特許第5931385号(P5931385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931385
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   A47L9/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-208115(P2011-208115)
(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公開番号】特開2013-66620(P2013-66620A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大津 育弘
(72)【発明者】
【氏名】町田 幸雄
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−123757(JP,U)
【文献】 実開昭55−058128(JP,U)
【文献】 特開2002−177136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに上下方向に回動可能に枢支された蓋を有する掃除機本体と、この掃除機本体に着脱可能に支持されて全閉位置に配置された前記蓋で上方から覆われる集塵部とを備え、かつ、全開位置に配置された前記蓋の枢支部側の縁と前記本体ケースとの間に隙間が形成される電気掃除機において、
前記蓋が全開位置から下向きに回動されて所定の中間開度位置に達したときに、この中間開度位置に前記蓋を一時的に保持するととともに、この保持状態で前記蓋が下方向に押されることに伴って前記保持を解除する一時停止手段を備え、
前記蓋が前記本体ケースの軸受部に支持されたアームを有しているとともに、前記本体ケースが保持部を一体に有し、前記蓋の開閉に伴って前記保持部に係脱可能で、かつ、前記蓋が全開位置に配置されたときに前記保持部と係合して前記蓋を全開位置に保持する第1係合部が前記アームに一体に形成されており、
前記一時停止手段が、前記アームに一体に形成され前記蓋の開閉に伴って前記保持部に係脱可能で、かつ、前記蓋が中間開度位置に配置されたときに前記保持部と係合して前記蓋を中間開度位置に保持する第2係合部と、前記保持部とからなり、
前記アームの前記第1係合部と前記第2係合部との間に、前記蓋が全開位置から中間開度位置に向けて回動されるときに前記保持部に接する制動面が形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記保持部は、前記アームの側面が接触可能であり、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、それぞれ前記アームの側面に一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記制動面は、前記アームの側面に形成され、前記第2係合部に連続し、かつ、前記第2係合部に近いほど前記保持部に寄るように傾斜されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、掃除機本体が上下方向に回動可能な蓋を備える電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機本体が上下方向に回動可能な蓋を備える電気掃除機が従来知られている。この電気掃除機の蓋は、例えば掃除機本体の集塵室を上方から開閉するために設けられている。この蓋の後部側に設けた一対のアームに形成された回動支持軸を、掃除機本体の本体上ケースに回動可能に支持させることで、蓋が本体上ケースに上下方向に回動可能に支持されている。蓋はその後側が回動の支点となっているので、集塵室を開放する際に、前側から後側に向って立ち上がるように回動され、この逆に集塵室を閉じる際に、蓋は前下がりに回動される。
【0003】
この電気掃除機で蓋まわりの部品点数を削減するためには、蓋を開き方向に付勢するばねを省略すればよい。こうした構成の電気掃除機では、蓋を全開位置から全閉位置に回動させると、蓋はその自重により勢いを増しながら前下がりに回動されて全閉位置に配置される。
【0004】
