(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な記述
I.定義
この出願を通して使用される用語は、当業者にとっての通常の典型的な意味と解釈されなければならない。しかしながら、次の用語には以下に記載される特定の定義が与えられることを本出願人は望む。
【0024】
抗体鎖ポリペプチド配列に関する「実質的に同一」なる語句は、参照ポリペプチド配列に対して少なくとも70%、又は80%、又は90%又は95%の配列同一性を示す抗体鎖と解釈されうる。核酸配列に関する該用語は、参照核酸配列に対して少なくとも約85%、又は90%、又は95%又は97%の配列同一性を示すヌクレオチドの鎖と解釈されうる。
【0025】
「同一性」又は「相同性」なる用語は、配列を整列させ、如何なる保存的置換も配列同一性の一部とはみなさずに、最大パーセント同一性を達成するために必要ならば間隙を導入した後の、それが比較される対応配列の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントを意味すると解釈される。N末端又はC末端の伸長も挿入も何れも同一性又は相同性を低下させるとは解釈されない。アラインメントのための方法とコンピュータープログラムは当該分野でよく知られている。
【0026】
「抗体」なる用語は最も広義に使用され、特にモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)を包含する。抗体(Abs)及び免疫グロブリン(Igs)は同じ構造的特性を有する糖タンパク質である。抗体は特定の標的に対して結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは抗体と、標的特異性を欠く他の抗体様分子の双方を含む。天然の抗体及び免疫グロブリンは、二つの同一の軽(L)鎖と二つの同一の重(H)鎖からなる約150000ダルトンの通常はヘテロオ四量体糖タンパク質である。各重鎖は一端に可変ドメイン(V
H)を有し、それに多くの定常ドメインが続く。各軽鎖は一端に可変ドメイン(V
L)を、その他端に定常ドメインを有する。
【0027】
「単離された」抗体は、同定されその自然環境の成分から分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、その抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれうる。一例では、抗体は、(1)例えばローリー法で測定した場合95重量%を越える抗体、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、又は(3)クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を用いた非還元又は還元条件下でのSDS-PAGEにより均一性まで、精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
【0028】
ここで使用される場合、「抗ヒトD因子抗体」は、補体活性化を阻害するか又は実質的に減少させるようにヒトD因子に特異的に結合する抗体を意味する。
【0029】
「D因子」なる用語は、ここでは、天然配列及び変異体D因子ポリペプチドを意味するものとして使用される。
【0030】
「天然配列」D因子は、その調製態様にかかわらず、天然由来のD因子ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドである。よって、天然配列D因子は、自然から単離することもできるし、あるいは組換え及び/又は合成手段により生産することもできる。成熟ヒトD因子タンパク質(NM_001928)のような成熟D因子タンパク質に加えて、「天然配列D因子」なる用語は、D因子の天然に生じる前躯体形態(例えば、タンパク質分解的に切断されて活性型を生じる不活性型プレタンパク質)、天然に生じる変異体形態(例えば、選択的スプライシング型)及びD因子の天然に生じるアレル変異体、並びに天然由来のD因子ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するD因子の立体構造変異体を特に包含する。高等霊長類及び非ヒト哺乳類を含む非ヒト動物のD因子ポリペプチドはこの定義に特に含まれる。
【0031】
「D因子変異体」は、例えば天然配列ヒトD因子ポリペプチド(NM_001928)のような天然配列D因子ポリペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する以下に定義される活性なD因子ポリペプチドを意味する。通常は、D因子変異体は、成熟ヒトアミノ酸配列(NM_001928)と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するであろう。
【0032】
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる同類置換も配列同一性の一部と考えないとした後の、参照D因子配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある様々な方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。ついで、配列同一性はより長い配列に対して計算される。すなわち、たとえより短い配列がより長い配列の一部と100%の配列同一性を示すとしても、全体の配列同一性は100%未満となろう。
【0033】
「パーセント(%)核酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後の、参照D因子コード配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある様々な方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。ついで、配列同一性はより長い配列に対して計算される。すなわち、たとえより短い配列がより長い配列の一部と100%の配列同一性を示すとしても、全体の配列同一性は100%未満となろう。
【0034】
「単離された」核酸分子は、核酸の天然源に通常は伴う少なくとも一種の汚染核酸分子から同定され分離される核酸分子である。単離された核酸分子は、それが天然に見出される形態又は設定以外のものである。従って、単離された核酸分子は、それが天然の細胞中に存在している核酸分子から区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞の位置とは異なる染色体位置にあるコードされたポリペプチドを通常は発現する細胞中に含まれる核酸分子を含む。
【0035】
「単離された」D因子ポリペプチドコード核酸分子は、D因子コード核酸の天然源に通常は伴う少なくとも一種の汚染核酸分子から同定され分離される核酸分子である。単離されたD因子ポリペプチドコード核酸分子は、それが天然に見出される形態又は設定以外のものである。従って、単離されたD因子ポリペプチドコード核酸分子は、それらが天然の細胞中に存在しているコード核酸分子から区別される。しかしながら、単離されたD因子コード核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞の位置とは異なる染色体位置にあるD因子を通常は発現する細胞中に含まれるD因子コード核酸分子を含む。
【0036】
「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で使用され、D因子の生物学的活性を中和し、ブロックし、部分的に又は完全に阻害し、無効にし、減少させ又は妨害することができる任意の分子を含む。D因子アンタゴニストは、限定しないが、D因子に結合し、例えば補体関連眼疾患の病態に関与するD因子の能力のようなD因子活性を中和し、ブロックし、部分的に又は完全に阻害し、無効にし、減少させ又は妨害することができる抗D因子抗体、及びその抗体変異体、その抗原結合断片、他の結合ポリペプチド、ペプチド、及び非ペプチド小分子を含む。
【0037】
「小分子」は、約600ダルトン以下、好ましくは約1000ダルトン以下の分子量を有するものとここで定義される。
【0038】
本発明のD因子アンタゴニストの文脈において「活性な」又は「活性」又は「生物学的活性」はD因子の生物学的活性をアンタゴナイズする(部分的に又は完全に阻害する)能力である。D因子アンタゴニストの生物学的活性の一例は、例えば補体関連眼疾患のようなD因子関連疾患又は症状の状態、例えば病態の測定可能な改善を達成する能力である。該活性は、関連する動物モデル、又はヒト臨床治験を使用して、結合アッセイ第二経路溶血アッセイ(例えば第二経路補体活性又は活性化の阻害を測定するアッセイ)を含むインビトロ又はインビボ試験において決定することができる。
【0039】
「補体関連疾患」なる用語は、最も広い意味で使用され、過剰な又は制御されない補体活性化に関連する疾患を含む。それらは、心肺バイパス手術中の補体活性化;急性心筋梗塞、動脈瘤、脳卒中、出血性ショック、圧挫損傷、多臓器障害、循環血液量減少性ショック、腸虚血又は虚血を生じる他の事象後の虚血再かん流のための補体活性化を含む。補体活性化はまた炎症性疾患、例えば、重度の熱傷、内毒素血、敗血性ショック、成人呼吸促迫症候群、血液透析;アナフィラキシーショック、重症喘息、血管浮腫、クローン病、鎌状赤血球貧血、連鎖球菌感染後糸球体腎炎及び膵炎に伴っていることが示されている。該疾患は薬の副作用、薬物アレルギー、IL−2誘発血管漏出症候群又はX線撮影造影剤アレルギーの結果でありうる。該疾患は、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、関節リウマチ、アルツハイマー病及び多発性硬化症のような自己免疫疾患をまた含む。補体活性化はまた移植による拒絶反応に伴う。補体活性化はまた眼疾患、例えば黄斑変性疾患、糖尿病性網膜症及び他の虚血関連網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼のヒストプラスマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、及び網膜新生血管にも伴う。
【0040】
「補体関連眼疾患」なる用語は最も広い意味で使用され、古典的及び第二経路、特に補体の第二経路を含む病態が補体に関連する全ての眼の症状を含む。補体関連眼疾患には、限定するものではないが、黄斑変性疾患、例えば乾燥及び湿潤(非滲出性及び滲出性)型を含む加齢性黄斑変性症(AMD)の全ての段階、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病及び他の虚血関連網膜症、及び他の眼内血管新生疾患、例えば糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼のヒストプラスマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、及び網膜血管新生が含まれる。一例では、補体関連眼疾患は、非滲出(例えば中期乾燥AMD又は地図状萎縮(GA))及び滲出(例えば湿潤AMD(脈絡膜血管新生(CNV))AMDを含む加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、眼内炎及びブドウ膜炎を含む。更なる例では、非滲出AMDは、ハードドルーゼン、ソフトドルーゼン、地図状萎縮及び/又は色素凝集の存在を含みうる。一例では、補体関連眼疾患は、初期AMD(例えば複数の小さなものから一又は複数の非広範性の中程度のサイズのドルーゼン)、中期AMD(例えば広範な中程度のドルーゼンから一又は複数の大きなドルーゼンまでを含む)及び進行AMD(例えば地図状萎縮又は進行湿潤AMD(CNV)を含む)を含む加齢黄斑変性(AMD)を含む(Ferris等, AREDS Report No. 18,;Sallo等, Eye Res., 34(3): 238-40 (2009);Jager等, New Engl. J. Med., 359(1): 1735 (2008))。更なる例では、中期乾燥AMDは大きな集密的なドルーゼンを含みうる。更なる例では、地図状萎縮は、視細胞及び/又は網膜色素上皮(RPE)喪失を含みうる。更なる例では、地図状萎縮の領域は、小さいか又は大きく、及び/又は黄斑領域に又は周辺網膜にありうる。一例では、補体関連眼疾患は中期乾燥AMDである。一例では、補体関連眼疾患は地図状萎縮である。一例では、補体関連眼疾患は湿潤AMD(脈絡膜血管新生(CNV))である。
【0041】
「治療」とは、疾患の病理の進展阻止又は変更を意図して実施される介入である。従って、「治療」は治療的処置及び予防的又は保護的手段の両方を指す。治療が必要な者には、既に疾患に罹患している者並びに疾患が予防されるべき者を含む。免疫関連疾患の治療では、治療薬は直接的に免疫反応の成分の反応の大きさを変え、又は他の治療剤、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤、化学療法剤等による治療に対する疾患の感受性を高めることができる。
【0042】
補体関連眼疾患のような疾患の「病理」は、患者の良好な健康を危険にさらす全ての現象を含む。これには、限定されるものではないが、異常な又は制御不能な細胞増殖(好中球、好酸球、単球性、リンパ性細胞)、抗体産生、自己抗体産生、補体産生、正常に機能している隣接細胞の妨害、サイトカイン又は他の分泌産物の異常なレベルでの放出、あらゆる炎症性又は免疫性反応の抑制又は悪化、炎症性細胞(好中球、好酸球、単球性、リンパ性)の細胞空間への浸潤等が含まれる。
【0043】
ここで使用される「哺乳動物」なる用語は、限定しないが、ヒト、高等霊長類、家畜用動物、及び動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ及びケナガイタチなどを含む哺乳類に分類される任意の動物を意味する。本発明の一実施態様では、哺乳動物はヒトである。
【0044】
一又は複数の更なる治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での連続した投与を含む。
【0045】
「治療的有効量」は、標的の疾患又は症状、例えば補体関連眼疾患の状態、例えば病理において測定可能な改善を達成するために必要とされる「D因子アンタゴニスト」の量である。
【0046】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0047】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係に配されている場合「作用可能に結合している」。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画するプレタンパク質として発現されているならば、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読み枠にあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、一般的な手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0048】
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定され、一般にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングに必要な温度が高くなり、プローブが短くなるとそれに必要な温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、一般に、相補鎖がその融点より低い環境に存在する場合に、変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリダイゼーション配列の間で所望される相同性の程度が高くなればなるほど、用いることができる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をよりストリンジェントにする傾向があり、低い温度はストリンジェントを低下させることになる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの更なる詳細及び説明については、Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
【0049】
ここで定義される「ストリンジェントな条件」又は「高度にストリンジェントな条件」は、(1)例えば50℃の0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムと、洗浄に低イオン強度及び高温度を用いる;(2)例えば42℃の50%(v/v)ホルムアミドに0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムと、ホルムアミド等の変性剤をハイブリダイゼーションに用いる;又は(3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%の硫酸デキストラン溶液を42℃で用い、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)での42℃での洗浄と50%のホルムアミドでの55℃での洗浄に、55℃でのEDTAを含む0.1×SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄が続くものによって同定されうる。
【0050】
「中程度にストリンジェントな条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Press, 1989に記載されているようにして同定され、上述のものより低いストリンジェンシーの洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度にストリンジェントな条件の例は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト液、10%硫酸デキストラン、及び20mg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中で37℃での終夜インキュベーションの後、1×SSC中で約37−50℃でのフィルターの洗浄が続くものである。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させるために必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかは分かるであろう。
【0051】
抗体の可変ドメインの文脈における「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体間で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。それは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方の高頻度可変領域(HVRs)としても知られている相補性決定領域(CDRs)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を連結し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する3つのCDRsにより連結されたβシート配置を主に採る4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖中のCDRsは、FR領域によって近接して互いに保持され、他の鎖からのCDRsと共に、抗体の標的結合部位の形成に寄与している(Kabat等を参照)。ここで使用される場合、免疫グロブリンアミノ酸残基の番号付けは、別の定義がなされない限り、Kabat等,(Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, Bethesda, Md. 1987)の免疫グロブリンアミノ酸残基の番号付けシステムに従ってなされる。
【0052】
ここで使用される場合、「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つの高頻度可変領域を含む;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。多数の高頻度可変領域の描写が使用され、ここに包含される。カバット相補性決定領域(CDRs)は配列多様性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia及びLesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。カバットの番号付け法を使用して番号付けされた場合、ChothiaのCDR−H1ループの端部はループ長さに応じてH32とH34の間で変化する(これは、カバット番号付けスキームがH35A及びH35Bに挿入を配するためである;35Aも35Bも何れも存在しないならば、ループは32で終わる;35Aのみが存在するなら、ループは33で終わる;35Aと35Bの双方が存在するなら、ループは34で終わる)。AbM高頻度可変領域は、カバットCDRとChothia構造的ループの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用されている。「接触」高頻度可変領域は、利用できる複合体結晶構造の分析に基づく。これら高頻度可変領域のそれぞれからの残基を以下に示す。
ループ カバット AbM Chothia 接触
− −− −− −− −−
L1 L24-L34 L24-L34 L24-L34 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L56 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L89-L97 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32..34 H30-H35B
(カバット番号付け)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35
(Chothia番号付け)
H2 H50-H65 H50-H58 H52-H56 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H95-H102 H93-H101
【0053】
HVRは次の通り「伸展高頻度可変領域」を含みうる:VL中の24−36又は24−34(L1)、46−56又は50−56(L2)及び89−97(L3)と、VH中の26−35B(H1)、50−65、47−65又は49−65(H2)及び93−102、94−102又は95−102(H3)。これらの定義の各々に対して上掲のカバット等に従って、可変ドメイン残基を番号付けする。
【0054】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここで定義する高頻度可変領域又はCDR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0055】
「カバットの可変ドメイン残基番号付け」又は「カバットのアミノ酸位置番号付け」なる用語及びその変形語は、Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)中の抗体の編集の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はCDR内の短縮化又はそれへの挿入に相当するより少ないか又は更なるアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインには、H2の残基52の後での単一アミノ酸の挿入(カバットによる残基52a)と、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えばカバットによる残基82a、82b及び82cなど)を含みうる。残基のカバット番号は、「標準の」カバット番号付け配列との抗体の配列の相同領域でのアラインメントによって与えられる抗体について決定されうる。
【0056】
可変ドメイン(およそ軽鎖の残基1−107及び重鎖の残基1−113)中の残基に言及するとき、カバットの番号付けシステムが一般に使用される(例えば出典明示によってここに明示的に援用されるKabat等, Sequences of Immunological Interest. 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。免疫グロブリン重鎖定常領域中の残基に言及するとき、「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」が一般に使用される(例えば上掲のKabat等に報告されているEUインデックス;重鎖の定常ドメイン中のヒンジ領域は重鎖のおよそ残基216−230(EU番号付け)である)。「カバットにおけるEUインデックス」はヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを意味する。ここで別の定義を述べない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号の参照は、カバット番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。ここで別の定義を述べない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号の参照は、EU番号付けシステムによって番号付けした残基を意味する(例えば、米国特許仮出願番号60/640323号、EU番号付けについての図を参照)。
【0057】
ここで用いられる場合、「ポリペプチド」は、一般に約10を越えるアミノ酸を有するペプチド及びタンパク質を指す。一例では、ポリペプチドは、哺乳動物のタンパク質であり、その例はD因子及びD因子の断片及び/又は変異体を含む。他の例では、ポリペプチドは、ヒトD因子に結合する、完全長抗体、又は抗体その断片(例えば抗原結合断片)であり、その例は、Fab、Fab’、F(ab’)
2、及びF
v断片;ダイアボディ、線状抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片(例えば抗原結合断片)から形成された多重特異性抗体を含む。
【0058】
出発ポリペプチドの「変異体」又は「アミノ酸変異体」は、出発ポリペプチドのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。一般に、変異体は天然ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する。パーセント配列同一性は、例えば、Fitch等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 1382-1386 (1983)、Needleman等, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970)に記載されたバージョンのアルゴリズムにより、最大の相同性を与えるように配列を整列させた後に決定される。ポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、ポリペプチドをコードするDNAに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、あるいはペプチド合成により調製されうる。このような変異体は、例えば、対象とするポリペプチドのアミノ酸配列内残基からの欠失、及び/又はそれへの挿入及び/又はその置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終コンストラクトが所望の特徴を持つ限り、最終コンストラクトに到達するためになされる。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数又は位置の変更のようなポリペプチドの翻訳後プロセスを改変しうる。ポリペプチドのアミノ酸配列変異体の産生方法は、例えばここに出典明示により明示的に援用される米国特許第5534615号に記載される。
