的に所望の結果を達成するために効果的な投与量で、結腸直腸癌転移を処置又は防止するあるいは結腸直腸癌の再発を防止することを必要とする被験者に投与される。
【0170】
結腸直腸癌転移の処置に関して、治療上の利益は、とりわけ、転移性結腸直腸癌の任意の寛解、結腸直腸癌転移の成長を停止又は減速すること、被験者内でのそのような転移の数及び/又はサイズを低下すること、結腸直腸癌転移への血流を低下させること、結腸直腸癌転移の代謝を低下させること、結腸直腸癌転移癌の重症度を低下させること、転移性結腸直腸癌細胞の増殖を阻害すること又はそのアポトーシスを増加させること、被験者における転移性結腸直腸癌に関連する症状又は徴候の増悪を停止又は遅延すること、結腸直腸癌の外科的切除を許すこと(そこで、そのような切除は処置前に可能ではなかったであろう)、転移性結腸直腸癌を有する被験者の寿命、快適さ、又は生活の質を向上させること、あるいは、そのような被験者において痛みを低下させることを意味する。転移性結腸直腸癌の完全な治癒は、望ましいが、治療上の利益が存在するために要求されない。
【0171】
治療上の利益は、また、無増悪生存期間(PFS)に関して測定することができる。この状況において、ステージII、III、又はIV結腸直腸癌を最初に有する被験者が、疾患のより進行したステージに進むために要する時間を測定する。3、4、5、6、7、8、9、10ヶ月又はそれ以上のPFSにおける増加は、治療上の利益を提供すると考えられる。
【0172】
転移性結腸直腸癌の腫瘍サイズ、数、及び代謝を、種々のスキャン技術(しかし、限定しないが、CT、MRI、機能的MRI、SPECT、及びPETを含む)、ならびに当業者に公知の他の方法を使用して測定することができる。
【0173】
治療上の利益は、また、1つ又は複数のサロゲートエンドポイントと相関しうる。例として、限定しないが、転移性結腸直腸癌による特定のタンパク質又は他の因子(例えばプロガストリン又は癌胎児性抗原(CEA)など)の産生は、被験者において経時的に測定することができ、因子のレベルにおける低下は治療上の利益を示している。
【0174】
結腸直腸癌転移の防止に関しては、効果的な投与量は、転移性結腸直腸癌を少なくとも部分的に防止するために効果的なものであり、とりわけ、結腸直腸癌転移の非存在、結腸直腸癌転移の成長を遅延、停止、又は減速すること、最終的に生じうる任意の結腸直腸癌転移の数及び/又はサイズを低下させること、ならびに、転移性結腸直腸癌細胞が原発腫瘍から広がることができる機構段階のいずれかの阻害又はその干渉により証明される。結腸直腸癌転移の完全な防止は、望ましいが、効力が存在するために要求されない。
【0175】
結腸直腸癌の再発の防止に関しては、効果的な投与量は、結腸直腸癌の再発を少なくとも部分的に防止するために効果的なものであり、とりわけ、結腸直腸癌の再発の非存在、結腸直腸癌の寛解を維持すること、あるいは、最初の結腸直腸癌が検出不可能になった又は見かけ上消失した処置後の被験者において、結腸直腸癌の再成長、又は新たな結腸直腸腫瘍の成長の再出現を遅延、停止、又は減速させることにより証明される。結腸直腸癌の再発を防止するための効力は、また、とりわけ、結腸直腸癌幹細胞の死滅、結腸直腸癌幹細胞の成長又は増殖を遅延、停止、阻害、又は減速させること、結腸直腸癌幹細胞のアポトーシスを増加させること、あるいは結腸直腸癌の形成又は成長に寄与することが可能ではない細胞への結腸直腸癌幹細胞の分化を起こすことにより証明される。本明細書において他に記載する通り、結腸直腸癌幹細胞は、そのような細胞に特徴的な1つ又は複数の表現型特質(しかし、限定しないが、特定の細胞マーカーの発現、低付着培養条件下でスフェロイドとして成長する能力、及び移植後に新たな腫瘍成長を開始する能力を含む)を有するとして同定可能である。結腸直腸癌の再発の完全な防止は、望ましいが、効力が存在するために要求されない。
【0176】
全てのプロガストリンを結合することは、治療的効力を達成するために必ずしも要求されない。むしろ、腫瘍内のプロガストリンの濃度を、全身的に、特に体液(例えば腹水、胸水、脳脊髄液、リンパ液、血液、血漿、血清、又は他の場所からの液体など)において低下させることも効果的でありうる。
【0177】
当業者の知識によれば、抗hPG抗体組成物の用量を、患者において滴定し、投与後の所定の時間での目的の組織又は体液中での遊離hPG濃度を低下させるようにすることができる(少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90、又は100%、あるいは約5%−10%、約10%−15%、約15%−20%、約20%−25%、約25%−30%、約30%−35%、約35%−40%、約40%−45%、約45%−50%、約50%−55%、約55%−60%、約60%−65%、約65%−70%、約70%−75%、約75%−80%、約80%−85%、約85%−90%、又は約90%−95%又は先行する値のいずれかの間の範囲での遊離hPG濃度におけるパーセンテージ低下)。
【0178】
投与される抗hPG抗体の量は、処置される被験者のサイズ及び体重、投与の形態、経路、及び部位、治療計画(例、第2の治療用薬剤が使用されているか否か)、処置されている特定の被験者の年齢及び状態、処置前の前記被験者の血液中で検出されたPGのレベル、抗PG抗体を用いて処理されている被験者の感受性を含む様々な要因に依存しうる。適切な投与量は、当業者により容易に決定されることができる。最終的には、臨床医が、使用される適切な投与量を決定する。この投与量は、しばしば、適宜、反復することができる。副作用が発生した場合、投与量の量及び/又は頻度を、通常の臨床診療に従って、変える又は低下させることができる。適当な投与量及び治療計画は、本開示の方法又は当業者に公知の他の方法を使用して、治療の進行をモニターすることにより確立することができる。
【0179】
効果的な投与量を、最初にインビトロアッセイから推定することができる。例えば、動物における使用のための初回用量を製剤化し、インビトロで測定されたプロガストリンについての抗体の結合親和性である又はそれを上回る抗hPG抗体の循環血液又は血清濃度を達成してもよい。特定の抗体のバイオアベイラビリティを考慮に入れた、そのような循環血液又は血清中濃度を達成するための投与量の算出は、十分に当業者の能力内である。ガイダンスについては、読者はパート1を参照のこと:General Principles in "Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics," 11th Ed., Hardman, J.G., et al., Eds., McGraw-Hill Professional、及びその中で引用される参考文献。初回投与量は、また、インビボのデータ(例えば動物モデルなど)から推定することができる。当業者は、そのような情報を定期的に適応して、ヒトへの投与のために適した投与量を決定することができる。
【0180】
特定の実施態様において、静脈内用量を、処置の数日から数週間前に数回個人の血清又は血漿PG濃度を測定し、飽和しうる抗PG抗体の量(即ち、PGの全てに結合するために十分でありうる量)を算出することにより個々の被験者について決定してもよい。当業者により理解される通り、PGの所与の血清又は血漿中濃度について飽和を達成するために必要な任意の特定の抗体の量は、特定の抗体の親和定数に部分的に依存する。目的の特定の抗PG抗体についての飽和量を算出するための方法は周知である。
【0181】
飽和を保証するために、算出された飽和量より大きい量を投与してもよく、例えば、算出された飽和量よりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はさらには10倍大きい量を投与してもよい。静脈内以外の投与様式のために、量を、当技術分野において周知の通りに、薬物動態及びバイオアベイラビリティに基づいて適応することができる。
【0182】
