【文献】
Bull. Chem. Soc. Jpn.,1986年,59(8),pp.2631-2632
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般的定義
本発明の文脈において、「ハロゲン」(Hal)という用語は、異なった形で定義されない限り、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくはフッ素、塩素および臭素、より好ましくはフッ素および塩素を含む群から選択される要素を包含するものである。
【0020】
置換されていても良い基は、モノ置換または多置換されていても良く、多置換の場合の置換基は同一であっても異なっていても良い。
【0021】
ハロアルキル:1から6個、好ましくは1から3個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基(上記で記載)であって、これらの基における一部または全ての水素が上記で記載のハロゲン原子によって置き換わっていても良いもの。例えば、C
1−C
3−ハロアルキル、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルおよび1,1,1−トリフルオロプロプ−2−イル(これらに限定されるものではない)である。この定義は、別途定義がない限り、複合置換基の一部としてのハロアルキル、例えばハロアルキルアミノアルキルなどにも適用される。好ましくは、1以上のハロゲン原子によって置換されたアルキル基、例えばトリフルオロメチル(CF
3)、ジフルオロメチル(CHF
2)、CF
3CH
2、CF
2ClまたはCF
3CCl
2である。
【0022】
本発明の文脈におけるアルキル基は、異なった形で定義されない限り、直鎖、分岐もしくは環状飽和ヒドロカルビル基である。定義C
1−C
12−アルキルはアルキル基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えばメチル、エチル、n−、イソプロピル、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシルまたはn−ドデシルの意味を包含する。
【0023】
本発明の文脈におけるアルケニル基は、異なった形で定義されない限り、少なくとも一つの単一不飽和(二重結合)を含む直鎖、分岐もしくは環状ヒドロカルビル基である。定義C
2−C
12−アルケニルは、アルケニル基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、ビニル;アリル(2−プロペニル)、イソプロペニル(1−メチルエテニル);ブタ−1−エンイル(クロチル)、ブタ−2−エンイル、ブタ−3−エンイル;ヘキサ−1−エンイル、ヘキサ−2−エンイル、ヘキサ−3−エンイル、ヘキサ−4−エンイル、ヘキサ−5−エンイル;ヘプタ−1−エンイル、ヘプタ−2−エンイル、ヘプタ−3−エンイル、ヘプタ−4−エンイル、ヘプタ−5−エンイル、ヘプタ−6−エンイル;オクタ−1−エンイル、オクタ−2−エンイル、オクタ−3−エンイル、オクタ−4−エンイル、オクタ−5−エンイル、オクタ−6−エンイル、オクタ−7−エンイル;ノナ−1−エンイル、ノナ−2−エンイル、ノナ−3−エンイル、ノナ−4−エンイル、ノナ−5−エンイル、ノナ−6−エンイル、ノナ−7−エンイル、ノナ−8−エンイル;デカ−1−エンイル、デカ−2−エンイル、デカ−3−エンイル、デカ−4−エンイル、デカ−5−エンイル、デカ−6−エンイル、デカ−7−エンイル、デカ−8−エンイル、デカ−9−エンイル;ウンデカ−1−エンイル、ウンデカ−2−エンイル、ウンデカ−3−エンイル、ウンデカ−4−エンイル、ウンデカ−5−エンイル、ウンデカ−6−エンイル、ウンデカ−7−エンイル、ウンデカ−8−エンイル、ウンデカ−9−エンイル、ウンデカ−10−エンイル;ドデカ−1−エンイル、ドデカ−2−エンイル、ドデカ−3−エンイル、ドデカ−4−エンイル、ドデカ−5−エンイル、ドデカ−6−エンイル、ドデカ−7−エンイル、ドデカ−8−エンイル、ドデカ−9−エンイル、ドデカ−10−エンイル、ドデカ−11−エンイル;ブタ−1,3−ジエニルまたはペンタ−1,3−ジエニルの意味を包含する。
【0024】
本発明の文脈におけるアルキニル基は、異なった形で定義されない限り、少なくとも一つの二重不飽和(三重結合)を含む直鎖、分岐もしくは環状ヒドロカルビル基である。定義C
2−C
12−アルキニルは、アルキニル基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、エチニル(アセチレニル);プロプ−1−インイルおよびプロプ−2−インイルの意味を包含する。
【0025】
シクロアルキル:3から8個、好ましくは3から6個の炭素環員を有する単環式の飽和ヒドロカルビル基、例えばシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル(これらに限定されるものではない)。この定義は、別途定義がない限り、複合置換基の一部としてのシクロアルキル、例えばシクロアルキルアルキルなどにも適用される。
【0026】
本発明の文脈におけるアリール基は、異なった形で定義されない限り、1個、2個またはそれより多いO、N、PおよびSから選択されるヘテロ原子を有することができる芳香族ヒドロカルビル基である。定義C
6−18−アリールは、5から18個の骨格原子を有するアリール基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含し、その炭素原子はヘテロ原子に代えることができる。具体的には、この定義は、例えば、フェニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、ナフチルおよびアントラセニル;2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イルおよび1,3,4−トリアゾール−2−イル;1−ピロリル、1−ピラゾリル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イル;3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルおよび1,2,4−トリアジン−3−イルの意味を包含する。
【0027】
本発明の文脈におけるアリールアルキル基(アラルキル基)は、異なった形で定義されない限りアリール基によって置換されており、1個のC
1−8−アルキレン鎖を有することができ、アリール骨格にO、N、PおよびSからの1以上のヘテロ原子を有することができるアルキル基である。定義C
