(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の男性巻きや袋状吸収性物品では、装着状態において陰茎が吸収性物品により拘束されるため違和感が強く、また陰茎が動いて物品外に抜け出ると意味をなさないという問題点がある。
【0007】
また、上述の蛇腹状装着形態は、男性巻きや袋状吸収性物品と比べて装着時の違和感は少ないものの、鼠径部から股間までの両脚の付根の溝に発生する隙間を完全に埋めることが困難であり、隙間が残り易いだけでなく、脚の動きに追従できずにじゃばらが崩れ易いため、脚周りの漏れ防止という観点からは改善の余地がある。
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、男性が使用する際、装着時の違和感が少ないものでありながら、脚周りの漏れ防止性に優れる吸収性物品及びその装着構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
幅方向中間に位置する基部と、基部の幅方向両側に位置する両側部とを備え、
両側部が巻かれた、基部よりも厚いロール状部分
を有し、
このロール状部分の巻き始めは側端部であり、前記側端部の表面は前記ロール状部分の内側に位置しており、
前記ロール状部分の巻きが非固定とされており、
少なくとも前記ロール状部分はその外部露出面から尿を吸収可能である、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0010】
(作用効果)
本発明の吸収性物品は、鼠径部から股間までの両脚の付根の溝に、両側部のロール状部分を入り込ませるとともに、それらロール状部分の間に男性器を配置して男性器を基部で覆うようにして装着することができる。したがって、鼠径部から股間までの両脚の付根の溝に発生する隙間を、尿吸収可能なロール状部分により埋めることができ、脚周りに向かう尿をロール状部分により効果的に吸収することができる。しかも、ロール状部分は、蛇腹状のものとは異なり、弾力性及び形状維持性(形状の崩れにくさ)に富むため、脚の付根の溝にしっかりとフィットし、脚等の体動に追従して変形・復元することができるとともに、変形による崩れも発生し難い。よって、脚周りからの漏れは発生し難くなる。さらに、本発明の吸収性物品では、男性巻きや袋状吸収性物品のように男性器が強く拘束されず、違和感も生じ難い。
なお、ロール状部分は、側部が少なくとも1周は巻かれている(つまり筒状になっている)部分を意味する。
【0011】
【0012】
また、本発明の吸収性物品は、使用者が必要に応じて、ロール状部分の巻きを戻す又は進めることによりロール状部分の位置や直径を調節したり、巻きを緩める又は締めることによりロール状部分の直径、弾力性、変形容易性を調節したりすることが可能となり、多少の個人差があっても適切な装着状態を得ることができる。また、ロール状部分の巻きが緩む作用により、脚の付根の溝に発生する隙間を埋めるようにロール状部分が膨らんでフィットするとともに、脚等の体動に追従して変形・復元する性質が向上する。
【0013】
<請求項
2記載の発明>
幅方向中間に位置する基部と、基部の幅方向両側に位置する両側部とを備え、
両側部が巻かれた、基部よりも厚いロール状部分を有し、このロール状部分の巻き始めは側端部であり、前記側端部の表面は前記ロール状部分の内側に位置しており、
少なくとも前記ロール状部分はその外部露出面から尿を吸収可能であり、
前記両側部のロール状部分は互いの基部側の側面が接触又は近接しており、使用の際に少なくとも一方のロール状部分の巻きを戻すことにより、前記両側部のロール状部分の間に間隔を空けるように構成されている、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0014】
(作用効果)
本発明の吸収性物品は、鼠径部から股間までの両脚の付根の溝に、両側部のロール状部分を入り込ませるとともに、それらロール状部分の間に男性器を配置して男性器を基部で覆うようにして装着することができる。したがって、鼠径部から股間までの両脚の付根の溝に発生する隙間を、尿吸収可能なロール状部分により埋めることができ、脚周りに向かう尿をロール状部分により効果的に吸収することができる。しかも、ロール状部分は、蛇腹状のものとは異なり、弾力性及び形状維持性(形状の崩れにくさ)に富むため、脚の付根の溝にしっかりとフィットし、脚等の体動に追従して変形・復元することができるとともに、変形による崩れも発生し難い。よって、脚周りからの漏れは発生し難くなる。さらに、本発明の吸収性物品では、男性巻きや袋状吸収性物品のように男性器が強く拘束されず、違和感も生じ難い。
なお、ロール状部分は、側部が少なくとも1周は巻かれている(つまり筒状になっている)部分を意味する。
また、本発明の吸収性物品は、製品包装状態や使用前の携帯時・保管時には非常にコンパクトであるとともに、装着者の身体寸法に合わせて、ロール状部分の位置や直径、ロール状部分の相互間隔を調節することができるため好ましい。
【0015】
<請求項
3記載の発明>
前記両側部のロール状部分は、前記互いの基部側の側面が接触又は近接した状態で、それぞれ巻きが解除可能に固定されている、請求項
2記載の吸収性物品。
【0016】
(作用効果)
前述した、両側部のロール状部分における互いの基部側の側面が接触又は近接している形態では、その形状を維持するためにロール状部分の巻きを解除可能に固定しておくのが好ましい。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
