(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール化合物(A)、ジイソシアネート化合物(B)及びカルボキシル基を有するジオール化合物(C)を反応させて得られるウレタンプレポリマー(D)と、ポリアミノ化合物(E)とを反応させて得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)、
2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(G)、
導電性フィラー(H)、
とを少なくとも有し、
ポリウレタンポリウレア樹脂(F)が、酸価が1〜6mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が18〜30mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)である、
導電性接着剤組成物。
ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)100質量部に対して、ポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)が30〜300質量部である、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
絶縁層と、導電性接着剤層とを少なくとも有する電磁波シールドフィルムであって、導電性接着剤層が請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性接着剤組成物からなる、電磁波シールドフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
<導電性接着剤組成物>
本発明の導電性接着剤組成物は、ポリオール化合物(A)、ジイソシアネート化合物(B)及びカルボキシル基を有するジオール化合物(C)を反応させて得られるウレタンプレポリマー(D)と、ポリアミノ化合物(E)とを反応させて得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(G)、導電性フィラー(H)、とを含み、ポリウレタンポリウレア樹脂(F)が、酸価が1〜6mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が18〜30mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)である、導電性接着剤組成物である。
本発明の導電性接着剤組成物に含まれるポリウレタンポリウレア樹脂(F)は、ポリオール化合物(A)、ジイソシアネート化合物(B)及びカルボキシル基を有するジオール化合物(C)を反応させて得られるウレタンプレポリマー(D)と、ポリアミノ化合物(E)とを反応させることにより得られる。
【0010】
(ポリオール化合物(A))
本発明におけるポリオール化合物は特に限定されず、ウレタン合成に用いられている公知のポリオールを用いることができる。このようなポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びその他のポリオールなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族系ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)及び/又は芳香族系ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、テレフタル酸など)と、低分子量グリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール,1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)とを縮重合したものが例示される。
このようなポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ−3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオールなどを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリネオペンチルカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネート)ジオール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
その他のポリオールの具体例としては、ダイマージオール、ポリブタジエンポリオール及びその水素添加物、ポリイソプレンポリオール及びその水素添加物、アクリルポリオール、エポキシポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、シロキサン変性ポリオール、α,ω−ポリメチルメタクリレートジオール、α,ω−ポリブチルメタクリレートジオールなどを挙げることができる。
【0011】
ポリオール化合物(A)の数平均分子量(Mn、末端官能基定量による)は、特に限定されないが、500〜3,000であることが好ましい。ポリオール化合物(A)の数平均分子量(Mn)が500未満であると、ウレタン結合の凝集力が発現し難くなって機械特性が低下する傾向にある。また、数平均分子量が3,000超の結晶性ポリオールは、皮膜化した際に白化現象を引き起こす場合がある。なお、ポリオール化合物(A)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
なお、ウレタンプレポリマー(D)を得るための反応成分として、必要に応じて、短鎖ジオール成分及び/又はジアミン成分を用いることも好ましい。これによりポリウレタンポリウレア樹脂(F)の硬さ、粘度などの制御が容易になる。短鎖ジオール成分の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(末端官能基定量による数平均分子量500未満);1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上);キシリレングリコールなどの芳香族グリコール及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上);ビスフェノールA、チオビスフェノール、スルホンビスフェノールなどのビスフェノール及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上);C1〜C18のアルキルジエタノールアミンなどのアルキルジアルカノールアミンなどを挙げることができる。
