【課題を解決するための手段】
【0015】
その最も一般的なことでは、本発明は、ボイド及び/又はポアの性質を示す情報を得るため、例えば計測学測定を支援するために、半導体素子に存在するボイド及び/又はポアの内容物を抽出する方法及び装置を提案する。この情報は、ボイド及び/又はポアの分布、及び/又は、ボイド及び/又はポアのサイズ、及び/又は、ボイド及び/又はポアの化学的内容物に関する。抽出工程は、半導体素子のポア及び/又はボイドに含まれた物質を放出するために半導体素子を加熱すること、及び放出された物質をコレクターで集めることを含んでいる。
【0016】
発明の1つの態様によれば、次のものを含む半導体ウェハ計測方法を供給することができる。即ち、半導体ウェハに堆積された層の中若しくはその下に形成されたボイドに含まれる物質を放出するために半導体ウェハを加熱すること; ボイドの性質を示す情報を抽出するため、半導体ウェハ及び/又はコレクターの質量の間接的変化を測定すること。
【0017】
半導体素子の質量の間接的変化は、放出された物質の除去によるかもしれない。コレクターの質量の間接的変化は、放出された物質の収集によるかもしれない。質量の両変化は、半導体ウェハが加熱されたときに半導体ウェハから放出される物質の量を示すものとして使用することができる。半導体ウェハが加熱されたときに半導体ウェハから放出される物質の質量は、堆積された層の中若しくはその下におけるボイドの性質を示す。例えば、放出された物質の質量は、半導体ウェハにより多くのボイドがある場合には、より大きな質量が放出されるかもしれないように、半導体ウェハの中にあるボイドの合計サイズ(すなわち体積)を示すかもしれない。
【0018】
ここに言及された質量の変化は、加熱工程前に取得した質量測定と、ボイドにおける物質の排出中若しくはその後に取得した一もしくは複数の質量測定とを比較することによって得てもよい。
【0019】
その方法は、一つ、もしくは互換性をもつ程度まで、以下の任意の特徴のいずれの組み合わせを有してもよい。
【0020】
半導体ウェハは、層が堆積された表面に対向する半導体ウェハの表面に熱を加えることにより加熱されてもよい。
【0021】
層を堆積した表面に対向する半導体ウェハの表面に熱を加えることは、コレクターが上記層と同じ温度まで加熱されることなく、上記層のすぐ近くにコレクターが位置することを可能にするかもしれない。即ち、半導体ウェハに堆積された層とコレクターとの間に温度勾配が存在してもよい。
【0022】
半導体ウェハは、上記層が堆積された表面に対向する半導体ウェハの表面と熱的接触する熱源によって加熱されてもよい。例えば、半導体素子は、例えば加熱された板である熱い表面に接触させることにより加熱されてもよい。
【0023】
方法は、例えば調整可能な熱源を使用して、半導体素子の温度を制御可能に調節し、かつ、放出された物質による半導体素子の質量変化及び/又は集められた物質によるコレクターの質量変化を半導体素子の温度の関数として測定する工程を含んでもよい。したがって、半導体素子の質量変化及び/又はコレクターの質量変化は、質量におけるその変化が生じる特定温度あるいは温度範囲にリンクするかもしれない。物質が半導体素子から排出される温度は、物質のタイプと関係するだろう、即ち、半導体素子におけるボイドから液体の水を排出するために要求されるものよりも、半導体素子におけるボイドから液体の硫酸を排出するために、より高温あるいはより低温が要求されるかもしれない。したがって、物質が半導体素子から排出される温度あるいは温度範囲を測定することによって、その物質のタイプを識別可能としてもよい。
【0024】
半導体素子の温度の関数として半導体素子の質量の変化及び/又はコレクターの質量の変化を測定することは、半導体素子の温度が徐々に増加されるとともに、半導体素子の質量及び/又はコレクターの質量を複数回測定することを含んでもよい。
