(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の二次元の表面を形成する材料が、金属、ガラス、硼珪酸、炭素繊維、セラミックス、コラーゲン、ゼラチン、ヒドロゲル、及びポリマーから選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のデバイス、あるいは、請求項2〜4のいずれか一項に記載のシステム。
前記複数の二次元の表面を形成する材料が、少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1及び3〜5のいずれか一項に記載のデバイス、あるいは、請求項2〜5のいずれか一項に記載のシステム。
前記複数の二次元の表面が、真核細胞の接着及び増殖を促すべく選択された少なくとも1つのコーティングをさらに含む、請求項1及び3〜7のいずれか一項に記載のデバイス、あるいは、請求項2〜7のいずれか一項に記載のシステム。
前記複数の二次元の表面が、プラズマ表面処理を施されている、請求項1及び3〜9のいずれか一項に記載のデバイス、あるいは、請求項2〜9のいずれか一項に記載のシステム。
前記複数の二次元の表面が、真核細胞の増殖を促すべく選択された弾性及び湾曲を有する、請求項1及び3〜10のいずれか一項に記載のデバイス、あるいは、請求項2〜10のいずれか一項に記載のシステム。
前記真核細胞が、幹細胞、足場依存性細胞、間葉系細胞、及び間質細胞のうち少なくとも1つを含む、請求項1及び3〜11のいずれか一項に記載のデバイス、あるいは、請求項2〜11のいずれか一項に記載のシステム。
前記三次元の本体が、2mm〜10mmの最大寸法を有する、請求項1及び3〜14のいずれか一項に記載のデバイス、あるいは、請求項2〜15のいずれか一項に記載のシステム。
前記三次元の本体が、2mm〜10mmの最大寸法を有し、かつ、略球形であり、前記最大寸法が、直径である、請求項1、3〜14、及び16のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的な実施形態の説明
ここで、本開示による特定の例示的な実施形態を、詳細に参照する。それらの特定の例は、添付の図面に図解されている。可能な限り、同一又は似ている部分を言及するのに、図面全体で同一の参照番号が使用されることになる。
【0015】
本出願において、単数形の使用は、具体的に別途記載のない限り、複数形を含む。本出願において、「又は」の使用もまた、別途記載のない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、用語「含む(including)」と、「含む(includes)」及び「含まれる(included)」等、他の形との使用は、限定的ではない。本文に記載されるあらゆる範囲は、エンドポイントと、エンドポイント間のすべての値を含むと理解される。
【0016】
本開示のデバイスは、真核細胞の二次元増殖を可能にする。「二次元増殖」は、細胞増殖の大部分が単層内である表面に沿った真核細胞の増殖を含むと理解されよう。「単層内の細胞増殖の大部分」は、単層における細胞の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の細胞増殖を含むと理解されよう。「二次元の増殖」は、以下により詳細に記載する通り、平面(例えば、平坦な表面)に沿った増殖、及び/又はある程度湾曲した表面に沿った増殖を含み得る。従って、「二次元の表面」は、平面状である表面、及び/又はいくぶん湾曲した表面を含むと理解されよう。加えて、本文で使用する場合、フレーズ「三次元の増殖」は、三次元での細胞間の接触を可能にする足場材(scaffold)における細胞増殖に適合可能な条件下での増殖をいう。
【0017】
二次元の増殖を可能にするために、本開示のデバイスは、高い表面積対容量比を提供し、それによって、フラスコでの二次元増殖と比較して、低容量で大量の細胞の増殖を可能にする。さらに、本開示のデバイスは、増殖後の細胞を取り出すこと、及び/又は、貯蔵、商業的用途(例えば、治療薬として)のため、若しくは、追加の細胞の増殖のために細胞を他の環境に移すことを促すように構成できる。さらに、本文に記載されるデバイスは、細胞生存性、接着性、及び/又は他の細胞特性の維持若しくは制御に関して、標準の細胞培養システムを使って得られる細胞増殖と少なくとも同程度の高品質の細胞増殖を可能にするよう構成できる。
【0018】
本開示のデバイスは、様々な異なる真核細胞型を培養するために使用できる。デバイスは、幹細胞、足場依存性細胞、間葉系細胞、及び接着細胞の増殖に好適である。本文で使用する場合、フレーズ「接着細胞」は、足場依存性な、つまり、生体外で増殖するために表面への接着を必要とする細胞をいう。好適な接着細胞は、例えば、骨髄、脂肪組織、胎盤及び血液から取得される細胞の不均一な固体群であり、且つ、様々な生物活性因子の影響に依存して、異なる型の細胞(例えば、網状内皮細胞、繊維芽細胞、脂肪細胞、骨形成前駆細胞(osteogenicprecursor cell))へと細胞分化でき得るか、又は細胞分化でき得ない間葉系間質細胞を含み得る。
【0019】
