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特許5931195超音波診断装置及び超音波診断装置の作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931195
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び超音波診断装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】12
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-523680(P2014-523680)
(86)(22)【出願日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】JP2013067253
(87)【国際公開番号】WO2014007100
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2014年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-151189(P2012-151189)
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390029791
【氏名又は名称】日立アロカメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋場 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】栗原 浩
(72)【発明者】
【氏名】石原 千鶴枝
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−051375(JP,A)
【文献】 特表2007−513727(JP,A)
【文献】 特開平04−146736(JP,A)
【文献】 特開2009−022462(JP,A)
【文献】 特開2005−319177(JP,A)
【文献】 特開2002−224107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルを備える超音波探触子から超音波パルスを被検体に送信し、得られたエコー信号から超音波画像を得る超音波診断装置であって、
送信毎に、前記複数のチャンネルの中の、前記超音波パルスを送信する複数のチャンネルである送信チャンネルを規定する送信口径重みと、当該各送信チャンネルから送信する前記超音波パルスに与える遅延時間をそれぞれ規定する送信遅延重みとを設定する送信ビームフォーマと、
送信毎に、前記複数のチャンネルで受信される前記エコー信号から受信ビームを生成する受信ビームフォーマと、
n(nは、3以上の整数)個の前記受信ビームを合成して1の走査線上の合成受信ビームを生成し、超音波画像を得る信号処理部と、を備え、
前記1の走査線の合成受信ビームを生成するn個の前記受信ビームは、n回の異なる送信により得られるエコー信号からそれぞれ生成され、
前記n回の異なる送信のうち、少なくとも1回は、前記走査線とは異なる走査線に対する送信を兼ねる兼用送信であり、
前記送信ビームフォーマは、前記n回の異なる送信のうち、1回の被合成送信の前記送信口径重みおよび前記送信遅延重みが、他の(n−1)回の合成送信の前記送信口径重みおよび前記送信遅延重みを合成したものに等しくなるよう前記送信口径重みおよび前記送信遅延重みを設定すること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断装置であって、
前記受信ビームフォーマは、前記兼用送信で受信する前記エコー信号から、当該両走査線上に、それぞれ、前記受信ビームを形成すること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項記載の超音波診断装置であって、
前記受信ビームフォーマは、走査線毎に、加算チャンネルを規定する受信口径重みと、前記加算チャンネルで得たエコー信号に与える遅延時間を規定する受信遅延重みとを設定し、走査線毎の前記受信口径重みおよび受信遅延重みに従って、前記受信ビームを形成すること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項記載の超音波診断装置であって、
前記送信口径重みは、前記(n−1)回の合成送信時に、前記送信チャンネルが、それぞれ排他的に選択されるよう設定されること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項記載の超音波診断装置であって、
前記nは3であること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項記載の超音波診断装置であって、
前記送信口径重みは、1回の前記合成送信時に、奇数チャンネルが前記送信チャンネルとして選択されるよう設定されること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項1記載の超音波診断装置であって、
隣接する複数の前記チャンネルは、チャンネルブロックを構成し、
前記送信口径重みおよび送信遅延重みは、前記チャンネルブロック単位で設定されること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
請求項記載の超音波診断装置であって、
前記受信ビームフォーマは、前記兼用送信で受信する前記エコー信号から、当該兼用送信による両走査線をそれぞれ挟む複数の走査線上に、それぞれ前記受信ビームを形成すること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
請求項記載の超音波診断装置であって、
前記受信ビームフォーマは、走査線毎に、加算チャンネルを規定する受信口径重みを設定し、かつ、前記受信口径重み毎に、複数の異なる受信遅延重みを設定し、前記1の走査線に対し、当該走査線を挟む複数の走査線上に前記受信ビームをそれぞれ形成すること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
請求項記載の超音波診断装置であって、
送受信毎に前記送信ビームフォーマおよび前記受信ビームフォーマに接続するチャンネルである送受信口径を決定するスイッチを備え、
前記スイッチは、前記合成送信が前記兼用送信で兼用される2つの走査線に対するそれぞれの前記被合成送信時に用いられる全送信チャンネルを、前記送受信口径として決定すること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
請求項1記載の超音波診断装置であって、
前記信号処理部は、前記受信ビームのゲイン調整を行うゲイン調整部を備えること
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項12】
複数のチャンネルを有する超音波探触子を備え、被検体から得られたエコー信号に基づいて超音波画像を取得する超音波診断装置の作動方法であって、
送信ビームフォーマが、前記複数のチャンネルの中の超音波パルスを送信する複数のチャンネルである送信チャンネルを規定する送信口径重みと、当該各送信チャンネルから送信する前記超音波パルスに与える遅延時間をそれぞれ規定する送信遅延重みとに従って、前記超音波探触子から送信ビームを送信させる送信ステップと、
受信ビームフォーマが、前記送信に応じて前記複数のチャンネルで受信される前記エコー信号から受信ビームを生成する受信ステップと、
信号処理部により、n(nは、3以上の整数)個の前記受信ビームを合成して1の走査線上の合成受信ビームを生成し、超音波画像を得る信号処理ステップと、を備え、
前記信号処理ステップにおいて、前記1の走査線の合成受信ビームを生成するn個の前記受信ビームは、n回の異なる送信により得られるエコー信号からそれぞれ生成され、
前記n回の異なる送信のうち、少なくとも1回は、前記走査線とは異なる走査線に対する送信を兼ねる兼用送信であり、
前記送信口径重みおよび送信遅延重みは、前記n回の異なる送信のうち、1回の送信の前記送信口径重みおよび送信遅延重みが、他の(n−1)回の送信の前記送信口径重みおよび前記送信遅延重みを合成したものに等しくなるよう設定されること
を特徴とする超音波診断装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形イメージングを行う超音波イメージング技術に関し、特に、生体の音響非線形特性を利用したティッシュ・ハーモニック・イメージングや、造影剤の非線形振動特性を利用したコントラスト・ハーモニック・イメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブから超音波パルスを生体内に送信し、生体内で散乱あるいは反射した超音波エコーを超音波プローブによって受信し、受信した超音波エコー(受信エコー)に対して各種信号処理を行うことにより、生体組織断層像や血流画像などを得る装置であり、医療診断に広く用いられている。
【0003】
生体に照射された超音波は伝搬するに伴って波形が歪む。これは、音圧の高い部分は早く進み、低い部分は遅く進む、といった音波波形の音響非線形性によるもので、音波の伝搬に従って、この波形歪みは蓄積していく。波形歪みの発生は、送信された音波を基本波成分とする高調波成分や低周波結合成分、すなわち、非線形成分の発生を意味する。この非線形成分は音圧の振幅のほぼ2乗に比例して広帯域に発生するため、非線形成分を画像化することによって、コントラスト分解能や空間分解能に優れた画像を得ることができる。このようなイメージング方法を一般にTHI(Tissue Harmonic Imaging;ティッシュ・ハーモニック・イメージング)と呼ぶ。
【0004】
また、超音波診断装置の撮像法の一つに超音波造影剤を使った超音波造影法がある。超音波造影法は、ミクロン・オーダーのサイズの微小気泡(マイクロバブル)を安定化した製剤を超音波造影剤として予め生体内に静注し、超音波撮像を行う手法であり、悪性腫瘍や梗塞のような血管系に反映される疾患の診断に広く用いられる。超音波診断で主として用いられる数MHzの超音波に対して、このマイクロバブル系の超音波造影剤は非常に強い非線形応答を示す。従って、超音波造影法における超音波エコーの非線形成分には、超音波造影剤からの超音波エコーが多く含まれる。この非線形成分の超音波エコーを抽出して画像化することによって、血管構造などを描出するイメージング方法を一般にCHI(Contrast Harmonic Imaging;コントラスト・ハーモニック・イメージング)と呼ぶ。
【0005】
上述したように、THIやCHI(両者を区別する必要が無い場合は、合わせて、ハーモニック・イメージングと呼ぶ。)では、生体中の音波伝搬における音響非線形特性や、造影剤振動の非線形特性を基に生じた非線形成分を用いて画像化を行う。超音波エコーには、送信音波に元から含まれる基本波成分と、上記の非線形成分とが混在しているため、受信エコーから非線形成分を抽出する必要がある。非線形成分を超音波エコーから抽出する手法には、フィルタを用いて非線形成分を分離する手法(例えば、特許文献1参照)、PI(Pulse inversion)法(例えば、特許文献2参照)、ならびに、振幅変調法(例えば、特許文献3参照)がある。
【0006】
PI法は、生体の同一の部位に対して、音圧波形の正負が互いに反転した2つの超音波パルスを送信し、それらの反射エコーを足し合わせる手法である。基本波成分は線形的にふるまうため、互いに反転した送波パルスを送信すると、反射エコーの基本波成分も互いに反転し、足し合わせることにより打ち消される。一方、非線形成分は音圧の正負で異なる歪み方をするため、反転した送信パルスを送信しても反転した波形にはならず、互いに足し合わせても打ち消されない。したがって、反転送信パルスの反射エコーを足し合わせると、非線形成分のみが残る。
【0007】
振幅変調法は、特許文献3に記載されているように、PI法と同様に超音波の送信は2回行うが、第二送信パルスは、音圧波形を反転させるのではなく、音圧レベル(振幅)を第一送信パルスより低減させる。例えば第二送信パルスの音圧振幅を第一送信パルスの1/2にして送信し、第一送信パルスの反射エコーから第二送信パルスの反射エコーの2倍を減算することによって反射エコー中の基本波成分を除去する。振幅変調法をTHIに適用すると、基本波成分は打ち消され、非線形成分のみが残る。また、振幅変調法をCHIに適用すると、造影剤由来の高調波成分のみならず、造影剤由来の音圧振幅依存の非線形成分も抽出することができるため、高いCTR(Contrast−to−Tissue Ratio)の超音波造影画像を得ることができる。