<請求項
4記載の発明>
幅方向両側面に接する袋体により個包装されている、請求項1〜
3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0023】
(作用効果)
本発明の吸収性物品は、形状が崩れるおそれがあるため、吸収性物品の幅方向両側面に接する袋体により個包装し、形状維持を図るのは好ましい。もちろん、個包装により衛生面でも好ましいものとなる。
【0024】
<請求項
5記載の発明>
前記基部及び両側部にわたる一体的な吸収体と、この吸収体の表裏両面を被覆する液透過性シートとを備えた、請求項1〜
4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0025】
(作用効果)
このような形態であると、基部及び両側部の全体において表裏両面からの尿吸収が可能となり、また吸収した尿は吸収体全体に拡散可能となる。さらに、吸収体の剛性により、装着状態では、両側部のロール状部分が両脚の付根の溝に向かって付勢された状態となるため、脚の動きに追従して両側部のロール状部分が基部との境界を軸に揺動することができ、動的なフィット性に優れるとともに、男性器への側方からの圧迫も少ないものとなる。
【0026】
<請求項
6記載の発明>
幅方向中間に位置する基部と、基部の幅方向両側に位置する両側部とを備え、
両側部が巻かれた、基部よりも厚いロール状部分
を有し、
このロール状部分の巻き始めは側端部であり、前記側端部の表面は前記ロール状部分の内側に位置しており、
少なくとも前記ロール状部分はその外部露出面から尿を吸収可能である、
吸収性物品
の装着構造であって、
男性器の両脇に前記ロール状部分が位置し、かつ男性器が前記基部で覆われ
ている、
ことを特徴とする吸収性物品の装着構造。
【0027】
(作用効果)
このような装着構造においては、鼠径部から股間までの両脚の付根の溝に発生する隙間を、尿吸収可能なロール状部分により埋めることができ、脚周りに向かう尿をロール状部分により効果的に吸収することができる。しかも、ロール状部分は、蛇腹状のものとは異なり、弾力性及び形状維持性(形状の崩れにくさ)に富むため、脚の付根の溝にしっかりとフィットし、脚等の体動に追従して変形・復元することができるとともに、変形による崩れも発生し難い。よって、脚周りからの漏れは発生し難くなる。さらに、このような装着構造では、男性巻きや袋状吸収性物品のように男性器が強く拘束されず、違和感も生じ難い。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、男性が使用する際、装着時の違和感が少ないものでありながら、脚周りの漏れ防止性に優れる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
(第1の形態)
第1の形態の吸収性物品10は、
図4及び
図5に示すように、幅方向中間に位置する基部11と、基部11の幅方向両側に位置する両側部12とを備え、両側部12は、それぞれ側端部12Eを巻き始めとして表面が内側となるように巻かれて形成された、基部11よりも厚いロール状部分13とされているものである。
【0031】
この吸収性物品10は、少なくともロール状部分13がその外部露出面から尿を吸収可能なように構成されている限り、内部構造は特に限定されず、形状維持性に優れるものであれば吸収性素材単独で構成することもできるが、
図1〜
図3に示すように、基部11及び両側部12にわたる一体的な吸収体3と、吸収体3の表面を被覆する透液性トップシート2と、吸収体3の裏面を被覆する透液性バックシート1とを備えた構造が簡素であり好ましい。この場合、
図4に示すように、基部11の表面はトップシート2により形成され、このトップシート2を介して吸収体3への吸収がなされるのに対して、ロール状部分13では外部露出面がバックシート1により形成され、バックシート1を介して吸収体3への吸収がなされる。なお、図中の点模様部分はホットメルト接着剤による接着部を示している。
【0032】
トップシート2及びバックシート1としては、有孔または無孔の不織布や有孔プラスチックシートなどが用いられる。不織布を用いる場合、その繊維は特に限定されず、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、また製法も特に限定されず、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。トップシート2及びバックシート1に多数の透孔を形成したプラスチックシートを用いると、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0033】
トップシート2及びバックシート1は、図示例では吸収体3の周囲からはみ出した部分を接合しているため吸収体3を有しないフラップ部4が形成されているが、いずれか一方のシートを吸収体3の周縁部を巻き込むように延在させることで周囲の一部又は全部にフラップ部4を有しない構造とすることもできる。
【0034】
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。吸収体3は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート(図示略)によって包装することができる。吸収体3の形状は、図示形態のように長方形状とする他、適宜の形状とすることができる。吸収体3における繊維目付け及び吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは250〜500g/m