様々な型の接着細胞の効率的な増殖は、環境、又は、細胞が増殖中に受ける相互作用に大きく依存し得る。例えば、接着細胞は、他の接着細胞と不用意に接触し得る。細胞の1つの単層が他の細胞の単層と不用意に接触した場合、2つの単層は、互いに接着し得る。異なるデバイスの単層間のそのような相互作用によって、デバイスが互いに接着し得る。相互作用は、細胞によって分泌される細胞外マトリクスによって仲介され得る。本文に記載されるデバイスは、そのような望ましくない細胞間相互作用を制限できるため、凝集(clumping)又は凝結(aggregation)は、概して制限できる。加えて、本デバイスは、接着細胞の増殖する単層のための安定した環境を提供するための培養物を通した栄養物、培地及び気体の効率的な送達と、細胞の効率的な採取とを提供できる。デバイスはまた、三次元の条件下で増殖する細胞の亜個体群(sub-population)を制限することによって、二次元の条件と比較して、より着実な細胞の増殖を促し得る。
【0020】
一態様では、本文に記載されるデバイスは、細胞増殖のために構成された表面間の接触を制限するように構成できる。したがって、デバイスは、隣接するデバイスの表面間の接触を概して最小にするために、概して円形であるか、丸みを帯びているか、又は弧状とすることができる。個別のデバイスは、比較的小さい面積に亘って、隣接するデバイスに接触するよう設計できる。そのような制限されたデバイス間の接触は、増殖細胞が、他のデバイスで増殖する他の細胞と比較的小さく相互作用する増殖表面を提供できる。従って、単一のインキュベーション容器内の複数のデバイスは、接着細胞のための、より効率的で、制御された、安定した増殖環境を提供できる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本文に記載されるデバイスは、断面が概して円形であり得る。例えば、デバイスの外形は、球形、円筒、及び他の概して丸みを帯びた塊であり得る。そのようなデバイスは、デバイスの外表面積合計に対して約10%未満の接触面積を提供できる。他の実施形態において、接触面積は、表面積合計の約5%、2%又は1%未満とすることができる。隣接するデバイス間の接触が、十分に最小化できる場合、他の形状もまた使用できる。
【0022】
本文に記載される細胞増殖の方法はまた、本文に記載されるデバイスとの使用のために構成され得る。概して細胞接着に耐えるよう構成された容器は、これらのデバイスと共に使用できる。例えば、細胞接着を制限するとして知られるガラス又はプラスチックで形成されているか又はコーティングされた容器が使用できる。そのような容器は、本文に記載されるデバイスにおける接着細胞の単層の好適な増殖を促すことができる。そのような容器はまた、上述のような不用意な細胞間接着を生じ得る、あり得る望ましくない細胞の相互作用を制限し得る。
【0023】
様々な実施形態によれば、細胞培養のためのデバイスが提供される。デバイスは、三次元の本体の外周面から三次元の本体の内部に向かって内側に延びる複数の二次元の表面を含む三次元の本体を含み得、複数の二次元の表面は、複数の二次元の表面の表面積の少なくとも大部分又はすべてに亘って真核細胞の単層増殖をサポートするよう構成されている。いくつかの実施形態において、複数の二次元の表面は、複数の二次元の表面の表面積の少なくとも大部分又はすべてに亘って真核細胞の単層増殖をサポートしてもよいし、しなくともよい。「複数の」二次元の表面は、「1つ以上の」二次元の表面を意味し、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10個の二次元の表面を含む。例えば、50、100、500以上の表面等、10を上回る二次元の表面もまた企図される。「表面積の大部分」は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の表面積を含むと理解される。様々な実施形態において、デバイスは、約50mm未満の最大寸法、及び/又は、約3cm
2/cm
3〜約1.000cm
2/cm
3の表面積対容量比を有する。「最大寸法」は、三次元の本体の最大の外側の高さ、幅、長さ、空間的対角線、頂点間距離、横径、直径、断面長、又は、任意の他の最大の外側の空間的な寸法を含むと理解される。
【0024】
本開示の細胞培養デバイスは、多くの異なる形状及び構成を有することができ、多くの好適な材料のいずれかから形成でき、細胞増殖を促すべく、様々な表面処理及び/又はコーティングを含み得る。
図1A〜8Bは、より詳細に以下に記載されている様々な実施形態による細胞培養デバイスを図解している。加えて、
図9は、コンテナと、細胞培養デバイスの集まりとを含む例示的な細胞培養システムを図解している。図に示され、以下に記載されるデバイス及びシステムは、例示的であり、本文に記載される異なる実施形態の様々な特徴は、組み合わせられ得、又は、置き換えられ得ることが理解されよう。
【0025】
図1Aは、特定の実施形態による二次元の細胞培養のためのデバイス10の斜視図であり;
図1Bは、
図1Aのデバイス10の断面図である。示されているように、デバイス10は、デバイス10の外側からデバイス10の内部に向かって延びる複数の二次元の表面12を含む。示されているように、表面は、開口部16を形成するべく離間しているリブ14の集まりによって形成されており、該開口部は、使用中、細胞及び培養培地の流れを可能にするようなサイズとし得る。デバイス10はまた、デバイス10の中心軸から延び、リブ14に対して概して垂直に延びる、1つ以上の横の平面を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、デバイス10の外径は、約1mm〜約50mmの範囲に及び得る。他の実施形態において、外径は、約2mm〜約20mm、及び約4mm〜約10mmの範囲に及び得る。デバイス10の全体的なサイズに応じて、リブ14及び開口部16は、様々なサイズとなり得る。例えば、リブ14は、厚さが約0.1mm〜約2mm、及び約0.2mm〜約1mmの範囲に及び得る。具体的には、リブ14は、厚さが約0.5mm、約0.6mm、又は約0.7mmとなり得る。開口部16は、幅が約0.01mm〜約1mm、及び、約0.1mm〜約0.5mmの範囲に及び得る。具体的には、開口部16は、幅が約0.3mm、約0.4mm、又は約0.5mmとなり得る。