【0059】
出発抗体の「抗体変異体」又は「改変抗体」は、出発抗体のアミノ酸残基の一又は複数が改変されている、出発抗体のものと異なるアミノ酸配列を含む抗体である。一般に、抗体変異体は出発抗体と少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する。パーセント配列同一性は、例えば、Fitch等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 1382-1386 (1983)、Needleman等, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970)に記載されたバージョンのアルゴリズムにより、最大の相同性を与えるように出発抗体及び候補抗体変異体の配列を整列させた後に決定される。配列決定された親に対しての同一性又は類似性は、ここでは、最大のパーセント配列同一性を達成するために配列を整列させ、必要ならば間隙を導入した後に、親抗体と同一(つまり、同じ残基)又は類似(つまり共通の側鎖特性に基づく同じ群からのアミノ酸残基、以下参照)である候補変異体配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするDNAに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、あるいはペプチド合成により調製されうる。このような変異体は、例えば、対象とする抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はそれへの挿入及び/又はその置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終コンストラクトが所望の特徴を持つ限り、最終コンストラクトに到達するためになされる。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数又は位置の変更のような抗体の翻訳後プロセスを改変しうる。抗体の抗体配列変異体の産生方法は、例えばここに出典明示により明示的に援用される米国特許第5534615号に記載されたポリペプチドのアミノ酸配列変異体を産生するためのものと同様である。
【0060】
ポリペプチド分子の「脱アミド化」変異体は、元のポリペプチドの一又は複数のアスパラギン(N又はAsn)残基がアスパラギン酸(D又はAsp)に変換された、即ち、中性アミド側鎖が全体として酸性特性を持つ残基に変換されたポリペプチドである。脱アミド化は、アスパラギン(N又はAsn)をグルタミン(Q又はGln)又はアラニン(A又はAla)又はセリン(S又はSer)へ変換させることにより防止されうる(Amphlett, G.等, Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996))。
【0061】
ポリペプチド分子の「酸化」変異体は、元のポリペプチドの一又は複数のメチオニン(M又はMet)又はトリプトファン(W又はTrp)残基がメチオニンの硫黄を介してスルホン又はスルホキシドに変換されたポリペプチドである。酸化は、メチオニン(M又はMet)をロイシン(L又はLeu)又はイソロイシン(I又はIle)へ変換させることにより防止されうる(Amphlett, G.等, Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996))。
【0062】
ポリペプチド分子の「ピログルタミン酸」変異体は、元のポリペプチドの一又は複数のグルタミン(Q又はGln)残基がピログルタミン酸に変換されたポリペプチドであり、これは、グルタミン残基、例えばN末端グルタミン残基が自然に環化してピログルタミン酸を生じるときに生じる。ピログルタミン酸変換は、グルタミン(Q又はGln)残基をグルタミン酸(E又はGlu)へ変換させることにより防止されうる(Amphlett, G.等, Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996))。
【0063】
「抗体断片」という用語は完全長抗体の一部、一般には標的結合又は可変領域を意味する。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)
2及びFv断片を含む。抗体の「機能的断片又はアナログ」という語句は、完全長抗体と共通する定性的生物学的活性を有する化合物である。例えば、抗ヒトD因子抗体の機能的断片又はアナログは、補体活性化を防止し又は実質的に低減させるようにD因子に結合できるものである。ここで使用される場合、抗体に関しての「機能的断片」はFv、F(ab)及びF(ab’)
2断片を意味する。「Fv」断片は、完全な標的認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、堅固な非共有結合の一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる(V
H−V
L二量体)。各可変ドメインの3つのCDRsが相互作用してV
H−V
L二量体の表面に標的結合部位を形成するのはこの配置においてである。集合的に、6つのCDRsが抗体に標的結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は標的に対して特異的な3つのCDRsのみを含むFvの半分)でさえ標的を認識しそれに結合する能力を有している。「単鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は抗体のV
H及びV
Lドメインを含み、これらドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、sFvが標的結合のための望ましい構造を形成するようにするポリペプチドリンカーをV
H及びV
Lドメイン間に更に含む。
【0064】
Fab断片は軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1のカルボキシル末端での数残基の付加により、Fab断片とは異なる。F(ab’)断片は、F(ab’)
2ペプシン消化産物のヒンジシステインのジスルフィド結合の切断により産生される。抗体断片(例えば抗原結合断片)の更なる化学カップリングは当業者に知られている。
【0065】
ここで用いられる場合、「ライブラリー」は、複数の抗体もしくは抗体断片配列(例えば、本発明のポリペプチド)、又はこれらの配列をコードする核酸を意味し、該配列は本発明の方法によってこれら配列内に導入される変異体アミノ酸の組合せにおいて異なっている。
【0066】
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味する。すなわち、少量で存在しうる可能な天然に生じる変異を除いて、集団を構成する個々の抗体が同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。更に、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含む一般的な(ポリクローナル)抗体調製物とは異なり、各モノクローナル抗体は標的上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の免疫グロブリンによって汚染されていないハイブリドーマ培養によって合成されうる点で有利である。「モノクローナル」との修飾語句は、実質的に均一な抗体の集団から得たものとしての抗体の性質を表すものであり、抗体が何か特定の方法による生産を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明で使用されるモノクローナル抗体は、よく知られた技術を使用するファージ抗体ライブラリーから単離することができる。本発明によって使用される親モノクローナル抗体は、最初にKohler及びMilstein, Nature 256, 495 (1975)よって記載されたハイブリドーマ法によって作ることができ、あるいは組換えDNA法によって作製されうる。
【0067】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)
2又は抗体の他の標的結合サブ配列)である。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域の残基の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。該ヒト化抗体はまた少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、典型的には選択されたヒト免疫グロブリンテンプレートのものを含みうる。
【0068】
「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養」という用語は子孫を含む。また、全ての子孫が、意図的な変異あるいは意図しない変異の影響で、DNA含量において正確に同一でなくともよいことも理解される。元々の形質転換細胞についてスクリーニングされたものと同じ機能又は生物活性を有する変異体子孫が含まれる。一般に本発明において使用される「宿主細胞」は原核生物又は真核生物宿主である。
【0069】
「ベクター」なる用語は、適切な宿主中でDNAの発現をなすことができる適切なコントロール配列に作用可能に連結されたDNA配列を含むDNAコンストラクトを意味する。このようなコントロール配列は、転写を行うプロモーター、そのような転写を制御する任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び翻訳の終結を制御する配列を含む。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、又は単に潜在的なゲノムインサートでありうる。ひとたび適切な宿主中に形質転換されると、ベクターは複製し、宿主ゲノムとは独立して機能し得、又はある場合にはゲノム自体中に組み込まれうる。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用されている形態であるので、しばしば交換可能に使用される。しかしながら、本発明は、均等な機能をなし、当該分野で知られているか知られるようになるベクターの他の形態を含むことを意図している。
【0070】
ここで使用される場合、「標識」なる言葉は、分子又はタンパク質、例えば抗体に直接的に又は間接的にコンジュゲートされうる検出可能な化合物又は組成物を意味する。該標識はそれ自体検出可能であるか(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)又は酵素標識の場合には、検出可能である基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒しうる。
【0071】
ここで使用される場合、「固相」は、本発明の抗体が接着できる非水性マトリクスを意味する。ここに包含される固相の例は、部分的又は全体的にガラス(例えば、調整された孔ガラス)、多糖類(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンで形成されたものを含む。ある実施態様では、前後関係に応じて、固相はアッセイ用プレートのウェルを含み得;その他では精製用カラム(例えばアフィニティークロマトグラフィーカラム)を含みうる。
【0072】
「ファージディスプレイ」は、変異体ポリペプチドをファージ、例えば繊維状ファージの粒子の表面でコートタンパク質の少なくとも一部と融合したタンパク質として提示する手法である。ファージディスプレイの有用性は、ランダム化タンパク質変異体の大きなライブラリーから対象抗原と高親和性で結合する配列を迅速かつ効率的に選別できることにある。ファージ上のペプチド及びタンパク質ライブラリーのディスプレイは、何百万ものポリペプチドから特異的結合特性を持つものをスクリーニングするために利用されてきた。多価ファージディスプレイ法は、繊維状ファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIとの融合体を通して小さなランダムペプチド及び小タンパク質を提示するために利用されてきた。Wells及びLowman (1992) Curr. Opin. Struct. Biol., 3: 355-362とその中の引用文献。一価のファージディスプレイでは、タンパク質又はペプチドのライブラリーが遺伝子III又はその一部に融合され、ファージ粒子が融合タンパク質の一つの又はゼロのコピーをディスプレイするように野生型遺伝子IIIタンパク質の存在下で低レベルで発現される。アビディティー効果は多価ファージと比較して低下しているので、選別は内在性のリガンド親和性に基づいており、ファージミドベクターが使われるが、これがDNA操作を単純化する。Lowman及びWells (1991) Methods: A companion to Methods in Enzymology 3:205-0216。
【0073】
「ファージミド」は、細菌の複製起点、例えばCo1E1及びバクテリオファージの遺伝子間領域のコピーを有するプラスミドベクターである。ファージミドは如何なる既知のバクテリオファージ、例えば繊維状バクテリオファージ及びラムドイドバクテリオファージでも使用できる。プラスミドは、一般に、抗生物質耐性の選択マーカーもまた含む。これらのベクターにクローニングされたDNAセグメントは、プラスミドとして増殖することができる。これらのベクターを備える細胞がファージ粒子の生産のために必要な全ての遺伝子を備えているとき、プラスミドの複製様式はローリングサークル複製に変化し、プラスミドDNAの一つの鎖のコピーとパッケージファージ粒子を生成する。ファージミドは感染性又は非感染性ファージ粒子を形成しうる。この用語は、異種ポリペプチドがファージ粒子の表面に提示されるように遺伝子融合体として異種ポリペプチド遺伝子と結合したファージコートタンパク質遺伝子又はその断片を含むファージミドを含む。
【0074】
「変異体Fc領域」は、ここで定義されたような少なくとも一つの「アミノ酸修飾」によって他のFc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較し、少なくとも一つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、約1から約10のアミノ酸置換、及び好ましくは約1から約5アミノ酸置換を有する。ここでの変異体Fc領域は、好ましくは天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、最も好ましくはそれとの少なくとも約90%の相同性、より好ましくはそれとの少なくとも約90%の相同性を有する。「天然配列ヒトFc領域」の例は国際公開第00/42072号の
図23に示されており、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域並びにその天然に生じる変異体を含む。天然配列マウスFc領域は国際公開第00/42072号の
図22Aに示される。
【0075】
本発明によれば、「改変された」FcRn結合親和性は、親ポリペプチドもしくは天然配列Fc領域を含むポリペプチドと比較して、亢進され又は減弱化されたFcRn結合活性を有するものである。一例では、改変されたFcRn結合親和性を有する抗体は、pH6.0におけるFcRnへの増加した結合性及び/又はpH7.0におけるFcRnへの減少した結合性を有する。FcRへの「増加した結合性を示す」変異体は、親ポリペプチドより良好な親和性で少なくとも一つのFcRに結合する。FcRへの「減少した結合性を示す」変異体は、親ポリペプチドより悪い親和性で少なくとも一つのFcRに結合する。親ポリペプチドより「良好な親和性」でFcRに結合する変異体は、結合アッセイにおけるポリペプチド変異体及び親ポリペプチドの量が本質的に同じである場合、親抗体よりも実質的に良好な結合親和性を持つFcRに結合するものである。例えば、改善されたFcR結合親和性を有するポリペプチド変異体は、FcR結合親和性が決定される親ポリペプチドと比較してFcR結合親和性が約1.15倍から約100倍、例えば約1.2倍から約50倍の改善を示しうる。
【0076】
「アミノ酸修飾」とは、予め決定されているアミノ酸配列のアミノ酸配列における変化のことを指す。例示的な修飾には、アミノ酸の置換、挿入及び/又は欠失が含まれる。ここでのアミノ酸修飾の一例は置換である。
【0077】
例えばFc領域の特定位置「におけるアミノ酸修飾」とは、特定された残基の置換もしくは欠失、又は特定された残基に隣接する少なくとも一つのアミノ酸の挿入を意味する。特定された残基に「隣接する」挿入とは、その一又は二つの残基以内の挿入を意味する。その挿入は、特定された残基のN末端側又はC末端でありうる。
【0078】
「アミノ酸置換」とは、予め決定されているアミノ酸配列中に存在する少なくとも一つのアミノ酸残基を他の異なる「置換」アミノ酸残基で置き換えることを指す。置換残基もしくは残基群は「天然に生じるアミノ酸残基」(つまり、遺伝コードによってコードされるもの)でよく、アラニン(Ala);アルギニン(Arg);アスパラギン(Asn);アスパラギン酸(Asp);システイン(Cys);グルタミン(Gln);グルタミン酸(Glu);グリシン(Gly);ヒスチジン(His);イソロイシン(Ile);ロイシン(Leu);リジン(Lys);メチオニン(Met);フェニルアラニン(Phe);プロリン(Pro);セリン(Ser);スレオニン(Thr);トリプトファン(Trp);チロシン(Tyr);及びバリン(Val)からなる群から選択されうる。一又は複数の非天然発生アミノ酸残基との置換もまたここでのアミノ酸置換の定義に包含される。「非天然のアミノ酸残基」とは、上に列挙した天然に生じるアミノ酸残基以外の残基で、ポリペプチド鎖においてアミノ酸残基(群)に隣接して共有結合し得るものを指す。非天然発生アミノ酸の例には、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、及びEllman 等 Meth, Enzym. 202: 301-336 (1991)に記載されているもののようなアミノ酸残基アナログが含まれる。非天然発生アミノ酸残基を産生するためには、Noren等 Science 244:182 (1989)及び上掲のEllman 等の手順を使用することができる。簡潔に述べると、これらの手順はインビトロにおけるRNAの転写及び翻訳が続く非天然発生アミノ酸残基にてサプレッサーtRNAを化学的に活性化することを含む。
【0079】
「アミノ酸挿入」とは、予め決定されているアミノ酸配列中への少なくとも一つのアミノ酸の導入を意味する。挿入は通常一又は二のアミノ酸残基の挿入により構成されるが、本出願においては、より長い「ペプチド挿入」、例えば、約3から約5、又は更には約10のアミノ酸残基の挿入を考慮する。挿入された残基(群)は、上述した天然に生じるもしくは非天然のアミノ酸である。
【0080】
「アミノ酸欠失」とは予め決定されているアミノ酸配列から少なくとも一つのアミノ酸残基を除去することを意味する。
【0081】
II.詳細な説明
ここでの発明は、例えば、黄斑変性疾患、例えば乾燥及び湿潤(非滲出及び滲出)型を含む加齢黄斑変性(AMD)の全ての段階、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病及び他の虚血関連網膜症、眼内炎、及び他の眼内血管新生疾患、例えば糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼のヒストプラスマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、及び網膜血管新生のような、眼の疾患(その病理が古典的及び第二経路、特に補体の第二経路を含む補体を含む全ての眼の症状及び疾患)を含む補体関連疾患の予防及び治療に有用な抗D因子抗体を含むD因子アンタゴニスト、及びその変異体、及びその断片(例えば抗原結合断片)を提供する。補体関連眼疾患の一群は、非滲出(例えば中期乾燥AMD又は地図状萎縮(GA))及び滲出(例えば湿潤AMD(脈絡膜血管新生(CNV))AMDを含む加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、眼内炎及びブドウ膜炎を含む。一例では、補体関連眼疾患は、中期乾燥AMDである。一例では、補体関連眼疾患は湿潤AMD(脈絡膜血管新生(CNV))である。
【0082】
AMDは、60歳を越える個人の不可逆的な視力障害の主要な原因である黄斑の加齢性変性である。AMDの二つのタイプが存在する。非滲出(乾燥)及び滲出(湿潤)AMDである。乾燥、又は非滲出型は、網膜中心(黄斑)の根本にある網膜色素上皮(RPE)における萎縮性及び肥大型変化並びにRPEへの沈着物(ドルーゼン)を含む。非滲出AMDの患者は、脈絡膜新生血管膜(CNVMs)と呼ばれる異常な血管が網膜、漏出液及び血液下で発生し、最終的には網膜の内部と下部に盲目にする円板状瘢痕を生じる、AMDの湿潤又は滲出形態に進行し得る。通常は滲出AMDの前駆型である非滲出AMDがより一般的である。非滲出AMDの症状は変更する:ハードドルーゼン、ソフトドルーゼン、RPE 地図状萎縮、及び色素凝集が生じうる。補体成分は初期のAMDではRPE上に沈着し、ドルーゼンの主要な成分である。
【0083】
1.ヒト化抗D因子抗体
ここでの発明は、ヒト化抗D因子抗体とその断片の生産と使用を含む。抗体を産生するための例示的方法は次のセクションにおいてより詳細に記載する。
【0084】
非ヒト抗体をヒト化する方法は当該分野でよく知られている。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそこに導入された一又は複数のアミノ酸残基を有する。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は、ウィンター及び共同研究者[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより本質的に実施することができる。従って、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基と場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0085】
抗体がヒトの治療用途を意図している場合、抗原性及び/又はHAMA反応(ヒト抗マウス抗体)を低減するには、ヒト化抗体を作製する際に使用するヒトの軽重両方の可変ドメインの選択がある場合には重要でありうる。HAMA反応の低減又は除去は一般に適切な治療剤の臨床的開発の重要な側面である。例えばKhaxzaeli等, J. Natl. Cancer Inst. (1988), 80:937;Jaffers等, Transplantation (1986), 41:572;Shawler等, J. Immunol. (1985), 135:1530;Sears等, J. Biol. Response Mod. (1984), 3:138;Miller等, Blood (1983), 62:988;Hakimi等, J. Immunol. (1991), 147:1352;Reichmann等, Nature (1988), 332:323;Junghans等, Cancer Res. (1990), 50:1495を参照のこと。ここに記載されているように、本発明はHAMA反応が低減され又は除去されるようにヒト化されている抗体を提供する。これらの抗体の変異体は、当該分野で知られている常套的な方法を使用して更に得ることができ、その幾つかは以下に更に記載する。いわゆる「ベストフィット」法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。齧歯類のものに最も近いヒトVドメイン配列を同定し、その中のヒトフレームワーク(FR)をヒト化抗体のために受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623(1993))。
【0086】
例えば、ここに記載の抗体由来のアミノ酸配列は、フレームワーク及び/又は高頻度可変配列(群)の多様化のための出発(親)配列となりうる。出発の高頻度可変配列が結合する選択されたフレームワーク配列はここではアクセプターヒトフレームワークと称される。アクセプターヒトフレームワークがヒト免疫グロブリン(そのVL及び/又はVH領域)由来か又はそれから誘導されうる一方、アクセプターヒトフレームワークは、かかるフレームワークがヒト患者において最小の免疫原性を有しているか免疫原性を有していないことが証明されているので、ヒトコンセンサスフレームワーク配列由来か又はそれから誘導されうる。ここでの目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークから誘導されたVL又はVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから「誘導された」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含みうるか、又は既存のアミノ酸配列変化を含みうる。既存のアミノ酸変化が存在する場合、好ましくは5以下、好ましくは4以下、又は3以下の既存のアミノ酸変化が存在する。一実施態様では、VHアクセプターヒトフレームワークは、VHヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。一実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も頻繁に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループ由来である。一般に、配列のサブグループはKabat等におけるサブグループである。一実施態様では、VLでは、サブグループはKabat等におけるサブグループカッパIである。一実施態様では、VHでは、サブグループはKabat等におけるサブグループIIIである。
【0087】
アクセプターがヒト免疫グロブリンから由来する場合、ヒトフレームワーク配列のコレクション中の様々なヒトフレームワーク配列とドナーフレームワーク配列を整列させることによってドナーフレームワーク配列に対するその相同性に基づいて選択されるヒトフレームワーク配列を場合によっては選択し、最も相同なフレームワーク配列をアクセプターとして選択しうる。アクセプターヒトフレームワークは公的データベースにおいて利用できるヒト抗体生殖系列配列由来か又はそれから誘導されうる。
【0088】
一実施態様では、ここでのヒトコンセンサスフレームワークは、VHサブグループVII及び/又はVLカッパサブグループIコンセンサスフレームワーク配列由来か又はそれから誘導される。
【0089】