【0008】
さらに、振幅変調法とPI法とを組み合わせたハーモニック・イメージングも考案されている。
【0009】
一方、PI法や振幅変調法を用いたイメージング方法では、音圧波形を反転するために送信電圧波形の位相を180度回転させたり、音圧波形は維持したまま音圧振幅を変化させたりする必要がある。従って、送信アンプや超音波探触子などからなる超音波診断装置の送信系に、電圧の振幅及び位相に依存する歪や非線形特性があると、基本波成分を十分に除去することができない。
【0010】
これを解決するものとして、送信開口を合成することによって、送信音場として振幅変調法を行う手法がある(例えば、特許文献4参照)。超音波探触子は複数の超音波振動子によって形成されるチャンネルを有する。第一送信パルスP1を送信するための複数のチャンネルと、第二送信パルスP2を送信するための複数のチャンネルとの全部または一部が互いに異なるチャンネルとなるよう各チャンネルを割り当てる。さらに、第三送信パルスP3を送信するためのチャンネルは、第一送信パルスP1と第二送信パルスP2とを送信するために用いたチャンネルの双方を用いる。このように構成すると、第三送信パルスP3の送信音場は、第一送信パルスP1の送信音場と第二送信パルスP2の送信音場とを、線形的に合成した送信音場となる。従って、P3−(P1+P2)という演算を施すことにより、線形の基本波成分が除去されて、非線形成分が抽出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5678553号明細書
【特許文献2】米国特許第6095980号明細書
【特許文献3】米国特許第5577505号明細書
【特許文献4】特開2009−22462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、通常の振幅変調法では、同一の走査線への送受信は2回で済む。しかし、送信アンプや超音波探触子などからなる超音波診断装置の送信系に電圧依存の歪や非線形特性がある場合、高精度な基本波成分の除去が難しい。送信系の電圧依存の伝達関数を求めておき、電気的歪を除去するように送信電圧波形を整形することも可能であるが、調整が非常に煩雑になり、超音波探触子のチャンネルばらつきがある場合は効果が低減する。
【0013】
一方、特許文献4に開示の技術のように、第一送信パルスP1を送信するチャンネルと第二送信パルスP2を送信するチャンネルとを排他的に選択し、第三送信パルスP3が第一送信パルスP1と第二送信パルスP2とを合成したものとなるように、送信音場で合成する振幅変調法では、送信系の歪や非線形性の問題が解決される。また、1つのチャンネルにおいて送信毎の送信電圧の調整が不要となり、撮像中の送信電圧の調整も容易になる。しかし、この場合は、同一の走査線に少なくとも3回の送受信を行わなければならない。このため、フレームレートが低下し、動画像において、もたつきを生じる可能性がある。さらに、体動などの影響が顕著な時には、P3−(P1+P2)の演算を行っても、基本波成分が残る。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、超音波診断装置においてハーモニック・イメージングを実現する技術であって、送信アンプや超音波探触子などからなる超音波診断装置の送信系の電圧依存の歪や非線形特性の影響を受けず、送信電圧の調整も容易で、且つ、フレームレートが従来のPI法と実質的に同等の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、送信音場を合成することにより、音波の基本波成分を除去し、抽出された非線形成分のエコーを画像化する振幅変調法において、1の走査線を得るための複数回の送受信のうち、少なくとも1回の送受信を他の走査線を得るための送受信と兼用する。兼用した送受信により得たエコー信号からは、兼用した両走査線上の受信ビームをそれぞれ形成する。
【0016】
具体的には、複数のチャンネルを備える超音波探触子から超音波パルスを被検体に送信し、得られたエコー信号から超音波画像を得る超音波診断装置であって、送信毎に、前記複数のチャンネルの中の、前記超音波パルスを送信する複数のチャンネルである送信チャンネルを規定する送信口径重みと、当該各送信チャンネルから送信する前記超音波パルスに与える遅延時間をそれぞれ規定する送信遅延重みとを設定する送信ビームフォーマと、送信毎に、前記複数のチャンネルで受信される前記エコー信号から受信ビームを生成する受信ビームフォーマと、n(nは、3以上の整数)個の前記受信ビームを合成して1の走査線上の合成受信ビームを生成し、超音波画像を得る信号処理部と、を備え、前記1の走査線の合成受信ビームを生成するn個の前記受信ビームは、n回の異なる送信により得られるエコー信号からそれぞれ生成され、前記n回の異なる送信のうち、少なくとも1回は、前記走査線とは異なる走査線に対する送信を兼ねる兼用送信であることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、超音波診断装置においてハーモニック・イメージングを実現するにあたり、送信アンプや超音波探触子などからなる超音波診断装置の送信系の電圧依存の歪や非線形特性の影響を受けず、送信電圧の調整も容易で、且つ、フレームレートを従来のPI法と実質的に同等とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、第一の実施形態の超音波診断装置の装置構成ブロック図である。(b)は、第二の実施形態の変形例の超音波診断装置の信号処理部の機能ブロック図である。
図2】(a)は、第一の実施形態のチャンネルの構成を説明するための説明図である。(b)は、第一の実施形態の送受信口径を説明するための説明図である。
図3】(a)および(b)は、従来の送信開口による振幅変調法の、各送信時の送信口径重みおよび送信遅延重みを説明するための説明図である。
図4】(a)は、従来の、送信開口による振幅変調法を説明するための説明図である。(b)は、従来の送信開口による振幅変調法の送信口径重みおよび送信遅延重みを説明するための説明図である。
図5】従来の送信開口による振幅変調法の、送受信回数を説明するための説明図である。
図6】第一の実施形態の送受信回数を説明するための説明図である。
図7】(a)および(b)は、第一の実施形態の、各送信時の送信口径重みおよび送信遅延重みを説明するための説明図である。
図8】第一の実施形態の、各受信時の受信口径重み、および、各送受信時の送受信口径を説明するための説明図である。
図9】従来の、送信開口による振幅変調法での基本波及びハーモニック成分のビームプロファイル図である。
図10】第一の実施形態の振幅変調法による基本波及びハーモニック成分の送信音場のビームプロファイル図である。
図11】第二の実施形態の、各送信時の送信口径重みおよび送信遅延重みを説明するための説明図である。
図12】第二の実施形態の、各受信時の受信口径重み、および、各送受信時の送受信口径を説明するための説明図である。
図13】第二の実施形態の変形例の、各受信時の受信口径重み、各送受信時の送受信口径、および、形成される受信ビームを説明するための説明図である。
図14】第二の実施形態の振幅変調法による基本波及びハーモニック成分の送信音場のビームプロファイル図である。
図15】第三の実施形態の各送受信時の受信口径重みを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一名称および同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
まず、図1(a)を用いて、本実施の形態の超音波診断装置100を説明する。本実施形態の超音波診断装置100は、超音波探触子110と、制御部130と、被制御部120と、ユーザインタフェース(UI)140と、を備える。
【0021】
超音波探触子110は、電気信号から音波へ、音波から電気信号へと変換する機能を持つ電気音響変換素子(振動子)を複数個備える。これらの電気音響変換素子は、超音波探触子110内に所定の態様で1次元または2次元に配列され、超音波送受面を構成する。超音波探触子110は、超音波送受面を撮像対象(被検体)に接触させての使用に適した外形に仕立てられている。
【0022】
配列された複数の電気音響素子は、図2(a)に示すように、予め定められた複数のチャンネル200に仮想的もしくは物理的に分割される。各チャンネルは、1以上の電気音響変換素子によって構成される。図2(a)には、M個(Mは1以上の整数)のチャンネル200が1次元に配列されている場合を例示する。個々のチャンネル200には、何れか一方の端から順に、チャンネル番号m(mは1以上M以下の整数)が付与される。個々のチャンネルを区別する必要がある場合、チャンネル200(m)と呼ぶ。
【0023】
制御部130は、被制御部120内の各部の動作を制御する。また、制御部130には、ユーザからの指示を受け付けるUI140が接続される。制御部130は、UI140を介して、必要に応じてユーザから受け付けた指示に従って、被制御部120内の各部の動作を制御し、例えば、THI、CHIなどの撮像方法を実現する。
【0024】
制御部130は、CPUとメモリと記憶装置とを備える。UI140を介したユーザからの指示と、予め記憶装置に保持されるプログラムを、CPUがメモリにロードし実行することと、により上記制御を実現する。
【0025】
被制御部120は、送信ビームを決定する送信信号を生成する送信ビームフォーマ151と、送信ビームフォーマ151からの送信信号を増幅する送信アンプの役割を果たす送信回路152と、M個のチャンネル200の中から送受信口径として用いる複数のチャンネル200への接続を制御するクロスポイントスイッチ(MUX)153と、超音波探触子110に接続されて送信信号と受信信号とを分離する送受分離を行うT/Rスイッチ154と、受信信号に対して増幅およびフィルタ処理を行うアナログフロントエンド部(AFE)の機能およびアナログディジタル変換を行うA/D変換器の機能を備える受信回路155と、A/D変換後の受信エコー信号に対し所望のフィルタ処理や遅延加算処理を行い、受信ビームを得る受信ビームフォーマ156と、受信ビームフォーマ156において得られた受信ビームを保存するメモリ161と、メモリ161に保存された受信ビームや受信ビームフォーマ156から直接出力された受信ビームを用い、線形演算を行い、合成受信ビームを得る信号処理部162と、合成受信ビームを検波する検波部163と、検波後の合成受信ビームを、画面表示用のデータに変換するデジタルスキャンコンバータ(DSC)164と、変換後のデータを表示する表示部165と、を備える。
【0026】
MUX153は、送受信毎に、被制御部120のT/Rスイッチ154に接続するチャンネル200を設定する。MUX153により設定される、接続されるチャンネル200の範囲を送受信口径310と呼ぶ。
【0027】
本実施形態のMUX153は、制御部130の指示に従って、図2(b)に示すように、送受信に応じて接続するチャンネル200を変更し、送受信口径310を変更する。送受信口径310の変更パターンは、予め用意され、超音波診断装置100が備える記憶部などに記憶される。
【0028】
送信ビームフォーマ151は、送信回路152、T/Rスイッチ154およびMUX153を介して超音波探触子110に接続される。本実施形態の送信ビームフォーマ151は、超音波探触子110の各チャンネル200に与える電圧を決定し、送信信号として超音波探触子110に送信する。すなわち、本実施形態では、送信ビームフォーマ151による印加電圧制御により、超音波探触子110の各チャンネル200から送信される超音波パルスは決定する。
【0029】
本実施形態では、振幅変調法において、送信開口を合成することによって基本波成分を除去する。このため、本実施形態の送信ビームフォーマ151は、送信毎の送信開口、すなわち、超音波パルスを送信する複数のチャンネル(以後、送信チャンネルと呼ぶ。)を規定する情報と、送波焦点の深度(フォーカス距離)を決定する、各送信チャンネルに付与する遅延時間を規定する情報と、を決定し、それに従って、個々のチャンネル200に送出する送信信号を生成する。