【0027】
図1A〜1Bに示す実施形態において、リブ14は、略平坦であり、且つ、デバイスの中心からデバイスの外周面まで互いに平行に延びる。しかしながら、リブは、様々な構成を含み得る。例えば、
図2A〜2Dは、異なる構成のリブ24によって形成された複数の二次元の表面22を有するデバイス20を図解している。
図2Aは、特定の実施形態による、二次元の細胞培養のためのデバイス20の斜視図であり;
図2Bは、
図2Aのデバイスの側面斜視図であり;
図2Cは、
図2Aのデバイスの上面図であり;
図2Dは、
図2Aのデバイスの断面図である。
図2A−2Dのデバイス20は、
図1A〜1Bのデバイス10に類似しているが、デバイス20のリブ24は、デバイス20の外周の辺りで間隔を空けた開口部26を形成するような形状をしている。開口部26は、概してくさび形状であり得る。リブ24は、デバイス20の中心軸からデバイス20の外周表面まで概して放射状に延び得る。デバイス20はまた、デバイス20の中心軸から延び、リブ24に対して概して垂直に延びる1つ以上の横の平面を含み得る。さらに、デバイス20は、デバイスの中心を通って延び、真核細胞の単層増殖をサポートし得る追加の表面32を形成する開口部36を含む。
【0028】
デバイス10について上述したように、デバイス20の寸法は、様々なサイズとなり得る。例えば、デバイス20の外径は、約1mm〜約50mmの範囲に及び得る。他の実施形態において、外径は、約2mm〜約20mm及び約4mm〜約10mmの範囲に及び得る。デバイス20の全体的なサイズに応じて、リブ24及び開口部26は、様々なサイズとなり得る。例えば、リブ24は、厚さが、約0.1mm〜約2mm、及び約0.2mm〜約1mmの範囲に及び得る。具体的には、リブ24は、厚さが約0.5mm、約0.6mm、又は約0.7mmとなり得る。
図2A〜2Cに示すように、開口部26は、幅が、概して、デバイス20を通るように延びる中心軸、つまり開口部36辺りに位置する最小幅から、デバイス20の外周面辺りに概して位置する最大幅までの範囲に及び得る。開口部26の最小幅は、約0.01mm〜約1mm及び約0.1mm〜約0.5mmの範囲に及び得る。具体的には、開口部26の最小幅は、約0.3mm、約0.4mm、又は約0.5mmとなり得る。加えて、開口部36は、直径約0.1mm〜約5mm、及び、約0.5mm〜約2mmの範囲に及び得る。より具体的には、開口部36は、約0.8mm、約1mm、又は約1.2mmの直径を有し得る。
【0029】
示されているように、デバイス10、20は略球形であり、且つ、デバイスの最大の寸法を形成する直径18を持つ。本文に記載されるデバイスは、デバイスが複数の二次元の表面12、22の表面積の少なくとも大部分又はすべてにわたる接着及び単層増殖のための二次元の表面を提供する限り、様々な異なる形状及び構成を有し得る。
【0030】
本開示の細胞培養デバイスは、様々な形状及び構成を含み得る。例えば、
図1A〜2Dに関して上述したデバイスは、略球形であるが、他の好適な形状が使用され得る(by be used)。例えば、
図3A〜3Bは、二次元の細胞培養のためのデバイス10’、20’の斜視図である。デバイス10’、20’は、デバイス10’、20’が略卵形の形状を有していることを除いて、
図1A〜2Dのデバイス10、20に類似しているが、リブ14’、24’又は開口部36’によって形成される複数の二次元の表面12,’22’を同様に提供する。さらに、他の多角体の形状、及び/又は不規則な多面体の形状を含めて、他の好適な形状が使用され得る。
【0031】
上述したように、本開示のデバイスは、複数の二次元の表面の表面積の少なくとも大部分又はすべてにわたる真核細胞の単層増殖をサポートするよう構成された複数の二次元の表面を含み得る。特定の実施形態において、複数の二次元の表面は、それらの表面積の実質上すべてに亘って単層増殖をサポートするよう構成されている。例えば、
図4A〜4Bは、特定の実施形態による二次元の細胞培養のためのデバイスの斜視図であり、該デバイスは、それらの表面積の実質上すべてに亘って、単層増殖をサポートするよう構成されている。
図4A〜4Bのデバイス10’’、20’’は、上述した他のデバイスに類似しており、リブ14’、24’によって形成された表面12’、22’を含む。しかしながら、デバイス10’’、20’’は、表面12’、22と共に開口部16’、26’を有し、該表面は、それら全体の領域に沿って滑らかなカーブを形成し、それによって、三次元の増殖が起こり得る鋭く湾曲した領域をなくすか、又は減じる。例えば、示されているように、デバイス10’’、20’’は、
図1A〜2Dのデバイスに関して図解されるような、より鋭いカーブではなく、滑らかにカーブした下方表面40、42を有する。
【0032】
様々な実施形態において、複数の二次元の表面の特定の湾曲及び構成は、例えば、より大きい表面積を提供するために、且つ/又は細胞増殖を制御するために変更できる。例えば、
