(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)錐体状突起シートの梱包体
図1〜
図4を用いて、本実施形態の錐体状突起シートの梱包体1を説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての錐体状突起シートの梱包体の平面図である。
図2は、錐体状突起シートの梱包体においてシールシートを剥がした状態の平面図である。
図3は、錐体状突起シートの梱包体において錐体状突起シートを剥がした状態の平面図である。
図4は、
図1のIV−IV断面図であり、錐体状突起シートの梱包体の断面図である。
図5は、
図4の部分拡大図である。
【0016】
錐体状突起シートの梱包体1は、複数の支持体付き錐体状突起シート3と、支持体付き錐体状突起シート3を包装する梱包材5とから構成されている。なお、以下の実施形態では錐体状突起シートの梱包体1内に収納されている支持体付き錐体状突起シート3は1つであるが、複数の支持体付き錐体状突起シート3が収納されていてもよい。
【0017】
(1−1)支持体付き錐体状突起シート
支持体付き錐体状突起シート3は、梱包材5によって梱包され、必要に応じて取り出されて使用される部材である。支持体付き錐体状突起シート3は、シート形状の物品であり、主に、支持体21と、錐体状突起シート23とから構成されている。また、支持体付き錐体状突起シート3は、錐体状突起成形用シート34をさらに有している。
【0018】
錐体状突起シート23は、後述する複数の錐体状突起が一面に形成されたシート形状の物品である。錐体状突起シート23は、厚みが数百μm程度である。錐体状突起シート23の平面形状は、
図2に示すように、全体がなめらかに湾曲しており、幅が広い部分と幅が狭い部分を有する勾玉形状である。錐体状突起シート23の形状は、円、楕円、三角形、四角形、正方形、その他の形状でもよい。錐体状突起シート23は、例えば、四角形の場合は、一辺数mmから数十mm程度である。
【0019】
図5を用いて、錐体状突起シート23の構造をさらに説明する。錐体状突起シート23は、シート状の基体23aと、複数の錐体状突起23bとを有している。複数の錐体状突起23bは、基体23aの表面23c(この実施形態では、下面)に形成されている。錐体状突起23bは、例えば円錐形又は角錐形で高さが10μm〜1000μmであり、根元の断面径と高さの比率が断面径:高さ=1:0.2〜1:5であり、アスペクト比(高さ/断面径)の高い形状を有する。
【0020】
錐体状突起シート23は、例えば、人の皮膚に接触するように貼り付けることにより、薬物などを投与するものとして使用される経皮投与用貼付剤である。具体的には、基体23aが皮膚に貼られ、錐体状突起23bが皮膚に刺さることにより、薬物などの投与が促進される。
【0021】
錐体状突起シート23は、例えば、水溶性の薬物又は、ヒアルロン酸、水溶性コラーゲン、デキストラン及びコンドロイチン硫酸などの水溶性高分子に薬物が添加されたものを主な材料として構成されている。なお、薬剤が添加される水溶性高分子は、生体内溶解性の水溶性高分子であることが好ましく、コンドロイチン酸ナトリウム、ヒアルロン酸及びデキストランなどが生体内溶解性の水溶性高分子の例として挙げられる。
【0022】
なお、水溶性高分子は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、コラーゲン(又は加水分解コラーゲン)、ゼラチン、グリコーゲン、デキストラン、デキストリン、デキストラン硫酸、シクロデキストリン、キトサン、プロテオグリカン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、アガロース、グリコーゲン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリビニルピロリドン、ポリピニルアルコール、カルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質からなる。これらの水溶性高分子については、1つだけを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
支持体21は、錐体状突起シート23を支持するためのシートであり、例えば樹脂製である。支持体21は、錐体状突起シート23の基体23aの第2の表面23dに固定されさらに梱包部材7(後述)に粘着されている。