抗hPG抗体組成物の効果的な用量は、約0.001mg/kg〜約250mg/kg/単回(例、ボーラス)投与、複数投与又は連続(例、注入)投与の範囲でありうる、あるいは、再発を防止することが求められる癌の型、投与経路、ならびに被験者の年齢、体重、及び状態に依存する本明細書における任意の効果的な範囲又は値でありうる。特定の実施態様において、各用量は約0.1mg/kg〜約0.5mg/kg;約0.25mg/kg〜約0.75mg/kg;約0.5mg/kg〜約1mg/kg;約2mg/kg;約1.5mg/kg〜約2.5mg/kg;約2mg/kg〜約3mg/kg;約2.5mg/kg〜約3.5mg/kg;約3mg/kg〜約4mg/kg;約3.5mg/kg〜約4.5mg/kg;約4mg/kg〜約5mg/kg;約5mg/kg〜約7mg/kg;約6mg/kg〜約8mg/kg;約7mg/kg〜約9mg/kg;約8mg/kg〜約10mg/kg;約10mg/kg〜約15mg/kg;約12.5mg/kg〜約17.5mg/kg;約15mg/kg〜約20mg/kg;約17.5mg/kg〜約22.5mg/kg;約20mg/kg〜約25mg/kg;約22.5mg/kg〜約27.5mg/kg;約25mg/kg〜約30mg/kg;約30mg/kg〜約40mg/kg;約35mg/kg〜約45mg/kg;約40mg/kg〜約50mg/kg;約45mg/kg〜約55mg/kg;約50mg/kg〜約60mg/kg;約55mg/kg〜約65mg/kg;約60mg/kg〜約70mg/kg;約65mg/kg〜約75mg/kg;約70mg/kg〜約80mg/kg;約75mg/kg〜約85mg/kg;約80mg/kg〜約90mg/kg;約85mg/kg〜約95mg/kg;約90mg/kg〜約100mg/kg;約95mg/kg〜約105mg/kg;約100mg/kg〜約150mg/kg;約125mg/kg〜約175mg/kg;約150mg/kg〜約200mg/kg;約175mg/kg〜約225mg/kg;約200mg/kg〜約250mg/kg。他の投与量の範囲も可能である。
【0183】
投与の量、頻度、及び持続時間は、種々の要因(例えば患者の年齢、体重、及び疾患の状態など)に依存する。このように、非限定的な例において、投与のための治療計画は、1日又はそれ以上、2日又はそれ以上、3日又はそれ以上、4日又はそれ以上、5日又はそれ以上、6日又はそれ以上、1週間又はそれ以上、2週間から無制限にわたり、2週間〜6ヶ月間、3ヶ月間〜5年間、6ヶ月間〜1又は2年間、8ヶ月間〜18ヶ月間などにわたり継続することができる。場合により、治療計画は、反復投与(例、1日1回、1日2回、2日、3日、5日、1週間、2週間、又は1ヶ月毎)に提供する。反復投与では、同じ用量で又は異なる用量でありうる。投与は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回又はそれ以上反復することができる。抗hPG抗体の治療的に効果的な量は、単回用量として又は治療計画の経過にわたり(例、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年又はそれより長い経過にわたり)投与することができる。
【0184】
8. 実施例
実施例1:転移性結腸直腸癌細胞におけるガストリン遺伝子の発現
この例では、ヒト原発性結腸直腸癌細胞株HT29、HCT116、RKO、SW480、及びDLD1、ならびに転移性結腸直腸癌細胞株SW620及びT84におけるガストリン(GAST)遺伝子の発現を記載する。ヒト原発性結腸直腸腫瘍からの生検サンプルから単離された細胞もテストした(CRC1)。SW620細胞は、元々は、デュークスステージC結腸直腸腺癌と診断された患者のリンパ節転移に由来した。T84細胞は、元々は、結腸直腸癌と診断された患者の肺転移に由来した。
【0185】
A. 方法
標準的技術を使用して、GAST mRNAの発現は、HT29、HCT116、RKO、SW480、DLD1、SW620、及びT84細胞株のRNA調製物からの定量的RT−PCRを使用して定量した。データを、RKO原発性結腸直腸癌細胞株において見出されたガストリンmRNA発現レベルとの比較で表現する。RKO細胞は、通例、低レベルのプロガストリンを発現する。相対的なガストリンmRNAレベルは対数スケールで報告されていることに留意すること。
【0186】
B. 結果
定量的RT−PCRにより測定したガストリン遺伝子発現レベルを
図1に示す。検証した全ての原発性及び転移性結腸直腸癌細胞が、ガストリン遺伝子を発現したが、しかし、変動レベルであった。翻訳後プロセシングを通じて、ガストリン遺伝子産物はプロガストリンに変換されうる。
【0187】
同様の実験を、転移性結腸直腸癌細胞株Colo−205を使用して実施したが、しかし、結果は再現可能ではなかった。
【0188】
実施例2:患者から外科的に切除した原発性及び転移性結腸直腸腫瘍におけるガストリン遺伝子の発現
この実施例では、患者から外科的に切除した対応する原発性及び転移性結腸直腸腫瘍におけるガストリン遺伝子の発現を記載する。
【0189】
A. 方法
原発性及び転移性結腸直腸腫瘍を、適用可能な倫理ガイドラインに従って、患者から外科的に切除した。標準的技術を使用して、RNAを腫瘍組織サンプルから調製し、ガストリンmRNAを定量的RT−PCRにより測定した。転移性腫瘍におけるガストリンmRNAの発現を、同じ患者から取った、対応する原発腫瘍における発現のレベルと比べて標準化した。
【0190】
B. 結果
11人の患者からの転移性結腸直腸腫瘍において発現されたガストリンmRNAのレベルを、同じ患者からの対応する原発腫瘍における発現と比べて、
図2に示す。試験した全ての原発性及び転移性結腸直腸腫瘍が、ガストリン遺伝子を発現したが、転移性腫瘍における発現レベルは、対応する原発腫瘍と比べて、異なる患者の間で広範に変動した。
【0191】
実施例3:転移性癌細胞によるプロガストリンの分泌
この実施例では、3つの異なる転移性結腸直腸癌細胞によるプロガストリンの分泌の定量化を記載する。
【0192】
A. 方法
細胞を60%コンフルエンスまで通常のプラスチック75cm
2フラスコ中で成長させた。培地を次に除去し、細胞を、PBSを用いて1回リンスした。20mlのM11培地(フェノールレッドを伴わない)を次にフラスコに加えて、細胞を追加の48時間にわたりインキュベートした。培地を次に回収し、1,000gで5分間にわたり遠心し、細胞デブリを除去し、−80℃で凍結した。細胞を次にトリプシン処理し、カウントした。
【0193】
分泌されたプロガストリンを測定するために、凍結した成長培地をゆっくりと氷上で解凍し、次に、タンパク質コンセントレータ(Icon, Pierce)を使用して、2,500gで45分間にわたる遠心により容積500μlまで40倍濃縮した。プロガストリン濃度を、次に、サンドイッチELISA技術を使用して測定した。
【0194】
B. 結果
図3は、3つの転移性結腸直腸癌細胞株により調整された培地中でのプロガストリンの濃度を示す。データを、プロガストリン濃度(pM)/100万個の細胞/48時間の成長として表現する。この実験において、Colo−205細胞は、使用されるアッセイの検出限界内でPGを産生しなかった。
【0195】
実施例4:原発性及び転移性結腸直腸癌と診断された患者における血漿及び血清プロガストリン濃度
この実施例では、原発性結腸直腸癌及び無転移を伴う患者、転移性結腸直腸癌を伴う患者、及び原発腫瘍を外科的に除去された転移性結腸直腸癌を伴う患者におけるプロガストリンの血漿及び血清レベルの定量化について記載する。
【0196】
C. 方法
血漿又は血清プロガストリン濃度を、コントロールとして健常個人において、及び結腸直腸癌を伴う患者において測定した。健常コントロールサンプル(N=104)を血液バンクから得た。結腸直腸癌患者は3群を構成した。第1に、サンプリング時に原発癌と診断された転移を伴わない患者(T+M−;n=16)。第2に、サンプリング時に転移性疾患と診断された患者(T+M+;n=24)。及び、第3に、サンプリング時に転移性疾患と診断された患者であって、しかし、それらから、原発腫瘍は外科的に切除されていなかった(T−M+;n=46)。転移性疾患を伴う患者の大多数(即ち、24人のT+M+患者の15人及び46人のT−M+患者の41人)が、サンプリング時に化学療法を受けていた、又は、ちょうど受けた。
【0197】
血漿又は血清プロガストリンレベルの定量化は、以下に予言的に記載するものと同様のプロガストリン特異的サンドイッチELISA技術を使用して実施した。
【0198】
Nunc MaxiSORP 96ウェルプレートのウェルを、以下の通りに第1プロガストリン特異的抗体を用いてコーティングする。プロガストリンのカルボキシ末端領域について特異的な抗プロガストリンポリクローナル抗体を、MilliQ水中の50mM, pH 9.6炭酸/重炭酸ナトリウム緩衝液の溶液中に、濃度3μg/mlまで希釈する。合計100μlの抗体溶液を、次に、96ウェルプレートの各ウェルに加えて、4℃で一晩インキュベートする。結合後、抗体溶液をウェルから除去し、それらを次に、100μl洗浄緩衝液(1×PBS/0.1% TWEEN−20)を用いて3回洗浄する。合計100μlのブロッキング緩衝液(1×PBS/0.1% TWEEN−20/0.1% BSA)を次に各ウェルに加えて、22℃で2時間にわたりインキュベートする。ブロッキング緩衝液を次に除去し、ウェルを、洗浄緩衝液を用いて3回洗浄する。患者から単離された血漿又は血清サンプルを、ウェルに、容積100μl中の希釈系列(典型的には1:1、1:2、1:5、及び1:10希釈)において加えて、次に、22℃で2時間にわたりインキュベートする。血漿又は血清サンプルを2通りに分析する。