2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付けは50〜250g/m
2程度とするのが好ましい。
【0035】
図示例と異なり、基部11の裏側にのみ公知の不透液性シートを配置したり、ロール状部分13の外部露出面の一部のみ透液性としたり、基部11内の吸収体3を省略したり、基部11及び両側部12に対して個別に吸収体3を設けたりする等、適宜の変更が可能である。
【0036】
吸収性物品10の寸法・形状は適宜定めることができるが、通常の場合、展開状態における幅Wは350〜450mm程度とするのが好ましく、展開状態における前後方向長さLは140〜210mm程度とするのが好ましく、前後方向長さLよりも幅Wの長い横長形状とするのが好ましい。基部11の幅(展開状態)は、装着者の股間幅より狭く、60〜90mm程度とすることができる。両側部12の幅(展開状態)は、ロール状部分13の巻き長さ(巻かれている部分の幅方向長さ)に応じて決まるものであり、巻き数は1.5巻き程度(
図4の状態)は確保するのが好ましいため、通常の場合、145〜180mm程度とするのが好ましい。
【0037】
以上のように構成された吸収性物品10は、
図6〜
図8に示すように、基本吸収性物品20の内面と男性器Pとの間に配置し、装着者の鼠径部から股間までの両脚Tの付根の溝に、両側部12のロール状部分13を入り込ませるとともに、それらロール状部分13の間に男性器Pを配置して男性器Pを基部11で覆うようにして装着することができる。そしてこの装着状態では、鼠径部から股間までの両脚Tの付根の溝に発生する隙間を、尿吸収可能なロール状部分13により埋めることができ、脚T周りに向かう尿をロール状部分13により効果的に吸収することができる。しかも、ロール状部分13は、弾力性及び形状維持性(形状の崩れにくさ)に富むため、脚Tの付根の溝にしっかりとフィットし、脚T等の体動に追従して変形・復元することができるとともに、変形による崩れも発生し難い。よって、脚T周りからの漏れは発生し難くなる。また、男性器Pが強く拘束されず、違和感も生じ難い。なお、
図8中の符号Dは装着者の下腹部Dを示している。
【0038】
特に、図示形態のように、ロール状部分13の巻きが非固定とされていると、使用者が必要に応じて、ロール状部分13の巻きを戻す又は進めることによりロール状部分13の位置や直径を調節したり、巻きを緩める又は締めることによりロール状部分13の直径、弾力性、変形容易性を調節したりすることが可能となり、多少の個人差があっても適切な装着状態を得ることができる。また、ロール状部分13の巻きが非固定となっていると、巻きが緩む作用により、脚Tの付根の溝に発生する隙間を埋めるようにロール状部分13が膨らんでフィットするようになるとともに、脚T等の体動に追従して変形・復元する性質も極めて高くなる。基本吸収性物品20は立体ギャザー24を備えた形態が一般的であるが、そのような場合には立体ギャザー24の間に吸収性物品10を配置すると、ロール状部分13の巻きが緩んでも立体ギャザー24により抑えられるため、ロール状部分13の巻きが崩れにくくなる。
【0039】
また、図示形態のように、基部11及び両側部12にわたる一体的な吸収体3と、この吸収体3の表裏両面を被覆する液透過性シートとを備えた構造であると、基部11及び両側部12の全体において表裏両面からの尿吸収が可能となり、また吸収した尿は吸収体3全体に拡散可能となる。さらに、吸収体3の剛性により、装着状態では、両側部12のロール状部分13が両脚Tの付根の溝に向かって付勢された状態となるため、脚Tの動きに追従して両側部12のロール状部分13が基部11との境界を軸に揺動することができ、動的なフィット性に優れるとともに、男性器Pへの側方からの圧迫も少ないものとなる。
【0040】
他方、基部11は基本吸収性物品20に対して非固定とすることもできるが、図示形態のように、基部11の裏面に、粘着剤層や面ファスナー(メカニカルファスナー)のオス材(フックテープ)等からなるズレ止め部5を設け、基部11の位置ズレを防止するのも好ましい形態である。なお、図示形態は粘着剤層によりズレ止め部5を形成した場合を想定しており、符号6は粘着剤層を覆う剥離シートである。使用時にはこの剥離シート6を剥がして、粘着剤層を露出させて基本吸収性物品20の内面に粘着させる。
【0041】
(第2の形態)
上記第1の形態では、両側部12のロール状部分13が離れているため、製品包装状態や使用前の携帯時・保管時において嵩張るだけでなく、型崩れし易い。そこで、
図9に示すように、両側部12のロール状部分13は互いの基部11側の側面が接触又は近接しており、使用の際に少なくとも一方のロール状部分13の巻きを戻すことにより、両側部12のロール状部分13の間に間隔13Dを空ける形態も提案される。このような形態であると、製品包装状態や使用前の携帯時・保管時には非常にコンパクトであるとともに、装着者の身体寸法に合わせて、ロール状部分13の位置や直径、ロール状部分13の相互間隔13Dを調節することができる。
【0042】
この第2の形態では、その形状を維持するためにロール状部分13の巻きを解除可能に固定しておくのが好ましい。この固定は、例えば
図12(a)に示すように、ロール状部分13の対向側面を粘着剤層や面ファスナーのオス材等の接合手段15により剥離可能に接合したり、
図12(b)に示すように、両方のロール状部分13の上面間に跨るように粘着テープ16を貼り付け、この粘着テープ16を剥がして取り除くことにより固定を解除する構成としたり、