【0024】
支持体21の下面には、粘着層26が設けられている。粘着層26によって、支持体21は錐体状突起シート23の第2の表面23dに固定されている。
なお、粘着層26は、支持体21の下面において錐体状突起シート23よりさらに外周側の部分にも設けられている。したがって、粘着層26によって、支持体21(つまり、支持体付き錐体状突起シート3)は、梱包部材7(後述)に固定されている。
【0025】
錐体状突起成形用シート34は、錐体状突起23bを成形するとともに成形後に保護するための部材である。錐体状突起成形用シート34は、錐体状突起シート23の表面23cに張り合わされている。また、
図5に示すように、錐体状突起成形用シート34の上面34aには、錐体状突起シート23の錐体状突起23bを形成かつ収納するための複数の錐体状凹部34bが形成されている。なお、錐体状凹部34bは、上方に向かって開いた凹みであり、錐体状突起成形用シート34を貫通していない。
錐体状突起成形用シート34は、複数の錐体状凹部34bを形成する部材として用いられることを考慮して、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂からなる。
【0026】
以上に述べた互いに密着した錐体状突起シート23及び錐体状突起成形用シート34によって、錐体状突起シートの成形保護構造36(以下、成形保護構造36という)が構成されている。
【0027】
(1−2)梱包材
梱包材5は、支持体付き錐体状突起シート3を梱包するための部材である。梱包材5は、梱包部材7と、シールシート9とを有しており、両シートが張り合わされることで支持体付き錐体状突起シート3を梱包している。
【0028】
梱包部材7は、シート状の部材であり、一般的な樹脂材料から構成される。梱包部材7は、
図4に示すように、支持体付き錐体状突起シート3を収納するための収納部31を有している。収納部31は梱包材5の外側に向かって膨張した凸形状であり、梱包材5の内側には凹状収納部31aを形成している。凹状収納部31aの平面形状は、
図3に示すように、支持体付き錐体状突起シート3の平面形状と同じである。凹状収納部31aは、底面33と、その周囲にあり底面33より高い環状の段差面35とから構成されている。凹状収納部31aの周囲(すなわち段差面35の周囲)には、平坦面37が設けられている。このように収納部31の凹状の凹状収納部31aは、底面33、環状の段差面35、及び平坦面37によって階段状になっている。環状の段差面35には、支持体21の環状の外周部(突出部分)が粘着層26を介して粘着されている。なお、段差面35には、支持体21の外周部が剥がれやすくなるように離型剤が塗布されていてもよい。
【0029】
このように支持体21に錐体状突起シート23から水平方向に突出した外周部(突出部分)が形成されているので、当該外周部を梱包部材7に粘着することで、支持体21、錐体状突起シート23、及び錐体状突起成形用シート34を梱包材5内で位置決めしている。このように、錐体状突起シート23などの梱包材5内での位置決めは支持体21を梱包材5の一部に粘着することで行われるので、簡単な構造および方法で錐体状突起シート23の複数の錐体状突起23aを保護できる。
【0030】
収納部31の凹状収納部31aには、先に述べた支持体付き錐体状突起シート3が収納されている。具体的には、成形保護構造36(錐体状突起シート23及び錐体状突起成形用シート34)が底面33に対応する空間に配置されており、その結果、錐体状突起成形用シート34は、底面33に近接した位置に隙間を空けて配置されている。
【0031】
シールシート9は、梱包部材7の内側の面に貼り合わされて、両者の間で凹状収納部31a内の支持体付き錐体状突起シート3を密封するためのシート状の部材である。具体的には、シールシート9は、例えば、一般的な構造として、表面樹脂層(図示せず)と、金属層(図示せず)とを有している。表面樹脂層は、印刷可能であり、さらに金属層を保護する機能も有している。金属層は、表面樹脂層の下面に設けられている。金属層は、アルミニウム又はその合金からなり、防湿性が高い。
【0032】
金属層の表面樹脂層と反対側の面には、接着層(図示せず)が設けられている。接着層は、シールシート9を梱包部材7に接着するためのものであり、具体的には、梱包部材7の平坦面37に接着されている。