【0199】
アッセイは、また、2つの標準曲線を含む。第1の標準曲線を、組換えプロガストリンの希釈物を使用して、最終量1ng、0.5ng、0.25ng、0.1ng、0.05ng、0.01ng、及び0ng/ウェルに調製する。第2の標準曲線は、陰性コントロールとしての役割を果たし、テストサンプルと同じ希釈で(即ち、1:1、1:2、及び1:10)、ブロッキング緩衝液中に希釈したプロガストリン陰性ヒト血清から調製する。あるいは、血漿サンプルをアッセイしている場合、第2の標準曲線は、陰性コントロールとしての役割を果たし、テストサンプルと同じ希釈で(即ち、1:1、1:2、及び1:10)、ブロッキング緩衝液中に希釈したプロガストリン陰性ヒト血漿から調製する。
【0200】
血漿又は血清サンプルを用いたインキュベーションが完了した後、ウェル内容物を除去し、洗浄緩衝液(100μl/ウェル)を用いて3回洗浄し、その後、第1抗体に結合したプロガストリンを、プロガストリンについて特異的な第2抗体を使用して、以下の通りに検出する。
【0201】
プロガストリンのアミノ末端領域について特異的なビオチン結合抗プロガストリンポリクローナル又はモノクローナル抗体を、ブロッキング緩衝液中で、濃度0.1〜10μg/mlまで、抗体に依存して希釈する。合計100μlの抗体溶液を次に各ウェルに加えて、22℃で1時間にわたりインキュベートする。
【0202】
第2抗体結合が完了した後、プレートを、洗浄緩衝液(100μl/ウェル)を用いて3回洗浄し、その後、100μlのストレプトアビジン−HRP溶液(ブロッキング緩衝液中25ng/ml)を各ウェルに加えて、22℃で1時間にわたりインキュベートする。ストレプトアビジン−HRP溶液を用いたインキュベーションが完了した後、プレートを、洗浄緩衝液(100μl/ウェル)を用いて3回洗浄する。その後、Pierce SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Chemiluminescent Substrateキットを使用して調製した100μlの化学発光基質を1ウェル当たりに加え、暗所に室温で5分間にわたりインキュベートし、ルミノメーターで読み込む。
【0203】
ルミノメーターの読み取りに基づき、線形回帰分析を使用して、標準曲線データに対応する線の等式を導く。この等式を使用して、種々の患者サンプル中でのプロガストリンの濃度を次に算出する。
【0204】
D. 結果
図4のボックスプロットは、健常コントロールと比較した、アッセイされた結腸直腸癌患者の3群における血清プロガストリン濃度の25パーセンタイル、中央値、及び75パーセンタイル血漿を示す。ウィスカーは、血漿又は血清プロガストリン濃度の5及び95パーセンタイルを示す。T+又はT−は、それぞれ、原発腫瘍がまだその場所ある又は切除されていることを示す;M+又はM−は、それぞれ、転移が患者において検出された又は検出されなかったことを示す。表4は、生データの統計分析の要約を含む。
【0205】
このデータは、原発性及び転移性の両方の結腸直腸癌を伴う患者が、健常個人と比較して、それらの血漿又は血清中のプロガストリンの上昇レベルを有していたことを実証する。また、プロガストリンレベルは、原発腫瘍が外科的に除去された転移性結腸直腸癌を伴う患者において上昇したままである。これは、結腸直腸転移がそのような患者においてプロガストリンを産生することを示唆する。
【0206】
【表6】
【0207】
実施例5:培養中のSW620転移性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果
この実施例では、培養中のSW620ヒト転移性結腸直腸癌細胞株の成長に対する抗hPGポリクローナル抗体の効果を記載する。
【0208】
A. 方法
SW620細胞を6ウェルプレート中に播種し、一晩、血清飢餓させ、次に、12時間毎にPBS、3マイクログラム/mlコントロール抗体(ポリクローナルウサギ抗ヒトIgG, Affinity BioReagents, Ref #SA1-600)又は抗PGポリクローナル抗体を用いて処理した。実験を2通りに行い、技術者は、処理溶液の内容物に関して盲検化された。処置の開始から72時間後、各ウェル中の生存細胞の数を3回カウントした。
【0209】
B. 結果
図5に示す通り、抗PGポリクローナル抗体を用いた処理によって、72時間の期間にわたりSW620細胞の成長における43.5%減少を起こした(p=0.0294、マンホイットニー検定;n=2)。この実験の結果は、PGに対するポリクローナル抗体が、インビトロでの転移性結腸直腸癌細胞の成長を低下させるために効果的であることを実証する。
【0210】
実施例6:培養中のSW620転移性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、培養中のSW620ヒト転移性結腸直腸癌細胞株の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0211】
A. 方法
SW620細胞を6ウェルプレート中に播種し、一晩、血清飢餓させ、次に、12時間毎にPBS、3マイクログラム/mlコントロール抗体(マウス抗ヒトIgG1, Calbiochem, Ref #411451)又は4つの異なる抗PGモノクローナル抗体MAb3、MAb4、MAb2、及びMAb1を用いて処理した。実験を2通りに行い、技術者は、処理溶液の内容物に関して盲検化された。処置の開始から48時間後、各ウェル中の生存細胞の数を6回カウントし、平均した。
【0212】
別々の実験において、SW620細胞を6ウェルプレート中に播種し(100,000個細胞/ウェル)、上と同様に、5μg/mlの抗hPGモノクローナル抗体5−23(即ち、MAb5−MAb23)又は5μg/mlのコントロール抗体を用いて処理した。48時間後、生存可能な細胞の数をカウントし、そこから、実験の開始時の細胞の数(即ち、T0)を引いた。特定の抗体処理ウェル中の生存細胞の数を、次に、コントロールのパーセンテージとして表現した。
【0213】
B. 結果
SW620細胞を、MAb1−MAb4を用いて処理した結果(
図6Aに示す)を、実験の終了時での平均細胞数/ウェル−実験の開始時に播種した細胞数として算出した。生の数値及び統計値(マンホイットニー検定)を表5に示す。この実験の結果は、PGに対する異なるモノクローナル抗体が、コントロール抗体と比較して、インビトロでSW620転移性結腸直腸癌細胞の成長を低下させるために効果的であることを実証する。結果は、また、PGに対する全てのモノクローナル抗体が、コントロール抗体と比較して、細胞の成長を低下させるために効果的であったが、2つの抗体MAb3及びMAb4は、他よりも効果的であったことを示す。
【0214】
【表7】
【0215】
SW620細胞を、MAb5−MAb23(それらの各々がhPGに特異的に結合することが可能である)を用いて処理した結果を、
図6Bに示す。結果が実証する通り、非特異的コントロール抗体と比較して、テストされた抗hPGモノクローナル抗体は、培養中のSW620転移性結腸直腸癌細胞株の成長を阻害するための有効性の範囲を示す。
【0216】
MAb3を用いてColo−205転移性結腸直腸癌細胞を処理することの成長に対する効果を決定するための関連実験を実施したが、しかし、結果は再現可能ではなかった。
【0217】
実施例7:培養中のT84転移性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、培養中のT84ヒト転移性結腸直腸癌細胞株の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0218】
A. 方法
この実験のために用いられた方法は、使用された抗プロガストリン抗体が抗hPG MAb3であったことを除き、SW620細胞に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を測定するために使用されたものと同様であった。
【0219】
B. 結果
結果(
図7に示す)を、実験の終了時での平均細胞数/ウェル−実験の開始時に播種した細胞数として算出した。統計分析の要約を表6に示す。この実験の結果は、抗hPG MAb3が、コントロール抗体と比較して、インビトロでのT84転移性結腸直腸癌細胞の成長を低下させるために効果的であることを実証する。
【0220】
【表8】
【0221】
MAb3を用いてColo−205転移性結腸直腸癌細胞を処置することの成長に対する効果を決定するための関連実験を実施したが、しかし、結果は再現可能ではなかった。
【0222】