図12(c)に示すように、両方のロール状部分13を、紙や不織布、プラスチックフィルム等の可撓性素材からなる環状体17(例えば輪ゴム。筒状でも良い。)内に通しておき、環状体17を取り外すことにより固定を解除する構成としたりすることができる。
【0043】
(第3の形態)
上記第1の形態では、両側部12のロール状部分13が離れているため、製品包装状態や使用前の携帯時・保管時において嵩張るだけでなく、型崩れし易い。また、上記第2の形態でもコンパクトさにおいて改善の余地がある。そこで、
図10に示すように、一方の側部の側端部12Eを巻き始めとして表面が内側となるように他方の側部の側端部12Eまで巻かれてなるロール形状の吸収性物品10も提案する(第3の形態)。使用の際には、
図11に示すように、ロール形状から他方の側部12を繰り出して巻き直すか又は全体を展開してから巻き直し、
図4に示すように両側部12のロール状部分13を形成してから装着する。このような形態であると、製品包装状態や使用前の携帯時・保管時には非常にコンパクトであるとともに、形状が崩れにくい。そして、使用に際しては、装着者の身体寸法に合わせて、ロール状部分13の位置や直径、ロール状部分13の相互間隔13Dを調節することも可能である。
【0044】
この第3の形態においても、その形状を維持するためにロール形状での巻きを解除可能に固定しておくのが好ましい。この固定は、例えば
図12(d)に示すように、ロール形状とした吸収性物品10の巻きの終端部10Eとその内側に対向する部分とを粘着剤層や面ファスナーのオス材等の接合手段15により剥離可能に接合したり、
図12(e)に示すように、ロール形状とした吸収性物品10の巻きの終端部10Eを粘着テープ16で固定し、この粘着テープ16を剥がして取り除くことにより固定を解除する構成としたり、
図12(f)に示すように、ロール形状とした吸収性物品10を、紙や不織布、プラスチックフィルム等の可撓性素材からなる環状体17(例えば輪ゴム。筒状でも良い。)内に通しておき、環状体17を取り外すことにより固定を解除する構成としたりすることができる。
【0045】
(第4の形態)
図13及び
図14に示すように、吸収性物品10を袋体18により個包装(個別に包装)するのも好ましい形態である。
図13は第2の形態の吸収性物品10の包装例を示しており、
図14は第3の形態の吸収性物品10の包装例を示している。特に、図示形態の袋体18のように、吸収性物品10の幅方向両側面に接する程度に密着させて個包装すると、吸収性物品10の形状維持を図ることができ、前述した巻きの固定を省略し、巻きを非固定とすることができる(換言すれば袋体18が巻きの解除可能な固定手段となる)。もちろん、個包装により衛生面でも好ましいものとなる。
【0046】
袋体18は、紙や不織布、プラスチックフィルム等の可撓性シートを筒状に形成し、その両端の開口部をヒートシール等の加熱シールによりシールする形態が好適であり、生理用ナプキンの個包装で汎用されている形態や、おしぼりで汎用されている形態等を採用することができる。
【0047】
<その他>
本発明の装着構造を得るには、予め
図4に示すようなロール状部分が形成されているものを装着する方が、作業数が少なく、形状に癖が付いているため作業が容易であるが、平坦に形成された製品(
図1及び
図2に示す状態と同様の外観となる)を、使用者が、使用に際して両側部を巻き、ロール状部分を形成した後に装着することもできる。
【0049】
本発明に係る吸収性物品は、パッドタイプ、テープタイプ、パンツタイプ等、基本吸収性物品の形態に関係なく補助的に使用することができる。以下、パッドタイプ吸収性物品の例を引いて基本吸収性物品の形態について説明する。
【0050】
図15〜
図18はパッドタイプ吸収性物品の一例20を示している。このパッドタイプ吸収性物品20は、股間部C2と、その前後両側に延在する腹側部分F2及び背側部分B2とを有しており、液不透過性のバックシート21の内面と、透液性トップシート22との間に、吸収体23が介在された基本構造を有するものである。
【0051】
パッドタイプ吸収性物品20の各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、物品全長(前後方向長さ)L1は350〜700mm程度、全幅W1は130〜400mm程度(ただし、おむつの吸収面の幅より狭い)とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは10〜150mm程度、腹側部分F2の前後方向長さは50〜350mm程度、及び背側部分B2の前後方向長さは50〜350mm程度とすることができる。
【0052】
吸収体23としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。必要に応じて、吸収体23はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体23の形状は適宜定めることができ、図示例では太もも内側に対するフィット性を高めるために、股間部C2を含む前後方向中間領域が脚周りに沿う括れた形状となっているが、長方形状等とすることもできる。
【0053】
吸収体23における繊維目付け及び吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは100〜600g/m
2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付け0〜400g/m
2程度とするのが好ましい。
【0054】