7−19−アラルキル基は、骨格およびアルキレン鎖に合計で7から19個の原子を有するアリールアルキル基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、ベンジルおよびフェニルエチルの意味を包含する。
【0028】
本発明の文脈におけるアルキルアリール基(アルカリール基)は、異なった形で定義されない限り、アルキル基によって置換され、1個のC
1−8−アルキレン鎖を有することができ、アリール骨格でO、N、PおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を有することができるアリール基である。定義C
7−19−アルキルアリール基は、骨格およびアルキレン鎖において合計7から19個の原子を有するアルキルアリール基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、トリルまたは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメチルフェニルの意味を包含する。
【0029】
本発明の文脈で使用される中間体という用語は、本発明による方法で生じ、さらなる化学的処理のために製造され、その処理で消費もしくは使用されて別の物質に変換される物質を説明するものである。中間体は多くの場合、単離および中間的に保存することができるか、その後の反応段階で事前の単離を行うことなく使用される。「中間体」という用語は、多段階反応(段階的反応)で一時的に生じ、反応のエネルギープロファイルにおける極小を割り当てることができる概して不安定で短寿命の中間体も包含する。
【0030】
本発明の化合物は、可能な異なる異性体型の混合物として、特別には立体異性体、例えばEおよびZ異性体、トレオおよびエリトロ異性体および光学異性体の混合物として、しかしながら適切な場合は互変異体の混合物としても存在し得る。EおよびZの両方の異性体が開示および特許請求され、トレオおよびエリトロ異性体、そして光学異性体、これらの異性体の混合物、さらには可能な互変異体型の混合物も開示および特許請求される。
【0032】
図式1:3,5−ビス(ハロアルキル)−ピラゾール−4−カルボン酸誘導体からの3,5−ビス(ハロアルキル)−ピラゾール誘導体の合成
脱カルボキシル化段階を、銅化合物、塩基、適宜に水および適宜に溶媒の存在下に行う。
【0033】
銅化合物は、Cu、Cu
2O、CuO、CuCl、CuIから選択され;好ましいものはCuおよびCu
2Oである。
【0034】
銅化合物の量は広い範囲内で変動可能であり、好ましくはそれは、1当量のピラゾール酸について0.01から1当量の範囲内であり、より好ましくは0.05から0.5当量、最も好ましくは0.05当量である。
【0035】
本発明による方法に使用される塩基は、有機または無機塩基である。単一化合物または異なる化合物の混合物を塩基として用いることができる。無機塩基は、炭酸セシウムおよび炭酸カリウムを含む群から選択される。有機塩基は、キノリン、ピリジン類、アルキルピリジン類、フェナントロリン、N−メチルモルホリン、NMP、DMF、ジメチルアセトアミドを含む群から選択される。好ましいものは、有機塩基の使用である。塩基の混合物を用いることも好ましい。特別に好ましいものは、有機塩基の混合物である。
【0036】
有機塩基の混合物は、例えば二元混合物、三元混合物および四元混合物である。三元混合物は例えば、1,10−フェナントロリン、NMPおよびキノリン;1,10−フェナントロリン、ピリジンおよびNMP;1,10−フェナントロリン、DMFおよびピリジン;1,10−フェナントロリン、キノリンおよびピリジン;1,10−フェナントロリン、キノリンおよびDMF;1,10−フェナントロリン、N−メチルモルホリンおよびキノリン;1,10−フェナントロリンN−メチルモルホリンおよびDMF;1,10−フェナントロリン、N−メチルモルホリンおよびピリジンである。二元混合物は例えば、1,10−フェナントロリンおよびNMP;1,10−フェナントロリンおよびピリジン;1,10−フェナントロリンおよびDMF;1,10−フェナントロリンおよびキノリン;1,10−フェナントロリンおよびN−メチルモルホリン;1,10−フェナントロリンおよびアルキルピリジン類;1,10−フェナントロリンおよびジメチルアセトアミドである。
【0037】
好ましいものは、有機塩基の三元混合物である。好ましいものは、1,10−フェナントロリン、キノリンおよびNMPの混合物である。
【0038】
有機塩基の三元混合物において、いずれか二つの化合物間の体積比は互いに独立に、100:1から1:100、好ましくは50:1から1:50、より好ましくは、25:1から1:25、最も好ましくは15:1から1:15である。
【0039】
本発明に従って使用可能な有機塩基の三元混合物のいずれか二つの化合物間のさらなる体積比は、互いに独立に、100:1から1:100、90:1から1:90、80:1から1:80、70:1から1:70、60:1から1:60、40:1から1:40、30:1から1:30、10:1から1:10、5:1から1:5であり、この順に好ましさが高くなる。
【0040】
有機塩基の三元混合物における好ましい体積比は、1:50:50から1:1:1であり;より好ましくは1:5:20から1:5:5である。
【0041】
特別に好ましくは、1,10−フェナントロリン(A)、キノリン(B)およびNMP(C)の混合物の体積比は1:5:20から1:5:5((A):(B):(C))である。
【0042】
有機塩基の量は、広い範囲で変動可能である。好ましくはそれは、1当量のピラゾール酸について0.1から30当量の範囲内であり、より好ましくは0.5から10当量である。最も好ましくは、6当量の有機塩基である。
【0043】
本発明による方法の反応時間は概して、あまり重要ではなく、反応体積によって決まり得る。好ましくはそれは、3から12時間の範囲内である。
【0044】
本発明による方法の温度は、40から190℃;好ましくは60℃から180℃、より好ましくは80℃から175℃の範囲である。
【0045】
本発明による脱カルボキシル化反応に溶媒を用いても良い。その溶媒は例えば、メシチレンまたはジクロロベンゼンである。溶媒の量は広い範囲内で変動可能である。好ましくはそれは1当量のピラゾール酸に対して0.1から40当量の範囲である。より好ましくは0.2から20当量である。最も好ましくは、本発明による反応は追加の溶媒を用いずに行う。
【0046】
本発明による脱カルボキシル化反応に水を用いても良い。水の量は広い範囲内で変動可能である。好ましくはそれは、1当量のピラゾール酸に対して0.001から0.1当量の範囲内であり、より好ましくは0.02から0.08当量である。
【0047】
脱カルボキシル化は酸性条件下で行うこともできる。この段階に好ましい酸は、H
2SO
4、HCl、HBr、HI、CH