実施例8:SW620細胞異種移植片によるヌードマウスにおける肝転移の形成に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果
この実施例では、ヌードマウス中への移植後に肝臓転移を形成するSW620細胞の能力に対する抗PGポリクローナル抗体の効果が記載される。
【0223】
A. 方法
合計5×10
6個のSW620細胞を、6週齢の31匹のBALBc/ヌードマウスの各々の脾臓中に注射した。細胞の注射から2分後、脾臓を外科的に除去した。4日間の回復後、マウスを無作為に3群に分け、その各々を3つの異なる処置の1つに供した。具体的には、11匹のマウスに、PBSを用いて注射し、10匹に、PBS中に希釈したコントロール抗体を用いて注射し、10匹のマウスに、抗PGポリクローナル抗体(またPBS中に希釈した)を用いて注射した。抗体の用量は、容積150マイクロリットル中8mg/kgであった。注射を腹腔内に6週間にわたり2回/週行った。6週間後、注射のコースが終わった後、マウスを、二酸化炭素を用いて安楽死させ、肝臓を除去し、存在する目に見える転移の数をカウントした。肝臓及び転移もパラフィン包埋及び免疫組織化学分析のために調製した。
【0224】
B. 結果
抗hPGポリクローナル抗体を用いて処置したマウスから目に見える転移を伴わない肝臓の写真を
図8Aに示す。コントロールポリクローナル抗体を用いて処置したマウスからの目に見える転移を伴う肝臓の写真を
図8Bに示す。表7は、抗hPGポリクローナル抗体を用いて処置したマウスからの各肝臓においてカウントされた転移の数を示す。表8は、コントロールポリクローナル抗体を用いて処置したマウスからの各肝臓においてカウントされた転移の数を示す。表9は、PBSを用いて処置したマウスからの各肝臓においてカウントされた転移の数を示す。
図9は、転移の数対治療群のグラフィカルな表示である。
【0225】
【表9】
【0226】
【表10】
【0227】
【表11】
【0228】
組織学的分析では、両方のコントロール群からの肝臓切片における微小転移の存在が明らかになったが、それらは、抗hPG抗体を用いて処置した動物の肝臓から得られた切片中には存在しなかった。コントロール動物の肝臓内の血管において検出された微小転移の例を、
図10に描写する顕微鏡写真に示す。
【0229】
この実施例における結果は、SW620細胞(結腸直腸癌転移性細胞株)を用いて移植したヌードマウスの抗hPG抗体を用いた処置が、コントロール抗体又は媒体単独を受けたマウスと比較して、目に見える肝臓転移の総数が低下したことを実証する。低下の程度は統計的有意性に達しなかったが、数値データにおける傾向、ならびに抗hPG抗体処置マウスの肝臓における微小転移の非存在は、PG抗体が、このモデルシステムにおいて結腸直腸癌の転移の発生率を低下させるのに効果的であることを示唆する。
【0230】
実施例9:SW620細胞異種移植片によるヌードマウスにおける肝転移の形成に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、ヌードマウス中への移植後に肝臓転移を形成するSW620細胞の能力に対する抗PGモノクローナル抗体の効果が記載される。
【0231】
A. 方法
合計5×10
6個のSW620細胞を、5週齢の20匹のBALBc/ヌードマウスの各々の脾臓中に注射した。細胞の注射から2分後、脾臓を外科的に除去した。回復後、マウスを無作為に2群に分け、その各々を2つの異なる処置の1つに供した。具体的には、10匹のマウスに、PBS中に希釈したコントロール抗体(抗ヒトIgG1Fc)を用いて注射し、10匹のマウスに、抗hPGモノクローナル抗体MAb3(またPBS中に希釈した)を用いて注射した。抗体の用量は、容積150マイクロリットル中8mg/kgであった。注射を腹腔内に6週間にわたり2回/週行った。1週間に1回、各マウスの体重を量った。6週間後、注射のコースが終わった後、マウスを、二酸化炭素を用いて安楽死させ、肝臓を除去し、存在する目に見える転移の数をカウントした。
【0232】
B. 結果
結果を
図11に示す。転移の平均数は、コントロール抗体を投与されたマウスにおいて7.3であり、抗hPGモノクローナル抗体MAb3を用いて処置されたマウスにおいて4.3であった。これは41%の減少に対応し、p=0.0372で統計的に有意である。統計分析を以下の表10に示す。処置マウスにおける肝臓転移の平均重量は、また、コントロールマウスにおける167mgと比較して、96mgに減少したが、この差は統計的な有意性に達するように算出されなかった。
【0233】
【表12】
【0234】
実施例10:結腸直腸癌細胞におけるLGR5の発現は、低付着培養条件下での成長により増加する。
この実施例では、結腸直腸癌細胞株での結腸幹細胞表面マーカーLGR5の発現に対する低付着培養条件下での成長の効果を記載する。テストした細胞は、原発性結腸直腸癌及び転移性結腸直腸癌細胞株からの細胞、ヒト原発性結腸直腸癌から得られた生検サンプルからの細胞を含んだ。低付着培養条件は、スフェロイドとしての癌幹細胞の成長のために濃縮し、結腸直腸癌幹細胞のための有用なアッセイツールを提供することができる。
【0235】
A. 方法
テストした細胞は、原発性結腸直腸癌細胞株HT29及びHCT116、及び転移性結腸直腸癌細胞株SW620及びT84からであった。
【0236】
ヒト原発性結腸直腸腫瘍からの生検サンプルから単離された細胞も、以下の通りにテストした(CRC1)。生検サンプルを無菌ハンクス平衡塩類(HBSS)中で数回リンスし、次にHBSS中の0.4%次亜塩素酸ナトリウム溶液中で、室温で30分間にわたり置いた。HBSS中でのいくつかのさらなるリンス後、生検を、メスの刃を使用して1mm小片に切断し、リンスした。小片を、次に、20分毎に1回の緩やかな撹拌を伴い、50%Accumax溶液において、強い抗生物質及びグルコースを含むM11培地(20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフラキシン(cyproflaxin)、5μg/mlゲンタマイシン、及び3μg/mlグルコースを伴うDMEM/F12)中で、37℃で1時間にわたりインキュベートした。これらの消化サンプルを含むAccumax溶液を、次に、100マイクロメータのふるいで濾過した。生存率を、トリパンブルー技術を使用して、濾過溶液の小さな一定分量で決定した。この溶液を、次に、200gで10分間にわたり遠心し、ペレットを、Accumax反応を停止するために、10%FBSを含む2mlのM11培地中に再懸濁した。細胞を、次に、Corning超低付着フラスコ中で数日間にわたりインキュベートし、次に、さらなる増幅のためのFBSを伴わないM11培地中に移した。CRC1サンプルからの細胞を数週間にわたり増幅させ、実験を実施する前に1回凍結/解凍した。
【0237】
細胞を、2つの異なる培養条件下で成長させた。第1に、細胞を、哺乳動物細胞の成長のための標準的プラスチックカルチャウェア(表面への細胞付着を促進する)において成長させた。具体的には、200,000個の細胞を、75cm
2フラスコ(Corning)中に、DMEM+5%ウシ胎児血清(FBS)+100U/mlペニシリン+100U/mlストレプトマイシン中に播種した。
【0238】
第2に、細胞を、低付着カルチャウェア(哺乳動物細胞は、典型的には、不十分に付着する又は全く付着しない)において成長させた。具体的には、30,000個の細胞を、超低付着性75cm
2フラスコ(Corning)において、M11培地(20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフラキシン(cyproflaxin)、5μg/mlゲンタマイシン、及び3μg/mlグルコースを伴うDMEM/F12)中で成長させた。成長の期間後、細胞を、FACS解析前に、Accumax(Innovative Cell Technologies, Inc.)を使用して、37℃で45分間にわたり単一細胞懸濁液に再懸濁及び脱凝集した。標準的な技術を使用して、細胞を、その後、細胞表面マーカーLGR5(Abgent, Inc.)のN末端領域への抗体を用いて染色し、FACSにより選別し、マーカーを発現する細胞のパーセンテージを決定した。全ての実験を3回実施した。
【0239】
B. 結果
2つの培養条件下での細胞の成長に起因するLGR5発現結腸直腸癌細胞の相対的なパーセンテージを
図12に示す。テストした全ての細胞株について、LGR5発現細胞のパーセンテージは、細胞が、従来の条件(灰色バー)下での成長と比較して、低付着培養条件(黒色バー)下でスフェロイドとして成長させた場合により大きかった。パターンは、原発性結腸直腸癌細胞株(HT29及びHCT116)、ならびに転移性結腸直腸癌細胞株(SW620及びT84)に由来する細胞について同様であった。