ジアミン化合物の具体例としては、短鎖のものとしては、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン化合物;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ジアミン化合物;シクロペンチルジアミン、シクロヘキシルジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン化合物などを挙げることができる。さらには、ヒドラジン、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジドなどのヒドラジン類を、ジアミン化合物として用いることができる。また長鎖のものとしては、長鎖アルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン、末端アミンポリアミド、シロキサン変性ポリアミン類などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
(ジイソシアネート化合物(B))
本発明におけるジイソシアネート化合物(B)は特に限定されないが、ポリウレタンの製造に用いられている従来公知のジイソシアネート化合物を用いることができる。ジイソシアネート化合物(B)の具体例としては、トルエン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDIなどの脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネートと、低分子量のポリオール又はポリアミンとを、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどを挙げることができる。
【0014】
(カルボキシル基を有するジオール化合物(C))
本発明におけるカルボシキル基を有するジオール化合物(C)は特に限定されないが、例えば、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸などのジメチロールアルカン酸;ジメチロールアルカン酸のアルキレンオキシド低モル付加物(末端官能基定量による数平均分子量500未満);ジメチロールアルカン酸のε−カプロラクトン低モル付加物(末端官能基定量による数平均分子量500未満);ジメチロールアルカン酸の酸無水物とグリセリンとから誘導されるハーフエステル類;ジメチロールアルカン酸の水酸基と、不飽和結合を有するモノマーと、カルボキシル基及び不飽和結合を有するモノマーと、をフリーラジカル反応させて得られる化合物などを挙げることができる。中でも、ジメチロールプロパン酸、及びジメチロールブタン酸などのジメチロールアルカン酸が、入手の容易さ、酸価の調整のしやすさなどの観点から好適である。
【0015】
(ウレタンプレポリマー(D))
本発明のウレタンプレポリマー(D)は、ポリオール化合物(A)、ジイソシアネート化合物(B)及びカルボキシル基を有するジオール化合物(C)とを反応させて得られる。
反応の際には、ポリオール化合物(A)とカルボキシル基を有するジオール化合物(C)とのヒドロキシル基に対するジイソシアネート化合物(B)との当量比は、1.1〜2.5であることが好ましい。上記範囲内とすることで、耐熱性、機械強度の高い導電性接着剤組成物が得られる点で好ましい。反応温度は特に制限されるものではないが、60〜100℃で行う態様を挙げることができる。
【0016】
(反応停止剤)
ポリオール化合物(A)、ジイソシアネート化合物(B)及びカルボキシル基を有するジオール化合物(C)とを反応させてウレタンプレポリマー(D)を得る際、ウレタンプレポリマーの分子量を調整することを目的として、必要に応じて反応停止剤を使用することができる。反応停止剤としては、モノアルコール化合物やモノアミン化合物、アルカノールアミン化合物等を使用することができる。モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール等を使用することができる。また、モノアミン化合物としては、ブチルアミン、ジブチルアミン等を使用することができる。また、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等を使用することができる。
【0017】
(ポリアミノ化合物(E))
本発明におけるポリアミノ化合物(E)は特に限定されないが、ポリウレア樹脂の製造に用いられている従来公知のポリアミノ化合物を用いることができる。ポリアミノ化合物(E)の具体例としては、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン等のジアミン類;アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アミノヘキシルエタノールアミン、アミノエチルプロパノールアミン、アミノプロピルプロパノールアミン、アミノヘキシルプロパノールアミン等のアミノアルキルアルカノールアミン類等の化合物が挙げられる。
【0018】
(ポリウレタンポリウレア樹脂(F))
本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂(F)は、酸価が1〜6mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が18〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用するものである。ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)の酸価は、より好ましくは1〜3mgKOH/g未満であり、さらに好ましくは1〜2.5mgKOH/gである。ポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)の酸価は、より好ましくは25mgKOH/g超〜30mgKOH/gであり、さらに好ましくは26〜30mgKOH/gである。
ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)の酸価が1〜6mgKOH/gであると、導電性接着フィルムとプリント配線板との密着性が向上する。
ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)の酸価は3未満であることが、仮貼り性や金めっき銅箔との密着性に優れる観点からより好ましい。
また、ポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)の酸価が18〜30mgKOH/gであると、導電性接着フィルムの仮貼り性が向上する。
ポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)の酸価は25超であることが、仮貼り性や金めっき銅箔との密着性に優れる観点からより好ましい。
また、上記の特定範囲の酸価を有するポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と(F−2)とを用いることにより、本発明の導電性接着組成物を用いて得られる導電性接着フィルムの耐リフロー性(耐熱性)が高まる。また、上記の特定範囲の酸価を有するポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と(F−2)とを用いることにより、仮貼り性と、本接着後の密着性の両立に寄与する。