既述のように全閉位置の蓋が前側から後側に向って立ち上がるように回動されて全開位置に配置される構成では、アームの長さや回転支持軸の本体上ケースに対する取付け位置等により、全開位置に配置された蓋の下縁(後縁)が本体上ケースの上方に位置されて、これらの間に比較的大きな隙間が形成される場合がある。特に、電気掃除機の意匠上の要請により、本体上ケースが、その幅方向に丸み帯びて、つまり、本体上ケースがその幅方向両端から中央部側ほど上側に凸となるように湾曲して形成される場合は、全開位置に配置された蓋の後縁の幅方向両端側ほど本体上ケースとの間により広い隙間が形成される。
【0005】
このように全開された蓋の後縁と本体上ケースとの間に隙間があると、この隙間の大きさによっては、隙間に異物が不用意に挿入される可能性が考えられる。この異物の挿入状態を放置したまま蓋が閉じられた場合、本体上ケースと蓋の後端とが異物を強く挟み込むおそれが考えられる。こうした事態に至ると、開かれた蓋の後端と本体ケースとの間の隙間に挿入された異物によって、蓋等が損傷するおそれとともに異物自体も傷を負うおそれが考えられる。したがって、電気掃除機の使用上の安全性を高める上で、既述の事態がもたらされないようにすることが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−72218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、掃除機本体の本体ケースと全開位置に配置された蓋の回動支点側の縁との間に仮に異物が挿入されたまま蓋が閉じ操作されても、それに伴って本体ケースと蓋とが異物を強く挟み込むことを抑制可能な電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、実施形態の電気掃除機は、掃除機本体と、集塵部と、一時停止手段を備える。掃除機本体は蓋を有し、この蓋を、枢支部側の縁と本体ケースとの間に隙間を形成して全開位置に配置されるように本体ケースに上下方向に回動可能に枢支する。掃除機本体に着脱可能な集塵部を、全閉位置に配置された蓋で上方から覆われるように掃除機本体に支持する。蓋が全開位置から下向きに回動されて所定の中間開度位置に達したときに、この中間開度位置に蓋を一時停止手段で一時的に保持する。これととともに、一時停止手段を、中間開度位置に保持された状態の蓋が下方向に押されることに伴って蓋の保持を解除する。蓋が本体ケースの軸受部に支持されたアームを有し、本体ケースが保持部を一体に有する。蓋の開閉に伴って保持部に係脱可能で、かつ、蓋が全開位置に配置されたときに保持部と係合して蓋を全開位置に保持する第1係合部をアームに一体に形成する。一時停止手段は、アームに一体に形成され蓋の開閉に伴って保持部に係脱可能で、かつ、蓋が中間開度位置に配置されたときに保持部と係合して蓋を中間開度位置に保持する第2係合部と、保持部とからなる。アームの第1係合部と第2係合部との間に、蓋が全開位置から中間開度位置に向けて回動されるときに保持部に接する制動面を形成するように構成したことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体をその蓋が全閉位置に配置された状態で示す側面図である。
図2図1の掃除機本体をその蓋が全開位置に配置された状態で示す側面図である。
図3図2の状態の掃除機本体を示す正面図である。
図4図2の状態の掃除機本体を示す後面図である。
図5図1の掃除機本体をその蓋が中間開度位置に保持された状態で示す側面図である。
図6図5の状態の掃除機本体を示す後面図である。
図7図1の掃除機本体が備える蓋を後側から見て示す斜視図である。
図8図7中F8部を拡大して示す斜視図である。
図9図1の掃除機本体の保持部まわりを拡大して示す斜視図である。
図10】(A)は図1の掃除機本体が有した保持部と蓋のアームとの関係を蓋が全閉位置に配置された状態で示す側面図である。(B)は図10(A)中矢印F10B方向から見て保持部とアームとの関係を示す図である。
図11】(A)は図1の掃除機本体が有した保持部と蓋のアームとの関係を蓋が中間開度位置に保持された状態で示す側面図である。(B)は図11(A)中矢印F11B方向から見て保持部とアームとの関係を示す図である。