一実施態様では、抗D因子抗体の生成に使用されるヒトフレームワークテンプレートは、VH鎖に対するVI−4.1b+(VH7ファミリー)及びJH4dの組合せ及び/又はVL鎖に対するDPK4(VkIファミリー)及びJK2の組合せを含むテンプレートからのフレームワーク配列を含みうる。
【0090】
一実施態様では、VHアクセプターヒトフレームワークは、次のフレームワーク配列の一、二、三又は全てを含む:
QVQLVQSGPELKKPGASVKVSCKAS(配列番号2のアミノ酸1−25)を含むFR1、
WVRQAPGQGLE(配列番号2のアミノ酸36−49)を含むFR2、
RFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCER(配列番号2のアミノ酸67−98)を含むFR3、
RFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCE(配列番号2のアミノ酸67−97)、
RFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYC(配列番号2のアミノ酸67−96)、
RFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCS(配列番号3)、又は
RFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCSR(配列番号4)
WGQGTLVTVSS(配列番号2のアミノ酸105−115)を含むFR4。
【0091】
一実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、次のフレームワーク配列の一、二、三又は全てを含む:
DIQVTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号1のアミノ酸1−23)を含むFR1、
WYQQKPGKVPKLLIS(配列番号1のアミノ酸35−49)を含むFR2、
GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYC(配列番号1のアミノ酸57−88)を含むFR4、
FGQGTKLEIK(配列番号1のアミノ酸98−107)を含むFR4、又は
FGQGTKVEIK(配列番号5)。
【0092】
アクセプターは、それがヒト免疫グロブリン由来か又はヒトコンセンサスフレームワーク由来かにかかわらず、選択されたヒトフレームワーク配列と配列が同一でありうるが、本発明は、アクセプター配列がヒト免疫グロブリン配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に対して既存のアミノ酸置換を含みうることを考慮する。これらの既存の置換は好ましくは最小である;通常は、ヒト免疫グロブリン 配列又はコンセンサスフレームワーク配列に対して四、三、二又は一のアミノ酸差異のみ。
【0093】
非ヒト抗体の高頻度可変領域残基が、VL及び/又はVHアクセプターヒトフレームワーク中に導入される。例えば、Kabat CDR残基、Chothia高頻度可変ループ残基、Abm残基、及び/又は接触残基に対応する残基を導入しうる。場合によっては、次のような伸展した高頻度可変領域残基が導入される:24−36又は24−34(L1)、46−56又は50−56(L2)及び89−97(L3)、26−35B(H1)、50−65、47−65又は49−65(H2)及び93−102、94−102、又は95−102(H3)。
【0094】
一態様では、本発明は、配列番号2を含む重鎖可変ドメインを含む抗D因子抗体を提供する。一態様では、本発明は、配列番号1を含む軽鎖可変ドメインを含む抗D因子抗体を提供する。一態様では、本発明は、配列番号2を含む重鎖可変ドメインと配列番号1を含む軽鎖可変ドメインを含む抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0095】
一態様では、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗D因子抗体を提供する。ある実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列は、参照配列に対して置換、挿入、又は欠失を含むが、そのアミノ酸配列を含む抗体はD因子に結合する能力を保持している。ある実施態様では、全体で1から10のアミノ酸が、配列番号2の配列において置換され、挿入され、又は欠失されている。ある実施態様では、置換、挿入又は欠失は、HVRsの外側の領域(つまりFRs内)において生じる。ある実施態様では、抗D因子抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0096】
ある実施態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗D因子抗体を提供する。ある実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列は、参照配列に対して置換、挿入、又は欠失を含むが、そのアミノ酸配列を含む抗体はD因子に結合する能力を保持している。ある実施態様では、全体で1から10のアミノ酸が、配列番号1の配列において置換され、挿入され、又は欠失されている。ある実施態様では、置換、挿入又は欠失は、HVRsの外側の領域(つまりFRs内)において生じる。ある実施態様では、抗D因子抗体は配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0097】
抗D因子抗体は任意の適切なフレームワーク可変ドメイン配列を含みうるが、但し該抗体はD因子に結合する能力を保持する。例えば、ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、VI.4.1b+及びJH4dの組合せである重鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む(
図3を参照)。ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、ヒトサブグループVII重鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、配列番号2のアミノ酸1−25を含むFR1、配列番号2のアミノ酸36−49を含むFR2、配列番号2のアミノ酸67−98を含むFR3及び配列番号2のアミノ酸105−115を含むFR4を含む重鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、重鎖可変ドメイン配列は40及び/又は88位(カバット番号付け)に置換(群)を含む。これらの抗体の一実施態様では、40位はシステイン(C)又はアラニン(A)であり、及び/又は88位はシステイン(C)又はアラニン(A)である。ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、DPK4及びJK2の組合せである軽鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む(
図4を参照)。ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、ヒトカッパI(kI)軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、配列番号1のアミノ酸1−23を含むFR1、配列番号1のアミノ酸35−49を含むFR2、配列番号1のアミノ酸57−88を含むFR3及び配列番号1のアミノ酸98−107を含むFR4を含む軽鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、軽鎖可変フレームワーク配列は、15、43及び/又は104位(カバットの番号付け)に一又は複数の置換(群)を含む。これらの抗体の一実施態様では、15位はシステイン(C)又はバリン(V)であり、43位はシステイン(C)又はアラニン(A)であり、104位はバリン(V)又はロイシン(L)である。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0098】
更に、抗D因子抗体は、抗体がD因子に結合する能力を保持している限り、任意の適切な定常ドメイン配列を含みうる。例えば、ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は重鎖定常ドメインの少なくとも一部を含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、α、δ、ε、γ、又はμ重鎖の何れか一つ又は組合せの重鎖定常ドメインを含む。その重鎖の定常ドメイン(C
H)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと命名された重鎖を有する。γ及びαクラスは、C
H配列の相対的にマイナーな差に基づいてサブクラスに更に分けられ、機能し、例えば、ヒトは次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、エフェクター機能(例えば結合親和性)について所望の効果を生じるアミノ酸位置に置換を含む重鎖定常ドメインを含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、エフェクター機能(例えば結合親和性)について効果を生じないアミノ酸位置に置換を含む重鎖定常ドメインを含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、IgG型(例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)の重鎖定常ドメインを含み、114位(カバット番号付け;EU番号付けの118と等価)、168位(カバット番号付け;EU番号付けの172と等価)、172位(カバット番号付け;EU番号付けの176と等価)及び/又は228位(EU番号付け)に置換を更に含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、IgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)型の重鎖定常ドメインを含み、114位に置換を更に含み、ここで114位はシステイン(C)又はアラニン(A)であり、168位はシステイン(C)又はアラニン(A)であり、172位はシステイン(C)又はアラニン(A)であり、及び/又は228位はプロリン(P)、アルギニン(R)又はセリン(S)である。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0099】
更に、例えば、ある実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、軽鎖定常ドメインの少なくとも一部を含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、任意の脊椎動物種由来の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる二つの明確に区別されるタイプの一つに割り当てられうるので、カッパ又はラムダ軽鎖の何れか一つ又は組合せの軽鎖定常ドメインを含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、エフェクター機能(例えば結合親和性)について所望の効果を生じるアミノ酸位置に置換を含む軽鎖定常ドメインを含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、エフェクター機能(例えば、結合親和性)について効果を生じないアミノ酸位置に置換を含む軽鎖定常ドメインを含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、カッパ型の軽鎖定常ドメインを含み、110、144、146及び/又は168(カバット番号付け)位に置換を更に含む。一実施態様では、本発明の抗D因子抗体は、カッパ型の軽鎖定常ドメインを含み、110位(ここで、110はシステイン(C)又はバリン(V)である)、144位(ここで、144はシステイン(C)又はアラニン(A)である)、146位(ここで、146はイソロイシン(I)又はバリン(V)である)、及び/又は168位(ここで、168はシステイン(C)又はセリン(S)である)に置換を更に含む。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0100】
2.修飾された抗D因子抗体
ここでの発明は、修飾された抗D因子抗体、例えば修飾されたヒト化抗D因子抗体、及びその変異体、及びその断片(例えば抗原結合断片)の生産及び使用を含む。修飾された抗体を生産するための例示的方法は次のセクションにより詳細に記載される。
【0101】
ヒト化抗D因子抗体を含む親抗D因子抗体は、修飾された抗D因子抗体とその変異体を生産するために修飾されうる。一実施態様では、修飾された抗D因子抗体とその変異体は、親抗体に対して改善された物理的、化学的、生物学的又は均一性特性を有しうる。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0102】
一実施態様では、この発明の抗体は、親抗体の高頻度可変領域の一又は複数への一又は複数のアミノ酸の改変(例えば置換)を含む。あるいは、又は加えて、フレームワーク領域残基の一又は複数の改変(例えば置換)が親抗体に導入されうる。改変するフレームワーク領域残基の例は、直接抗原に非共有的に結合し(Amit等, (1986) Science, 233: 747-753);CDRの立体構造と相互作用/作用し(Chothia等 (1987) J. Mol. Biol., 196: 901-917)、及び/又はV
L−V
H干渉に関与(EP239400B1)するものを含む。ある実施態様では、そのようなフレームワーク領域残基の一又は複数の修飾は、抗原に対する抗体の結合親和性を亢進させる。例えば、約1から約5のフレームワーク残基が発明のこの実施態様で改変されうる。修飾するフレームワーク又はHVR領域残基の例は、かかる部位での修飾が脱アミド変異体(例えば、アスパラギン酸(D又はAsp)に修飾されたアスパラギン(N又はAsn)残基(群))、酸化変異体(例えば、スルホン又はスルホキシドに修飾されたメチオニン(M又はMet)残基(群)及び/又はトリプトファン(W又はTrp)残基(群))又はピログルタミン酸変異体(例えば、ピログルタミン酸に修飾されたグルタミン(Q又はGln)残基(群))の産生を生じる部位を含む。修飾するフレームワーク領域残基又はHVR領域残基の例は、可能な脱アミド部位(つまりアスパラギン(N又はAsn))、酸化部位(つまりメチオニン(M又はMet)又はトリプトファン(W又はTrp))又はピログルタミン酸転換部位(つまりグルタミン(Q又はGln))を含み、ここで、かかる部位での修飾が脱アミド及び/又は酸化及び/又はピログルタミン酸転換をそれぞれ防止する。脱アミド化変異体の生成を防止するためには、アスパラギン(N又はAsn)をアラニン(A又はAla)、グルタミン(Q又はGln)又はセリン(S又はSer)に変異させうる。酸化変異体の生成を防止するためには、メチオニン(Met)又はトリプトファン(W又はTrp)をロイシン(L)又はイソロイシン(I)に変異させうる。ピログルタミン酸変異体の生成を防止するためには、グルタミン(Q又はGln)をグルタミン酸(E又はGlu)に変異させうる。(Amphlett, G.等, Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996))。あるいは、又は加えて、フレームワーク領域残基の一又は複数の改変(例えば置換)は親抗体中のFc領域においてでありうる。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0103】
一実施態様では、この発明の抗体は、インビボでの抗体の半減期が親抗体又は天然配列Fc領域を含む抗体に対して増加又は減少するように変異体Fc領域を含む。一実施態様では、抗体は、抗体に対する新生児Fcレセプター(FcRn) 結合親和性を増加又は減少させる変異体Fc領域を含む(その全体が出典明示により援用される国際公開第2000042072号を参照)。例えば、かかる抗体は、Fc領域のアミノ酸位置238、252、253、254、255、256、265、272、286、288、303、305、307、309、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、386、388、400、413、415、424、433、434、435、436、439又は447の一又は複数の位置にアミノ酸修飾を含み得、ここで、Fc領域中の残基の番号付けはカバットのEU指数のものである。FcRnに対する結合性が低減したかかるポリペプチド変異体は、Fc領域のアミノ酸位置252、253、254、255、288、309、386、388、400、415、433、435、436、439又は447の任意の一又は複数にアミノ酸位置を含み得、ここで、Fc領域中の残基の番号付けはカバットのEU指数のものである。上述のポリペプチド変異体は、あるいは、FcRnに対して増加した結合性を示し得、Fc領域のアミノ酸位置238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の任意の一又は複数にアミノ酸修飾を含み、ここで、Fc領域中の残基の番号付けはカバットのEU指数のものである。例えば、抗体は、親抗体又は天然配列Fc領域を含む抗体に対してインビボで増加した半減期でもって結合する変異体Fc領域を含む。例えば、抗体は、親抗体又は天然配列Fc領域を含む抗体に対して増加したFcRnへの親和性でもって結合する変異体Fc領域を含む。
【0104】
FcRn結合親和性は次のようにして測定されうる:
この発明の抗体のヒトFcRnに対する結合性は、例えば、BiaCore3000機器を使用する表面プラズモン共鳴法によって研究することができる。ヒトFcRnはアミンカップリングキットを使用してセンサーチップにカップリングさせられる。例えば、CM5センサーチップは、5ml/分で7分の間、EDC/NHSで活性化させられうる。ヒトFcRnの100μg/mlを、活性化されたチップに対して10μl/分の流量で30秒から2分の間、注入することができ、100から200の最終結合反応単位(RU)が得られる。コンジュゲーション後、FcRnカップリングチップは、5μl/分で1Mのエタノールアミン塩酸塩を35μl注入することによってブロックされうる。
【0105】
pH6.0又はpH7.4でのこの発明の抗体のヒトFcRnへの結合性を決定することができる。結合実験に対して流通バッファーは、0.01%のP20と0.02%のアジ化ナトリウムを含むpH6.0又はpH7.4の何れかのPBSである。この発明の抗体は、pH6.0又はpH7.4の流通バッファーにバッファー交換されうる。一実施態様では、実験は25℃で実施される。pH6.0での実験では、4μMから0.7nMの範囲の濃度の抗体を、30μl/分で4分間、FcRn被覆チップに対して流し、ついで5分間チップから解離させられる。pH7.4の実験では、12μMから100nMの範囲の濃度の抗体を、20μl/分で1.5分間、FcRn被覆チップに対して注入し、ついで2分間、遊離させる。抗体をまたセンサーチップ上の未コンジュゲートスポットに対して流し、結合からFcRnカップリングチップへのバックグラウンドの非特異的結合の減算を可能にする。チップは注入の間でpH8.3の0.1MのTRISの30秒のパルスで再生することができる。各注入のための定常状態RUを各注入相の終わりに記録することができ、解離定数(K
D)は、注入濃度に対して定常状態RUをプロットすることによって後で計算される。
【0106】
そのような修飾された抗体、及びその断片(例えば抗原結合断片)及びその変異体を産生するための一つの有用な方法は、「アラニンスキャンニング突然変異誘発法」(Cunningham及びWells Science 244:1081-1085 (1989))と呼ばれる。ここで、高頻度可変領域残基(群)が、抗原とのアミノ酸の相互作用をなすためにアラニン又はポリアラニン残基(群)によって置換される。ついで置換に対する機能的感受性を示す高頻度可変領域残基(群)は、置換部位に又はそれに対して更なる又は他の変異を導入することにより洗練される。従って、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異の種類自体は予め決める必要はない。このようにして産生されるala変異体をここに記載したその生物活性(つまり結合親和性又は溶血アッセイ)についてスクリーニングされる。
【0107】
通常は、「好ましい置換」の表題で以下に示されているもののような保存的置換で始める。そのような置換が生物活性(例えば結合親和性)の変化を生じるならば、次の表において「例示的置換」と命名され、又はアミノ酸クラスを参照して以下に更に記載されるより実質的な変化が導入され、産物がスクリーニングされる。好ましい置換は以下の表に列挙される。
【0109】
抗体又はその断片(例えば抗原結合断片)の生物学的性質の更により実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋コンホメーション、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩の維持に対するそれらの効果が有意に異なる置換基を選択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループ分けされる:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性の親水性:cys、ser、thr,asn,gln;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro;及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
【0110】
非保存的置換は、これらのクラスの一つのメンバーを他のクラスと交換することを必要とする。
【0111】
他の実施態様では、修飾のために選択された部位が修飾され、改善された結合親和性を有する修飾がファージディスプレイによって選択される。
【0112】
アミノ酸配列変異体又は修飾されたアミノ酸配列をコードしている核酸分子は当該分野で知られている様々な方法により調製される。これらの方法は、限定されるものではないが、親抗体の先に調製された変異体又は非変異体型のオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発を含む。突然変異体又は変異体又は修飾されたアミノ酸配列を作製するための一方法は部位特異的突然変異誘発(例えばKunkel (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488を参照)である。
【0113】
ある実施態様では、修飾された抗体は単一の高頻度可変領域残基が置換されただけのものである。他の実施態様では、親抗体の高頻度可変領域残基の二以上が置換され、例えば約2から約10の高頻度可変領域置換である。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0114】
通常、修飾された抗体は、親抗体の重鎖又は軽鎖の何れかの可変ドメインのアミノ酸配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性又は類似性(定義のセクションで上に定義した)を有するアミノ酸配列を有する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0115】
修飾された抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の産生後に、親抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)に対するその分子の生物活性が決定される。上に述べたように、これは抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の結合親和性及び/又は他の生物活性を決定することを含みうる。本発明の一実施態様では、修飾された抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)のパネルを調製し、D因子又はその断片などの抗原に対する結合親和性についてスクリーニングする。この最初のスクリーニングから選択される修飾された抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の一又は複数には場合によっては一又は複数の更なる生物活性アッセイを施して、修飾された抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)が例えば前臨床研究に確かに有用であることが確認される。
【0116】
ここに記載された修飾された抗D因子抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)には、しばしば修飾された抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の意図された使用に応じて更なる修飾を施してもよい。そのような修飾は、以下に詳細に記載するもののような、アミノ酸配列の更なる改変、異種ポリペプチドとの融合及び/又は共有結合修飾を含みうる。アミノ酸配列改変に関しては、例示的な修飾は上に詳細に記した通りである。例えば、修飾された抗体の適切な立体構造を維持するのに関与していない任意のシステイン残基を、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防止するために、一般にセリンとまた置換することができる。反対に、システイン結合(群)を抗体に加えて(特に抗体がFv断片のような抗体断片である場合)その安定性を改善することができる。他のタイプのアミノ酸変異体は改変されたグリコシル化パターンを有している。これは、抗体中に見出される一又は複数の糖鎖部分を欠失させ、及び/又は抗体中に存在していない一又は複数のグリコシル化部位を付加することによって達成されうる。抗体、又は抗体断片(例えば抗原結合断片)のグリコシル化は、典型的にはN結合又はO結合の何れかである。N結合は、アスパラギン残基の側鎖への糖鎖部分の結合を意味する。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(ここで、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。よって、ポリペプチド中におけるこれらトリペプチド配列の何れかの存在は潜在的なグリコシル化部位をつくり出す。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース又はキシロースの一つの結合を意味するが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンをまた使用することができる。抗体へのグリコシル化部位の付加は、簡便にはアミノ酸配列を、それが一又は複数の上述のトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位の場合)を含むように改変することにより、達成される。 改変は、また(O結合グリコシル化部位の場合)、一又は複数のセリン又はスレオニンの、元の抗体の配列への付加、又は置換によってなすこともできる。