3COOH、CF
3COOH、CF
3SO
3H、CH
3SO
3H、p−トルエンスルホン酸、発煙硫酸、HFである。酸の量は広い範囲内で変動可能である。好ましくはそれは1当量のピラゾール酸に対して0.1から1.5当量の範囲内であり、より好ましくは0.5から1.2当量である。酸性脱カルボキシル化は、好ましくは水中で進行する。酸性脱カルボキシル化は、50から220℃の範囲の温度で、好ましくは70℃から210℃の範囲の温度で、より好ましくは80℃から190℃で行う。反応時間は一般的にはあまり重要ではなく、反応体積によって決まり得る。好ましくはそれは、2から7時間の範囲内である。
【0048】
脱カルボキシル化は塩基性条件下でも行うことができる。好ましい無機塩基は、LiOH、KOH、NaOH、K
2CO
3、Cs
2CO
3、Ba(OH)
2、NH
4OH、n−BuONaである。特別に好ましい塩基は、K
2CO
3およびCs
2CO
3である。塩基の量は広い範囲内であることができる。好ましくはそれは1当量のピラゾール酸に対して0.1および1.5当量の範囲内であり、より好ましくは0.5から1当量である。塩基性脱カルボキシル化は、40から150℃の範囲の温度で、好ましくは50℃から140℃の範囲の温度で、より好ましくは80℃から120℃で行う。反応時間は一般的にはあまり重要ではなく、反応体積によって決まり得る。好ましくはそれは、1から7時間の範囲内である。塩基性条件下での脱カルボキシル化は、NMP、キノリン、ジメチルアセトアミド、1,10−フェナントロリンまたはメシチレンなどの高沸点溶媒の存在下に行っても良い。
【0049】
式(II)の3,5−ビス(ハロアルキル)ピラゾール
【化4】
【0050】
[R
1は、H、C
1−12−アルキル、C
3−8−シクロアルキル、C
6−18−アリール、C
7−19−アリールアルキルまたはC
7−19−アルキルアリール、CH
2CN、CH
2CX
3、CH
2COOH、CH
2COO−(C
1−12)−アルキルから選択され、
Xは互いに独立に、F、Cl、Br、Iであり、
R
2およびR
3は互いに独立に、C
1−C
6−ハロアルキル基から選択され、
R
4は、H、Hal、COOH、(C=O)OR
5、CNおよび(C=O)NR
5R
6から選択され、R
5およびR
6は互いに独立に、C
1−12−アルキル、C
3−8−シクロアルキル、C
6−18−アリール、C
7−19−アリールアルキルおよびC
7−19−アルキルアリールから選択され、またはR
5およびR
6がそれらが結合している窒素原子とともに5員環もしくは6員環を形成している。]は、下記のように製造することができる。
【0051】
段階A)において、式(III)のα,α−ジハロアミン:
【化5】
【0052】
[XはClまたはFであり、R
2、R
5およびR
6は上記に記載の通りである。]を、下記式(IV)の化合物:
【化6】
【0053】
[これらの基はそれぞれ上記で定義の通りである。]と反応させ、段階B)において、生成物を下記式(V)のヒドラジン:
【化7】
【0054】
[R
1は上記の通りである。]と反応させる。
【化8】
【0055】
図式2:式(II)の3,5−ビス(ハロアルキル)ピラゾール類の製造
段階A)において、式(III)のα,α−ジハロアミンを、適宜にルイス酸[L]の存在下に、式(IV)の化合物と反応させる。
【0056】
一般式(III)の化合物は、例えば1,1,2,2−テトラフルオロエチル−N,N−ジメチルアミン(TFEDMA)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−N,N−ジエチルアミン、1,1,2−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)エチル−N,N−ジメチルアミン、1,1,2−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)エチル−N,N−ジエチルアミン(イシカワ試薬)、1,1,2−トリフルオロ−2−クロロエチル−N,N−ジメチルアミンおよび1,1,2−トリフルオロ−2−クロロエチル−N,N−ジエチルアミン(ヤロベンコ試薬)である。
【0057】
一般式(III)の化合物は、アミノアルキル化剤として用いられる。TFEDMAなどのα,α−ジハロアミンおよびイシカワ試薬は市販されているか、製造することができる(Yarovenko et al., Zh. Obshch. Khim. 1959, 29, 2159、Chem. Abstr. 1960, 54, 9724またはPetrov et al., J. Fluor. Chem. 109 (2011)25−31参照)。
【0058】
α,α−ジハロアミンを最初にルイス酸[L]、例えばBF
3、AlCl
3、SbCl
5、SbF
5、ZnCl
2と反応させ、次に式(IV)の化合物および塩基の混合物を実質的に加えるか、好適な溶媒に溶かす(WO2008/022777参照)。
【0059】
その反応は、−20℃から+40℃の温度で、好ましくは−20℃から+30℃の温度で、より好ましくは−10から20℃で、標準圧下に行う。α,α−ジハロアミンの加水分解感受性のため、その反応は不活性ガス雰囲気下に無水装置で行う。
【0060】
反応時間はあまり重要ではなく、バッチ規模および温度に従って、数分から数時間の範囲内で選択可能である。
【0061】
1モルのルイス酸[L]を等モル量の式(III)のα,α−ジハロアミンと反応させる。
【0062】
アミノアルキル化(式(III)の化合物との反応)は好ましくは、塩基の存在下に行う。好ましいものは、トリアルキルアミン類、ピリジン類、アルキルピリジン類、ホスファゼン類および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)などの有機塩基;アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩(Na
2CO
3、K
2CO
3)およびアルコキシド類、例えばNaOMe、NaOEt、NaOt−Bu、KOt−BuまたはKFである。
【0063】
式(IV)の化合物における1モルの塩基を、等モル量の式(III)のα,α−ジハロアミンと反応させる。
【0064】
好ましいのは、4,4,4−トリフルオロ−3−オキソブタン酸エチル類、4,4,4−トリフルオロ−3−オキソブタン酸メチル類、4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル類、4−クロロ−4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル類、1,1,1−トリフルオロアセトンまたは4−クロロ−4,4−ジフルオロ−3−オキソブタンニトリル類を含む群から選択される式(IV)のケト化合物の使用である。