図12】(A)は図1の掃除機本体が有した保持部と蓋のアームとの関係を蓋が全開位置に配置された状態で示す側面図である。(B)は図12(A)中矢印F12B方向から見て保持部とアームとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態の電気掃除機について、図1図12を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1図6中符号1は例えばキャニスタ型電気掃除機の掃除機本体を示している。掃除機本体1の後部両側の夫々に車輪2が取付けられているとともに、掃除機本体1の前部下面にキャスタ3が取付けられている。これら車輪2及びキャスタ3の回転により、掃除機本体1は建物の被掃除面である床面上を移動可能である。
【0012】
掃除機本体1は、いずれも合成樹脂製の本体ケース5及び後述する蓋21を備えている。本体ケース5は、本体下ケース5aと、この本体下ケース5aの後部上側に連結された本体上ケース5bと、仕切り部材10(図1及び図3参照)を有している。図3に示すように掃除機本体1の前端部に、吸塵口6が形成されているとともに、この吸塵口6に対して斜め前上方に突出された本体ハンドル部7が設けられている。図4及び図6に示すように掃除機本体1の後面部に、コード挿通部8、及び多数の小孔を並べてなる排気部9が設けられている。
【0013】
吸塵口6にはその前方から図示しない吸塵ホースが差し込んで接続され、このホースの先端部に図示しない延長管が着脱可能に接続される。更に、延長管の先端部に図示しない床用等の吸込み口体が接続される。そして、これら吸塵用の部材を通して、電気掃除機の運転時に被掃除面である床面上の塵が後述の集塵部に吸い込まれるようになっている。
【0014】
仕切り部材10は、壁状であって、掃除機本体1の前後方向中間位置に配設されている。掃除機本体1は仕切り部材10の前側に集塵室11(図1参照)を有している。集塵室11は上方に開放されており、この集塵室11にその前側から吸塵口6が連通されている。
【0015】
仕切り部材10より後側に区画された掃除機本体1の部屋は本体上ケース5bで覆われているとともに、この部屋に電動送風機12(図1参照)と図示しないコードリール装置等が夫々内蔵されている。尚、仕切り部材10には集塵室11と前記部屋とを連通する通気部(図示しない)が設けられており、又、コードリール装置に巻き取られかつ繰り出し可能な図示しない電源コードは前記コード挿通部8に通されている。
【0016】
集塵部具体的には図1に示す集塵袋13が掃除機本体1に着脱可能に支持されている。この集塵袋13は、集塵室11にその上面開口を通して出し入れ可能である。尚、図2及び図5中符号14は集塵袋13の口枠13aに上方から係合してこの口枠13aを集塵室11に対して所定の位置に支持するための口枠押え部材を示しており、この口枠押え部材14は手動操作により口枠13aに係脱可能である。
【0017】
本体上ケース5bの後面(背面)を除いた部位は、意匠状の要請により本体上ケース5bの幅方向に丸みを帯びて形成されている。つまり、図3及び図4等に示すように本体上ケース5bの幅方向両端から中央部側ほどに上側に凸となるように湾曲して形成されている。
【0018】
この本体上ケース5bを前側から閉じている仕切り部材10の上部に、図3に示すように一対の保持部15と一対の凹部16が設けられている。これら保持部15と凹部16は集塵室11に臨んでいる。
【0019】
図3に示すように一対の保持部15は、掃除機本体1の幅方向に離れて、仕切り部材10の上部前面に一体に夫々突設されているとともに、一対の凹部16間に夫々配設されている。これら保持部15は、図9で代表して示すようにベース部15aとこれから折れ曲がったリブ状部15bとを有して上下方向に延びている。一方の保持部15のリブ状部15bと他方の保持部15のリブ状部15bは互に遠ざかる方向に折れ曲がっている。これら保持部15のリブ状部15bは弾性変形が可能であるとともに、リブ状部の15bの上端部に係合斜面15cが設けられている。
【0020】