【0030】
本実施形態では、送信チャンネルを規定する情報は、送信口径重みとして設定される。送信口径重みは、送受信口径310の各チャンネル200から送信される超音波パルスの音圧を規定するものである。各チャンネル200から送信される超音波パルスの音圧を0とすることにより、当該チャンネルから超音波パルスは送信されない。これを利用し、本実施形態の送信ビームフォーマ151は、送信口径重みを設定することにより、送信チャンネルの選択と、選択された送信チャンネルから送信される超音波パルスの音圧とを同時に規定する。
【0031】
各送信チャンネルに付与する遅延時間を規定する情報は、送信遅延重みとして設定される。なお、各送信チャンネルに付与する遅延時間は、送信ビームフォーマ151が、各送信チャンネルに電圧を印加するタイミングを制御することにより制御される。一般に送信遅延重みは、所定範囲の中心に送波焦点が来るよう決定される。これを、当該中心位置に対して送信遅延重みを形成する、と呼ぶ。
【0032】
このように、本実施形態の送信ビームフォーマ151は、送信毎に、送信口径重みおよび送信遅延重みを設定する。そして、設定した送信口径重みおよび送信遅延重みに従って、MUX153で選択されたチャンネル200それぞれに対する送信信号を生成し、送信回路152に出力する。
【0033】
なお、送信口径重みおよび送信遅延重みは、UI140を介したユーザからの指示あるいは制御部130の指示に従って設定される。制御部130は、送信毎の送信口径重みおよび送信遅延重みの設定を予め数種類、記憶装置に保持し、ユーザの選択に応じて送信ビームフォーマ151に指示を出す。
【0034】
これにより、制御部130の制御の下、チャンネル200毎に、送波焦点に合った遅延時間を持つ送信信号が、送信ビームフォーマ151から出力され、送信回路152、T/Rスイッチ154、MUX153を介して超音波探触子110の各チャンネル200を構成する電気音響素子に送られる。
【0035】
超音波探触子110の各電気音響変換素子は、送信信号を超音波パルスに変換する。各電気音響変換素子から超音波パルスを発することにより、ユーザが設定した焦点位置に焦点を結ぶ音場(送信ビーム)が形成される。
【0036】
送信された超音波パルスは、撮像対象内で反射し、反射したエコーは、超音波探触子110で補足され、チャンネル200毎にアナログ電気信号に変換される。アナログ電気信号は、MUX153、T/Rスイッチ154、受信回路155を経て、エコー信号として受信ビームフォーマ156に入力される。
【0037】
受信ビームフォーマ156では、制御部130の制御に従って、チャンネル200毎のエコー信号に遅延を与えて加算し、所定の走査線(ラスタ)上の受信ビームを形成する。形成するラスタ位置は、加算するエコー信号の選択により決定する。加算するエコー信号を受信したチャンネル200を加算チャンネルと呼ぶ。なお、加算時に、各エコー信号に所定の遅延を与えることにより、所望の深度の受信ビームを得る。
【0038】
受信ビームフォーマ156は、加算チャンネルを、受信口径重みにより規定する。また、各加算チャンネルで得たエコー信号に与える遅延は、受信遅延重みにより規定される。本実施形態の受信ビームフォーマ156は、受信毎に、受信口径重みおよび受信遅延重みを設定し、設定に従って、送受信口径310で規定されるチャンネル200で受信したエコー信号群から受信ビームを生成する。
【0039】
なお、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、1回の送信により各チャンネル200において得られたエコー信号群から、複数のラスタ上の受信ビームを形成する。これを実現するため、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、複数の受信口径重みおよび複数の受信遅延重みを設定可能とする。1回の送信によるエコー信号群から生成される異なる複数の受信ビームを、受信パラレルビームと呼ぶ。
【0040】
受信パラレルビームの生成のため、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、遅延加算機能を、複数備えてもよい。遅延加算機能は、加算チャンネルで取得したエコー信号群に予め定めた受信遅延重みに従って遅延を与えて加算する機能である。また、時分割で複数のビームを生成可能なよう構成されてもよい。
【0041】
このように、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、受信毎に、受信口径重みおよび受信遅延重みを設定し、設定した受信口径重みおよび受信遅延重みに従って、所定のラスタ上に受信ビームを形成する。
【0042】
受信口径重みおよび受信遅延重みは、UI140を介したユーザからの指示あるいは制御部130の指示に従って設定される。制御部130は、受信毎の受信口径重みおよび受信遅延重みの設定を予め数種類、記憶装置に保持し、ユーザの選択に応じて受信ビームフォーマ156に指示を出す。
【0043】
これにより、制御部130の制御の下、所定のラスタ上に形成された受信ビームが受信ビームフォーマ156から出力され、メモリ161に保存される。または、直接信号処理部162に出力される。
【0044】
信号処理部162は、制御部130の制御に従って、1の走査線(ラスタ)を形成可能な数の受信ビームが得られると、線形演算処理を行い、合成信号(合成受信ビーム)を生成する。この処理の詳細は、後述する。得られた合成受信ビームは、検波部163で検波され、DSC164で画面表示用のデータに変換され、表示部165に超音波診断画像として表示される。
【0045】
なお、信号処理部162は、線形演算処理に加え、受信ビームに対して増幅処理、所定のフィルタ処理も行う。増幅処理は、UI140を介してユーザが設定したTGC(Time gain compensation)や増幅率などに応じて行う。
【0046】
また、送信ビームフォーマ151、受信ビームフォーマ156および信号処理部162は、それぞれが、CPU、メモリを備え、CPUが予め保持されたプログラムをメモリにロードすることにより、上記各処理を実行するよう構成してもよい。また、各部でこれらの資源を共有してもよい。また、それぞれ、専用のハードウェアで構築されていてもよい。
【0047】
また、MUX153は、備えなくてもよい。例えば、T/Rスイッチ154に全てのチャンネル200を接続し、上記の送信口径重み、受信口径重みにより、各送受信に用いるチャンネルを選択してもよい。すなわち、送信ビームフォーマ151による各チャンネル200への印加電圧の制御により、接続するチャンネル200を設定してもよい。例えば、超音波診断装置100の被制御部120側の有するチャンネル数が、超音波探触子110が構成するチャンネル数以上の場合に有効である。
【0048】
また、超音波診断装置100の超音波探触子110を除いた他の構成は、本体装置として超音波探触子110とは別の筐体に搭載することも可能であるし、一部を超音波探触子110の内部に配置することも可能である。
【0049】
次に、上述の超音波診断装置100を用いた、送信開口の合成を利用した振幅変調法によるハーモニック・イメージングによる撮像法を説明する。本実施形態の撮像法の説明に先立ち、従来の、送信開口の合成を利用した振幅変調法によるハーモニック・イメージング手法を図3図4図5を用いて説明する。
【0050】
送信開口を合成することによって基本波成分を除去する振幅変調法では、合成すべき超音波パルスの波形を、電子的な制御ではなく、送信音場として形成する。ここでは、それぞれ送信チャンネルが排他的に設定された第一送信および第二送信と、第一送信と第二送信とで用いた両チャンネルを送信チャンネルとする第三送信と、の3回の送信により得たエコー信号に対し、信号処理部162においてハーモニック信号処理と呼ばれる演算を行い、1つの走査線に対する合成受信ビームを得る場合を例にあげて説明する。
【0051】
超音波探触子110は、チャンネル200(1)〜200(M)のM個のチャンネルを備えるものとする。また、第三送信で用いるチャンネル200の範囲を送受信口径310とし、そのチャンネル数をmとする。なお、mは、2以上M以下の偶数とする。
【0052】
ここで、第三送信で用いるチャンネル200の左端から1つずつ識別番号を付与した場合に、奇数の識別番号が付与されるチャンネル200を奇数チャンネル、偶数の識別番号が付与されるチャンネル200を偶数チャンネルと呼ぶ。
【0053】
この場合の、各送信時の送信口径重み、送信遅延重み、送受信口径を図3(a)および図3(b)に示す。ここでは、一例として、チャンネル200(1)〜200(m)を送受信口径311とするラスタAと、ラスタAに隣接するチャンネル200(2)〜200(m+1)を送受信口径312とするラスタBとを例にあげて説明する。すなわち、隣接するラスタ間(例えば、ラスタAとラスタB間)のピッチは、チャンネル200の1単位とする。なお、本図において、黒くぬりつぶされているチャンネル200が、送信チャンネルである。以下、同様とする。
【0054】
チャンネル200(1)〜200(m)を送受信口径311とするラスタAに対する第一送信時の送信口径重み321−1は、図3(a)上段に示すように、奇数チャンネル(奇数ch)のみに音圧を与えるよう設定される。設定される送信口径重み321−1は、図3(a)に示すように、例えば、ラスタAに近いチャンネル200ほど、大きな音圧で超音波を送信するよう形成する。また、第二送信時の送信口径重み321−2は、図3(a)中段に示すように、偶数チャンネル(偶数ch)のみに音圧を与えるよう設定される。また、第三送信時の送信口径重み321−3は、図3(a)下段に示すように、全チャンネル(全ch)に音圧を与えるように設定される。
【0055】
一方、送信遅延重み331は、いずれの送信時も、ラスタAに対して形成される。設定される送信遅延重み331は、例えば、送受信口径311の中心を通るラスタAに近いチャンネル200ほど、大きな遅延時間となるよう設定される。
【0056】
ラスタAに隣接するラスタBに対する送信についても同様である。チャンネル200(2)〜200(m+1)を送受信口径312とするラスタBに対する第一送信時の送信口径重み322−1は、図3(b)上段に示すように、奇数チャンネルのみに音圧を与えるよう設定される。また、第二送信時の送信口径重み322−2は、図3(b)中段に示すように、偶数チャンネルのみに音圧を与えるよう設定される。また、第三送信時の送信口径重み322−3は、図3(b)下段に示すように、全チャンネルに音圧を与えるように設定される。一方、送信遅延重み332は、いずれの送信時も、ラスタに対して形成される。
【0057】
このように、送受信口径311として、チャンネル200(k)〜200(m+k−1)(kは1以上(M-m)以下の整数)が設定される場合、第一回目の送信(第一送信)では、チャンネル200(k)〜200(m+k−1)の奇数チャンネル(奇数ch)のみが励起するよう制御される。すなわち、奇数チャンネルのみから超音波パルスが送信されるよう制御される。
【0058】
このような制御は、送信ビームフォーマ151において、送信口径重みを設定することにより実現される。また、このとき、送信遅延重みは、チャンネル200(k)〜200(m+k−1)の中心に位置するラスタKに対して設定される。例えば、第一送信により送信される超音波パルスを第一送信パルスと呼ぶ。
【0059】
被検体に送信された第一送信パルスからの反射波(エコー信号)は、図4(a)に示すように、送受信口径311を受信開口として受信される。そして、受信ビームフォーマ156において、第一受信ビームKR1として形成され、メモリ161に保存される。なお、第一受信ビームKR1は、受信ビームフォーマ156において、エコー信号群に受信遅延重み341を付与して加算することにより形成される。受信遅延重み341は、図4(b)に示すように、送受信口径311の中心に位置するラスタKに対して設定される。
【0060】
第二回目の送信(第二送信)では、チャンネル200(k)〜200(m+k−1)の偶数チャンネル(偶数ch)のみが励起されるよう制御される。すなわち、偶数チャンネルのみから超音波パルスが送信されるよう制御される。この第二送信による反射波(エコー信号)は、送受信口径311を受信開口として受信される。そして、受信ビームフォーマ156において、第二受信ビームKR2として形成され、メモリ161に保存される。なお、第二受信ビームKR2は、受信ビームフォーマ156において、エコー信号群に受信遅延重み341を付与して加算することにより形成される。