図5は、特定の実施形態による、二次元の細胞培養のためのデバイス50の斜視図である。デバイス50は、開口部56及び単層増殖のための複数の二次元の表面52を形成するべく、デバイス50の外周面からデバイスの内部に向かって延びるリブ54を含む。示されているように、リブ54及び表面52がカーブしている。表面52のカーブした形状によって、複数の二次元の表面52の表面積を、平坦な表面と比較してさらに大きくすることができ、それによって、細胞接着及び単層増殖のための追加の面積を提供する。
【0033】
図6は、特定の実施形態による、二次元の細胞培養のためのデバイス60の斜視図である。示されているように、デバイス60は、デバイス60の内部からデバイス60の外周面に向かって延びるリブ64を含む。リブ64は、真核細胞の二次元増殖のための少なくとも2つの二次元の表面62、62’を形成するべく、少なくとも部分的にデバイス60の直径に沿って延びる螺旋構成を含み得る。示されているように、リブは、コア部分68から、デバイス60の外周面に向かって延びる。
【0034】
上述の実施形態のそれぞれにおいて、複数の二次元の表面は、内部コアから延びる。しかしながら、他の実施形態によれば、表面は、中心コアに向かって内側に延び得る(within being directed towards)。例えば、
図7は、いくつかの実施形態による他のデバイス70を図解している。デバイス70は、開口部76を有する略螺旋形状の壁部74の形の、少なくとも1つのシート状の材料を含み、真核細胞の二次元増殖を可能にするように構成された少なくとも第一の表面72及び第二の表面72’を有する。しかしながら、他の形状が使用でき、デバイス70が連続した螺旋である必要はなく、他の構成を含み得ることが理解されよう。
【0035】
図8A、8Bに示すように、デバイス90が、1つ以上の取り外し可能な構成部品を含み得ることもまた、企図される。例えば、デバイス90は、1つ以上の取り外し可能な円板92を含み得る。それぞれの円板92は、デバイス90の他の構造上エレメントに結合するように構成された1つ以上のコネクタ94を含み得る。したがって、複数の円板92は、アセンブリ96を形成するべく、互いに結合され得る。アセンブリ96は、
図1〜7にて上記に示した実施形態を含め、様々な形状又はサイズの任意の数の円板92又はコネクタを含み得る。
【0036】
円板92は、任意の形状であり得、コネクタ94に結合するよう構成された雌継手(図示なし)を含み得る。円板92とコネクタ94との間の継手は、定着式(permanent)又は取り外し可能であってよい。他の実施形態において、複数の円板92は、複数の円板92を受け、且つ、複数の円板92間で好適な距離を保つよう構成された単一のコネクタ94に結合できる。
【0037】
上述の様々な細胞培養デバイスは、様々な形状に形成できる。多くの実施形態がデバイスを丸みを帯びているものとして描写しているが、デバイスはまた、立方体、矩形、又は、線状及び弧状の形の組み合わせでもあり得る。さらに、追加で安定化、接続的、又は他の構造上の特徴が、これらのデバイスと共に使用され得る。例えば、糸状部材は、複数のデバイスを互いに結合し得、接着部材は、デバイスをインキュベーション容器の壁部に結合し得、又は、浮遊部材は、細胞が不用意に他の表面に接触するのを制限するために、デバイスが流体に浮かんだまま留まることができるようにし得る。そのような部材は、手動又は自動化された技術を使った取扱いを改良し得る。例えば、磁性体は、回収及び処理工程を助けるために、デバイスに組み込まれ得る。デバイスはまた、インキュベーション液に連続してさらすように、又は、液に断続的にさらすように構成され得る。
【0038】
本文に記載される細胞培養デバイスは、様々な異なる好適な材料を使って製造できる。概して、デバイスは、製薬目的のための細胞培養を可能にするべく選択された広範囲の属性を有する材料を使うことによって製造できる。様々な実施形態において、材料は、USPクラス6(米国薬局方クラスVI)の認可を受けたものであり得、高温に耐え得るものであり、オートクレーブで処理できるものであり、細胞接着を向上させるべく、プラズマ処理又はコロナ処理を受けることができるものであり、広範囲のpHに耐え得るものであり、細胞増殖プロセスにおいて有害な物質を浸出しないものであり、且つ/又は、分解することなく、若しくは、望ましくない残留物を生成物に残すことなく、細胞を取り出すために酵素的及び物理的ストレスにさらされ得るものである。加えて、本文に記載されるデバイスのいずれかを製造するために使用される材料は、中実であり得、又は、中空の、若しくは多孔質の内部を有し得る。さらに、本文に記載されるデバイスは、一体成形の材料から、又は、(例えば、化学的若しくは物理的結合によって)互いに付着した2個以上から製造できる。材料は、適用によって必要とされる通り、剛性であるか、又はフレキシブルであってよい。
【0039】