【0025】
あるいはまた、半導体素子の温度は、一連の工程変化、つまり温度の急激な増加において増加するかもしれず、また、半導体素子の質量の変化及び/又はコレクターの質量の変化が温度における隣接する工程変化間で測定されるかもしれない。例えば、半導体素子の温度は、時刻t1と時刻t2との間で温度T1に、時刻t2と時刻t3との間で温度T2に維持されてもよい。半導体素子の質量の変化及び/又はコレクターの質量の変化は、時刻t1と時刻t2との間、及び再び時刻t2と時刻t3との間で測定されてもよい。
【0026】
放出された物質は、ガス又は蒸気かもしれない。コレクターは、ガスの、あるいは液体蒸気の放出物質を凝結する(すなわち、非ガスの状態へ相変化をもたらす)ための凝縮器でもよい。したがって、放出された物質は、非ガスの(例えば液体又は固体)形態で凝縮器内あるいは凝縮器上に保持されるかもしれない。凝縮器は、例えば、冷やされた面、例えば凝縮プレートでもよい。
【0027】
放出された物質を集める工程において、凝縮器は、層が堆積された半導体ウェハの表面に対向して位置してもよい。半導体素子から物質が放出されたとき、それは凝縮器に接触して凝縮され、凝縮器において放出物質の大部分あるいは全ての収集をもたらしてもよい。凝縮器が半導体素子の表面に対向して位置するとき、放出される物質は、それが放出されるボイドの反対側に凝結されるかもしれない。したがって、放出された物質は、層に垂直な半導体素子から放出されるかもしれず、よって、それが放出された層上のポイントに対向する凝縮器に接触するかもしれない。したがって、凝縮器において放出物質が凝縮した位置は、半導体素子におけるボイドの位置を反映し、つまりはっきりと描くかもしれず、即ち、凝縮された物質の位置は、ボイドの位置を代表するかもしれない。凝縮器が半導体素子に近接して配置される場合、凝縮器における凝縮物質の位置は、より正確にボイドの位置を表わすことができる。例えば、凝縮器は、半導体素子から1mm未満の間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、凝縮器は、半導体素子の表面に接しているかもしれない。
【0028】
放出された物質を集める工程では、真空は、半導体素子と凝縮器との間の隙間に設けられてもよい。即ち、半導体素子及び凝縮器は、低圧でガスによって占められた隙間によって分離されてもよい。真空は、非常に高真空、つまり10
−10Pa未満のガスであってもよい。好ましくは真空は、0.1Pa以下、例えば10
−9Paと0.1Paとの間の圧力である。凝縮器と半導体素子との間の隙間に真空を設けることは、より熱い半導体素子とより冷たい凝縮器との間の温度勾配によって、そうでなければ引き起こされるかもしれない対流の発生を防ぐかもしれない。半導体素子と凝縮器との間の隙間における対流は、放出された物質が凝縮器で凝結される前に、凝縮器の表面に沿ってその物質を移動させるかもしれない。これが生じる場合、凝縮器における凝縮物質の位置は、もはや半導体素子におけるボイドの位置の代表ではないかもしれない。凝縮器と半導体素子との間の隙間におけるガスの圧力は、代表的な縮合を促進するために半導体素子に関する凝縮器の位置と関係するかもしれない。例えば、半導体素子からの凝縮器の適切な分離は、放出された物質の予期されたあるいは計算された速度から、及び/又は、凝縮器と半導体素子との間の隙間におけるガス中の放出物質の予期されたあるいは計算された平均自由行程から決定されてもよい。あるいは、半導体素子からの凝縮器の分離が予め決定された場合では、適切な圧力は、この分離に基づいて決定されてもよい。
【0029】