図9に示すように凹部16は仕切り部材10の前面に開放されていて、その一側縁に保持部15のベース部15aが突設されている。凹部16の一部にその前側から保持部15のリブ状部15bが対向されている。夫々の凹部16を区画する壁部に枢支部例えば孔からなる軸受部17(図9に一方のみ図示する。)が設けられている。軸受部17は、本体上ケース5bの前端部裏側に配設されていて、次に説明する蓋21の回動支点をなしている。
【0021】
集塵室11を開閉する蓋21は、図3及び図7に示すように蓋本体22と一対のアーム25を有している。これら蓋本体22及びアーム25はいずれも合成樹脂製である。
【0022】
アーム25は蓋本体22の後側端部にねじ止め等で連結されている。図8等に示すようにアーム25は、アーム基部26と、枢軸部27と、円弧状部28とで形成されている。アーム基部26は真っ直ぐである。枢軸部27は、アーム基部26の長手方向一端部側面に一体に突設された円形の凸部からなる。円弧状部28は、アーム基部26の長手方向他端部に対して折れ曲がるように一体に連続されていて、アーム基部26を半径としかつ枢軸部27を中心として描かれるように形成されている。
【0023】
これらアーム25の自由端部である円弧状部28の先端部は、蓋本体22の後端部にねじ止めされている。蓋本体22に連結されたアーム25は、そのねじ止め部を除いて蓋本体22から後側に突出されている。蓋本体22に取付けられた一対のアーム25は、そのねじ止め部を支点として蓋本体22の幅方向に弾性変形可能であるとともに、これらアーム25が有した枢軸部27は、図7に示すように互に近付く方向に突出されている。
【0024】
蓋21は、そのアーム基部26の一端部を前記凹部16に入れて、軸受部17に枢軸部27を嵌入することによって、本体ケース5に枢支されている。蓋21は、図1に示す全閉位置と図2図4に示す全開位置とにわたって軸受部17を回動支点として上下方向に回動可能である。全開位置に配置された蓋21は図2に示すようにやや斜め前向きに起き上がった状態を保持する。蓋まわりの構成を簡単にするために、蓋21を開ける方向に付勢するばね等は存在せず、そのため、蓋21の開閉を使用者の手動操作で実施される。
【0025】
一対のアーム25の相対向する側面は、蓋21の回動に伴って前記保持部15のリブ状部15bにその後側から接している。この接触は、保持部15とアーム25のうちの少なくとも一方が軽微に弾性変形された状態にあることで保持されており、したがって、蓋21が開閉される際、アーム25はリブ状部15bに接しつつ回動されるようになっている。
【0026】
リブ状部に接する一対のアーム25の側面の夫々に第1係合部31(図8参照)が一体に形成されている。第1係合部31は、アーム基部26と円弧状部28とが連続する部位に設けられている。この第1係合部31は、蓋21が全開位置に配置された場合に、図12(A)(B)に示すように保持部15の係合斜面15cに乗り上げて係合され、それにより、蓋21が全開位置に保持されるようになっている。
【0027】
図1に示すように蓋21が全閉位置に配置された状態で蓋本体22は、本体上ケース5bの前側に連続して集塵室11の上面開口を閉じて配置される。これとともに、全閉位置に配置された蓋21の自由端部(前端部)に設けられた蓋側係合部23(図3参照)が、本体下ケース5aの前端部に設けられたケース側係合部5c(図3参照)に係合して、蓋21が閉じ状態に保持される。又、蓋21が全閉位置に配置された状態では、図3に示すように蓋本体22の裏面に突設されたシール用の環形リブ24が、集塵室11の上端開口部に取付けられた図示しない環形のシール材に押付けられて、全閉状態の蓋21と集塵室11との間の気密が保持されるようになっている。
【0028】
全閉位置に配置された蓋21の保持は、図示しない解除ボタンを押すことにより解除可能であり、この解除後に蓋21の開放操作が可能となっている。なお、図中符号22bは蓋21の自由端部に形成された指掛け部を示しており、ここに蓋開時に使用者の指先が掛けられる。
【0029】
図6及び図7に示すように蓋本体22はその幅方向に丸みを帯びて形成されている。つまり、蓋本体22は、本体上ケース5bと同様に幅方向両端から中央部側ほど上側に凸となるように湾曲して形成されている。このことと、既述のように蓋21の枢支部が本体上ケース5bの前端部裏側に設けられていることにより、蓋21が全開位置に配置された状態では、図2図4に示すように蓋21の回動支点となる前記軸受部(枢支部)17側の縁、つまり、蓋本体22の後縁22aと、本体上ケース5bの前縁との間に、隙間Gが形成されるようになっている。この隙間Gは、掃除機本体1の中央部側から幅方向両端に近付く程ほど広く形成される。