【0065】
前記式(IV)のケト化合物は市販されているか、文献に記載の手順に従って製造することができる。
【0066】
好適な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素類、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリンおよびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−またはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類またはスルホランなどのスルホン類である。特に好ましいものは、例えばTHF、アセトニトリル類、エーテル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンであり、例えばアセトニトリル、THF、エーテルまたはジクロロメタンが非常に特に好ましい。
【0067】
式(VII)の中間体を、事前の後処理を行わずに一般式(V)のヒドラジン類との環化段階B)で用いる。
【0068】
別法として、式(VII)の中間体を単離し、好適な後処理段階および適宜にさらなる精製によって特性決定することができる。
【0069】
段階B)における環化は、−40℃から80℃の温度で、好ましくは−10℃から60℃の温度で、より好ましくは−10℃から50℃で、標準圧下に行う。
【0070】
反応時間はあまり重要ではなく、バッチ規模に応じて、比較的広い範囲内で選択することができる。
【0071】
代表的には、環化段階B)は溶媒を変えずに行う。
【0072】
1モルの式(IV)の化合物当たり1から2モル、好ましくは1から1.5モルの式(V)のヒドラジンを用いる。
【0073】
好ましくは、当該方法の全ての反応段階を同一溶媒中で行う。
【0074】
前記式(V)のヒドラジンは市販されているか、例えばNiedrich et al., Journal fuer Praktische Chemie (Leipzig)(1962), 17 273−81;Carmi、A.; Pollak、 Journal of Organic Chemistry(1960), 25 44−46に記載の方法に従って製造することができる。
【0075】
好適な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリンおよびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどのアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−またはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類またはスルホランなどのスルホン類である。特に好ましいものは、例えばアセトニトリル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンであり、非常に特に好ましくは、例えばアセトニトリル類、THF、トルエンまたはキシレンである。その反応が終了後、例えば、溶媒を除去し、生成物を除去し、生成物を濾過によって単離し、または生成物を最初に水で洗浄し、抽出し、有機相を除去し、溶媒を減圧下に除去する。
【0076】
次に、R
4=COOR
5である式(II)の化合物を、R
4=COOHである式(IIa)のピラゾール酸に変換することができる。
【0077】
その変換は通常、酸性条件下または塩基性条件下で行う。
【0078】
酸性加水分解の場合、好ましいものは、鉱酸、例えばH
2SO
4、HCl、HSO
3Cl、HF、HBr、HI、H
3PO
4または有機酸、例えばCF
3COOH、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。その反応は、触媒、例えばFeCl
3、AlCl
3、BF
3、SbCl
3、NaH
2PO
4を加えることで加速することができる。その反応は同様に、水のみ中で、酸を加えずに行うことも可能である。
【0079】
塩基性加水分解は、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えばNa
2CO
3、K
2CO
3およびアルカリ金属酢酸塩、例えばNaOAc、KOAc、LiOAcおよびアルカリ金属アルコキシド類、例えばNaOMe、NaOEt、NaOt−Bu、KOt−Buなどの無機塩基の存在下に、トリアルキルアミン類、アルキルピリジン類、ホスファゼン類および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)などの有機塩基の存在下に行う。好ましいものは、無機塩基、例えばNaOH、KOH、Na
2CO
3またはK
2CO
3である。
【0080】
その工程段階は、好ましくは20℃から150℃の温度範囲内で、より好ましくは30℃から110℃の温度で、最も好ましくは30℃から80℃で行う。
【0081】
その工程段階は、通常は標準圧下で行う。しかしながら別法として、減圧下または加圧下で行うことも可能である(例えば、オートクレーブでのHCl水溶液との反応)。
【0082】
反応時間は、バッチ規模および温度に応じて、1時間から数時間の範囲内で選択することができる。
【0083】
その反応段階は、実質的にまたは溶媒中で行うことができる。好ましくは、その反応は溶媒中で行う。好適な溶媒は、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどのアルコール類、脂肪族および芳香族炭化水素、例えばn−ヘキサン、ベンゼンまたはトルエン(これらは、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼンのようにフッ素および塩素原子によって置換されていても良い。);エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメチルグリコール、ジメトキシエタン(DME)またはTHF;メチルニトリル、ブチルニトリルまたはフェニルニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド(DMF)またはN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類またはそのような溶媒の混合物を含む群から選択され、特に好ましくは水、アセトニトリル、ジクロロメタンおよびアルコール類(エタノール)である。
【0084】
実施例
実施例1
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール
