(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、ラベル装着システムとして、ボトル供給装置と、ラベル装着装置と、ラベル生成装置と、ラベル基材供給装置と、ラベル搬送装置と、ラベル受渡装置と、ボトル搬送装置とを備えるものとして説明するが、これは構成の1つの例示であって、これら以外の要素を付け加えてもよく、これらの要素の全部ではないいくつかを組み合わせてラベル装着システムとしてもよい。
【0018】
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0019】
図1は、ラベル装着装置3を含むラベル装着システム1の構成図である。このラベル装着システム1は、例えばPETボトルの表面に、そのボトル内に注入される清涼飲料水等の名称を表す筒状のストレッチラベルLを装着するためのものである。以下では、ストレッチラベルLを、特に断らない限り、単にラベルLと呼ぶことにする。
【0020】
このラベル装着システム1では、水平面内で多数の容器であるボトルBを一列に配列して搬送する。また、多数のラベルLが一定の間隔で印刷された長尺状のラベル基材Sを繰り出しながら各ラベルLに切断する。そして切断されたラベルLをボトルBの搬送経路に順次搬送し、その搬送経路上の位置で各ボトルBに各ラベルLを装着する。ラベルLが装着された各ボトルは、再び水平面内に一列に配列して搬出される。
【0021】
ラベル装着システム1は、
図1に示されるように、ボトルBを供給するためのボトル供給装置2と、ボトル供給装置2によって供給されたボトルBにラベルLを装着するためのラベル装着装置3と、長尺状のラベル基材Sを繰り出してラベル生成装置4に向けて供給するラベル基材供給装置5と、ラベル基材供給装置5から供給された長尺状のラベル基材Sを間欠搬送しながら切断することで個々のラベルLを生成するラベル生成装置4と、ラベル生成装置4によって生成されたラベルLを吸着しながら下流側に搬送するラベル搬送装置6と、ラベル搬送装置6からラベルLを受け取り、ラベル装着装置3に受け渡すラベル受渡装置7と、ラベルLが装着されたボトルBを搬出するためのボトル搬送装置8とを含む。
【0022】
ラベル基材Sは、ボトルBに装着される筒状のラベルLが連続的につながったものである。ラベル基材S、すなわち各ラベルLは、例えば、高伸長性の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂やエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリエチレン系樹脂で形成される。勿論、同程度の高伸長性のフィルムであれば、これ以外の材料、例えば、ポリプロピレン系樹脂や塩化ビニル系樹脂等で形成してもよい。本実施形態のラベル拡開装置は、ラベルLの弾性変形率が10%以上で、例えば、30〜50%の高伸長性のものに特に有効であり、50%以上の高伸長性を有するラベルLに対しても有効である。
【0023】
また、ラベル基材Sは、ラベル基材供給装置5の基材繰出部18においては、筒状のラベルLに折り目をつけて略シート状として折り畳んだ状態で、例えば図示されていない基材リールに巻回されている。筒状とするときのシール位置と折り目の折り位置の関係は、ボトルBとラベルLの仕様に応じて、予め設定される。例えば、シール位置を折り位置の近傍で折り位置から数mmずらした位置とすることができる。
【0024】
ラベル基材Sを構成する各ラベルLには、ボトルBの飲料名称等が印刷される。また、各ラベルLには、ラベル生成装置4でラベル基材Sが切断されるときの基準位置を示す基準マークが形成される。基準マークとしては、例えば、矩形形状のものを用いることができる。
【0025】
ラベル基材供給装置5は、基材繰出部18から繰り出された長尺状のラベル基材Sを所定の速度で連続的にラベル生成装置4へと送り出すものである。送り出しには、支持ローラを用いることができる。
