特許第5931258号(P5931258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5931258
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/60 20060101AFI20160526BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   B65D88/60
   B65D88/12 X
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-147243(P2015-147243)
(22)【出願日】2015年7月24日
【審査請求日】2015年9月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515203402
【氏名又は名称】有限会社ダイヤストーン
(74)【代理人】
【識別番号】100095603
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 一郎
(72)【発明者】
【氏名】太盛 壮人
【審査官】 西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−113583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
B65D 88/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部の左右の側壁の底部側に形成された排出口と、前記排出口に開閉自在に覆設された開閉蓋と、前記収容部の底部に敷設された左右一対の傾動プレートと各々の前記傾動プレートの外側部に前記収容部の長手方向と平行に配設され前記収容部の両側部に回動自在に軸支される回動軸とを有する排出機構と、前記排出機構の左右一対の前記傾動プレートの前記回動軸と対向する辺同士を連結するシート部と、前記排出機構の前記傾動プレートより幅狭に形成され外側部に前記収容部の長手方向と平行に配設された補助プレート回動軸を有し各々の前記傾動プレートの上面側に回動自在に敷設されて各々の前記排出口の外に傾倒可能な排出補助プレートと、を備えたことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記排出機構の各々の前記回動軸の端部に形成され前記回動軸を回動させる傾動プレート駆動部が着脱自在に連結される傾動プレート駆動用連結部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
各々の前記排出補助プレートの前記補助プレート回動軸が前記排出機構の各々の前記回動軸と同一軸線上で前記収容部に回動自在に軸支されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記排出補助プレートの前記補助プレート回動軸の端部に形成され前記補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部が着脱自在に連結される補助プレート駆動用連結部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記排出機構の前記回動軸を回動させる傾動プレート駆動部及び/又は前記排出補助プレートの前記補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項6】
一端が前記収容部の底部に連結され他端が前記排出機構の各々の傾動プレートの裏面側に連結されて伸縮する伸縮駆動部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂、鉄鉱石、石灰石やレアメタル等の鉱石等の運搬に用いられるコンテナに関し、特に収容部に収容した土砂や鉱石等の運搬対象物を荷下ろしする際にフォークリフト等を用いることなく、収容部の側部に形成された排出口から短時間で確実に排出することができる運搬対象物の排出効率性に優れたコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種運搬対象物の運搬には、その種類等に応じて様々なコンテナが用いられている。
中でも、収容部の側部を開口して土砂や鉱石、粉体等の運搬対象物を自然落下により排出させて荷下ろしするコンテナでは、安息角以下の運搬対象物が落下せずに残るため、フォークリフト等を用いて排出作業を行わなければならず、作業に時間と工数がかかり、省力性、作業効率性、省エネルギー性に欠けるという問題点があった。
この問題点を解決するものとして、例えば(特許文献1)には、荷が載せられる荷台と、荷台の側端に回動可能に設けられ該側端に起立及び垂下しうる板状の積荷押え板と、荷台を覆って荷の収容空間を形成するとともに荷台の上方かつ車体前後方向に回動中心軸を有し回動させられて開閉可能な一対のウイングとを備えたトラックの荷積み装置において、折り畳み可能な可撓性シートで形成され荷台に敷設される底面部及び積荷押え板に沿う側面部を有した箱状の荷受シートと、荷受シートの側面部に形成された開口と、開口を開閉するとともに開時に荷台の側端から下方へ伸びて荷受シート内の荷を滑降可能にするシュータと、荷受シートの側面部及びウイング間に着脱可能に設けられ装着時に該側面部をウイングに吊下する索体とを備えたことを特徴とするトラックの荷積み装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−255417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)は、荷の形態が立体的なもののみならず粉粒体であっても容易に積載可能にし、荷の形態に対して汎用性のあるトラックの荷積み装置を提供しようとするものであるが、荷受シートの側面部及びウイング間に着脱可能に設けられ装着時に該側面部をウイングに吊下する索体を備えており、粉粒体を降ろすときは、ウイングを開いて索体を介して荷受シートの側面部を持ち上げ、粉粒体をシュータの方に移動させて排出するものであるため、ウイングを備えていなければならず、荷積み装置を設置できるボディの種類が限定され、汎用性に欠ける。
(2)粉粒体を排出する際には、ウイングを開いて索体を介して荷受シートの端部を持ち上げることにより、底面部を開口に向けて傾斜させ、シュータを滑降させるので、粉粒体の投入量が、荷受シートの側面部の高さ程度に制限され、収容部の容積に対して運搬できる積荷の量が少なく、運搬の効率性に欠ける。
