特許第5931306号(P5931306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5931306オブジェクトを塗布するためのシステム及びプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931306
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】オブジェクトを塗布するためのシステム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   B05C 13/02 20060101AFI20160526BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20160526BHJP
   B05C 3/02 20060101ALI20160526BHJP
   B05D 1/18 20060101ALN20160526BHJP
   B05D 1/40 20060101ALN20160526BHJP
【FI】
   B05C13/02
   B05C11/08
   B05C3/02
   !B05D1/18
   !B05D1/40 Z
【請求項の数】26
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-3534(P2016-3534)
(22)【出願日】2016年1月12日
(62)【分割の表示】特願2015-184406(P2015-184406)の分割
【原出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-73977(P2016-73977A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年1月15日
(31)【優先権主張番号】61/490,434
(32)【優先日】2011年5月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512244716
【氏名又は名称】アドヴェニラ エンタープライジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】リャボーヴァ,エルミラ
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−054737(JP,A)
【文献】 特開平09−010684(JP,A)
【文献】 特開2004−071186(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0178414(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/025498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 11/00−13/02
B05C 3/00− 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを塗布するシステムであって、
前処理ユニットと、
第1加工ユニットであって、塗布溶液を保存するための、かつ、前記塗布溶液内に前記オブジェクトを浸漬するための第1塗布容器を備える、第1加工ユニットと、
前記第1塗布容器と流体連通し、前記第1塗布容器と再循環ループを形成する第1流体貯蔵容器であって、前記再循環ループは、前記再循環ループ内の前記塗布溶液に超音波エネルギーを付与することによって前記塗布溶液内のゲル化を逆転するための1以上の超音波変換器を備える、第1流体貯蔵容器と、
第1後処理ユニットと、
1以上の塗布装置であって、
前記1以上の塗布装置の各々が、第1ジンバル、第2ジンバル及び2つのオブジェクトホルダを備え、
前記第1ジンバルは、第1モータに接続された第1シャフトに取り付けられ、
前記第2ジンバルは、第2及び第3モータにそれぞれ接続された第2及び第3シャフトを用いて前記第1ジンバル内に回転可能に取り付けられ、
2つの前記オブジェクトホルダは、前記第2ジンバル内に取り付けられ、かつ、前記オブジェクトが2以上の軸を中心に又は2以上の軸の周囲で回転させられる時に前記オブジェクトに係合し、前記2以上の軸を中心にした又は前記2以上の軸の周囲での前記オブジェクトの同時の回転によって形成された多方向の遠心力を用いて前記オブジェクトの複雑面上で前記塗布溶液を分散させるように構成され、
前記2以上の軸の第1軸は、前記第1ジンバルに取り付けられた前記第1シャフトによって規定され、
前記2以上の軸の第2軸は、前記第1ジンバル内で前記第2ジンバルに取り付けられた前記第2及び第3シャフトによって規定される、1以上の塗布装置と、
前記1以上の塗布装置の各々を移動させる追跡部であって、
前記追跡部は、前記前処理ユニット、前記第1加工ユニット及び前記第1後処理ユニットの間に延在し、かつ、前記前処理ユニットと前記第1加工ユニットとの間及び前記第1加工ユニットと前記第1後処理ユニットとの間で前記1以上の塗布装置の各々を移動させるように構成され、かつ、前記前処理ユニット、前記第1加工ユニット及び前記第1後処理ユニットの各々の上に前記1以上の塗布装置の各々を位置付けるように構成される、追跡部と、を備えるシステム。
【請求項2】
第1移動ユニット及び第2移動ユニットをさらに備え、前記第1移動ユニットは前記前処理ユニットと前記第1加工ユニットとの間に位置付けられ、前記第2移動ユニットは前記第1加工ユニットと前記第1後処理ユニットとの間に位置付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1塗布容器は、前記1以上の塗布装置の1つが前記第1塗布容器上に位置付けられる時に垂直に上方及び下方に移動するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1以上の塗布装置の各々は、前記1以上の塗布装置の各々が前記第1塗布容器上にある時に垂直に下方及び上方に移動するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1後処理ユニットは、紫外線照射サブユニット、可視線照射サブユニット及び赤外線照射サブユニットの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
照射の波長、強度及び期間の少なくとも1つは、前記紫外線照射サブユニット、前記可視線照射サブユニット及び前記赤外線照射サブユニットの少なくとも1つで変更可能である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
第2加工ユニットと、
第2後処理ユニットと、をさらに備え、
前記第2加工ユニットは、前記第1後処理ユニットから前記1以上の塗布装置の各々を受け取るように構成され、
前記第2後処理ユニットは、前記第2加工ユニットから前記1以上の塗布装置の各々を受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1加工ユニットは、前記第2後処理ユニットから前記1以上の塗布装置の各々を受け取り、前記1以上の塗布装置の各々のための走行回路を形成するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1以上の塗布装置の各々は、前記前処理ユニットから前記第2後処理ユニットに、及び、前記第2後処理ユニットから前記前処理ユニットに、移動可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2後処理ユニットの後に出口ポートをさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記2以上の軸は同一点で交差する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記1以上の塗布装置の各々は、前記塗布溶液内に前記オブジェクトを浸漬し、かつ、前記塗布溶液から前記オブジェクトを引き抜くように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記1以上の塗布装置の各々は、前記2以上の軸を中心に又は前記2以上の軸の周囲で前記オブジェクトを回転させ、前記オブジェクトが前記塗布溶液から引き抜かれる間に多方向の遠心力を用いて前記オブジェクトの前記複雑面上に前記塗布溶液を再分散させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1以上の塗布装置の各々の少なくとも一部は前記塗布溶液内に浸漬可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記1以上の塗布装置の各々の少なくとも1つの浸漬可能な前記一部は不活性物質で被覆される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1ジンバルは、円、半円、四分円、正方形、長方形及び八角形から構成される群から選択された形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記1以上の塗布装置の各々が、約150〜500RPMの回転速度で前記2以上の軸の各々を中心に又は前記2以上の軸の各々の周囲で前記オブジェクトを回転させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、前記2以上の軸の各々を中心にした又は前記2以上の軸の各々の周囲での前記オブジェクトの回転の速度を制御して、前記オブジェクトの前記複雑面上での前記塗布溶液の目標の厚さ及び目標の均一性を達成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、前記2以上の軸の各々の時間進行を制御して、前記オブジェクトの前記複雑面上での前記塗布溶液の目標の厚さ及び目標の均一性を達成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは、前記2以上の軸の各々の向きを制御して、前記オブジェクトの前記複雑面上での前記塗布溶液の目標の厚さ及び目標の均一性を達成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記前処理ユニットはプラズマヘッドを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記プラズマヘッドは6つの回転軸を有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記1以上の塗布装置の各々は、前記プラズマヘッドを用いて前処理されている間に、前記オブジェクトに係合し、前記2以上の軸を中心に又は前記2以上の軸の周囲で前記オブジェクトを回転させるように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記プラズマヘッドは、大気圧プラズマ又は酸素プラズマを生成するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記システムは、複数の塗布装置を備え、前記複数の塗布装置の各々は、前記前処理ユニット、前記第1加工ユニット及び前記第1後処理ユニットの異なる1つにそれぞれ一度に設けられ得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記1以上の塗布装置の各々は、前記2以上の軸を中心に又は前記2以上の軸の周囲で前記オブジェクトを回転させ、同時に、垂直方向に前記オブジェクトを移動させて前記塗布溶液に前記オブジェクトを浸漬する又は前記塗布溶液から前記オブジェクトを引き抜くように構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年5月26日に「オブジェクトを塗布するための方法及び装置」の発明の名称で出願された米国特許仮出願第61/490,434号の優先権を主張し、その開示が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