【0240】
ヒト原発性結腸直腸癌の生検から得られたCRC1細胞は、低付着培養条件下で成長させた場合、また、LGR5を発現した。この特定の実験において、CRC1細胞は従来の付着性条件下でうまく成長しなかったため、しかし、細胞を付着性対非付着性条件下で成長させた場合、LGR5発現レベルを直接的に比較することは可能ではなかった。
【0241】
実施例11:ガストリン遺伝子の発現は、低付着培養条件下での結腸直腸癌細胞の成長により増加する
この実施例では、原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株、ならびに低付着培養条件下で成長させたヒト原発性結腸直腸癌から得られた生検サンプルからの細胞におけるガストリン遺伝子の発現に対する効果について記載する。そのような成長条件によって癌幹細胞が濃縮される。
【0242】
A. 方法
テストした細胞は、原発性結腸直腸癌細胞株HT29、HCT116、RKO、SW480、及びDLD1、ならびに転移性結腸直腸癌細胞株SW620及びT84からであった。ヒト原発性結腸直腸腫瘍からの生検サンプルから単離された細胞もテストした(CRC1)。細胞を、2つの異なる培養条件下で成長させた。第1に、細胞を、哺乳動物細胞の成長のための従来のカルチャウェア(プラスチック表面への細胞付着を促進する)において、上に記載する通りに成長させた。第2に、細胞を、また、低付着カルチャウェア(哺乳動物細胞は、典型的には、不十分に付着する)において成長させた。成長の期間後、細胞を再懸濁及び溶解し、mRNAを、標準的技術を使用して単離した。ガストリン遺伝子の発現を、次に、標準技術に従って定量的RT−PCRを使用して測定した。各実験を3回反復した。
【0243】
B. 結果
従来の低付着培養条件下でテストした異なる細胞において発現されるガストリンmRNAの相対的レベルを
図13に報告する。レベルを、RKO原発性結腸直腸癌細胞株において発現されるガストリンmRNAの量と比べて標準化した。RKO細胞は、通例、低レベルのプロガストリンを発現する。相対的なガストリンmRNAレベルは対数スケールで報告されていることに留意すること。テストした全ての細胞株(RKO細胞を除く)について、ガストリン遺伝子発現は、細胞が、従来の条件(灰色バー)下での成長と比較して、低付着培養条件(黒色バー)下で成長させた場合により高かった(時折、何倍もより高かった)。パターンは、原発性結腸直腸癌細胞株、ならびに転移性結腸直腸癌細胞株に由来する細胞について同様であった。
【0244】
実施例12:低付着培養条件において成長させた結腸直腸癌細胞は、プロガストリンタンパク質を発現する
この実施例では、原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株、ならびに低付着培養条件下で成長させたヒト原発性結腸直腸癌から得られた生検サンプルからの細胞におけるプロガストリンタンパク質の発現について記載する。そのような成長条件によって癌幹細胞が濃縮される。
【0245】
A. 方法
テストした細胞は、原発性結腸直腸癌細胞株HT29、及び転移性結腸直腸癌細胞株SW620及びT84からであった。ヒト原発性結腸直腸腫瘍からの生検サンプルから単離された細胞もテストした(CRC1)。細胞を低付着カルチャウェアにおいてM11培地(フェノールレッドを伴わない)中で成長させた。48時間後、培地を回収し、1,000gで5分間にわたり遠心し、細胞デブリを除去し、−80℃で凍結した。細胞を、Accumaxを使用して脱凝集し、カウントした。分泌されたプロガストリンを測定するために、凍結した培地を氷上で解凍し、次に、タンパク質コンセントレータ(Icon, Pierce)を使用して、2,500gで45分間にわたる遠心により容積500μlまで40倍濃縮した。プロガストリン濃度を、次に、サンドイッチELISA技術を使用して測定した。各実験を2回反復した。
【0246】
B. 結果
低付着培養条件下での48時間の成長後に結腸直腸癌細胞により成長培地中に分泌されたプロガストリンの濃度を
図14に示す。テストした全ての細胞(1つの原発性結腸直腸癌細胞株、2つの転移性結腸直腸癌細胞株、及びヒト原発性結腸直腸癌から得られた生検サンプルからの細胞を含む)は、低付着培養条件においてスフェロイドとして成長させた場合、プロガストリンを分泌した。しかし、SW620細胞は、試験下の他の細胞株よりも実質的に少ないプロガストリンを分泌した。データを、プロガストリン濃度(pM)/100万個細胞/48時間の成長として表現した。
【0247】
実施例13:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての原発性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果
この実施例では、原発性結腸直腸癌細胞株、ならびに低付着培養条件下で成長させたヒト原発性結腸直腸癌から得られた生検サンプルからの細胞のスフェロイドとしての成長に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果について記載する。そのような成長条件によって癌幹細胞が濃縮される。
【0248】
A. 方法
テストした細胞は、原発性結腸直腸癌細胞株HT29及びHCT116、ならびにヒト原発性結腸直腸腫瘍(CRC1)からの生検サンプルから単離された細胞からであった。細胞を、低付着96ウェルプレート(Corning)のウェルにおいて、M11培地(20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフラキシン(cyproflaxin)、5μg/mlゲンタマイシン、及び3μg/mlグルコースを伴うDMEM/F12)中に播種した。HT29及びHCT116細胞について、100μl中の合計500個の細胞を、3ウェル/処理条件の各々に加えたのに対し、CRC1細胞について、100μl中の合計500個の細胞を、10ウェル/処理条件の各々に加えた。24時間毎に、細胞を、3μg/mlのポリクローナル抗プロガストリン抗体、又はコントロール抗体(ポリクローナルウサギ抗ヒトIgG、Affinity BioReagents, Ref #SA1-600)を用いて処理した。HT29及びHCT116細胞について10日間の処理、ならびにCRC1細胞について14日間の処理後、各ウェル中の細胞スフェロイドの数をカウントし、1ウェル当たりの平均を算出した。実験を実施する技術者は、テストされている抗体溶液の内容物に関して盲検化された。各実験を2回反復した。
【0249】
B. 結果
図15〜17に示す通り、コントロール抗体と比較して、抗プロガストリンポリクローナル抗体は、低付着培養条件下で成長させた原発性結腸直腸癌細胞により形成された細胞スフェロイドの数を実質的に低下させた。
【0250】
実施例14:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての原発性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、そのような細胞を低付着培養条件下で成長させた場合での2つの原発性結腸直腸癌細胞株からのLGR5陽性細胞のスフェロイドとしての成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を記載する。そのような成長条件によって癌幹細胞が濃縮される。
【0251】
A. 方法
テストした細胞は原発性結腸直腸癌細胞株HT29及びHCT116からであった。細胞を、最初に、FACS(FACSaria, BD Biosciences)により選別し、癌幹細胞マーカーLGR5を発現する細胞を単離した。FACSのために、2×10
6個のHT29細胞を選別し、1×10
6個のHCT116細胞を選別した。細胞を、2mg/1×10
6個細胞のLGR5のN末端について特異的な抗体(Abgent, Inc., No.AP2745A)を用いて標識した。FACS後、LGR5陽性細胞を、低付着96ウェルプレートの30ウェルにおいて、密度10個細胞/ウェルで、100μlのM11培地(20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフラキシン(cyproflaxin)、5μg/mlゲンタマイシン、及び3μg/mlグルコースを伴うDMEM/F12)中に蒔いた。14日間にわたり24時間毎に、細胞を、0.3μg/mlの2つの異なる抗プロガストリンモノクローナル抗体(MAb2及びMAb3)の1つ、又はコントロールモノクローナル抗体(モノクローナルマウス抗ヒトIgG1、Calbiochem, Ref #411451)を用いて処理した。処理の終了時、各抗体型の存在において形成された細胞スフェロイドの数をカウントした。細胞を、次に、追加の17日間成長することを許し、その間に、培地を、さらなる抗体処理を伴わず、毎週新しくした。実験を実施する技術者は、テストされている抗体溶液の内容物に関して盲検化された。