本文に記載される細胞培養デバイスのいずれかを製造するために使用される材料は、金属(例えば、チタニウム)、金属酸化物(例えば、チタニウム酸化物フィルム)、ガラス、硼珪酸、炭素繊維、セラミックス、生分解性材料(例えば、コラーゲン、ゼラチン、PEG、ヒドロゲル)、及び又はポリマーを含み得る。好適なポリマーは、GRILAMID(登録商標)TR55(EMS−grivory社)等のポリアミド;LEXAN(登録商標)(Sabic社)及びMacrolon(登録商標)(Bayer社)等のポリカーボネート;RADEL(登録商標)PPSU(Solvay社)及びUDEL(登録商標)PSU(Solvay社)等のポリスルフォン;TRITAN(登録商標)(Polyone社)及びPBT(登録商標)HX312C等のポリエステル;CELON(登録商標)(Ticana社)等のポリアセタール、並びに、ポリ塩化ビニルを含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、デバイスの少なくとも一部は、ポリスチレン重合体を使って形成され得る。ポリスチレンは、コロナ放電、ガスプラズマ(ローラーボトル及び培養管)、又は他の類似の処理を使ってさらに変性され得る。これらの処理によって、表面が親水性であって且つ培地を加えると負の電荷を持つようになるべく、表面のポリスチレン鎖にグラフト化する高エネルギーの酸素イオンを生成できる((Hudis, 1974; Amsteinand Hartman, 1975; Ramsey et. al., 1984)。さらに、デバイスのいずれかは、少なくとも部分的に、材料の組み合わせから製造され得る。デバイスの材料は、細胞接着をサポートするために、さらにコーティング又は処理され得る。そうしたコーティング及び/又は前処理は、コラーゲンI、コラーゲンIV、ゼラチン、ポリ−d−リジン、フィブロネクチン、ラミニン、アミン、及びカルボキシルの使用を含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、デバイスを製造するために使用される材料は、真核細胞による直接的接着を可能にするべく選択される。本文に記載されるデバイスは、様々な好適な生産プロセスを使って製造できる。例えば、いくつかの実施形態において、デバイスは、例えば1つ以上の高分子材料を使って、射出成形によって製造され得る。
【0042】
加えて、二次元の表面の表面積の大部分又はすべてに亘る材料特性及び湾曲は、一定の生物学的特性を制御するために選択され得る。例えば、材料は、所望の生物学的特性を生じるために、一定の弾性係数及び湾曲を有するよう選択され得る。例えば、好適な弾性係数は、約0.1〜100kPaとなり得る。
【0043】
様々な実施形態において、デバイスは、(例えば、濾過、すくい取り、培地の除去による)回収を促し、デバイス間の隙間を最小にするよう選択されたサイズを有する。例えば、三次元の本体は、約1mm〜50mm、約1mm〜20mm、又は約2mm〜10mmの最大寸法を有し得る。特定の実施形態において、デバイスは、球形であり、約1mm〜50mm、約1mm〜20mm、又は約2mm〜10mmの最大直径を有する。
【0044】
特定の実施形態では、デバイスは、培養中、細胞の損傷又は二次元の表面からの細胞の離脱(removal)を防ぐように構成されている。例えば、
図1A〜8Bに示すように、デバイスは、開口部16、26、16’、26’及び76を含み得、二次元の表面は、開口部内に位置している。様々な実施形態において、複数の二次元の表面は、三次元の本体に隣接する物体が複数の二次元の表面で増殖している細胞に接触するのを防ぐように選択された距離をおいて、互いから離間している。具体的には、開口部16、26、16’、26’又は76は、二次元の表面が培養システム内で隣接するデバイスに接触しないように、且つ/又は、コンテナ又は培養容器の壁部に接触しないようなサイズとなり得る。したがって、二次元の表面に沿った細胞の単層増殖は、機械的接触によって妨げられないであろう。さらに、二次元の表面は、隣接する表面上での細胞間の接触を防ぐよう、互いから十分遠く離れていてよい。
【0045】
様々な実施形態において、本開示の細胞培養デバイスは、所望の表面積対容量比を提供するよう構成され得る。例えば、本文に記載される細胞培養デバイスのうちいずれかの表面積対容量比は、約3cm
2/cm
3〜30cm
2/cm
3、約5cm
2/cm
3〜20cm
2/cm
3、又は約10cm
2/cm
3〜15cm
2/cm
3であり得る。他の実施形態において、表面積対容量比は、最大約50、100、200、500、又は1,000cm
2/cm
3の範囲に及び得る。
【0046】
様々な実施形態において、本文に開示されているデバイスは、さらに、1つ以上のコーティングでコーティングされ得る。好適なコーティングは、細胞接着、又は、細胞の生態(cell biology)への変化を制御するよう選択され得る。好適なコーティングは、例えば、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質、多糖類、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、ホルモン、細胞外マトリクス分子、細胞接着分子、天然ポリマー、酵素、抗体、抗原、ポリヌクレオチド、成長因子、合成ポリマー、ポリリジン、薬品及び/若しくは他の分子、又は、これらの組み合わせ又はフラグメントを含み得る。
【0047】
さらに、様々な実施形態において、本文に記載されるデバイスの表面は、細胞接着及び又は他の生物学的特性を制御するために、処理されるか、又は、でなければ変更され得る。表面を処理するための選択肢は、化学的処理、プラズマ処理、及び/又はコロナ処理を含む。さらに、様々な実施形態において、材料は、材料内又は材料上に官能基を導入するよう処理されて、炭化水素、酸素、窒素を含む基を含み得る。加えて、様々な実施形態において、材料は、細胞接着を促進するか、又は他の細胞特性を制御するような質感を有するべく、生産又は変更され得る。例えば、いくつかの実施形態において、細胞培養デバイスを製造するために使用される材料は、細胞接着を促進し、且つ/又は他の細胞特性を制御する、ナノメートル又はマイクロメートル規模の粗さを有する。
