【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例1の冷蔵庫1について
図1〜
図9に基づいて説明する。
【0010】
(1)冷蔵庫1の構造
冷蔵庫1の構造について
図1に基づいて説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施例に係る冷蔵庫1のキャビネット100は、断熱箱体の内部に貯蔵空間を形成され、水平方向の断熱仕切壁により、貯蔵室である冷凍室201、製氷室202、小型冷凍室から構成される冷凍区画(以下、「F区画」という)2、冷蔵室301、野菜室302から構成される冷蔵区画(以下、「R区画」という)3など複数の貯蔵室に区分されている。なお、小型冷凍室は、製氷室202の横に配されている。
【0012】
冷蔵室301の前面には、ヒンジ式の扉301aが配され、野菜室302、冷凍室201、製氷室202、小型冷凍室には、それぞれ引き出し式の扉302a、201a、202aが配されている。
【0013】
また、キャビネット100の背面には、制御部102を内蔵した制御基板が配され、冷蔵室301の扉301aの前面には、制御部102を操作するための複数のスイッチ、表示部、外気温センサ105を有した操作パネル104が設けられている。
【0014】
キャビネット100の後部には、F区画2を冷却するための冷凍用蒸発器である冷凍用エバポレータ(以下、「Fエバ」という)4と、F区画2の冷気を循環するための冷凍用送風ファン(以下、「Fファン」という)6と、R区画3を冷却するための冷蔵用蒸発器である冷蔵用エバポレータ(以下、「Rエバ」という)5と、R区画3の冷気を循環するための冷蔵用送風ファン(以下、「Rファン」という)7が設けられている。各貯蔵室は、Fエバ4、Rエバ5、Fファン6及びRファン7によってそれぞれ所定の設定温度に冷却保持されるものであり、Fエバ4、Rエバ5は、キャビネット100の背面下部の機械室8に設置したコンプレッサ(圧縮機)9から供給される冷媒によって冷却される。
【0015】
また、冷蔵室301の背面には、R区画3の庫内温度を検出するRセンサ106が配され、冷蔵室201の背面には、F区画2の庫内温度を検出するFセンサ108が配されている。
【0016】
(2)冷凍サイクル50の構成
冷蔵庫1の冷凍サイクル50の構成について
図2に基づいて説明する。
【0017】
図2に示すように、冷蔵庫1の冷凍サイクル50は、高温高圧の冷媒ガスを吐出するコンプレッサ9、このコンプレッサ9から吐出される冷媒ガスを受けて放熱液化するコンデンサ(凝縮器)10、このコンデンサ10の出口側に設けられて冷媒流路を切り替える三方弁11、Fエバ4、Rエバ5、Fエバ4とRエバ5のための絞り手段としての冷凍用キャピラリーチューブ(冷凍用減圧装置、以下、「Fキャピラリーチューブ」という)12及び冷蔵用キャピラリーチューブ(冷蔵用減圧装置、以下、「Rキャピラリーチューブ」という)13、逆止弁14とを備えている。
【0018】
切替弁の一つである三方弁11は、コンデンサ10の出口側に設けられてFエバ4及びRエバ5への冷媒流路の切り替えと共に流量を絞り制御できる膨張弁としても機能する。コンプレッサ9とコンデンサ10と三方弁11とは、直列に接続され、三方弁11の冷凍側出口(以下、「F出口」という)にFキャピラリーチューブ12とFエバ4と逆止弁14とが直列に接続され、三方弁11の冷蔵側出口(以下、「R出口」という)にRキャピラリーチューブ13とRエバ5とが直列に接続されている。逆止弁14の出口側に接続された配管とRエバ5の出口側に接続された配管とが合流し、サクションパイプ(吸い込み管)15としてコンプレッサ9へ接続されている。したがって、三方弁11のF出口からFキャピラリーチューブ12を介して接続された低温側のFエバ4と、三方弁11のR出口からRキャピラリーチューブ13を介して接続された高温側のRエバ5とは、並列に接続されている。Fキャピラリーチューブ12とRキャピラリーチューブ13とは、サクションパイプ15と対向流熱交換器を構成するように半田付けした状態でキャビネット100を構成する断熱材(ウレタン)の中に埋設されている。
【0019】
Fエバ4には、その温度を検出するFエバセンサ110が設けられ、Rエバ5には、その温度を検出するRエバセンサ112が設けられている。
【0020】
(3)機械室8の構造
機械室8の構造について
図3〜
図5に基づいて説明する。
【0021】
図3に示すように、機械室8に設置されたコンプレッサ9は、キャビネット100の幅方向にわたって設けたコンプ台16の右側に弾性部材を介して取り付けられている。