[0001] 複雑面を有するオブジェクトに均一な塗布を可能にするシステム及びプロセスが開示される。また、オブジェクトと、オブジェクトに共有結合された薄膜と、を備える複合体が開示される。
【背景技術】
【0003】
[0002] ディスク塗布は、通常、浸漬塗布、スピン塗布及び浸漬スピン塗布などの方法によって行われる。浸漬塗布では、ディスクが塗布液の中に浸漬させられて取り除かれることにより、余分な材料はディスクから排出されることができる。スピン塗布では、ディスクを回転可能なスピンドル上に水平面に置く。塗布液は、スピンするディスクの上面に塗布され、次いで仮想遠心力によりディスクの表面に亘って広げられる。浸漬スピン塗布では、オブジェクトを塗布液の中に水平面に浸漬させ、次いで取り除き水平面にスピンさせて余分な液を取り除く。修正された浸漬スピン塗布機は、ディスクを垂直面に回転させるスピンドルを使用する。この手法では、ディスクの縁部を塗布液の中に浸漬させ、回転させてディスクの両面の最外部に塗布する。次いでディスクを塗布液から取り除き、水平面内でスピンさせて余分な塗布液を取り除く。米国特許出願公開第2004/0202793号明細書を参照されたい。
【0004】
[0003] ロール塗布機は、主に平面に塗布するために使用されてきた。
【0005】
[0004] 前述のそれぞれにおいて、薄膜はオブジェクトの平面と同一面にある平面を有する。
【0006】
[0005] これらの先行技術において、典型的なディスク又は平面より複雑なオブジェクトの表面に均一に塗布するように設計された塗布機はない。従って、本発明の目的は、複雑面を有するオブジェクトに塗布することができる塗布システム及びプロセスを提供することである。
【発明の概要】
【0007】
[0006] 好ましい実施形態では、オブジェクトを塗布するためのシステムは、4つの構成部品、すなわち(1)前処理ユニット、(2)第1の加工ユニット、(3)第1の後処理ユニット及び(4)それぞれがオブジェクトを係合し、オブジェクトを2つ以上の軸を中心に又は2つ以上の軸の周囲を回転させるように構成された、1つ又は複数の塗布装置を備える。該システムは、塗布装置が前処理ユニットと第1の処理ユニットとの間、及び、第1の加工ユニットと第1の後処理ユニットとの間を移動できるように構成される。該システム及び/又はユニットは、システム又はユニット内の温度及び大気を制御することができるように封入されることが好ましい。
【0008】
[0007] 追跡構造を様々なユニットの上のシステムの中に組み込むことができる。追跡システムは、追跡部並びに塗布装置が追跡部を通過するときに塗布装置を移動させ、塗布装置を処理ユニット及び加工ユニット内の適切な位置に停止させるための適切な駆動及び制御機構を含む。
【0009】
[0008] システムは、塗布されるオブジェクトを塗布装置に取り付けることができるように、前処理ユニットの前に又は前処理ユニットから上流に入口ポートを有することが好ましい。より好ましくは、オブジェクトをシステムの封入された部分の外部にある、塗布装置に取り付ける。後者の場合、追跡システムは、好ましくは閉囲されたシステムから外方に延在し、塗布装置を支持する。従って、塗布装置を、追跡システムを介して入口ポートと通って、前処理及び必要に応じて他のユニットの中に移動できる。オブジェクトが塗布され処理された後、システムは、オブジェクトを入口ポートから取り除くことができるように、塗布装置の動きを逆転させる。
【0010】
[0009] 好ましい実施形態では、システムは、後処理ユニットの後に出口ポートを含む。このような構成によって、その中で第1の塗布装置が、前処理ユニットからシステムに入り、塗布される処理ユニットに移動し、照射のために後処理ユニットに移動し、出口ポートを介して出ることができるシステムの連続作動が可能になる。第2の塗布装置は、第1の塗布装置がシステムから出ると、前処理ユニットからシステムに入ることができる。これによって複数の塗布装置をシステム内に存在させることが可能になり、それによってシステムの作動効率が高まる。
【0011】
[0010] 塗布装置は、第1のジンバルが第1の軸を中心に又は第1の軸の周囲を回転するように第1の機構に連結された第1のジンバル、第2の軸を中心にした又は第2の軸の周囲での回転を可能にするように第1のジンバルに連結された第2のジンバル、第2の軸を中心に又は第2の軸の周囲を第2のジンバルが回転するように第2のジンバルに連結された第2の機構、及び、第2のジンバルに連結されたオブジェクトホルダを備える。そのように構成される際、オブジェクトホルダ及びオブジェクトホルダ内のオブジェクトは、第1及び第2の軸を中心に又は第1及び第2の軸の周囲を回転可能である。
【0012】
[0011] 別の実施形態では、塗布装置は、第1のジンバルが第1の軸を中心に又は第1の軸の周囲を回転するように第1の機構に連結された第1のジンバル、第2の軸を中心にした又は第2の軸の周囲での回転を可能にするように第1のジンバルに連結された第2のジンバル、第3の軸を中心にした又は第3の軸の周囲での回転を可能にするように第2のジンバルに連結された第3のジンバル、第2のジンバルが第2の軸を中心に又は第2の軸の周囲を回転するように第2のジンバルに連結された第2の機構、第3のジンバルが第3の軸を中心に又は第3の軸の周囲を回転するように第3のジンバルに連結された第3の機構、及び、第3のジンバルに連結されたオブジェクトホルダを備える。この構成は、ホルダ並びにオブジェクトを第1、第2及び第3の軸を中心に又は第1、第2及び第3の軸の周囲を回転させる。
【0013】
[0012] またシステムは、第2の加工ユニット及び第2の後処理ユニットを含むことができる。第2の加工ユニットは、塗布装置を第1の後処理ユニットから受領するように構成され、第2の後処理ユニットは、塗布装置を第2の加工ユニットから受領するように構成される。
【0014】
[0013] 一部の実施形態では、第1の加工ユニットは、塗布装置に対して走行回路を形成するために、塗布装置を第2の後処理ユニットから受領するように構成される。
【0015】
[0014] 好ましい実施形態では、前処理ユニットはプラズマヘッドを備える。プラズマヘッドは、例えば、塗布されるオブジェクトの表面に接する大気圧プラズマ又は酸素プラズマを生成することができる。好ましいプラズマヘッドは、オブジェクトの表面のすべて又は一部を暴露させることができる6軸プラズマヘッドである。
【0016】
[0015] オブジェクトの表面の前処理は表面を活性化させ、次いで表面は、オブジェクトの表面と薄膜との間に形成される共有結合の数を増加させる。この前処理により、プラズマ前処理を実行しない場合より表面に強力に接着する薄膜がもたらされる。また薄膜の表面のプラズマ処理を使用して、第2の薄膜の第1の薄膜への接着を高めることができる。この実施形態では、塗布装置は、プラズマ処理のための前処理ユニットに移動させられ、次いで同じ又は異なる塗布液を塗布される。薄膜の表面のプラズマ前処理を使用するこの手法を後続の薄膜に対して繰り返すことができる。
【0017】
[0016] オブジェクトを塗布するためのプロセスには、オブジェクトの1つ又は複数の表面を前処理すること、オブジェクトのすべて又は一部を塗布液の中に第1の垂直軸に沿って浸漬させること、任意選択的に塗布液内に浸漬している間、オブジェクトを第1の垂直軸を中心に又は第1の垂直軸の周囲を回転させること、任意選択的に塗布液内に浸漬している間、オブジェクトを第2の垂直軸を中心に回転させること、塗布されたオブジェクトを形成するためにオブジェクトを塗布液から引き抜くこと、引き抜いた後に塗布されたオブジェクトを垂直軸を中心に又は垂直軸の周囲を回転させること、引き抜いた後に塗布されたオブジェクトを第2の軸を中心に又は該第2の軸の周囲を回転させること、及び、塗布されたオブジェクトを後処理することを含む。
【0018】
[0017] またプロセスは、オブジェクトを第3の軸を中心に又は第3の軸の周囲を回転させることを含むことができる。
【0019】
[0018] 前処理は、オブジェクトの表面のすべて又は一部をプラズマに暴露することを含むことができる。
【0020】
[0019] 後処理は、塗布されたオブジェクトのすべて又は一部を紫外線、可視光線又は赤外線放射の少なくとも1つに暴露することを含むことができる。暴露の波長、強度及び期間は変化させることができる。また後処理は、UV、可視光線及び赤外線の2つ以上の利用で達成することができ、また場合によっては、マイクロ波を含む電磁気フルスペクトル並びに高エネルギー放射線の使用によってもたらされる。またこの後処理は、単一周波数の単色レーザー光線を含むことができる。
【0021】
[0020] 複合体は、オブジェクト及びオブジェクトの1つ又は複数の表面のすべて又は一部に共有結合された薄層を備える。薄膜は、ASTM D3359クロスハッチ接着試験によって測定される3Bより大きい接着値を有する。薄膜は、一部の実施形態では薄膜の全厚さ寸法の10%以下だけ変化する均一な厚さを有する。一部の実施形態では、薄膜の表面は、オブジェクトの塗布された表面より平滑である。
【0022】
[0021] 場合によっては、オブジェクトは、薄膜が複雑面のすべて又は一部を被覆する複雑面を有する。複雑面は、(a)非平面、(b)90度以外の角度で交わる2つ以上の平面、(c)オブジェクトの表面に関連した少なくとも1つの三次元の内部もしくは外部形体、又はそれらの組合せを備える。
【0023】
[0022] 場合によっては、三次元形体はマイクロスコピックである。一部の実施形態では、三次元のマイクロスコピックの形体のすべて又は一部は共形の薄膜で塗布される。
【0024】
[0023] また複合体は、三次元のナノスコピックの形体を含むこともできる。一部の実施形態では、三次元のナノスコピックの形体のすべて又は一部は共形の薄膜で塗布される。
【0025】
[0024] また第2の薄膜がオブジェクトの表面に付着した薄膜のすべて又は一部を被覆する多層薄膜を備えることができる。一部の実施形態では、この第2の薄膜は、ASTM D3359クロスハッチ接着試験によって測定される、3Bより大きい第1の薄膜に対して接着値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】1平面上に塗布を施した正方形の平坦なオブジェクト、及びオブジェクトの最も大きい二次元面積を示す図である。
図2】表面全体を被覆する薄膜塗布を施した球の断面図である。
図3】球の半分を被覆する薄膜塗布を施した球の断面図である。
図2】オブジェクトの表面全体に亘って塗布を施した正方形の平坦なオブジェクト及びオブジェクトの最も大きい二次元面積を示す図である。