このようにして、シールシート9は、錐体状突起シート23を覆った状態で梱包部材7の内側の面に貼り合わされて、両者によって凹状収納部31aを密封している。
【0033】
以上に述べた錐体状突起シートの梱包体1では、錐体状突起シート23の錐体状突起23bは、錐体状突起成形用シート34の複数の錐体状凹部34bによって形成され(後述)、その後も錐体状突起成形用シート34によって保護されている。
【0034】
錐体状突起シートの梱包体1から支持体付き錐体状突起シート3を取り出す際には、使用者は、
図6に示すように、シールシート9を梱包部材7から剥がした後に、支持体付き錐体状突起シート3を梱包部材7から剥がす。言い換えると、使用者が支持体21の外周部を梱包材5から剥がせば、支持体21、錐体状突起シート23、及び錐体状突起成形用シート34を梱包材5から取り出せる。これにより、複数の錐体状突起23aが錐体状突起成形用シート34に保護された錐体状突起シート23を得ることができる。
図6は、支持体付き錐体状突起シートを梱包部材から剥がした状態を示す断面図である。
【0035】
次に、使用者は、
図7に示すように、錐体状突起シート23から錐体状突起成形用シート34を剥がす。
図7は、支持体付き錐体状突起シートから錐体状突起成形用シートを剥がした状態を示す断面図である。この結果、使用者は、支持体付き錐体状突起シート3を目的に応じて使用できるようになる。経皮投与用貼付剤の場合は、支持体付き錐体状突起シート3は人の皮膚に貼られる。その場合、支持体21の外周部が粘着層26によって皮膚に貼られ、錐体状突起シート23の錐体状突起23bが皮膚に接触する。つまり、粘着層26は、支持体付き錐体状突起シート3を外部に取り出した後の粘着部分として機能する。
【0036】
(2)錐体状突起シートの梱包体の製造方法
図8〜
図22を用いて、錐体状突起シートの成形保護構造の製造方法を説明する。以下、複数の製造プロセスを説明する。
【0037】
(2−1)錐体状突起シートの成形保護構造予備体の製造
最初に、
図8及び
図9に示すように、錐体状突起成形用シート34を構成するブランク107を用意する。
図8は、錐体状突起成形用シートのブランクの斜視図である。
図9は、錐体状突起成形用シートのブランクの断面図である。図から明らかなように、ブランク107は、底面部109と、側面部111とを有している。底面部109は、例えば、四角形の平坦な板状部分である。側面部111は、底面部109の四辺から上方に延びる板状部分であり、凹部107aを形成している。なお、側面部111の上端には、全周にわたって折り返し部113が形成されている。折り返し部113は、断面において、凹部107aから外周側に延びさらに下方に延びている。
【0038】
図10〜
図12を用いて、ブランク107に対する予備加熱及び成形工程を説明する。
図10は、予備加熱及び成形工程を説明する模式図である。図に示すように、加熱室41と、成形装置43と、冷却室45とが連続して設けられている。
加熱室41では、ブランク107に対して成形前予備加熱が行われる。成形装置43は、ブランク107に対して錐体状凹部34bを成形する。冷却室45では、ブランク107に対して冷却が行われる。ブランク107は、各装置の間をコンベア46によって搬送される。
【0039】
成形装置43は、ブランク107の底面部109に複数の微細な錐体状凹部34bを形成するための装置である。図に示すように、成形装置43は、高精度プレス機47と、針山形状のプレス型(微細スパイク金型)49とから構成されている。
図11に示すように、プレス型49は、プレス部51を有している。
図11は、プレス型の断面図である。プレス部51は、ブランク107の底面部109に合った形状であり、下面に複数の加工用突起53を有している。
【0040】
成形加工前は、
図12に示すように、ブランク107の底面部109は平坦である。
図12は、ブランクの成形前の状態を示す模式的断面図である。成形前予備加熱によって、プレス型49が底面部109に接触するときに、ブランク107はすでに柔らかくなっている。この結果、
図13に示すように、加工用突起53によって、底面部109には複数の錐体状凹部34bが形成される。なお、プレス機の制御は、プレス箇所、押し圧力、押し時間等が高精度で制御可能な機械で行う。
図13は、ブランクの成形後の状態を示す模式的断面図である。図に示すように、錐体状凹部34bは、例えば円錐形状又は角錐形状であり、図上側に向かって開いている。
【0041】