ポリウレタンポリウレア樹脂(F)を構成するポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と(F−2)の組み合わせは、上記の特定範囲内であれば特に限定されない。このような組み合わせとしては、酸価が1〜6mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が18〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜3mgKOH/g未満であるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が18〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜2.5mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が18〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜6mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が25mgKOH/g超〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜3mgKOH/g未満であるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が25mgKOH/g超〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜2.5mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が25mgKOH/g超〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜6mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が26mgKOH/g〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜3mgKOH/g未満であるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が26mgKOH/g〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、酸価が1〜2.5mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が26mgKOH/g〜30mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)とを併用した組み合わせ、等が挙げられる。
さらに、ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)の酸価が3mgKOH/g未満のものとポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)の酸価が25mgKOH/g超であるものを組み合わせて用いることが、本接着後の密着性に優れる観点からより好ましい。
なお、ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と(F−2)は、それぞれの酸価の数値を満たすものであれば、二種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂の酸価は、JIS K 0070の中和滴定法に準拠し測定を行う。
また、ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)及び(F−2)のいずれについても、それらの重量平均分子量は、通常、50000〜100000である。
【0019】
なお、本発明の導電性接着剤を用いた導電性接着フィルムは、基材との密着性に優れるものであり、その基材への密着性には、ポリイミドフィルムのような樹脂板への密着性と、金メッキされた銅箔や導電性補強板のような金属材料への二つの密着性が含まれる。
本発明において、仮貼り性とは、補強板と導電性接着フィルム等が仮接着された後、これを所定の形状に打ち抜き加工したり、剥離性基材を剥離する際の、導電性接着フィルムと補強板との密着性を意味する。
また、本発明において、本接着後の密着性とは、プリント基板に導電性接着フィルム等を固定(本接着)した後の、プリント基板と導電性接着フィルムとの密着性のことをいう。なお、仮貼り性は、仮密着性、作業性ともいう。また、本接着後の密着性は、本密着性ともいう。
仮貼り性、本接着後の密着性の測定法については、実施例において詳述する。
【0020】
ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)とポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)の比率は、ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)100質量部に対して、ポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)が30〜300質量部であることが好ましい。ポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)とポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)の比率が上記範囲内であると、導電性接着フィルムとプリント配線板との密着性、仮貼り性や埋め込み性が向上する。
【0021】
(エポキシ樹脂(G))
本発明におけるエポキシ樹脂(G)は特に限定されないが、一分子に2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂を用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、スピロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テルペン型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等を使用することができる。
これらは1種単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0022】
2種以上のエポキシ樹脂を併用する場合には、エポキシ当量が800〜10000であるもの(エポキシ樹脂(G1))と、エポキシ当量が90〜300であるもの(エポキシ樹脂(G2))とを併用して使用するものであることが好ましい。この場合、エポキシ樹脂(G1)とエポキシ樹脂(G2)とは同種のものであってもよいし、化学構造が異なるものであってもよい。
【0023】
上記エポキシ樹脂(G1)としては、エポキシ当量が800〜10000であるものを使用することが好ましい。これによって、補強板との密着力がより向上するという点で好ましい。上記エポキシ当量の下限は、1000であることがより好ましく、1500であることが更に好ましい。上記エポキシ当量の上限は、5000であることがより好ましく、3000であることが更に好ましい。また、上記エポキシ樹脂(G1)としては、常温で固体のものを使用することが好ましい。常温で固体であるとは、25℃において無溶媒状態で流動性を有さない固体状態であることを意味する。