図3】オブジェクトの頂面に塗布を施した正方形の平坦なオブジェクト及びオブジェクトの両側面上の表面の半分を示す図である。またオブジェクトの最も大きい二次元面積も示されている。
図4】その中で半球面404及び平坦な円形面が薄膜で完全に被覆された、半球の断面図である。
図5】その中で半球の一部のみが薄膜で被覆された、半球の断面図である。
図6】粗面及びオブジェクト上の粗面に一致する薄膜を有するオブジェクトの断面図である。
図7】約100〜500μの高さ及び離間距離の周期的な突起部を有する、フレネルレンズの断面図である。薄膜はレンズの複雑面に一致する。
図8】オブジェクトを2つの軸を中心に回転させることができる装置を示す図である。
図9】オブジェクトを3つの軸を中心に回転させることができる装置を示す図である。
図10】オブジェクトを3つの軸を中心に回転させることができる装置の別の実施形態を示す図である。
図11】オブジェクトを3つの軸を中心に回転させることができる装置のさらに別の実施形態を示す図である。
図12】本発明による塗布装置を示す図である。
図13図12の拡大図である。
図14A】スピンドル駆動組立体20、回転モータ22、スピンドル24、部品ホルダ26及びオブジェクト28の正面図である。
図14B】装置26及びオブジェクト28の斜視図である。
図15】塗布装置の別の実施形態を示す図である。
図16】表面の粗度を決定するために使用することができる、一部のパラメータを識別する複雑面の断面を示す図である。
図17】オブジェクトを塗布するためのシステムの平面図である。
図18】追加の加工及び後処理ユニットを有するモジュールと組み合わせた、請求項17のシステムの平面図である。
図19】一体化した二重プロセスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0046] 均一塗布は、オブジェクトが非平面を有する場合、又は、三次元形体が平面もしくは非平面に関連する場合のような、オブジェクトの表面が複雑である場合に問題がある。例えば、三次元形体が表面から外部に延在する場合は、塗布液をその周囲に溜めることができる。三次元形体が内部に延在する場合は、塗布液内に浸漬される際に、塗布液の粘度、形体の寸法、及び形体の配向に依存して、その表面を塗布するために塗布液を形体内に溜めるか、又は、その中に入れないことが可能である。
【0028】
被覆の主材
[0047] これらの問題は、オブジェクトの1つ又は複数の複雑面に塗布溶液を塗布し、オブジェクトが多方向の遠心力を受けることによって克服される。これは、オブジェクトの1つ又は複数の複雑面に加えられる三次元のテンソル力を生成する重力と合わせた多方向の遠心力である。これにより、塗布溶液が複雑面のすべて又は一部に亘って一様に広がって、均一の薄膜が生成される。
【0029】
[0048] 遠心力は垂直力又は慣性力であり、実際は求心力がなく、回転中に液体上の明確な作用力を説明するために発見的目的のためにこの文脈において使用される。この発見的遠心力は、
(1)第1及び第2の軸を中心としたオブジェクトの回転率、
(2)第1の軸を中心としたオブジェクトの回転率及び第2の軸を中心としたオブジェクトの角度、
(3)第1、第2及び第3の軸を中心としたオブジェクトの回転率、
(4)第1及び第2の軸を中心としたオブジェクトの回転率及び第3の軸を中心としたオブジェクトの角度、
(5)第1の軸を中心としたオブジェクトの回転率並びに第2及び/又は第3の軸を中心としたオブジェクトの角度、
(6)1つ又は複数の軸を中心としたオブジェクトの回転方向、
(7)1つ又は複数の軸を中心としたオブジェクトの角度を変えるために、1つ又は複数の軸を中心とした回転方向によって制御される。
【0030】
[0049] 2つ以上の軸を中心にもしくは2つ以上の軸の周囲のオブジェクトの回転率及び/又は角度は、特定の遠心力をオブジェクトの表面上の特定の点に加えるために選択される。
【0031】
[0050] 適切な遠心力が加えられると、塗布溶液は、塗布されるオブジェクトの一部を横切って均一に分散されるようになる。一部の実施形態では、塗布された部分は、オブジェクトの1つ又は複数の複雑面を含む。均一な溶液は、均一な薄膜をオブジェクト上に形成して開示された複合体を生成する。
【0032】
[0051] 好ましい実施形態では、複合体は、オブジェクトの1つ又は複数の表面の少なくともすべて又は一部が複合体表面を備えるオブジェクト、及び、該オブジェクトの1つ又は複数の複雑面のすべて又は一部を被覆する薄膜を備え、薄膜は複雑面のすべて又は一部を覆う均一な厚さを有する。
【0033】
複雑なオブジェクト
[0052] 本明細書で使用される場合、「複雑なオブジェクト」もしくは「複雑面を備えるオブジェクト」又は文法的等価物は、少なくとも1つの複雑面を備えるあらゆるオブジェクトを指す。本明細書で使用される場合、巨視的な「複雑面」は、(a)非平面、(b)90度以外の角度で交わる2つ以上の平面、(c)オブジェクトの他の表面に関連した少なくとも1つの三次元の内部もしくは外部形体、又は(d)それらの組合せである。巨視的な複雑なオブジェクトは、立方体などの6つの直交する表面を有するオブジェクトを含まない。
【0034】
[0053] 巨視的な非平面の例は、円筒形オブジェクトの端面を形成する球又は半球の表面である。また円筒形の表面は非平面である。
【0035】
[0054] 角錐形は、巨視的な平面が90度以外の角度で交わる場合における複雑なオブジェクトの例である。菱面構造は、90度以外の角度で交わる巨視的な表面を有するオブジェクトの別の例である。
【0036】
[0055] 三次元形体の例には、1つ又は複数の突起部、陥没、孔、開口、表面チャネル、内部チャネル、プラトー、起伏、屈曲、押出し、切片、メサパターン及びプレナム、並びに巨視的な表面に関連したそれらの組合せが含まれる。多くの場合、形体は高アスペクト比(HAR)を有する。HARは、通常2対1、5対1、10対1、100対1及び100対1を超える範囲である。
【0037】
[0056] 複雑面がオブジェクト上に存在する場合に決定するのに場合によって有益であるパラメータは、複雑性の係数である。本明細書で使用される場合、「複雑性の係数(coefficient of complexity)」、「複雑性係数(complexity coefficient)」又は文法的等価物は、(a)薄膜によって被覆された総表面積の(b)オブジェクトの最も大きい二次元の突起した面積、又は、塗布されたオブジェクトの部分の最も大きい二次元の突起した面積に対する比率である。オブジェクトの最も大きい突起した面積は、平面上の塗布されたオブジェクトの実際の又は数学的突起部である。複雑面が存在する場合、複雑性の係数は1より大きくなる。コンピュータ援用製図(CAD)ソフトウェアプログラムを使用して、二次元の図上に三次元のオブジェクトを突起させることができる。1つの供給元は、米国カリフォルニア州のSan JoseにあるAdobe Systems,Inc.(アドビシステムズ株式会社)である。
【0038】
[0057] 図1は、長さxの辺長104及び長さzの厚さ106(但し、z=0.2xである)を有する薄い正方形のオブジェクト102(一定の縮尺ではない)を示す。正方形の一表面は薄膜108で塗布されているものとする。オブジェクト102の表面上のクロスハッチを参照されたい。塗布される表面はxである。線110は、オブジェクトの最も大きい二次元面積(112)を生成するために平面上に突起する。またオブジェクトの最も大きい突起した面積もxである。従って平坦な正方形基板の平面に対する複雑性係数は、従って1である。従って平面は複雑面ではない。またこのオブジェクトは、6つの直交する表面を有するので、巨視的な複雑なオブジェクトではない。
【0039】
[0058] しかしながら、球の全表面積が薄膜で被覆される場合、被覆される面積は4πrである。204で示される薄膜塗布を有する球の断面である図2を参照されたい。塗布されたオブジェクトの最も大きい二次元の突起した面積は、球を二等分する円206の面積、すなわち、πrである。複雑性係数は従って4である。
【0040】
[0059] 図3は、球の半分のみが薄膜304で被覆される、球302の断面である。塗布されたオブジェクトの最も大きい二次元の突起した面積も、球を二等分する円の面積である。複雑性係数は、従って4πr/2をπrで割った商、すなわち2である。
【0041】
[0060] 図4は、半球表面404及び平坦な円の表面406が薄膜で完全に被覆されている、半球402の断面である。被覆された総面積は、4πr/2+πrである。被覆されたオブジェクトの最も大きい二次元の突起した面積は、オブジェクトの基部における円の面積である。複雑性係数は、従って4πr/2+πrをπrで割った商、すなわち3である。
【0042】
[0061] 図5は、半球502の一部のみが薄膜504で被覆された、半球502の断面である。この場合、塗布されたオブジェクトは、塗布されるオブジェクトの部分によって画定される「塗布された疑似オブジェクト」又は「疑似オブジェクト」と呼ばれることがある。本明細書で使用される場合、用語「塗布された疑似オブジェクト」は、塗布された表面によって画定されたオブジェクトの部分、及び、塗布表面の縁部を連結するオブジェクト内部の最も小さい仮想表面を指す。この場合、仮想表面は、半球の基部を形成する円510の面積より小さい面積を有する円506である。また、その仮想円は、塗布された仮想オブジェクトの最も大きい二次元の突起した面積508でもある。この疑似オブジェクトの複雑性係数は、1より大きい。
【0043】
[0062] 場合によっては、複雑性係数は、オブジェクトの表面上の1つ又は複数の三次元形体のすべて又は一部に対して決定される。例えば、円筒などの多くの高アスペクト比の形体が図1におけるオブジェクト102の表面108から突起するが、各円筒の半分のみが塗布される場合は、半分塗布された円筒のそれぞれは疑似オブジェクトを画定する。複雑性係数は、円筒の塗布された面積の割当て(πr+(2πr)(1/2h)を疑似オブジェクトの最も大きい突起した面積(2rx1/2h=rh)で割った商である。hがrに等しい場合は、複雑性係数は2πである。
【0044】
[0063] 場合によっては、複雑性係数は、2、3、4、5、6又はそれより大きい。場合によっては、複雑性係数はπ又はπの倍数である。
【0045】
[0064] 前述は巨視的なスケールの複雑面を説明している。しかし複雑面はまた、マイクロスコピック(ミクロン)及びナノスコピック(ナノメートル)スケールから見ることもできる。
【0046】
[0065] 複雑な巨視的な表面を含むほとんどの表面は、通常、マイクロスコピック又はナノスコピックスケールで測定される、ある程度の表面粗度(R)を有する。この粗度は、オブジェクトを作成するために使用される組成物及びどのように製造されたかによってまちまちである可能性がある。また粗度は、表面上にマイクロスコピック又はナノスコピックの形体を意図的に形成する結果であってもよい。例えば、フレネルレンズは、高さ及び幅が100μであることが可能なグローブを有することができる。この状態でグローブは、表面の粗度に寄与する。それぞれの場合において、表面粗度は、分離して見る際に、それ自体が複雑面を有するマイクロスコピック又はナノスコピックの複雑なオブジェクトである表面の形体によってもたらされる。またグローブは、検討中の有効な表面積を増加させるので、表面の複雑性係数に寄与する。
【0047】
薄膜