(3)また、荷台の底面部及び側面部を覆う荷受シートは、側面部の要所が索体によりウイングに吊下されているだけなので、撓み易く、荷台と荷受シートの隙間に粉粒体が入り込む可能性があり、荷受シートを取外さなければ回収することができず、運搬作業の効率性、メンテナンス性に欠ける。
(4)さらに、索体を荷受シート及びウイングから外し、荷受シートを折り畳めば、粉粒体以外の通常の荷を積載することができるが、積荷の種類に応じて、荷受シートや索体を着脱しなければならず、汎用性、取扱い性に欠ける。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、収容部に収容した粉粒体等の運搬対象物を荷下ろしする際にフォークリフト等を用いることなく、短時間で確実かつ効率的に外部に排出することができ、排出作業の効率性、省力性に優れ、排出作業後に収容部に残留する運搬対象物の量が極めて少なく、運搬対象物を無駄なく効率的に回収することができ、メンテナンス性、運搬の信頼性に優れると共に、運搬収容部の容積全体を有効利用して大量の運搬対象物を収容、運搬することができ、運搬の効率性に優れるだけでなく、粉粒体以外の土砂や鉱石等の運搬対象物も収容することができ、汎用性、取扱い性に優れるコンテナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段及びそれによって得られる作用、効果】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のコンテナは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のコンテナは、収容部の左右の側壁の底部側に形成された排出口と、前記排出口に開閉自在に覆設された開閉蓋と、前記収容部の底部に敷設された左右一対の傾動プレートと各々の前記傾動プレートの外側部に前記収容部の長手方向と平行に配設され前記収容部の両側部に回動自在に軸支される回動軸とを有する排出機構と、前記排出機構の左右一対の前記傾動プレートの前記回動軸と対向する辺同士を連結するシート部と、前記排出機構の前記傾動プレートより幅狭に形成され外側部に前記収容部の長手方向と平行に配設された補助プレート回動軸を有し各々の前記傾動プレートの上面側に回動自在に敷設されて各々の前記排出口の外に傾倒可能な排出補助プレートと、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果を有する。
(1)収容部の左右の側壁の底部側に形成された排出口と、排出口に開閉自在に覆設された開閉蓋を有するので、開閉蓋を開くだけで多くの粉粒体等の運搬対象物を排出口から排出することができ、排出作業性に優れる。
(2)収容部の底部に敷設された左右一対の傾動プレートと各々の傾動プレートの外側部に収容部の長手方向と平行に配設され収容部の両側部に回動自在に軸支される回動軸とを有する排出機構を備えることにより、各々の傾動プレートを回動軸を中心に収容部の外方(側壁側)に傾動させるだけで、収容部に残留したほとんどの運搬対象物が傾動プレート上を側壁側に向かって移動し、排出口から排出されるので、フォークリフト等を用いることなく、短時間で確実かつ効率的に運搬対象物を収容部の外部に排出することができ、排出作業の効率性、省力性に優れる。
(3)左右一対の傾動プレートの回動軸と対向する辺同士を連結するシート部を有することにより、各々の傾動プレートを傾動させた際に、左右の傾動プレートの間がシート部で塞がれ、隙間が発生しないので、運搬対象物が傾動プレートの下(収容部の床面)に落下することがなく、排出口から確実に排出させることができ、排出作業後に傾動プレート上に残った運搬対象物も容易に回収することができ、メンテナンス性に優れる。
(4)排出機構の左右一対の傾動プレートが収容部の底部に敷設されているだけなので、粉粒体以外の運搬対象物を収容する際にも傾動プレートが邪魔になることはなく、汎用性、取扱い性に優れる。
(5)収容部の底部に敷設された傾動プレートを傾動させることにより粉粒体等の運搬対象物を排出するので、運搬対象物の収容高さに制約を受けることがなく、運搬収容部の容積全体を有効利用して大量の運搬対象物を収容、運搬することができ、運搬の効率性に優れる。
(6)排出機構の傾動プレートより幅狭に形成され外側部に収容部の長手方向と平行に配設された補助プレート回動軸を有し各々の傾動プレートの上面側に回動自在に敷設されて各々の排出口の外に傾倒可能な排出補助プレートを有するので、傾動プレート上に多量の運搬対象物が堆積し、傾動プレートを傾動させることが困難な場合でも、傾動プレートより面積が小さな排出補助プレートを先に回動させて排出補助プレート上に堆積した運搬対象物を持ち上げることにより、傾動プレート上に堆積していた運搬対象物の山の一部を崩して排出口側に移動させて排出することができ、排出作業性に優れる。
(7)排出補助プレートを回動させて傾動プレート上に堆積した運搬対象物の一部を排出することにより、傾動プレート上の運搬対象物の堆積量を減らして傾動プレートを確実に傾動させることができ、フォークリフト等を用いることなく、残りの運搬対象物を短時間でスムーズに排出口から排出することができ、排出作業の効率性、省力性に優れる。
(8)回動させた排出補助プレートが排出口の外に傾倒可能なので、傾動プレートを傾動させて運搬対象物を排出する際に、排出補助プレートが邪魔になることがなく、運搬対象物を排出補助プレートで案内して排出口から確実かつスムーズに排出することができ、排出の効率性に優れる。
【0007】
ここで、収容部は直方体状に形成され、天井部全体が開口しているものが好適に用いられるが、天井部全体を開閉する屋根を設けてもよい。また、粉粒体等の運搬対象物を収容する場合には、天井部に開閉蓋付きの供給口を設けてもよい。尚、天井部に供給口を設ける場合の数や配置は適宜、選択することができるが、複数の供給口を設けることにより、収容部の内部に運搬対象物を満遍なく収容することができ、使用性に優れる。また、運搬対象物が粉粒体以外の立体的な形状を有する場合は、収容部の側壁又は後面壁に設けた開閉扉から行うこともできる。
