特許第5931251号(P5931251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5931251
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】竹箒
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/38 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   A47L13/38 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-125283(P2015-125283)
(22)【出願日】2015年6月23日
【審査請求日】2015年11月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515171879
【氏名又は名称】池田 剛三
(74)【代理人】
【識別番号】100161300
【弁理士】
【氏名又は名称】川角 栄二
(72)【発明者】
【氏名】池田 剛三
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第355612(JP,Z2)
【文献】 実開昭51−006765(JP,U)
【文献】 登録実用新案第037958(JP,Z2)
【文献】 登録実用新案第3078390(JP,U)
【文献】 実公昭15−008937(JP,Y1)
【文献】 特開2012−131132(JP,A)
【文献】 特開平09−272079(JP,A)
【文献】 特開2014−076254(JP,A)
【文献】 実公昭26−013860(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ竹の枝を複数束ねてなる第一枝群及び第二枝群を備え、
前記枝は基端から先端にかけて分枝部を有しつつ全体的に弧状に湾曲しており、
前記第一枝群及び前記第二枝群を構成するそれぞれの複数の前記枝は、それらの凹面を同じ方向に向けて束ねられており、
前記第一枝群と前記第二枝群とが、それぞれ互いに凹面を向い合せにして結束されている
ことを特徴とする竹箒。
【請求項2】
前記第一枝群と前記第二枝群とが熱収縮チューブにより結束されている
ことを特徴とする請求項1に記載の竹箒。
【請求項3】
前記第一枝群及び前記第二枝群がそれぞれ10本以上12本以下の前記枝から構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の竹箒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上や庭を清掃するための竹箒に関する。
【背景技術】
【0002】
路上や庭などの被清掃面を清掃する清掃用具として、竹箒が広く用いられている。通常の竹箒は、竹の稈からなる柄の先に、多数の竹の枝を束ねてなる穂を設けて構成されている。竹箒は古くから存在するが、掃き心地を改善した竹箒や(特許文献1参照)、塵埃や落葉を効率よく補足するように改良が加えられた竹箒(特許文献2参照)も知られている。
【0003】
しかし、従来の竹箒も、改良が加えられた上記の特許文献に係る竹箒も、穂の根元から穂先に向けて、外に広がるように形成されている。このような竹箒を用いて被清掃面を掃く場合、穂を構成する枝の先は、被清掃面に点で接触する。そして竹箒の枝の先と被清掃面とが点で接触した状態で掃引すると、小さい塵埃が枝の先に引っかからないため、小さな塵埃を掻き集めることが困難であるという問題があった。
【0004】
また、穂の根元から穂先に向けて外に広がっている竹箒は嵩張るため、複数の竹箒を隣接して保管するような場合に、穂同士がからまるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3078390号公報
【特許文献2】実開平3−76552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みて、小さい塵埃を掻き集めるのが容易であるとともに、省スペースで保管することが可能な竹箒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、それぞれ竹の枝を複数束ねてなる第一枝群及び第二枝群を備え、前記枝は基端から先端にかけて分枝部を有しつつ全体的に弧状に湾曲しており、前記第一枝群及び前記第二枝群を構成するそれぞれの複数の前記枝は、それらの凹面を同じ方向に向けて束ねられており、前記第一枝群と前記第二枝群とが、それぞれ互いに凹面を向い合せにして結束されていることを特徴とする竹箒である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記第一枝群と前記第二枝群とが熱収縮チューブにより結束されていることを特徴とする請求項1に記載の竹箒である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記第一枝群及び前記第二枝群がそれぞれ10本以上12本以下の前記枝から構成されることを特徴とする請求項1に記載の竹箒である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の記載の発明によれば、小さい塵埃を掻き集めるのが容易であり、かつ省スペースで保管することが可能な竹箒を提供することができる。
【0011】
請求項2の記載の発明によれば、第一枝群と第二枝群とを、容易かつ強固に結束することができ、また把持しやすい竹箒を提供することができる。
【0012】