[0066] マイクロスコピックスケールで、薄膜は1μ〜1000μの厚さを有することができるが、通常は1μ〜約500、1μ〜250μ、1μ〜100μ又は1μ〜10μの範囲である。これらの範囲の最小厚さは、2μ、5μ、10μ又は100μであることが可能である。
【0048】
[0067] ナノスコピックスケールで、薄膜は1nm〜1000nm、1nm〜約500、1nm〜約250nm、1nm〜100nm又は1nm〜10nmの厚さを有することができる。これらの範囲の最小厚さは、2nm、5nm、10nm又は100nmであることが可能である。
【0049】
[0068] 薄膜は平坦又は共形であることが可能である。平坦な薄膜は、少なくとも1つの平面を有する薄膜である。平坦な薄膜は、通常巨視的な表面上の薄膜塗布に関連する。
【0050】
[0069] 共形の薄膜は、表面に関連した形体に一致する薄膜である。図6は、粗面604を有するオブジェクト602の断面である。薄膜606は、オブジェクト602上の粗面604に一致する。
【0051】
[0070] 図7は、フレネルレンズ702の断面である。レンズ702は、約100〜500μの高さ及び離間距離である周期的な突起部704を有する。薄膜706は、これらの突起部の表面及びレンズ表面の残余に一致する。
【0052】
[0071] 一態様では、共形塗布は、表面の粗度と比較してその厚さによって画定される。当業者に公知であるように、粗度を測定する方法は多い。概して薄膜は、厚さTがR/2より小さい場合に一致する。Tが2Rより大きい場合は、薄膜は平坦又は水平であり、「表面粗度を除く」と言われる。
【0053】
[0072] これらの記述子の中で、Ra測定は一般的工学慣行に通常採用される最も効率的な表面粗度測定の1つである。これは表面に高度変動の良好な概要を提供する。図16は、表面の粗度を決定するために使用できる一部のパラメータを識別する、複雑面1602の断面である。図16は平均線1604を示し、該線は一般表面方向に平行であり、線の上に形成された面積の合計が線の下に形成された面積の合計と等しい方法で表面を分ける。ここで表面粗度Raは、試料長によって分けられる平均線の上下の全面積の絶対値の合計によって得られる。従って、表面粗度値は、
Ra=(|area abc|+|area cde|)/f
によって得られる(式中fはフィードである)。
【0054】
[0073] 表面粗度の標準定義は、
【数1】

として得ることができる(式中、Raは、(|area abc|+|area cde|)/fである各点に対する、収集された粗度データ点yの絶対値の算術平均である)。平均粗度Raは高さの単位で表される。
【0055】
[0074] しかし、表面の粗度は、以下の3つの基本的カテゴリーに分類される異なる方法で測定できる。
(1)表面高さの平均的挙動を提供する統計記述子。例えば、平均粗度Ra,二乗平均平方根粗度Rq、歪度Sk及び尖度K。
(2)単発事象に依存する極値記述子。例は、最大ピーク高さRp、最大谷高さRv、及び谷高さに対する最大ピークRmaxである。
(3)複数の事象に基づいた表面の変化を説明する構造記述子。この記述子の例は相関長である。
【0056】
[0075] また無次元の表面粗度、表面粗度係数(Csr)は、測定された表面粗度の、表面を説明する表面形体の最大高さに対する割合になることを定義することができることに留意されたい。この点において、Csrの値が1に近づくほど、表面の変動は大きくなる。Raがより小さくまた実質的に最大表面要素より小さい場合は、表面は比較的に平滑でありCsrは1より小さい。位相的には平滑表面Csrはゼロに近づき、また最大要素サイズはゼロに近づくと、接近の割合はCsrが近づく割合を決定する。
【0057】
[0076] 多くの場合に薄膜は、1つ又は複数の複雑面を備えるものであっても、オブジェクトの表面全体を塗布する。しかし場合によっては、表面の一部のみが塗布される。これは、当業者には周知であるように、塗布されないオブジェクトの一部を遮蔽することによって促進することができる。場合によっては、オブジェクトの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%又はそれ以上が塗布される。オブジェクトが複雑面を備える際は、複雑面の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%又はそれ以上が塗布される。
【0058】
[0077] さらなる薄膜を塗布されたオブジェクトに追加することができ、この場合一緒に取り込む薄膜層を多層薄膜と呼ぶことがある。一部の実施形態では、多層薄膜内の薄膜は、以下に論じるように均一な薄膜、及び/又は薄膜に共有結合される。
【0059】
均一な薄膜
[0078] 本明細書に使用される場合、用語「均一な薄膜」又は文法的等価物は、均一な厚さを有する薄膜を指す。薄膜は、厚さが10パーセント以下、より好ましくは5パーセント以下、最も好ましくは1パーセント以下だけ変化する場合に、均一な厚さを有する。厚さは、オブジェクトの表面の平均高さと薄膜の表面の平均高さとの差として測定できる。
【0060】
[0079] 薄膜の表面の高さに対するオブジェクトの表面の高さは、(1)直接機械測定、(2)光干渉法、(3)断面分析又は(4)過電流解析によって測定できる。
【0061】
[0080] 薄膜の表面の高さに対するオブジェクトの表面の高さは、透過電子顕微鏡法又は走査電子顕微鏡法を使用して、塗布されたオブジェクトの断面から測定できる。測定は、好ましくは薄膜の幅が少なくとも3倍の長さであり、薄膜の幅が5倍の長さであり、薄膜の幅が10倍の長さであり、好ましくは、薄膜の幅の100倍の長さ、最も好ましくは薄膜の幅の1000倍の断面からなる。場合によっては、厚さは、図7の薄膜部分708もしくはフレネルレンズ702又は複雑面のすべてもしくは一部もしくは複数部分に亘る厚さなどの、複雑面上に存在する形体のすべてもしくは一部もしくは複数部分から測定される。
【0062】
[0081] 薄膜の表面の平滑性は、走査電子顕微鏡法又は原子間力顕微鏡法並びにサーフスキャン式システムによって具現化されるようなより単純な手法を使用して測定することができる。平滑な薄膜の表面は、実質的に不規則性、粗さ、又は突起がない。平滑は、上に定義されたようにCsrが1/2より小さい表面として定義することができる。
【0063】
共有結合した薄膜
[0082] 一部の実施形態では、薄膜は、オブジェクトの表面に共有結合される。一部の従前のオブジェクトは、オブジェクトの表面に共有結合された薄膜を有していた。しかし、本明細書に開示された薄膜は、先行技術の薄膜と比較してオブジェクトの表面により大きい粘度を有する。
【0064】
[0083] 表面への共有接着を測定するための便利な試験は、当業者には周知のASTM D3359クロスハッチ接着試験である。先行技術の薄膜塗布は、3B以下の接着値を有すると分類できる。本明細書に開示された薄層は、3B、3.5B、4.0B、4.5B又は5.0Bより大きい接着値を有する。さらに一部の実施形態では、第2の薄膜は、複数層の薄膜がオブジェクトの表面に結合されるときとのように、第1の薄膜に共有結合される。この場合、第2の薄膜は、追加の薄膜層に対して3B、3.5B、4.0B、4.5B又は5.0Bなどより大きい接着値を有すことができる。
【0065】
[0084] 表面(薄膜層のオブジェクトの表面)を処理することによって、薄膜の表面への粘度を増加させることができて、表面上の化学的反応基又は原子の数が増加する。これらの化学的反応基又は原子は、塗布液内で1つ又は複数の成分と反応し、その結果得られる薄膜は、表面の前処理をしない場合より多くの共有結合によって表面に結合される。
【0066】
[0085] 好ましい表面処理は、大気圧プラズマ又は酸素プラズマによって生成されるプラズマなどのプラズマで表面を処理するものである。
【0067】
[0086] 複数層の薄膜が生成される際に、各層は、次の層を形成する塗布溶液を添加する前に、プラズマで処理することができる。この方法で、層間及び複数層の薄膜とオブジェクトの表面との間の粘度を増加させることができる。要するに、この処理は、層間及び層とオブジェクトの表面との間の結合の強度を増加することにより、塗布の性能を向上させる。
【0068】
[0087] 開示された共有結合された薄膜は、平面を含むオブジェクトのあらゆる表面を塗布することができる。しかし好ましい実施形態では、薄膜は、上に定義したように、オブジェクト上の複雑面のすべて又は一部に共有結合される。また共有結合された薄膜は、上述のように均一な薄膜であることが可能である。
【0069】
オブジェクト
[0088] 巨視的なオブジェクトには、太陽電池、燃料電池、エンジン部品、タービン翼、プロペラ、弁、フランジ、マフラー及び車輪リムなどの自動車部品、半導体加工装置の構成部品、パイプ及びチューブ、予め切断した半導体ウェハ、可撓性の電子機器並びに標準電子ボードが含まれる。予め切断した半導体ウェハは、通常8〜12インチの直径を有し、複数のチップ又はプロセッサを含む。
【0070】
[0089] 巨視的なオブジェクトは、通常1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cmもしくは10cm又はそれ以上の少なくとも1つの寸法を有し、1〜5、1〜4、1〜3もしくは1〜2メートル又はそれ以上の高さであることが可能である。
【0071】
2つの回転軸を備える装置
[0090] 本明細書で使用される場合、用語「ジンバル」は、オブジェクトが単一の軸を中心に又は単一の軸の周囲を回転することができるあらゆる枢動される支持部を指す。2つのジンバルを使用する一部の実施形態では、2つのジンバルに対する回転軸が同一点で交差することが好ましい。3つのジンバルが使用される場合、少なくとも2つの、好ましくは3つの軸が同一点で交差することが好ましい。
【0072】
[0091] 本明細書で使用される場合、用語「軸を中心とした回転」又は文法的等価物は、軸を中心とした少なくとも360度の回転を指す。
【0073】
[0092] 本明細書で使用される場合、用語「軸の周囲の回転」又は文法的等価物は、軸を中心とした360度未満の回転を指す。開示された実施形態では、オブジェクトは、第2の軸に対してオブジェクトの角度を変更するために軸を中心に回転される。
【0074】
[0093] 図8は、垂直軸204及び水平軸806を中心にオブジェクト802を回転させるための装置800を示す。第1のジンバル808は駆動軸810に取り付けられ、駆動軸810は次いでモータ(図示せず)に回転可能に取り付けられる。第2のジンバル812は、回転可能な軸814及び816を介して第1のジンバル808に回転可能に取り付けられる。次いでこれらの軸は、モータ818及び820に連結される。2つの対向するオブジェクトホルダ822はジンバル812に取り付けられ、第1のジンバルが軸804を中心に回転する際に、オブジェクト802を係合し保持するように設計される。オブジェクト802は、水平面に回転する。モータ818及び820作動されると、オブジェクト802は水平軸806を中心に回転する。
【0075】
[0094] 装置800を塗布液の中に浸漬させて、オブジェクト802を塗布することができる。次いで装置を引き抜き、軸804及び/又は806を中心に回転させて、オブジェクト802の表面上に塗布液を均一に分散することができる。さらなる処理の後、均一な薄膜をオブジェクト802上に形成して複合体を形成する。