【0030】
異物が誤って隙間Gに挿入されたままで蓋21が閉じられようとした場合に、異物を強く挟み込むことを抑制する一時停止手段を、電気掃除機は備えている。この一時停止手段は、前記保持部15と、アーム25の前記側面に一体に設けられた第2係合部32とからなる。第2係合部32は、円弧状部28の長手方向中間に一体に形成されていて、蓋21の開閉に伴って保持部15の上端部例えば係合斜面15cに係脱可能である。第2係合部32が係合斜面15cに係合することにより、蓋21は図2図4に示す中間開度位置に一時的に保持される。
【0031】
アーム25の側面、正確には、円弧状部28の側面で、かつ、第1係合部31と第2係合部32と間に、制動斜面33が設けられている。この制動斜面33は、第2係合部32に近付くほど保持部15に寄るように、言い換えれば、前側に迫り出すように傾斜されている。制動斜面33の一端は第1係合部31のテーパ状側面に連続され、他端は第2係合部32のテーパ状一側面に連続している。円弧状部28の側面を上面と仮定したとき、この上面より下がって形成されている。更に、リブ状部15に接する円弧状部28の側面で、かつ、第2係合部32と円弧状部28の先端部側、つまり、蓋本体22との連結端部側との間に、第2係合部32のテーパ状他側面に連続する後退平面34が設けられている。この後退平面34も、円弧状部28の側面を上面と仮定したとき、この上面より下がって形成されている。したがって、第2係合部32は制動斜面33と後退平面34よりも相対的に高い凸部をなしてこれらの間に設けられている。
【0032】
図10(A)(B)に蓋21が全閉位置に配置されたときのアーム25と一時停止手段の状態を示す。この状態で、アーム25は、そのアーム基部26を立てるとともに、円弧状部28の先端部(蓋本体22との連結部)を上方に向けた状態に配設されている。これとともに、後退平面34が保持部15のリブ状部15bに後側から対向している。したがって、第1係合部31、第2係合部32、及び制動斜面33は、いずれもリブ状部15bから外れて位置されていて、一時停止手段は機能していない。
【0033】
この状態から蓋21が上向きに回動操作されて全開位置に配置されたときのアーム25と一時停止手段の状態を図12(A)(B)に示す。この状態で、アーム25は、そのアーム基部26を略横倒れの状態となるとともに、円弧状部28の先端部を前方に向けた状態に配設されている。これとともに、第2係合部32、制動斜面33、及び後退平面34は、いずれも保持部15の上方に位置され、かつ、第1係合部31が、リブ状部15bの上端部の係合斜面15cに乗り上げて保持部15に係合されている。これにより、蓋21が全開位置に保持されている。
【0034】
尚、蓋21が全閉位置から全開位置に回動される際、リブ状部15bに対するアーム25の第2係合部32及び制動斜面33の相対位置は変化する。しかし、第2係合部32はテーパ状他側面を有しているので、この第2係合部32がリブ状部15bに引っ掛かることはない。これとともに、制動斜面33は、第2係合部32から第1係合部31に近付くほど、リブ状部15bから遠ざかるように傾いているので、この制動斜面33がリブ状部15bに引っ掛かることもない。したがって、一時停止手段によって蓋21の開放動作が一時停止されることはなく、蓋21を全閉位置から全開位置に連続して円滑に回動させることができる。
【0035】
次に、全開位置の蓋21を全閉位置に配置する際には、蓋21を前下がりとなるように押下げ操作すればよい。このとき、リブ状部15bとアーム25の円弧状部28の側面とのうちの一方が弾性変形により、クリック感を伴って第1係合部31がリブ状部15bの上端部から外れることができ、それに引き続いて蓋21が下方向に枢支部である軸受部17を支点に下方に回動される。
【0036】