【0022】
機械室8は、キャビネット100の下部にあるF区画2の下部後部に配置され、上方に行くほど後方に傾斜する断熱性を有する前板17によってF区間2と仕切られ、この前板17、底面であるコンプ台16、両側板によって機械室8の空間が形成されている。
【0023】
図4に示すように、コンプ台16の左側には、放熱用の送風ファン(以下、「Cファン」という)18、コンデンサ10及び除霜水を蒸発させる蒸発皿19などが設置されている。Cファン18は、ファンケーシング20に取り付けられ、軸流が機械室8の前後方向となるように配置されている。ファンケーシング20の下端前方のコンプ台16には、
図4に示すように、ファンケーシング20の幅に沿って外気の吸気口21が開口している。Cファン18の後方には、下端部をCファン18に対向させてコンデンサ10が配置されている。このコンデンサ10は、キャビネット100の背面に形成され機械室8より上方へ延出する凹部22に沿うように立設されている。
【0024】
図5に示すように、機械室8の背面は、カバー体23で覆われている。カバー体23は、Cファン18から吹き出された空気がキャビネット100の幅のやや中心方向に向かって流れるような形状をなしており、コンプレッサ9の後方に排気口24が穿設されている。すなわち、外部から機械室8へ空気を導入する吸気口21と、機械室8内に配設されたコンプレッサ9を冷却した空気を排出する排気口24とが、機械室8の対角する隅角部にそれぞれ配設されている。また、カバー体23は、コンデンサ10の上端部まで覆うように延設されており、凹部22のとの間に形成されるダクトに連なる排気口25が穿設されている。
【0025】
Cファン18が回転することで吸気口21から機械室8内に吹き出され後方に送流され空気は、カバー体23に衝突することで、その一部がキャビネット100の幅の中央方向に分流され、他の一部が上方に分流される。キャビネット100の幅の中央方向に分流された空気は、コンプレッサ9と熱交換してこれを冷却した後、カバー体23に穿設された排気口24から外部に流出する。また、上方に分流された空気は、凹部22とカバー体23で形成されるダクト内に流入し、コンデンサ10と熱交換してこれを冷却して、カバー体23上部の排気口25から外部に流出する。
【0026】
(4)三方弁11の構造
冷凍サイクル50の三方弁11について
図6に基づいて説明する。
【0027】
図6に示すように、三方弁11は、弁ケース31の底部に設けられた弁座32と、この弁座32の上部に配置される弁体33とを有している。
【0028】
弁座32には、Rエバ5側へ冷媒が流れ出るR出口32Rと、Fエバ4側へ冷媒が流れ出るF出口32Fと、コンデンサ10から入口配管37を介して冷媒が流れ込む流入口34とが形成されている。
【0029】
弁体33は、弁座32に形成されたR出口32R及びF出口32Fを覆うように弁座32の上部に配置され、パルス制御されるステッピングモータ(不図示)によって角度制御可能に回動される。また、弁体33には、R溝33R及びF溝33Fが、互いに回転軸33aからの距離を相違させ、かつ、周方向の位置をずらして肉厚段部33bの下面に形成されている。
【0030】
ステッピングモータによって弁体33が、所定方向(本実施例では
図6における矢符Kで示す時計回りの方向)へ所定角度回動することで、R溝33R及びR出口32R、又は、F溝33F及びF出口32Fが上下に重なり連通したり、いずれのF溝33R,R溝33FもF出口32R,R出口32Fに重なり合わずF出口32R,F出口32Fが弁体33によって閉鎖されたりする。
【0031】
R溝33RとR出口32Rとが連通すると、流入口34から弁ケース31内に流入した冷媒が、肉厚段部33bの開放端縁からR溝33Rの内に進入し、R出口32Rから流出してR出口配管35を介してRキャピラリーチューブ13及びRエバ5に導入される。
【0032】
F溝33FとF出口32Fとが連通すると、流入口34から弁ケース31内に流入した冷媒が、肉厚段部33bの開放端縁からF溝33Fの内に進入し、F出口32Fから流出してF出口配管36を介してFキャピラリーチューブ12及びFエバ4に導入される。
【0033】
F出口32F,R出口32Rが弁体33の肉厚段部33bによって閉鎖されるとFエバ4、Rエバ5への冷媒供給を遮断される。
【0034】
さらに、R溝33Rは、回転方向の前端から後端に向かうにしたがって断面積が漸次拡大するように形成されており、ステッピングモータによって弁体33の回動角度を制御することで、R溝33RとR出口32Rとが重なり合う面積を変更できる。これにより、R出口32Rの開度を調整してRエバ5に供給する冷媒流量を、全閉から全開まで絞り調整できる。