【0076】
3つの回転軸を備える塗布装置
[0095] 図9は、第1のジンバル902を示し、第1のジンバル902は駆動軸904に連結され、駆動軸904は次いで電気モータ(図示せず)に連結される。第2のジンバル906は、軸908及び910を介して第1のジンバル902に回転可能に取り付けられる。軸908及び910は、それぞれモータ912及び914に取り付けられる。第3のジンバル916は、軸918及び920を介して第2のジンバル906に回転可能に取り付けられる。軸918はモータ922に取り付けられるが、軸920はモータ924に連結される。2つの対向するオブジェクトホルダ924は第3のジンバル316に取り付けられる。オブジェクト926は、オブジェクトホルダ324によって係合され保持される。
【0077】
[0096] ジンバル906及び916は固定された位置に示されている。駆動軸904が垂直軸928を中心に回転すると、オブジェクト926は軸928を中心に水平面に回転する。モータ912及び914が作動すると、オブジェクト926は軸930を中心に回転する。加えて、ジンバル906は図5の平面の外側を回転する。ジンバル906が平面の外側を回転すると、回転軸932(これは回転軸928と同延であるように示されている)も平面の外側を回転して、オブジェクト926に対して第3の回転軸を提供する。
【0078】
[0097] 2つの回転軸を有する塗布装置と同じく、塗布装置900を塗布液内に浸漬させ、引き抜き、1つ又は複数の軸930、928、及び932の周囲を回転させて、オブジェクト926上に均一な薄膜を生成することができる。図8及び9におけるジンバルは円形である。しかしジンバルは、2もしくは3軸を中心に又は2もしくは3軸の周囲を回転可能な正方形、長方形、八角形、湾曲した又はあらゆる他の構成であることが可能である。またジンバルは解放構造であり、互いの結合の唯一の回転点を有してもよい。
【0079】
[0098] 図10は第1の半円ジンバル1002を示し、第1の半円ジンバル1002は駆動軸1004に連結され、次いで駆動軸1004は電気モータ(図示せず)に連結される。第2の半円ジンバル1006は、軸1008及び1010を介して第1の半円ジンバル1002に回転可能に取り付けられる。軸1008及び1010は、それぞれモータ1012及び1014に取り付けられる。第3の半円ジンバル1016は、軸1020を介して第2の半円ジンバル1006に回転可能に取り付けられる。軸1020はモータ1024に連結される。2つの対向するオブジェクトホルダ1024は第3の半円ジンバル1016に取り付けられる。オブジェクト1026は、オブジェクトホルダ1024によって係合され保持される。
【0080】
[0099] 半円ジンバル1006及び1016は固定された位置に示されている。駆動軸1004が垂直軸1028を中心に回転すると、オブジェクト1026は軸1028を中心に水平面に回転する。モータ1012及び1014が作動すると、オブジェクト1026は軸1030を中心に回転する。加えて、半円ジンバル1006は図10の平面の外側を回転する。半円ジンバル1006が平面の外側を回転すると、回転軸1032(これは回転軸1028と同延であるように示されている)も平面の外側を回転して、オブジェクト1026に対して第3の回転軸を提供する。
【0081】
[0100] 2つの回転軸を有する塗布装置と同じく、塗布装置1000を塗布液内に浸漬させ、引き抜き、1つ又は複数の軸1030、1028、及び1032の周囲を回転させて、オブジェクト1026上に均一な薄膜を生成することができる。
【0082】
[0101] 図11は第1の四分円ジンバル1102を示し、第1の四分円ジンバル1102は駆動軸1104に連結され、次いで駆動軸1104は電気モータ(図示せず)に連結される。第2の四分円ジンバル1106は、軸1110を介して第1の四分円ジンバル1102に回転可能に取り付けられる。軸1110は、モータ1114に取り付けられる。第3の四分円ジンバル1116は、軸1020を介して第2の四分円ジンバル1106に回転可能に取り付けられる。軸1020はモータ1024に連結される。オブジェクトホルダ1124は四分円ジンバル1016に取り付けられる。オブジェクト1126は、オブジェクトホルダ1124によって係合され保持される。
【0083】
[0102] この装置は、図9及び10における装置に対して説明したのと同じ方法で作動することができる。
【0084】
[0103] 先の実施形態における任意の又はすべての3軸又は2軸を中心とする回転速度は、1〜5000rpmであることが可能である。回転の下限は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1,000、1500又は2,000rpmであることが可能である。回転の上限は、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、500、250又は100rpmであることが可能である。rpmの範囲は、これらの上限及び下限のあらゆる組合せであることが可能である。好ましい範囲は、3〜1000rpm、3〜500rpm、4〜1000rpm、4〜500rpm、5〜1000rpm、5〜500rpm、10〜1000rpm、10〜500rpm、25〜1000rpm、25〜500rpm、50〜1000rpm、50〜500rpm、100〜1000rpm、100〜500rpm、150〜1000rpm及び150〜500rpmである。
【0085】
[0104] 典型的なオブジェクトの塗布作動に対する回転数は、1〜5000回転又は用途に依存してそれ以上の範囲であることが可能である。回転の下限は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1,000、1500又は2,000回転であることが可能である。回転の上限は、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、500、250又は100回転であることが可能である。回転範囲は、これらの上限及び下限のあらゆる組合せであることが可能である。好ましい範囲は、3〜1000回転、3〜500回転、4〜1000回転、4〜500回転、5〜1000回転、5〜500回転、10〜1000回転、10〜500回転、25〜1000回転、25〜500回転、50〜1000回転、50〜500回転、100〜1000回転、100〜500回転、150〜1000回転及び150〜500回転である。
【0086】
追加の実施形態
[0105] 図12は塗布装置2を示す。フレーム4は、装置を使用する時に塗布液を含有するタンク6を支持する。フレーム4のレール8及び10は、垂直追跡部材14、ステップモータ16及び水平支持部材18を備えるアクチュエータ組立体12を支持する。ステップモータ16は、水平部材18を垂直追跡部材14に沿って移動させて部材18を上下させることができる。
【0087】
[0106] 図13図12の拡大図である。スピンドル24に取り付けられた回転モータ22を備えるスピンドル駆動組立体20は、部材18の遠位端に取り付けられる。スピンドルは第1のジンバル26に取り付けられる。回転モータ22を作動さると、回転モータ22は、スピンドル24、第1のジンバル26及びオブジェクト28を垂直軸を中心に回転させる。
【0088】
[0107] 図14Aは、スピンドル駆動組立体20、回転モータ22、スピンドル24、第1のジンバル26及びオブジェクト28の正面図である。図14Bは、第1のジンバル26、並びに第2のジンバル(回転可能な結合点46及び48によって画定される)並びにオブジェクト28の斜視図である。第1のジンバル26は、平行な交差部材34及び36によって結合される2つのアーム30及び32を備える。モータ38は、交差部材34と36との間に位置される。モータ38の駆動軸(図示せず)はアーム30を通過し、円形駆動部40に取り付けられる。第2の円形駆動部42は、アーム30の遠位端に回転可能に取り付けられる。円形駆動部は、各円形駆動部の縁部に回転可能に取り付けられたロッド44を介して第2のジンバルに結合される。回転可能な結合点46及び48は、遠位アーム30及び32の内部に配置される。回転可能な結合点46は、円形駆動部42に連結される。結合点46及び48はオブジェクト28を可逆的に係合するように設計される。モータ28が係合されると、円形駆動部40が回転する。円形駆動部42は同様に回転し、それと共に結合点46及び48並びにオブジェクト28を回転させる。回転は水平軸50を中心とする。
【0089】
[0108] 従って、塗布装置は垂直軸52を中心にオブジェクトをスピンさせ、オブジェクトを個別に又は同時のいずれかで垂直軸50を中心に回転させるように設計される。このようなスピン及び回転は、さらにオブジェクトを垂直方向移動させることによって調節して、浸漬させるか、又はオブジェクトのすべて又は一部を塗布液から引き抜くことができる。
【0090】
[0109] 部品ホルダの少なくとも塗布液内に浸漬される部分は、好ましくはテフロン(登録商標)などの不活性物質で被覆されて、塗布液の汚染を防ぐ。
【0091】
[0110] 水平軸50を中心にオブジェクト28を回転させる他の方法がある。例えば、1つ又は複数のモータは、円形駆動部40及び42を交換し、結合点46及び48の一方又は両方を直接係合することができる。このような実施形態では、塗布液を汚染せずにモータを塗布液内に浸漬することができるように、モータを密閉し塗布(例えば、テフロン(登録商標)で)するべきである。
【0092】
[0111] 図15は、オブジェクトを第1の水平軸1502及び水平軸1504を中心に完全に回転し、変更された垂直軸1505を中心とした回転の角度を有することができる場合の、一実施形態の斜視図である。ジンバルチャック1506は軸1504を中心に回転可能であり、塗布されるオブジェクト(図示せず)を係合する。モータ駆動ジンバルチャック1506は板1532の底部に取り付けられるが、これは図示されていない。ジンバル1508は板1510に取り付けられ、軸1502を中心に回転する。板1510は、それをプッシュプルロッド1522、1524、1526及び1528が通過する、4つの孔1512、1514、1516及び1518を有する。これらのプッシュプルロッドは、可動板1532上のボールジョイント1530に連結される。可動板1532は、軸1534及びボールジョイント1536を介して板1510に取り付けられる。可動板1532の板の水平板に対する角度は、2つの対向する又は2つの隣接するプッシュプルロッドを移動させることによって変更できる。例えば、プッシュプルロッド1522を押し下げ、プッシュプルロッド1526を押し上げた場合、板532及びジンバルチャック1506は軸1538の周囲を回転し、それによってジンバルチャック1506と垂直軸1504に対するオブジェクトの角度が変わる。
【0093】
遠心力
[0112] 2及び/又は3つの軸を中心に回転するオブジェクトによって経験する面積力は、2及び/又は3つの軸を中心とするオブジェクトの回転によって生成される遠心力と重力とのベクトルの組合せである。
【0094】
[0113] 力の方程式は
effective(total)=Fgravity(z)+Fcentripetal(r, theta, psi);
又は
apparent(total)=Fgravity(z)+Fcentrifugal(r, theta, psi)。