【0252】
B. 結果
図18A及び
図19Aにそれぞれ示す通り、2つの原発性結腸直腸癌細胞株(HCT116及びHT29)からのLGR5陽性細胞がスフェロイドとして14日間にわたり低付着培養において成長する能力は、コントロールモノクローナル抗体と比較して、プロガストリンに対する2つの別々のモノクローナル抗体を用いた処理により低下した。
【0253】
さらに、
図18B及び19Bに示す通り、スフェロイドの数は、HCT116及びHT29細胞の17日間にわたる外因的に加えられた抗体の非存在における培養中でのさらなるインキュベーション後に増加しなかった。このデータは、抗hPG抗体による球形成の抑制が、特定の抗体を除去した後でさえ継続していることを意味する。
【0254】
実施例15:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての原発性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、そのような細胞を低付着培養条件下で成長させた場合でのCRC1細胞のスフェロイドとしての成長に対する4つの異なる抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を記載する。そのような成長条件によって癌幹細胞が濃縮される。
【0255】
A. 方法
CRC1細胞は、標準的な手順に従って、ヒト結腸癌生検から得られた。Accumax(Sigma)中での37℃で45分間にわたり解離させた後、細胞を、低付着96ウェルプレート(Corning)において、密度100個細胞/ウェルで、M11培地(20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフラキシン(cyproflaxin)、5μg/mlゲンタマイシン、及び3μg/mlグルコースを伴うDMEM/F12)中に蒔いた。各処理群について、10ウェルを使用した。
【0256】
第1日に開始し、細胞を、4つの異なる抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb5、MAb8、MAb13、又はMAb16(3μg/ml)の1つ又は同じ濃度のモノクローナル抗体P3X63Ag8(ATCC, Ref TIB−9)又はコントロールとして抗体を加えていない培地を用いて1日2回処理した。その後、処理を8日間にわたり1日1回実施した。球を、その後のカウントのために毎日写真撮影した。全ての実験を盲検化様式で行った。実験の終了時、各処理群からのスフェロイドの数をカウントした。
【0257】
B. 結果
結果を
図20に示す。テストした抗hPGモノクローナル抗体の各々が、低付着培養条件において原発性結腸直腸癌細胞により形成されたスフェロイドの数を低下させるために効果的であった。非特異的モノクローナル抗体及び培地単独と比較して、テストした全ての抗体についての阻害効果は、ボンフェローニの事後検定を用いた一元配置ANOVAを使用し、p<0.05で統計的に有意であった。MAb5、MAb8、及びMAb13が全てhPGのC末端エピトープを認識するのに対し、MAb16はhPGのN末端エピトープに結合する。
【0258】
実施例16:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての転移性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、そのような細胞を低付着培養条件下で成長させた場合での転移性結腸直腸癌細胞株からのALDH1陽性細胞のスフェロイドとしての成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0259】
A. 方法
テストした細胞は、転移性結腸直腸癌細胞株T84からであった。細胞を、最初に、FACS(FACSaria, BD Biosciences)により選別し、ALDEFLUORキット(Stemcell Technologies)を使用して癌幹細胞マーカーALDH1を発現する細胞を単離した。FACS後、ALDH1陽性細胞(即ち、検出可能なALDH1酵素活性を示す細胞)を、低付着96ウェルプレートのウェルにおいて、密度100個細胞/ウェルで、100μlのM11培地(20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフラキシン(cyproflaxin)、5μg/mlゲンタマイシン、及び3μg/mlグルコースを伴うDMEM/F12)中に蒔いた。11日間にわたり24時間毎に、細胞を、3つの異なる濃度(0.01μg/ml、0.1μg/ml、又は1μg/ml)の1つの抗プロガストリンモノクローナル抗体(MAb3)、又は1μg/mlのコントロールモノクローナル抗体(モノクローナルマウス抗ヒトIgG1、Calbiochem, Ref #411451)を用いて処理した。処理の終了時、各抗体の存在において形成された細胞スフェロイドの数をカウントした。実験を実施する技術者は、テストされている抗体溶液の内容物に関して盲検化された。
【0260】
B. 結果
図21に示す通り、T84転移性結腸直腸癌細胞株からのALDH1陽性細胞が低付着培養においてスフェロイドとして成長する能力は、コントロールモノクローナル抗体と比較して、プロガストリンに対するモノクローナル抗体を用いた処理により用量依存的な様式で低下した。
【0261】
実施例17:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての原発性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果
この実施例では、細胞を低付着培養条件に移した場合、スフェロイドとしての従来の培養条件下でのALDH1陽性CRC1細胞の成長に対する4つの異なる抗プロガストリンモノクローナル抗体を使用した前処理の効果を記載する。
【0262】
A. 方法
CRC1細胞は、標準的な手順に従って、ヒト結腸癌生検から得られた。37℃で45分間にわたりAccumax(Sigma)中で解離された後、CRC1細胞(100,000個細胞/ウェル)を、抗hPGモノクローナル抗体MAb5、MAb8、MAb13、又はMAb16の存在又は非存在における72時間にわたる無血清DMEM培地中での従来の付着性培養条件下で成長させた。実験を盲検化様式で行った。
【0263】
処理期間の終わりに、2つの異なるアッセイを細胞で実施した。第1に、ALDH1(結腸直腸癌幹細胞のマーカー)を発現する細胞のパーセンテージをFACSにより決定した。第2アッセイにおいて、各処理群について、200個細胞/ウェルを、低付着24ウェルプレートの6ウェルにおいて、bFGF及びEGFを添加した500μlの無血清M11培地中に蒔き、さらなる処理を伴わず、7日間にわたり成長させた。この期間の終了時に、写真を撮り、ウェル当たりの球の数をカウントし、球の表面積を測定した。
【0264】
B. 結果
結果を
図22及び
図23に示す。テストした4つの抗hPGモノクローナル抗体の各々は、コントロールと比較して、ALDH1を発現するCRC1原発性結腸直腸癌細胞の数を低下させるために、従来の付着性培養において3日後に効果的であった。これらの抗体の各々は、また、抗体を除去し、細胞を追加の7日間にわたり成長させた後、低付着培養条件における原発性結腸直腸癌細胞により形成されるスフェロイドの数を低下させるために効果的であった。コントロールと比較して、MAb5、MAb8、及びMAb16の阻害効果は、ボンフェローニの事後検定を用いた一元配置ANOVAを使用し、p<0.05で統計的に有意であった。MAb13は、また、コントロールと比較して、スフェロイドの数を低下させたが、効果は統計的有意性に達しなかった。
【0265】
実施例18:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての転移性結腸直腸癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果
この実施例では、そのような細胞を低付着培養条件下で成長させた場合での2つの転移性結腸直腸癌細胞株からのALDH1陽性細胞のスフェロイドとしての成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を使用した前処理の効果を記載する。
【0266】
A. 方法