【0035】
また、F溝33Fについても、R溝33Rと同様、回転方向の前端から後端に向かうにしたがって断面積が漸次拡大するように形成されており、ステッピングモータによって弁体33の回動角度を制御することで、F出口32Fの開度を調整してFエバ4に供給する冷媒流量を、全閉から全開まで絞り調整できる。
【0036】
三方弁11は、例えば、
図4に示すように、吸気口21からCファン18までの風路内に配設されており、コンプレッサ9及びコンデンサ10より風上側に配設されている。
【0037】
また、三方弁11に接続された出口配管35,36のうち、冷媒流量が調整可能に設けられたR出口32R及びF出口32Fに接続された出口配管35,36には、断熱材38,38によって被覆されている。一方、入口配管37は断熱材によって被覆されておらず、吸気口21からCファン18までの風路内に露出している。
【0038】
(5)冷蔵庫1の電気的構成
次に、冷蔵庫1の電気的構成について、
図7のブロック図に基づいて説明する。
【0039】
図7に示すように、制御基板に設けられた制御部102は、マイクロコンピュータより構成され、コンプレッサ9のモータ、Rファン7、Fファン6、Cファン18が接続されている。また、冷蔵室301の扉301aに設けられた操作パネル104、操作パネル104に設けられた外気温センサ105、三方弁11、Rセンサ106、Fセンサ108、Rエバセンサ112、Fエバセンサ110も接続されている。
【0040】
(6)冷却モード
上記構成の冷蔵庫1では、制御部102が、F区画2やR区画3に設けられたRセンサ106、Fセンサ108の検知温度に基づいて、三方弁11を切り替え制御することにより、Rエバ5に冷媒を流すことでR区画3のみを冷却する冷蔵冷却モード(以下、「Rモード」いう)と、Fエバ4に冷媒を流すことでF区画2のみを冷却する冷凍冷却モード(以下、「Fモード」いう)を実行する。
【0041】
(7)冷蔵庫1の動作状態
次に、本実施例の冷蔵庫1における動作状態について、
図8及び
図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
ステップS1において、制御部102は、Fセンサ108の検知温度が予め設定したF開始温度TF1(例えば、−18℃)以上であればステップS3に進み(yの場合)、F開始温度TF1未満であればステップS2に進む(nの場合)。
【0043】
ステップS2において、制御部102は、Rセンサ106の検知温度が、R開始温度TR1(例えば、4℃)以上であれば
図9におけるステップS11に進み(yの場合)、R開始温度TR1未満であればステップS1に戻る(nの場合)。
【0044】
ステップS3において、制御部102は、Fモードを開始する。すなわち、制御部102は、Fモードにおいて三方弁11のR出口32Rを全閉状態にし、F出口32Fを全開状態にして、Fエバ4に冷媒を流すと共に、Fファン6を回転させて、Fエバ4で冷却された空気をF区間2に送風する。コンプレッサ9の回転数は、Fセンサ108の検知温度に合わせてインバータ制御を行う。例えば、Fセンサ108の検知温度が下がるほど、コンプレッサ9の回転数を次第に落としていき、省エネルギーを実現する。そしてステップS4に進む。
【0045】
ステップS4において、制御部106は、コンプレッサ9の回転数が所定回転数A以下であればステップS6に進み(yの場合)、所定回転数Aより高ければステップS5に進む(nの場合)。例えば、コンプレッサ9のインバータ制御における周波数制御を19Hz〜70Hzで行っていた場合には、28.8Hzに対応する回転数が所定回転数Aに対応する。
【0046】
ステップS5において、制御部102は、外気温センサ105の検知温度が所定温度B℃(例えば、27℃)以上であればステップS6に進み(yの場合)、B℃未満であればステップS7に進む(nの場合)。
【0047】
ステップS6において、コンプレッサ9の回転数が所定回転数以下、又は、外気温がB度以上であるので、制御部102は、三方弁11のF出口32Fの開度を1〜50%(好ましくは10%)まで絞る。そして、ステップS7に進む。F出口32Fを絞ることにより、Fエバ4内部の減圧量を最適化することができ、省エネルギーに寄与できる。最適化できる理由は、次の通りである。コンプレッサ9の回転数が高い場合には、F出口32Fの開度を絞るとFエバ4の減圧量が大きくなり過ぎ、冷凍能力の低下や省エネルギーの悪化となり、また、外気温が低い場合にはコンデンサ10内部に液化冷媒の滞留が多くなるため、F出口32Fの開度を絞るとFエバ4の内部の冷媒が不足し、冷凍能力の低下や省エネルギーの悪化となるため、制御部102は開度を絞らず全開状態に制御し、コンプレッサ9が所定回転数A以下、又は、外気温がB℃以上のときのみ、制御部102はF出口32Fを絞ることによってFエバ4の減圧量を最適化する。