【化9】
【0085】
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(8.60mmol、2.1g)、Cu
2O(65mg、0.45mmol)、1,10−フェナントロリン(176mg、0.90mmol)およびNMP(15mL)、キノリン(5mL)およびH
2O(2滴)を160℃で10時間加熱した。反応混合物を水で希釈し、生成物をジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を1M HCl溶液で洗浄した。有機相を脱水し、大気圧下にビグロウカラムを用いて溶媒を除去した。生成物であるN−メチル−5−トリフルオロメチル−3−ジフルオロメチルピラゾール(0.85g、4.25mmol、50%)を減圧蒸留によって精製した(沸点:45から46℃/27mbar)。
【0086】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=6.84(s、1H)、6.66(t、1H、CHF
2、J
H−F=55Hz)、4.02(s、3H、N−CH
3)ppm。
【0087】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=145.6(t、J
C−F=30Hz)、133.3(q、J
C−F=39.6Hz)、119.5(q、CF
3、J
C−F=267.2Hz)、110.3(t、CHF
2、J
C−F=233.2Hz)、105.2(q、J
C−F=2Hz)、38.3(q、N−CH3、J
C−F=1.6Hz)ppm。
【0088】
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−61.5(CF
3)、−113.0(CHF
2)ppm。
【0089】
実施例2から7はいずれも、実施例1のプロトコールに従って製造した。
【0090】
実施例2
3,5−ビス(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール
【化10】
【0091】
収率78%、油状物、沸点=78−80℃、28mbar。
【0092】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=6.73(t、1H、CHF
2、J
H−F=53.4Hz)、6.69(s、1H)、6.66(t、1H、CHF
2、J
H−F=54.9Hz)、4.01(s、3H、N−CH
3)ppm。
【0093】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=145.6(t、J
C−F=30Hz)、136.5(t、J
C−F=26.6Hz)、110.6(t、CHF
2、J
C−F=234.1Hz)、108.2(t、CHF
2、J
C−F=236.5Hz)、104.7(m)、38.1(s、N−CH
3)ppm。
【0094】
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−112.5(CHF
2、J
F−H=54.9Hz)、−113.7(CHF
2、J
F−H=53.3Hz)ppm。
【0095】
実施例3
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−5−(ペンタフルオロエチル)−1H−ピラゾール
【化11】
【0096】
収率63%。油状物、沸点=53−54℃、28mbar。
【0097】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=6.84(s、1H、H芳香族)、6.67(t、1H、CHF
2、J
H−F=54.8Hz)、4.05(s、3H、N−CH
3)ppm。
【0098】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=146.0(t、J
C−F=30.1Hz)、131.2(t、J
C−F=28.9Hz)、118.5(qt、CF
2−CF
3、J
1C−F=285.7Hz、J
2C−F=37.3Hz)、110.2(t、CHF
2、J
C−F=234.8Hz)、109.8(tq、CF
2−CF
3、J
1C−F=252.7Hz、J
2C−F=40.6Hz)、106.9(brs)、39.2(brs、N−CH
3)ppm。
【0099】
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−84.4(CF
2CF
3)、−111.1(CF
2CF
3)、−113.0(CHF
2、J
F−H=54.8Hz)ppm。
【0100】
実施例4
3−(ジフルオロメチル)−1−フェニル−5−(ペンタフルオロエチル)−1H−ピラゾール
【化12】
【0101】
収率88%、ペンタン/Et
2O95:5混合物を用いるSiO
2でのカラムクロマトグラフィーによって単離。
【0102】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=7.54−7.43(m、5H)、7.03(brs、1H)、6.76(t、1H、CHF
2、J
H−F=54.6Hz)ppm。
【0103】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=147.4(t、J
C−F=30.4Hz)、139.1(s)、132.4(t、J
C−F=28.1Hz)、130.2(s、)、129.1(s、CHフェニル)、126.7(s)、118.5(qt、CF
2−CF
3、J
1C−F=286.3Hz、J
2C−F=36.8Hz)、110.4(t、CHF
2、J
C−F=235.3Hz)、109.5(tq、CF
2−CF
3、J
1C−F=252.0Hz、J
2C−F=40.4Hz)、107.5(brs)ppm。
【0104】
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−83.9(CF
2CF
3)、−107.1(CF
2CF
3)、−113.0(CHF
2、J
F−H=54.6Hz)ppm。
【0105】
実施例5
3−(ジフルオロメチル)−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール
【化13】
【0106】
収率84%、ペンタン/Et
2O95:5混合物を用いるSiO
2でのカラムクロマトグラフィーによって単離。
【0107】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=7.55−7.48(m、5H)、7.07(brs、1H)、6.78(t、1H、CHF