上記エポキシ樹脂(G1)として使用することができる市販のエポキシ樹脂としては、EPICLON4050、7050、HM−091、HM−101(商品名、DIC株式会社製)、jER1003F、1004、1004AF、1004FS、1005F、1006FS、1007、1007FS、1009、1009F、1010、1055、1256、4250、4275、4004P、4005P、4007P、4010P(商品名、三菱化学株式会社製)等を挙げることができる。
【0024】
上記エポキシ樹脂(G2)は、エポキシ当量が90〜300であることが特に好ましい。
これによって、樹脂の耐熱性が上がるという効果が得られる。上記エポキシ当量の下限は、150であることがより好ましく、170であることが更に好ましい。上記エポキシ当量の上限は、250であることがより好ましく、230であることが更に好ましい。また、上記エポキシ樹脂(G2)としては、常温で固体のものを使用することが好ましい。
上記エポキシ樹脂(G2)は、ノボラック型エポキシ樹脂であることが更に好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂密度が高いものであるにもかかわらず、他のエポキシ樹脂との混和性も良好であり、かつ、エポキシ基間の反応性の差も小さいため、塗膜全体を均一に高架橋密度にすることができる。
【0025】
上記ノボラック型エポキシ樹脂としては特に限定されず、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上述したようなエポキシ樹脂(G2)として使用することができる市販のエポキシ樹脂としては、EPICLON N−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−695、N−655−EXP−S,N−662−EXP−S、N−665−EXP、N−665−EXP−S、N−672−EXP、N−670−EXP−S、N−685−EXP、N−673−80M、N−680−75M、N−690−75M、N−740、N−770、N−775、N−740−80M、N−770−70M、N−865、N−865−80M(商品名、DIC株式会社製)、jER152、154、157S70(商品名、三菱化学株式会社製)、YDPN−638、YDCN−700、YDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5、YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704、YDCN−700−A(商品名、新日鐵化学株式会社製)等を挙げることができる。
【0026】
また、上記エポキシ樹脂(G2)としてノボラック型のエポキシ樹脂を使用する場合は、上記エポキシ樹脂(G1)は、常温で固体であるノボラック型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を使用することが好ましい。上記接着層をノボラック型エポキシ樹脂のみからなるものとすると、密着性が充分ではないという点で問題があるため、このようなノボラック型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(G1)を使用することが好ましい。
本発明において、ポリウレタンポリウレア樹脂(F)とエポキシ樹脂(G)との比率は、ポリウレタンポリウレア樹脂(F)100質量部に対して、エポキシ樹脂(G)が50〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜300質量部であり、本接着後の密着性に着目すると、更に好ましくは50〜200質量部である。比率を上記の範囲内とすることで、ポリウレタンポリウレア樹脂との架橋の度合いが好適に調整され、導電性接着剤組成物や電磁波シールドフィルムの可撓性、プリント配線板との密着性、仮貼り性や埋め込み性が良好となるからである。特にポリウレタンポリウレア樹脂(F)100質量部に対して、エポキシ樹脂(G)が50質量部以上であることで耐リフロー性、本接着後の密着性、樹脂板との密着性が向上し、一方、500質量部以下であることで、仮貼り性と金めっきなどの金属材料への密着性が向上する。
【0027】
(導電性フィラー)
本発明の導電性接着フィルムは、導電性フィラー(H)を含有する。上記導電性フィラー(H)としては特に限定されず、例えば、金属フィラー、金属被覆樹脂フィラー、カーボンフィラー及びそれらの混合物を使用することができる。上記金属フィラーとしては、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コ−ト銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉があり、これら金属粉は、電解法、アトマイズ法、還元法により作成することができる。
また、特にフィラー同士の接触を得やすくするために、導電性フィラーの平均粒子径が3〜50μmとすることが好ましい。また、導電性フィラーの形状としては、球状、フレーク状、樹枝状、繊維状などが挙げられる。
【0028】
上記導電性フィラー(H)は、接続抵抗、コストの観点から、銀粉、銀コート銅粉、銅粉からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
上記導電性フィラー(H)は、導電性接着剤組成物の全量に対して40〜90重量%の割合で含まれることが好ましい。
また、導電性接着フィルムには、耐ハンダリフロー性を劣化させない範囲で、シランカップリング剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤,充填剤,難燃剤等を添加してもよい。
【0029】
<導電性接着フィルム>
本発明の導電性接着フィルムは、剥離性基材(離型フィルム)に導電性接着剤組成物をコーティングすることにより作製することができる。なお、コーティング方法は特に限られず、ダイコート、リップコート、コンマコート等に代表される公知のコーティング機器を用いることができる。
【0030】
離型フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のベースフィルム上に、シリコン系または、非シリコン系の離型剤を、導電性接着剤層が形成される側の表面に塗布されたものを使用することができる。なお、離型フィルムの厚みは特に限定されるものではなく、適宜使い易さを考慮して決定される。
【0031】
離型フィルムに導電性接着剤組成物をコーティングする際の条件は、適宜設定すれば良い。得られた導電性接着剤層の厚みは15〜100μmであることが好ましい。15μmより薄いと、埋め込み性が不十分になり、100μmより厚くなると、コスト的に不利であり薄膜化の要求に応えられなくなる。このような厚みのものとすることで、基材に凹凸が存在する場合に適度に流動することによって凹部を埋めるような形状に変形し、密着性よく接着することができる点で好ましい。
【0032】
<異方性導電性接着剤層、等方性導電性接着剤層>