【0061】
第三回目の送信(第三送信)では、チャンネル200(k)〜200(m+k−1)の全チャンネルが励起されるよう制御される。すなわち、全チャンネルから超音波パルスが送信されるよう制御される。第三送信による反射波(エコー信号)は、送受信口径311を受信開口として受信される。そして、受信ビームフォーマ156において、第三受信ビームKR3として形成され、メモリ161に保存される。なお、第三受信ビームKR3は、受信ビームフォーマ156において、エコー信号群に受信遅延重み341を付与して加算することにより形成される。
【0062】
そして、信号処理部162において、第一受信ビームKR1と第二受信ビームKR2とを加算したものを、第三受信ビームKR3から減算することにより、基本波成分が除去され、非線形成分のみが抽出された、ラスタKの位置の合成受信ビームKを得る。
【0063】
このように、従来の送信音場による振幅変調法では、第一送信〜第三送信において、送信口径重みは、第三送信の送信口径重みが、第一送信および第二送信の送信口径重みの合成となり、かつ、送信遅延重みは、いずれも等しくなるよう設定される。このように設定することにより、第一送信における線形の送信音場と第二送信における線形の送信音場とを合成すると、第三送信における線形音場と等しくなる。
【0064】
一方、被検体内を伝播する第一〜第三送信パルスは、伝搬するに従って被検体の音響非線形性によって波形歪みを生じる。すなわち、高調波や低周波結合音を発生しながら、被検体内を伝搬する。従って、メモリ161に保存された第一〜第三受信ビームには、高調波や低周波結合音の成分の反射エコー成分が含まれる。
【0065】
このような高調波や低周波結合音は、送信する基本波パルスの音圧Pのほぼ2乗に比例した大きさとなる。このため、高調波や低周波結合音のサイドローブレベルは、基本波パルスのサイドローブレベルよりも小さくなる。また、高調波や低周波結合音は広帯域に発生する。このため、高調波や低周波結合音の成分のみを用いてイメージングを行う画像は、基本波パルス成分によってイメージングを行う画像よりもコントラスト分解能や空間分解能に優れた画像になる。
【0066】
上述のように、第一送信時および第二送信時は、送信面積が第三送信時の半分になる。従って、第一〜第三送信において励起される各チャンネル200において、送信毎に同じ電圧波形が印加されると、第一送信時および第二送信時の基本波パルスの音圧は、第三送信時の基本波パルスの音圧の半分となる。すなわち、第三送信時の基本波パルスの音圧をPとすると、第一及び第二送信時の基本波パルスの音圧はP/2となる。
【0067】
また、高調波や低周波結合音は基本波パルスの音圧のほぼ2乗に比例して発生する。すなわち、第一送信時および第二送信時の、送信音場側での音圧は(P/2)+(P/2)である。ここで、第一項は線形成分、第二項は非線形成分である。一方、第三送信時の送信音場側での音圧は、同様の表記をするとP+Pと表される。反射したエコーの音圧振幅は非常に小さいので、反射した後も音圧関係は維持されるとすると、第一〜第三送信に対応する各エコー信号間、および、各エコー信号から生成した受信ビーム間でもこれらの関係は、維持される。すなわち、第三受信ビームにおける音圧の大きさをR+Rとすると、第一受信ビームおよび第二受信ビームにおける音圧の大きさは(R/2)+(R/2)となる。
【0068】
従って、第一受信ビームKR1と第二受信ビームKR2とを加算したものを、第三受信ビームKR3から減算し、得られた合成受信ビームKは、R/2の非線形成分から成る信号が抽出されたものとなる。
【0069】
ところで、従来のハーモニック・イメージング手法として広く使われているパルス・インバージョン(PI)法では、2回の送受信を、お互いに反転した超音波パルスで行う。このため、送信回路152に含まれる送信アンプなどに電圧依存の歪特性がある場合には基本波パルス成分が残存する。
【0070】
一方、上述の送信開口の合成を利用した振幅変調法によるハーモニック・イメージング手法では、第一〜第三送信において励起されるチャンネル200には、いずれも同じ電圧波形が印加される。従って、送信アンプなどに電圧依存の歪特性がある場合でも、ハーモニック成分のみを抽出することができる。しかしながら、上述の送信開口の合成を利用した振幅変調法によるハーモニック・イメージング手法では、1つの走査線(ラスタ)の受信ビームを得るために3回以上の送受信が必要となる。
【0071】
図5に、従来手法の場合の送受信回数を具体例で示す。ここでは、送受信口径310を順次シフトさせ、順に隣接するラスタA、ラスタB、ラスタC、ラスタD、ラスタEの合成受信ビームを生成する場合を例にあげて説明する。
【0072】
本図に示すように、ラスタAの合成受信ビームAを得るためには、3つの受信ビームAR1、AR2、AR3が必要であり、これらは、3つのエコー信号AE1、AE2、AE3から得られる。この3つのエコー信号AE1、AE2、AE3を得るためには、3回の送信パルスの送信AT1、AT2、AT3が必要となる。
【0073】
ラスタBの合成受信ビームB、ラスタCの合成受信ビームC、ラスタDの合成受信ビームD、ラスタEの合成受信ビームEについても、同様に、それぞれ、3回の送信が必要となる。
【0074】
このように、各ラスタの合成受信ビームを得るため、3回の送受信が必要となり、2回で済むPI法に比べてフレームレートが低下する。このため、動画像のもたつきが生じたり、体動によるアーチファクトが発生したりする可能性が高くなる。
【0075】
本実施形態の超音波診断装置100は、このようなフレームレートの低下を改善し、送信開口の合成を用いた振幅変調法であって、且つ、フレームレートが従来のPI法と同等程度となるハーモニック・イメージング手法を実現する。
【0076】
次に、本実施形態の超音波診断装置100における、送信開口の合成を利用した振幅変調法によるハーモニック・イメージング法を説明する。
【0077】
本実施形態においても、従来同様、第一送信では、送受信口径の奇数チャンネルから超音波パルスを送信し、第二の送信では、送受信口径の偶数チャンネルから送信し、第三の送信では、送受信口径の全チャンネルから送信する。そして、それぞれの送信により得られたエコー信号から、第一受信ビーム、第二受信ビーム、第三受信ビームを生成し、それらを上述のように合成することにより、所定の走査線上に合成受信ビームを形成する。
【0078】
ただし、本実施形態では、各ラスタ用の第二送信を、隣接するラスタ用の第一送信と兼用し、第二送信で得られたエコー信号から、当該ラスタ用の第二受信ビームだけでなく、隣接するラスタ用の第一受信ビームも生成する。本実施形態の送受信回数の具体例を図6に示す。図5同様、順に隣接するラスタA、ラスタB、ラスタC、ラスタD、ラスタEの合成受信ビームを生成する場合を例にあげて説明する。
【0079】
本図に示すように、最初のラスタAの合成受信ビームAを得るためには、3つの受信ビームAR1、AR2、AR3が必要であり、これらは、3つのエコー信号AE1、AE2、AE3から得られる。この3つのエコー信号AE1、AE2、AE3を得るためには、3回の送信AT1、AT2、AT3が必要となる。
【0080】
一方、ラスタAに隣接するラスタBの合成受信ビームBを得るためには、3つの受信ビームBR1、BR2、BR3が必要であることは、同様である。ただし、これらの受信ビームBR1、BR2、BR3の中で、受信ビームBR1は、ラスタAに対する第二送信AT2で得たエコー信号AE2から得る。すなわち、本実施形態では、ラスタAに対する第二送信AT2で得たエコー信号AE2からは、ラスタAに対する第二受信ビームAR2とラスタBに対する第一受信ビームBR1とを得る。
【0081】
従って、ラスタBの合成受信ビームBを得るためには、3つの受信ビームBR1、BR2、BR3が必要であり、これらは、ラスタAに対する第二送信AT2と、ラスタBに対する第二送信BT2と、ラスタBに対する第三送信BT3とのの送信により得られる。すなわち、ラスタBに対する送信は、BT2とBT3との2回で済む。
【0082】
ラスタCの合成受信ビームC、ラスタDの合成受信ビームD、ラスタEの合成受信ビームEについても、同様に、それぞれ、2回の送信で得られる。
【0083】
本実施形態では、上記のような送受信を、送信ビームフォーマ151における送信口径重みおよび送信遅延重みの設定、受信ビームフォーマ156における受信口径重みおよび受信遅延重みの設定、および、MUX153における送受信口径の設定により実現する。以下、これを実現する上記設定の詳細について説明する。各ラスタについて、全チャンネルを用いる第三送信で使用するチャンネル数をmとする。また、ここでは、mは、1以上m以下の偶数とする。
【0084】
まず、最初のラスタAに対する送信時の、送信ビームフォーマ151における送信口径重みおよび送信遅延重みの設定について、図7(a)を用いて説明する。ラスタAに対する送信時は、チャンネル200(1)〜200(m)を用いるものとする。
【0085】
ラスタAに対する第一送信時、図7(a)上段に示すように、送信口径重み421−1は、チャンネル200(1)〜200(m)の中の奇数チャンネルのみに音圧を与えるよう設定される。すなわち、送信口径重み421−1は、チャンネル200(1)〜200(m−1)の範囲で特定される有効送信口径411−1に設定される。この送信口径重み421−1により、奇数チャンネルが超音波パルスを送信する送信チャンネルとして選択される。このとき、送信遅延重み431−1は、有効送信口径411−1の中心位置のラスタA−1に対して形成される。
【0086】
ラスタAに対する第二送信時には、図7(a)中段に示すように、送信口径重み421−2は、チャンネル200(1)〜200(m)の中の偶数チャンネルのみに音圧を与えるよう設定される。すなわち、送信口径重み421−2は、チャンネル200(2)〜200(m)の範囲で特定される有効送信口径411−2に設定される。この送信口径重み421−2により、偶数チャンネルが超音波パルスを送信する送信チャンネルとして選択される。このとき、送信遅延重み431−2は、有効送信口径411−2の中心位置のラスタA−2に対して形成される。
【0087】
ラスタAに対する第三送信時には、送信口径重み421−1および送信口径重み421−2を合成したものが送信口径重み421−3として設定される。図7(a)下段に示すように、チャンネル200(1)〜200(m)の中の、奇数チャンネルおよび偶数チャンネル、すなわち、全チャンネルに音圧を与えるよう設定される。すなわち、送信口径重み421−3は、チャンネル200(1)〜200(m)の範囲で特定される有効送信口径411−3に設定される。この送信口径重み421−3により、全チャンネルが超音波パルスを送信する送信チャンネルとして選択される。
【0088】
また、ラスタAに対する第三送信時では、送信遅延重み431−1および送信遅延重み431−2を合成したものが、送信遅延重み431−3として設定される。ここでは、図7(a)下段に示すように、ラスタA−1に対する送信遅延重み431−1と、ラスタA−2に対する送信遅延重み431−2とを合成し、有効送信口径411−3の中心のラスタAに対して形成される。
【0089】
次に、ラスタAに隣接するラスタBに対する送信について、図7(b)を用いて説明する。ラスタBに対する送信時は、チャンネル200(2)〜200(m+1)を用いるものとする。
【0090】
ラスタBに対する第一送信では、送信口径重み422−1は、図7(b)の上段に示すように、チャンネル200(2)〜200(m+1)の、奇数チャンネルのみに音圧を与えるよう設定されることとなる。チャンネル200(2)〜200(m+1)の奇数チャンネルは、チャンネル200(1)〜200(m)の偶数チャンネルと同じであるため、この送信口径重み422−1は、ラスタAに対する第二送信の送信口径重み421−2と一致させることができる。
【0091】
また、ラスタBに対する第一送信時には、送信遅延重み432−1は、チャンネル200(2)〜200(m)の範囲で特定される有効送信口径412−1の中心ラスタB−1に対して設定されることとなる。この有効送信口径412−1は、ラスタAに対する第二送信時の有効送信口径411−2と同じである。従って、この送信遅延重み432−1は、ラスタAに対する第二送信の送信遅延重み431−2と一致する。
【0092】