排出口は収容部の側壁の長手方向に沿って形成されるが、側壁のほぼ全長にわたって1つの排出口を形成してもよいし、長手方向に分割して複数の排出口を形成してもよい。開閉蓋は排出口を開閉できるものであればよいが、排出作業時以外は開かないようにロック機構を備えたものが用いられる。また、開閉蓋は蝶番等により回動させて開閉するものが好適に用いられるが、上下方向にスライドさせて開閉させるものでもよい。尚、開閉蓋の周縁部にパッキンを設けることにより、排出口の密閉性に優れる。
排出機構の傾動プレートは収容部の底部の形状に合わせてステンレス等の金属で矩形板状に形成される。左右各々の傾動プレートの外側部(収容部の側壁に近い側の辺)に収容部の長手方向と平行に回動軸が配設されており、各々の回動軸が収容部の両側部にそれぞれ回動自在に保持されることにより、二枚(左右一対)の傾動プレートが収容部の底部に観音開き状に敷設される。各々の傾動プレートの回動軸の両端部が収容部の前面壁側及び後面壁側で回動自在に軸支されることにより、傾動プレートを傾動させることができる。尚、傾動プレートの裏面側等にバイブレータを取付けてもよい。必要に応じてバイブレータで傾動プレートを振動させることにより、傾動プレートの表面に付着した運搬対象物を確実に落下させることができ、清掃が容易でメンテナンス性にも優れる。
【0008】
シート部としては、ゴム製や合成樹脂製で軟質性のシートが好適に用いられる。左右の傾動プレートは一部が重なるように敷設されるが、回動軸と対向する辺同士がシート部で連結されることにより、粉粒体等の運搬対象物が隙間から収容部の底部に落下することを防止できる。尚、シート部の幅は各々の傾動プレートを傾動させる際に動作を妨げない長さに形成され、傾動プレートが床部に敷設されているときは左右の傾動プレートの間に折り畳まれている。運搬対象物が比重の大きな鉱物の場合など、運搬対象物の種類によってはシート部を省略してもよい。シート部を傾動プレートに対して着脱自在にすれば、運搬対象物の種類に応じてシート部の有無を容易に選択することができ、汎用性に優れる。
傾動プレートを傾動させる傾動プレート駆動部は、傾動プレートを傾動させることができればよく、傾動プレートの外側部に配設される回動軸を回動させることによって傾動プレートを傾動させてもよいし、傾動プレートを直接、傾動させてもよい。回動軸を回動させる傾動プレート駆動部としては、回動軸と歯車等を介して連結される電動モータや油圧モータ等が好適に用いられ、傾動プレートを直接、傾動させる傾動プレート駆動部としては、一端が収容部の底部に連結され他端が各々の傾動プレートの裏面側に連結されて伸縮する油圧シリンダ等の伸縮駆動部が好適に用いられる。伸縮駆動部を用いる場合、回動軸の代わりに各々の傾動プレートの外側の前端及び後端に円柱状の突起部(軸支部)を設け、収容部の前面壁側及び後面壁側の軸受部で軸支してもよい。
尚、回動軸を回動させる傾動プレート駆動部は、コンテナに搭載してもよいし、駆動時のみ外部から連結してもよい。
排出補助プレートは、傾動プレートと同様にステンレス等の金属で矩形板状に形成されたものが好適に用いられる。排出補助プレートは、少なくとも一部が傾動プレートの上面と重なるように敷設することが好ましいが、特に排出補助プレートのほぼ全面が傾動プレートの上面と重なるように敷設した場合、排出補助プレートの回動時に排出補助プレートと傾動プレートの間に隙間が発生し難く、運搬対象物を無駄なくスムーズに排出することができ、排出作業性に優れる。尚、傾動プレートと排出補助プレートとの隙間や段差には必要に応じて、ゴムシート等を敷設し、運搬対象物の排出性を向上させることができる。
排出補助プレートを回動させる補助プレート駆動部は、排出補助プレートを傾動させることができればよいが、排出補助プレートの外側部に配設される補助プレート回動軸を回動させることによって排出補助プレートを回動させるものが好ましく、具体的には、補助プレート回動軸の端部に連結される電動モータや油圧モータ等が好適に用いられる。尚、排出補助プレートの補助プレート回動軸は、前述の排出機構の回動軸と同一軸心上に配置してもよいし、排出機構の回動軸と離間した位置に独立して配置してもよい。補助プレート駆動部としては、補助プレート回動軸と歯車等を介して連結される電動モータや油圧モータ等が好適に用いられる。この補助プレート駆動部は、排出機構の回動軸を回動させて傾動プレートを傾動させる傾動プレート駆動部と同様にコンテナに搭載してもよいし、駆動時のみ外部から連結してもよい。尚、補助プレート駆動部は傾動プレート駆動部と兼用することもできる。
排出作業終了後に、傾動プレートを先に収容部の底部側に倒した後、補助プレート駆動部で補助プレート回動軸を逆回転させて排出補助プレートを傾動プレートの上面側に戻すことができる。
排出補助プレートは排出口の位置に合わせて配置され、排出口が複数に分割されて形成されている場合は、排出補助プレートも分割されるが、共通の1本の補助プレート回動軸を配設することにより、1つの補助プレート駆動部で駆動することができる。
排出補助プレートの長さ(収容部の長手方向と平行な長さ)及び横幅(収容部の長手方向と直交する方向の長さ)は、排出口の長さ及び高さよりもやや短く形成することにより、排出口の外に傾倒させることができると共に、排出作業終了後は収容部側に倒して収納することができる。
また、排出補助プレートの横幅は、傾動プレートの横幅(収容部の長手方向と直交する方向の長さ)の1/5〜1/2に形成することが好ましい。排出補助プレートの横幅が傾動プレートの横幅の1/5より狭くなるにつれ、排出補助プレート上に堆積する運搬対象物の量が減少し、排出補助プレート上の運搬対象物を排出しても傾動プレート上の運搬対象物の堆積状態が変化し難く、傾動プレートを傾動させることが困難になる傾向があり、1/2より広くなるにつれ、排出補助プレート上に堆積する運搬対象物の量が増加し、排出補助プレートを回動させることが困難になって排出性が低下する傾向があり、いずれも好ましくない。尚、排出補助プレートを排出口の外に傾倒させた際に、排出口の開閉蓋のヒンジ部が排出補助プレートで覆われるようにすることにより、ヒンジ部への運搬対象物の接触や付着を防止することができ、メンテナンス性、耐久性に優れる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンテナであって、前記排出機構の各々の前記傾動プレートの前記回動軸の端部に形成され前記回動軸を回動させる傾動プレート駆動部が着脱自在に連結される傾動プレート駆動用連結部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)排出機構の各々の傾動プレートの回動軸の端部に形成され回動軸を回動させる傾動プレート駆動部が着脱自在に連結される傾動プレート駆動用連結部を有するので、傾動プレートを駆動する時だけ外部から傾動プレート駆動部を連結して確実に傾動プレートを駆動することができ、コンテナに傾動プレート駆動部を搭載する必要がなく、既存のコンテナを改造して使用することもでき、コンテナが大型化せず、取扱い性に優れる。