【0048】
様々な実施形態によれば、細胞培養のためのシステムが提供される。システムは、コンテナと、三次元の本体の集まりとを含み得る。三次元の本体は、それぞれの三次元の本体の外周面から、それぞれの三次元の本体の内部に向かって内側に延びる複数の二次元の表面を含み得、複数の二次元の表面は、複数の二次元の表面の表面積の少なくとも大部分又はすべてに亘って真核細胞の単層増殖をサポートするよう構成されている。
【0049】
図9は、特定の実施形態による二次元の細胞培養のためのシステム100の斜視図である。示されているように、システム100は、コンテナ110と、コンテナ110の表面上で細胞の二次元増殖を可能にするための培地120及び/又は他の材料と共にコンテナ100内に置かれ得る1つ以上の細胞培養デバイス110とを含む。
【0050】
示されているように、コンテナ100は、細胞の導入のための開口部130を有する一般的な細胞培養フラスコ、細胞培養デバイス110、培地、及び/又は他の材料を含む。しかしながら、他のコンテナが選択され得ることが理解されよう。例えば、コンテナは、よりはるかに大きくてよく、例えば、数十、数百、数千、数十万、又は数百万個の細胞培養デバイスを保持するよう選択される。特定のサイズ及び構成が、培養する細胞の量、及び/又は、温度、pH、周囲の気体レベル等、培養条件を制御するための一体化したシステムの必要性等、他の判定基準に基づいて選択され得る
【0051】
様々な実施形態において、システムは、充填床リアクター、流動層リアクター、又は懸濁リアクター等、バイオリアクターコンテナを含み得る。例えば、システムは、二次元の増殖を可能にするための、その場合にバイオリアクターのコンテナ内に置かれ得るデバイスを1つ以上含み得る。そのようなバイオリアクターの例は、栓流バイオリアクター(plug flow bioreactor)、連続撹拌タンクバイオリアクター、静止床バイオリアクター(充填床バイオリアクター)及び流動床バイオリアクターを含むが、これらに限定されない。
【0052】
好適なバイオリアクターの例は、制御された条件(例えば、pH、温度及び酸素レベル)下で、且つ、一定の細胞増殖培地潅流で、接着細胞の増殖(expansion)が可能なCelligenバイオリアクター(New Brunswick Scientific社)である。さらに、細胞培養は、グルコース、乳酸塩、グルタミン、グルタメート及びアンモニウムの濃度レベルについて監視できる。接着細胞のグルコース消費率及び乳酸塩生成率によって、細胞増殖率を測定することと、採取タイミングを決定することとが可能になる。
【0053】
使用できる他の三次元のバイオリアクターは、バイオリアクター内で時定数定常状態を維持するために、培養培地が連続的にバイオリアクターに供給され、使用した培地が連続的に引き出される連続撹拌タンクバイオリアクターを含むが、これに限定されない。撹拌タンクバイオリアクターは、流動床型(懸濁キャリア)又は繊維質床型バスケット(fibrous bed basket)(例えば、NJ州、エジソンのNew Brunswick Scientific Co.で入手可能)、静止床バイオリアクター、通常、中央の通気管の底部内へと供給される空気が、気泡を形成しながら上方へ流れ、円筒部の上部で排気ガスを解放するエアリフト型バイオリアクター、ポリアクティブ発泡体(Polyactive foams,登録商標)を有するバイオリアクター[Wendt, D. et al, Biotechnol Bioeng 84: 205-214, (2003)に記載]、半径流灌流バイオリアクター(Radial-flow perfusion bioreactor)における多孔質の足場材[Itagawaet al., Biotechnology and Bioengineering 93(5): 947-954 (2006)に記載]、足場材又はキャリアを有する半径流バイオリアクター、中空糸バイオリアクター、及びマイクロキャリアと共に使用され得る。本記載のデバイス及びシステムと共に使用できる他のバイオリアクターが米国特許番号第6,277,151;6,197,575;6,139,578;6,132,463;5,902,741;及び5,629,186に記載されている。
【0054】
本開示はまた、本文で説明されるデバイス又はシステムのうちいずれかを使って細胞を培養する方法を提供する。様々な実施形態によれば、方法は、真核細胞群を選択することと、真核細胞を少なくとも1つの三次元の本体と接触させることとを含み得、少なくとも1つの三次元の本体は、三次元の本体の外周面から少なくとも1つの三次元の本体の内部に向かって内側に延びる複数の二次元の表面を有し、複数の二次元の表面は、複数の二次元の表面の表面積の少なくとも大部分又はすべてに亘って真核細胞の単層増殖をサポートするよう構成されている。様々な実施形態において、デバイスは、約50mm未満の最大寸法及び/又は約3cm
2/cm
3〜約1,000cm
2/cm
3の表面積対容量比を有する。
【0055】
加えて、様々な処理工程が、細胞の接着及び増殖の制御及び向上のために実行できることが理解されよう。例えば、細胞及び本体を培養培地と共にコンテナ又は培養容器内に設置することによって、細胞は、三次元の本体と接触し得る。さらに、細胞及び/又は培地は、混合できるか、又は、別の方法で、例えば、コンテナを回転させること、培養培地を(例えば、かき混ぜて)撹拌すること、及び、流体の流れをコンテナ内外に供給することによって動かすことができる。