【0026】
ラベル生成装置4は、ラベル基材供給装置5によって供給されたラベル基材Sを、基準マークを用いながら、所定長さに切断することで複数のラベルLを生成するものである。ラベル生成装置4は、切断装置と、ラベル基材Sを切断装置へ搬送するための送り装置と、基準マークを検出するマークセンサ等を含んで構成される。
【0027】
ラベル搬送装置6は、ラベル生成装置4によって生成されたラベルLを、下流側のラベル受渡装置7に搬送するものである。ラベル搬送装置6は、ラベルを吸引する機構と、ベルト等の搬送機構を含んで構成される。
【0028】
ラベル受渡装置7は、ラベル搬送装置6によって搬送されたラベルLを受け取り、ラベル装着装置3に受け渡すためのものである。ラベル受渡装置7は、ラベルLを吸着保持するテイクアップ部材46と、それらを回転軸から放射状に支持するアーム47とを含んで構成される。回転軸の回転速度は、ラベル搬送装置6によってラベルLが搬送されるタイミングでテイクアップ部材46がラベルLを順次受け取ることができるように制御される。
【0029】
ボトル供給装置2は、複数のボトルBを搬送してラベル装着装置3に供給するものである。ボトル供給装置2は、コンベア11、スクリューコンベア12およびスターホイール13を含んで構成される。
【0030】
コンベア11は、図示されていない搬送モータによって駆動され、スクリューコンベア12は、ラベル装着装置3の主軸14に連結されて駆動され、複数のボトルBを搬送する。具体的には、コンベア11は、多数のボトルBを一列に並べて搬送する機能を有し、スクリューコンベア12は、コンベア11によって搬送される多数のボトルBの間隔を所定の搬送間隔に調整する機能を有する。この所定の搬送間隔は、スターホイール13の周縁に形成されたボトルBを保持するための複数の凹部13aの間隔にほぼ相当する。
【0031】
スターホイール13は、ラベル装着装置3の主軸14と同期して回転し、外周部において複数のボトルBを等間隔で保持しながらラベル装着装置3に受け渡す。具体的には、スターホイール13は、コンベア11およびスクリューコンベア12によって搬送された各ボトルBをボトル保持用の各凹部13aで保持してラベル装着装置3に搬送する機能を有する。
【0032】
ラベル装着装置3は、ボトル供給装置2から供給されたボトルBを保持しながら、それらを周方向に搬送するロータリ式の装置である。ラベル装着装置3は、ボトルBを周方向に搬送する途中において、ラベル受渡装置7からラベルLを受け渡され、受け渡されたラベルLを筒状に拡径してその中にボトルBを挿入することでラベルLをボトルBに装着する。そして、さらに周方向に搬送して、ラベルLが装着されたボトルBをボトル搬送装置8に受け渡す。
【0033】
ラベル装着装置3は、ボトルBにラベルLを装着するためのラベル装着ヘッド20と、複数のラベル装着ヘッド20を放射状に一定間隔で取り付けられた主軸14とを有する。各ラベル装着ヘッド20の間隔は、スターホイール13の各凹部13aの間隔と略同一である。ラベル装着ヘッド20は、図示されていない主軸モータによって主軸14が
図1の矢印方向に回転駆動されることで、周方向に回転される。ラベル装着ヘッド20の回転速度は、ボトルBの生産量に応じて変更可能である。
【0034】
ラベル装着ヘッド20は、ラベル受渡装置7からラベルLを受け取る機能と、受け取ったラベルLは筒状を平らにした折り畳み状態であるのでこれを筒状に開く機能と、筒状に開いたラベルLをボトルBが挿入できる程度に拡開する機能と、拡開したラベルLにボトルBを上昇させて挿入し、ラベルLをボトルBに装着させる装着機能と、ラベルLが装着されたボトルBをボトルクランパでラベル拡開装置から引き上げる機能等を有する。
図1では、ラベル受渡装置7からラベルLを受け取る過程と、受け取ったラベルLを筒状に開く過程が示されている。