本発明の導電性接着剤組成物は、使用目的に応じて、異方性導電性接着剤層や等方性導電性接着剤層として使用することができる。例えば、以下で詳述する金属層を有さない電磁波シールドフィルムや、補強板と接着するための導電性接着フィルムとして本発明の導電性接着剤組成物を使用する場合には、等方性導電性接着剤層として使用することができる。
また、金属層を有する電磁波シールドフィルムの場合は、等方性導電性接着剤層又は異方性導電性接着剤層として使用することができるが、異方性導電性接着剤層として使用することが好ましい。
【0033】
なお、これらは導電性フィラー(H)の配合量によっていずれかのものとすることができる。異方性導電性接着剤層とするためには、導電性フィラーを導電性接着剤組成物の全固形分中で5重量%以上40重量%未満とすることが好ましい。等方性導電性接着剤層とするためには、導電性フィラー(H)を導電性接着剤組成物の全固形分中で40重量%以上90重量%以下とすることが好ましい。
【0034】
(電磁波シールドフィルム)
本発明の導電性接着剤組成物を用いた電磁波シールドフィルムは、導電性接着剤層と、保護層とを有することが好ましい。保護層としては、絶縁性樹脂組成物であれば特に限定されず、公知の任意のものを使用することができる。また、保護層は、上述した導電性接着剤層に使用される樹脂成分(導電性フィラーを除いたもの)を使用してもよい。また、保護層は、組成や硬度が異なる2以上の層から形成されていても良い。また、保護層には、必要に応じて硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
【0035】
上記電磁波シールドフィルムは、導電性接着剤層の厚みが3〜30μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが3μm未満であると、グランド回路との充分な接続が得られないおそれがあり、30μmを超えると薄膜化の要請に応えられない点で好ましくない。
【0036】
次に本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法の具体的態様について説明する。
例えば、剥離性フィルムの一方の面に保護層用樹脂組成物をコーティング・乾燥し、保護層を形成し、該保護層上に、前記導電性接着剤組成物をコーティング・乾燥し、導電性接着剤層を形成する方法等を挙げることができる。
例示したような製造方法により、導電性接着剤層/保護層/剥離性フィルムという積層状態の電磁波シールドフィルムを得ることができる。
【0037】
導電性接着剤層及び保護層を設ける方法としては、従来公知のコーティング方法、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等により行うことができる。
【0038】
電磁波シールドフィルムは、熱プレスによってプリント配線板上に接着させることができる。電磁波シールド層の導電性接着剤層は、加熱により軟かくなり、加圧により、プリント配線板上に設けられたグランド部に流れ込む。これによって、グランド回路と導電性接着剤とが電気的に接続され、シールド効果を高めることができる。
【0039】
電磁波シールドフィルム及び導電性接着剤を貼り付けたプリント配線板の模式図を
図1として示した。
図1においては、グランド部5と接触するように導電性接着剤層4が形成されたものである。本発明の導電性接着剤層4は、適度な流動性を有することから、埋め込み性が良好であり、グランド部5において良好な電気的接続を行うことができる。
【0040】
(金属層を有する電磁波シールドフィルム)
本発明の電磁波シールドフィルムは、金属層を有するものであってもよい。金属層を有するものとすることで、より優れた電磁波シールド性能を得ることができる。
金属層を形成する金属材料としては、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、及び、これらの材料の何れか、または2つ以上を含む合金などを挙げることができる。また、金属層の金属材料及び厚みは、求められる電磁シールド効果及び繰り返し屈曲・摺動耐性に応じて適宜選択すればよいが、厚さにおいては、0.1μm〜8μm程度の厚さとすればよい。尚、金属層の形成方法としては、電解メッキ法、無電解メッキ法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、CVD法、メタルオーガニックなどがある。また、金属層は、金属箔や金属ナノ粒子であってもよい。
【0041】
このような金属層を有する電磁波シールドフィルムは、上述した電磁波シールドフィルムと同様の方法によって製造することができ、導電性接着剤層/金属層/保護層/剥離性フィルムという構成とすることが好ましい。
【0042】
金属層を有する電磁波シールドフィルムを使用した回路基板を
図2として示した。
図2においては、金属層3が導電性接着剤層4を介してグランド部5と電気的に接続することで、電磁波シールド性能を得るものである。その際、導電性接着剤層4は、適度な流動性を有することから、埋め込み性が良好であり、グランド部5において良好な電気的接続を行うことができる。
【0043】
本発明の電磁波シールドフィルムを貼着することのできる被着体としては、例えば、繰り返し屈曲を受けるフレキシブル基板を代表例として挙げることができる。もちろん、リジッドプリント配線板にも適用できる。さらに、片面シールドのものに限らず、両面シールドのものも含まれる。
【0044】
電磁波シールドフィルムは、加熱・加圧により基板上に接着することができる。このような加熱・加圧における熱プレスは、通常の条件において行うことができ、例えば、1〜5MPa、140〜190℃、15〜90分という条件で行うことができる。
【0045】
<接着方法>
次に、本発明の導電性接着フィルムの使用方法について説明する。この導電性接着フィルムは、その用途を特に限定するものではないが、例えば、回路基板に補強板を接着するのに使用される。特に、補強板が導電性のものであるとき、この導電性補強板を接着させるだけでなく、回路基板本体におけるグランド電極と、この導電性補強板とを電気的に導通させる目的で使用される。
【0046】
なお、回路基板本体の材料としては、絶縁性を有し、絶縁層を形成することができる材料であればどのようなものでもよいが、その代表例としてポリイミド樹脂が挙げられる。
導電性補強板として、金属板を用いることが好ましく、金属板として、ステンレス板、鉄板、銅板またはアルミ板などを用いることができる。これらの中でもステンレス板を用いることがより好ましい。ステンレス板を用いることにより、薄い板厚でも電子部品を支えるのに十分な強度を有する。導電性補強板の厚さは、特に限定はされないが0.025〜2mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。導電性補強板が、この範囲内にあれば、導電性補強板を接着した回路基板を、小型機器に無理なく内蔵でき、また、実装された電子部品を支えるのに十分な強度を有する。また、補強板の表面には、Ni等の金属層がめっき等によって形成されていても良い。また、金属補強板の表面は、サンドブラストやエッチング等によって凹凸形状が付与されていてもよい。
なお、ここでいう電子部品としては、コネクタやICの他、抵抗器、コンデンサー等のチップ部品などを挙げることができる。