2、J
H−F=54.6Hz)ppm。
【0108】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=146.9(t、J
C−F=30.5Hz)、138.4(s)、134.2(q、J
C−F=40.0Hz)、130.0(s)、129.3(s、CH)、125.7(s、CH)、119.2(q、CF
3、J
C−F=269.4Hz)、110.4(t、CHF
2、J
C−F=235.1Hz、106.4(brs、CHピラゾール)ppm。
【0109】
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−58.4(CF
3)、−112.9(CHF
2、J
F−H=54.6Hz)ppm。
【0110】
実施例6
1−tert−ブチル−3−(ジフルオロメチル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール
【化14】
【0111】
収率83%、油状物、沸点=68−69℃、32mbar。
【0112】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=6.94(brs、1H、H芳香族)、6.68(t、1H、CHF
2、J
H−F=54.8Hz)、1.69(s、9H、CH
3)ppm。
【0113】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=143.5(t、J
C−F=30.4Hz)、132.7(q、J
C−F=40.1Hz)、119.9(q、CF
3、J
C−F=268.9Hz)、110.8(t、CHF
2、J
C−F=233.9Hz)、108.0(q、J
C−F=3.8Hz)、64.2(s、tBu)、29.8(q、tBuCH
3、J
C−F=2.1Hz)ppm。
【0114】
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ==−55.6(CF
3)、−112.3(CHF
2、J
F−H=54.9Hz)ppm。
【0115】
実施例7
3−(ジフルオロメチル)−5−(ペンタフルオロエチル−1H−ピラゾール
【化15】
【0116】
N−H−5−ペンタフルオロエチル−3−ジフルオロメチルピラゾール、収率44%、油状物、沸点=63−65℃、55mbar。
【0117】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=11.87(brs、1H、NH)、6.87(brs、1H)、6.80(t、1H、CHF
2、J
H−F=54.7Hz)ppm。
【0118】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=141.5(brs、C
IV芳香族)、139.5(brs、C
IV芳香族)、118.4(qt、CF
2−CF
3、J
1C−F=285.4Hz、J
2C−F=37.3Hz)、109.9(tq、CF
2−CF
3、J
1C−F=252.2Hz、J
2C−F=40.1Hz)、108.4(t、CHF
2、J
C−F=238.2Hz)、104.9(brs、CHピラゾール)ppm。
【0119】
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−85.1(CF
2CF
3)、−113.5(CF
2CF
3)、−113.8(CHF
2、J
F−H=54.7Hz)ppm。
【0120】
実施例8
3−(ジフルオロメチル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール
【化16】
【0121】
N−tert−ブチル−3−(ジフルオロメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピラゾール(0.10g、0.41mmol)、アニソール(0.13g、0.14mL、1.23mmol)およびトリフルオロ酢酸(2mL)の混合物を撹拌し、加熱して90℃として16時間経過させた。反応混合物を冷却して環境温度とし、pH=8となるまで水酸化ナトリウム(210mmol、8.4g)の水溶液(水30mL)を加えることで中和した。水層をジエチルエーテルで抽出した(30mLで3回)。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を大気圧で留去した。粗取得物を溶離液としてペンタン/ジエチルエーテル(勾配100:0から50:50)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋なN−H−3−(ジフルオロメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピラゾール(0.47g、2.53mmol、76%)を無色固体として得た。
【0122】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=13.38(brs、1H、N−H)、6.84(s、1H、H芳香族)、6.79(t、1H、CHF
2、J
H−F=54.7Hz)ppm。
【0123】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=141.1(brs、C
IV芳香族、C
1およびC
3)、120.1(q、CF
3、J
C−F=268.8Hz)、108.3(t、CHF
2、J
C−F=238.2Hz)、103.6(d、CH芳香族、J
C−F=1.6Hz)ppm。
【0124】
実施例9
N−メチル−3−ジフルオロメチル−5−トリフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル:
【化17】
【0125】
テフロンフラスコ中アルゴン下に、TFEDMA(0.59mL、5.0mmol)の脱水ジクロロメタン(5mL)中溶液にBF
3・OEt
2(0.62mL、5.0mmol)を加えた。溶液を室温で15分間撹拌してから、ジクロロメタンを減圧下に除去した。残留物を脱水アセトニトリル(5mL)に取った。第2のテフロンフラスコ中、トリフルオロアセト酢酸エチル(0.73mL、5.0mmol)を、フッ化カリウム(0.88g、15.0mmol)の脱水アセトニトリル(10mL)中溶液に加え、混合物を室温で15分間撹拌した。これに−30℃で、第1のフラスコの内容物を滴下した。反応混合物を冷浴で室温とし、終夜撹拌した。メチルヒドラジン(0.32mL、6.0mmol)を室温で滴下し、混合物を終夜撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をペンタン/ジエチルエーテル混合物(9:1から8:2)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。N−メチル−5−トリフルオロメチル−3−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル(0.99g、3.64mmol、73%)を黄色油状物として得た。