【0035】
ラベル装着装置3は、
図1に示されるように、ボトル受渡位置P1においてボトル供給装置2から供給されたボトルBを、ラベル装着ヘッド20に保持しながら周方向に搬送する。ラベル装着装置3は、ラベル受渡装置7からラベル受渡位置P2においてラベルLを受け取る。このラベルLは、ラベル吸着位置P6において、ラベル搬送装置6から受け取ったものをラベル受渡装置7が吸着し、回転軸の周りに回転してラベル受渡位置P2に搬送されたものである。ラベル装着装置3は、ラベルLを受け取って、ラベル装着位置P3において、主軸14周りに矢印方向へ移動しながらボトルBに装着する。そして、ラベル装着装置3は、ボトル受渡位置P4において、ラベルLが装着されたボトルBをボトル搬送装置8に受け渡す。
【0036】
ボトル搬送装置8は、ラベルLが装着されたボトルBをラベル装着装置3から受け取り、さらに検査、梱包等の下流工程に搬出するためのものである。ボトル搬送装置8は、スターホイール15およびコンベア16を含んで構成される。
【0037】
ボトル搬送装置8のスターホイール15は、ラベル装着装置3の主軸と同期して
図1に示す矢印方向に回転し、ラベル装着装置3のラベル装着ヘッド20から受け渡されたボトルBを保持してコンベア16に向けて搬送する。スターホイール15の周縁に形成されたボトル保持用の凹部15aは、ラベル装着装置3のラベル装着ヘッド20の間隔と等間隔に形成される。コンベア16は図示されていない搬送モータによって駆動され、スターホイール15から受け取ったボトルBを下流工程に向けて搬出する。
【0038】
図2と
図3は、従来技術として、軸方向に垂直な方向の断面が円形であるボトルBに用いられるラベル装着ヘッド20におけるラベル拡張部30の様子を示す図である。
図2は斜視図で、
図3は、カム板34におけるカム溝40の軌跡の様子を説明する図である。
図4、
図5は、軸方向に垂直な方向の断面が四角形であるボトルBに用いられるラベル装着ヘッド20におけるラベル拡張部30の様子を示す図である。
図4は斜視図で、
図5は、カム板34におけるカム溝40の軌跡の様子を説明する図である。
【0039】
円型のボトルB用の従来技術のラベル拡張部30と、四角形のボトルB用のラベル拡張部30とは、拡径爪50の数が前者は何本でもよいが後者では4本であることが相違し、カム溝の軌跡の形状が前者と後者とでは異なる。その他の構成は同じである。そこで、ラベル拡張部30の基本構成については、
図2、
図3を用いて説明し、実施形態を示す
図4と
図5については、相違点を中心に説明する。
【0040】
ラベル拡張部30は、ラベル受渡装置7からラベルLを受け取り、これを筒状に開いた後に、筒状のラベルLをボトルBが挿入できる程度に拡開する装置である。このラベル拡張部30の上方に、ラベル受渡装置7からラベルLを受け取り、これを筒状に開くラベル拡開部が設けられ、ラベル拡張部30の下方に、ボトルBを昇降させるボトル昇降部が設けられる。また、後述するように、ラベル拡開部とラベル拡張部30との間に、ボトルBとラベルLをクランプして保持するクランプ部70が設けられる。
【0041】
ラベル拡張部30は、基部32と、基部32の上に設けられるカム板34と、カム板34の上に設けられる上板36と、上板36に配置される拡径爪50を含んで構成される。基部32とカム板34と上板36は、いずれも中心軸に開口部38を有する円環状部材である。この開口部38は、その中をラベルLが装着される対象容器であるボトルBが昇降するために貫通部である。
【0042】
基部32は、ラベル拡張部30を含むラベル装着ヘッド20をラベル装着装置3に取り付ける部材である。カム板34は、カム溝40が設けられ、中心軸周りに回転可能な円環部材である。カム板34に設けられるカム溝40は、拡径爪50を上板36の径方向に移動させるための溝である。カム溝40は、各拡径爪50のそれぞれに1つずつ設けられる。