【0047】
本発明の導電性接着フィルムを用いた接着方法においては、上述した導電性接着フィルムを補強板又はフレキシブル基板である被接着基材(X)上に仮接着する工程(1)及び工程(1)によって得られた導電性接着フィルムを有する被接着基材(X)にフレキシブル基板又は補強板である被接着基材(Y)を重ね、熱プレスする工程(2)を有する接着方法である。
【0048】
上述した導電性接着フィルムは、特に、フレキシブル回路基板におけるフレキシブル基板と補強板との接着に好適に使用することができる。すなわち、補強板として導電性である金属板等を使用し、これを導電性接着フィルムでフレキシブル回路基板に接着することで、補強板による電磁波遮蔽能を得ることができる。
このような手法によって、補強板を接着する場合に良好な接着性能を得るという点で本発明の導電性接着フィルムは特に優れた効果を有する。即ち、導電性接着フィルムを補強板又はフレキシブル基板である被接着基材(X)上に仮接着する工程(1)及び工程(1)によって得られた導電性接着フィルムを有する被接着基材(X)にフレキシブル基板又は補強板である被接着基材(Y)を重ね、熱プレスする工程(2)のいずれにおいても、本発明の導電性接着剤は優れた密着力及び高温環境における耐久性を示す。
本発明の接着方法においては、まず、導電性接着フィルムを被接着基材(X)上に仮接着する。被接着基材(X)は、補強板であってもフレキシブル基板であってもよいが、補強板であることが好ましい。仮接着は、その条件を特に限定されるものではなく、導電性接着フィルムを被接着基材上に固定して、ずれることなく接着されるものであればよいが、点接着ではなく面接着とすることが好ましい。すなわち、接着面全面で仮接着することが好ましい。
【0049】
仮接着はプレス機で行うことができ、その接着条件は適宜設定することができるが、例えば、温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaという条件を挙げることができる。
工程(2)は、工程(1)によって得られた導電性接着フィルムを有する被接着基材(X)にフレキシブル基板又は補強板である被接着基材(Y)を重ね、熱プレスする工程である。
なお、被接着基材(X)と被接着基材(Y)は、一方が補強板で、一方がフレキシブル基板という関係になる。
熱プレスする際の条件は適宜設定することができるが、例えば、1〜5MPa、140〜190℃、15〜90分という条件で行うことができる。
【0050】
<回路基板>
本発明の導電性接着フィルムを用いた回路基板は、プリント配線板、導電性接着フィルム及び導電性補強板をこの順に積層した部位を少なくとも一部に有する回路基板である。このような回路基板は、上述した接着方法によって接着されたものであってもよいし、その他の接着方法によって得られたものであってもよい。なお、このような回路基板の模式図を
図3、
図4に示す。
図3においては、回路基板と補強板が本発明の導電性接着フィルムによって接着され、電気的にも接続されている。
図4においては、回路基板は、カバーレイと、絶縁性接着剤層と、表面の一部が金メッキ層で覆われた銅箔からなる配線パターンと、ベース部材と、が順に積層されている。なお、CB処理等を施すことにより、絶縁性接着剤層を省略することもできる。カバーレイ及びベース部材を構成する材料としては、絶縁性を有し、絶縁層を形成することができる材料であればどのようなものでもよいが、その代表例としてポリイミド樹脂が挙げられる。また、カバーレイの一部には開口部が設けられており、開口部からはグランド回路の一部が露出している。そして、開口部には本発明の導電性接着剤組成物が充填される。これにより、グランド回路は、本発明の導電性接着剤組成物によって導電性補強板と導通状態で接合されている。また、補強板を外部グランド部材と接続させることにより、補強板を介してグランド回路を外部グランドに接地させることもできる。また、前記ベース部材の他方面における前記導電性補強板に対応する位置には、電子部品が配置されている。このような構成とすることで、前記導電性補強部材が電子部品の実装部位を補強している。
なお、上記回路基板においては、導電性補強板は、回路基板の一部においてのみ存在するものであることが好ましい。すなわち、回路基板において電子部品を有する部分を導電性補強板が被覆するものであることが好ましい。
【0051】
本発明の導電性接着フィルムを用いた回路基板においては、上述したような補強板が回路基板を被覆した面以外の面の少なくとも一部が、電磁波シールドフィルムによって被覆されたものであることが好ましい。即ち、電磁波シールドフィルムは、補強板が回路基板を被覆した面以外の面の一部のみを被覆してもよく、補強板が回路基板を被覆した面以外の面の全部を被覆してもよい。この場合において、電磁波シールドフィルムが、補強板の少なくとも一部と重ね合っていてもよい。これによって、回路基板全面において良好な電磁波シールド性能が得られる点で好ましい。
【0052】
従来技術では、樹脂製補強板とポリイミドフィルム等との密着性のみに着目した例は知られているが、従来技術の接着剤組成物を用いて金属板等の導電性補強板とポリイミドフィルム等とを貼り合わせると、加工性や耐久性に課題があることが明らかになった。即ち、樹脂製補強板と導電性補強板とでは、プリント基板に固定した後の樹脂基材(ポリイミドフィルム等)との密着性が求められる点では共通する。しかしながら導電性補強板には、これらの特徴に加えて、導電性接着フィルムを補強板に貼り付けて所定の形状に打ち抜き加工する際の仮貼り性、カバーレイに設けられた数mmφの開口部に導電性接着フィルムを充填した後の耐リフロー性及び金属製配線パターンとの密着性も求められる。従来から知られている接着剤組成物では、これら特性を全て満足できず、仮貼り性や耐リフローが不十分であった。これは、樹脂製補強板を用いる際にはカバーレイに設けられた開口部に接着剤組成物を充填する必然性が無いため、本発明のような耐リフロー性を満たす必要が無かったためである。耐リフロー性が良好であるためには、数mmφ程度の開口部に導電性接着剤組成物を十分に充填させるだけでなく、265℃程度のリフロー工程を通過した後も配線パターンと接続しなければならず、従来技術の接着剤組成物よりも優れた物性が求められる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0055】
(1)ポリウレタンポリウレア樹脂(F)の作製
<合成例1>
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)1.4g、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル株式会社製、末端官能基定量による数平均分子量2000) 200.0g、ジメチルホルムアミド(DMF)83.5gを仕込み、次いでイソフォロンジイソシアネート(IPDI)49.0g(OH基に対しNCO基が2倍当量)を仕込み、90℃に加熱し、NCO%が2.8%に到達するまで反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。次いで、DMF83.5gを仕込み、40℃以下まで冷却した。