【0126】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=7.00(t、1H、CHF
2、J
H−F=54Hz)、4.37(q、2H、CH
2、J=7.2Hz)、4.12(s、3H、N−CH
3)、1.37(t、3H、CH
3、J=7.2Hz)ppm。
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=160.2(CO)、145.7(t、C
IV芳香族、J
C−F=25.6Hz)、133.2(q、C
IV芳香族、J
C−F=40.3Hz)、119.0(q、CF
3、J
C−F=271.2Hz)、114.4(C
IV芳香族)、109.0(t、CHF
2、J
C−F=237.9Hz)、61.9(CH
2)、40.8(q、N−CH
3、J
C−F=3.2Hz)、13.8(CH
3)ppm。
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−57.6(CF
3)、−116.4(CHF
2)ppm。
【0127】
実施例10
N−メチル−3−ジフルオロメチル−5−トリフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸:
【化18】
【0128】
エタノール(3mL)中のN−メチル−5−トリフルオロメチル−3−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル(0.5g、1.84mmol)を8N水酸化ナトリウム水溶液(0.7mL)と徐々に混合し、室温で3時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。残留物を水(10mL)に取り、ジエチルエーテル(10mL)で抽出した。1M HClでpH1の酸性としてから、酢酸エチルで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。N−メチル−3−ジフルオロメチル−5−トリフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸(0.44g、1.80mmol、98%)を、黄色様固体として単離した。
【0129】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=7.08(t、1H、CHF
2、J
H−F=53.5Hz)、4.16(s、3H、N−CH
3)ppm。
【0130】
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=165.5(CO)、146.7(t、C
IV芳香族、J
C−F=18.8Hz)、134.4(q、C
IV芳香族、J
C−F=30.8Hz)、118.8(q、CF
3、J
C−F=202.5Hz)、112.9(C
IV芳香族)、108.7(t、CHF
2、J
C−F=177.0Hz)、41.1(q、N−CH
3、J
C−F=2.3Hz)ppm。
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−57.9(CF
3)、−117.3(CHF
2、J
F−H=53.5Hz)ppm。
【0131】
実施例11
N−H−3−ジフルオロメチル−5−トリフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル:
【化19】
【0132】
テフロンフラスコ中アルゴン下に、BF
3・OEt
2(0.31mL、2.5mmol)をTFEDMA(0.30mL、2.5mmol)の脱水ジクロロメタン(2.5mL)中溶液に加えた。溶液を室温で15分間撹拌してから、ジクロロメタンを減圧下に除去した。残留物を脱水アセトニトリル(2.5mL)に取った。第2のテフロンフラスコ中、トリフルオロアセト酢酸エチル(0.37mL、2.5mmol)をフッ化カリウム(0.44g、7.5mmol)の脱水アセトニトリル(5mL)中溶液に加え、混合物を室温で15分間撹拌した。これに−30℃で、第1のフラスコの内容物を滴下した。反応混合物を冷浴で室温とし、終夜撹拌した。ヒドラジン水和物(0.15mL、3.0mmol)を室温で滴下し、混合物を24時間撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をペンタン/ジエチルエーテル混合物(9:1から7:3)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。N−H−3−ジフルオロメチル−5−トリフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル(0.48g、1.88mmol、75%)を黄色様油状物として得て、それは放置していると結晶化した。
【0133】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=11.07(brs、1H、NH)、7.22(t、1H、CHF
2、J
H−F=53.5Hz)、4.39(q、2H、CH
2、J=6.9Hz)、1.38(t、3H、CH
3、J=6.9Hz)ppm。
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=160.4(CO)、142.2(t、C
IV芳香族、J
C−F=18.3Hz)、142.2(q、C
IV芳香族、J
C−F=32.0Hz)、119.7(q、CF
3、J
C−F=268.1Hz)、111.7(C
IV芳香族)、107.4(t、CHF
2、J
C−F=237.5Hz)、62.0(CH
2)、13.7(CH
3)ppm。
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−62.5(CF
3)、−117.1(CHF
2、J
F−H=53.5Hz)ppm。
【0134】
実施例12
N−メチル−3,5−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル:
【化20】
【0135】
テフロンフラスコ中アルゴン下に、BF
3・OEt