以下のように書くことができる(式中、rは半径であり、theta(シータ)は回転の角度であり、psi(プサイ)は回転軸からの角度である)。
半径方向に沿った遠心加速度は
【数2】

によって得られる。
【0095】
[0114] 垂直軸zにおける重力加速度は、F=mgによって得られる(式中、mは塗布液要素の質量であり、gは重力定数である)。
【0096】
[0115] 塗布されたオブジェクトを2又は3つの軸を中心にスピンさせる場合、遠心力は、各回転軸から外方に、かつ各回転軸に垂直に向けられた塗布されたオブジェクトに加えられる。これらの力ベクトルは、単一の遠心力を塗布液に加えるために組み合わせ、これは各軸を中心とした回転の速度及び方向、又は1つもしくは複数の軸の周囲のオブジェクトの角度を変えることによって変更することができる。垂直方向の重力と遠心力の組合せは、見掛けの力を生み出す。この力の効果により、例えば、塗布溶液の均一な薄膜を生成するように複雑面を跨いで塗布液を移動させることができる。
【0097】
[0116] 見掛けの力Faは、重力とオブジェクトの表面上の塗布液を保持する求心力との合計である、有効力Feによって対向される。これらの求心力には、ファンデルワールス力、静電相互作用、及び表面と塗布液との間の共有結合並びにオブジェクトの表面上の物理的障害が含まれる。定常状態では、Fa=Feである。
【0098】
[0117] 塗布溶液の厚さは、回転速度、回転軸、該軸の時間進行、並びに垂直線からの特定配向によって制御できる。
【0099】
塗布液/溶液
[0118] 塗布液は、薄膜を塗布するために使用されるあらゆる塗布液であることが可能である。こうした液体には、有機ポリマー、有機モノマー及びソルゲル前駆体が含まれる。
【0100】
[0119] 好ましいソルゲル前駆体溶液は、「溶液由来のナノ複合体前駆体溶液及び薄膜を作成するための方法」という名称で2011年2月2日に出願された米国特許出願第61/438,862号及び2012年2月2日に出願された米国特許出願第13/365,066号に開示され、そのそれぞれが参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。これらの前駆体溶液は、場合によってSDN前駆体溶液と呼ばれる。好ましい実施形態では、塗布装置の容器はこのようなSDN前駆体溶液を含み、該方法は塗布液としてSDN前駆体溶液を使用して実施される。
【0101】
[0120] 簡潔に述べると、SDN前駆体溶液は、(1)1つ又は複数の、好ましくは2つ以上の、ソルゲル金属前駆体及び/又はソルゲル半金属前駆体、(2)極性プロトン性溶剤並びに(3)極性非プロトン性溶剤を含有する。各成分は、剪断力が前駆体溶液又は前駆体溶液の薄膜に加えられた後に、SDN前駆体溶液がゲルを形成するような量である。好ましい実施形態では、極性非プロトン性溶剤の量は、前駆体溶液の約1〜25vol%である。
【0102】
[0121] ソルゲル金属前駆体内の金属は、1つ又は複数の遷移金属、ランタニド、アクチニド、アルカリ土類金属及び第IIIA族〜第VA族金属、又はそれらと別の金属もしくは半金属との組合せであることが可能である。
【0103】
[0122] ソルゲル半金属前駆体内の半金属は、1つ又は複数のホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルリウム、ビスマス及びボロニウム、又はそれらと別の半金属もしくは金属との組合せであることが可能である。
【0104】
[0123] ソルゲル金属前駆体は、有機金属化合物、金属有機塩及び金属無機塩から選択された金属化合物であることが可能である。ソルゲル半金属前駆体は、有機半金属化合物、半金属有機塩及び半金属無機塩から選択された半金属化合物であることが可能である。2つ以上の金属又は半金属が使用される際は、一方はアルコキシドなどの有機化合物であり、他方は有機塩又は無機塩であることが好ましい。
【0105】
[0124] 前駆体溶液に使用される極性プロトン性溶剤は、好ましくは有機酸又はアルコール、より好ましくはメタノール及びエタノールなどの低級アルキルアルコールである。また溶液内に水が存在してもよい。
【0106】
[0125] 極性非プロトン性溶剤は、ハロゲン化アルカン、アルキルエタノール、アルキルエステル、ケトン、アルデヒド、アルキルアミド、アルキルアミン、アルキルニトリル又はアルキルスルホキシドであることが可能である。好ましい極性非プロトン性溶剤は、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルホルムアミドを含む。
【0107】
[0126] 一実施形態では、金属及び/又は半金属前駆体を、極性プロトン性溶剤内に溶解する。次いで非層流を回避する条件下で溶液を撹拌している間に、極性非プロトン性溶剤を追加する。金属及び/又は半金属前駆体の重合のために触媒として使用される酸又は基剤は、極性非プロトン性溶剤を追加する前又は後に追加することができる。好ましくは、撹拌中に1つのステッププロセスにおいて、酸又は基剤を液滴で添加する。
【0108】
[0127] 極性非プロトン性溶剤の添加が多すぎた場合は、ゲル化が生じる可能性がある。従って、極性非プロトン性溶剤の量は、各塗布に対して経験的に決定されることが可能である。極性非プロトン性溶剤の量は、混合中にゲル化を引き起こす量より少ないが、剪断力を前駆体溶液に加えた後、例えば溶液から引き抜いている間、又は剪断力を、例えば本明細書に開示された塗布装置を使用して薄膜溶液に遠心力を加えることによって、基板の表面上に堆積された前駆体溶液の薄膜に加える際、前駆体溶液のゲル化を引き起こすのに充分である必要がある。
【0109】
[0128] SDN前駆体溶液は、通常非ニュートンダイラタント溶液である。本明細書で使用される場合、「ダイラタント」は、剪断力が増加するにつれて、動粘性が非線形手法で増加する場合の溶液を指す。
【0110】
[0129] 本明細書で使用される場合、用語「ゲル化された薄膜」、「薄膜ゲル」、「ソルゲル薄膜」又は文法的等価物は、前駆体溶液内の金属及び/半金属ソルゲル前駆体が、ゲルを形成するために充分に大きい及び/又は架橋されたポリマーを形成する、薄膜を意味する。このようなゲルは、通常元の混合溶液のほとんど又はすべてを含有し、約1nm〜約10,000nm、より好ましくは約1nm〜約50,000nm、より好ましくは約1nm〜約5,000nm、及び典型的には約1nm〜約500nmの厚さを有する。
【0111】
[0130] またゲル化された薄膜及びそれらを作成するために使用される前駆体溶液は、有機モノマーなどの重合可能な部分及び架橋可能なオリゴマー又はポリマーを含有することができる。例には、メラミン又はレゾルシノールとホルムアルデヒドとの間の塩基触媒反応に続いて酸化及び熱処理が含まれる。
【0112】
[0131] 場合によっては、1つ又は複数の金属及び/又は半金属前駆体は、通常有機リンカーを介して金属又は半金属に共有結合される、架橋可能なモノマーを含有することができる。例には、有機溶剤内でナトリウム又はナトリウムカリウム合金と反応して、線形オルガノシランと環式オルガノシランの混合物を得る、ジオルガノジクロロシランが含まれる。
【0113】
[0132] 架橋可能な部分が使用される場合、前駆体溶液も重合開始剤を含有することが好ましい。光誘導可能な開始剤の例には、チタノセン、ベンゾフェノン/アミン、チオキサントン/アミン、ベゾインエーテル、アシルホスフィンオキシド、ベンジルケタール、アセトフェノン、及びアルキルフェノンが含まれる。また当業者に周知の熱誘導可能な開始剤も使用できる。
【0114】
[0133] 本明細書で使用される場合、用語「薄膜」、「ソルゲル薄膜」又は文法的等価物は、ゲル化された薄膜からの溶剤のほとんど又はすべてが取り除かれた後に獲得した薄膜を意味する。溶剤は、大気温度での単純蒸発、紫外線、可視光線又は赤外線放射の適用で上昇した温度に暴露することによる蒸発によって取り除くことができる。またこのような条件は、あらゆる未反応の又は部分的に反応した金属及び/又は半金属前駆体の連続的な重合が好ましい。好ましくは、100vol%の溶剤が取り除かれるが、場合によっては、30vol%程度が薄ゲル内に保有されることが可能である。通常単一の塗布薄膜は、約1nm〜約10,000nm、約1nm〜1,000nm及び約1nm〜100nmの厚さを有する。前駆体化合物の2つ以上の被覆が薄膜を形成するために塗布される場合、第1の層をゲル化することが可能になり、次いで薄膜に変換することができる。次いで同じ又は異なる前駆体溶液の第2の被覆を塗布することができ、ゲル化し、続いて薄膜への変換が可能になる。代替的実施形態では、前駆体組成物の第2の被覆を、ゲル化された第1の層に塗布することができる。従って、第1及び第2のゲル化された層は、第1及び第2の薄膜に変換される。さらなる層を上に説明された手法と同様の方法で加えることができる。
【0115】
[0134] 1つ又は複数の重合部分が存在する場合、薄膜ゲルを適切な開始条件に暴露して重合可能な部分の重合化を向上させることが好ましい。例えば、紫外線放射を上に定義した光誘導可能な開始剤と共に使用できる。
【0116】
[0135] 本明細書で使用される場合、「ハイブリッド薄膜ゲル」又は文法的等価物は、重合可能な有機化合物を含有する薄膜ゲルを指す。
【0117】
[0136] 本明細書で使用される場合、「ハイブリッド薄膜」又は文法的等価物は、重合された又は部分的に重合された有機化合物を含有する薄膜ゲルを指す。
【0118】
[0137] 該1つ又は複数のソルゲル金属前駆体内の金属は、遷移金属、ランタニド、アクチニド、アルカリ土類金属及び第IIIA族〜第VA族金属からなる群から選択される。特に好ましい金属には、Al、Ti、Mo、Sn、Mn、Ni、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Zr、Y、Cd、Li、Sm、Er、Hf、In、Ce、Ca及びMgが含まれる。
【0119】
[0138] 該1つ又は複数のソルゲル半金属前駆体内の半金属は、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルリウム、ビスマス及びボロニウムから選択される。特に好ましい金属には、B、Si、Ge、Sb、Te及びBiが含まれる。
【0120】
[0139] ソルゲル金属前駆体は、有機金属化合物、金属有機塩及び金属無機塩からなる群から選択された金属含有化合物である。有機金属化合物は、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、プトキシド又はフェノキシドなどの金属アルコキシドであることが可能である。
【0121】
[0140] 金属有機塩は、例えばギ酸塩、酢酸塩又はプロピオン酸塩であることが可能である。
【0122】
[0141] 金属無機塩は、ハロゲン化物塩、水酸化物塩、硝酸塩、リン酸塩及び硫酸塩であることが可能である。
【0123】
[0142] 半金属は同様に系統立てることが可能である。
【0124】
溶剤
[0143] 溶剤は大きく2つのカテゴリー、すなわち、極性及び非極性に分類できる。概して、溶剤の誘電率は、溶剤の極性の大まかな測定を提供する。水の強極性は20℃で80の誘電率を示す。15未満の誘電率である溶液は、概して非極性であるとみなされる。技術的には誘電率は、溶剤内に浸漬された荷電粒子を包囲する電界の電界強度を低減するための溶解度を測定する。次いでこの低減を、真空における荷電粒子の電界強度と比較する。本明細書に開示されたように溶剤又は混合された溶剤の誘電率は、溶質の内部荷電を低減するその溶解度であると考えることができる。これは、上に論じられた活性化エネルギーの低減に対する理論的基礎である。