次いで、DMF/イソプロピルアルコール(IPA)を7/3質量部の比率で混合した混合溶媒175gにてイソホロンジアミン(IPDA)17.5gを希釈し、希釈液を滴下し、ウレタンプレポリマーのNCO基と反応させた。
なお、イソホロンジアミンとウレタンプレポリマーのNCO基とを反応させる際には、赤外吸収スペクトル分析にて測定される、遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで撹拌を行い、固形分が30%となるように、DMF/イソプロピルアルコール(IPA)を7/3質量部の比率で混合した混合溶媒を適量添加した。このようにして、酸価が2.2mgKOH/g、重量平均分子量6.8万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール=80/20)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−1)を得た。
【0056】
<合成例2>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が26.4mgKOH/g、重量平均分子量6.5万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−2−1)を得た。
【0057】
<合成例3>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が1.0mgKOH/g、重量平均分子量6.7万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−2)を得た。
【0058】
<合成例4>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が5.0mgKOH/g、重量平均分子量6.7万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−3)を得た。
【0059】
<合成例5>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が6.0mgKOH/g、重量平均分子量6.8万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−4)を得た。
【0060】
<合成例6>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が20.0mgKOH/g、重量平均分子量6.9万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−2−2)を得た。
【0061】
<合成例7>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が28.0mgKOH/g、重量平均分子量6.8万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−2−3)を得た。
【0062】
<合成例8>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が3.1mgKOH/g、重量平均分子量6.9万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−5)を得た。
【0063】
<比較合成例1>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が10.4mgKOH/g、重量平均分子量6.6万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−6)を得た。
【0064】
<合成例9>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が25.0mgKOH/g、重量平均分子量6.5万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−2−4)を得た。
【0065】
<合成例10>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が18.0mgKOH/g、重量平均分子量6.7万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−2−5)を得た。
【0066】
<比較合成例2>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が32.0mgKOH/g、重量平均分子量6.8万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−2−6)を得た。
【0067】
<比較合成例3>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が0.5mgKOH/g、重量平均分子量6.7万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−7)を得た。
【0068】
<比較合成例4>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が9.0mgKOH/g、重量平均分子量6.7万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−1−8)を得た。
【0069】
<比較合成例5>
ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)/イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載の量としたこと以外は、合成例1と同様にして合成を行い、酸価が15.0mgKOH/g、重量平均分子量6.8万、固形分30%(DMF/イソプロピルアルコール)のポリウレタンポリウレア樹脂(F−2−7)を得た。
【0070】
上記の手順により作製したポリウレタンポリウレア樹脂について、その組成等を表1に示す。
【0071】
【表1-1】
【0072】
【表1-2】
【0073】
(2)導電性接着フィルムの作製
各実施例及び各比較例の導電性接着フィルムの製造方法について説明する。上記で作製したポリウレタンポリウレア樹脂(F)55質量部に対して、エポキシ樹脂45質量部を、表2の通り配合して導電性接着剤組成物を作製した。なお、エポキシ樹脂の組成は、フェノキシタイプのエポキシ樹脂(商品名jER4275、三菱化学製)20質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名jER152、三菱化学製)20質量部、ゴム変性エポキシ樹脂(商品名ERP−4030、旭電化製)5質量部とした。これを、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ドクターブレイド(板状のヘラ)を用いてハンドコートし、100℃×3分の乾燥を行って導電性接着フィルムを作製した。なお、ドクターブレイドは、作製する導電性接着フィルムの厚みにより、1mil〜5mil品を適切に選択する。なお、1mil=1/1000インチ=25.4μmである。なお、各実施例及び各比較例においては、導電性接着フィルムの厚みが所定の厚みとなるように作製した。なお、導電性接着フィルムの厚みは、マイクロメータによって測定したものである。