2(1.24mL、10.0mmol)をTFEDMA(1.20mL、10.0mmol)の脱水ジクロロメタン(10mL)中溶液に加えた。溶液を室温で15分間撹拌してから、ジクロロメタンを減圧下に除去した。残留物を脱水アセトニトリル(10mL)に取った。第2のテフロンフラスコ中、4,4−ジフルオロアセト酢酸エチル(1.03mL、10.0mmol)をピリジン(1.6mL、20.0mmol)の脱水アセトニトリル(20mL)中溶液に加え、混合物を室温で15分間撹拌した。これに−30℃で、第1のフラスコの内容物を滴下した。反応混合物を冷浴で室温とし、終夜撹拌した。メチルヒドラジン(0.79mL、15.0mmol)を室温で滴下し、混合物を終夜撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をペンタン/ジエチルエーテル混合物(10:0から8:2)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。N−メチル−3,5−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル(1.75g、6.89mmol、69%)を無色油状物として得て、それは放置していると結晶化した。
【0136】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=7.48(t、1H、CHF
2、J
H−F=52.6Hz,)、7.04(t、1H、CHF
2、J
H−F=53.8Hz)、4.38(q、2H、CH
2、J=7.1Hz)、4.12(s、3H、N−CH
3)、1.39(t、3H、CH
3、J=7.2Hz)ppm。
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=161.1(CO)、145.3(t、C
IV芳香族、J
C−F=24.9Hz)、138.2(t、C
IV芳香族、J
C−F=24.1Hz)、112.9(m、C
IV芳香族)、109.1(t、CHF
2、J
C−F=237.6Hz)、107.2(t、CHF
2、J
C−F=236.3Hz)、61.5(CH
2)、39.6(t、N−CH
3、J
C−F=3.1Hz)、13.9(CH
3)ppm。
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−117.00(CHF
2、J
F−H=53.8Hz)、−117.04(CHF
2、J
F−H=52.6Hz)ppm。
【0137】
実施例13
N−メチル−3,5−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸:
【化21】
【0138】
エタノール(3mL)中のN−メチル−3,5−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル(0.5g、2.0mmol)を8N水酸化ナトリウム水溶液(0.8mL)と徐々に混合し、室温で2時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。残留物を水(10mL)に取り、ジエチルエーテル(10mL)で抽出した。6M HClでpH1の酸性としてから、酢酸エチルで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。N−メチル−3,5−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸(0.44g、1.95mmol、97%)を無色固体として単離した。
【0139】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=12.16(brs、1H、COOH)、7.48(t、1H、CHF
2、J
H−F=52.4Hz)、7.08(t、1H、CHF
2、J
H−F=53.6Hz)、4.16(s、3H、N−CH
3)ppm。
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=166.9(CO)、146.4(t、C
IV芳香族、J
C−F=25.1Hz)、139.2(t、C
IV芳香族、J
C−F=24.4Hz)、111.5(C
IV芳香族)、108.8(t、CHF
2、J
C−F=238.1Hz)、106.9(t、CHF
2、J
C−F=237.0Hz)、39.9(t、N−CH
3、J
C−F=3.1Hz)ppm。
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−117.1(CHF
2、J
F−H=52.6Hz)、−117.3(CHF
2、J
F−H=53.7Hz)ppm。
【0140】
実施例14
N−H−3,5−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル:
【化22】
【0141】
テフロンフラスコ中アルゴン下に、BF
3・OEt
2(1.85mL、15.0mmol)をTFEDMA(1.76mL、15.0mmol)の脱水ジクロロメタン(15mL)中溶液に加えた。溶液を室温で15分間撹拌してから、ジクロロメタンを減圧下に除去した。残留物を脱水アセトニトリル(15mL)に取った。第2のテフロンフラスコ中、4,4−ジフルオロアセト酢酸エチル(1.55mL、15mmol)をフッ化カリウム(2.61g、45mmol)の脱水アセトニトリル(30mL)中溶液に加え、混合物を室温で15分間撹拌した。これに−30℃で、第1のフラスコの内容物を滴下した。反応混合物を冷浴で室温とし、終夜撹拌した。ヒドラジン水和物(1.1mL、22.5mmol)を室温で滴下し、混合物を終夜撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をペンタン/ジエチルエーテル混合物(9:1から7:3)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。N−H−3,5−ジフルオロメチル−4−ピラゾールカルボン酸エチルエステル(2.02g、8.40mmol、56%)を無色固体として単離した。
【0142】
1H NMR(CDCl
3、300MHz、25℃):δ=7.15(t、2H、CHF
2、J
H−F=53.6Hz)、4.39(q、2H、CH
2、J=7.1Hz)、1.39(t、3H、CH
3、J=7.1Hz)ppm。
13C NMR(CDCl
3、75MHz、25℃):δ=161.1(CO)、143.8(t、C
IV芳香族、J
C−F=23.1Hz)、111.6(C
IV芳香族)、108.2(t、CHF
2、J
C−F=238.4Hz)、61.7(CH
2)、13.9(CH
3)ppm。
19F NMR(CDCl
3、282MHz、25℃):δ=−117.3(CHF
2、J
F−H=53.6Hz)ppm。