【0056】
本文に記載されるデバイス及びシステムを使った培養に有用な基礎培地の非限定的な例は、培地199、CMRL1415、CMRL1969、CMRL1066、NCTC135、MB75261、MAB8713、DM145、Williams’ G、Neuman & Tytell、Higuchi、MCDB301、MCDB202、MCDB501、MCDB401、MCDB41 1、MDBC153を含む数ある中でも、最小必須培地イーグル、ADC−1、LPM(ウシ血清アルブミンを含まない)、F10(HAM)、F12(HAM)、DCCM1、DCCM2、RPMI 1640、BGJ培地(フィットン−ジャクソン改変(Fitton-Jackson Modification)を含むものとそうでないもの)、基本培地イーグル(Earle‘s salt baseの添加を伴うBME)、ダルベッコの改質イーグル培地(血清を含まないDMEM)、Yamane、IMEM−20、グラスゴー改変イーグル培地(GMEM)、リーボビッツL−15培地、マッコイ5A培地、培地Ml99(Earle’s salt baseを含むM199E)、培地l99(Hank‘s salt baseを含むM199H)、最小必須培地イーグル(Earle’s salt baseを含むMEM−E)、最小必須培地イーグル(Hank‘s salt baseを含むMEM−H)及び最小必須培地イーグル(非必須アミノ酸を含むMEM−NAA)である。本発明での使用に好ましい培地は、DMEMである。これらの、及び他の有用な培地が、中でも、USA、NY州グランドアイランドのGIBCO社、及び、イスラエル、Bet HaEmekのBiological Industries社から販売されている。多くのこれらの培地が、Methods in Enzymology, Volume LVIII, "Cell Culture", pp. 62 72, edited by William B. Jakoby and Ira H. Pastan, published by Academic Press, Inc.に要約されている。
【0057】
培地は、ウシ若しくはヒト又は他の種の胎児血清等、血清等で補給され得、任意で、又は、代替方法として、ピコグラム/ml〜ミリグラム/mlレベルの濃度で、成長因子、ビタミン(例えば、アスコルビン酸)、サイトカイン、塩(例えば、B−グリセロホスフェート)、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)、及び、ホルモン(例えば、成長ホルモン)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、インターロイキン3、インターロイキン6、インターロイキン7、マクロファージコロニー刺激因子、c−kitリガンド/幹細胞因子、オステオプロテゲリンリガンド、インスリン、インスリン様成長因子、上皮成長因子、繊維芽細胞成長因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因子、血小板由来の成長因子、及び骨形成タンパク質で補給され得る。
【0058】
本文に記載されるデバイス及びシステムを使った細胞の増殖後、細胞は、様々な異なる方法で採取できる。細胞は、以下に記載するように、例えば、好適な培地で洗浄することによって、且つ/又は、振動に基づいた採取によって採取できる。
【0059】
追加の構成部品が、培養培地に加えられ得ることが、さらに理解される。そのような構成部品は、抗生物質、抗真菌薬、アルブミン、アミノ酸、及び、細胞の培養の技術に知られる他の成分であり得る。
【0060】
実施例1:
本文に記載される様々なキャリアを使った細胞培養の適合性を評価した。新鮮な、又は冷凍PD051010 p.3/2細胞を、加湿したインキュベータ内で、全DMEMで培養した。細胞を、以下に示すように、様々な高分子材料から生産した射出成形キャリアで、又は、フラスコで増殖させた。以下に詳細に記載し、且つ/又は、図に示すように、材料、形状及び構成、表面処理、並びに表面の質感は様々であった。異なるキャリアを使った細胞の増殖率及び接着効率を測定し、結果を以下に要約する。
【0061】
図10は、175cm
2フラスコでの、又は本開示の二次元培養デバイスを使った細胞培養の結果を示す棒グラフである。
図11は、175cm
2フラスコで、又は本開示の二次元培養デバイスを使って培養された細胞の個体複製数を示す棒グラフである。
図10〜11に示す結果は、滑らかな表面質感を有する射出成形したLEXAN(登録商標)で形成され、且つ、
図1A〜1Bに示した構成を有する細胞培養デバイスを使った新鮮なPD051010 p.3/2細胞の培養に基づいている。図に示すように、得られた細胞の量及び細胞複製数は、フラスコの代わりに細胞培養デバイスを使うと類似していた。
【0062】
図12は、二次元培養デバイスを使って増殖した細胞の細胞接着効率を表す棒グラフである。
図12に示す結果は、粗い表面質感を有する射出成形したLEXAN(登録商標)で形成され、且つ、
図1A〜1Bに示した構成を有する細胞培養デバイスを使った、冷凍PD051010p.3/2細胞の培養に基づいている。
図13は、二次元培養デバイスを使って増殖した細胞の細胞接着効率を表す棒グラフである。
図13に示す結果は、粗い表面質感を有する、射出成形したGRILAMID(登録商標)で形成され、且つ、
