特許第5930992号(P5930992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930992
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】電柱用腕金装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20160526BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20160526BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   H02G7/00
   F16B2/08 F
   F16B7/04 301U
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-42933(P2013-42933)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-171358(P2014-171358A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年7月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年12月27日に販売。
(73)【特許権者】
【識別番号】592157076
【氏名又は名称】イワブチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】久保田 仁
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−108327(JP,U)
【文献】 実開昭63−187532(JP,U)
【文献】 特開2010−268653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
F16B 2/08
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交方向に連続する組付け部片と緊締受部片で装置基枠を構成し、一対の該装置基枠の前記組付け部片と、該組付け部片間に介在させ、しかも、断面円弧状の凹入部とした基端面を電柱周側面に係合させた、腕金の基部を、組付けボルトとこれに螺合した組付けナットで接続すると共に、前記装置基枠の、各緊締受部片と、該緊締受部片に前記電柱を介して相対する挟持杆の端部を、緊締ボルトとこれに螺合した緊締ナットで締付けた、電柱用腕金装置。
【請求項2】
腕金を角筒状の主体杆と、該主体杆の基端部の側面に側部片を溶接した断面溝状の基部枠で成り、該基部枠を、腕金の基端面を構成する中央部片と該中央部片の両端に相対設した前記側部片で構成し、側部片には組付けボルトを貫通させる透孔を設けた、請求項1記載の電柱用腕金装置。
【請求項3】
挟持杆を、緊締ボルトを貫通させる透孔を長手方向の端部に設けた中央部片と該中央部片の上下両端に相対設した上下一対の部片で構成し、上下部片の自由端側の長手方向の中央部には、電柱を係合させる切欠を設けた、請求項1乃至2の内いずれか記載の電柱用腕金装置。
【請求項4】
緊締受部片に挟持杆を緊締ボルトと緊締ナットで締付けた、請求項1乃至3の内いずれかに記載の電柱用腕金装置。
【請求項5】
装置基枠を構成する組付け部片と緊締受部片との間に、各々の相対する面側において上下に適宜数の板状部片を渡した、請求項1乃至4の内いずれか記載の電柱用腕金装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を装柱するに際し、該機器の支持材として、電柱(必ずしも電柱と称するものでなくとも良く、例えば、専ら街灯設置のための支柱であってもこれに含まれる)に片持ち梁状に突出させて設ける電柱用腕金装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接続ボルトと接続ナットで一端を接続した一対二組の第一、第二バンド片を電柱に巻回し、各第一バンド片の他端同士を緊締ボルトと緊締ナットで互いに締付けると共に、前記各第二バンド片の他端に連結ボルトで挟持枠を連結し、該挟持枠と挟持枠間に介在させた腕金の基部を組付けボルトで互いに組付けた構造のものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−218636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、鋼材より成るバンド片を電柱に適合させて装柱するためその作業が煩雑であり、また、腕金の一定の高さ位置の保持のためにはバンド片の電柱周面に対する接触抵抗を利用する構成を採り、該接触抵抗は緊締ボルトと緊締ナットによる締付けで得、それはボルトの締め忘れや震動等による緊締ナットの緩みで影響を受け易い。