請求項3の記載の発明によれば、軽量でありながら塵埃を掻き集める能力の高い竹箒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態に係る竹箒を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
図2】本発明に係る竹箒を構成する枝を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
図3】本発明に係る竹箒の第一枝群及び第二枝群を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る竹箒を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を適用した竹箒の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0015】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る竹箒を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。図2は、本発明に係る竹箒を構成する枝を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。また図3は、本発明に係る竹箒の第一枝群及び第二枝群を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【0016】
図1に示すように、竹箒100は、第一枝群10、第二枝群20、及びこれらを結束する結束紐31a,31b,31cを備える。
【0017】
次に、第一枝群10及び第二枝群20を構成する枝11について、図2に基づき説明する。枝11は、図2(a)の平面図に示すように、複数の分枝部Bにおいて枝分かれしながら、面状に広がっている。そして枝11は、図2(b)の側面図に示すように、基端部11aから先端11bにかけて弧状に湾曲している。図2(b)に図示する状態では、上に凸の状態で湾曲しており、下に凹面が向いている。また枝11は弾性を有しており、まっすぐにしても弾性により湾曲した状態に戻る。
【0018】
なお、竹の枝が稈から生えている状態においては、枝の先には葉が生えている。そのため、枝の先の葉に重力が作用することにより、枝全体が図2(b)に示すように湾曲している。竹箒100の穂となる枝11は、落葉させてから用いられる。落葉は、枝をおろした後、約三週間平積みすることでおこなわれる。また、基端部11aについては小枝を除去して、分枝部Bがない区間とする。竹箒100を把持する部分とするためである。分枝部Bがない基端部11aの区間は、約50〜60cmとするのが好適である。
【0019】
次に第一枝群10及び第二枝群20について、図3に基づいて説明する。第一枝群10は、湾曲した枝11を、湾曲の向きを揃えつつ重ねて結束することにより構成される。すなわち、湾曲していることにより曲面を形成している枝11,・・・,11を、その凹面が同じ方向を向くように重ねて結束することで、第一枝群10が構成されている。そして第一枝群10も、全体として凹面を下に向けて配置されている。
【0020】
なお、第二枝群20も第一枝群10と同様に構成されるが、第一枝群10との違いは、竹箒100を構成する際に、凹面が、第一枝群10と反対に、上方向を向くように配置されていることである。
【0021】
本実施形態において、枝11,・・・,11を結束する手段として、繊維質の結束紐12a,12b,12cが用いられている。すなわち、枝11,・・・,11は三か所で結束されることで第一枝群10及び第二枝群20を構成している。基端側の結束紐12aを最もきつく縛り、先端側の結束紐12cを最もゆるく縛っている。これにより、第一枝群10及び第二枝群20それぞれが全体としてしなやかに曲がることが可能となる。第一枝群10及び第二枝群20をそれぞれ構成する枝11の本数は任意に設定できるが、重量と掃引しやすさとを勘案すると、10〜12本とするのが好適である。
【0022】
なお、本実施形態においては、枝11,・・・,11を結束する手段として結束紐12a,12b,12cを用いているが、これに限られず、針金、ゴム紐、粘着テープ、樹脂製の結束バンドなどを用いることも可能であり、適宜に選択することができる。また、本実施形態においては、枝11,・・・,11同士が三か所で結束されているが、結束する箇所の数及び結束の位置は、任意に設定することができる。
【0023】
図1に示すように、第一枝群10と第二枝群20とは、それぞれの基端部10a,20aにおいて、繊維質の結束紐31a,31b,31cによって互いに結束されて、竹箒100を構成している。このとき、第一枝群10の凹面と第二枝群20の凹面とが互いに向かい合うようにして結束されている。このように配置されることにより、第一枝群10と第二枝群20との間に空間Cが形成されている。すなわち、図1(b)に示すように第一枝群10及び第二枝群20が側面視でそれぞれ外側に膨らむように配置されて、竹箒100には、膨らみ部100b,100cが形成されている。
【0024】
なお、本実施形態においては、第一枝群10と第二枝群20とを結束する手段として結束紐31a,31b,31cを用いているが、これに限られず、針金、ゴム紐、粘着テープ、樹脂製の結束バンドなどを用いることも可能であり、適宜に選択することができる。また、本実施形態においては、第一枝群10と第二枝群20とが三か所で結束されているが、結束する箇所の数及び結束の位置は、任意に設定することができる。また、竹箒100を構成する枝11に、スプレーなどで樹脂を塗布することも可能である。これにより、枝11を補強することができるとともに、結束の強度を増すことができる。