【0043】
上板36は、拡径爪50を予め定めた個数の複数個、周方向に配置する円環状部材である。
図2の例では、拡径爪50は8個が用いられているので、45度間隔で拡径爪50が周方向に等間隔で放射状に配置される。このように、上板36は、拡径爪50を放射状に配置する基台に相当する。拡径爪50の配置には、上板36に径方向に沿って放射状に設けられるガイド溝42が用いられる。上板36はカム板34と異なり、回転しない。
【0044】
拡径爪50は、スライド板52と、爪部54と、スライド板52に設けられるカムピン56を含んで構成される。
【0045】
スライド板52は、上板36のガイド溝42に支持されて、上板36の径方向に移動可能な案内板である。スライド板52は1枚の板材であってもよく、複数の板材を組み合わせたものであってもよい。
【0046】
爪部54は、スライド板52の一方側端部から軸方向に沿って長く延びる軸部材である。ここで軸方向とは、ラベル拡張部30の開口部38の中心軸に平行な方向である。爪部54が上板36の上に配置されるときの爪部54の外周側の面は、ラベルLが接触する面である。爪部54は、スライド板52と一体化される。一体化には、同一部材をL字型に加工して、爪部54とスライド板52としてもよく、別部材で爪部54とスライド板52を作って、これらを組み立てて一体化してもよい。
【0047】
カムピン56は、スライド板52の下部に突き出て、カム板34のカム溝40にはまりこむピンである。
図2では、スライド板52におけるカムピン56の位置が示されている。
【0048】
カム板34は、上記の例では8本の拡径爪50に対応するそれぞれのカムピン56を案内するカム溝40を有する円板である。
図3に、カム板34におけるカム溝40の様子が示される。カム溝40の軌跡は、カム板34が中心軸周りに回転するときに、カムピン56が移動すべき動きを示すもので、カム板34の回転角度とカムピン56の径方向の位置で与えられる。
【0049】
図2の例では、円形のボトルB用であるので、8本の拡径爪50のそれぞれは、同時に同じように径方向に移動する。したがって、8つのカム溝40は、同じ軌跡を有している。
【0050】
したがって、カム板34が回転すると、カム溝40の軌跡に沿ってカムピン56が駆動される。カムピン56が配置されるスライド板52は、上板36の径方向にのみ移動可能にガイド溝42に案内されるので、カム板34が回転するとスライド板52が上板36の径方向に移動する。爪部54はスライド板52と一体であるので、結局、カム板34が回転すると、カム溝40の軌跡で与えられる径方向の位置に従って、爪部54が上板36の径方向に移動することになる。
【0051】
カム板34が正回転するときに、拡径爪50が上板36の外周側に移動するとすれば、カム板34が逆回転のときは、正回転と逆方向に、すなわち上板36の内周側に拡径爪50が移動する。このように、カム板34の回転方向を変えることで、拡径爪50を上板36の外周側または内周側に移動させることができる。
【0052】
そこで、ラベルLを拡径するためにラベルLを受け取るときは、拡径爪50を内周側に移動させ、ラベルLを径方向に引き延ばしてその中にボトルBを挿入させるときは、拡径爪50を外周側に移動させる。前者の拡径爪50の位置を縮径位置、後者の拡径爪50の位置を拡径位置と呼ぶことにする。拡径爪50は、拡径する前で縮径したままのラベルLを受け取る縮径位置と、ラベルLを引き延ばす拡径した拡径位置との間で、上板36の径方向に移動可能な部材である。
【0053】
図4と
図5は、軸方向に垂直な方向の断面が多角形であるボトルBの代表として、断面が四角形であるボトルBに用いられるラベル拡張部30と、そのカム板34の様子を示す図である。ここでは、拡径爪50の数が4本である。一般的に、多角形断面形状のボトルBの場合、拡径爪50の数は、ボトルBの多角形断面の頂点の数とすることができる。なお、多角系断面形状には、各角や面が少し湾曲したものも含まれる。