【0117】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも一つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0118】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体変異体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも一つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(b)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(c)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0119】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも一つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0120】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも二つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである。
【0121】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも二つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(b)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(c)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0122】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも二つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0123】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも三つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0124】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも三つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(b)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(c)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0125】
一実施態様では、本発明は、本願の親抗D因子抗体の修飾された抗D因子抗体を提供し、ここで、修飾された抗D因子抗体は、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列を含み、本願のそのような親抗D因子抗体のアミノ酸配列の少なくとも三つの位置(カバットの番号付けによる)は、次のものの一又は複数で置換される:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0126】
一実施態様では、本発明は基準抗体の軽鎖HVRsを含む抗D因子抗体を提供し、ここで、上記抗D因子抗体は上記基準抗体の一又は複数の位置に置換を更に含み、上記基準抗体はITSTDIDDDMN(配列番号30)を含む軽鎖HVR−1、GGNTLRP(配列番号35)を含む軽鎖HVR−2、及びLQSDSLPYT(配列番号38)を含む軽鎖HVR−3を含み、上記置換は次のものの一又は複数である:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0127】
一実施態様では、本発明は基準抗体の重鎖HVRsを含む抗D因子抗体を提供し、ここで、上記抗D因子抗体は上記基準抗体の一又は複数の位置に置換を更に含み、上記基準抗体はGYTFTNYGMN(配列番号39)を含む重鎖HVR−1、WINTYTGETTYADDFKG(配列番号40)を含む重鎖HVR−2、及びEGGVNN(配列番号41)を含む重鎖HVR−3を含み、上記置換は次のものの一又は複数である:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がV’である
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0128】
一実施態様では、本発明は基準抗体の軽鎖HVRs及び重鎖HVRsを含む抗D因子抗体を提供し、ここで、上記抗D因子抗体は上記基準抗体の一又は複数の位置に置換を更に含み、上記基準抗体はITSTDIDDDMN(配列番号30)を含む軽鎖HVR−1、GGNTLRP(配列番号35)を含む軽鎖HVR−2、及びLQSDSLPYT(配列番号38)を含む軽鎖HVR−3、及びGYTFTNYGMN(配列番号39)を含む重鎖HVR−1、WINTYTGETTYADDFKG(配列番号40)を含む重鎖HVR−2、及びEGGVNN(配列番号41)を含む重鎖HVR−3を含み、上記置換は次のものの一又は複数である:
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIである;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQである;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAである;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVである;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEである;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQである;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0129】
一態様では、本発明は、
(a)(i)配列番号39から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;
(ii)配列番号40から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;
(iii)配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44及び配列番号45から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3;
(iv)配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号34から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;
(v)配列番号35、配列番号36及び配列番号37から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び
(vi)配列番号38から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3
から選択される少なくとも一、二、三、四、五又は六のHVRs;又は
(b)変異体HVRが配列番号39、40、41、42、43、44、45、30、31、32、33、34、35、36、37又は38に記載の配列の少なくとも一残基の修飾を含む少なくとも一の変異体HVR
を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0130】
ある実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するHVRは、参照配列に対して、置換、挿入、又は欠失を含むが、そのアミノ酸配列を含む抗体は、D因子に結合する能力を保持している。ある実施態様では、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37及び配列番号38からなる群から選択される参照配列において全体で1から10のアミノ酸が置換、挿入、又は欠失されている。
【0131】
一態様では、本発明は、
(a)(i)配列番号39から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;
(ii)配列番号40から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;
(iii)配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44及び配列番号45から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3;
(iv)配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号34から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;
(v)配列番号35、配列番号36及び配列番号37から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び
(vi)配列番号38から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3
から選択される少なくとも一、二、三、四、五又は六のHVRs;又は
(b)配列番号39、40、41、42、43、44、45、30、31、32、33、34、35、36、37又は38に記載の配列の少なくとも一残基の修飾を含む少なくとも一の変異体HVR
を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。
一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0132】
一実施態様では、本発明は、配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L1を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、配列番号38のアミノ酸配列を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0133】
他の実施態様では、本発明は、配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0134】
他の実施態様では、本発明は、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0135】
他の実施態様では、本発明は、配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2、胃列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0136】
一態様では、本発明は、配列番号18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28及び29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。ある実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列は、参照配列に対して置換、挿入、又は欠失を含むが、そのアミノ酸配列を含む抗体はD因子に結合する能力を保持している。ある実施態様では、配列番号18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28及び29からなる群から選択される配列において全体で1から10のアミノ酸が置換、挿入、又は欠失されている。ある実施態様では、置換、挿入又は欠失は、HVRsの外側の領域(つまり、FRs中)において生じる。ある実施態様では、修飾された抗D因子抗体は、配列番号18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28及び29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0137】
一態様では、本発明は、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16及び17からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。ある実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列は参照配列に対して置換、挿入、又は欠失を含むが、そのアミノ酸配列を含む抗体はD因子に結合する能力を保持している。ある実施態様では、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16及び17からなる群から選択される配列において全体で1から10のアミノ酸が置換、挿入、又は欠失されている。ある実施態様では、置換、挿入又は欠失は、HVRsの外側の領域(つまり、FRs中)において生じる。ある実施態様では、修飾された抗D因子抗体は、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16及び17からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0138】
例えば、本発明は、配列番号18を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号6を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号18を含む重鎖可変ドメインと配列番号6を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号19を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号7を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号19を含む重鎖可変ドメインと配列番号7を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号20を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号20を含む重鎖可変ドメインと、配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号21を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号9を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号21を含む重鎖可変ドメインと、配列番号9を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号22を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号10の軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号22を含む重鎖可変ドメインと、配列番号10を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号23を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号11を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号23を含む重鎖可変ドメインと、配列番号11を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号24を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号12を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号24を含む重鎖可変ドメインと、配列番号12を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号25を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号13を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号25を含む重鎖可変ドメインと、配列番号13を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号26を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号14を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号26を含む重鎖可変ドメインと、配列番号14を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号27を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号15を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号27を含む重鎖可変ドメインと、配列番号15を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号28を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号16を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号28を含む重鎖可変ドメインと、配列番号16を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号29を含む重鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号17を含む軽鎖可変ドメインを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。例えば、本発明は、配列番号29を含む重鎖可変ドメインと、配列番号17を含む軽鎖可変ドメインとを含む修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0139】
一実施態様では、本発明は次のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する:X
1VQLVQSGPELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGETTYADDFKGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCEREGGVX
2X
3WGQGTLVTVSS(配列番号74)(ここで、X
1はQ又はEであり;X
2はN、A又はQであり;X
3はN、A又はQである)。一実施態様では、本発明は、次のアミノ酸配列を含む修飾された抗D因子抗体を提供する:X
1VQLVQSGPELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGETTYADDFKGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCEREGGVX
2X
3WGQGTLVTVSS(配列番号74)(ここで、X
1はQ又はEであり;X
2はN、A又はQであり;及びX
3はN、A又はQである)。一例では、本発明は上記ポリペプチドの断片を提供する。
【0140】
一実施態様では、本発明は次のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する:DIQVTQSPSSLSASVGDRVTITCITSTDIDDDX
4X
5WYQQKPGKVPKLLISGGX
6TLRPGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLQSDSLPYTFGQGTKX
7EIK(配列番号73)(ここで、X
4はM、L又はIであり;X
5はN、A又はQであり;X
6はN、S又はAであり;X
7はL又はVである)。一実施態様では、本発明は次のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む修飾された抗D因子抗体を提供する:DIQVTQSPSSLSASVGDRVTITCITSTDIDDDX
4X
5WYQQKPGKVPKLLISGGX
6TLRPGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLQSDSLPYTFGQGTKX
7EIK(配列番号73)(ここで、X
4はM、L又はIであり;X
5はN、A又はQであり;X
6はN、S又はAであり;X
7はL又はVである)。一例では、本発明は上記ポリペプチドの断片を提供する。
【0141】
一実施態様では、本発明は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28及び配列番号29を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。他の実施態様では、本発明は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号17を含む群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。一例では、本発明は上記ポリペプチドの断片を提供する。
【0142】
一態様では、本発明は、軽鎖ドメインが配列番号47の配列を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。他の態様では、本発明は、重鎖ドメインが配列番号54の配列を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。一態様では、本発明は、軽鎖ドメインが配列番号61の配列を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。他の態様では、本発明は、重鎖ドメインが配列番号63の配列を含む修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0143】
一態様では、本発明は配列番号47の配列を含むポリペプチドを提供する。他の態様では、本発明は配列番号54の配列を含むポリペプチドを提供する。一態様では、本発明は配列番号61の配列を含むポリペプチドを提供する。他の態様では、本発明は配列番号63の配列を含むポリペプチドを提供する。一例では、本発明は上記ポリペプチドの断片を提供する。
【0144】
一態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号17からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0145】
一態様では、本発明は、可変重鎖ドメインが、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28及び配列番号29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0146】
一態様では、本発明は、軽鎖ドメインが配列番号47の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の態様では、本発明は、重鎖ドメインが配列番号54の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。一態様では、本発明は、軽鎖ドメインが配列番号61の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の態様では、本発明は、重鎖ドメインが配列番号63の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0147】
一態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号6の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号18の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号7の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号19の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号8の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号20の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号9の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号21の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号10の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号22の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号11の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号23の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号12の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号24の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号13の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号25の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号14の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号26の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号15の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号27の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号16の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号28の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号17の配列を含み、可変重鎖ドメインが配列番号29の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0148】