テストした細胞は、転移性結腸直腸癌細胞株T84及びSW620からであった。細胞は、最初に、従来の付着性カルチャウェア中で、抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb3(1μg/ml)、コントロールモノクローナル抗体、化学療法剤5フルオロウラシル(5FU 10μM)、又は溶剤ジメチルスルホキシド(DMSO)の存在において72時間にわたり成長させた。処理後、細胞を2つのアッセイに供した。第1において、癌幹細胞マーカーALDH1について陽性の細胞のパーセンテージを、ALDEFLUORキット(Stemcell Technologies)を使用して決定した。第2のアッセイにおいて、各処理群について、細胞を、低付着96ウェルプレートの6ウェル中に、密度500個細胞/ウェルで、bFGF及びEGFを含む100μlの無血清培地中に蒔き、さらなる処理を伴わずに11日間にわたり成長させた。この期間の終了後、1ウェル当たりのスフェロイドの数をカウントした。
【0267】
B. 結果
図24及び
図25にそれぞれ示す通り、ALDH1陽性T84及びSW620転移性結腸直腸癌細胞の数は、コントロールモノクローナル抗体を用いた処理と比較して、抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb3を用いた72時間にわたる前処理の結果として低下した。
【0268】
図26及び
図27にそれぞれ示す通り、T84及びSW620転移性結腸直腸癌細胞が低付着培養においてスフェロイドとして成長する能力は、コントロールモノクローナル抗体と比較して、プロガストリンに対するモノクローナル抗体を用いた72時間にわたる前処理により低下した。
【0269】
実施例19:抗プロガストリン抗体はインビボで新たな腫瘍の開始を低下させる
この実施例では、ヌードマウスにおいて成長するヒト転移性結腸直腸癌から単離された細胞が移植後に新たな腫瘍を形成する能力に対するヒトプロガストリンに特異的なモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0270】
A. 方法
標準的な技術を使用して、免疫不全/BALBcヌードマウスに、ヒト転移性SW620結腸直腸癌細胞の脾臓内注射を与えた。マウスに、次に、抗hPGモノクローナル抗体MAb3又はコントロールモノクローナル抗体を合計6週間にわたり週2回投与した。各抗体について、用量は8mg/kgであった。処置期間の終わりに、組織を、処置及びコントロールの両方のマウスからの転移から解剖した。腫瘍細胞を、Accumaxを用いた解剖組織の処理により脱凝集し、濾過し、カウントした。合計23,800個の生存可能な腫瘍細胞がMAb3を用いて処理したマウスからの転移組織から得られ、36,400個がコントロールマウスから得られた。
【0271】
単離した細胞を次にテストし、細胞が低付着培養条件下でスフェロイドとして成長することができるか否か、及び、それらが、新たな宿主中に移植された場合に新たな腫瘍を開始することができるか否かをテストすることにより、それらが癌幹細胞の表現型特徴を示すか否かを決定した。スフェロイドテストについては、処理及びコントロール細胞の各々について、2,000個細胞/ウェルを、低付着カルチャウェアの5つのウェル中に、bFGF及びEGFを添加したM11培地中に播種した。細胞を7日間にわたり成長させ、次に、各ウェルにおいて形成されたスフェロイドの数をカウントした。移植テストについては、処理及びコントロール転移から単離した細胞から発生したスフェロイドをプールし、脱凝集し、カウントした。合計20,000個の細胞が処置された転移に由来するスフェロイドから得られ、110,000個の細胞がコントロール転移に由来するスフェロイドから得られた。2匹の新たなBALBc/ヌードマウスに、次に、等しい数の処理又はコントロール細胞を用いて移植した。具体的には、処置した転移に由来する6,500個の腫瘍細胞をマウスの左大腿中に皮下注射したのに対し、同じ数のコントロール細胞を右大腿中に皮下注射した。この様式において、各マウスがそれ自体のコントロールとしての役割を果たした。腫瘍容積を、次に、時間を通して両方の動物において算出した。
【0272】
B. 結果
図28に示す通り、インビボ転移から単離されたヒト転移性結腸直腸癌細胞の低付着培養におけるスフェロイドとしての成長は、同じ用量のコントロールモノクローナル抗体を用いた処置と比較して、抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb3を用いて動物を処置することにより低下した。
【0273】
図29に示す通り、インビボ転移から単離された転移性結腸直腸癌細胞の移植後に新たな腫瘍成長を開始する能力も、同じ用量のコントロールモノクローナル抗体を用いた処理と比較して、抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb3を用いて細胞を処理することにより低下した。グラフにおいて、Y軸は腫瘍容積(mm
3)に対応する。黒四角は、コントロールモノクローナル抗体を用いて処置したマウスにおいて成長した転移に由来する転移性結腸直腸癌細胞を用いて皮下注射したヌードマウスの1匹についての腫瘍容積のデータポイントを表す。逆に、白四角は、MAb3抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いて処置したマウスにおいて成長した転移に由来する転移性結腸直腸癌細胞を用いて反対側の大腿に注射された同じマウスについてのデータポイントを表す。黒及び白ダイヤモンドは、実験に使用した第2ヌードマウスから収集した同様のデータに対応する。
【0274】
実施例20:血漿又は血清PGレベルの定量化
PGの血漿及び/又は血清レベルは、以下のアッセイを使用して便利に決定することができる。96ウェルマイクロタイタープレートを、0.5〜10μg/mlのC末端抗hPG抗体、例えば、ウサギC末端抗hPGポリクローナル抗体、又はC末端抗hPG抗体(本明細書に記載する)を用いてコーティングし、次に、一晩インキュベートする。プレートを、次に、PBS−TWEEN(0.05%)中で3回洗浄し、PBS−TWEEN(0.05%)中の2%脱脂乾燥ミルク(w/v)を用いてブロックする。別々に、テストサンプル、コントロールサンプル(ブランク又はPG陰性血漿又は血清サンプル)、及び約5pM(0.5×10
−11M)〜約0.1nM(1×10
−10M)のhPG参照基準(PG陰性血漿又は血清中で希釈した凍結乾燥hPG)を適切な希釈剤(例、PBS−TWEEN 0.05%)中で調製する。サンプルを、コーティングしたプレート上で2〜4時間にわたり37℃で、又は、あるいは、12〜16時間21℃でインキュベートする。インキュベーション後、プレートを、PBS−TWEEN(0.05%)を用いて3回洗浄し、0.001〜0.1μg/mlのN末端抗hPG抗体、例えば、ポリクローナルN末端抗hPG抗体又はN末端モノクローナル抗hPG抗体(本明細書に記載する)を用いてインキュベートし、21℃で30分間にわたり西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Nakane et al., 1974, J. Histochem. Cytochem. 22(12): 1084-1091を参照のこと)に結合させる。プレートを次にPBS−TWEEN(0.05%)中で3回洗浄し、HRP基質を21℃で15分間にわたり加える。反応を、100μlの0.5M硫酸を加えることにより停止させ、光学密度測定値を405nMで取る。テストサンプルhPGレベルを、hPG参照基準に由来する測定値から構築された標準曲線との比較により決定する。
【0275】
実施例21:抗hPG抗体の特異性を評価するためのELISAアッセイ