【0054】
図5は、
図4におけるカム板34の様子を示す図であるが、拡径爪50の本数つまりカムピン56の本数に合わせ、カム溝40は4つである。これら4つのカム溝40は、軌跡が同じではない。軌跡の詳細については後述する。これらの4つのカムピン56とカム溝40を区別するため、カムピン56についてはp1,p2,p3,p4、カム溝40についてはT1,T2,T3,T4として、
図5では示されている。
【0055】
図6は、
図4で説明したラベル拡張部30を用いて、正方形断面形状のボトルBに、L60として示されるラベルLを装着するときの初期状態における拡径爪50の様子を示す図である。ラベルLは、筒状ストレッチラベルである。
図6の下側には断面図、上側には、スライド板52と爪部54の部分を示す上面図が示されている。
【0056】
各拡径爪50の位置は、縮径位置に設定されている。拡径爪50の数は4つである。各爪部54を区別するために、
図6では、F1,F2,F3,F4と符号が付けられている。F1は、カムピンp1、カム溝T1に対応するものである。同様に、F2は、カムピンp2、カム溝T2に対応し、F3は、カムピンp3、カム溝T3に対応し、F4は、カムピンp4、カム溝T4に対応する。
【0057】
L60のラベルLは、ラベル拡開部から受け取った状態のもの、つまり初期状態のもので、ラベル基材Sから切断されて扁平なものを、折り位置の間を開いて上面図で見ると舟形のような形状に開いた状態のものである。そこで、以下では、初期状態の形状を舟形形状に開かれたものとして説明を続ける。なお、
図6では、拡径爪50のスライド板52の上面からの軸方向の長さは、ラベルLの軸方向長さであるラベル丈よりも短いものとして示されているが、拡径爪の長さやラベル丈はこれに限定される必要はない。
【0058】
図7は、
図6で説明した初期状態のラベルL60を広げて、正方形断面形状のボトルBに装着するときの経過を説明する図である。
図7は白抜き矢印で順序が示される3つの状態を示す図で、左側の図(a)が初期状態、真ん中の図(b)がラベルの向きの規制状態、右側の図(c)が最終的にラベルLにボトルBを装着するときの状態である。各状態の図の上側には拡径爪50の各爪部54であるF1等とラベルLの配置状態が示され、下側には各爪部54の配置状態に対応するカム板34の回転状態と各カムピンp1等とカム溝T1等の関係が示されている。
【0059】
図7(a)に示される初期状態においては、カム板34の回転状態は初期状態にある。
図7では、紙面上で、カム板34が予め定めた回転範囲の中で、反時計方向に最も回転した状態を初期状態としてある。そのときに、各カム溝T1,T2,T3,T4のそれぞれの軌跡の時計方向の端部に、各カムピンp1,p2,p3,p4が位置する。このときに、各爪部F1,F2,F3,F4が縮径位置となっている。そして、舟形形状に開かれた初期状態のラベルLがL60として示されている。このときに、扁平なラベルLの折り位置が向かい合う2つの爪部に合わせられる。ここでは、折り位置が、爪部F2,F4に合わせられたものとして説明を続ける。
図6、
図7には、両側に折り位置のある扁平なラベルLが示されている。
【0060】
図7(b)は、カム板34が初期状態から時計方向にθ
1回転して、ラベルLの向きを折り位置に規制する位置規制状態の様子を示す図である。ここでは、舟形形状の両側の折り位置で位置規制を行なうために、向かい合う2つの爪部F2,F4が先行して外周側に適当に移動される。残りの2つの爪部F1,F2はここではまだ移動しない。
【0061】
このように、向かい合う2つの爪部F2,F4を先行して外周側に移動させることで、ラベルLの折り位置を各爪部F2,F4に位置決めすることができ、ラベルLの向きを規制することができる。この状態のラベルLは、L62として示されている。
【0062】