このように、ラスタBに対する第一送信の、送信口径重み422−1および送信遅延重み432−1は、ともに、隣接するラスタAに対する第二送信の送信口径重み421−2および送信遅延重み431−2とそれぞれ同じである。従って、本実施形態では、ラスタAに隣接するラスタBに対する第一送信は行わなくてもよく、ラスタAに対する第二送信で得られたエコー信号を使用する。
【0093】
また、ラスタBに対する第二送信時には、図7(b)中段に示すように、送信口径重み422−2は、チャンネル200(2)〜200(m+1)の中の偶数チャンネルのみに音圧を与えるよう設定される。すなわち、送信口径重み422−2は、チャンネル200(3)〜200(m+1)の範囲で特定される有効送信口径412−2に設定される。この送信口径重み422−2により、偶数チャンネルが超音波パルスを送信する送信チャンネルとして選択される。このとき、送信遅延重み432−2は、有効送信口径412−2の中心位置のラスタB−2に対して形成される。
【0094】
そして、このラスタBに対する第二送信により得られたエコー信号は、ラスタBに隣接するラスタCにも用いられる。
【0095】
なお、ラスタBに対する第三送信時には、送信口径重み422−1および送信口径重み422−2を合成したものが送信口径重み422−3として設定される。図7(b)下段に示すように、チャンネル200(2)〜200(m+1)の中の、奇数チャンネルおよび偶数チャンネル、すなわち、全チャンネルに音圧を与えるよう設定される。すなわち、送信口径重み422−3は、チャンネル200(2)〜200(m+1)の範囲で特定される有効送信口径412−3に設定される。この送信口径重み422−3により、全チャンネルが超音波パルスを送信する送信チャンネルとして選択される。
【0096】
また、ラスタBに対する第三送信時には、送信遅延重み432−1および送信遅延重み432−2を合成したものが、送信遅延重み432−3として設定される。ここでは、図7(b)下段に示すように、ラスタB−1に対する送信遅延重み432−1と、ラスタB−2に対する送信遅延重み432−2とを合成し、有効送信口径412−3の中心のラスタBに対して形成される。
【0097】
このように、本実施形態では、所定のラスタK(Kは2以上の整数)に対する第二送信は、ラスタKに隣接するラスタLに対する第一送信に兼用される。この兼用が可能なように、送信ビームフォーマ151は、各送信の送信口径重みおよび送信遅延重みを設定する。また、兼用しない第三送信の送信口径重みおよび送信遅延重みを、それぞれ、第一送信と第二送信の送信口径重みおよび送信遅延重みを合成したものと等しくなるよう設定する。
【0098】
以上のような構成にすることによって、所定のラスタの第二送信により得られるエコー信号を、隣接するラスタの第一送信により得るべきエコー信号に完全に一致させることができる。
【0099】
次に、本実施形態の、受信時の受信ビームフォーマ156が設定する受信口径重みおよび受信遅延重みについて、図8を用いて説明する。
【0100】
上述のように、任意のラスタKの第二送信は、ラスタKに隣接するラスタLの第一送信にも兼用される。従って、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、この兼用される送信により得られるエコー信号から、ラスタK上およびラスタL上にそれぞれ受信ビームを形成する。これを実現する、各受信時の受信口径重みおよび送受信時の送受信口径の設定について、以下、具体例を用いて説明する。
【0101】
ここでも、チャンネル(1)〜チャンネル(m)の中心位置をラスタA、チャンネル(2)〜チャンネル(m+1)の中心位置をラスタB、チャンネル(3)〜チャンネル(m+2)の中心位置をラスタCとする。
【0102】
ラスタAの第二送信は、ラスタAに隣接するラスタBの第一送信にも兼用される。従って、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、ラスタAの第二送信によるエコー信号の受信時に、この送信により得られるエコー信号から、ラスタA上およびラスタB上に、それぞれ第二受信ビームAR2および第一受信ビームBR1を形成するよう受信口径重みを設定する。
【0103】
ラスタA上に第二受信ビームAR2を形成するためには、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(1)〜200(m)により得たエコー信号群を加算する必要がある。また、ラスタB上に第一受信ビームBR1を形成するためには、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(2)〜200(m+1)により得たエコー信号群を加算する必要がある。
【0104】
従って、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、2つの異なる受信口径重みを設定する。すなわち、第一の受信口径重みとして、チャンネル200(1)〜200(m)を加算チャンネルと選択する受信口径重み441−2を設定する。また、第二の受信口径重みとして、チャンネル200(2)〜200(m+1)を加算チャンネルと選択する受信口径重み442−1を設定する。
【0105】
また、受信ビームフォーマ156は、それぞれの受信口径重みで選択された加算チャンネルで得たエコー信号群に与える受信遅延重みを設定する。そして、受信口径重みで抽出されるエコー信号群に、設定した受信遅延重みを与えながら加算処理を行い第二受信ビームAR2および第一受信ビームBR1を形成し、メモリ161に保存する。
【0106】
次のラスタBの第二送信は、ラスタBに隣接するラスタCの第一送信にも兼用される。従って、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、ラスタBの第二送信時に、この送信で得られるエコー信号から、ラスタB上およびラスタC上に、それぞれ第二受信ビームBR2、第一受信ビームCR1を形成するよう受信口径重みを設定する。
【0107】
すなわち、ラスタB上の第二受信ビームBR2を形成するため、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(2)〜200(m+1)を加算チャンネルとする受信口径重み442−2を設定する。また、ラスタC上の第一受信ビームCR1を形成するため、チャンネル200(3)〜200(m+2)を加算チャンネルとする受信口径重み443−1を設定する。
【0108】
また、受信ビームフォーマ156は、それぞれの受信口径重みで選択された加算チャンネルで得たエコー信号群に与える受信遅延重みを設定する。そして、受信口径重みで抽出されるエコー信号群に、設定した受信遅延重みを与えながら加算処理を行い第二受信ビームBR2および第一受信ビームCR1を形成し、メモリ161に保存する。
【0109】
なお、他の送信と兼用されない、ラスタBの第三の送信では、ラスタB上の第三受信ビームBR3を形成するため、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(2)〜200(m+1)を加算チャンネルとする受信口径重み442−3を設定する。
【0110】
また、受信ビームフォーマ156は、受信口径重み442−3で選択された加算チャンネルで得たエコー信号群に与える受信遅延重みを設定する。そして、受信口径重みで抽出されるエコー信号群に、設定した受信遅延重みを与えながら加算処理を行い、第三受信ビームBR3を形成し、メモリ161に保存する。
【0111】
次のラスタCの第二送信は、ラスタCに隣接するラスタDの第一送信にも兼用される。従って、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、この送信により得られるエコー信号から、ラスタC上およびラスタD上に、それぞれ第二受信ビームCR2および第一受信ビームDR1を形成するよう受信口径重みを設定する。
【0112】
すなわち、ラスタC上の第二受信ビームCR2を形成するため、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(3)〜200(m+2)を加算チャンネルとする受信口径重み443−2を設定する。また、ラスタD上の第一受信ビームDR1を形成するため、チャンネル200(4)〜200(m+3)を加算チャンネルとする受信口径重み444−1を設定する。このとき、送受信口径413は、両者を包含するチャンネル200(3)〜200(m+3)に設定される。
【0113】
また、受信ビームフォーマ156は、それぞれの受信口径重みで選択された加算チャンネルで得たエコー信号群に与える受信遅延重みを設定する。そして、受信口径重みで抽出されるエコー信号群に、設定した受信遅延重みを与えながら加算処理を行い第二受信ビームCR2および第一受信ビームDR1を形成し、メモリ161に保存する。
【0114】
なお、他の送信と兼用されない、ラスタCの第三の送信では、ラスタC上の第三受信ビームCR3を形成するため、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(3)〜200(m+2)を加算チャンネルとする受信口径重み443−3を設定する。
【0115】
また、受信ビームフォーマ156は、受信口径重み443−3で選択された加算チャンネルで得たエコー信号群に与える受信遅延重みを設定する。そして、受信口径重みで抽出されるエコー信号群に、設定した受信遅延重みを与えながら加算処理を行い、第三受信ビームCR3を形成し、メモリ161に保存する。
【0116】
なお、本実施形態では、隣接するラスタの送信と兼用する送信では、受信ビームを隣接する2つのラスタ上に形成する。このため、受信時に、両ラスタの全送信チャンネル範囲に受信口径重みをそれぞれ設定する。例えば、図8の最上段の受信口径重み441−2および442−2である。
【0117】
これを可能とするため、本実施形態では、各送受信において、送受信口径は、1つのラスタ用の第三送信時の全送信チャンネル範囲だけでなく、隣接するラスタ用の第三送信時の全送信チャンネル範囲も含むよう設定する。例えば、図8のラスタAの第二送信時の送受信口径411、ラスタBの第二、第三送信時の送受信口径412、ラスタCの第二、第三送信時の送受信口径413等とする。なお、設定は、上述のように、MUX153にてなされる。
【0118】
このように、本実施形態のk番目のラスタKの第二送信は、ラスタKに隣接する(k+1)番目のラスタLの第一送信にも兼用される。従って、本実施形態の受信ビームフォーマ156は、この送信で得られるエコー信号から、ラスタK上およびラスタL上に、それぞれ受信ビームKR2、LR1を形成するよう受信口径重みを設定する。
【0119】
すなわち、ラスタK上の第二受信ビームKR2を形成するため、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(k)〜200(m+k−1)を加算チャンネルとする受信口径重みを設定する。また、ラスタL上の第一受信ビームLR1を形成するため、チャンネル200(k+1)〜200(m+k)を加算チャンネルとする受信口径重みを設定する。このとき、送受信口径は、両者を包含するチャンネル200(k)〜200(m+k)に設定される。
【0120】
また、受信ビームフォーマ156は、受信口径重みで選択された加算チャンネルで得たエコー信号群に与える受信遅延重みをそれぞれ設定する。そして、設定した受信遅延を与え、加算チャンネルのエコー信号群を加算し、第二受信ビームKR2および第一受信ビームLR1を形成し、メモリ161に保存する。
【0121】
なお、他の送信と兼用されない、ラスタKの第三の送信では、ラスタK上の第三受信ビームKR3を形成するため、受信ビームフォーマ156は、チャンネル200(k)〜200(m+k−1)を加算チャンネルとする受信口径重みを設定する。この送受信時の送受信口径は、チャンネル200(k)〜200(m+k)とする。
【0122】
また、受信ビームフォーマ156は、受信遅延重みも合わせて設定する。そして、受信口径重みで選択された加算チャンネルで得たエコー信号群に、受信遅延重みで規定される受信遅延を与えながら加算処理を行い、第三受信ビームKR3を形成し、メモリ161に保存する。
【0123】
なお、信号処理部162の処理は、従来と同様である。すなわち、3つの異なる開口で得たエコー信号から各ラスタ上に形成した3つの受信ビーム(第一受信ビーム、第二受信ビームおよび第三受信ビーム)を上記手法で線形加算し、合成受信ビームを得る。