抗hPG抗体の特異性を、以下の通りにELISAアッセイを使用して便利に決定することができる。96ウェルプレートを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の適切な濃度のテストポリペプチド(例、25及び50ngの組換えヒトPG、ならびに50及び250ngのCTFP又は他のガストリン由来の遺伝子産物)を用いて4℃で一晩インキュベートした。その後、ウェルを、洗浄溶液(PBS及び0.1%TWEEN−20)を用いて3回洗浄し、次に100μlのブロッキング溶液(PBS、0.1%TWEEN−20、0.1%ウシ血清アルブミン又はカゼイン加水分解物)を用いて22℃で2時間にわたりインキュベートした。ブロッキング後、ウェルを3回洗浄し、アッセイする抗体(テスト抗体)を加える。100μlのPBS中のテスト抗体(0.3〜1ng/ml)及び0.1%TWEEN−20を各ウェルに加える。プレートを次に22℃で2時間にわたりインキュベートし、その後、テスト抗体溶液を捨て、洗浄工程(3×100μlの洗浄溶液、上に記述する通り)後、二次抗体、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたヤギ抗マウスIgG(Fc)抗体を含むブロッキング溶液を用いて置換する。二次抗体を用いた1時間のインキュベーション後、100μlの基質溶液(例、Fast OPD、又はO−フェニレンジアミン二塩酸塩、Sigma-Aldrich Co.から入手可能、製造者の指示に従って調製した)を各ウェルに加え、暗所で、22℃で20分間にわたりインキュベートした。反応は、50μlの4N硫酸を加えることにより停止させ、触媒された基質の量を、492nmでの光学密度(OD)を測定することにより決定する。基質変換は、抗原に結合した一次(テスト)抗体の量に比例する。実験を2通りに実行し、OD測定値を抗原濃度の関数としてプロットする。テスト抗体は、測定されたODがhPGについて0.2〜1.5の間であり、CTFP又は他のガストリン遺伝子由来ペプチドのいずれかを用いて、バックグラウンドを上回る統計的に有意なシグナルはない場合、PGについて特異的であるとスコア化される(ここで、バックグラウンドはPBSだけを含むコントロールウェルからの平均シグナルである)。
【0276】
実施例22:抗hPG抗体の中和活性を評価するためのアッセイ
特異的な抗hPG抗体が中和性であるか否かを評価するための特定のテストを、以下の通りに実行することができる。結腸直腸癌細胞を6ウェルプレート中に約50,000〜100,000個細胞/ウェルで播種する。細胞を、次に、テスト抗hPG抗体又はコントロール抗体を用いて、約5μg/mlの抗体濃度で48時間にわたり12時間間隔で処理する。テスト抗体は、テスト抗体を用いて処理した細胞の数が、コントロールの非特異的抗体を用いて処理した細胞の数と比較して、生存細胞の数における少なくとも10%の統計的に有意な低下を示す場合(両側マンホイットニー検定(差は、p<0.05の場合に有意と考えられる)を使用する)、アッセイにおいて中和性であるとして定義される。全細胞数は、処理期間の開始時での細胞数について補正され、T0として言及される。このアッセイにおける使用のための例示的な結腸直腸癌細胞は、しかし、限定しないが、本明細書に開示する原発性及び転移性結腸直腸癌細胞株を含む。
【0277】
実施例23:抗hPG抗体の親和性を評価するためのアッセイ
抗hPG抗体の親和性定数は、Proteon Technique(BioRad)を使用して、Nahshol et al., 2008, Analytical Biochemistry 383: 52-60(その全体において参照により本明細書により組み入れられる)に従って測定することができる。簡単には、マウス抗PG抗体について、抗マウスIgG抗体(50μg/ml)を最初にセンサーチップ上にコーティングし、抗体の注射後にチップにより検出されたシグナルが10,000〜11,500応答単位(RU)の間に入ることを確認する。目的のマウス抗hPG抗体(テスト抗体)を次に注射する(30μg/mlの典型的な濃度で)。テスト抗体が十分に結合する場合、少なくとも500RUの追加シグナルが観察される。テスト抗体とhPGの間での結合の時間経過を、次に、hPGの変動濃度、例えば、200nM、100nM、50nM、25nM、及び12.5nMを注射し、結合のレベルを検出することにより得る。典型的には、いくつかのチャンネルが、単一の実験において並行して複数の抗体をテストするために利用可能であり、hPGの異なる濃度で並行して単一のテスト抗体の結合をアッセイすることを可能にする。1つのチャネルを、非特異的結合についてのコントロールとして、hPGに特異的ではないマウスモノクローナル抗体を用いて注射すべきである。別のチャネルを、バックグラウンドシグナルについてのベースラインとして、希釈緩衝液単独を用いて注射すべきである。一般的に、結合は、非特異的マウス抗体を用いて注射したチャネルにおいて検出可能ではない。この設定において高レベルの結合を示す抗体は、hPGによる捕捉モノクローナル抗体の飽和をもたらしうるが、より低いhPG濃度(50nM、25nM、12.5nM、6.25nM、及び3.125nM)に対してテストすることができ、より洗練された測定を許す。
【0278】
親和性定数(K
D)を、解離定数(k
d)と結合定数(k
a)の間の比率として算出する。実験値は、結合測定値に基づく実験曲線及び理論上のプロファイルの間での統計的に関連する類似性を分析することにより検証することができる。
【0279】
非マウス抗hPG抗体の親和性定数は、抗hPG試験抗体の起源の種について特異的なIgGを使用して同様のフォーマットにおいて評価することができる。
【0280】
実施例24:参照抗hPG抗体を用いた競合的結合を評価するためのアッセイ
目的の抗体(テスト抗体)が、hPG結合について、ビオチン化参照抗hPG抗体と競合するか否かを評価するための特定のアッセイを、以下の通りに実施することができる。96ウェルプレートを、捕捉抗hPG抗体 (ビオチン化参照抗hPG抗体により認識されるエピトープとは異なるhPGのN又はC末端領域を認識するポリクローナル又はモノクローナル抗体)を用いて、1〜10μg/mlの範囲内で選ばれる濃度で、4℃で一晩コーティングする(0.1〜1μg/ウェル)。22℃で2時間にわたるブロッキングバッファー(PBS中の0.1% TWEEN−20、0.1%BSA)を用いたブロッキング後、組換えhPGを、10pM〜1nM(10〜1000pg/ウェル)の間の範囲の濃度で加え、22℃で2時間にわたりインキュベートする。その後、ビオチン化参照抗hPG抗体(又はビオチン化参照抗hPG抗体を含む混合物)を、増加濃度の非標識テスト抗体濃度と共に加え、22℃で1時間にわたりインキュベートする。非結合抗体を除去するための洗浄後、結合した標識参照抗hPG抗体の検出を、混合物を、50ng/mlのストレプトアビジン(steptavidin)−HRPを用いて22℃で1時間にわたりインキュベートすることにより実施し、西洋ワサビペルオキシダーゼ用の蛍光基質とのインキュベーション、及び、次に、ルミノメーターにおける相対的な光単位(RLU)の定量化が続く。アッセイを2通りに実施した。
【0281】
参照抗hPG抗体と競合する抗体は、hPGへの参照抗体の結合を阻害する。実質的に同一のエピトープに、又は重複するエピトープと参照抗体として結合する抗体は、結合した参照抗hPG抗体の量を有意に低下させる(例えば、少なくとも50%)(観察されたRLUにおける低下により証明される通り)。
【0282】
高いコントロール値が、標識した参照抗体を、テスト抗体を伴わず、組換えhPGとインキュベートすることにより行われるコントロール実験から得られる。低いコントロール値は、過剰濃度の非標識参照抗体(非標識参照抗体は、このように、hPGへの結合について標識抗体と競合する)の存在において標識された参照抗体を、組換えhPGを用いてインキュベートすることにより行われるコントロール実験から得られる。参照抗hPG抗体と競合するテスト抗体の能力は、次に、標識した参照抗体を、増加濃度の非標識テスト抗体の存在において組換えhPGとインキュベートすることにより決定される。
【0283】
テストアッセイにおいて、テスト抗体の存在における観察されたRLUにおける有意な低下は、テスト抗体が、参照抗hPG抗体と実質的に同じエピトープを認識することを示す。
【0284】
結合の阻害は阻害定数又はK
iとして表現することができ、以下:
K
i=IC
50/(1+([参照抗hPG Ab濃度]/K
D参照抗hPG Ab))
の式に従って算出される。
式中、「IC
50」は、参照抗体の結合における50%低下をもたらすテスト抗体の濃度であり、K
D参照抗hPG Abは参照抗hPG抗体の解離定数(hPGについてのその親和性の測定値)である。参照抗hPG抗体(例えば、本明細書に記載する抗hPG抗体の1つ)と競合する有用なテスト抗体は、典型的には、本明細書に記載するアッセイ条件下で10pM〜100nMの範囲のK
isを有する。
【0285】
本願において引用する全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書が、各々の個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文書が全ての目的のために参照により組み入れられることが個々に示される場合と同じ程度まで、全ての目的のためにそれらの全体において参照により本明細書により組み入れられる。
【0286】
種々の特定の実施態様が例証及び記載されているが、種々の変化を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく作ることができることが理解されるであろう。