初期状態から位置規制状態に移るとき、ラベルLは形状を変更するが、引き延ばし等の変形を受けないものとすることができる。つまり、初期状態の舟形形状が、位置規制状態で、細長い菱形形状となるだけで、ラベルLの周囲長に変化が生じないものとできる。勿論、場合によって、多少の変形を伴うものとしてもよい。
【0063】
初期状態から位置規制状態に移るとき、カム板34はθ
1回転するが、その回転の間、爪部F1,F3の位置状態は変わらないので、カムピンp1,p3の径方向位置が変わらない。したがって、カム溝T1,T3は、カム板34の回転角度が0度の初期状態からθ
1だけ回転する間、径方向の位置が同じ軌跡となる。一方、爪部F2,F4の位置状態は、カム板34のθ
1回転の間に、外周側に移動する。したがって、その回転の間に、カムピンp2,p4の径方向位置は外周側に移動する。したがって、カム溝T2,T4は、カム板34の回転角度が0度の初期状態からθ
1だけ回転する間に、径方向の位置が外周側に大きくなる軌跡となる。
【0064】
上記では、初期状態から位置規制状態の間で、F1,F3の位置状態が変化しないものとして説明したが、F1,F3の径方向の移動量を、F2,F4の径方向の移動量よりも少なく設定することでも、ラベルLの向きに関する位置規制を十分に行うことができる。
【0065】
このように、カム溝T1,T3の軌跡と、カム溝T2,T4の軌跡を異ならせることで、ラベルLを初期状態から位置規制状態に移すことができる。その意味で、カム溝T1,T3の軌跡と、カム溝T2,T4の軌跡は、4つの爪部54の中の互いに向かい合う2つの爪部F2,F4の移動量を折り位置方向に予め定めた折り位置方向移動量として設定し、その他の爪部F1,F3の移動量を折り位置方向移動量よりも少ない移動量に設定する位置規制設定手段と呼ぶことができる。
【0066】
位置規制状態において、ラベルLの2つの折り位置がそれぞれ2つの爪部F2,F4に定まると、この状態でラベルLが径方向に引き延ばされ、ボトルBの外形に対応する開口を有するようにされる。この開口にボトルBが挿入されて、ラベルLがボトルBに装着されることになる。
【0067】
図7(c)は、カム板34が時計方向にθ
2まで回転して、ラベルLの開口をボトルBの外形に対応するまで広げた容器形状状態の様子を示す図である。ここでは、4つの爪部F1,F2,F3,F4がそれぞれ径方向において同じ位置になるように外周側に移動される。この状態のラベルLは、L66として示されている。
【0068】
位置規制状態から容器形状状態に移るとき、カム板34はθ
1からθ
2まで回転するが、その回転の間、爪部F1,F3は、径方向に外周側に向かって移動する。爪部F2,F4も、径方向に外周側に向かって移動するが、位置規制状態のときに既に外周側に移動済みであるので、その移動量は、爪部F1,F3の径方向の移動量よりは少ない。
【0069】
したがって、カム板34はθ
1からθ
2まで回転する間に、カムピンp1,p3もカムピンp2,p4も共に径方向に外周側に向かって移動するが、カムピンp1,p3の移動量がカムピンp2,p4の移動量よりも大きい。
【0070】
これに応じ、カム溝T1,T3も、カム溝T2,T4も、カム板34の回転角度がθ
1からθ
2まで回転する間、径方向の位置が共に大きくなる軌跡となるが、カム溝T1,T3の径方向の位置の変化量が、カム溝T2,T4の径方向の位置の変化量よりも大きい。
【0071】
このように、カム溝T1,T3の軌跡と、カム溝T2,T4の軌跡を異ならせることで、ラベルLを位置規制状態から容器形状状態に移すことができる。その意味で、カム溝T1,T3の軌跡と、カム溝T2,T4の軌跡は、位置規制状態のときに設定された2つの爪部54のそれぞれの移動量状態から、ボトルBの正方形形状の拡径位置に対応する移動量状態に設定する容器形状設定手段と呼ぶことができる。
【0072】
図8から