放出された物質を集める工程は、特定温度に凝縮器の温度を維持することを含んでもよい。凝縮器が維持される温度は、放出された物質が凝縮器と接触するときに放出物質を凝結させるのに十分に低くなければならない。したがって、凝縮器が維持される特定温度は、凝縮器によって集められるべき物質の種類に基づいて予め決めることができる。あるいはまた、例えば、凝縮器によって集められる物質の種類が未知の場合、凝縮器の温度は、一連の異材質を凝結するのに適切な特定温度で維持されてもよい。
【0030】
凝縮器が維持される特定温度は、例えば周囲温度であってもよい。あるいはまた、特定温度は、周囲温度、例えば73Kの温度で、液体窒素の温度にてガスである放出物質を凝結するのに十分に低くてもよい。好ましくは、凝縮器が維持される温度は、73Kと373Kとの間である。凝縮器の温度は、特定温度に一様に維持する必要はない。即ち、凝縮器のいずれの部分においても最高温度が、いつでも放出物質の凝縮温度未満であるならば、凝縮器の温度は、凝縮器にわたり一定、あるいは時間とともに一定である必要はない。
【0031】
凝縮器の温度は、冷却ユニットを使用して凝縮器を冷やすことによって特定温度に維持してもよい。しかしながら、特定温度に凝縮器を維持する他の方法が、例えば液化ガスを使用することが、凝縮器を冷やすために使用されてもよい。
【0032】
方法は、またさらに、放出物質が凝結される初期温度から凝縮器の温度が制御可能に増加されるとともに、凝縮器の質量を測定する工程を備えてもよい。例えば凝縮器は、半導体素子から排出される全ての物質を凝結するのに十分な温度に最初に冷やされてもよい。凝縮器の温度が続いて制御可能に増加されるとともに、凝縮器における凝縮物質の質量を測定することによって、凝縮物質の組成を調査することが可能かもしれない。
【0033】
例えば、凝縮された物質は、温度Tlで蒸発する液体A及び温度T2で蒸発する液体Bを備えるかもしれない。凝縮器の温度が温度Tlを超える温度まで増加されるとき、液体Aが蒸発するので、凝縮器における凝縮液の質量に測定可能な変化があるだろう。凝縮器の温度が温度T2に達したとき、液体Bが蒸発するので、凝縮器における凝縮液の質量に別の測定可能な変化があるだろう。質量におけるこれらの変化が生じる温度を正確に決定することによって、その物質の組成を識別すること、即ち、液体が液体A及び液体Bを備えることを識別することが可能かもしれない。
【0034】
凝縮器の温度を制御可能に増加させることは、凝縮器の温度を滑らかに、かつ連続的に増加させることを含んでもよい。あるいはまた、制御可能に温度を増加させることは、温度における一連の不連続ステップ変化にて、つまり温度の一連の急増にて、凝縮器の温度を増加させることを含んでもよい。
【0035】
放出された物質を集める工程において、放出物質が凝結される凝縮器の表面は、複数の分離した凝縮する部分に分割されてもよい。分離した凝縮部分へ凝縮器を分割することは、一つの凝縮部分で凝縮する物質が隣接する凝縮部分で凝縮する物質と混合することが妨げられることを意味する。もし凝縮器がこのように分割されないならば、大量の放出物質が凝縮器で凝結されるときには、隣接領域の凝縮液が混合するかもしれないことはありえる。もしこれが生じたならば、凝縮器における凝縮物質の領域は、もはや半導体素子におけるボイドの位置の代表にならないであろう。
【0036】
凝縮部分のサイズは、凝縮器における凝縮物質の位置が半導体素子におけるボイドの位置をはっきりと描く有効な解像度を決定する。凝縮する部分のサイズが小さいほど、つまり一定の凝縮器に、より多くの凝縮部分があるほど、解像度はよりよい。好ましくは、凝縮部分のサイズは、半導体素子におけるボイドのサイズにほぼ同程度か、あるいは小さい。さらに、集めた物質をコレクターの表面から離れて移動するように、凝縮する部分が毛管現象を示すことが可能であってもよい。
【0037】