【0010】
ここで、傾動プレート駆動用連結部は回動軸を回動させる傾動プレート駆動部が着脱自在に連結できるものであればよい。具体的には、回動軸又は傾動プレート駆動部として使用する油圧モータ等の駆動軸の一方の端部に凸部を形成し、他方の端部に凹部を形成して嵌合させるものが好適に用いられる。凸部と凹部の形状は互いに嵌合して空回りしない形状であればよいが、四角形状や六角形状等の多角形状に形成されたものが好適に用いられる。また、回動軸及び駆動軸の各々の端部に歯車を固設し、噛合させて動力を伝達させてもよい。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコンテナであって、各々の前記排出補助プレートの前記補助プレート回動軸が前記排出機構の各々の前記回動軸と同一軸線上で前記収容部に回動自在に軸支された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)各々の排出補助プレートの補助プレート回動軸が排出機構の各々の回動軸と同一軸線上で収容部に回動自在に軸支されることにより、省スペース性に優れると共に、排出補助プレートを回動させて排出口の外に傾倒させた際にも、排出補助プレートと傾動プレートの間に段差や隙間が発生し難く、運搬対象物の排出の確実性、効率性に優れる。
ここで、排出補助プレートの補助プレート回動軸を排出機構の回動軸と同一軸線上に配置する場合、補助プレート回動軸又は回動軸のいずれか一方を筒状に形成し、その中空部に他方を挿通する構造が好適に用いられる。蝶番と同様の構造にすることで、同一軸を中心にして傾動プレート及び排出補助プレートをそれぞれ個別に回動(傾動)させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のコンテナであって、前記排出補助プレートの前記補助プレート回動軸の端部に形成され前記補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部が着脱自在に連結される補助プレート駆動用連結部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)排出補助プレートの補助プレート回動軸の端部に形成され補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部が着脱自在に連結される補助プレート駆動用連結部を有するので、排出補助プレートを駆動する時だけ外部から補助プレート駆動部を連結して確実に排出補助プレートを駆動することができ、コンテナに補助プレート駆動部を搭載する必要がなく、既存のコンテナを改造して使用することもでき、コンテナが大型化せず、取扱い性に優れる。
【0016】
ここで、補助プレート駆動用連結部は補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部が着脱自在に連結できるものであればよい。具体的には、補助プレート回動軸及び補助プレート駆動部として使用する電動モータや油圧モータ等の駆動軸の一方の端部に凸部を形成し、他方の端部に凹部を形成して嵌合させるものが好適に用いられる。凸部と凹部の形状は互いに嵌合して空回りしない形状であればよいが、四角形状や六角形状等の多角形状に形成されたものが好適に用いられる。また、補助プレート回動軸及び駆動軸の各々の端部に歯車を固設し、噛合させて動力を伝達させてもよい。
傾動プレート駆動用連結部と補助プレート駆動用連結部を同一軸線上の前後に配置し、嵌合位置或いは噛合位置に応じて、回動軸或いは補助プレート回動軸を選択的に回動できるようにすれば、傾動プレート駆動部と補助プレート駆動部を共通化することができ、汎用性、操作性に優れる。尚、傾動プレート駆動用連結部と補助プレート駆動用連結部の形状は同じでも異なっていてもよい。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のコンテナであって、前記排出機構の前記回動軸を回動させる傾動プレート駆動部及び/又は前記排出補助プレートの前記補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)排出機構の回動軸を回動させる傾動プレート駆動部及び/又は排出補助プレートの補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部を備えることにより、別途、傾動プレート駆動部や補助プレート駆動部を用意する必要がなく、コンテナ単体で運搬対象物の排出作業を行うことができ、操作性、使用性に優れる。
【0018】
ここで、傾動プレート駆動部及び補助プレート駆動部としては、前述の電動モータや油圧モータ等が好適に用いられる。傾動プレート駆動部及び補助プレート駆動部はコンテナの底部等に搭載することができる。傾動プレート駆動部及び補助プレート駆動部として油圧モータを用い、その駆動力を歯車を介して排出機構の回動軸及び排出補助プレートの補助プレート回動軸に伝達する構造は、コンパクト性に優れる。
尚、共通の駆動部で排出機構の回動軸又は排出補助プレートの補助プレート回動軸を選択的に駆動することもできる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のコンテナであって、一端が前記収容部の底部に連結され他端が前記排出機構の各々の傾動プレートの裏面側に連結されて伸縮する伸縮駆動部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)一端が収容部の底部に連結され他端が排出機構の各々の傾動プレートの裏面側に連結されて伸縮する伸縮駆動部を備えることにより、傾動プレートを直接、傾動させることができ、傾動プレートの傾動動作の確実性、安定性に優れる。
ここで、伸縮駆動部としてはコンパクトで駆動力の大きな油圧シリンダ等が好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1のコンテナを搭載したコンテナ車の模式斜視図
図2】実施の形態1のコンテナの模式側面図