次に、
図14〜
図15を用いて、ブランク107に錐体状突起材料56を供給する固定を説明する。
図14は、錐体状突起成形用シートに錐体状突起材料を滴下する工程を説明するための模式図である。図に示すように、分注機55が設けられている。分注機55は、錐体状突起材料56を凹部107aに滴下充填する装置である。錐体状突起材料56は、例えば、水などからなる溶媒に溶けたヒアルロン酸ナトリウムである。なお、溶媒としては、水の他、水溶性高分子が可溶する媒体が選択される。このように、底面部109に錐体状突起材料を供給することで、
図15に示すように、底面部109が錐体状突起材料56によって覆われる。
図15は、錐体状突起材料が充填された錐体状突起成形用シートの模式的断面図である。なお、この実施形態では、錐体状突起材料56は錐体状凹部34b内までは侵入しておらず、そのため錐体状凹部34bに空気が残っている。
【0042】
次に、
図16〜
図18を用いて、錐体状突起材料56を乾燥固化する工程を説明する。
図16は、錐体状突起材料を乾燥する工程を説明するための模式図である。図に示すように、乾燥炉65が設けられている。乾燥炉65では、ブランク107ごと錐体状突起材料56を加熱乾燥する。これにより、錐体状突起材料56から水分及び溶媒材が蒸発させられる。この結果、
図17の状態から錐体状突起材料56は乾燥によって収縮し、
図18の位置まで体積を減らす。この状態で、錐体状突起材料56は、複数の錐体状突起23bを有する錐体状突起23bとなる。
図17は、乾燥処理前の錐体状突起材料が充填された錐体状突起成形用シートの模式的断面図である。
図18は、乾燥処理後の錐体状突起材料が充填された錐体状突起成形用シートの模式的断面図である。
【0043】
以上の結果、
図19に示すように、ブランク107の底面部109に固化した錐体状突起材料56(錐体状突起シート23)が形成された錐体状突起シートの成形保護構造予備体136(以下、予備体136という)が得られる。
図19は、錐体状突起シートの成形保護構造予備体の断面図である。
【0044】
(2−2)支持体付き錐体状突起シートの製造
図20は、錐体状突起シートの成形保護構造予備体から支持体付き錐体状突起シートを製造する工程を説明するための模式的断面図である。
図20(a)に示すように、切断装置59が用いられる。切断装置59は、プレス部61と、複数の切断刃63とを有している。切断刃63は、プレス部61の下面に設けられている。各切断刃63は、環状の形状を有している。
図20(b)に示すように、プレス部61が下降して予備体136に接近すると、切断刃63が予備体136を下まで切断する。この結果、
図20(c)に示すように、切断刃63に対応する形状に打ち抜かれた成形保護構造36が得られる。また、このときに廃棄部68も得られる。なお、切断刃の種類としては、ピナクル刃、彫刻刃、トムソン刃などの抜き型が用いられる。以下の切断刃の場合も同様である。
最後に、
図20(d)に示すように、支持体21を成形保護構造36に固定する。これにより、複数の支持体付き錐体状突起シート3が得られる。
【0045】
上記のように、錐体状突起成形用シートであるブランク107及び錐体状突起シートである固化した錐体状突起材料56を打ち抜いて複数の錐体状突起成形用シート及び錐体状突起シートの組である成形保護構造36を形成するので、複数の成形保護構造36を短時間で製造でき、生産性が高い。
【0046】
次に、支持体付き錐体状突起シート3は、
図4に示すように、梱包部材7の凹状収納部31aに取り付けられる。具体的には、支持体21の外周部が粘着層26によって段差面35に貼られ、成形保護構造36が凹状収納部31a内に配置される。最後に、シールシート9が梱包部材7に接着される。その結果、錐体状突起シートの梱包体1が得られる。
【0047】
このように錐体状突起シートの梱包体1が完成した状態で、錐体状突起シート23は、支持体21及び粘着層26によって、梱包部材7に固定された状態を保っており、錐体状突起成形用シート34は底面33と隙間を空けて配置されている。このようにして、錐体状突起シートの梱包体1の搬送時又は使用時に錐体状突起23bが保護されている。
【0048】
以上に述べたように、錐体状突起成形用シート34は、錐体状突起シート23の錐体状突起23bを形成するための成形型として機能している。また、錐体状突起成形用シート34は、錐体状突起シート23の錐体状突起23bを保護する保護材として機能している。