凝縮器の表面は、複数の別個の凝縮部分の一様なグリッドパターンへ分割されてもよい。一様なグリッドパターンは、凝縮器にわたり一定の解像度を提供し、したがって、半導体素子におけるボイドの位置のマッピングの均一性を増加させる。
【0038】
凝縮器の表面は、一もしくは複数の表面に突出(raised)したリブによって複数の別個の凝縮部分に分割されてもよい。表面に突出したリブは、隣接する凝縮部分における凝縮物質が混合するのを防ぐかもしれない。
【0039】
放出された物質を集める工程において、凝縮器の表面の突出したリブが半導体素子の層に接するように、コレクターは位置決めされてもよい。したがって、突出したリブが凝縮器の表面の上に制御されて一様な高さを有するとき、凝縮器及び半導体素子は、それらの間を制御された間隔にて互いに対向して正確に配列されるかもしれない。さらに、突出したリブは、凝縮器と半導体素子との間の隙間を有効に分割してもよく、それによって、隙間内で対流が生じるのを防ぐ。したがって、この場合、凝縮器と半導体素子との間の隙間に真空を設けることは不要かもしれない。
【0040】
半導体素子のボイドに含まれる物質を放出するために半導体素子を加熱する工程において、半導体素子は、半導体ウェハに堆積された層における物質をアニールするのに十分な温度まで加熱されてもよい。例えば、層が銅の層である場合、半導体素子は銅をアニールするのに十分な温度まで上昇させることができる。銅のような金属がアニールされるとき、金属の非晶質構造は、予め粒状構造に変化する。粒の形成中に、半導体素子内のボイドの中に先に閉じ込められた物質は、粒界に沿って放出されるかもしれないと信じられている。したがって、層内の物質をアニールするのに十分な温度まで半導体素子を加熱することは、半導体素子内のボイドに含まれる全ての物質が半導体素子から放出されることを保証するかもしれない。ボイドの中に最初に存在する全ての物質が半導体素子から放出されることを保証するためにアニール温度を超える温度まで半導体素子の温度を上げる必要があるかもしれない。
【0041】
しかしながら、半導体素子中のボイドから物質が放出されるように導くことができる他のメカニズムがあるかもしれないので、アニール温度まで半導体素子を加熱する必要はないかもしれない。例えば、
図1に示される配置では、継ぎ目11はボイド13を周囲の空気に接続する。したがって、ボイド13内の物質の温度及び圧力が十分に上昇される場合には、ボイド13内の物質は、層1をアニールするのに十分な温度まで素子の温度を上げる必要がなく、継ぎ目11に沿ってボイド13から放出されるかもしれない。
【0042】
方法は、さらに、凝縮器の領域内のいずれの凝縮液も蒸発させるために凝縮器の領域を局所的に加熱する工程、並びに、その領域から蒸発した凝縮液の質量及び/又は蒸発した物質による凝縮器の質量変化を測定する工程を備えてもよい。凝縮器の質量変化は、局部加熱により凝縮器から蒸発した物質の質量の間接測定を提供する。したがって、凝縮器の特定領域にあるいずれかの凝縮液が存在するか否か、存在するならば、その領域にどれだけの量の凝縮液が存在するのかを決定することが可能であるかもしれない。凝縮器における凝縮液の位置が半導体素子のボイドの位置の代表であるとき、凝縮器の領域における凝縮液量の局所的な測定は、半導体素子の対応する領域のボイドの性質を示す情報を提供することができる。半導体素子と凝縮器とが互いに対向して密接した間隔に置かれる場合、半導体素子の対応する領域は、加熱されている凝縮器の領域に対向する領域であるかもしれない。
【0043】
凝縮器における放出された物質を集める工程に続いて、半導体ウェハは、凝縮器の場所から取り除かれてもよく、あるいは、半導体ウェハと凝縮器との分離が著しく増加してもよい。あるいは、凝縮器が半導体素子の場所から取り除かれてもよい。その後、凝縮器は、放出された物質が凝結される表面に対向する凝縮器表面に局所的に熱を加えることによって局所的に加熱されてもよい。放出された物質が前面で凝結される場合、凝縮器は続いて表裏で局所的に加熱されてもよい。