【0125】
[0144] 15を超える誘電率の溶剤は、さらにプロトン性と非プロトン性に分けることができる。プロトン性溶剤は、水素結合を介してアニオンを強く溶媒和する。水はプロトン性溶剤である。アセトン又はジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒は、大きい双極子モーメント(同じ分子内部での部分正電荷と部分負電荷の分離)を有する傾向があり、それらの負の双極子を介して正電荷種を溶媒和する。
【0126】
極性プロトン性溶媒
[0145] 一部の極性プロトン性溶媒に対する誘電率及び双極子モーメントの例を表1に表す。
【表1】
【0127】
[0146] 好ましい極性プロトン性溶媒は、約20〜40の誘電率を有する。好ましい極性プロトン性溶媒は、約1〜3の双極子モーメントを有する。
【0128】
[0147] 極性プロトン性溶媒は、概して有機酸又は有機アルコールからなる群から選択される。有機酸を極性プロトン性溶媒として使用する際は、有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸又は酪酸であることが好ましく、最も好ましくは酢酸及び/又はプロピオン酸である。
【0129】
[0148] 有機アルコールを極性プロトン性溶媒として使用する際は、有機アルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール又はブチルアルコールなどの低級アルキルアルコールであることが好ましい。メタノール及びエタノールが好ましい。
【0130】
極性非プロトン性溶媒
[0149] 一部の極性非プロトン性溶媒に対する誘電率及び双極子モーメントの例を表2に示す。
【表2】
【0131】
[0150] 好ましい極性非プロトン性溶媒は、約5〜50の誘電率を有する。好ましい極性非プロトン性溶媒は、約2〜4の双極子モーメントを有する。
【0132】
[0151] 極性非プロトン性溶媒は、不斉ハロゲン化アルカン、アルキルエーテル、アルキルエステル、ケトン、アルデヒド、アルキルアミド、アルキルアミン、アルキルニトリル及びアルキルスルホキシドからなる群から選択することができる。
【0133】
[0152] 不斉ハロゲン化アルカンは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、ブロモエタンなどからなる群から選択することができる。
【0134】
[0153] アルキルエーテル極性非プロトン性溶媒には、テトラヒドロフラン、メチルシアニド及びアセトニトリルが含まれる。
【0135】
[0154] ケトン極性非プロトン性溶媒には、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトンなどが含まれる。
【0136】
[0155] アルキルアミド極性非プロトン性溶媒には、ジメチルホルムアミド、ジメチルフェニルプロパンアミド、ジメチルクロロベンズアミド及びジメチルブロモベンズアミドなどが含まれる。
【0137】
[0156] アルキルアミン極性非プロトン性溶媒には、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、エチルアミン、メチルアミン、及び(1−2−アミノエチル)ピペラジンが含まれる。
【0138】
[0157] 好ましいアルキルニトリル非プロトン性溶媒は、アセトニトリルである。
【0139】
[0158] 好ましいアルキルスルホキシド極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシドである。他にはジエチルスルホキシド及びブチルスルホキシドが含まれる。
【0140】
[0159] 別の好ましい非プロトン性極性溶媒は、ヘキサメチルリン酸トリアミドである。
【0141】
SDN前駆体溶液
[0160] 前駆体溶液中の金属及び/又は半金属前駆体の総量は、前駆体が液体である場合、概して約5vol%〜40vol%である。しかし、総量は約5vol%〜約25vol%、好ましくは約5vol%〜15vol%でもよい。
【0142】
[0161] 極性プロトン性溶媒は、ほとんどが前駆体溶液中の混合溶液から組成される。極性プロトン性溶媒は、前駆体溶液の総量に対して約50vol%〜約90vol%、より好ましくは約50〜約80vol%また最も好ましくは約50〜70vol%で測定されるように存在する。
【0143】
[0162] 前駆体溶液中の極性非プロトン性溶媒は、溶液の約1〜25vol%、より好ましくは約1〜15vol%また最も好ましくは約1〜5vol%である。
【0144】
塗布方法
[0163] 塗布方法は、オブジェクトのすべて又は一部を第1の垂直軸に沿って塗布液の中に浸漬させること、オブジェクトを塗布液から引き抜くこと、並びにオブジェクトを第1及び第2の軸を中心に回転させることを含む。第1及び第2の軸を中心に回転させることにより、オブジェクトの表面上に遠心力を生成し、これは重力との組合せで塗布された表面のすべて又は一部を覆う塗布液の均一な膜を形成する。場合によっては、第1の軸及び第2の軸を中心とする回転は同時に起きる。別の場合では、第1の軸及び第2の軸を中心とする回転は異なった時に起きる。
【0145】
[0164] 塗布液を含有する容器内にオブジェクトを浸漬させると、垂直軸を中心にオブジェクトを回転させることができる。この場合、回転速度は1〜500rpmの範囲であることが可能である。またオブジェクトを、第2及び/又は第3の軸を中心に又は第2及び/又は第3の軸の周囲を同じもしくは異なった速度で回転させることができる。
【0146】
[0165] 引き抜かれた後は、回転速度は、任意の又はすべての3つの軸を中心に1〜5000rpmの範囲であることが可能である。回転の下限は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1,000、1500又は2,000rpmであることが可能である。回転の上限は、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、500、250又は100rpmであることが可能である。rpmの範囲は、これらの上限及び下限のあらゆる組合せが可能である。好ましい範囲は、3〜1000rpm、3〜500rpm、4〜1000rpm、4〜500rpm、5〜1000rpm、5〜500rpm、10〜1000rpm、10〜500rpm、25〜1000rpm、25〜500rpm、50〜1000rpm、50〜500rpm、100〜1000rpm、100〜500rpm、150〜1000rpm及び150〜500rpmである。
【0147】
[0166] 通常のオブジェクトの塗布作業に対する回転数は、塗布に依存して1〜5000回転又はそれ以上の範囲であることが可能である。回転の下限は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1,000、1500又は2,000回転であることが可能である。回転の上限は、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、500、250又は100回転であることが可能である。回転の範囲は、これらの上限及び下限のあらゆる組合せが可能である。好ましい範囲は、3〜1000回転、3〜500回転、4〜1000回転、4〜500回転、5〜1000回転、5〜500回転、10〜1000回転、10〜500回転、25〜1000回転、25〜500回転、50〜1000回転、50〜500回転、100〜1000回転、100〜500回転、150〜1000回転及び150〜500回転である。
【0148】
[0167] オブジェクトは、好ましくは1〜500mm/分の範囲の割合で塗布液から引き抜かれる。
【0149】
[0168] 好ましい実施形態では、塗布装置及び方法は、好ましくはアルゴリズム、及び2つ以上の回転軸を中心とした又は2つ以上の回転軸の周囲の回転速度の、オブジェクトの垂直移動を制御するコンピュータによって制御される。
【0150】
塗布システム及びプロセス
[0169] 好ましい実施形態では、オブジェクトを塗布するためのシステムは、4つの構成部品、すなわち(1)前処理ユニット、(2)第1の加工ユニット、(3)第1の後処理ユニット、及び、(4)それぞれがオブジェクトと係合し、上に説明されたようにオブジェクトを2つ以上の軸を中心に又は2つ以上の軸の周囲を回転させるように構成された、1つ又は複数の塗布装置を備える。図17は、例示的システム1700の平面図である。該システムは外壁1702によって閉囲される。前処理ユニット1704、加工ユニット1706及び後処理ユニット1708はこれらの壁で囲まれている。システムは、塗布装置1710を前処理ユニット1704と第1の加工ユニット1706との間、及び、第1の加工ユニット1706と第1の後処理ユニット1708との間を移動させることができるように構成される。システム又は1つもしくは複数のユニット1704、1706及び/もしくは1708は、好ましくはシステム又はユニット内部の温度及び大気を制御できるように閉囲される。
【0151】
[0170] 追跡システムは、様々なユニットの上に位置付けられ、追跡部1712並びに適切な駆動部及び制御機構(図示せず)を含んで、塗布装置1710が追跡部を通過するときに塗布装置を移動させ、塗布装置を処理ユニット及び加工ユニット内の適切な位置に停止させる。
【0152】
[0171] 一部の実施形態では、システムは、前処理ユニット1704と第1の加工ユニット1706との間、及び第1の加工ユニット1706と後処理ユニット1708との間に、第1の移動ユニット1714、1716、及び1718を含む。追跡システムはこの状況で適合され、その結果前処理ユニット1704と第1の後処理ユニット1708との間の塗布装置の移動は妨げられない。
【0153】
[0172] システムは、好ましくは塗布されるオブジェクトを塗布装置1710に取り付けることができるように、前処理ユニット1704の前又は上流に入口ポート1720を有する。より好ましくは、オブジェクトは、システムの閉囲された部分の外側にある塗布装置に取り付けられる。後者の場合、追跡システムは、好ましくは閉囲されたシステムから外方に延在し、塗布装置を支持する。従って、塗布装置を、追跡システムを介して入口ポートを通って前処理ユニット及び必要に応じて他のユニットの中に移動させることができる。オブジェクトが塗布され処理された後、システムは、オブジェクトを入口ポート1720から取り除くことができるように、塗布装置の動きを逆転させることができる。
【0154】
[0173] またシステムは、後処理ユニット1708の後に出口ポート1722を含むこともできる。このような構成によって、その中で第1の塗布装置1710が前処理ユニット1704からシステムに入り、塗布される加工ユニット1706に移動し、照射のために後処理ユニット1708に移動し、出口ポート1722を介して出ることができる、塗布システムの連続作動が可能になる。第2の塗布装置は、第1の塗布装置1710が前処理ユニット1704から出ると、システムに前処理ユニット1704から入ることができる。これによって、複数の塗布装置がシステム内に存在することが可能になり、それによってシステムの作動効果が高まる。