【0049】
(3)第2実施形態
第1実施形態では予備体136は切断後に支持体21に固定されたが、予備体136の切断と、支持体21への固定の順番は反対であってもよい。つまり、錐体状突起シートの基体の第2の表面に支持体を固定するステップは、打ち抜きステップの前後いずれに行ってもよい。
【0050】
以下、
図21を用いて第2実施形態を説明する。
図21は、錐体状突起シートの成形保護構造予備体から支持体付き錐体状突起シートを製造する工程を説明するための模式的断面図である。なお、特に説明しない内容については、前記実施形態と同様である。
最初に、第1実施形態の
図19に示すように、ブランク107の底面部109に固化された錐体状突起材料56(錐体状突起シート23)が形成された予備体136を用意する。
【0051】
図21(a)に示すように、切断装置67が用いられる。切断装置67は、プレス部69と、環状の切断刃71とを有している。切断刃71は、プレス部69の下面に設けられている。切断刃71は、ブランク107の底面部109の外周に対応する形状を有している。
図21(a)に示すように、プレス部69が下降して予備体136に接近すると、切断刃71が予備体136を下まで切断する。この結果、ブランク107の折り返し部113が切り落とされる。その結果、予備体136は平面形状のシートになる。
【0052】
次に、
図21(b)に示すように、予備体136に対応した四角形状の支持体21を予備体136に固定する。つまり、予備体136の全面にわたって支持体21が貼り合わされる。
【0053】
次に、
図21(c)に示すように、切断装置59が用いられる。切断装置59は、プレス部61と、複数の切断刃63とを有している。切断刃63は、プレス部61の下面に設けられている。各切断刃63は、環状の形状を有している。
図21(c)に示すように、予備体136を反転させた状態において、プレス部61が下降して予備体136に接近すると、切断刃63が予備体136を下まで切断する。ただし、切断刃63は、支持体21までは到達せず、つまり支持体21を切断しない。この結果、
図21(d)に示すように、支持体21の上には、切断刃63に対応する形状に打ち抜かれた複数の成形保護構造36が得られる。なお、
図21(c)は、廃棄部を取り除いた後の状態である。
【0054】
さらに、図示しない切断装置を用いて、各成形保護構造36に対応するように支持体21を打ち抜く。この結果、
図21(e)に示すように、複数の支持体付き錐体状突起シート3が得られる。
以上に述べた第2実施形態では、第1実施形態と同様の優れた効果が得られる。
【0055】
(4)第3実施形態
第1実施形態及び第2実施形態では予備体136に対して固化された錐体状突起材料56(錐体状突起シート23)とブランク107の両方が一度に切断されていたが、固化された錐体状突起材料56の切断を先に行うようにしてもよい。
【0056】
以下、
図22及び
図23を用いて第3実施形態を説明する。
図22は、錐体状突起シートの成形保護構造予備体から支持体付き錐体状突起シートを製造する工程を説明するための模式的断面図である。
図23は、錐体状突起シートの梱包体の模式的断面図である。なお、特に説明しない内容については、前記実施形態と同様である。
【0057】
最初に、第1実施形態の
図19に示すように、ブランク107の底面部109に固化された錐体状突起材料56(錐体状突起シート23)が形成された予備体136を用意する。
【0058】
次に、
図22(a)に示すように、切断装置67が用いられる。切断装置67は、プレス部69と、環状の切断刃71とを有している。切断刃71は、プレス部69の下面に設けられている。切断刃71は、ブランク107の底面部109の外周に対応する形状を有している。
図22(a)に示すように、プレス部69が下降して予備体136に接近すると、切断刃63が予備体136を下まで切断する。この結果、ブランク107の折り返し部113が切り落とされる。その結果、予備体136は平面形状のシートになる。
【0059】
次に、
図22(b)に示すように、切断装置59が用いられる。切断装置59は、プレス部61と、複数の切断刃63とを有している。切断刃63は、プレス部61の下面に設けられている。各切断刃63は、環状の形状を有している。