図3図2のA−A線矢視模式断面図
図4図2のB−B線矢視模式断面図
図5】(a)実施の形態1のコンテナにおける排出機構の回動軸を示す要部断面模式平面図 (b)実施の形態1のコンテナにおける排出機構の回動軸を示す要部模式背面図
図6】実施の形態1のコンテナの一方の排出口を開放した状態を示す要部模式断面図
図7】実施の形態1のコンテナの一方の排出補助プレートを回動させた状態を示す要部模式断面図
図8】実施の形態1のコンテナの排出機構の一方の傾動プレートを傾動させた状態を示す要部模式断面図
図9】実施の形態1のコンテナの他方の排出口を開放した状態を示す要部模式断面図
図10】実施の形態1のコンテナの他方の排出補助プレートを回動させた状態を示す要部模式断面図
図11】実施の形態1のコンテナの排出機構の他方の傾動プレートを傾動させた状態を示す要部模式断面図
図12】実施の形態2のコンテナにおける排出機構の回動軸及び排出補助プレートの補助プレート回動軸を示す要部断面模式平面図
図13】(a)実施の形態2のコンテナにおける排出補助プレートの補助プレート回動軸の駆動状態を示す要部断面模式平面図 (b)実施の形態2のコンテナにおける排出機構の回動軸の駆動状態を示す要部断面模式平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるコンテナについて、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1のコンテナを搭載したコンテナ車の模式斜視図である。
図1中、1は実施の形態1におけるコンテナ、30は実施の形態1のコンテナ1を搭載したコンテナ車である。
コンテナ車30に搭載されるコンテナ1は固定式でも着脱式でもよい。
次に、実施の形態1のコンテナの詳細について説明する。
図2は実施の形態1のコンテナの模式側面図であり、図3図2のA−A線矢視模式断面図であり、図4図2のB−B線矢視模式断面図である。
図2中、2はコンテナ1の収容部、2aは収容部2の底部、2bは収容部2の前面壁、2cは収容部2の後面壁、2dは収容部2の左の側壁、2fは収容部2の天井開口部、3a,3bは収容部2の左の側壁2dの底部2a側の前後2箇所に形成された排出口、4a,4bは各々の排出口3a,3bに開閉自在に覆設された開閉蓋、5は各々の開閉蓋4a,4bを側壁2dに回動自在に保持する蝶番である。
図3中、3c,3dは排出口3a,3bと対向して収容部2の右の側壁2eの底部2a側の前後2箇所に形成された排出口、4c,4dは開閉蓋4a,4bと同様に蝶番5によって側壁2eに回動自在に保持され各々の排出口3c,3dに開閉自在に覆設された開閉蓋である。
【0022】
次に、実施の形態1のコンテナの内部構造について説明する。
図3及び図4中、6は収容部2の底部に配設されたコンテナ1の排出機構、6a,6bはステンレス等の金属で矩形板状に形成され収容部2の底部2aに敷設された排出機構6の左右一対の傾動プレート、7は各々の傾動プレート6a,6bの外側部に収容部2の長手方向と平行に配設され収容部2に回動自在に軸支された排出機構6の回動軸、8はゴムや合成樹脂で形成され排出機構6の左右一対の傾動プレート6a,6bの回動軸7と対向する辺同士を連結する軟質性のシート部、9a,9bはステンレス等の金属で横幅が傾動プレート6aより幅狭の矩形板状に形成され傾動プレート6aの上面側に回動自在に敷設されて左の側壁2dの前後2箇所の排出口3a,3bの外に傾倒可能な左側の2枚の排出補助プレート、9c,9dはステンレス等の金属で横幅が傾動プレート6bより幅狭の矩形板状に形成され傾動プレート6bの上面側に回動自在に敷設されて右の側壁2eの前後2箇所の排出口3c,3dの外に傾倒可能な右側の2枚の排出補助プレート、10は排出補助プレート9a〜9dの一側部に配設され傾動プレート6a,6bの回動軸7の外側で収容部2に回動自在に軸支された左右の補助プレート回動軸、11は傾動プレート6a,6bと排出補助プレート9a〜9dとの隙間や段差を埋めるために左右の傾動プレート6a,6bの回動軸7の外側に敷設されたゴムシートである。
【0023】
コンテナ1の収容部2が天井開口部2fを有することにより、収容部2全体に各種の運搬対象物を容易に収容することができる。
本実施の形態では、収容部2の左右の側壁2d,2eに前後2箇所ずつ計4箇所の排出口3a〜3dを形成したが、収容部2の全長等に応じて、排出口の分割数をさらに増やしてもよいし、各々の側壁2d,2eのほぼ全長にわたって排出口を1つずつ形成してもよい。その場合、排出補助プレートの数(分割数)は排出口の数に合わせて形成される。
開閉蓋4a〜4dは排出口3a〜3dを開閉できるものであればよいが、排出作業時以外は開かないようにロック機構(図示せず)を備えたものが用いられる。また、開閉蓋4a〜4dは本実施の形態のように蝶番5等により回動させて開閉するものが好適に用いられるが、上下方向にスライドさせて開閉させるものでもよい。尚、開閉蓋4a〜4dの周縁部にパッキンを設けることにより、排出口3a〜3dの密閉性に優れる。
【0024】
次に、実施の形態1のコンテナの傾動プレートの詳細について説明する
図5(a)は実施の形態1のコンテナにおける排出機構の回動軸を示す要部断面模式平面図であり、図5(b)は実施の形態1のコンテナにおける排出機構の回動軸を示す要部模式背面図である。
図5中、7aは排出機構6の各々の回動軸7の後面壁2c側の端部に四角柱状に形成され回動軸7を回動させる油圧モータ等の傾動プレート駆動部が着脱自在に連結される傾動プレート駆動用連結部、12a,12bは収容部2の前面壁2b側及び後面壁2c側に配設され排出機構6の各々の回動軸7の両端部を回動自在に軸支する軸受部である。
【0025】
図4に示したように、排出機構6の二枚(左右一対)の傾動プレート6a,6bは一部(収容部2の幅方向中央部)が重なるようにして収容部2の底部2aに観音開き状に敷設される。また、図5(a)に示したように、排出機構6の各々の回動軸7の両端部が収容部2の前面壁2b側及び後面壁2c側の軸受部12a,12bで回動自在に軸支されている。そして、各々の回動軸7の後面壁2c側の端部に四角柱状の凸部からなる傾動プレート駆動用連結部7aが形成されているので、油圧モータ等の傾動プレート駆動部の駆動軸の端部に、傾動プレート駆動用連結部7aと嵌合する凹部を形成しておき、必要に応じて収容部2の外部から連結することにより、各々の回動軸7を回動させて排出機構6の左右の傾動プレート6a,6bをそれぞれ傾動させることができる。