一態様では、本発明は、可変軽鎖ドメインが配列番号47の配列を含み、重鎖ドメインが配列番号54の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。一態様では、本発明は、軽鎖ドメインが配列番号61の配列を含み、重鎖ドメインが配列番号63の配列を含むヒト化抗D因子#111の修飾された抗D因子抗体を提供する。
【0149】
3.抗D因子抗体の親和性及び生物学的活性
ここでの発明は、抗D因子抗体において所望されるとしてここで同定された特性を有する抗体、及びその変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)を含む。抗D因子抗体において所望されるとしてここで同定された特性を有する抗体、及びその変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)は、例えばインビトロ又はインビボでの阻害生物学的活性について、又は結合親和性を測定することによって、スクリーニングされうる。
【0150】
a.親和性
抗D因子抗体、及びその変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)が対象の抗体(例えば、D因子活性をアンタゴナイズする抗体)が結合するヒトD因子上の同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、交差遮断(cross-blocking)アッセイを実施することができる(Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow 及び David Lane (1988))。別法では、抗D因子抗体が対象のエピトープに結合するかどうかを決定するためにエピトープマッピングを実施することができる(Champe等, J. Biol. Chem., 270: 1388-1394 (1995))。例えばヒトD因子に対する抗体親和性は、実施例3に記載したものを含む標準的な方法を使用して決定することができる。
【0151】
一態様では、本発明は、マウス抗D因子抗体及び/又はヒト化抗D因子抗体クローン#111、及び/又はヒト化抗D因子抗体クローン#111の可変ドメイン又はHVR配列を含む抗体と競合する抗D因子抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)を提供する。マウス抗D因子抗体及び/又はヒト化抗D因子抗体クローン#111、及び/又はヒト化抗D因子抗体クローン#111の可変ドメイン又はHVR配列を含む抗体と同じエピトープに結合する抗D因子抗体、又はその変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)もまた提供される。
【0152】
一実施態様では、本発明は、マウス抗D因子抗体由来の軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、これらからなり、又はこれらから本質的になり、D因子に対する抗体の一価親和性が(例えば、D因子に対するFab断片のような抗体の親和性)がキメラ抗体(例えば、D因子に対するFab断片のようなキメラ抗体の親和性)の一価親和性よりも1倍又は2倍低い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0153】
一実施態様では、本発明は、マウス抗D因子抗体由来の軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、これらからなり、又はこれらから本質的になり、D因子に対する抗体の二価親和性が(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)がキメラ抗体(例えば、D因子に対するIgGのようなキメラ抗体の親和性)の二価親和性よりも1倍又は2倍低い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0154】
他の実施態様では、本発明は、マウス抗D因子抗体由来の軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、これらからなり、又はこれらから本質的になり、D因子に対する抗体の一価親和性が(例えば、D因子に対するFab断片のような抗体の親和性)がキメラ抗体(例えば、D因子に対するFab断片のようなキメラ抗体の親和性)の一価親和性よりも少なくとも1倍又は2倍大きい抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0155】
他の実施態様では、本発明は、マウス抗D因子抗体由来の軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、これらからなり、又はこれらから本質的になり、D因子に対する抗体の二価親和性が(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)がキメラ抗体(例えば、D因子に対するIgGのようなキメラ抗体の親和性)の二価親和性よりも少なくとも1倍又は2倍大きい抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0156】
他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が20nM(20×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が10nM(10×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が1.0nM(1.0×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が0.5nM(0.5×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が1.0pM(1.0×10
−12M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が0.5pM(0.5×10
−12M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0157】
他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が10.0nM(10.0×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が5.0nM(5.0×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が1.0nM(1.0×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が0.5nM(0.5×10
−9M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が5.0pM(5.0×10
−12M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が2.0pM(2.0×10
−12M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が1.0pM(1.0×10
−12M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が0.5pM(0.5×10
−12M)又はそれより良い抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0158】
他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が0.5mM(0.5×10
−6M)から0.5pM(0.5×10
−12M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性が15nM(15×10
−9M)から0.1nM(0.1×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が5.5nM(5.5×10
−9M)から1nM(1×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性が0.5pM(0.5×10
−12M)から2pM(2×10
−12M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0159】
他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が0.5mM(0.5×10
−6M)から0.5pM(0.5×10
−12M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が10nM(10×10
−9M)から0.05nM(0.05×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が5.5nM(5.5×10
−9M)から1nM(1×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が0.5pM(0.5×10
−12M)から2pM(2×10
−12M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0160】
他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が約1.4pM(1.4×10
−12M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が約1.1pM(1.1×10
−12M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が約0.19nM(0.19×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が約0.08nM(0.08×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が約12.3nM(12.3×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が約9.0nM(9.0×10
−9M)である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0161】
他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が約1.4pM(1.4×10
−12M)+/−0.5である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が約1.1pM(1.1×10
−12M)+/−0.6である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が約0.19nM(0.19×10
−9M)+/−.01である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が約0.08nM(0.08×10
−9M)+/−0.01である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その一価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)が約12.3nM(12.3×10
−9M)+/−2である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。他の実施態様では、本発明は、その二価形態の抗体のD因子に対する親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)が約9.0nM(9.0×10
−9M)+/−1である抗D因子抗体、又はその抗体変異体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0162】
他の実施態様では、抗D因子抗体、又はその抗体変異体は、約1.4pM(1.4×10
−12M)+/−2のD因子に対するその一価形態の親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)を有しうる。他の実施態様では、抗D因子抗体、又はその抗体変異体は、約1.1pM(1.1×10
−12M)+/−2のD因子に対するその二価形態の親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)を有しうる。他の実施態様では、抗D因子抗体,又はその抗体変異体は、約0.19nM(0.19×10
−9M)+/−2のD因子に対する一価形態の親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)を有しうる。他の実施態様では、抗D因子抗体、又はその抗体変異体は、約0.08nM(0.08×10
−9M)+/−2のD因子に対するその二価形態の親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)を有しうる。他の実施態様では、抗D因子抗体,又はその抗体変異体は、約12.3nM(12.3×10
−9M)+/−2のD因子に対するその一価形態の親和性(例えばD因子に対するFab断片のような抗体の親和性)を有しうる。他の実施態様では、抗D因子抗体,又はその抗体変異体は、約9.0nM(9.0×10
−9M)+/−2のD因子に対するその二価形態の親和性(例えば、D因子に対するIgGのような抗体の親和性)を有しうる。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0163】
当該分野で十分に確立されているように、リガンドのそのレセプターに対する結合親和性を、様々なアッセイの何れかを使用して決定することができ、様々な定量値によって表される。従って、一実施態様では、結合親和性はK
D値として表され、本来の結合親和性(例えば、最小化されたアビディティー効果を持つ)を反映する。一般にかつ好ましくは、結合親和性は、無細胞設定か細胞随伴設定かにかかわらず、インビトロで測定される。ここにより詳細に記載されているように、結合親和性の倍率変化は、ヒト化抗体(例えば、Fab型)の一価結合親和性値と基準/コンパレーター抗体(例えば、Fab型)(例えば、ドナー高頻度可変領域配列を有するマウス抗体)の一価結合親和性値の比によって定量化され得、ここで、結合親和性値は同様のアッセイ条件下で決定される。よって、一実施態様では、結合親和性の倍率変化は、Fab型のヒト化抗体と上記基準/コンパレーターFab抗体のK
D値の比として決定される。例えば、一実施態様では、本発明の抗体(A)は、基準抗体(M)の親和性より「3倍低い」親和性を有する場合、AのK
D値は3xであるならば、MのK
D値は1×であり、MのK
Dに対するAのK
Dは3:1であろう。逆に、一実施態様では、if本発明の抗体(C)が、基準抗体(R)の親和性より「3倍大きい」親和性を有する場合、CのK
D値が1×ならば、RのK
D値は3×であり、RのK
Dに対するCのK
Dは1:3であろう。例えば、Biacore、ラジオイムノアッセイ(RIA)及びELISAを含むここに記載のものを含む多くの既知のアッセイの何れかを用いて、結合親和性測定値を得ることができる。
【0164】
更に、本発明の抗体のK
D値は、使用される特定のアッセイの条件に応じて変動しうる。例えば、一実施態様では、結合親和性測定値は、Fab又は抗体が固定化され、リガンド、つまりD因子の結合が測定され、又は別法では、Fab又は抗体に対するリガンド、つまりD因子が固定化され、Fab又は抗体の結合が測定されるアッセイで得られうる。一実施態様では、結合親和性測定値は、再生条件が(1)10mMのグリシン又は4MのMgCl
2、pH1.5、及び(2)1.5のpH、5.0のpH、6.0のpH及び7.2のpHを含む1.0のpHから7.5のpHのpHを含みうる測定されるアッセイで得られうる。一実施態様では、結合親和性測定値は、結合条件が、(1)PBS又はHEPES−緩衝生理食塩水及び(2)Tween−20、つまり0.1%のTween−20を含みうるアッセイで得られうる。一実施態様では、結合親和性測定値は、 リガンド、つまりD因子の供給源は市販の供給源からでありうるアッセイで得られうる。一実施態様では、結合親和性測定値は、(1)Fab又は抗体が固定化され、リガンド、つまりD因子の結合が測定され、(2)再生条件がpH7.2の4MのMgCl
2を含み、(3)結合条件が0.1%のTween−20を含むpH7.2のHEPES緩衝生理食塩水を含むアッセイで得られうる。一実施態様では、結合親和性測定値は、(1)リガンド、つまりD因子が固定化され、Fab又は抗体の結合が測定され、(2)再生条件はpH1.5の10mMのグリシンを含み、(3)結合条件がPBSバッファーを含むアッセイで得られうる。
【0165】
b.生物学的活性
抗D因子抗体、又は変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)がD因子に結合することができ、生物学的効果、例えば、第二経路溶血の阻害性を奏するかどうかを決定するために、実施例2に記載のものを含むウサギRBCsを使用する溶血阻害アッセイを使用することができる。このような溶血阻害性は、標準的なアッセイを使用して決定することができる(Kostavasili等, J of Immunology, 158(4): 1763-72 (1997); Wiesmann等, Nature, 444(7116): 159-60 (2006))。そのようなアッセイにおける補体の活性化は、血清又は血漿を用いて開始することができる。血清又は血漿中のD因子の適切な濃度(Pascual等, Kidney International, 34: 529-536 (1998);Complement Facts Book, Bernard J. Morley及びMark J. Walport編, Academic Press (2000);Barnum等, J. Immunol. Methods, 67: 303-309 (1984))は、Pascual等, Kidney International, 34: 529-536 (1998) 及びBarnum等, J. Immunol. Methods, 67: 303-309 (1984)のような文献及び実施例4に記載されているものを含む当該分野で知られている方法に従って常套的に決定することができる。本発明は、一般に、D因子に関連する生物学的活性を阻害することができる抗体に関する。例えば、18μg/ml(血液中のヒトD因子のモル濃度の約1.5倍に等価;約1.5:1のD因子に対する抗D因子抗体のモル比)の濃度で、抗体による第二補体活性の有意な阻害を観察することができる(例えば、米国特許第6956107号を参照)。
【0166】
一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が30nM未満のIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を含む。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が15nM未満のIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を含む。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が10nM未満のIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を含む。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が5nM未満のIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を含む。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0167】
一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が30nMから2nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が25nMから7nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が20nMから12nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が30nMから15nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が12nMから8nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が7nMから2nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が6nMから3nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が8nMから5nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が5nMから2nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が10nMから5nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が8nMから2nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が7nMから3nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が6nMから4nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約4.7nM±0.6nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約6.4nM±0.6nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約3.5nM±0.5nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約4.4nM±1.5nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約10.2nM±0.8nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約23.9nM±5.0nMのIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0168】
一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が80nM未満の
IC90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が50nM未満の
IC90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が40nM未満の
IC90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が20nM未満の
IC90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が15nM未満のIC
50値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0169】
一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が80nMから10nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が75nMから15nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が70nMから20nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が65nMから25nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が60nMから30nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が55nMから35nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が50nMから40nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が80nMから70nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が55nMから25nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が16nMから12nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約14.0nM±1.0nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約38.0nM±11.0nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。他の実施態様では、本発明は、抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が約72.6nM±4.8nMのIC
90値で第二経路溶血を阻害する抗体を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0170】
一実施態様では、本発明は、抗D因子抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)であって、かかる抗体のFab断片が、約0.05:1(0.05)から約10:1(10)、又は約0.09:1(0.09)から約8:1(8)、又は約0.1:1(0.1)から約6:1(6)、又は約0.15:1(0.15)から約5:1(5)、又は約0.19:1(0.19)から約4:1(4)、又は約0.2:1(0.2)から約3:1(3)、又は約0.3:1(0.3)から約2:1(2)、又は約0.4:1(0.4)から約1:1(1)、又は約0.5:1(0.5)から約1:2(0.5)、又は約0.6:1(0.6)から約1:3(0.33)、又は約0.7:1(0.7)から約1:4(0.25)、又は約0.8:1(0.8)から約1:5(0.2)又は約0.9:1(0.9)から約1:6(0.17)のD因子に対する抗体のモル比で第二経路溶血を阻害する抗体に関する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0171】
一実施態様では、本発明は、ヒト化抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を含む。本発明の抗体断片は、例えば、Fab、Fab′、F(ab′)
2、scFv、(scFv)
