特許第5931605号(P5931605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931605
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】容器供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/46 20060101AFI20160526BHJP
   B65B 43/52 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   B65B43/46 Z
   B65B43/52 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-146016(P2012-146016)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-8993(P2014-8993A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】株式会社ファブリカトヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】四日 義城
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−256662(JP,A)
【文献】 特開2006−306585(JP,A)
【文献】 特開2006−131255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/46
B65B 43/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を供給部から取り出して移送する移送手段と、この移送手段が移送する容器を受け渡し位置で受け取って保持する保持手段と、この保持手段を昇降させる昇降手段とを備え、搬送チェーンに取り付けられて間欠的に搬送されるリテーナの容器収容部に、前記保持手段を下降させて容器を供給する容器供給装置において、
前記保持手段を、前記搬送チェーンによる搬送方向に沿って水平移動させる水平移動手段を設け、前記搬送チェーンに伸びが発生した場合には、容器を保持した保持手段の下降動作中に、この保持手段を搬送チェーンの伸び量分だけ水平方向に移動させて、容器を前記リテーナの容器収容部へ供給することを特徴とする容器供給装置。
【請求項2】
前記搬送チェーンの伸びを検出する検出手段を設けことを特徴とする請求項1に記載の容器供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリンやゼリーなどの容器を、容器搬送手段の搬送チェーンに設けられて間欠的に搬送されているリテーナの容器収容部へ供給する容器供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンやゼリーなどを容器に充填する充填ラインでは、容器を保持する複数の容器収容部(容器収容孔)が形成されたリテーナが所定間隔で搬送チェーンに取り付けられた容器搬送手段を備えており、前記各リテーナに容器を収容して間欠的に搬送し、搬送経路の途中に設けられた充填部、シール部およびトリミング部等に順次停止して充填、シールおよびトリミング等の処理を行うようになっている。このような充填ラインにおいて、容器搬送手段に容器を供給する容器供給装置が従来から広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された発明は、チェーンに多数のスラットが連続して取り付けられたスラットコンベヤからなる容器搬送コンベヤを備えており、これら各スラットには容器保持孔が一列に並んで設けられており、間欠駆動されるスラットが供給ステーションで停止されたときに、容器供給装置から容器が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−253412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の容器搬送装置では、複数の容器収容孔を備えた多数のスラット(本発明ではリテーナ)を等間隔でチェーンに取り付けてあり、時間が経過するとチェーンに伸びが発生する。このチェーンの伸びが大きくなると、容器を供給する際に容器がリテーナの容器収容孔からずれてしまうため、容器供給ユニットをチェーンの伸び量だけ移動させて対応していた。しかしながら自動供給装置などを備えた高能力の装置の場合には、容器供給ユニットが大型となり、調整作業に大きな労力が必要であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、容器を供給部から取り出して移送する移送手段と、この移送手段が移送する容器を受け渡し位置で受け取って保持する保持手段と、この保持手段を昇降させる昇降手段とを備え、搬送チェーンに取り付けられて間欠的に搬送されるリテーナの容器収容部に、前記保持手段を下降させて容器を供給する容器供給装置において、前記保持手段を、前記搬送チェーンによる搬送方向に沿って水平移動させる水平移動手段を設け、前記搬送チェーンに伸びが発生した場合には、容器を保持した保持手段の下降動作中に、この保持手段を搬送チェーンの伸び量分だけ水平方向に移動させて、容器を前記リテーナの容器収容部へ供給することを特徴とするものである。
【0007】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記搬送チェーンの伸びを検出する検出手段を設けことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