【0155】
[0174] 好ましい実施形態では、前処理ユニット1704はプラズマヘッド1724を含む。プラズマヘッドは、例えば大気プラズマ又は酸素プラズマを生成することができ、これは塗布されるオブジェクトの表面と接する。この実施形態では、プラズマヘッドを固定することができ、オブジェクトを2つ以上の軸を中心に又は2つ以上の軸の周囲を回転させる。好ましい実施形態では、6つの回転軸を備えるプラズマヘッドを使用する。この実施形態では、6軸のプラズマヘッドは、オブジェクトの表面のすべて又は一部を暴露することができる。また、塗布装置による2つ以上の軸を中心に又は2つ以上の軸の周囲のオブジェクトの回転と、複数の軸のプラズマヘッドとの組合せも使用できる。
【0156】
[0175] 例えばプラズマ処理によるオブジェクトの表面の前処理は、表面を活性化させ、次いでオブジェクトの表面と第1の薄膜との間に形成される共有結合の数を増加させる。前処理は、前処理を行わない場合より強力に表面に接着する第1の薄膜をもたらす。また第1の薄膜表面の前処理を使用して、第1の薄膜の表面への第2の薄膜の接着を増すことができる。この実施形態では、塗布装置を前処理ユニット又は前処理のための第2の前処理ユニットに移動させ、次いで同じ又は異なる塗布液で塗布する。
【0157】
[0176] 他の実施形態では、前処理ユニットは、酸性溶液又は基礎液などの活性化溶液を含有する1つ又は複数の容器を含むことができる。これらの実施形態では、塗布されるオブジェクトの表面のすべて又は一部を、2つ以上の軸を中心とした又は2つ以上の軸の周囲の回転の有無に関わらず、活性化溶液内に浸漬させる。
【0158】
[0177] 加工ユニット1706は、塗布液を保持するように設計された少なくとも第1の塗布容器(図示せず)を含む。塗布容器は、塗布装置の1つが第1の容器の上にあるときは、垂直に上下移動するように構成される。別法として、塗布装置は、塗布装置が容器の上にあるときは、垂直に上下移動するように構成されることができる。追加の塗布容器を加工ユニット1706に含むことができる。例えば、塗布装置1710の下に異なる容器を配置するように、2つ以上の容器を加工コンベヤー又は加工追跡システム上に構成することができる。また塗布容器は、単純な「バケット」形容器より複雑であってもよい。塗布容器は、内部に排除区域を有してもよく、それゆえむしろ「ドーナツ」形の容器のように見える。
【0159】
[0178] システムは、通常第1の塗布容器と流体連通する、第1の流体貯蔵容器1728を有する。この第1の貯蔵容器は、塗布プロセスに起因して第1の容器から失われた塗布液を交換するために、第1の容器の中に汲み上げる塗布液を含有する。また第1の塗布容器と流体連通する第2の流体貯蔵容器1730を使用して、システムの連続作動を促進する、又は異なる塗布液と交換するために、同じ又は異なる塗布液を保持することができる。容器を保守中に清浄するために使用する洗浄液を保存するために、第1の塗布容器と流体連通する第3の流体貯蔵容器1732が存在してもよい。
【0160】
[0179] 一部の実施形態では、再循環ループ(図示せず)は、容器と1つもしくは複数の貯蔵容器1728、1730及び/又は1732との間に存在する。再循環ループは、SDNソルゲル前駆体溶液を使用する際に生じ得るような、塗布液内に生じ得るあらゆるゲル化を逆転するように設計されたサブユニットを有する。再循環ループのサブユニットは、超音波エネルギーをサブユニットの中に付与するように構成された、1つ又は複数の超音波変換器を備えることができる。超音波エネルギーはゲル化を逆転する。別法として、又は超音波エネルギーに加えて、1つ又は複数の超音波エネルギーは、超音波エネルギーを第1の容器、第1の流体貯蔵容器1728、第2の流体貯蔵容器1730、又は第1の塗布容器と貯蔵容器との間の流体連通の手段の中に付与するように構成することができる。ロールコータ内で使用するための超音波変換器を含む再循環ループは、米国特許公開第2001/0244136号(出願番号第13/078,607号)に開示されており、本明細書に開示された塗布システムに使用するために容易に適合することができる。
【0161】
[0180] 後処理ユニット1708は、その中で反応ガスを導入できるオーブン又はチャンバなどのあらゆる公知の処理ユニットであることが可能である。好ましい実施形態では、後処理ユニットは、好ましくは紫外線照射サブユニット1734、可視線照射サブユニット1736又は赤外線照射サブユニット1738から選択される少なくとも1つの照射サブユニットを備える。好ましい実施形態では、紫外線照射サブユニット1734、可視線照射サブユニット1736又は赤外線照射サブユニット1738のうち少なくとも2つを使用し、最も好ましくは3つの照射サブユニットすべてを使用する。照射の波長、強度及び期間の少なくとも1つは、少なくとも1つの照射サブユニット、好ましくは照射ユニットの2つ、最も好ましくは3つの照射ユニットすべてによって変化することが可能である。
【0162】
[0181] システムに使用される塗布装置は、上述の塗布装置である。塗布装置は、第1のジンバルが第1の軸の周囲を回転するために第1の機構に連結された第1のジンバル、第2の軸の周囲を回転可能にするために第1のジンバルに連結された第2のジンバル、第2のジンバルが第2の軸の周囲を回転するために第2のジンバルに連結された第2の機構、及び第2のジンバルに連結されたオブジェクトホルダを備える。そのように構成された場合、オブジェクトホルダ及びオブジェクトホルダ内のオブジェクトは、第1及び第2の軸を中心に又は第1及び第2の軸の周囲を回転可能である。
【0163】
[0182] 別の実施形態では、塗布装置は、第1のジンバルが第1の軸の周囲を回転するように第1の機構に連結された第1のジンバル、第2の軸の周囲を回転可能にするように第1のジンバルに連結された第2のジンバル、第3の軸の周囲を回転可能にするように第2のジンバルに連結された第3のジンバル、第2のジンバルが第2の軸の周囲を回転するように第2のジンバルに連結された第2の機構、第3のジンバルが第3の軸を中心に又は第3の軸の周囲を回転するように第3のジンバルに連結された第3の機構、及び第3のジンバルに連結されたオブジェクトホルダを備える。この構成は、ホルダ及びオブジェクトの第1、第2及び第3の軸を中心とした又は第1、第2及び第3の周囲への回転を提供する。
【0164】
[0183] またシステムは、図18に示したように、独立した処理モジュール1840内に第2の加工ユニット及び第2の後処理ユニットを含むことができる。図17及び18に示された実施形態の同じ構成部品は、下2桁が同じ数で表されている。図17におけるシステムは、第1の処理モジュールであるとみなすことができる。第2の加工ユニット1842は、塗布装置を第1の後処理ユニット1808から受領するように構成され、第2の後処理ユニット1884は、塗布装置1810を第2の加工ユニット1842から受領するように構成される。この実施形態では、処理モジュール1840を図17の第1の処理モジュールに連結するために、追跡部1846及び1848をシステムに加えて、第1の加工部1800と第2の処理モジュール1840との間の塗布装置1810のための移動回路を形成する。これらの追跡部は、汚染を防止し、また必要に応じてシステム内の温度及び大気の組成物を制御するために、好ましくは通路を閉塞されて(図示せず)含まれる。
【0165】
[0184] 塗布装置1810を、前処理ユニット1804から第2の後処理ユニット1844に、また第2の後処理ユニット1844から前処理ユニット1804(図示せず)、移動ユニット1814、又は直接第1の加工ユニット1816(図示せず)に移動することができる。システムは、第2の後処理ユニット1844の後に出口ポート1850を有することができる。
【0166】
[0185] 図18における実施形態は、オブジェクトを第1の処理モジュールの加工ユニット1806内で、続いて第2の処理モジュール1840内の後処理ユニット1808内で塗布できる、二重処理構成である。従って、オブジェクトを後処理ユニット1842及び1844のために処理モジュール1840に移動することができる。次いでオブジェクトを追加塗布のために第1の処理モジュール内の第1の加工ユニット1806又は第2の加工ユニット1842に戻すことができる。
【0167】
[0186] 追加の処理モジュールを塗布システムの中に組み込んで、異なる塗布溶液を提供する、又はシステムの容量を増加させてさらなる塗布装置を使用するような、システムの柔軟性を増やすことができる。図18におけるシステムは、第1のモジュールと平行に配置されたモジュール1840を示す。しかしこれらのモジュールを直線状に構成する、又はあらゆる他の構成内に構成することができる。
【0168】
[0187] 図19は、図18の処理モジュールが単一エンクロージャ内部に含まれる、二重処理塗布システムの平面図である。
【0169】
[0188] オブジェクトを塗布するためのプロセスには、オブジェクトの1つ又は複数の表面を前処理すること、オブジェクトのすべて又は一部を第1の垂直軸に沿って塗布液の中に浸漬すること、恣意的に塗布液内に浸漬している間、オブジェクトを第1の垂直軸を中心に又は垂直軸の周囲を回転させること、恣意的に塗布液内に浸漬している間、オブジェクトを第2の軸を中心に又は第2の軸の周囲を回転させること、塗布されたオブジェクトを形成するためにオブジェクトを塗布液から引き抜くこと、引き抜いた後塗布されたオブジェクトを垂直軸を中心に又は垂直軸の周囲を回転させること、該引き抜いた後塗布されたオブジェクトを該第2の軸を中心に又は該第2の軸の周囲を回転させること、及び塗布されたオブジェクトを後処理することを含む。
【0170】
[0189] 一部の実施形態では、塗布液から引き抜いた後、塗布されたオブジェクトを垂直軸を中心に又は垂直軸の周囲を回転させ、同時に第2の軸を中心に又は第2の軸の周囲を回転させる。別法として、垂直軸を中心とした又は垂直軸の周囲の回転、及び第2の軸を中心とした又は第2の軸の周囲の回転が異なる時に起きる。
【0171】
[0190] 別の実施形態では、塗布されたオブジェクトを第1、第2及び/もしくは第3の軸を中心に又は第1、第2及び/もしくは第3の軸の周囲を同時に又は異なる時に回転させる。
【0172】
[0191] プロセスは、該オブジェクトの表面のすべて又は一部を活性化溶液又はプラズマに暴露することにより、オブジェクトを前処理することを含むことができる。
【0173】
[0192] またプロセスは、塗布されたオブジェクトの表面のすべて又は一部を紫外線放射、可視光線放射又は赤外線放射の少なくとも1つに暴露することにより、塗布されたオブジェクトを後処理することを含むことができる。これらの実施形態では、暴露の波長、強度及び期間の少なくとも1つを変化させることができる。
【0174】
[0193] 一部のプロセス実施形態では、塗布液は溶液由来のナノ複合体(SDN)ソルゲル前駆体溶液である。
【0175】
[0194] すべての参照は本明細書に明白に組み込まれる。
図1
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図14B
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図19