【0044】
多くの可能な方法が凝縮器の領域へ局所的に熱を加えることに関して予想される。熱はレーザーを使用して加えられてもよい。あるいは、熱は赤外線によって加えられてもよい。あるいはまた、熱は凝縮器の領域と熱的に接触している抵抗加熱素子によって加えられてもよい。他に知られている加熱法もまた使用されてもよい。
【0045】
凝縮器の異なる領域が連続して局所的に加熱されてもよく、また、各領域から蒸発した凝縮液の質量、及び/又は各領域からの蒸発物質による凝縮器の質量変化が測定されてもよい。このプロセスは、凝縮器の全体あるいは本質的部分が局所的に加熱されるまで継続されてもよい。したがって、凝縮液が凝縮器に形成された場所、及び各位置に形成された凝縮液の量が決定可能である。事実上、凝縮器に形成された凝縮液の位置及び質量を記録したマップを生成することができる。凝縮液が凝縮器に形成された位置が半導体素子中のボイドの位置の代表であるとき、凝縮器にわたる凝縮液の測定された分布は、半導体素子の表面にわたるボイドの分布を効果的にはっきりと描くかもしれない。凝縮器の各領域における凝縮液の質量の局所的な測定は、半導体素子の対応する領域のボイドの性質を示す情報を提供するかもしれない。この情報は、半導体素子の対応する領域のボイドの数に関係する情報、あるいは対応する領域のボイドのサイズに関係のある情報を含んでいてもよい。したがって、ボイドの分布及びボイドのサイズに関係のある情報は、同時に抽出することができる。
【0046】
凝縮器の異なる領域を連続して加熱することは、例えば、凝縮器と相対的に熱源を移動することを含んでもよい。例えば、レーザー又は赤外線源を使用して熱が加えられる場合、放射ビームは、加熱される凝縮器の領域を変更するように移動してもよい。加熱が抵抗加熱素子によって提供される場合、抵抗加熱素子は、凝縮器と相対的に移動可能であってもよい。あるいは、複数の固定抵抗加熱素子は、その各々が凝縮器の異なる領域と熱的接触しており、凝縮器の裏面に位置決めされてもよい。それらの素子の各々は、凝縮器の一つの領域が加熱されてもよいように、独立して活性化可能であってもよい。
【0047】
凝縮器が複数の凝縮する部分に分割される場合、局所的に加熱される凝縮器の領域は、異なる凝縮部分にそれぞれ対応してもよい。したがって、各凝縮部分の温度は、局所加熱によって独立して上昇されてもよく、並びに、各凝縮部分から蒸発した凝縮液の質量、及び/又は各凝縮部分からの物質の蒸発による凝縮器の質量の変化は、独立して測定されてもよい。
【0048】
方法は、局所的に加熱される領域の温度を制御可能に調節すること、及びその領域から蒸発した凝縮液の質量、及び/又は、その領域の温度の関数として、蒸発した物質による凝縮器の質量変化を制御可能に測定することを含んでもよい。凝縮液が凝縮器の領域から蒸発する温度は、その領域における物質の種類を示す。したがって、領域から蒸発した凝縮液の質量、及び/又は蒸発した物質による凝縮器の質量変化を測定することにより、凝縮物質の組成を調査することが可能である。凝縮物質の組成は、凝縮物質がもともと放出された半導体素子の対応する領域におけるボイドの内容物を示すかもしれない。
【0049】
凝縮器の領域の温度を制御可能に調節することは、その領域の温度を滑らかに連続的に増加させることを含んでもよい。あるいは、制御可能に温度を増加することは、一連の離散的なステップ変化、つまり温度の一連の急増においてその領域の温度を増加することを含んでもよい。
【0050】
局所的に加熱された所定の領域から蒸発した物質の質量は、質量分析計を使用して測定されてもよい。したがって、蒸発物質の質量は、正確に測定されることができる。
【0051】