こうして下向きに回動される蓋21は、所定の中間開度位置に達したときに一時停止される。このときのアーム25と一時停止手段の状態を図11(A)(B)に示す。この状態で、アーム25は、そのアーム基部26を斜めにするとともに、円弧状部28の先端部を斜め前上方に向けた状態に配設されている。これとともに、第2係合部32が、リブ状部15bの上端部の係合斜面15cに乗り上げて保持部15に係合されていて、後退平面34は保持部15の上方に、又、第1係合部31は保持部15の下方に位置され、かつ、制動斜面33はリブ状部15bの裏面に対向している。
【0037】
このように蓋21が或る程度まで閉じたときに、第2係合部32がリブ状部15bの上端部に上側から引っ掛かって係合される。この係合は、リブ状部15bとアーム25の円弧状部28の側面とのうちの一方が弾性変形して互に接していることにより実現される。こうした係合により、保持部15をストッパとして蓋21の下方への回動が停止されて、蓋21が所定の中間開度位置に一時的に保持される。
【0038】
このため、蓋21を閉じ操作する以前において、本体上ケース5bの前縁と蓋21が有した蓋本体22の後縁22aとの間の隙間Gに、その後方や側方等から電源コードやその他の異物が差し込まれていたことを気付かずに蓋21を閉じた場合に、隙間Gが狭められるにも拘らず、前記異物が本体上ケース5bの前縁と蓋本体22の後縁22aとで強く挟まれる事態を抑制できる。
【0039】
尚、以上の一時停止手段による中間開度位置で蓋21が一時停止された状態での隙間Gは、電源コードやその他の異物が挿入されることを妨げる広さであることが好ましい。以上のように蓋21の閉じ動作が中間開度位置で一時停止されるので、この段階で隙間Gに異物が挟まれているかどうかの確認を使用者に促すことが可能である。
【0040】
そして、この後、使用者が、蓋21を若干強く押下げて閉じ操作することで、リブ状部15bとアーム25の円弧状部28の側面とのうちの一方を弾性変形させ、クリック感を伴って第2係合部32をリブ状部15bの上端部から外すことができる。つまり、中間開度位置での一時的な蓋21の保持が解除される。このため、蓋21が更に下方向に枢支部を支点に回動されて、全閉位置に配置される。
【0041】
又、全開位置から蓋21が閉じ操作されて一時停止するまでの間において、リブ状部15bの上端部に制動斜面33が接触するので、中間開度位置に向けて回動する蓋21に制動力が働く。
【0042】
このため、蓋21はその自重により閉じ動作が進行するに従ってその勢いが増えようとするにも拘らず、前記制動により蓋21を閉じる勢いが小さくなることに伴い、中間開度位置で蓋21を一時停止させる信頼性を向上できる。特に、吸塵口や集塵部である集塵袋に対する除塵装置が蓋21に組み込まれて、蓋部の重量が増えた構成の電気掃除機においても、同様に蓋21を一時停止させる信頼性を向上することが可能である。
【0043】
又、こうして閉じようとする蓋21の一時停止を担う一時停止手段は、様々な構成とすることが可能である。しかし、本実施形態では、一時停止手段を、既述のように掃除機本体1の仕切り部材10と一体に成形された保持部15と、蓋21が有したアーム25に一体に形成された第2係合部32とで形成している。したがって、一時停止手段を構成するための専用の部品を必要とすることがなく、構成が簡単で、かつ、部品点数や組立て工数などが増えないので、低コストで一時停止手段を構成することが可能である。
【0044】
なお、前記実施形態は、集塵部に集塵袋を用いた電気掃除機に適用した例であるが、これに代えて、集塵部としてサイクロン式の塵分離を行う集塵カップを備え、このカップを上方から蓋で覆って掃除機本体に保持する電気掃除機に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…掃除機本体、5…本体ケース、5a…本体下ケース、5b…本体上ケース、10…仕切り部材、11…集塵室、13…集塵袋(集塵部)、15…保持部(一時停止手段)、15a…ベース部、15b…リブ状部、17…軸受部(枢支部)、21…蓋、22…蓋本体、22a…後縁(枢軸部側の縁)、25…アーム、26…アーム基部、27…枢軸部、28…円弧状部、G…隙間、31…第1係合部、32…第2係合部(一時停止手段)、33…動斜面
図1
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図12