【0124】
なお、上記実施形態では、送信口径重みを、矩形重みとしているが、送信口径重みは、これに限られない。例えば、送信ビームのサイドローブを低減するために、選択されたチャンネルに対してハニング関数やハミング関数、あるいはオフセット付きのハニング関数やオフセット付のハミング関数などで規定する、ハニング重み、ハミング重み等としてもよい。
【0125】
また、上述の受信口径重みは、受信ビームのサイドローブを低減するために、選択された加算チャンネルに対してハニング関数やハミング関数、あるいはオフセット付きのハニング関数やオフセット付のハミング関数などにしてもよい。
【0126】
上述したように、本実施形態の超音波診断装置100は、上記の送信方式によって、最初の走査線(ラスタ)に対する受信ビームの取得時以外は、2回の送受信で送信開口の合成を用いた振幅変調法による受信ビームを取得できる。従って、3回の送受信で実現していた従来の手法に比べ、送受信回数が減るため、フレームレートが向上する。
【0127】
一方、図7(a)に示すように、ラスタAに対する送信において、奇数チャンネルから送信する第一送信時には、奇数チャンネルから成るチャンネル200(1)〜200(m−1)の範囲を有効送信口径411−1とし、その中心を通るラスタA−1に対して送信口径重み421ー1および送信遅延重み431−1を設定し、送信する。また、偶数チャンネルから送信する第二送信時には、偶数チャンネルから成るチャンネル200(2)〜200(m)の範囲を有効送信口径411−2とし、その中心を通るラスタA−2に対して送信口径重み421−2および送信遅延重み431−2を設定し、送信する。
【0128】
全チャンネルから送信される第三送信時には、送信口径重み421−1および送信口径重み421−2を合成した送信口径重み421−3と、送信遅延重み431−1および送信遅延重み431−2を合成した送信遅延重み431−3と、をそれぞれ設定し、送信する。
【0129】
このとき、図7(a)の最下段に示すように、全チャンネルから成る第三送信時の有効送信口径(チャンネル200(1)〜200(m)の範囲)411−3の端ほど、隣接するチャンネル間の送信遅延段差は大きくなる。この送信遅延段差による送信ビームの劣化の影響を調べるために行ったシミュレーション結果について次に述べる。
【0130】
シミュレーション条件として、送信パルスの中心周波数は6MHz、チャンネルのピッチは0.2mm、チャンネル数は64チャンネル、フォーカス距離は30mm、全チャンネル送信時の送信口径重みは矩形重みとした。また、音響媒質の特性は、音速を1530m/s、密度を1000kg/m、吸収係数を0.5dB/cm/MHz、非線形パラメータB/Aを7とした。これらの条件の下、従来の送信開口合成による振幅変調法および本実施形態の超音波診断装置100による振幅変調法それぞれについて、フォーカス距離における送信パルスとハーモニック成分(合成受信ビーム)とのビームプロファイルを得た。これらは、2次元音場に関するKZK方程式を解いて、非線形音響伝搬解析を行うことにより得た。
【0131】
図9は、図3図5を用いて説明した、従来の送信開口の合成による振幅変調法による、フォーカス距離における送信パルスと発生した各ハーモニック成分とのビームプロファイル(711、712、713、714)のシミュレーション結果を示したものである。ここで、縦軸は音圧レベル(dB re 1μPa)、横軸は方位方向距離(mm)である。なお、方位方向距離とは、対象とする送受信口径310の中心位置における接線方向の距離である。
【0132】
従来の送信開口合成による振幅変調法では、奇数チャンネルによる第一送信、偶数チャンネルによる第二送信、全チャンネルによる第三送信の各送信におけるラスタ方向を一致させ、一点にフォーカスするように送信する。このため、本図に示すように、奇数チャンネルによる第一送信のビームプロファイル711と偶数チャンネルによる第二送信のビームプロファイル712とはほぼ一致し、サイドローブの低減した鋭いハーモニック成分のビームプロファイル714が得られる。
【0133】
図10は、本実施形態の超音波診断装置100による送信開口の合成による振幅変調法による、フォーカス距離における送信パルスと発生したハーモニック成分(合成受信ビーム)とのビームプロファイル(721、722、723、724)のシミュレーション結果を示したものである。ここで、縦軸は音圧レベル(dB re 1μPa)、横軸は方位方向距離(mm)である。
【0134】
本実施形態の送信開口合成による振幅変調法では、奇数チャンネルによる第一送信、偶数チャンネルによる第二送信のラスタは、それぞれ全チャンネルによる第三送信のラスタの両側に位置する。このため、本図に示すように、奇数チャンネルによる第一送信のビームプロファイル721と、偶数チャンネルによる第二送信のビームプロファイル722とは、その形状は同じであるが、方位方向に若干ずれたプロファイルとなる。
【0135】
ここで、図9および図10それぞれの全チャンネルによる第三送信のビームプロファイル713、723を比較すると、ビームプロファイル形状はほとんど同じである。図10におけるハーモニック成分のビームプロファイル724も、若干ピーク音圧レベルが低下しているものの、図9のハーモニック成分のビームプロファイル714とほぼ一致する。
【0136】
なお、図9図10の解析においては、上述したように全チャンネル送信時の送信口径重みを矩形重みとしているが、ハニング重みなどにしてもよい。
【0137】
以上説明したように、本実施形態によれば、所定のラスタのための送受信データの一部を、当該ラスタに隣接するラスタのための送受信データの一部とすることができる。
【0138】
例えば、3回の送受信によって振幅変調法を行う場合、送信ビームフォーマ151は、走査線Aのための第一送信パルスを送信する第一送信時はチャンネル200の奇数チャンネルが、第二送信パルスを送信する第二送信時はチャンネル200の偶数チャンネルが、送信チャンネルとして選択されるよう、それぞれ送信口径重みを設定する。
【0139】
また、第三送信パルスを送信する第三送信時は、第一送信時に設定した送信口径重みと第二送信時に設定した送信口径重みとを合成した送信口径重みを設定する。送信遅延重みについても同様に、第三送信時は、第一送信時に設定した送信遅延重みと第二送信時に設定した送信遅延重みとを合成した送信遅延重みを設定する。
【0140】
このとき、第二送信時の送信口径重みと送信遅延重みとは、当該第二送信が、隣接する走査線の第一送信も兼ねるよう設定する。
【0141】
さらに、受信ビームフォーマ156では、この第二送信に応じて受信するエコー信号群については、受信ビームを生成するために加算するエコー信号群を、走査線毎に選択可能とする。すなわち、それぞれの走査線用の受信口径重みを設定し、それぞれの走査線上に受信ビームを生成する。走査線毎に異なる受信口径重みを設定することにより、1のエコー信号から走査線毎の受信ビームを生成する。
【0142】
また、MUX153では、各ラスタ用の3回の送信時に、当該ラスタ用の第三送信時の全送信チャンネル範囲と、当該ラスタ用の第二送信が兼用される隣接するラスタ用の第三送信時の全送信チャンネル範囲とを含むチャンネル範囲を、送受信口径として設定する。
【0143】
従って、本実施形態によれば、隣接する走査線のデータ取得時に、第一送信パルスを改めて送信する必要はなく、隣接する走査線のデータ取得時は、第二送信パルスと第三送信パルスとのみを送信すればよい。
【0144】
この結果、送受信データから合成受信ビームを生成する際、最初の走査線のデータ取得時のみ、3回の送受信が必要であり、他の走査線のデータ取得時は、2回の送受信でよい。
【0145】
すなわち、本実施形態によれば、複数回の送受信を必要とする振幅変調法において、異なる走査線の受信信号を得るために必要な一部の送受信を共有できるため、送受信回数が減り、フレームレートが向上する。このため、動画像のもたつきがなく、体動による影響を受けない滑らかな撮像が可能になる。
【0146】
また、本実施形態によれば、少ない送信回数で送信開口による振幅変調を実現できる。従って、合成すべき超音波パルスの波形を、電子的な制御ではなく、送信音場として形成するため、高精度な波形を有する合成超音波パルスを送信することが可能となる。従って、送信アンプや超音波探触子などからなる超音波診断装置の送信系に電圧依存の歪や非線形特性がある場合にも、高精度な基本波成分の除去が可能となる。これによって、THIではコントラスト分解能や空間分解能の高い画像が得られ、CHIではCTRの高い造影画像が得られる。
【0147】
<<第二の実施形態>>
次に、本発明を適用する第二の実施形態について説明する。第一の実施形態では、各チャンネルを単独で用い、奇数チャンネルと偶数チャンネルとの送信開口の合成を行っているが、本実施形態では、隣接する複数のチャンネルでチャンネルブロックを形成し、チャンネルブロック単位で送信開口の合成を行う。すなわち、偶数チャンネルブロックと奇数チャンネルブロックとの送信開口の合成を行う。
【0148】
以下、本実施形態では、隣接する2つのチャンネルでチャンネルブロック210を形成する場合を例にあげて説明する。
【0149】
本実施形態の超音波診断装置は、基本的に第一の実施形態の超音波診断装置100と同様の構成を有する。但し、上述のように、本実施形態では、送信開口を合成する単位が異なるため、各送信において、送信ビームフォーマ151による送信開口重みおよび送信遅延重みの設定、受信ビームフォーマ156による受信開口重みおよび受信遅延重みの設定、MUX153による送受信口径の設定、および受信ビームフォーマ156における受信パラレルビームの生成手法が第一の実施形態と異なる。以下、本実施形態について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0150】
まず、本実施形態の送信ビームフォーマ151が、1のラスタの受信ビームを得るための各送信時に設定する送信口径重み、送信遅延重みについて説明する。上述のように、本実施形態では、チャンネルブロック単位で送信開口の合成を行う。従って、送信口径重みおよび送信遅延重みも、チャンネルブロック単位で設定される。図11は、本実施形態の送信時に設定される送信口径重み、送信遅延重みを説明するための説明図である。ここでは、所定のラスタK用の受信ビームを得るための送信を例にあげて説明する。
【0151】
本実施形態においても、送信ビームフォーマ151は、制御部130からの指示に従って、送信毎に送信口径重みおよび送信遅延重みを設定する。制御部130は、送信毎の送信口径重みおよび送信遅延重みの設定を予め数種類保持し、ユーザの選択に応じて送信ビームフォーマ151に指示を出す。
【0152】
第一送信パルスを送信する第一送信時は、奇数チャンネルブロック(奇数bk)210を送信チャンネルブロックとし、これらの送信チャンネルブロックからのみ送信パルスが送信されるよう、送信口径重み521−1を設定する。また、送信遅延重み531−1は、送信チャンネルブロックの両端のチャンネルブロック210間を有効送信口径511−1とし、その中心ラスタK−1に対して形成するよう設定される。
【0153】
また、第二送信パルスを送信する第二送信時は、偶数チャンネルブロック(偶数bk)210を送信チャンネルブロックとし、これらの送信チャンネルブロックからのみ送信パルスが送信されるよう、送信口径重み521−2を設定する。送信遅延重み531−2は、送信チャンネルブロックの両端のチャンネルブロック210間を有効送信口径511−2とし、その中心ラスタK−2に対して形成されるよう設定される。
【0154】
さらに、第三送信パルスを送信する第三送信時は、第一送信時に設定した送信口径重み521−1と第二送信時に設定した送信口径重み521−2を合成したものを送信口径重み521−3として設定する。送信遅延重みについても同様に、第一送信時に設定した送信遅延重み531−1と第二送信時に設定した送信遅延重み531−2とを合成したものを送信遅延重み531−3として設定する。従って、このとき、送信遅延重み531−3は、両有効送信口径511−1および511−2を合成した有効送信口径511−3の中心ラスタKに対して設定される。
【0155】
そして、第二送信を、隣接するラスタに形成用の3つの送信の、第一送信と兼用するよう、各送信時の送信口径重み、送信遅延重みを設定する。
【0156】