質量分析計を使用して蒸発物質の質量が測定される場合、蒸発物質の組成は、質量分析計を使用して分析されてもよい。したがって、局所的に加熱される凝縮器の領域に存在する凝縮液の質量及び組成の両方を正確に決定することが可能かもしれない。
【0052】
発明の他の態様によれば、次のものを含む半導体ウェハ計測装置を提供することができる:半導体ウェハに堆積された層の中あるいは下に形成されたボイドに含まれる物質を放出するために半導体ウェハを加熱するための加熱部、放出された物質を集めるためのコレクター、及び、半導体ウェハ及び/又はコレクターの間接的な質量変化を測定するための質量測定ユニット。
【0053】
上述した第1態様の特徴は、第2態様に適用可能であってもよい。
【0054】
装置は、半導体素子とコレクター(例えば凝縮器)とを互いに対向して整列させるためのアラインメント機構を有してもよい。
【0055】
装置は、さらに、凝縮器の温度を制御する、例えば維持するための冷却ユニットを備えてもよい。凝縮器が維持される特定温度は、例えば周囲温度でもよい。あるいは、特定温度は、周囲温度でガスである放出された物質を凝結するのに十分に低くてもよい。冷却ユニットは、凝縮器の冷却が、上述したように制御可能に調節することができるように、調整可能であってもよい。
【0056】
装置は、その領域におけるいずれの凝縮液も蒸発させるために局所的に凝縮器の領域を加熱するための第2の加熱部を備えてもよい。局所的に加熱した領域から蒸発した凝縮液の質量は、質量測定ユニットを使用して、凝縮器の質量変化を測定することによって間接的に測定されてもよい。あるいは、装置は、局所的に加熱した領域から蒸発した凝縮液の質量を直接測定するための第2の質量測定ユニットを備えてもよい。したがって、凝縮器の特定の領域に存在する凝縮液があるか否か、及び存在する場合には、その領域にどれだけの量の凝縮液があるのかを決定することが可能かもしれない。凝縮器における凝縮液の位置が半導体素子におけるボイドの位置の代表である場合、凝縮器の領域における凝縮液量の局所的な測定は、半導体素子の対応する領域におけるボイドの性質を示す情報を提供するかもしれない。
【0057】
第2の加熱部は、放出される物質が凝結される表面に対向する凝縮器の表面に局所的に熱を加えるための第2の熱源を備えてもよい。放出された物質が前面で凝結される場合には、凝縮器は、裏面で続いて局所的に加熱されてもよい。第2熱源は、レーザーあるいは赤外線源であってもよい。あるいは、第2熱源は、凝縮器の領域との熱的に接触している抵抗加熱素子であってもよい。
【0058】
第2の加熱部は、局所的に加熱される凝縮器の領域を変更するために凝縮器に相対的に移動可能であってもよい。凝縮器と相対的に加熱部を移動させることは、凝縮器と相対的に加熱部の並進運動を含んでもよく、又は、それは、熱源の回転運動を含んでよい。例えば、熱源がレーザーである場合、レーザーは、レーザー光線が向けられる凝縮器の領域を変更するために回転してもよい。
【0059】
あるいは、第2の加熱部は、複数の固定抵抗加熱素子を含んでもよく、その各々は、凝縮器の異なる領域と熱的接触している。これらの固定抵抗加熱素子の各々は、凝縮器の一つの領域が加熱可能なように個々に活性化されてもよい。凝縮器が複数の凝縮部分に分割される場合には、これらの領域は、異なる凝縮部分に対応してもよい。したがって、それぞれの凝縮部分の温度は、局部加熱によって独立して増加させることができ、各凝縮部分から蒸発した凝縮液の質量は、独立して測定可能であるかもしれない。
【0060】
第2の質量測定ユニットは、質量分析計を備えてもよい。したがって、蒸発物質の質量は、高精度に測定することができる。質量分析計も蒸発物質の組成を分析するために使用されてもよい。したがって、局所的に加熱される凝縮器の領域に存在する凝縮液の質量及び組成の両方を正確に決定することが可能かもしれない。