また、導電性フィラーとしては、以下のものを使用した。
導電性フィラー:銀コート銅粉(平均粒径15μm、デンドライト状、福田金属箔粉工業株式会社製)
【0074】
【表2】
【0075】
(3)金属補強板付き回路基板の作製
上記で作製した導電性接着フィルム(ポリエチレンテレフタレート製の剥離材付)と厚さ200μmの金属補強板(SUS板の表面をNiメッキしたもの)とを、プレス機を用いて温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaの条件で仮貼りし、金属補強板付き導電性接着フィルムを作製した。次いで、導電性接着フィルム上のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、フレキシブル基板に上記熱圧着と同じ条件で金属補強板付き導電性接着フィルムを接着した後、さらにプレス機で温度:170℃、時間:30分、圧力:3MPaの条件で接着して、金属補強板付き回路基板を作製した。なお、フレキシブル基板としては、
図3に示すように、ポリイミドフィルム1の上に銅箔10を形成し、その上にポリイミドフィルムからなるカバーレイ9を絶縁性接着剤層6を介して積層させ、カバーレイ9には直径1.0mmのグランド接続部を模擬した開口部11を形成させた銅張積層板を用いた。
【0076】
(4)物性評価
得られた金属補強板付き回路基板について、以下の評価基準に基づいて評価した。それぞれの評価結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
(耐リフロー性)
耐リフロー性の評価を行った。なお、リフローの条件としては、鉛フリーハンダを想定し、金属補強板付き回路基板におけるポリイミドフィルムの温度が265℃に5秒間曝されるような温度プロファイルを設定した。具体的には、上記で作製した金属補強板付き回路基板を熱風リフローに5回通過させ、開口部6における膨れの個数を目視で観察した。
なお、開口部6の個数は90個とした。
【0079】
(仮貼り性)
金属補強板と導電性接着フィルムとを仮貼りした後の密着力を、180°ピール試験により測定した。具体的には、金属補強板と導電性接着フィルムとを、プレス機を用いて温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaの条件で仮貼りした。次いで、
図5に示すように、導電性接着フィルムを、常温で引張試験機(島津製作所(株)製、商品名AGS−X50S)で引張速度50mm/分、剥離角度180°にて剥離し、破断時の最大値を測定した。0.6N/cm以上であれば問題なく使用できる。
【0080】
(本接着後の密着性)
金属補強板付き導電性接着フィルムとポリイミドフィルムとを接着した後の密着力を、90°ピール試験により測定した。具体的には、導電性接着フィルムと厚さ200μmの金属補強板(SUS板の表面をNiメッキしたもの)とを、プレス機を用いて温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaの条件で仮貼りし、金属補強板付き導電性接着フィルムを作製した。次いで、導電性接着フィルム上のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、銅箔が積層されたポリイミドフィルム(以下、銅箔積層フィルム)のポリイミドフィルム面側と導電性接着フィルムとを、上記熱圧着と同じ条件で接着した後、さらにプレス機で温度:170℃、時間:30分、圧力:3MPaの条件で接着して、金属補強板付き銅箔積層フィルムを作製した。次いで、
図6に示すように、銅箔積層フィルムを、常温で引張試験機(島津製作所(株)製、商品名AGS−X50S)で引張速度50mm/分、剥離角度90°にて剥離し、破断時の最大値を測定した。10N/cm以上であれば問題なく使用できる。なお、
図6中の16で示した矢印側に銅箔が全面に積層されていることを示し(不図示)、その反対側はポリイミドフィルムがむき出しである。
【0081】
(ポリイミドフィルムとの密着性)
導電性接着フィルムとポリイミドフィルムとの密着性を、90°ピール試験により測定した。具体的には、導電性接着フィルムと厚さ200μmのSUS板製金属補強板とを、プレス機を用いて温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaの条件で仮貼りし、金属補強板付き導電性接着フィルムを作製した。次いで、導電性接着フィルム上のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、銅箔積層フィルムのポリイミドフィルム面側と導電性接着フィルムとを、上記熱圧着と同じ条件で接着した後、さらにプレス機で温度:170℃、時間:30分、圧力:3MPaの条件で接着して、金属補強板付き銅箔積層フィルムを作製した。次いで、
図7に示すように、導電性接着フィルムを、常温で引張試験機(島津製作所(株)製、商品名AGS−X50S)で引張速度50mm/分、剥離角度90°にて剥離し、破断時の最大値を測定した。10N/cm以上であれば問題なく使用できる。なお、
図7中の16で示した矢印側に銅箔が全面に積層されていることを示し(不図示)、その反対側はポリイミドフィルムがむき出しである。
【0082】
(金メッキ銅箔との密着性)
銅張積層板の銅箔の表面に形成された金メッキと導電性接着剤との密着性を、90°ピール試験により測定した。具体的には、導電性接着フィルムと厚さ200μmのSUS板製金属補強板とを、プレス機を用いて温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaの条件で仮貼りし、金属補強板付き導電性接着フィルムを作製した。次いで、銅箔積層フィルムの銅箔の表面に金めっき層を形成した銅箔積層フィルムの金めっき層と導電性接着フィルムとを、上記熱圧着と同じ条件で接着した後、さらにプレス機で温度:170℃、時間:30分、圧力:3MPaの条件で接着して、金属補強板付き銅箔積層フィルムを作製した。次いで、
図8に示すように、銅箔積層フィルムを、常温で引張試験機(島津製作所(株)製、商品名AGS−X50S)で引張速度50mm/分、剥離角度90°にて剥離し、破断時の最大値を測定した。10N/cm以上であれば問題なく使用できる。
ポリオール化合物(A)、ジイソシアネート化合物(B)及びカルボキシル基を有するジオール化合物(C)を反応させて得られるウレタンプレポリマー(D)と、ポリアミノ化合物(E)とを反応させて得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(G)、導電性フィラー(H)、とを少なくとも有し、ポリウレタンポリウレア樹脂(F)が、酸価が1〜6mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂(F−1)と、酸価が18〜30mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂(F−2)である、導電性接着剤組成物を提供する。