吸収体23の裏面側には、バックシート21が吸収体3の周縁より所定長さ食み出すように設けられている。バックシート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。このような透湿性シートにおいても臭気の透過は抑制される。パッドタイプ吸収性物品の裏面を布のような肌触りとするために、バックシート21の外面に不織布等の外装シート21Cを張り合わせたり、バックシート21として外面に不織布をラミネートしたラミネートシートを用いたりすることができる。これらの不織布の原料繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0055】
吸収体23の表面側は、透液性トップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部食み出しているが、吸収体23の側縁が食み出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0056】
パッドタイプ吸収性物品20の前後方向両端部では、透液性トップシート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。
【0057】
パッドタイプ吸収性物品20の両側部では、バックシート21が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在されるとともに、この延在部からトップシート22の側部までの部分の表面に対して、立体ギャザー24をなすギャザーシート24sの幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたり貼り付けられ、これにより吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFが構成されている。これら貼り合わせ部分は、
図17及び
図18では点模様で示されており、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。
【0058】
エンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SF以外の吸収体介在部分が、排泄物の主吸収領域である本体部BDを構成する。エンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFの寸法は適宜定めることができるが、エンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFにおいてバックシート21と透液性トップシート22およびギャザーシート24sとが確実に貼り合わせられるため、少なくとも一部が本体部との境界から10mm以上食み出しているのが好ましい。
【0059】
図示形態では、サイドフラップ部SFの側縁は、吸収体の側縁に合わせて前後方向中間が脚周りに沿うように括れているが、括れの無い長方形状であってもよい。また、このような脚周りに沿う括れ部分を設ける場合、括れ部分の位置を前後方向中央より一方側に偏倚させ、当該一方側の部分における前後長を短くし、他方側の部分における前後長を長くし、当該一方側の部分を前、当該他方側の部分を後とすること(順方向装着)が一般的となっている。これは、臀部までを広くカバーする通常の装着状態や女性装着者を想定した場合、括れ部分の前後方向両側のうち前後長が長い方を装着状態における後とするのが望ましいからであり、図示形態における腹側部分F2及び背側部分B2はこれに応じたものである。しかし、装着の向きはユーザーが自由に変更できるものであり、例えば、男性における排尿の吸収性を高める場合等は、括れ部分の前後方向両側のうち前後長が長い方を装着状態における前とする、つまり背側部分B2が腹側に位置するように装着すること(逆方向装着)も行われている。
【0060】
ギャザーシート24sの素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコーンなどの撥水剤により撥水処理をしたものが好適に使用される。
【0061】
ギャザーシート24sの幅方向中央側の部分24cはトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材24gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性部材24gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
【0062】
また、両ギャザーシート24s,24は、幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたり物品内面(図示形態ではトップシート22表面およびバックシート21表面)に貼り合わされて固定されるとともに、幅方向中央側の部分24cが、前後方向の両端部では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に貼り合わされて固定され、かつ前後方向の両端部の間では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に固定されていない。この非固定部分は、
図18に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に対して起立可能なバリヤー部となる部分であり、その起立基端24bはギャザーシート24sにおける幅方向外側の固定部分24xと内側の部分24cとの境に位置する。