2、dAb、相補性決定領域(CDR)断片、線状抗体、単鎖抗体分子、ミニボディ、ダイアボディ、又は抗体断片から形成された多重特異性抗体でありうる。更なる実施態様では、本発明は網膜の実質的に全てを透過できるヒト化抗D因子抗体断片(例えば抗原結合断片)を提供する。また更なる実施態様では、本発明は、網膜の全ての厚みを通って透過できるヒト化抗D因子抗体断片(例えば抗原結合断片)を提供する。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0172】
一実施態様では、本発明は、ヒト化抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が、単一の硝子体内注入を介しての哺乳動物の眼(例えばヒト)中への投与後、少なくとも3、5、7、10又は12日の半減期を有する抗体を含む。他の実施態様では、本発明は、ヒト化抗D因子抗体であって、かかる抗体のFab断片が、単一の硝子体内注入を介しての哺乳動物の眼(例えばヒト)中への投与後、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110又は115日の間、第二経路(AP)補体活性化を阻害する抗体を含む。他の実施態様では、本発明は、ヒト化抗D因子抗体であって、第二経路(AP)補体活性化を阻害するかかる抗体のFab断片の濃度が、単一の硝子体内注入を介しての哺乳動物の眼(例えばヒト)中への投与後、網膜組織に少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80又は85日の間維持される抗体を含む。他の実施態様では、本発明は、ヒト化抗D因子抗体であって、第二経路(AP)補体活性化を阻害するかかる抗体のFab断片の濃度が、単一の硝子体内注入を介しての哺乳動物の眼(例えばヒト)中への投与後、硝子体液中に少なくとも80、85、90、95、100、105、110又は115日の間維持される抗体を含む。一例では、本発明は、上記抗D因子抗体の断片(例えば抗原結合断片)を提供する。
【0173】
抗体の生産
宿主細胞の選択と形質転換
宿主細胞を、ここに記載した抗D因子抗体生産のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコル、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及び上掲のSambrook等に見出すことができる。
【0174】
染色体外又は染色体組込み体によってDNAが複製可能であるように宿主細胞中にDNAを導入することを意味する真核生物細胞形質移入及び原核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl
2、CaPO
4、リポソーム媒介、ポリエチレン−グリコール/DMSO及びエレクトロポレーションは、当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、そのような細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shaw等, Gene, 23:315 (1983)及び1989年6月29日公開の国際公開第89/05859号に記載されているように、ある種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法を用いることができる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4399216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van solingen等, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
【0175】
ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現させるために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞である。この目的のための適切な原核生物は、グラム陰性及びグラム陽性双方の生物、例えば腸内細菌、例えばエシェリキア属、例えば、大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ、例えばネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)、セラチア、例えばセラチア・マルセサンス(Serratia marcescans) 、及び赤痢菌、並びに桿菌、例えばバチルス・スブチルス(B. subtilis)及びバチルス・リチェニフォルミス(B. licheniformis)(例えば、1989年4月12日発行のDD266710に記載されたバチルス・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿菌、根粒菌、ビトレオスシラ(Vitreoscilla)、パラコッカス(Paracoccus)及びストレプトマイセスを含む。一つの好適な大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC31446)であるが、他の大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31537)、大腸菌W3110(ATCC27325)及びK% 772(ATCC53635)のような株も好適である。これらの例は限定するものではなく例示的なものである。株W3110は、組換えDNA生成物発酵のための一般的な宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌しうる。例えば、株W3110(Bachmann, Cellular and Molecular Biology 2巻(ワシントンD.C.:American Society for Microbiology, 1987), pp.1190-1219;ATCC寄託番号27325)を改変して、宿主に内在性のタンパク質をコードする遺伝子に遺伝子変異を生じさせることができ、かかる宿主の例は、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する;完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169degP ompT kan
rを有する大腸菌W3110株27C7(ATCC55244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169degP ompT rbs7 ilvG kan
rを含む大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ株37D6である大腸菌W3110株40B4;遺伝子型W3110ΔfhuA(ΔtonA)ptr3 lac Iq lacL8ΔompTΔ(nmpc−fepE)degP41 kan
Rを有する大腸菌W3110株33D3(米国特許第5639635号)及び1990年8月7日発行の米国特許第4946783号に開示された変異体周辺質プロテアーゼを有する大腸菌を含む。大腸菌294(ATCC31446)、大腸菌B、大腸菌λ1776(ATCC31537)及び大腸菌RV308(ATCC31608)などの他の株及びその誘導体もまた好適である。これらの例は例示であって限定されるものではない。定まった遺伝子型を有する上述の細菌の何れかの誘導体を構築する方法は当該分野では知られており、例えば、Bass等, Proteins, 8:309-314 (1990)に記載されている。一般に細菌の細胞におけるレプリコンの複製可能性を考慮して適当な細菌を選択する必要がある。例えば、pBR322、pBR325、pACYC177、又はpKN410などのよく知られたプラスミドをレプリコンを供給するために用いる場合には、大腸菌、セラチア、又はサルモネラ種が宿主として使用するのに好適であり得る。典型的には、宿主細胞は最少量のタンパク質分解酵素しか分泌すべきでなく、更なるプロテアーゼ阻害剤を細胞培養に導入することが望ましい場合もある。あるいは、クローニングのインビトロ法、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が適している。
【0176】
完全長抗体、抗体断片(例えば抗原結合断片)及び抗体融合タンパク質は、特にグルコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合、例えば治療用抗体が細胞障害剤(例えば毒素)に結合し、免疫コンジュゲートがそれ自体で腫瘍細胞破壊において効果を示す場合に、細菌内で生成させることができる。完全長抗体はより長い循環半減期を有する。大腸菌における生成は、より早くコスト的にも有効である。細菌中における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば翻訳開始領域(TIR)、及び発現及び分泌の最適化のためのシグナル配列について記載した米国特許第5648237号(Carter等)、米国特許第5789199号(Joly等)及び米国特許第5840523号(Simmons等)が参照され、これらの特許は出典を明示してここに援用される。発現後、抗体を可溶性画分中の大腸菌細胞ペレットから単離し、アイソタイプに応じて、例えばプロテインA又はGカラムを通して精製できる。最終精製は、例えばCHO細胞で発現した抗体の精製法と同様にして実施することができる。
【0177】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物が、抗体をコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシエは下等真核生物宿主微生物のなかで最も一般的に用いられる。しかしながら、多数の他の属、種及び菌株も、一般的に入手可能でここで使用でき、例えば、シゾサッカロマイセスポンベ;クルイベロマイセス、カンジダ;トリコデルマ;アカパンカビ;及び糸状真菌、例えばパンカビ属、アオカビ属、トリポクラジウム、及びコウジカビ属宿主、例えば偽巣性コウジ菌及びクロカビである。メチロトローフ酵母はここでは適しており、限定するものではないが、ハンゼヌラ、カンジダ、 クロエケラ、ピキア、サッカロミセス、トルロプシス及び ロドトルラからなる属から選択されるメタノールで増殖可能な酵母が含まれる。このクラスの酵母の例である特定の種のリストは、C. Anthony, The Biochemistry of Methylotrophs, 269 (1982)に見出すことができる。
【0178】
グリコシル化抗体の発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。原理的には、脊椎動物であろうと無脊椎動物培養であろうと、任意のより高等の真核生物細胞培養が使用できる。無脊椎動物細胞の例としては植物及び昆虫細胞が含まれる。Luckow等, Bio/Technology 6, 47-55 (1988);Miller等, Genetic Engineering, Setlow等編 Vol. 8, pp. 277-279 (Plenam publishing 1986);Mseda等, Nature 315, 592-594 (1985)。多数のバキュロウイルス株及び変異体及び対応する許容可能な昆虫宿主細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス(蚊)、ドゥロソフィラ・メラノガスター(ショウジョウバエ)、及びボンビクス・モリが同定されている。トランスフェクションのための様々なウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL-1変異体とボンビクス・モリ NPVのBm-5株が公に利用でき、それらのウイルスは、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera fugiperda)細胞の形質移入のために、本発明に係るここでのウイルスとして使用できる。更に、綿花、コーン、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、及びタバコのような植物細胞培養を宿主として利用することもできる。
【0179】
培養(組織培養)での脊椎動物、及び脊椎動物細胞の増殖は常套手段になっている。Tissue Culture, Academic Press, Kruse及びPatterson編(1973)を参照のこと。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、サル腎臓;ヒト胚腎臓株;ハムスター乳児腎細胞;チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞;ヒト子宮頸癌細胞 (HELA); イヌ腎細胞;ヒト肺細胞;ヒト肝細胞;マウス乳房腫瘍;及びNS0細胞である。
【0180】
本発明の抗体、又はその抗体断片(例えば抗原結合断片)の組換え生産のために、それをコードする核酸(例えばcDNA又はゲノムDNA)を単離して、更なるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクターに挿入する。抗体又はその断片(例えば抗原結合断片) をコードするDNAは従来の手順で簡単に単離し、配列決定される(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)。多くのベクターが利用可能である。用いる宿主細胞にある程度依存してベクターを選択する。一般に、好適な宿主細胞は原核生物又は真核生物(一般的に哺乳動物)由来の細胞である。
【0181】
ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で知られている技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位中に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの構築には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
【0182】
D因子は直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質又はポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドでありうる異種性ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても生産されうる。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、又はベクター中に挿入される抗D因子抗体コードDNAの一部でありうる。シグナル配列は、例えばアルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列でありうる。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5010182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日公開の欧州特許出願公開第362179号)、又は1990年11月15日公開の国際公開第90/13646号に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用されうる。
【0183】
宿主細胞は抗体生産のための上述のベクターを用いて形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅させるのに適切に修飾された一般的な栄養培地で培養される。
【0184】
本発明の抗体、又はその抗体変異体又は断片(例えば抗原結合断片)を製造するために使用される宿主細胞は、様々な培地で培養されうる。
【0185】
a.原核生物宿主細胞
本発明のポリペプチドを生産するために用いられる原核細胞は、当該分野で既知であり選択した宿主細胞の培養に好適な培地中で増殖させる。好適な培地の例としては必要な栄養素を添加したルリア・ブロス(LB)が挙げられる。ある実施態様では、発現ベクターを含む原核細胞の増殖を選択的に可能にするために、培地はまた発現ベクターの構成を基に選択した選択剤も含んでもよい。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖のためには、アンピシリンを培地に加える。
【0186】
炭素、窒素、及び無機リン酸供給源の他に、任意の必要なサプリメントも適当な濃度で単独で又は他のサプリメントもしくは窒素錯体供給源などの培地との混合物として取り入れて含めてもよい。場合によっては、培養培地はグルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリスリトール及びジチオスレイトールからなる群から選択される一又は複数の還元剤を含みうる。
【0187】
原核宿主細胞を好適な温度で培養する。大腸菌増殖には、例えば、好ましい温度は約20℃から約39℃、より好ましくは約25℃から約37℃にわたり、更により好ましくは約30℃である。培地のpHは、主として宿主生物に依存して、約5から約9の範囲の任意のpHでありうる。大腸菌では、pHは好ましくは約6.8から約7.4であり、より好ましくは約7.0である。
【0188】
本発明の発現ベクターに誘導プロモーターを用いる場合には、タンパク質発現はプロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。本発明の一態様では、ポリペプチドの転写の制御にPhoAプロモーターが用いられる。従って、形質転換された宿主細胞は誘導のためにリン酸制限培地中で培養される。好ましくは、リン酸制限培地はC.R.A.P培地(例えば、Simmons等, J. Immunol. Methods (2002), 263:133-147を参照)である。当該分野で知られているように、用いられるベクターコンストラクトに応じて、様々な他のインデューサーを使用することができる。
【0189】
一実施態様では、発現された本発明のポリペプチドは宿主細胞の細胞膜周辺中に分泌され、そこから回収される。タンパク質の回収は、一般には浸透圧ショック、超音波処理又は溶解のような手段によって典型的には微生物を破壊することを含む。ひとたび細胞が破壊されると、細胞片又は全細胞を遠心分離又は濾過によって除去することができる。タンパク質は、例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーによって更に精製することができる。あるいは、タンパク質は培養培地に輸送しそこで分離することができる。細胞を培養物から除去することができ、培養上清は濾過され、生成したタンパク質の更なる精製のために濃縮される。発現されたポリペプチドを更に単離し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)及びウェスタンブロットアッセイ法のような一般的に知られている方法を使用して同定することができる。
【0190】
本発明の一態様では、抗体産生は発酵法によって多量で実施される。組換えタンパク質の生産には様々な大規模流加発酵法を利用することができる。大規模発酵は少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1000から100000リットルの容量である。これらの発酵槽は、酸素と栄養分、特にグルコース(好ましい炭素/エネルギー源)を分散させる撹拌翼を使用する。小規模発酵とは一般におよそ100リットル以下の容積で、約1リットルから約100リットルの範囲でありうる発酵槽での発酵を意味する。
【0191】
発酵法では、タンパク質の発現の誘導は、典型的には、細胞が適切な条件下にて、初期定常期に細胞がある段階で、所望の密度、例えば約180−220のOD
550まで増殖したところで開始される。当該分野で知られ上述されているように、用いられるベクターコンストラクトに応じて、様々なインデューサーを用いることができる。細胞を誘導前の短い時間の間、増殖させうる。細胞は通常約12−50時間の間、誘導されるが、更に長い又は短い誘導時間も使用できる。
【0192】
本発明のポリペプチドの生産収量と品質を改善するために、様々な発酵条件を変更することができる。例えば、分泌される抗体ポリペプチドの正しい組み立てとフォールディングを改善するために、例えばDsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD及び/又はDsbG)又はFkpA(シャペロン活性を持つペプチジルプロピルシス、トランス-イソメラーゼ)のようなシャペロンタンパク質を過剰発現する更なるベクターを用いて宿主原核細胞を同時形質転換させることができる。シャペロンタンパク質は細菌宿主細胞中で生産される異種性タンパク質の適切な折り畳みと溶解性を容易にすることが実証されている。Chen等 (1999) J Bio Chem 274:19601-19605;Georgiou等, 米国特許第6083715号;Georgiou等, 米国特許第6027888号;Bothmann及びPluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17100-17105;Ramm及びPluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17106-17113;Arie等 (2001) Mol. Microbiol. 39:199-210。
【0193】
発現された異種タンパク質(特にタンパク分解を受けやすいもの)のタンパク質分解を最小にするために、タンパク質分解酵素を欠くある種の宿主株を本発明に用いることができる。例えば、宿主細胞株を改変して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI及びその組合せのような既知の細菌プロテアーゼをコードしている遺伝子に遺伝子突然変異を生じさせることができる。幾つかの大腸菌プロテアーゼ欠損株が利用でき、例えば、上掲のJoly等 (1998);Georgiou等, 米国特許第5264365号;Georgiou等, 米国特許第5508192号;Hara等 (1996) Microbial Drug Resistance 2:63-72に記載されている。
【0194】
一実施態様では、タンパク分解酵素が欠損し、一又は複数のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換された大腸菌株が、本発明の発現系における宿主細胞として使用される。
【0195】
b.真核生物宿主細胞
市販培地、例えばハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地((MEM),(シグマ)、RPMI-1640(シグマ)、及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM),シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。また、Ham等, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes等, Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米国特許第4767704号;同4657866号;同4560655号;同5122469号;同5712163号;又は同6048728号に記載された何れの培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地には何れもホルモン及び/又は他の増殖因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、又は表皮増殖因子)、塩類(例えば、X-クロライド、ここで、Xはナトリウム、カルシウム、マグネシウム;及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCIN
TM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価なエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について過去に用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
【0196】
抗体生産
抗D因子抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)を用いて又は酵素的切断により膜から引き離すことができる。抗D因子抗体の発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の物理的又は化学的手段によって破壊することができる。
【0197】
抗D因子抗体は、組換え細胞タンパク質又はポリペプチドから精製することが望ましい場合がある。次の手順は適切な精製手順の例である:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラム;及び抗D因子抗体のエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。タンパク質精製の様々な方法を用いることができ、かかる方法は当該分野で知られ、例えば、Deutscher, Methods in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載されている。選ばれる精製工程は、例えば、用いられる生産方法及び特に生産される特定の抗D因子抗体の性質に依存する。
【0198】
組換え技術を用いる場合、抗体、又はその抗体変異体又は断片(例えば抗原結合断片)は細胞内、細胞膜周辺腔に生産され、又は培地内に直接分泌される。抗体、又はその抗体変異体又は断片(例えば抗原結合断片)が細胞内に生産される場合、第1の工程として、宿主細胞か溶解された断片の何れにしても、粒子状の細片が、例えば遠心分離又は限外濾過によって除去される。Carter等, Bio/Technology 10: 163-167 (1992)は、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌された抗体の単離方法を記載している。簡単に述べると、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在下で約30分間解凍する。細胞細片は遠心分離で除去できる。抗体、又はその抗体変異体又は断片(例えば抗原結合断片)が培地に分泌された場合は、そのような発現系からの上清を、一般的には先ず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はPelliconの限外濾過装置を用いて濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を上記の任意の工程に含めて、タンパク質分解を阻害してもよく、また抗生物質を含めて外来性の汚染物の増殖を防止してもよい。
【0199】