【0048】
ステップS7において、制御部102は、Fモードが終了するか否かを判断する。例えば、制御部102は、Fセンサ108の検知温度がF終了温度TF2(例えば、−22℃)以下になっていればFモードを終了してステップS8に進み(yの場合)、F終了温度TF2以上であればステップS4に戻る(nの場合)。
【0049】
ステップS8において、制御部102は、Rセンサ106の検知温度が前記R開始温度TR1以上であればRモードへ移行し(yの場合)、R開始温度TR1未満であればステップS1に戻る(nの場合)。
【0050】
ステップS9において、制御部102は、三方弁11のF出口32Fが絞り状態か否かを判断し、全開状態であればステップS11に進み(yの場合)、絞り状態であればステップS10に進む(nの場合)。
【0051】
ステップS10において、制御部102は、三方弁11のF出口32Fを絞り状態から全開状態に所定時間(例えば、5秒間)行い、F出口32Fに噛み込んだ異物(例えば、銅粉)などを排除し、ステップS11に進む。
【0052】
図9のステップS11において、制御部102は、Rモードを開始する。制御部102は、Rモードにおいて三方弁11のF出口32Fを全閉状態にし、R出口32Rを全開状態にして、コンデンサ10からの冷媒をRエバ5に送ると共に、Rファン7を回転させて、Rエバ5で冷却された空気をR区間3に送る。この場合もコンプレッサ9は、Rセンサ106の検知温度が低いほど回転数を落として、省エネルギー運転を行う。そしてステップS12に進む。
【0053】
ステップS12において、制御部102は、コンプレッサ9の回転数が所定回転数A以下であればステップS14に進み(yの場合)、所定回転数Aより高ければステップS13に進む(nの場合)。
【0054】
ステップS13において、制御部102は、外気温センサ105の検知温度が所定温度B℃以上であればステップS14に進み(yの場合)、所定温度B℃未満であればステップS15に進む(nの場合)。
【0055】
ステップS14において、制御部102は、三方弁11のR出口32Rを絞る。すなわち、上記と同様にRエバ5の減圧量の最適化を図り、省エネ運転を行うためである。そして、ステップS15に進む。
【0056】
ステップS15において、制御部102は、Rモードが終了したか否かを判断する。例えば、制御部102は、Rセンサ106の検知温度がR終了温度TR2(例えば、1℃)以下になっていればRモードを終了してステップS16に進み(yの場合)、R終了温度TR2以上であればステップS12に戻る(nの場合)。
【0057】
ステップS16において、制御部102は、Fモードへ移行するか否かを判断する。すなわち、制御部102は、Fセンサ108の検知温度がF開始温度TF1以上であればFモードへ移行するためにステップS17に進み、F開始温度TF1未満であればステップS1に戻る。
【0058】
ステップS17において、制御部102は、RモードからFモードへ移行するため、R出口32Rが絞り状態か否かを判断し、絞り状態であればステップS18に進み(yの場合)、全開状態であればステップS3に戻る(nの場合)。
【0059】
ステップS18において、制御部102は、三方弁11のR出口32Rが絞り状態であるため、噛み込んだ異物などを排除するために所定時間全開状態にし、その後ステップS3に戻る。
【0060】
(8)効果
本実施例によれば、三方弁11の出口を絞った状態から他の冷却モードに移行する場合には、その出口を所定時間全開状態にして噛み込んだ異物などを排除した後に移行するため、他の冷却モードに移行してその出口を全閉状態にしても、確実に出口が閉まり、冷媒が漏れ出たりすることがない。
【0061】
(9)変更例
上記実施例では、Fモードにおいて三方弁11のF出口32Fを全開状態から絞る場合には、コンプレッサ9の回転数が所定回転数A以下になった場合、又は、外気温が所定温度B℃以上になった場合としたが、これに代えて、コンプレッサ9の回転数が所定回転数A以上で、かつ、外気温が所定温度B以上のときにのみ、三方弁11のF出口32Fを絞ってもよい。
【0062】
また、Rモードにおいても同様に、コンプレッサ9の回転数が所定回転数A以上で、かつ、外気温が所定温度B以上のときのみ、R出口32Rを絞ってもよい。