図22(b)に示すように、プレス部61が下降して予備体136に接近すると、切断刃63が予備体136のうち固化した錐体状突起材料56を下まで切断する。ただし、切断刃63は、ブランク107まで到達せず、つまりブランク107を切断しない。この結果、
図22(c)に示すように、ブランク107の上には、切断刃63に対応する形状に打ち抜かれた錐体状突起材料56が得られる。
図22(c)は、廃棄部を取り除いた後の状態である。
【0060】
次に、
図22(d)に示すように、予備体136に対応した四角形状の支持体21を各錐体状突起シート23に固定する。つまり、予備体136の全面にわたって支持体21が貼り合わされる。
【0061】
次に、
図22(e)に示すように、切断装置73が用いられる。切断装置73は、プレス部75と、複数の切断刃77とを有している。切断刃77は、プレス部75の下面に設けられている。各切断刃77は、環状の形状を有している。
図22(e)に示すように、予備体136及び支持体21を反転させた状態において、プレス部75が下降して予備体136に接近すると、切断刃77が予備体136及び支持体21を下まで切断する。この結果、
図22(f)に示すように、複数の支持体付き錐体状突起シート3が得られる。
【0062】
この実施形態では、錐体状突起成形用シート34の本体部34cには、把持部34dが形成されている。本体部34cは、錐体状突起23aが密着している部分である。把持部34dは、錐体状突起シート23の外周縁よりもさらに外周側に水平方向に延びている。具体的には、把持部34dは本体部34cの外周に設けられた環状である。把持部34dは、錐体状突起成形用シート34を錐体状突起シート23から剥がすための部材である。したがって、支持体付き錐体状突起シート3の使用時に、把持部34dをつかむことによって、錐体状突起成形用シート34を錐体状突起シート23から剥がす作業が容易になる。
なお、錐体状突起成形用シート34に把持部34dが形成可能になった理由は、
図22(b)に示すように、固化した錐体状突起材料56から複数の錐体状突起シート23を打ち抜く際に錐体状突起成形用シート34となるブランク107は打ち抜かなかったために、錐体状突起成形用シート34が錐体状突起シート23より大きな状態を確保されたからである。
【0063】
図23に示すように、支持体付き錐体状突起シート3は、梱包部材7及びシールシート9内に移動可能に配置されている。なお、この実施形態では、梱包部材7は段差面35を有していない。
また、支持体付き錐体状突起シート3は、梱包部材7に対して、例えば、第1実施形態(
図4)、第5実施形態(
図25)のような手段で固定されていてもよい。
【0064】
(5)第4実施形態
第1実施形態では、支持体付き錐体状突起シート3は梱包部材7に固定されていたが、必ずしも固定されていなくてもよい。
図24は、錐体状突起シートの梱包体の模式的断面図である。この実施形態では、第1実施形態と同様の支持体付き錐体状突起シート3が、梱包部材7及びシールシート9内に移動可能に配置されている。なお、この実施形態では、梱包部材7は段差面35を有していない。
【0065】
(6)第5実施形態
第3実施形態及び第4実施形態では支持体付き錐体状突起シート3は梱包部材7に固定されていなかったが、第1実施形態と異なる方式によって支持体付き錐体状突起シート3は梱包部材7に固定されていてもよい。
図25を用いて、支持体付き錐体状突起シート3が梱包部材7及びシールシート9に収納された状態を説明する。
図25は、錐体状突起シートの梱包体の模式的断面図である。
【0066】
図において、第1実施形態と同様の支持体付き錐体状突起シート3が梱包部材7及びシールシート9内に移動不能に配置されている。具体的には、梱包部材7の収納部31の底面33には、接着層81が設けられている。接着層81によって、支持体付き錐体状突起シート3は梱包部材7に固定されている。より具体的には、錐体状突起成形用シート34が接着層81によって梱包部材7の底面33に固定されている。
このように錐体状突起シートの梱包体1が完成した状態で、錐体状突起シート23は、接着層81によって、梱包部材7に固定された状態を保っている。言い換えると、梱包材5に錐体状突起成形用シート34を固定することで、支持体21、錐体状突起シート23、及び錐体状突起成形用シート34が梱包材5内で位置決めされている。このようにして、錐体状突起シートの梱包体1の搬送時又は使用時に錐体状突起23bが保護されている。特に、錐体状突起シート23などの梱包材5内での位置決めは錐体状突起成形用シート34を梱包材5に固定することで行われるので、簡単な構造および方法で錐体状突起シート23の複数の錐体状突起23aを保護できる。