尚、傾動プレート駆動用連結部7aは回動軸7を回動させる傾動プレート駆動部が着脱自在に連結できるものであればよく、回動軸7に凹部を形成し、傾動プレート駆動部として使用する油圧モータ等の駆動軸の端部に凸部を形成してもよい。また、凸部と凹部の形状は互いに嵌合して空回りしない形状であればよく、四角形状以外に六角形状等の多角形状に形成してもよい。さらに、回動軸7及び駆動軸の各々の端部に歯車を固設し、噛合させて動力を伝達させてもよい。
【0026】
次に、実施の形態1のコンテナの排出補助プレートの詳細について説明する
図3に示したように、左右の排出補助プレート9a〜9dは、前後2枚ずつに分割されているが、左の排出補助プレート9a,9b及び右の排出補助プレート9c,9dはそれぞれ共通の1本の補助プレート回動軸10で連結されている。
よって、左右の各々の補助プレート回動軸10は、図5(a),(b)に示した排出機構6の回動軸7と同様に、両端部を収容部2の前面壁2b側及び後面壁2c側に配設される軸受部で回動自在に軸支することができる。また、排出補助プレート9a〜9dの補助プレート回動軸10の後面壁2c側の端部には、傾動プレート駆動用連結部7aと同様の補助プレート駆動用連結部を形成することができ、必要に応じて収容部2の外部から油圧モータ等の補助プレート駆動部を連結することにより、各々の補助プレート回動軸10を回動させて左の排出補助プレート9a,9b及び右の排出補助プレート9c,9dをそれぞれ回動させることができる。
尚、傾動プレート6a,6bの背面側中央部にバイブレータ(図示せず)を設けてもよい。
【0027】
以上のように構成された実施の形態1のコンテナの動作について説明する。
図6は実施の形態1のコンテナの一方の排出口を開放した状態を示す要部模式断面図であり、図7は実施の形態1のコンテナの一方の排出補助プレートを回動させた状態を示す要部模式断面図であり、図8は実施の形態1のコンテナの排出機構の一方の傾動プレートを傾動させた状態を示す要部模式断面図であり、図9は実施の形態1のコンテナの他方の排出口を開放した状態を示す要部模式断面図であり、図10は実施の形態1のコンテナの他方の排出補助プレートを回動させた状態を示す要部模式断面図であり、図11は実施の形態1のコンテナの排出機構の他方の傾動プレートを傾動させた状態を示す要部模式断面図である。
図6乃至図10中、20はコンテナ1の収容部2に収容された粉粒体等の運搬対象物である。
まず、収容部2のほぼ全体に運搬対象物20が収容された図4の状態から、実施の形態1のコンテナ1の一方(左側)の排出口3a,3b(図3参照)を開放すると、収容部2に収容された運搬対象物20が自然落下により排出されるが、安息角以下の運搬対象物20が落下せずに残り、図6に示すような状態となる。
【0028】
次に、図6の状態から左の補助プレート回動軸10に、先に説明したように補助プレート駆動部を連結して回動させ、排出補助プレート9a,9bを排出口3a,3b(図3参照)の外に傾倒させると、排出補助プレート9a,9b上に堆積した運搬対象物20が排出口3a,3bから排出されると共に、傾動プレート6a上に堆積していた運搬対象物20の山の一部を崩して排出口3a,3b側に移動させて排出することができ、図7に示すような状態となる。
次に、図7の状態から左の回動軸7に、先に説明したように傾動プレート駆動部を連結して回動させ、傾動プレート6aを所定の角度だけ収容部2の外方(左側)に傾動させると、傾動プレート6a上に堆積していた運搬対象物20が排出口3a,3bから排出される。このとき、排出機構6の左右の傾動プレート6a,6bの回動軸7と対向する辺同士がシート部8で連結されていることにより、運搬対象物20が傾動プレート6aと傾動プレート6bとの隙間から収容部2の底部2a側に落下することがなく、残りの運搬対象物20を傾動プレート6b上に堆積させることができ、図8に示すような状態となる。
【0029】
次に、図8の状態からコンテナ1の他方(右側)の排出口3c,3d(図3参照)を開放すると、傾動プレート6b上に堆積していた運搬対象物20の一部(右側)が自然落下により排出されるが、安息角以下の運搬対象物20が落下せずに残り、図9に示すような状態となる。
次に、図9の状態から右の補助プレート回動軸10に、先に説明したように補助プレート駆動部を連結して回動させ、排出補助プレート9c,9dを排出口3c,3d(図3参照)の外に傾倒させると、排出補助プレート9c,9d上に堆積した運搬対象物20が排出口3c,3dから排出されると共に、傾動プレート6b上に堆積していた運搬対象物20の山の一部を崩して排出口3c,3d側に移動させて排出することができ、図10に示すような状態となる。
次に、図10の状態から排出機構6の右の回動軸7に、先に説明したように傾動プレート駆動部を連結して回動させ、傾動プレート6bを収容部2の外方(右側)に傾動させると、傾動プレート6b上に堆積していた運搬対象物20が排出口3c,3dから徐々に排出される。このとき右の傾動プレート6bの傾動に合わせて、左の傾動プレート6aも収容部2の外方(左側)に傾動させることにより、シート部8上に運搬対象物20が残ることがなく、図11に示すようにほぼ全ての運搬対象物20を効率的に排出することができる。
尚、排出作業時に、必要に応じて、傾動プレート6a,6bの背面側に取付けたバイブレータで傾動プレート6a,6bを振動させることにより、傾動プレート6a,6bの表面に付着した運搬対象物20を確実に落下させることができ、清掃が容易でメンテナンス性にも優れる。
【0030】
排出補助プレート9a〜9dは排出口3a〜3dよりも小さめの寸法に形成することにより、排出作業時に排出口3a〜3dの外に傾倒させることができる。また、排出作業終了後に、図11の状態から排出機構6の各々の回動軸7を傾動プレート駆動部で逆回転させ、先に収容部2の底部2a側に倒した後、排出補助プレート9a〜9dの補助プレート回動軸10を補助プレート駆動部で逆回転させることにより、排出補助プレート9a〜9dを収容部2の内側に倒して傾動プレート6a,6bの上面側に戻すことができる。