【0005】
本発明は、従来例の斯様な問題点に着目し、所謂バンド片を用いないで腕金を一定の高さ位置で保持することのできる電柱用腕金装置を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
互いに直交方向に連続する組付け部片と緊締受部片で装置基枠を構成し、一対の該装置基枠の前記組付け部片と、該組付け部片間に介在させ、しかも、断面円弧状の凹入部とした基端面を電柱周側面に係合させた、腕金の基部を、組付けボルトとこれに螺合した組付けナットで接続すると共に、前記装置基枠の各緊締受部片と、該緊締受部片に前記電柱を介して相対する挟持杆の端部を、緊締ボルトとこれに螺合した緊締ナットで締付けたことを基本的手段とする。
【0007】
この基本的手段に、腕金を角筒状の主体杆と該主体杆の基端部の側面に断面溝状の側部片を溶接した断面溝状の基部枠で成り、該基部枠を、腕金の基端面を構成する中央部片と該中央部片の両端に相対設した前記側部片で構成し、側部片には組付けボルトを貫通させる透孔を設けた点を付加することにより、腕金を電柱に対し片持ち梁状に強固に設けることができ、なおまた、挟持杆を、緊締ボルトを貫通させる透孔を長手方向の端部に設けた中央部片と該中央部片の上下両端に相対設した上下一対の部片で構成し、上下部片の自由端側の長手方向の中央部には、電柱を係合させる切欠を設けた点を付加することにより、装置基枠と挟持杆による電柱の挟持が確実に行われ、従って、電柱上の定位置を確実に維持する腕金装置を提供できる。そしてまた、緊締受部片に挟持杆を緊締ボルトと緊締ナットで締付けるようにすれば、尚一層強固な腕金装置を得られ、装置基枠を構成する組付け部片と緊締受部片との間に、各々の相対する面側において上下に適宜数の板状部片を渡した構成を付加することにより容易に変形のしにくい腕金装置を得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置基枠の、互いに直交方向に配した組付け部片と緊締受部片を用いて組付け部片同士を組付けボルトで、緊締受部片を挟持杆を緊締ボルトでそれぞれ締付け電柱を挟む構成を採るものであるから、電柱に対し強固に設けることができ、しかも、電柱を四方から挟むものであるから締付け状態が安定し、従って、耐久的な腕金装置を得ることができる。また、従前のように柱径に応じたバンド片を用意する必要がなく、バンド片を用いないで、部材同士をボルトによる締付けで足りるから、バンド片の電柱に対する適合を必要としない設置効率上優れた電柱用腕金装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】平面図。
図2】側面図。
図3】腕金の平面図。
図4】腕金の側面図。
図5】電柱の径に対応できることを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、本発明に係る電柱用腕金装置の一実施形態を示し、実施形態のものは、主体杆2と基部枠3で構成する腕金1と一対の装置基枠9を組付けボルト4と組付けナット8で地上に於いて互いに組付け、柱上に於いて前記の組付け体と挟持杆14,14を電柱Dを介して相対向させ、相対向するこれらに緊締ボルト13を貫通させ、挟持杆14(の中央部片14a)より突出するボルト13先端に螺合した緊締ナット15を締め付けることにより得るものであるが、各部材の組付けの順序はこれに従う必要がない。
【0011】
また、実施形態のものは電柱Dに片持ち梁状に突設した腕金1の中間部にピコセルアンテナaを取付け装置mで取付けるようにした、すなわち、ピコセルアンテナaを電柱(支柱)Dに支持させるための腕金装置を示すが、機器を装柱するためのものであればよく、装柱機器はピコセルアンテナaに限定する必要はない。
【0012】
前記腕金1は、角筒状の主体杆2と、縦方向に長い中央部片3aの両側に側部片3b,3bを相対して設けた断面溝状の基部枠3で成り、主体杆2の基部の相対する側面に、側部片3bの自由端側先端部を外側から重ね合わせて溶接して、主体杆2と基部枠3を一体にして構成したものである。
【0013】
この腕金1の基部枠3の前記側部片3bには、組付けボルト4を挿通する、上下の透孔5,6を設け、腕金1の基端面を構成する前記中央部片3aを円弧状に曲げてその外側面を、電柱Dの周側が係合する断面円弧状の凹入部7と成し、また、主体杆2の先端部側の中間部には、前記組付け装置mの部材を取付けるボルトmbを挿通する透孔5A,6Aを主体杆2の先後に並べて設けてある。