【0067】
図26を用いて、支持体付き錐体状突起シート3を錐体状突起成形用シート34から剥がす動作を説明する。
図26は、第5実施形態において、支持体付き錐体状突起シートを錐体状突起成形用シートから剥がした状態を説明するための模式的断面図である。図に示すように、使用者が、支持体21を持って支持体付き錐体状突起シート3を梱包部材7から剥がす。すると、錐体状突起成形用シート34は梱包部材7側に残り、つまり錐体状突起シート23は錐体状突起成形用シート34から剥がれる。以上のように、支持体付き錐体状突起シート3を梱包部材7から剥がすことによって、同時に、錐体状突起成形用シート34を錐体状突起シート23から剥がすことができる。その結果、使用者は支持体付き錐体状突起シート3を梱包部材7から剥がせば、複数の錐体状突起23aが露出した状態での錐体状突起シート23が得られ、その結果、直ちに支持体付き錐体状突起シート3を使用できる。
【0068】
(7)実施形態の共通点
前記第1〜第5実施形態は、下記の共通点を有している。
本発明の一見地に係る錐体状突起シートの梱包体(例えば、錐体状突起シートの梱包体1)の製造方法は、以下のステップを備えている。
◎錐体状突起成形用シート(例えば、錐体状突起成形用シート34)に複数の錐体状凹部(例えば、錐体状凹部34b)を形成するステップ(例えば、
図10〜
図13を参照。)
◎錐体状突起成形用シートに錐体状突起材料56を供給することで、基体(例えば、基体23a)と基体の表面に形成されかつ複数の錐体状凹部内に配置された複数の錐体状突起(例えば、錐体状突起23b)とを有する錐体状突起シート(例えば、錐体状突起シート23)を形成するステップ(例えば、
図14〜
図18を参照。)
◎錐体状突起成形用シート及び錐体状突起シートを打ち抜いて複数の錐体状突起成形用シート及び前記錐体状突起シートの組を形成するステップ(例えば、
図21,
図22及び
図23を参照。)
◎互いに密着した錐体状突起シートと錐体状突起成形用シートを梱包材(他例えば、梱包材5)を用いて梱包するステップ(例えば、
図4,
図23,
図24及び
図25を参照。)
この製造方法では、錐体状突起シートは錐体状突起成形用シートにおいて形成され、形成されたときの状態を維持される。具体的には、錐体状突起シートの複数の錐体状突起は錐体状突起成形用シートの複数の錐体状凹部によって形成され、その後も複数の錐体状凹部によって保護されている。つまり、錐体状突起シートの複数の錐体状突起が確実に保護される。
また、この製造方法は、錐体状突起成形用シート及び錐体状突起シートを打ち抜いて複数の錐体状突起成形用シート及び錐体状突起シートの組を形成するステップをさらに備えているので、複数の錐体状突起シートの梱包体を短時間で製造できる。
【0069】
(8)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(a)前記実施形態では支持体21は1枚のシートから構成されていたが、支持体は複数枚のシートから構成されていてもよい。
【0070】
(b)前記実施形態では、支持体21は錐体状突起シート23の全面を覆いさらに外周側全体にわたって粘着層26を有していたが、支持体の形状、錐体状突起シートとの位置関係、粘着層の形状等は適宜変更可能である。特に、支持体21の突出部(段差面35に粘着された部分)の形状は、前記実施形態では環状であったが、形状は限定されない。
(c)前記実施形態では、各種シートの切断は抜き型によって行っていたが、レーザなどの他の手段によって行ってもよい。
(d)前記実施形態では錐体状突起成形用シート34の把持部34dは本体部34cの外周全体にわたって環状に形成されていたが、形状は特に限定されない。例えば、把持部は本体部の外周の一部にのみ形成されていてもよい。
(e)前記実施形態では錐体状突起シートの梱包体1の収納部31の数は1つであったが、収納部は複数であってもよい。
(f)前記実施形態ではシールシートは梱包部材に対して単純に貼られていたが、真空包装(脱気処理)を用いてシールシートを梱包部材に固定してもよい。この場合、真空包装を用いることで、梱包部材とシールシートの間に隙間がなくなり、その結果、錐体状突起シートが梱包部材とシールシートの間で移動不能になる。そのため、錐体状突起シートの複数の錐体状突起が破損しにくい。