尚、排出補助プレート9a〜9dの横幅(収容部2の長手方向と直交する方向の長さ)は、傾動プレート6a,6bの横幅(収容部2の長手方向と直交する方向の長さ)の1/5〜1/2に形成した。排出補助プレート9a〜9dの横幅が傾動プレート6a,6bの横幅の1/5より狭くなるにつれ、排出補助プレート9a〜9d上に堆積する運搬対象物の量が減少し、排出補助プレート9a〜9d上の運搬対象物を排出しても傾動プレート6a,6b上の運搬対象物の堆積状態が変化し難く、傾動プレート6a,6bを傾動させることが困難になる傾向があり、1/2より広くなるにつれ、排出補助プレート9a〜9d上に堆積する運搬対象物の量が増加し、排出補助プレート9a〜9dを回動させることが困難になって排出性が低下する傾向があり、いずれも好ましくないことがわかったためである。
また、図6乃至図11に示したように、排出補助プレート9a〜9dを排出口3a〜3dの外に傾倒させた際に、排出口3a〜3dの開閉蓋4a〜4dを回動自在に保持する蝶番5が排出補助プレート9a〜9dで覆われるようにすることにより、蝶番5への運搬対象物20の接触や付着を防止することができ、メンテナンス性、耐久性に優れる。
尚、排出機構6の傾動プレート6a,6bのみで運搬対象物20の排出が可能な場合は、左右の排出補助プレート9a〜9dを省略してもよい。また、運搬対象物20の種類によっては、シート部8を取外してもよい。
本実施の形態では、傾動プレート6a,6b及び排出補助プレート9a〜9dの駆動時のみ傾動プレート駆動部及び補助プレート駆動部を収容部2の外部から連結する構造としたが、傾動プレート駆動部及び補助プレート駆動部は回動軸7及び補助プレート回動軸10に連結した状態でコンテナ1に搭載してもよい。また、傾動プレート駆動部として、回動軸7の端部に連結される油圧モータ等の代わりに、収容部2の底部2aと排出機構6の各々の傾動プレート6a,6bの裏面側を連結して伸縮する油圧シリンダ等の伸縮駆動部を用いて、傾動プレート6a,6bを直接、傾動させるようにしてもよい。この場合、回動軸7の代わりに各々の傾動プレート6a,6bの外側の前端及び後端に円柱状の突起部(軸支部)を設け、収容部2の前面壁2b側及び後面壁2c側の軸受部で軸支してもよい。
【0031】
以上説明したように、実施の形態1におけるコンテナによれば、以下の作用を有する。
(1)収容部の左右の側壁の底部側に形成された排出口と、排出口に開閉自在に覆設された開閉蓋を有するので、開閉蓋を開くだけで多くの粉粒体等の運搬対象物を排出口から排出することができ、排出作業性に優れる。
(2)収容部の底部に敷設された左右一対の傾動プレートと各々の傾動プレートの外側部に収容部の長手方向と平行に配設され収容部の両側部に回動自在に軸支される回動軸とを有する排出機構を備えることにより、各々の傾動プレートを回動軸を中心に収容部の外方(側壁側)に傾動させるだけで、収容部に残留したほとんどの運搬対象物が傾動プレート上を側壁側に向かって移動し、排出口から排出されるので、フォークリフト等を用いることなく、短時間で確実かつ効率的に運搬対象物を収容部の外部に排出することができ、排出作業の効率性、省力性に優れる。
(3)左右一対の傾動プレートの回動軸と対向する辺同士を連結するシート部を有することにより、各々の傾動プレートを傾動させた際に、左右の傾動プレートの間がシート部で塞がれ、隙間が発生しないので、運搬対象物が傾動プレートの下(収容部の床面)に落下することがなく、排出口から確実に排出させることができ、排出作業後に傾動プレート上に残った運搬対象物も容易に回収することができ、メンテナンス性に優れる。
(4)排出機構の左右一対の傾動プレートが収容部の底部に敷設されているだけなので、粉粒体以外の運搬対象物を収容する際にも傾動プレートが邪魔になることはなく、汎用性、取扱い性に優れる。
(5)収容部の底部に敷設された傾動プレートを傾動させることにより粉粒体等の運搬対象物を排出するので、運搬対象物の収容高さに制約を受けることがなく、運搬収容部の容積全体を有効利用して大量の運搬対象物を収容、運搬することができ、運搬の効率性に優れる。
(6)排出機構の各々の傾動プレートの回動軸の端部に形成され回動軸を回動させる傾動プレート駆動部が着脱自在に連結される傾動プレート駆動用連結部を有するので、傾動プレートを駆動する時だけ外部から傾動プレート駆動部を連結して確実に傾動プレートを駆動することができ、コンテナに傾動プレート駆動部を搭載する必要がなく、既存のコンテナを改造して使用することもでき、コンテナが大型化せず、取扱い性に優れる。
(7)傾動プレートの背面側に取付けられたバイブレータを有する場合、排出作業時に必要に応じて傾動プレートを振動させることにより、傾動プレートの表面に付着した運搬対象物を確実に落下させることができ、排出作業性に優れると共に、清掃が容易でメンテナンス性にも優れる。
(8)排出機構の傾動プレートより幅狭に形成され外側部に収容部の長手方向と平行に配設された補助プレート回動軸を有し各々の傾動プレートの上面側に回動自在に敷設されて各々の排出口の外に傾倒可能な排出補助プレートを有するので、傾動プレート上に多量の運搬対象物が堆積し、傾動プレートを傾動させることが困難な場合でも、傾動プレートより面積が小さな排出補助プレートを先に回動させて排出補助プレート上に堆積した運搬対象物を持ち上げることにより、傾動プレート上に堆積していた運搬対象物の山の一部を崩して排出口側に移動させて排出することができ、排出作業性に優れる。
(9)排出補助プレートを回動させて傾動プレート上に堆積した運搬対象物の一部を排出することにより、傾動プレート上の運搬対象物の堆積量を減らして傾動プレートを確実に傾動させることができ、フォークリフト等を用いることなく、残りの運搬対象物を短時間でスムーズに排出口から排出することができ、排出作業の効率性、省力性に優れる。
(10)回動させた排出補助プレートが排出口の外に傾倒可能なので、傾動プレートを傾動させて運搬対象物を排出する際に、排出補助プレートが邪魔になることがなく、運搬対象物を排出補助プレートで案内して排出口から確実かつスムーズに排出することができ、排出の効率性に優れる。
(11)排出補助プレートの補助プレート回動軸の端部に形成され補助プレート回動軸を回動させる補助プレート駆動部が着脱自在に連結される補助プレート駆動用連結部を有するので、排出補助プレートを駆動する時だけ外部から補助プレート駆動部を連結して確実に排出補助プレートを駆動することができ、コンテナに補助プレート駆動部を搭載する必要がなく、既存のコンテナを改造して使用することもでき、コンテナが大型化せず、取扱い性に優れる。
【0032】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるコンテナについて説明する。尚、実施の形態1と同様のものは同一の符号を付して説明を省略する。