図11は、ボトルBにラベルLを装着する手順の様子を説明する図である。
図8は、
図6をモデル的に示す図で、拡径爪50を縮径位置として、L60として示されるラベルLが配置される様子を示す図である。L60は、まだ径方向に引き延ばされていない状態のラベルLである。
【0073】
図9は、拡径爪50を拡径位置としたときの様子を示す図である。拡径爪50を拡径位置にするには、カム板34を回転させ、カムピン56を外周側に移動するようにすればよい。このとき、ラベルLは、拡径爪50の爪部54に相当する高さの部分は、爪部54の強度によって、径方向に一様に引き延ばされる。この引き延ばしのときに、まずラベルLの向きについて、折り位置を爪部54の位置に合わせる位置規制が行われ、その後に、ボトルBの外形に対応した開口に引き延ばされる。爪部54の先端と最先端側との間は、ラベルLの弾性で連続的に変形する。この状態のラベルLは、
図9にL64として示される状態となる。このL64の下半分は、
図7のL66と同じである。
【0074】
図10は、
図9の状態でボトルBが上昇してくる様子を示す図である。
図9に示されるように、L64として示されるラベルLは、最先端側の開口の寸法が引き延ばされる前のL60と同じであるので、ボトルBの胴部の外形よりも狭い。その状態で、ボトルBが上昇すると、ボトルBの胴部の肩の部分で引き延ばされてボトルBとラベルLが密着する。なお、ボトルBの上昇によって、ラベルLがずれ上がることを防止するために、ラベルLの下端を爪部54とは別体のクランプで一時的に挟持してもよい。
図10では、その状態のラベルLを、L66として示してある。ボトルBが上昇し、ちょうどラベルLの上端が予め設定されたラベル装着位置となると、いままで待機していたクランプ部70が径方向に進み、肩部のところで、ボトルBとラベルLをクランプして保持する。クランプ部70は、ボトルBの昇降に同期して、軸方向に移動する。
【0075】
さらにボトルBが上昇を続けると、ラベルLは、拡径爪50の爪部54の外周を摺動しながら上方に移動する。そして、さらにボトルBが上昇を続けることで、ラベルLは拡径爪50から離れ、ラベルLの弾性によってボトルBの表面に密着し、ラベルLのボトルBへの装着が完成する。
図11には、そのようにボトルBの表面に装着された状態のラベルLがL68として示されている。
【0076】
図7で説明したように、ラベルLは、位置規制状態から容器形状状態に移るときに、爪部F1,F3の移動量と爪部F2,F4の移動量が異なる。これをできるだけ同じとする構成の例を
図12に示す。
図12は、
図7に対応する図であるが、4つの状態が示されている。最も左側の図(a)は、初期状態で、
図7(a)に対応する。左側から2番目の図(b)は、位置規制状態で、
図7(b)に対応する。一番右側の図(d)は、容器形状状態で、
図7(c)に対応する。左から3番目の図(c)が新たに加わった状態で、
図12(d)の容器形状状態に対応する正方形形状の大きさよりも小さい相似形のラベルLとする相似形設定状態である。
【0077】
図12の構成では
図7よりも相似形設定状態が増えているので、カム溝40の軌跡が
図7における軌跡と異なる。
図12では、カムピンp1,p2,p3,p4のそれぞれに対応するカム溝をT11,T21,T31,T41として示してある。そして、カム板34の回転角度を、初期状態を0度として、位置規制状態のときをθ
11、相似形設定状態のときをθ
12、容器形状状態のときをθ
13として示した。
【0078】
図12(a),(b),(d)は、カム板34の回転角度の大きさが少し異なるだけで、
図7(a),(b),(c)と異なるだけで、爪部F1,F2,F3,F4の位置、カムピンp1,p2,p3,p4の位置は同じで、それらの状態におけるカム溝T1,T2,T3,T4の設定の方法も同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0079】