【0014】
なお、主体杆2の基端と基部枠3の中央部片3aとの間に間隙vを設けて、すなわち、基部枠3の側部片3bに主体杆2と重ならない部分を設けたのは、該部分に前記透孔5,6を設けて該重ならない部分同士を前記組付けボルト4と組付けナット8で締付けたとき、ばね作用させて、組付けナット8(若しくは組付けボルト4)の緩みを防ぎ、安定した組付け状態を得るためである。また、組付けボルト4(これに対応する透孔6)は単一でも良い。
【0015】
腕金1は、基部側の前記基部枠3部が一対の装置基枠9,9間に介在されて前記組付けボルト4と組付けナット8で締付けられることにより装置基枠9,9と組付けてある。
【0016】
装置基枠9は、縦長方形状の組付け部片10と、該組付け部片10と同形の縦長方形状の緊締受部片11を互いに直交方向に連続させ、該組付け部片10と緊締受部片11との間に、各々の相対する面側において3枚の板状の補強部片12,12,12を上下に並べて渡して設けると共に、各部片10,11の、該板状の補強部片12,12間の部分には、組付け部片10にあっては前記組付けボルト4を挿通させる透孔5B,6Bを上下に、緊締受部片11にあっては緊締ボルト13を挿通させる上下の透孔5C,6Cをそれぞれ設けて構成したものである。
【0017】
前記の通り、腕金1の基部(基部枠3)は組付けボルト4を組付けナット8により、一対の装置基枠9,9間に介在されて、該装置基枠9,9に組付けられるのであるが、装置基枠9の組付け部片10,10間に基部枠3は配せられ、互いに一致する装置基枠9側の透孔5B,6Bと基部枠3側の透孔5,6に前記組付けボルト4を挿通させ、一方の装置基枠9の組付け部片10より突出する組付けボルト4のそれぞれの先端に組付けナット8を螺合締付けることにより腕金1と一対装置基枠9,9は互いに組付けられ、この組付け作業は、作業性と安全性の観点から地上で行うのが望ましい。
【0018】
そして、装置基枠9の緊締受部片11に設けた上下の各透孔5C,6Cに前記緊締ボルト13を挿通させるようにして、該緊締ボルト13を腕金1と組付けた装置基枠9に組合わせ、該緊締ボルト13の先端を、前記腕金1の基端面に設けた凹入部7に係合させた前記柱Dより装置基枠9乃至腕金1から見て前方に突出させて、上方に位置する一対の緊締ボルト13,13を挟持杆14に、下方に位置する他の一対の緊締ボルト13,13を他の挟持杆14に挿通させ、挟持杆14より突出する各緊締ボルト13に緊締ナット15を螺合、締付けることにより実施形態の装置としたものである。
【0019】
緊締ボルト13は、装置基枠9の組付け部片10と緊締受部片11の方向関係(互いに直交する方向)から、組付けボルト4に対して直交する方向に位置され、この結果、緊締ナット15で電柱D方向に押圧される挟持杆14は、平行な位置関係にある2本の緊締ボルト13,13に沿って移動しようとし、緊締ナット15による締付けは強固に行われる(実施形態は、図5で示す通り、この作用を利用して径の異なる電柱に対応できるようにしてある)。
【0020】
なお、挟持杆14は、前記緊締ボルト13を挿通させる透孔5D,6Dを両側端の対称位置に設けた、横長帯状の中央部片14aと、該中央部片14aの長手方向に沿う上下両端に折り曲げ状にして設けた上下一対の部片14b,14cとで成る断面コ形体で成り、上下の部片14b,14cの長手方向の中央には前記電柱Dを係合させる、互いに同形な(方形状の)切欠16,16を設けて構成したもので、一方側が前記凹入部7に係合する電柱Dの、該一方側に相対する他方側は、切欠16,16(必ずしも「方形状」の必要はなく、断面円弧状でも良い)に係合して電柱Dに対する装置全体の取付けが安定的に行われる。
【0021】
なお、実施形態は上下一対の挟持杆14を用いるようにしているが、これは、それぞれの挟持杆14が他と独立して緊締ナット15の締付けにより電柱Dに圧接することになり、電柱Dの周側面が傾斜していても(通常、僅かに先細状になっている)それを吸収して各挟持杆14が挟持力を保持することを期待できるからである。挟持杆14を単一にした装置でも不都合はない。
【0022】
また、実施形態は、電柱Dの一側を断面円弧状の凹入部7(曲面が電柱Dに圧接)に該一側に相対する他側を方形状の切欠16(開口端側の両端が電柱Dに圧接)にそれぞれ係合するようにしてあるが、これは、3点で電柱Dを挟持することになり、腕金の強固な取付け状態を得られることを意図している。
【符号の説明】
【0023】
1 腕金
4 組付けボルト
7 凹入部
8 組付けナット
9 装置基枠
10 組付け部片
11 緊締受部片
14 挟持杆
15 緊締ナット
図1
図2
図3
図4
図5