次に、本実施形態の受信ビームフォーマ156による受信口径重みおよび受信遅延重みの設定について説明する。図12は、本実施形態の受信時に設定される受信口径重み、受信遅延重みを説明するための説明図である。ここでは、チャンネルブロック210を1単位とするピッチで、ラスタA、ラスタB、ラスタC、ラスタDの順に合成受信ビームを生成するものとする。
【0157】
本実施形態の受信ビームフォーマ156は、第一の実施形態同様、各ラスタの第二送信により受信したエコー信号から、当該ラスタ上と隣接するラスタ上とにそれぞれ受信ビームを形成するよう、受信口径重みを設定する。また、加算時に各エコー信号に与える遅延を、受信遅延重みとして設定する。そして、設定した受信口径重みで選択された加算チャンチャンネルブロックで得たエコー信号群に、受信遅延重みで規定される所定の遅延を与えながら加算し、所定の深度の受信ビームを、所定のラスタ上と隣接するラスタ上とに生成する。
【0158】
なお、第三送信時は、当該ラスタ上にのみ受信ビームを形成する。
【0159】
例えば、ラスタAの第二送信は、ラスタBの第一送信にも兼用される。従って、ラスタAの第二送信によるエコー信号の受信時に、受信ビームフォーマ156は、受信口径重み541−2および542−1を設定する。受信ビームフォーマ156は、合わせて、受信遅延重みを設定し、それぞれの受信口径重み541−2および542−1で特定される加算チャンネルブロックのエコー信号から、ラスタAおよびラスタB上に、それぞれ、第二受信ビームAR2および第一受信ビームBR1を形成する。
【0160】
ラスタB用の第二送信も、同様にラスタC用の第一送信を兼ねる。従って、受信ビームフォーマ156は、ラスタB上に第二受信ビームを形成するための受信口径重み542−2と、ラスタC上に第一受信ビームを形成するための受信口径重み543−1とを設定する。また、受信ビームフォーマ156は、設定した受信遅延重みに従って、両受信口径重みで特定される加算チャンネルブロックのエコー信号群から、それぞれのラスタ上の第二受信ビームBR2および第一受信ビームCR1を形成する。
【0161】
ラスタB用の第三送信では、受信ビームフォーマ156は、ラスタB上の第三受信ビームを形成するための受信口径重み542−3を設定し、得られたエコー信号群から、ラスタB上の第三受信ビームBR3を形成する。
【0162】
ラスタC用の第二送信も、同様にラスタD用の第一送信を兼ねる。従って、受信ビームフォーマ156は、ラスタC上に第二受信ビームを形成するための受信口径重み543−2と、ラスタD上に第一受信ビームを形成するための受信口径重み544−1とを設定する。そして、両受信口径重みで特定される加算チャンネルブロックのエコー信号群から、それぞれのラスタ上の第二受信ビームCR2および第一受信ビームDR1を形成する。
【0163】
ラスタC用の第三送信では、受信ビームフォーマ156は、ラスタC上の第三受信ビームを形成するための受信口径重み543−3を設定し、得られたエコー信号群から、ラスタC上の第三受信ビームCR3を形成する。
【0164】
上述のように隣接する2つのラスタ上に受信ビームを形成するため、本実施形態においても、両ラスタ用の全送信チャンネルブロック210を包含したチャンネルブロック210範囲が、送受信口径511、512、513、として設定される。これらの送受信口径は、本実施形態においても、MUX153により制御される。
【0165】
すなわち、1つのラスタの合成受信ビームを生成する際に、m個のチャンネルブロック210を用いるものとすると、端部からk番目のラスタK用の送受信時には、210(k)〜210(m+k−1)のチャンネルブロック210を用いる。また、ラスタKに隣接するラスタの送受信時には、210(k+1)〜210(m+k)のチャンネルブロック210を用いる。従って、ラスタKの送受信時は、MUX153は、送受信口径として、210(k)〜210(m+k)を設定する。
【0166】
本実施形態の信号処理部162は、第一の実施形態同様、各ラスタ上に形成された3つの受信ビームを上述の手法で線形加算し、合成受信ビームを得る。
【0167】
なお、このように構成すると、形成されるラスタの間隔が、チャンネルブロック210を構成するチャンネル数ピッチとなる。例えば、上述の例では、2チャンネルピッチとなる。従って、1フレームを構成するための超音波送信数が少なくなり、フレームレートはさらに向上する。しかし、走査線(ラスタ)密度が減少することによって、方位分解能が十分でない場合がある。
【0168】
走査線密度を第一の実施形態と同じとするため、複数のラスタ間で兼用する1のエコー信号から、2つ以上の受信ビームを形成するよう構成してもよい。この場合の、受信ビームフォーマ156が設定する、受信口径重みおよび受信遅延重みについて説明する。図13は、本変形例の受信口径重みおよび受信遅延重みを説明するための図である。ここでは、チャンネルブロック1単位ピッチで、ラスタA、ラスタB、ラスタC、ラスタDの順に合成受信ビームを生成するものとする。また、各ラスタの第二送信により受信したエコー信号から、4つの異なるラスタ上に受信ビームを形成する場合を例にあげて説明する。
【0169】
受信ビームフォーマ156は、各ラスタの第二送信により受信したエコー信号から、上記同様、2つの隣接するラスタ上に受信ビームを形成可能なように、2つの受信口径重みを設定する。そして、1の受信口径重みで特定される加算チャンネルブロックで得たエコー信号群に2つの異なる受信遅延重みを与え、2つの異なるラスタ上にそれぞれ受信ビームを形成する。
【0170】
また、各ラスタの第三送信時も、受信ビームフォーマ156は、受信したエコー信号に同様の2つの異なる受信遅延重みを与え、第二送信時と同じ2つの異なるラスタ上にそれぞれ受信ビームを形成する。以上の処理を、図13を用いて、具体例で説明する。
【0171】
ラスタAの第二送信では、受信ビームフォーマ156は、受信したエコー信号に、受信口径重み541−2および542−1を設定する。これらは、それぞれ、ラスタA上、ラスタB上の受信ビームを形成する受信口径重みである。そして、受信口径重み541−2で特定される加算チャンネルブロックの信号に、ラスタA1およびラスタA2上に受信ビームを形成するよう2つの異なる遅延時間重みを付与し、これらのラスタ上に第二受信ビームA1R2、A2R2を生成する。また、受信口径重み542−1で特定される加算チャンネルブロックの信号に、ラスタB1およびB2上に受信ビームを形成するよう2つの異なる遅延時間重みを付与し、これらのラスタ上に、第一受信ビームB1R1、B2R1を生成する。
【0172】
ラスタB用の第三送信では、受信ビームフォーマ156は、ラスタB上の受信ビームを形成するための受信口径重み542−3を設定する。そして、受信口径重み542−3で特定される加算チャンネルブロックの信号に、ラスタB1およびB2上に受信ビームを形成するよう2つの異なる遅延時間重みを付与し、これらのラスタ上に第三受信ビームB1R3、B2R3を生成する。
【0173】
なお、他の送信時も同様である。また、MUX153で設定する送受信口径についても同様に、送信を兼用するラスタ間で使用する全チャンネルブロックを範囲として設定する。
【0174】
なお、上記変形例では、兼用する送信時に、受信ビームフォーマ156が、当該ラスタの両側の2つのラスタ上に受信ビームを形成するよう構成しているが、形成する受信ビームの本数はこれに限られない。当該ラスタをそれぞれ挟む、複数のラスタ上に、それぞれ、受信ビームを形成するよう構成してもよい。このとき、前記受信ビームフォーマ156は、走査線毎に、加算チャンネルを規定する受信口径重みを設定し、かつ、前記受信口径重み毎に、複数の異なる受信遅延重みを設定し、前記1の走査線に対し、当該走査線を挟む複数のラスタ上に前記受信ビームをそれぞれ形成する。
【0175】
なお、受信ビームフォーマ156が、兼用する送信時は4つの、兼用されない第三送信時は2つの受信口径重みを設定し、それぞれ、4つおよび2つの受信ビームを形成するよう構成してもよい。
【0176】
なお、本実施形態およびその変形例では、2つのチャンネルで1つのチャンネルブロックを構成する場合を例にあげて説明したが、チャンネルブロックを構成するチャンネル数はこれに限られない。3つ以上であってもよい。
【0177】
図14は、本実施形態の変形例の、送信開口合成による振幅変調法による、フォーカス距離における送信パルスと発生したハーモニック成分とのビームプロファイル(731、732、733、734)のシミュレーション結果を示したものである。ここで、縦軸は音圧レベル(dB re 1μPa)、横軸は方位方向距離(mm)である。
【0178】
本図に示すように、奇数チャンネルブロック(奇数bk)のビームプロファイル731と偶数チャンネルブロック(偶数bk)のビームプロファイル732とは明らかに方位方向にずれたプロファイルとなる。図9及び図10の結果と比較すると、図14の送信音場のビームプロファイル731、732、733はサイドローブが増加し、結果としてハーモニック成分のサイドローブレベルも増加している。また、メインローブも方位方向の分解能が劣化し、さらにハーモニック成分のピーク音圧の低下も顕著になっている。
【0179】
これらの結果から、1ブロック3チャンネル以上のチャンネルブロックを形成した場合は、サイドローブの増加とメインローブの劣化が顕著になることが分かる。従って、1チャンネルブロックは最大でも2チャンネルまでで形成することが望ましい。
【0180】
なお、本解析においては、上述したように全チャンネル送信時の送信口径重みを矩形重みとしているが、ハニング重みなどにすることも出来る。ハニング重みは、サイドローブの低減に役立つため、特に、本変形例のようにチャンネルブロックを形成する場合に有効である。
【0181】
以上のように、本実施形態の場合、複数のチャンネルを1ブロックとして扱う。従って、ラスタの間隔がnチャンネルピッチ(上記の例では、2チャンネルピッチ)となる。1フレームを構成するための超音波送信数が少なくなるため、更にフレームレートが向上する。
【0182】
なお、本変形例では、例えば第一受信ビームB1R1、B2R1は、一つのラスタB用の受信口径重みを設定したエコー信号群から形成される。すなわち、図14のハーモニック成分734で示されるような、方位方向に単一の送信ピークを持つメインビームに対して、そのピーク位置から若干方位方向にずれた位置での情報を得ることになる。これにより、画像全体の均質度が低下することがある。
【0183】
本実施形態では、これを解決するために、図1(b)に示すように、さらに、信号処理部162が、前記受信ビームのゲイン調整を行うゲイン調整部166を備えるよう構成してもよい。ゲイン調整部166は、受信ビームに対し、受信ビームのゲイン調整のためのデジタル演算処理を行う。ゲイン調整部166によるゲイン調整により、画像全体の均質化を図ることができる。
【0184】
なお、上述の受信口径重みは、受信ビームのサイドローブを低減するために、選択された加算チャンネルに対してハニング関数やハミング関数、あるいはオフセット付きのハニング関数やオフセット付のハミング関数などにしてもよい。
【0185】
以上説明したように、本実施形態では、隣接する複数(上記例では2つ)のチャンネルでチャンネルブロックを形成し、奇数チャンネルブロックによる第一送信、偶数チャンネルブロックによる第二送信とする。これにより、ラスタピッチが広がる。この結果、画像1フレームあたりの送受信回数が減り、フレームレートを向上させることができる。
【0186】
さらに、1のエコー信号から、多数の異なる走査線上の受信ビームを形成する構成を備える場合、送信回数を減らし、且つ、走査線密度を維持できる。従って、3回の送信による受信エコーから一つの合成受信ビームを得るものの、最初の走査線以外は、実質的に2回の送受信でよい。このため、高速なハーモニック・イメージングが可能となる。
【0187】
<<第三の実施形態>>
本発明を適用する第三の実施形態について説明する。第一および第二の実施態様では、いずれも3回の送受信データにより一つの受信信号を得る。本実施形態では、さらに送信開口を分割し、4回以上の送受信データ(受信エコー)を使用して一つの受信信号を生成する。
【0188】
本実施形態の超音波診断装置100の構成は、基本的に第一の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、送信開口の分割数が異なるため、送信ビームフォーマ151、受信ビームフォーマ156、信号処理部162の構成が異なる。以下、本実施形態について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。また、ここでは、4回の送受信データ(受信エコー)を使用して1つの受信信号を生成する場合を例にあげて説明する。