細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製でき、アフィニティクロマトグラフィーが一つの精製技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトIgG1、IgG2又はIgG4重鎖に基づく抗体の精製に用いることができる(Lindmark等, J. immunol. Meth. 62: 1-13 (1983))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトIgG3に推奨されている(Guss等, EMBO J. 5: 16571575 (1986))。アフィニティーリガンドが結合される基質はアガロースであることが最も多いが、他の基質も使用可能である。制御された孔ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定な基質は、アガロースで達成できるものより早い流量及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンでのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂上でのSEPHAROSE
TMクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿法も、回収される抗体、又はその抗体変異体又は断片(例えば抗原結合断片)に応じて利用可能である。
【0200】
予備的精製工程に続いて、対象の抗体、又はその抗体変異体又は断片(例えば抗原結合断片)及び混入物を含む混合液に、pH約2.5−4.5、好ましくは低塩濃度(例として、約0−0.25M塩)の溶出緩衝液を用いて低pH疎水性作用クロマトグラフィーを施すことができる。
【0201】
薬学的製剤
ポリペプチド又は抗体、又はその抗体断片(例えば抗原結合断片)、又はその抗体変異体の治療用製剤は、当該分野で典型的に用いられる任意の「製薬上許容可能な」担体、賦形剤又は安定剤(その全てが「賦形剤」と称される)と、所望の精製度を有するポリペプチドを混合することにより、調製され保存される。例えば、バッファー剤、安定剤、保存料、等張剤。非イオン性界面活性剤、抗酸化剤及び他の種々の添加剤である。(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16版, A. Osol編 (1980)を参照)。このような添加剤は用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに非毒性でなければならない。
【0202】
バッファー剤は、生理条件を近似する範囲にpHを維持する助けをする。それらは、好ましくは約2mMから約50mMの範囲の濃度で存在する。本発明において使用される好適なバッファー剤には、有機酸と無機酸の両方及びそれらの塩類、例えばクエン酸バッファー(例えば、クエン酸一ナトリウム-クエン酸二ナトリウムの混合物、クエン酸-クエン酸三ナトリウムの混合物、クエン酸-クエン酸一ナトリウムの混合物等)、コハク酸バッファー(例えば、コハク酸-コハク酸一ナトリウムの混合物、コハク酸-水酸化ナトリウムの混合物、コハク酸-コハク酸二ナトリウムの混合物等)、酒石酸バッファー(例えば、酒石酸-酒石酸ナトリウムの混合物、酒石酸-酒石酸カリウムの混合物、酒石酸-水酸化ナトリウムの混合物等)、フマル酸バッファー(例えば、フマル酸-フマル酸一ナトリウムの混合物等)、フマル酸バッファー(例えば、フマル酸-フマル酸一ナトリウムの混合物、フマル酸-フマル酸二ナトリウムの混合物、フマル酸一ナトリウム-フマル酸二ナトリウムの混合物等)、グルコン酸バッファー(例えば、グルコン酸-グルコン酸ナトリウムの混合物、グルコン酸-水酸化ナトリウムの混合物、グルコン酸-グルコン酸カリウムの混合物等)、シュウ酸バッファー(シュウ酸-シュウ酸ナトリウムの混合物、シュウ酸-水酸化ナトリウムの混合物、シュウ酸-シュウ酸カリウムの混合物等)、乳酸バッファー(例えば、乳酸-乳酸ナトリウムの混合物、乳酸-水酸化ナトリウムの混合物、乳酸-乳酸カリウムの混合物等)及び酢酸バッファー(例えば、酢酸-酢酸ナトリウムの混合物、酢酸-水酸化ナトリウムの混合物等)が含まれる。さらに、リン酸バッファー、ヒスチジンバッファー及びトリメチルアミン塩、例えばトリスも挙げられる。
【0203】
保存料は微生物の増殖を遅らせるために添加され得、0.2%-1%(w/v)の範囲の量で添加されうる。本発明に使用される好適な保存料には、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウムハロゲン化物(例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、アルキルパラベン類、例えばメチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3-ペンタノールが含まれる。
【0204】
しばしば「安定剤」としても知られる緊張剤は、本発明の液体組成物の緊張性を確保するために添加され得、多価糖アルコール類、好ましくは三水素又はより高級の糖アルコール類、例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールが含まれる。
【0205】
安定剤は、増量剤から、治療剤を可溶化させるか又は変性もしくは容器壁への付着防止を補助する添加剤としてまで機能しうる賦形剤の広い範疇に入るものを意味する。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(上に列挙);アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L-ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン等、有機糖類又は糖アルコール類、例えばラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクチトール、グリセロール等であり、シクリトール、例えばイノシトール;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;硫黄含有還元剤、例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム;低分子量のポリペプチド(すなわち<10残基);タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン単糖類、例えばキシロース、マンノース、フラクトース、グルコース;二糖類、例えばラクトース、マルトース、スクロース及び三糖類、例えばラフィノース;多糖類、例えばデキストランも含まれる。安定剤は活性タンパク質の1重量部当たり0.1から10000重量部の範囲で存在しうる。
【0206】
非イオン性界面活性剤又は洗浄剤(「湿潤剤」としても知られている)は、治療用薬剤を溶解するのを促進し、また攪拌誘導性凝集から治療用タンパク質を保護するために添加され得、これはまた製剤をタンパク質変性を生じさせることなくストレスがかかった剪断表面に暴露せしめることが可能になる。適切な非イオン性界面活性剤はポリソルベート(20、80等)、ポロキサマー(184、188等)、プルロニック
TMポリオール、ポリエチレンソルビタンモノエーテル(Tween
TM−20、Tween
TM−80等)を含む。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/mlから約1.0mg/ml、好ましくは約0.07mg/mlから約0.2mg/mlの範囲で存在しうる。
【0207】
付加的な種々の賦形剤には、増量剤(例えばデンプン)、キレート剤(例えばEDTA)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)及び共溶媒が含まれる。ここに記載の製剤は、治療されている特定の効能に対して一を越える活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有し得る。例えば、免疫抑制剤をさらに提供することが望ましい。このような分子は、好適には、意図した目的に有効な量で組合されて存在する。また活性成分は、例えばコアセルベーション法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉することができる。このような技術はRemington's Pharmaceutical Sciences, 16版, A. Osol編(1980)に開示されている。
【0208】
インビボ投与に用いられるべき製剤は滅菌されなければならない。これは、例えば滅菌濾過膜を介して濾過することによって、容易に達成される。徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の適切な例には、抗体、又はその抗体変異体又は断片(例えば抗原結合断片)を含む固体疎水性重合体の半透過性マトリックスが含まれ、このマトリックスはフィルム又はマイクロカプセル等の成形品の形態である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT
TM(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン−酢酸ビニルや乳酸−グリコール酸等のポリマーは100日以上分子を放出できるが、特定のヒドロゲルはより短い時間タンパク質を放出する。カプセル化抗体は、長時間体内に残存すると、37℃の水分に曝されることで変性又は凝集し、生物活性の喪失や免疫原生の変化を生じるおそれがある。関与する機構に応じて安定化のために合理的な方策が案出できる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換による分子間S−S結合の形成であることが分かったならば、スルフヒドリル残基を改変し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分量を調整し、適当な添加物を使用し、特定の重合体マトリックス組成物を開発することで安定化を達成することができる。
【0209】
眼疾患又は症状の予防又は治療のための本発明の化合物は、典型的には、眼、眼内、及び/又は硝子体内注射、及び/又は強膜近傍(juxtascleral)注射、及び/又はテノン嚢下注射、及び/又は上脈絡叢(superchoroidal)注射及び/又は点眼剤及び/又は軟膏の形態での局所投与によって投与される。本発明のこのような化合物は、様々な方法、例えばIntraocular Drug Delivery, Jaffe, Jaffe, Ashton、及びPearson編者, Taylor & Francis (2006年3月)のような文献に記載されているものを含む、化合物の硝子体中への遅い放出を可能にするデバイス及び/又はデポーとして硝子体内にデリバーされうる。一例では、デバイス(device)は、ミニポンプ及び/又はマトリックス及び/又は受動拡散システム及び/又は長い時間の間、化合物を放出するカプセル化細胞(Intraocular Drug Delivery, Jaffe, Jaffe, Ashton、及びPearson編者, Taylor & Francis (2006年3月)の形態でありうる。限定しないが、局所、非経口、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、及び病巣内投与を含む他の投与方法もまた使用できる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。
【0210】
眼、眼内又は硝子体内投与のための製剤は当該分野で知られている方法によって、知られている成分を使用して調製することができる。効果的な治療のための主たる必要条件は眼を通る適切な透過である。薬剤が局所的にデリバーされうる眼球の前面の疾患と異なり、網膜疾患はより部位特異的なアプローチを必要とする。点眼剤及び軟膏は眼底まで浸透することは滅多になく、血液・眼柵が全身投与された薬剤の眼組織中への浸透を妨害する。従って、通常、AMDやCNVのような網膜疾患を治療するための薬剤デリバリーの選択される方法は、直接の硝子体内注射である。硝子体内注射は、通常、患者の症状、及びデリバーされる薬剤の性質及び半減期に依存する間隔で繰り返される。眼内(例えば硝子体内)浸透のためには、通常、より小さいサイズの分子が好ましい。
【0211】
AMD又はCNVのような補体関連眼疾患の治療の効果は、眼内疾患を評価するのに一般的に使用される様々なエンドポイントによって測定することができる。例えば、視力喪失を評価することができる。視力喪失は、限定しないが、例えば、ベースラインから所望の時点までの最高矯正視力(BCVA)の平均変化を測定することによって(例えば、BCVAが糖尿病網膜症の早期治療研究(ETDRS)に基づく場合、視力チャート及び4メートルの検査距離での判定)、ベースラインと比較して所望の時点で15文字より少ない視力を失う患者の割合を測定することによって、ベースラインと比較して所望の時点で15文字以上を獲得する患者の割合を測定することによって、所望の時点で20/2000かそれより悪いスネレン等価視力を持つ患者の割合を測定することによって、NEI視覚機能質問票を測定することによって、所望の時点でのCNVのサイズ及びCNVの漏出量を、例えば、蛍光眼底観察によって測定する等々によって、評価することができる。例えば限定しないが、眼の検査、眼内圧測定、視力判定、スリットランプ圧測定、眼内炎症判定等を含む視覚判定を実施することができる。
【0212】
特定の疾患又は症状の治療に効果的である治療用ポリペプチド、抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば、抗原結合断片)の量は、疾患又は症状の性質に依存し、標準的な臨床技術によって決定することができる。可能な場合、本発明の薬学的組成物の用量応答曲線を最初にインビトロで、ついでヒトにおける試験の前に有用な動物モデル系において決定することが望ましい。
【0213】
一実施態様では、治療用ポリペプチド、抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の水溶液は、皮下注射によって投与される。他の実施態様では、治療用ポリペプチド、抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の水溶液は硝子体内注射によって投与される。各用量は、約0.5μgから約50μg/kg体重、又は好ましくは約3μgから約30μg/kg体重の範囲でありうる。
【0214】
皮下投与のための投薬スケジュールは、疾患のタイプ、疾患の重篤度、及び治療剤に対する患者の感受性を含む多くの臨床要因に依存して月一回から毎日まで変わりうる。
【0215】
次の実施例は例示目的だけに提供され、本発明の範囲を限定する意図は決してない。
【0216】
本明細書において引用される全ての特許及び文献はその全体を出典明示によりここに明示的に援用する。
【0217】
製造品及びキット
本発明の他の実施態様は、本発明の抗体、又はその変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)によって標的とされる症状の治療、予防及び/又は診断に有用な物質を含む製造品である。例えば、本発明は補体関連疾患の治療、予防及び/又は診断に有用な物質を含む製造品に関する。該製造品は容器と該容器上の又は該容器に付随するラベル又はパッケージ挿入物を含む。好適な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジ等々を含む。容器は、様々な材料、例えばガラス又はプラスチックから形成されうる。容器は、補体関連疾患を治療、予防及び/又は診断するのに有効な組成物を収容し、滅菌アクセスポートを有しうる(例えば、容器は皮下注射針が貫通可能なストッパーを有するバイアル又は静脈内投与溶液バッグでありうる)。組成物中の少なくとも一つの活性剤は本発明の抗D因子抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)である。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が特定の症状の治療、予防及び/又は診断に有用であることを示している。
【0218】
パッケージ挿入物は、効能、用途、投薬量、投与、かかる治療製品の使用に関する禁忌及び/又は警告についての情報を含む治療製品の市販パッケージに常套的に含められる指示書を意味する。一実施態様では、ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が、例えば加齢関連黄斑変性症(AMD)のような眼の疾患を含む補体関連疾患を治療するために使用されることを示している。ラベル又はパッケージ挿入物は抗体組成物を患者に投与するための指示書を更に含む。
【0219】
加えて、製造品は、薬学的に許容されるバッファー、例えば注射用の静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液及びデキストロース溶液を含む第二の容器を更に具備していてもよい。更に、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジを含む、商業上及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでいてもよい。
【0220】
他の実施態様では、例えば、補体関連疾患の治療、予防及び/又は診断のため、補体関連溶血アッセイのため、細胞からのD因子ポリペプチドの精製又は免疫沈降のため等の様々な目的に有用なキットがまた提供される。D因子ポリペプチドの単離及び精製に対しては、キットはビーズ(例えばセファロースビーズ)に結合した抗D因子抗体を含みうる。例えばELISA又はウェスタンブロットで、D因子ポリペプチドのインビトロでの検出及び定量のための抗体を含むキットが提供されうる。製造品と同様に、キットは容器と該容器上の又は該容器に付随するラベル又はパッケージ挿入物を含む。該容器は、本発明の少なくとも一の抗因子抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)を含む組成物を収容している。例えば、希釈剤及びバッファー、コントロール抗体を含む更なる容器が含められうる。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物の記述並びに意図されたインビトロ又は検出用途のための指示書を提供しうる。ラベル又はパッケージ挿入物は、患者への(例えば抗体、又はその抗体断片(例えば抗原結合断片)の)投与のための指示書を提供しうる。
【0221】
ヒト化抗体の用途
本発明のヒト化抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)又はその変異体は、例えば、特定の細胞、組織、又は血清中における対象の標的の発現を検出するための、診断アッセイに有用である。診断用途では、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)が典型的には検出可能な部分で標識される。数多くの標識が利用可能である。蛍光の変化を定量するための技術は上述した。化学発光基質は化学反応によって電子的に励起されるようになり、ついで、(例えばケミルミノメーターを使用して)測定することができ、又は蛍光アクセプターにエネルギーを供与する光を発しうる。酵素的標識の例は、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン類、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、例えば西洋わさびペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、複素環式オキシダーゼ(例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等々を含む。抗体に酵素を結合させるための技術は、O'Sullivan等, Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for Use in Enzyme Immunoassay, Methods in Enzym. (J. Langone及びH. Van Vunakis編), Academic press, New York, 73: 147-166 (1981)に記載されている。
【0222】
しばしば、標識は、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)と間接的に結合させられる。当業者はこれを達成するための様々な技術を認識しているであろう。例えば、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)は、ビオチンと結合させることができ、3つの広いカテゴリーの上述の標識の何れかをアビジンと結合させることができ、又はその逆である。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、よって、標識はこの間接的な方法で、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)と結合させることができる。あるいは、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)との標識の間接的な結合を達成するために、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)を小ハプテン(例えばジグロキシン(digloxin))と結合させ、異なったタイプの上述の標識の一つを抗ハプテン抗体、又はその抗体変異体(例えば抗ジグロキシン抗体)又はその断片(例えば抗原結合断片)と結合させる。このようにして、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)との標識の間接的な結合を達成することができる。
【0223】
本発明の他の実施態様では、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)は、標識される必要はなく、その存在は、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)に結合する標識抗体を使用して検出することができる。
【0224】
本発明の抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)は、任意の既知のアッセイ方法、例えば競合結合アッセイ、直接的及び間接的サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイに用いられうる。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC Press, Inc. 1987)。
【0225】
競合的結合アッセイは、限定量の抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)との結合について試験試料と競合する標識された標準物質の能力に依存する。試験試料中の標的の量は、抗体に結合する標準物質の量に反比例する。結合する標準物質の量の決定を容易にするために、抗体を一般に競合の前か後に不溶化する。その結果、標準物質と抗体に結合する試験試料が、標準物質と結合しないで残っている試験試料から簡便に分離されうる。
【0226】
サンドイッチアッセイは、検出されるタンパク質の異なる免疫原性部分又はエピトープに結合することができる2つの抗体、又はその断片(例えば抗原結合断片)の使用を含む。サンドイッチアッセイにおいて、分析される試験試料は固体支持体に固定化される第一の抗体に結合し、その後、第二の抗体が試験試料に結合し、よって不溶性の3部分複合体を形成する。例えば米国特許第4376110号を参照。第二の抗体はそれ自体が検出可能な部分で標識されるか(直接的サンドイッチアッセイ)、検出可能な部分で標識した抗免疫グロブリン抗体を用いて測定されうる(間接的サンドイッチアッセイ)。例えば、サンドイッチアッセイの一つのタイプはELISAアッセイであり、その場合、検出可能な部分は酵素である。
【0227】
免疫組織化学検査では、腫瘍試料は新鮮なものでも、凍結されたものでも、パラフィン包埋されていても、防腐剤、例えばホルマリンなどで固定されていてもよい。
【0228】
抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)をインビボ診断アッセイに使用することもできる。一般に、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)を、腫瘍がイムノシンチグラフィーを用いて局在化され得るように、放射性核種(例えば
111In、
99Tc、
14C、
131I、
3H、
32P又は
35S)で標識する。例えば、本発明の高親和性抗IgE抗体を使用して、例えば、喘息患者の肺に存在するIgEの量を検出することができる。
【0229】
本発明の抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)は、キット、つまり、診断アッセイを実施するための指示書を含む予め決定された量の試薬のパッケージされた組合せとして提供されうる。抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片)が酵素で標識される場合、キットは酵素が必要とする基質及び補因子(例えば、検出可能な発色団又はフルオロフォアを提供する基質前駆体)を含みうる。また、安定剤、バッファー(例えばブロックバッファー又は溶解バッファー)等々のような他の添加剤を含めることができる。様々な試薬の相対量はアッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中の濃度を提供するために広く変化させうる。特に、溶解時に適切な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む試薬を、通常は凍結乾燥された、乾燥粉末として提供することができる。
【0230】
抗体のインビボ用途
本発明の抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)は哺乳動物を治療するために使用することができると考えられる。一実施態様では、抗体、又はその抗体は、例えば前臨床データを得る目的で非ヒト哺乳動物に投与される。治療される非ヒト哺乳動物の例は、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、齧歯類及び前臨床試験が実施される他の哺乳動物を含む。このような哺乳動物は、抗体、又はその抗体で治療される疾患のための樹立された動物モデルであり得、又は対象の抗体の毒性を研究するために使用されうる。これらの実施態様の各々では、哺乳動物に対して投与量増加研究を実施することができる。
【0231】
抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)又はポリペプチドは、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含み、局所免疫抑制治療に望ましいならば病巣内投与を含む任意の適切な手段によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。また、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)は、特に抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)の用量を低下させる、パルス注入によって好適に投与される。好ましくは、投薬は、投与が短時間か慢性的かどうかに部分的に依存して、注射によって、最も好ましくは静脈内又は皮下注射によってなされる。
【0232】