【0025】
次に、本実施形態に係る竹箒100の使用方法について説明する。竹箒100を使用して清掃する際には、基端部100aを把持して、膨らみ部100b又は膨らみ部100cを被清掃面に接触させ、竹箒100を寝かせた姿勢で掃引することによって、被清掃面を掃く。このとき、膨らみ部100b又は膨らみ部100cを被清掃面に接触させた状態で、図1(b)における紙面に垂直方向に、竹箒100を動かす。膨らみ部100b又は膨らみ部100cを被清掃面に接触させると、枝11は、線状に被清掃面に接触することになる。そしてこの状態で、枝11の延びる方向にほぼ直角方向に動かすと、線状に接触する枝がその線にほぼ直角方向に動くことになるため、被清掃面が面状に掃かれることになる。そのため、小さな塵埃も掻き出すことが可能となる。
【0026】
なお、枝11は弾性を有し、更に第一枝群10及び第二枝群20がしなやかに曲がるよう、枝11,・・・,11同士が結束されている。そのため、被清掃面に膨らみ部100b,100cを接触させたとき、枝11が弾性的に曲がることによって、確実に被清掃面に線状に接触させることができる。また、被清掃面から竹箒100を離すと、弾性力により元の形状に復元する。
【0027】
また、本実施形態に係る竹箒100は、図1(b)に示すように側面視で穂先が外に広がっていないため、複数の竹箒100を隣接して保管しても、穂同士がからまることがなく、省スペースで保管することが可能となる。
【0028】
[第二実施形態]
図4は、本発明の第二実施形態に係る竹箒を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【0029】
図4に示すように、第二実施形態に係る竹箒200は、第一実施形態と同様に、図3に示す第一枝群10及び第二枝群20を有しており、第一枝群10及び第二枝群20はそれぞれ、図2に示す枝11から構成される。第一実施形態との相違点は、第一枝群10、第二枝群20を結束する手段として、加熱により収縮する熱収縮チューブ32が用いられている点である。以下、第一枝群10と第二枝群20との結束について、具体的に説明する。
【0030】
第一枝群10と第二枝群20とは、それぞれの基端部10a,20aにおいて、熱収縮チューブ32によって互いに結束されている。このとき、第一枝群10と第二枝群20の凹面とが互いに向かい合うようにして結束されている。このように配置されることにより、第一枝群10と第二枝群20との間に空間Cが形成されている。すなわち、図4(b)に示すように第一枝群10及び第二枝群20が側面視でそれぞれ外側に膨らむように配置されて、竹箒200には、膨らみ部200b,200cが形成されている。
【0031】
次に、熱収縮チューブ32を使用して第一枝群10と第二枝群20とを結束する方法について説明する。第一枝群10の凹面と第二枝群20の凹面とが互いに向かい合うように配置した状態で、未収縮の熱収縮チューブ32に基端部10a,20bを挿入する。そして、熱収縮チューブ32を、熱湯やヒートガンなどで加熱することにより、収縮させる。これにより、基端部200aで第一枝群10と第二枝群20とが結束される。熱収縮チューブ32という一つの部材により、第一枝群10と第二枝群20とを、容易にかつ強固に結合できる。なお、収縮後の熱収縮チューブ32に、発泡樹脂などをスプレーすることも可能であり、これにより更に強固に結合することができる。
【0032】
竹箒200の使用方法は、第一実施形態に係る竹箒100と同様である。すなわち、竹箒200を寝かせた姿勢にして、膨らみ部200b又は膨らみ部200cを被清掃面に接触させ、図4(b)における紙面に垂直方向に竹箒200を動かすことで、被清掃面の小さな塵埃も掻き出すことが可能となる。なお、竹箒200の基端部200aは熱収縮チューブ32により被覆されているため、基端部200aを把持して竹箒200を操作することが容易である。
【0033】
なお、第二実施形態に係る竹箒200では、熱収縮チューブ32を使用して第一枝群10と第二枝群20とを結束しているが、熱収縮チューブ32に代えて、筒状の硬質樹脂又は発泡樹脂を用いて結束することも可能である。このように構成すると、基端部200aが硬質樹脂又は発泡樹脂で被覆されることになり、把持が容易となる。
【0034】
また、第一実施形態に係る竹箒100と同様に第一枝群10と第二枝群20とを結束したうえで、筒状の硬質樹脂又は発泡樹脂で基端部100aを被覆することも可能である。このように構成すると、基端部100aが硬質樹脂又は発泡樹脂で被覆されることになり、把持が容易となる。
【符号の説明】
【0035】
100,200 竹箒
100a,200a 基端部
100b,100c,200b,200c 膨らみ部
10 第一枝群
10a 基端部
20 第二枝群
20a 基端部
11 枝
11a 基端部
11b 先端
12a,12b,12c 結束紐
31a,31b,31c 結束紐
32 熱収縮チューブ
【要約】
【課題】 小さい塵埃を掻き集めるのが容易であるとともに、省スペースで保管することが可能な竹箒を提供する。
【解決手段】 それぞれ竹の枝11を複数束ねてなる第一枝群10及び第二枝群20を備え、枝11は基端から先端にかけて分枝部を有しつつ全体的に弧状に湾曲しており、第一枝群10及び前記第二枝群20を構成するそれぞれの複数の枝11は、それらの凹面を同じ方向に向けて束ねられており、第一枝群10と第二枝群20とが、それぞれ互いに凹面を向い合せにして結束されている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4