図1A〜1Bに示した構成を有する細胞培養デバイスを使った、冷凍PD051010p.3/2細胞の培養に基づいている。
【0063】
図14は、様々なコーティングされた二次元培養デバイスを使って増殖した細胞の細胞接着効率を表す棒グラフである。
図14に示す結果は、滑らかな表面質感を有する、射出成形したLEXAN(登録商標)又はGRILAMID(登録商標)で形成され、且つ、
図2A〜2Dに示す構成を有する細胞培養デバイスを使った冷凍PD051010p.3/2細胞の培養に基づいている(図で示されている)。さらに、示されているように、
図14は、LEXAN(登録商標)又はGRILAMID(登録商標)キャリアにおいて、増殖培地タンパク質及び/又はポリリジンを使った表面処理の効果を実証している。示されているように、ポリリジン処理及び増殖培地タンパク質処理によって、細胞接着効率が概して上がった。
【0064】
図15は、コーティングされた二次元培養デバイスを使って増殖した細胞の細胞接着効率を表す棒グラフである。
図15に示す結果は、射出成形されて増殖培地タンパク質で事前にインキュベートされた粗い表面を有するGRILAMID(登録商標)で形成され、且つ、
図1A〜1Bに示した構成を有する細胞培養デバイスを使った、冷凍PD051010p.3/2細胞の培養に基づいている。
【0065】
図16は、デバイスのプラズマ表面処理をした場合、又はしていない場合の、様々なコーティングされた二次元培養デバイスを使って増殖した細胞の細胞接着効率を表す棒グラフである。
図16に示す結果は、滑らかな表面質感を有する射出成形したLEXAN(登録商標)又はGRILAMID(登録商標)で形成され、且つ、
図2A〜2Dに示す構成を有する細胞培養デバイスを使った冷凍PD051010p.3/2細胞の培養に基づいている(図に示す通り)。さらに、示した通り、
図16は、LEXAN(登録商標)又はGRILAMID(登録商標)キャリアにおいて、増殖培地タンパク質及び/又はプラズマ処理を使った表面処理の効果を実証している。示したように、プラズマ処理及び増殖培地タンパク質処理によって、細胞接着効率が概して上がった。
【0066】
実施例2:
本実験では、二次元培養デバイスで増殖した細胞を、2012年4月15日出願のPCT/IB2012/000933に記載される振動ベースの採取方法を使って採取した。二次元培養デバイスを、ダルベッコの最小必須培地(「DMEM」)にデバイスを220個浮遊させ、それらに、cm
2当たり3,000個の細胞の濃度でヒトの胎盤由来の接着性間質細胞を播種することによって準備した。細胞がデバイスに接着するように、やさしく混合しながらデバイスを一晩インキュベートした。一晩培養後、播種したデバイスのうち90〜100個を、150mlの完全DMEMが入った250mlスピナーフラスコに移し、37℃で3日間、5%のCO
2でインキュベートした。
【0067】
3日間の増殖後、以下のように、振動によって細胞をデバイスから採取した。スピナーフラスコ及び管をインキュベータから取り出し、培養デバイスのうち10個を細胞染色のために取り出した。細胞染色及び細胞計数によって採取効率を決定した。培養培地を破棄し、残りのデバイスをPBSで二回洗浄し、事前に温めた800mlのTrypLE溶液で充填されたコンテナ内に置いた。次に、直ちにデバイスを5Hzで5秒間、1Hzで5分間、5Hzで30秒間(すべて、25mmの振幅で)振動させた。振動に続いて、追加10個のデバイスを細胞染色のために取り出した。残りのデバイスに200mlのFBSを加えて、培地を2.500ml遠心器ボトルに移した。細胞を、1.200RPMで、10分間4℃で遠心分離し、細胞ペレットを再懸濁して、細胞計数を行った。
【0068】
7.8×10
6個の細胞が回収され、振動による採取は、これらのデバイスから細胞を回収するには有効な手段であることが示された。トリパンブルー色素排除によって、細胞は、95%の生存率を有することを示した。
【0069】
実施例3:
他の実験では、胎盤(PD020112)、脂肪(PLA25)及び骨髄(BM122)MSCを、175cm
2フラスコに、0.5×10
6個の細胞/フラスコで、全DMEM増殖培地(DMEM As22320 Cat. No. 041-96417A(GIBCO社)、10%のFBS Cat. No. S0115(BIOCHROM社)、1%のL−グルタミン Cat. No. G7513(SIGMA社))に播種した。細胞を37℃の加湿インキュベータで4日間インキュベートした。それぞれの細胞型をTrypLE(GIBCO Cat no. 12563-029)を使って採取した。次に、それぞれの細胞型を、全DMEMで、2つづつ、175cm
2フラスコと、2Dキャリアとの両方に播種した。続いて、0.5×10
6個の細胞をフラスコに播種し、1×10
6個の細胞を20mlのバイアル内の90個の2Dキャリアに播種した。フラスコを37℃のインキュベータでインキュベートした。接着させるため、2Dキャリアのバイアルを24時間転がし、次に、バスケット付きの250mlスピナーフラスコに移した。スピナーを、37℃のインキュベータ内の攪拌器上で、40RPMの撹拌速度でさらに3日間置いた。4日間の合計増殖時間後、細胞をフラスコ及び2DキャリアからTrypLEによって採取し、Casyセルカウンターで計数した。
【0070】
図17は、175cm
2フラスコと2DキャリアとのPDD(一日当たりの集団倍加)比較の棒グラフを示す。算出されたPDDは、2Dキャリアとフラスコとで、胎盤、骨髄及び脂肪細胞の増殖率の比較を示す。