図12は実施の形態2のコンテナにおける排出機構の回動軸及び排出補助プレートの補助プレート回動軸を示す要部断面模式平面図である。
図12において、実施の形態2におけるコンテナの排出機構6Aが実施の形態1と異なるのは、排出機構6Aの回動軸7と排出補助プレート9a〜9dの補助プレート回動軸10が蝶番のように同一軸線上に配置され、回動軸7及び補助プレート回動軸10の端部にそれぞれ歯車が固設されて傾動プレート駆動用連結部7b及び補助プレート駆動用連結部10bが形成されている点である。
【0033】
以上のように構成された実施の形態2のコンテナにおける排出機構の動作について説明する。
図13(a)は実施の形態2のコンテナにおける排出補助プレートの補助プレート回動軸の駆動状態を示す要部断面模式平面図であり、図13(b)は実施の形態2のコンテナにおける排出機構の回動軸の駆動状態を示す要部断面模式平面図である。
図13中、40は傾動プレート駆動部と補助プレート駆動部を兼用する油圧モータ等の駆動軸、41は駆動軸40の先端に固設され傾動プレート駆動用連結部7b又は補助プレート駆動用連結部10bに選択的に噛合する内歯車を備えた噛合部である。
まず、図13(a)に示すように、駆動軸40の噛合部41を補助プレート駆動用連結部10bに噛合させ駆動軸40を回動させることにより、補助プレート回動軸10と共に排出補助プレート9a〜9dを回動させることができる。
次に、駆動軸40をさらに差込むと、図13(b)に示すように、噛合部41を回動軸7に噛合させることができ、駆動軸40を回動させることにより、回動軸7と共に傾動プレート6a,6bを傾動させることができる。
以上のように、駆動軸40の噛合部41を傾動プレート駆動用連結部7b又は補助プレート駆動用連結部10bに選択的に噛合させ、駆動軸40を回動させることにより、傾動プレート6a,6bの傾動及び排出補助プレート9a〜9dの回動を行って、実施の形態1と同様の排出作業を行うことができる。
【0034】
尚、駆動軸40は回動軸7又は補助プレート回動軸10を選択的に回動させることができればよく、噛合部41の構造は本実施の形態に限定されるものではない。また、傾動プレート駆動用連結部7b及び補助プレート駆動用連結部10bを実施の形態1の傾動プレート駆動用連結部7aと同様の四角形状や六角形状等の多角形状に形成し、駆動軸40の先端に傾動プレート駆動用連結部7b及び補助プレート駆動用連結部10bの各々と嵌合する嵌合部を形成してもよい。
本実施の形態では、傾動プレート6a,6b及び排出補助プレート9a〜9dの駆動時のみ傾動プレート駆動部と補助プレート駆動部を兼用する油圧モータ等の駆動軸40を収容部2の外部から連結する構造としたが、油圧モータを用いた駆動部はコンテナ1の収容部2の底部等に搭載することができ、その駆動力を歯車を介して排出機構6の回動軸7及び排出補助プレート9a〜9dの補助プレート回動軸10に伝達する構造にすれば、動作の確実性、コンパクト性に優れ、別途、駆動部を用意する必要がなく、コンテナ1単体で運搬対象物20の排出作業を行うことができ、操作性、使用性に優れる。
【0035】
以上のように構成された実施の形態2におけるコンテナによれば、実施の形態1で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用が得られる。
(1)各々の排出補助プレートの補助プレート回動軸が排出機構の各々の回動軸と同一軸線上で収容部に回動自在に軸支されることにより、省スペース性に優れると共に、排出補助プレートを回動させて排出口の外に傾倒させた際にも、排出補助プレートと傾動プレートの間に段差や隙間が発生し難く、運搬対象物の排出の確実性、効率性に優れる。
(2)傾動プレート駆動用連結部と補助プレート駆動用連結部を同一軸線上の前後に配置することができるので、回動軸又は補助プレート回動軸を回動させる駆動軸との嵌合位置或いは噛合位置に応じて、傾動プレート又は排出補助プレートを選択的に駆動させることができ、傾動プレート駆動部と補助プレート駆動部を共通化することができ、汎用性、操作性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、収容部に収容した粉粒体等の運搬対象物を荷下ろしする際にフォークリフト等を用いることなく、短時間で確実かつ効率的に外部に排出することができ、排出作業の効率性、省力性に優れ、排出作業後に収容部に残留する運搬対象物の量が極めて少なく、運搬対象物を無駄なく効率的に回収することができ、メンテナンス性、運搬の信頼性に優れると共に、運搬収容部の容積全体を有効利用して大量の運搬対象物を収容、運搬することができ、運搬の効率性に優れるだけでなく、粉粒体以外の土砂や鉱石等の運搬対象物も収容することができ、汎用性、取扱い性に優れるコンテナの提供を行い、コンテナの運搬技術の向上、普及に貢献することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 コンテナ
2 収容部
2a 底部
2b 前面壁
2c 後面壁
2d,2e 側壁
2f 天井開口部
3a,3b,3c,3d 排出口
4a,4b,4c,4d 開閉蓋
5 蝶番
6,6A 排出機構
6a,6b 傾動プレート
7 回動軸
7a,7b 傾動プレート駆動用連結部
8 シート部
9a,9b,9c,9d 排出補助プレート
10 補助プレート回動軸
10b 補助プレート駆動用連結部
11 ゴムシート
12a,12b 軸受部
20 運搬対象物
30 コンテナ車
40 駆動軸
41 噛合部
【要約】
【課題】収容部に収容した運搬対象物を短時間で確実に外部に排出でき排出作業の効率性、省力性に優れ、排出作業後に収容部に残留する運搬対象物の量が極めて少なく運搬対象物を無駄なく効率的に回収できメンテナンス性、運搬の信頼性に優れると共に、運搬収容部の容積全体を有効利用して大量の運搬対象物を収容、運搬でき、運搬の効率性に優れるだけでなく粉粒体以外の土砂や鉱石等の運搬対象物も収容でき汎用性、取扱い性に優れるコンテナの提供。
【解決手段】収容部の左右の側壁の底部側に形成された排出口と、排出口に開閉自在に覆設された開閉蓋と、収容部の底部に敷設された左右一対の傾動プレートと各々の傾動プレートの外側部に収容部の長手方向と平行に配設され収容部の両側部に回動自在に軸支される回動軸とを有する排出機構と、排出機構の左右一対の傾動プレートの回動軸と対向する辺同士を連結するシート部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13