図12(c)の相似形設定状態は、その前の位置規制状態と比べ、爪部F1,F3は、径方向に外周側に向かって移動し、爪部F2,F4は径方向に内周側に戻される。このようにして、4つの爪部F1,F2,F3,F4の径方向に沿った位置が同じとされる。この径方向に沿った位置は、4つの爪部F1,F2,F3,F4によって保持されるラベルLの形状がボトルBの形状よりも小さい相似形となるように設定される。
図12では、L63としてその相似形のラベルLが示されている。
【0080】
位置規制状態から相似形設定状態に移るとき、ラベルLは形状を変更するが、引き延ばし等の変形を受けないものとすることができる。つまり、位置規制状態の細長い菱形形状の形状が、相似形設定状態で、正方形形状となるだけで、ラベルLの周囲長に変化が生じないものとできる。勿論、場合によって、多少の変形を伴うものとしてもよい。
【0081】
カム板34がθ
11からθ
12に回転する間に、爪部F1,F3が、径方向に外周側に向かって移動し、爪部F2,F4が径方向に内周側に戻されるのに対応し、カムピンp1,p3の径方向位置は外周側に移動し、カムピンp2,p4の径方向位置は内周側に移動する。したがって、カム溝T11,T31は、径方向の位置が増加する軌跡となるのに対し、カム溝T21,T41は、径方向の位置が減少する軌跡となる。
【0082】
このように、カム溝T1,T3の軌跡と、カム溝T2,T4の軌跡を異ならせることで、ラベルLを位置規制状態から相似形設定状態に移すことができる。その意味で、カム溝T1,T3の軌跡と、カム溝T2,T4の軌跡は、位置規制状態のときに設定された4つの爪部54のそれぞれの移動量状態から、ボトルBの正方形よりも小さくボトルBの正方形の相似形である前段階相似形における各頂点の位置に対応するように、4つの爪部の移動量を設定する相似形設定手段と呼ぶことができる。
【0083】
カム板34がθ
12からθ
13まで回転すると、ラベルLは、相似形設定状態の相似形が引き伸ばされて、最終的なボトルBの正方形に対応する開口を有するL66となる。L66は、
図7(c)のL66、
図9のL64と同じである。
【0084】
図13は、ボトルBの断面形状が長方形の場合において、ラベルLを長方形に引き延ばすための4つの状態を示す図である。ここでは、
図7、
図12の上側の図に対応する図を示し、下側の図は省略した。
【0085】
4つの状態は、
図12における4つの状態にそれぞれ対応する。すなわち、
図13(a)は初期状態を示し、(b)は位置規制状態を示し、(c)は相似形設定状態を示し、(d)は容器形状状態を示す。
図13の各図に示されるように、ボトルBが長方形形状の場合も、
図12の正方形形状の場合と同様に、ラベルLの位置規制を行って、その後に相似形設定状態を経て、最終的な容器形状に引き延ばすことができることが分かる。
【0086】
上記では、ボトルBの断面形状が正方形、長方形である矩形形状の場合について説明したが、六角形、八角形等の偶数の頂点数を有する多角形の場合にも同様に位置規制状態を経てラベルLを引き延ばすことができる。
図14は、ボトルBの断面形状が六角形の場合について、位置規制状態を経て、ラベルLが六角形に引き延ばされる様子を説明する図である。ここでも、扁平なラベルLの折り位置が向かい合う2つの爪部に合わせられ、その2つの爪部が先行して外周側に移動することで位置規制が行なわれる。その後に他の爪部が移動して、六角形を形成する。
【0087】
なお、上記では、カム板に形成されたカム溝の軌跡によって各爪部を径方向に移動させたが、これに限られない。各爪部の移動手段は、それぞれの爪部に取り付けられたエアシリンダの伸縮を利用してもよく、サーボモータによって所定量移動するようにしてもよい。また、上記では、ラベル装着ヘッド20に対し、ボトルBが上昇するものであったが、ラベル装着ヘッド20が下降してラベルLを装着するものでもよい。