【0189】
本実施形態においても、送信ビームフォーマ151において、各送信時の送信口径重み、送信遅延重みが設定され、設定に従って超音波探触子110の複数のチャンネル200から送信ビームが送信される。また、受信ビームフォーマ156において、有効受信口径、受信口径重み、受信遅延重みが設定され、受信ビームを得る。さらに、信号処理部162において、各受信ビームから、合成受信ビームが生成される。
【0190】
図15は、本実施形態の送受信方法を説明するための図である。ここでは、一例として、3回の送信と、当該3回分の送信の送信開口を合成した1回の送信と、全部で4回の送信により得られる受信ビームから一つの合成受信ビームを取得する場合を例にあげて説明する。
【0191】
本実施形態では、所定のラスタAの第三送信時の送信口径重みおよび送信遅延重みは、隣接するラスタBの第二送信時、および、ラスタBに隣接するラスタCの第一送信時の送信口径重みおよび送信遅延重みにそれぞれ等しくなるよう、設定される。設定は、本実施形態においても、送信ビームフォーマ151においてなされる。
【0192】
また、所定のラスタAの第四送信時の送信口径重みおよび送信遅延重みは、第一から第三の送信時の送信口径重みおよび送信遅延重みをそれぞれ合成したものと設定される。
【0193】
また、受信口径重みおよび受信遅延重みは、以下のように設定される。
【0194】
例えば、ラスタAの第三送信で得たエコー信号に対しては、ラスタA上に受信ビームAR3を形成するための受信口径重み641−3と、ラスタB上に受信ビームBR2を形成するための受信口径重み642−2と、ラスタC上に受信ビームCR1を形成するための受信口径重み643−1と、を設定する。設定は、受信ビームフォーマ156によりなされる。そして、受信ビームフォーマ156により、それぞれ、受信ビームAR3、受信ビームBR2、受信ビームCR1が形成され、メモリ161に保存される。
【0195】
ラスタBの第三送信時に得たエコー信号についても同様に、3つの受信口径重み642−3、643−2、644−1が設定され、それぞれ、受信ビームBR3、受信ビームCR2、受信ビームDR1が形成され、メモリ161に保存される。
【0196】
ラスタCの第三送信時に得たエコー信号についても同様に、3つの受信口径重み643−3、644−2、645−1が設定され、それぞれ、受信ビームCR3、受信ビームDR2、受信ビームER1が形成され、メモリ161に保存される。
【0197】
ラスタDの第三送信時に得たエコー信号についても同様に、3つの受信口径重み644−3、645−2、646−1が設定され、それぞれ、受信ビームDR3、受信ビームER2、受信ビームFR1が形成され、メモリ161に保存される。
【0198】
ラスタEの第三送信時に得たエコー信号についても同様に、3つの受信口径重み645−3、646−2、647−1が設定され、それぞれ、受信ビームER3、受信ビームFR2、受信ビームGR1が形成され、メモリ161に保存される。
【0199】
他のラスタ用の送信と兼用されない、例えば、ラスタCの第四送信時は、ラスタC上に受信ビームを形成するよう受信口径重み643−4が設定され、受信ビームCR4が形成される。ラスタD、ラスタEについても同様に、受信口径重み644−4、645−4が設定され、受信ビームDR4、ER4がそれぞれ形成される。
【0200】
信号処理部162は、各ラスタ用に得られた受信ビームを合成し、合成受信ビームを形成する。ラスタCの場合、例えば、受信ビームCR1と受信ビームCR2と受信ビームCR3とを加算したものを、受信ビームCR4から減算する。
【0201】
また、MUX153は、各送信時に、当該送信を兼用する全ラスタが必要とするチャンネルを、送受信口径と設定する。
【0202】
このように、本実施形態によれば、例えば、ラスタC用の第一受信ビームCR1、第二受信ビームCR2は、それぞれ、ラスタA用の第三送信時、ラスタB用の第三送信時に得ることができる。従って、所定のラスタ用の受信ビームは、2回の送受信を追加することにより取得できる。
【0203】
このように、送信開口の分割数を多くすると、振幅変調法におけるハーモニック・イメージングのシグナル強度の向上が期待できる。例えば、分割数が3の図15の例では、全チャンネル送信時の音圧をPとすると、第一〜第三の部分開口による音圧はそれぞれP/3となる。したがって、受信エコー強度は(R/3)+(R/3)となり、3回分の合成を行うとR+(R/3)となる。したがって、抽出できるハーモニック成分は(2R/3)となる。すなわち、分割数が2の、第一、第二の実施形態で説明した3回送信時の(R/2)よりも大きなハーモニック信号を得ることができる。
【0204】
1つの合成受信ビームを取得するための送受信回数は、これに限られない。
【0205】
なお、本実施形態においても、第二の実施形態同様、複数のチャンネルでブロックを構成し、ブロック単位で送信開口の分割を決定してもよい。
【0206】
以上説明したように、本実施形態の超音波診断装置100は、複数のチャンネル200を備える超音波探触子から超音波パルスを被検体に送信し、得られたエコー信号から超音波画像を得る超音波診断装置であって、送信毎に、前記複数のチャンネル200の中の、前記超音波パルスを送信する複数のチャンネル200である送信チャンネルを規定する送信口径重みと、当該各送信チャンネルから送信する前記超音波パルスに与える遅延時間をそれぞれ規定する送信遅延重みとを設定する送信ビームフォーマ151と、送信毎に、前記複数のチャンネルで受信される前記エコー信号から受信ビームを生成する受信ビームフォーマ156と、n(nは、3以上の整数)個の前記受信ビームを合成して1の走査線上の合成受信ビームを生成し、超音波画像を得る信号処理部162と、を備え、前記1の走査線の合成受信ビームを生成するn個の前記受信ビームは、n回の異なる送信により得られるエコー信号からそれぞれ生成され、前記n回の異なる送信のうち、少なくとも1回は、前記走査線とは異なる走査線に対する送信を兼ねる兼用送信であることを特徴とする。
【0207】
また、前記送信ビームフォーマ151は、前記n回の送信のうち、1回の送信(被合成送信と呼ぶ。)の前記送信口径重みおよび送信遅延重みが、他の(n−1)回の送信(合成送信と呼ぶ。)の前記送信口径重みおよび送信遅延重み合成したものに等しくなるよう前記送信口径重みおよび送信遅延重みを設定するよう構成してもよい。
また、前記受信ビームフォーマ156は、前記兼用送信で受信する前記エコー信号から、当該両走査線上に、それぞれ、前記受信ビームを形成する。そして、前記受信ビームフォーマ156は、走査線毎に、加算チャンネルを規定する受信口径重みと、前記加算チャンネルで得たエコー信号に与える遅延時間を規定する受信遅延重みとを設定し、走査線毎の前記受信口径重みおよび受信遅延重みに従って、前記受信ビームを形成する。このとき、前記送信口径重みは、前記(n−1)回の合成送信時に、前記送信チャンネルが、それぞれ排他的に選択されるよう設定されてもよい。
【0208】
また、送受信毎に前記送信ビームフォーマ151および前記受信ビームフォーマ156に接続するチャンネル200である送受信口径を決定するスイッチ(MUX)153を備え、前記スイッチ(MUX)153は、前記合成送信が前記兼用送信で兼用される2つの走査線に対するそれぞれの前記被合成送信時に用いられる全送信チャンネルを、前記送受信口径として決定するよう構成してもよい。
【0209】
このように、本実施形態によれば、複数回の送受信を必要とする振幅変調法において、異なる走査線の受信信号を得るのに必要な一部の送受信シーケンスを共有できるため、フレームレートを向上させることができ、動画像のもたつきがなく、体動による影響を受けない滑らかな撮像が可能になる。
【0210】
また、送信開口による振幅変調を行うため、送信アンプや超音波探触子などからなる超音波診断装置の送信系に電圧依存の歪や非線形特性がある場合にも、高精度な基本波成分の除去が可能となる。これによって、THIではコントラスト分解能や空間分解能の高い画像が得られ、CHIではCTRの高い造影画像が得られる。
【符号の説明】
【0211】
100:超音波診断装置、110:探触子、110:超音波探触子、120:被制御部、130:制御部、140:UI、151:送信ビームフォーマ、152:送信回路、153:MUX、154:T/Rスイッチ、155:受信回路、156:受信ビームフォーマ、161:メモリ、162:信号処理部、163:検波部、164:DSC、165:表示部、166:ゲイン調整部、200:チャンネル、210:チャンネルブロック、310:送受信口径、311:送受信口径、312:送受信口径、321−1:第一送信時送信口径重み、321−2:第二送信時送信口径重み、321−3:第三送信時送信口径重み、322−1:第一送信時送信口径重み、322−2:第二送信時送信口径重み、322−3:第三送信時送信口径重み、331:送信遅延重み、332:送信遅延重み、411:送受信口径、411−1:第一送信時有効送信口径、411−2:第二送信時有効送信口径、411−3:第三送信時有効送信口径、412:送受信口径、412−1:第一送信時有効送信口径、412−2:第二送信時有効送信口径、412−3:第三送信時有効送信口径、413:送受信口径、421−1:第一送信時送信口径重み、421−2:第二送信時送信口径重み、421−3:第二送信時送信口径重み、422−1:第一送信時送信口径重み、422−2:第二送信時送信口径重み、422−3:第三送信時送信口径重み、431−1:第一送信時送信遅延重み、431−2:第二送信時送信遅延重み、431−3:第三送信時送信遅延重み、432−1:第一送信時送信遅延重み、432−2:第二送信時送信遅延重み、432−3:第三送信時送信遅延重み、441−2:第二送受信時受信口径、442−1:第一送受信時受信口径、442−3:第三送受信時受信口径、442−2:第二送受信時受信口径、443−1:第一送受信時受信口径、443−2:第二送受信時受信口径、444−1:第一送受信時受信口径、511:送受信口径、511−1:第一送信時有効送信口径、511−2:第二送信時有効送信口径、511−3:第三送信時有効送信口径、512:送受信口径、513:送受信口径、521−1:第一送信時送信口径重み、521−2:第二送信時送信口径重み、521−3:第三送信時送信口径重み、531−1:第一送信時送信遅延重み、531−2:第二送信時送信遅延重み、531−3:第三送信時送信遅延重み、541−2:第二送受信時受信口径重み、542−1:第一送受信時受信口径重み、542−3:第三送受信時受信口径重み、542−2:第二送受信時受信口径重み、543−1:第一送受信時受信口径重み、543−3:第三送受信時受信口径重み、543−2:第二送受信時受信口径重み、544−1:第一送受信時受信口径重み、641−3:第三送受信時受信口径重み、642−2:第二送受信時受信口径重み、643−1:第一送受信時受信口径重み、642−3:第三送受信時受信口径重み、643−2:第二送受信時受信口径重み、644−1:第一送受信時受信口径重み、643−3:第三送受信時受信口径重み、643−4:第四送受信時受信口径重み、644−2:第二送受信時受信口径重み、645−1:第一送受信時受信口径重み、644−3:第三送受信時受信口径重み、645−2:第二送受信時受信口径重み、646−1:第一送受信時受信口径重み、645−3:第三送受信時受信口径重み、646−2:第二送受信時受信口径重み、647−1:第一送受信時受信口径重み、644−4:第四送受信時受信口径重み、645−4:第四送受信時受信口径重み、711:第一送信パルスビームプロファイル、712:第二送信パルスビームプロファイル、713:第三送信パルスビームプロファイル、714:ハーモニック成分ビームプロファイル、721:第一送信パルスビームプロファイル、722:第二送信パルスビームプロファイル、723:第三送信パルスビームプロファイル、724:ハーモニック成分ビームプロファイル、731:第一送信パルスビームプロファイル、732:第二送信パルスビームプロファイル、733:第三送信パルスビームプロファイル、734:ハーモニック成分ビームプロファイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15