疾患の予防又は治療に対して、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)、又はポリペプチドの適切な投薬量は、治療される疾患のタイプ、疾患の重篤さと経過、抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、過去の治療法、患者の臨床歴及び抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)に対する応答性、担当医の裁量に依存する。
【0233】
疾患のタイプび重篤さに応じて、約0.1mg/kgから150mg/kg(例えば、0.1−20mg/kg)の抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)が、例えば、一又は複数の別々の投与、あるいは連続注入の何れにしても、患者に投与するための最初の候補用量である。典型的な毎日の用量は、上述の要因に応じて約1mg/kgから100mg/kg又はそれ以上の範囲であるかも知れない。数日又はそれ以上にわたる繰返し投与の場合、状態に応じて、疾患の徴候に所望の抑制が現れるまで治療が持続される。しかしながら、他の用量計画が有用である場合もある。この治療の進行は、一般的な技術及びアッセイによって容易にモニターされる。例示的な投薬計画は国際公開第94/04188号に開示されている。
【0234】
抗体組成物は、良好な医療実務に合致した形で製剤化され、用量決定され、投与される。この点で考慮される要因には、治療されている特定の疾患、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療実務家に既知の他の要因が含まれる。投与される抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)の「治療的に効果的な量」はこのような考慮によって支配され、疾病又は疾患を予防し、寛解し、又は治療するのに必要な最小量である。抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)は、必要ではないが、場合によっては、問題の疾患を予防又は治療するために現在使用されている一又は複数の薬剤と共に製剤される。そのような他の薬剤の有効量は製剤中に存在する抗体、又はその抗体変異体又はその断片(例えば抗原結合断片)の量、疾患又は治療のタイプ、及び上で検討した他の要因に依存する。これらは一般に又上述のものと同じ用量及び投与経路で、あるいはこれまで用いられた用量の約1から99%で使用される。
【0235】
D因子をその標的として認識する本発明の抗体、又はその抗体変異体、又はその断片(例えば抗原結合断片) は、補体媒介疾患を治療するために使用することができる。これらの疾患は、過剰な又は制御されない補体活性化に関連している。それらは、心肺バイパス手術中の補体活性化;急性心筋梗塞、動脈瘤、脳卒中、出血性ショック、圧挫損傷、多臓器障害、循環血液量減少性ショック及び腸虚血後の虚血再かん流による補体活性化を含む。これらの疾患はまた例えば、重度の熱傷、内毒素血、敗血性ショック、成人呼吸促迫症候群、血液透析;アナフィラキシーショック、重症喘息、血管浮腫、クローン病、鎌状赤血球貧血、連鎖球菌感染後糸球体腎炎及び膵炎のような炎症性疾患である疾病又は症状を含みうる。該疾患は薬の副作用、薬物アレルギー、IL−2誘発血管漏出症候群又はX線撮影造影剤アレルギーの結果でありうる。該疾患は、また全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、関節リウマチ、アルツハイマー病及び多発性硬化症のような自己免疫疾患をまた含む。補体活性化はまた移植による拒絶反応に伴う。最近、補体活性化と眼疾患、例えば、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症及び他の虚血関連網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼のヒストプラスマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、及び網膜新生血管の間には強い相関が見られている。
【実施例】
【0236】
次の実施例は例証のために提供されるものであって、限定のためではない。実施例において言及されている市販の試薬は、別段の記載がない限り、製造者の指示書に従って使用した。次の実施例、及び明細書を通して、ATCC受託番号によって特定されている細胞の供給源は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209である。
【0237】
実施例1:抗D因子Absの修飾
分析的特徴付けの目的のために又は製造及び生産中の均一性のような商業的に望ましい特性を有する修飾された抗D因子抗体、及びその変異体、及びその断片(例えば抗原結合断片)を同定するために、部位特異的突然変異誘発アプローチを使用して、修飾されたヒト化抗D因子抗体、及びその変異体、及びその断片(例えば抗原結合断片)を生産した。最初に、ヒト化抗D因子Fabクローン#111由来の可変重鎖及び軽鎖ドメイン(それぞれ、配列番号2及び配列番号1)を発現プラスミド中にサブクローニングした。第二に、得られた発現プラスミドに単一変異をコードするオリゴヌクレオチドをアニールして部位特異的変異を導入した。
【0238】
最初は、ヒト化抗D因子Fabクローン#111の可変重鎖及び軽鎖ドメインを、プラスミドpAEP1(pAEP1は大腸菌におけるFab抗体の発現のためのプラスミドである)中にサブクローニングし、サブクローニングが、可変軽鎖ドメインの104位(カバット番号付けによる、
図10参照)にバリン(V)を導入した。
【0239】
pAEP1中へのヒト化抗D因子Fabクローン#111の可変軽鎖ドメインのサブクローニングは、2つのDNA断片のライゲーションを含んでいた。第一の断片は、小さいEcoRV/KpnI断片が取り除かれたpAEP1ベクターであった。第二の断片は、次のプライマーを使用して、ヒト化抗D因子Fabクローン#111のための軽鎖プラスミドから産生されたおよそ300塩基対のEcoRV−KpnI PCR断片であった:
5’−TTTCCCTTTGATATCCAGGTGACCCAGTCTCCATCCT−3’(配列番号67)
5’−TTTCCCTTTGGTACCCTGGCCAAACGTGTACGGCAAAGAATC−3’(配列番号68)。
【0240】
pAEP1中へのヒト化抗D因子クローン#111の可変軽鎖ドメインのサブクローニングは、104位が、pAEP1プラスミドの骨格中へのヒト化抗D因子クローン#111の可変軽鎖ドメインを挿入するために使用された制限エンドヌクレアーゼ部位EcoRV及びKpnIの2アミノ酸下流であるので、104位のバリン(V)を導入した。この得られた中間プラスミドはここでは「pAEP1−283−VL」と称される。
【0241】
pAEP1−238−VL中へのヒト化抗D因子クローン#111の可変重鎖ドメインのサブクローニングは、2つのDNA断片のライゲーションを含んでいた。第一の断片は、小さいBsiWI/PspOMI断片が取り除かれたpAEP1−238−VLベクターであった。第二の断片は、次のプライマーを使用して、ヒト化抗D因子Fabクローン#111のための重鎖プラスミドから産生されたおよそ364塩基対のBsiWI−PspOMI PCR断片であった:
5’−TTTGGGTTTCGTACGCTCAGGTCCAGCTGGTGCAATCTGGG−3’(配列番号69)
5’−TTTGGGTTTGGGCCCTTGGTGGAGGCTGAGGAGACGGTGACCAGGGT−3’(配列番号70)。
2つのDNA断片のこのライゲーションは、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238(またここでは「238」とも称される;プラスミドはここでは「p238」と称される)に対するプラスミドを生じた。
【0242】
ヒト化抗D因子#111由来の可変軽鎖及び重鎖ドメインのサブクローニング後に、部位特異的PCR突然変異誘発を使用して、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238の可変重鎖の1位(カバット番号付けによる、
図1を参照)のグルタミン(Q)をグルタミン酸(E)に変異させ、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238−1(またここで「238−1」とも称される)を生じる。ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238−1に対するプラスミド(プラスミドはここでは「p238−1」と称される)の構築は2つのDNA断片のライゲーションを含んでいた。第一の断片は、小さいBsiWI/PspOMI断片が取り除かれたp238ベクターであった。第二の断片は、次のプライマーを使用して、p238プラスミドから産生されたおよそ364塩基対のBsiWI−PspOMI PCR断片であった:
5’−TTTGGGTTTCGTACGCTGAAGTCCAGCTGGTGCAATCTGGG−3’(配列番号71)
5’−TTTGGGTTTGGGCCCTTGGTGGAGGCTGAGGAGACGGTGACCAGGGT−3’(配列番号72)。
2つのDNA断片のこのライゲーションは、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238−1(またここでは「238−1」とも称される;プラスミドはここでは「p238−1」と称される)に対するプラスミドを生じ、これは、グルタミン酸(E)への1位の部位特異的変異を含んでいた。この変異は、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238−1中のグルタミン(Q)のピログルタミン酸への部分的転換を阻害することが見出された(Amphlett, G.等, Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996))。
【0243】
更に、部位特異的PCR変異誘発を使用して、酸化を防止するためにメチオニン(M又はMet)又はトリプトファン(W又はTrp)残基を変異させ、又は脱アミドを防止するためにアスパラギン(N又はAsn)残基を変異させることができる。ヒト化抗D因子抗体の酸化変異体の形成を防止するために、例えば軽鎖の33位のメチオニン(M又はMet)を、メチオニンにサイズが最も類似しており、疎水性であるが酸化のための硫黄を欠くロイシン(L又はLeu)に変異させることができ、又は別法ではイソロイシン(I又はIle)に変異させる(Amphlett, G.等, Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996))。ヒト化抗D因子抗体の脱アミド化変異体の形成を防止するために、例えば軽鎖の34及び52位又は重鎖の99又は100位のアスパラギン(N又はAsn)を、アスパラギン(N又はAsn)と化学的に最も類似しているグルタミン(Q又はGln)に変異させることができ、又は他の抗体のその位置の一般的な置換であるアラニン(A又はAla)又はセリン(S又はSer)に変異させることができる(Amphlett, G.等, Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996))。
【0244】
図1−2は、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238及びヒト化抗D因子Fab抗体変異体238−1に対する可変軽鎖ドメイン配列(それぞれ、配列番号6及び18)及び可変重鎖ドメイン配列(それぞれ、配列番号7及び19)を示す。
図4及び
図6は、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238の軽鎖及び重鎖配列(それぞれ、配列番号47及び54)を示す。
図8及び
図10は、ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238−1の軽鎖及び重鎖配列(それぞれ、配列番号61及び63)を示す。
【0245】
BiaCoreデータは、ヒトD因子に対するヒト化抗D因子Fab抗体変異体238の親和性並びにクローン#111のヒト化抗D因子完全長mAb型の親和性(ヒト化抗D因子完全長mAb234)(ここでは「234」又は「D因子完全長mAb234」又は「ト化抗D因子完全長MAb234」と使用される)を示す(表2)。ヒト化抗D因子Fab抗体変異体238及び238−1をまた溶血阻害アッセイ(
図11)において試験し、第二経路の阻害を評価した(実施例3を参照)。
【0246】
実施例2:AP溶血アッセイ
修飾された抗D因子Absの生物学的機能を、C1q-枯渇ヒト血清及びBiaCore分析を使用する溶血阻害アッセイを使用して決定した(以下の実施例3を参照)。溶血アッセイは次の通りに実施した。
【0247】
第二経路活性を決定するために、ウサギ赤血球(Er, Colorado Serum)をGVBで3×洗浄し、2×10
9/mlになるまで再懸濁させた。阻害剤(50μl)及び20μlのEr懸濁液をGVB/0.1MのEGTA/0.1MのMgCl
2と1:1で混合した。 補体活性化は、(古典的経路を介した補体活性化を避けるために)C1q−枯渇ヒト血清の添加によって開始させた(CompTech;GVBに1:3希釈した30μl)。室温での30分のインキュベーション後、200μlのGVB/10mMのEDTAを添加して反応を停止させ、試料を500gで5分、遠心分離した。溶血は、412nmでの吸光度を測定することにより、200μlの上清中で決定した。データは、阻害剤の不在下で誘導された溶血の%として表した。
【0248】
図11は、C1q−枯渇ヒト血清を補体源として使用するウサギ赤血球溶血アッセイを使用した、第二経路溶血に対するヒト化抗D因子Fabクローン#111(IC
50=4.7±0.6nM)、修飾された抗D因子Fab238(IC
50=6.4±0.6nM)及び修飾された抗D因子Fab238−1(IC
50=3.5±0.5nM)の阻害を示す。コントロールはH因子(「ヒトfH」)(CompTech製)及び抗糖タンパク質120(「xgp120」)抗体であった。
【0249】
実施例3:BiaCoreによる抗ヒトD因子Fabの動態分析
固定化された修飾抗D因子Fab238(ここでは「238」と称される;実施例1を参照)に対するヒトD因子 (Advanced Research社)の結合の動態及び親和性定数をBiaCore3000及びBiaCore A100機器双方での表面プラズモン共鳴測定によって決定した。「BiaCore3000/BiaCore A100」の結果として列挙されている表2の値では、別個の実験を各機器で行い、別個の実験からのデータを分析して、動態定数を得、該動態定数を平均して、表2に示される値を得た。別法として、ヒトD因子の結合の動態及び親和性定数は、ヒトD因子を固定し、mAb又はFabの結合を測定することによって測定することができ、異なった再生条件(例えば4MのMgCl
2を含む)を使用して測定することができ、及び/又は異なったバッファー(例えばPBSを含む)を使用して測定することができる。クローン#111のヒト化抗D因子完全長mAb型(ここでは「234」又は「抗D因子完全長mAb234」又は「ヒト化抗D因子完全長mAb234」と称される)もまた分析した。
【0250】
1.固定化
mAb又はFabを製造者によって供給された標準的プロトコルを使用してアミンカップリングを介して固定した。カップリングの密度は、ヒトD因子の結合を飽和させる全シグナルが50〜150共鳴単位(RU)となるように注入mAb又はFab溶液の濃度又はpHを調整することにより、調節した。所望量のmAb又はFabのカップリング後、センサーチップ上の未反応の官能基を、エタノールアミンの注入によってブロックした。
【0251】
2.動態分析
500nMから0.98nMまで2倍の増分で濃度を変化させた一連のヒトD因子溶液の60μLのアリコートを注入することによって、結合実験を行った。全ての試料を、150mMのNaCl、0.01%のTween−20及び次のバッファー成分の一つからなる流れるバッファーで希釈した:(a)pH7.2(10mMのHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸);(b)pH6.0(10mMのMES(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸);又はpH5.0(10mMの酢酸ナトリウム)。流量は30μL/分で、解離を、試験したヒトD因子の各濃度に対して10分間モニターした。基準細胞(エタノールアミンブロック)に対する同じ溶液の注射に対して観察されたシグナル(センサーグラム)をセンサーグラムから減じた。センサーグラム間で、30μLの4MのMgCl
2の注入により表面を再生し、固定化抗体に結合して残るヒトD因子の解離を生じさせた。センサーチップ表面上のみへのバッファーの注入に対して記録されたコントロールセンサーグラムを、ヒトD因子センサーグラムから減じた。これらのデータは、BIAevaliationソフトウェアv4.1を使用する1:1ラングミュア結合モデルに従って非線形回帰によって分析した。動態及び親和性定数は以下の表2に提供する。BiaCore技術は制限があり、速すぎる(つまり約10pMより小さいK
D値)on−rateを精確に測定することができない(Safsten等, Anal. Biochem., 353: 181 (2006))。
【0252】
実施例4:D因子濃度を変動させたAP溶血アッセイ
抗D因子Fab 238を含む修飾された抗D因子Absの生物学的機能は、3種の血清濃度のD因子の存在下で、C1q-枯渇ヒト血清及びBiaCore分析(上の実施例2を参照)を使用する溶血阻害アッセイを使用して決定した。
【0253】
C1q−枯渇ヒト血清(CompTech) 並びに(Cole Eye Institute, Cleveland, OHの協力で得た)AMD患者の眼からの硝子体液及びブルッフ膜組織を、D因子の定量ELISAで分析した(以下を参照)。C1q−枯渇血清中のD因子の濃度は97nMであり、AMD患者からの硝子体液及びブルッフ膜組織中のレベルは16.2
±10.3nM(平均
±SD,n=10)であった。
【0254】
定量D因子ELISAは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1μg/mLまで抗ヒト補体D因子ヤギポリクローナル抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)を希釈し、4℃での一晩のインキュベーション中に384ウェルのELISAプレート(高結合プレート;Greiner Bio One through VWR International, Bridgeport, NJ)に抗D因子ポリクローナル抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)を被覆することによって実施した。洗浄バッファー(PBS/0.05%のTween−20)での3回の洗浄後、プレートをPBS/0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)で1−2時間ブロックした。このインキュベーション及び全ての他のインキュベーションはオービタルシェーカーで室温にて実施した。D因子(Complement Technology社, Tyler, Texas)の標準曲線は、15.6−1000pg/mlの範囲にわたってPBS/0.5%のBSA/0.05%のTween−20中で調製した。標準曲線の高、中、及び低領域での定量のために予め希釈した凍結コントロール試料を解凍した。C1q−枯渇ヒト血清及びヒト硝子体液及びブルッフ膜可溶化液試料をアッセイ希釈剤(PBS/0.5%のBSA/0.5%のTween−20)を使用して希釈した。ブロック工程後、プレートを洗浄し、希釈した試料(血清、硝子体液、及びブルッフ膜の可溶化液)、標準物質及びコントロールを加え、2時間インキュベートした。2時間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、結合したD因子を、1から2時間のインキュベーション中にビオチン化抗D因子モノクローナル抗体(62.5ng/mlに希釈したジェネンテックで製造されたクローン9G7.1.16)を用いて検出した後、アッセイ希釈剤に1/10000で希釈したストレプトアビジン−西洋わさびペルオキシダーゼ(SA−HRP)(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)と共に30分インキュベートした。最終の洗浄工程の後に、テトラメチルベンジジン(Kirkegaard & Perry Laboratories社, Gaithersburg, MD)を添加し、色を5から7分の間、発色させた。反応を、1Mのリン酸を添加して停止させた。光学密度をマイクロプレートリーダー(450nm、650nm基準)を使用して読み取り、試料濃度を、標準曲線の4パラメーター適合から計算した。ヒト硝子体液及びブルッフ膜可溶化液試料中のD因子の最小の定量化可能な濃度は、それぞれ780pg/mL(1/50最小希釈)及び156pg/mL(1/10最小希釈)であった。
【0255】
ADM患者の眼からの硝子体液及びブルッフ膜組織に観察されたD因子の濃度に同様のD因子濃度の存在下で修飾された抗D因子Fab238を使用して第二補体経路の阻害に対するIC
50及びIC
90値を決定するために、溶血アッセイを、AMD患者の眼からの硝子体液及びブルッフ膜組織に観察される平均(16.2nM)又は平均±1SD(26.5nM)濃度を表すD因子濃度を達成するために、10%のC1q−枯渇血清(9.7nMのD因子)又は更なるD因子を補填した10%のC1q−枯渇血清(CompTech)を使用して、実施例2に記載されたようにして実施した。データは、阻害剤の不存在下で誘導された溶血%として表された(
図12)。溶血反応の50%及び90%阻害(それぞれ、IC
50及びIC
90値)を生じる抗D因子Fab238の濃度を、4パラメーター適合モデル(KaleidaGraph, Synergy Software, Reading, PA)を使用する阻害曲線の非線形回帰によって3回の繰り返し実験に対して決定した。IC
50及びIC
90値のモル比対D因子の相対濃度をまた計算した。平均IC
50及びIC
90値とモル比を表3に示す。
【0256】
実施例5:第二経路補体活性化の阻害期間
(ウサギからの種間スケーリングに基づき、11.5日の抗D因子Fab238の半減期(t
1/2)を仮定して)2.5mg用量の抗D因子Fab238の単一の硝子体内(IVT)注射を使用するヒトの眼内の第二経路(AP)補体活性化の阻害のシミュレートされた期間を、測定した(実施例13)。シミュレートされたデータは、ニュージーランド白ウサギにおけるFab238の単一硝子体内のPK研究からのスケーリングに基づいている。
【0257】
ヒトにおける抗D因子Fab238の半減期を推定するために、ウサギ中の抗D因子238の半減期を計算した。12匹のニュージーランド白ウサギに各眼に1mgのFab238の単一の硝子体内用量を投与した。硝子体液及び網膜組織試料を次の時点での特定数の動物の両眼から集めた:4、24及び96時間で3匹の動物(これらの各時点でn=6の試料)及び216時間で1匹の動物(この時点でn=2の試料)及び240時間で2匹の動物(この時点でn=4の試料)。眼球マトリックス中のFab238の濃度はD因子結合ELISAで測定した。
【0258】
全ての動物からの硝子体液濃度−時間データを分析し、IV ボーラス入力モデル(Models 201, WinNonlin Pro version 5.2.1; Pharsight Corporation, Mountain View, CA)を用いた未処理のプール化アプローチを使用して薬物動態パラメーター推定値を推定し、3.83日の終末半減期(T
1/2)の一つの推定値を得た。網膜分配係数を、全ての時点において全ての眼に対して平均した硝子体液に対する網膜組織中の濃度の比として計算したところ、0.24に等しかった。硝子体液のためのPKパラメーターを、ラニビズマブに対して観察されたものと同じスケーリング因子を使用してヒトにスケール化させた。ヒトの眼は4mLのV
1を有しているものと仮定され、ウサギに対するヒトの半減期の比は3であると仮定され、11.5日のヒトにおけるt
1/2の推定値を得た。これは、次のように硝子体濃度及び網膜組織濃度の推定値を時間の関数として得た:
硝子体濃度=(用量/V
1)*exp([−ln(2)/t
1/2]*時間)
網膜組織濃度=(用量/V
1)*exp([−ln(2)/t
1/2]*時間)*(網膜分配係数)
【0259】
図13には、2.5mg/眼の単一のITV用量に対してグラフが作成され、t=0からt=112日の時間を表している。IC
90は、10%のプール化ヒト血清が16.2nMのD因子濃度に補填された実施例2及び4に示されるようにして実施された溶血アッセイで90%の阻害効果を生じるFab238の濃度を表す。該アッセイの結果は、IC
90=38nMのFab238であった。網膜及び硝子体濃度と比較するために、モル対質量転換を、次の式を使用して行った:
IC
90=38×10
−9モル/L
Fab238のMW=50000グラム/モル
IC
90(ug/mL)=(38×10
−9モル/L)×(50×10
3グラム/モル)=1.9×10
−9グラム/L、又は1.9ug/mL
【0260】
図13に示されるように、「IC
90を越える日数」は、硝子体又は網膜濃度が2.5mg/眼の単一のITV用量後に1.9ug/mLを越えると予想される時間量として推定し、硝子体又は網膜濃度のグラフが1.9ug/mLで線を交差する点として観察された。抗D因子Fab238の単一IVT注射は、網膜組織において少なくとも約74日、硝子体液において少なくとも約97日の間、AP補体活性化を阻害すると推定された。
図13中の破線は、硝子体内投与後の硝子体液中のシミュレートされた抗D因子Fab238濃度を示している。
図13中の実線は、硝子体内投与後の網膜組織中のシミュレートされた抗D因子Fab238濃度を示している。硝子体液及び網膜組織中の濃度の差は、20%の網膜組織分配係数の推定値に基づいている;換言すれば、硝子体液に投与される全薬剤の20%が網膜組織に接近可能である。
【0261】
当業者であれば、ここに記載された本発明の特定の実施態様に対する多くの均等物を、常套的な実験を使用するだけで認識し又は確認することができるであろう。このような均等物は次の特許請求の範囲によって包含されるものである。
【0262】
上記発明を理解を明確化する目的の例証と例によってある程度詳細に記載したが、明細書及び実施例は本発明の範囲を制限するものと解釈されてはならない。ここで引用された全ての特許及び科学文献の開示は出典明示によりその全体が明示的に援用される。
【0263】
上記の文書による明細書は当業者が発明を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。本発明は、寄託された実施態様が本発明のある種の側面の単なる例証として意図され、機能的に均等であるコンストラクトがこの発明の範囲内であるので、寄託されたコンストラクトによって範囲が限定されるものではない。実際、ここに示され記載されたものに加えて、本発明の様々な変形例が上記の明細書から当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲内に入るものである。