供給部から容器を取り出して移送する移送手段から容器を受け取って、下方の搬送チェーンに取り付けられているリテーナに供給する保持手段を、昇降手段によって昇降させるとともに、水平移動手段によって搬送方向に沿って水平移動可能にしたので、チェーンが伸びたときには、下降中の保持手段を水平移動させることにより、容器の受け取り位置を変えることなく、保持している容器をリテーナの位置に合致させることができるので、容器供給ユニットを移動することなく、容器を確実にリテーナに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の一実施例に係る容器供給装置を備えた容器充填シール装置の全体の構成を示す側面図である。(実施例1)
図2図2(a)〜(c)は容器の供給部から取り出した容器を搬送チェーンのリテーナに供給する過程を順次示す説明図である。
図3図3は移送手段および保持手段の駆動部を示す側面図である。
図4図4(a)、(b)は移送手段の駆動部を示す図であり、(a)は平面図、(b)正面図である。
図5図5は移送手段および保持手段の駆動部を示す正面図である。
図6図6は保持手段の平面図である。
図7図7(a)、(b)は容器供給装置の作動を説明する図であり、(a)はチェーンが伸びていない状態、(b)はチェーンが伸びた状態を示す。
図8図8(a)〜(c)は第2の実施例に係る容器供給装置の作動を順次説明する図であり、(d)は搬送チェーンの伸びを検出する検出手段の構成を説明する説明図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
カップ状の容器を多数積み重ねて収容する容器供給部から1個ずつ容器を取り出して移送する移送手段と、この移送手段が移送する容器を上方の受け渡し位置で受け取って保持する保持手段と、この保持手段を昇降させる昇降手段とを備えており、保持手段が移送手段から受け取った容器を、下降させて下方に設置された容器搬送手段の搬送チェーンに等間隔で設けられているリテーナの容器収容部に供給する装置であり、さらに、保持手段を搬送チェーンの搬送方向に沿って水平移動させる水平移動手段を設け、前記搬送チェーンが時間の経過によって伸びた場合に、下降する保持手段を水平移動手段によって水平移動させることにより、供給する容器を搬送チェーンの伸びによりずれたリテーナの位置に合致させるようにしたので、搬送チェーンが伸びた場合でも、確実にリテーナの容器収容部に供給するという目的を達成する。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係る容器供給装置(全体として符号1で示す)を備えた容器充填シール装置は、上部が大径で下部に向かって次第に小径になる形状のカップ状容器2(図2等参照)を、容器搬送手段(容器搬送コンベヤ)4によって間欠的に搬送して、充填ポジションB、シールポジションC、トリミングポジションD等の各容器処理位置に順次停止させてそれぞれの処理を行うようになっている。
【0012】
容器搬送コンベヤ4は、上流部(図1の右側)と下流部の両側にそれぞれ配置された従動側スプロケット6と駆動側スプロケット8に、両側一対の搬送チェーン10(後に説明する図5参照)が掛け回され、これら両側チェーン10間に、多数のリテーナ12が取り付けられている。また、駆動側スプロケット8には図示しない駆動手段が連結され、搬送チェーン10を間欠的に駆動するようになっている。各リテーナ12には、複数(この実施例では4個)の容器収容部(容器収容孔12a)(図2(c)参照)が等間隔で形成されており、各容器収容孔12a内にカップ状容器2を保持して搬送する。このカップ状容器2は、開口部の周縁にフランジ2aが形成されており、このフランジ2aが、前記リテーナ12の容器収容孔12aの周縁部上面に載置されて保持される。
【0013】
前記容器搬送コンベヤ4の上流部寄りの上方には、カップ状容器2を前記リテーナ12に供給する容器供給装置1が設けられている(この供給位置を容器供給ポジションAと呼ぶ)。この容器供給ポジションAの下流側に前記充填ポジションBがあり、この充填ポジションBには、容器搬送コンベヤ4によって搬送されてきたカップ状容器2内に液体等の内容物を充填する充填装置16が設けられている。充填ポジションBのさらに下流側には、シールポジションCおよびトリミングポジションDが順に配置されており、シールポジションCにはシール装置18が、そして、トリミングポジションDにはトリミング装置20がそれぞれ設けられている。
【0014】
前記容器搬送コンベヤ4によって搬送されているカップ状容器2の開口部の上方と、前記シール装置18のシールヘッド18aの下面およびトリミング装置20のトリミングヘッド20aの下面との間に、蓋材であるフィルム22が供給される。蓋材フィルム22は、この容器充填シール装置の外部に設置されたロール状のフィルムから引き出され、図示しない導入ローラ等を介してこの容器充填シール装置内に導入される。容器充填シール装置内に導入された蓋材フィルム22は、方向変換ローラ24によって容器搬送コンベヤ4の搬送方向(図1中の矢印E参照)と逆方向に向けられた後、駆動ローラ26およびアイドルローラ28等を介して、容器搬送コンベヤ4の搬送面上まで引き下げられた後、前記シール装置18およびトリミング装置20の下方に供給される。
【0015】
前記シールポジションCに設けられているシール装置18は、図示しないエアシリンダの作動によりシールヘッド18aを昇降させるようになっており、容器搬送コンベヤ4によって間欠的に搬送されてくるカップ状容器2が、このシールヘッド18aの下方に停止したときに、前記エアシリンダを作動させてシールヘッド18aを下降させ、蓋材フィルム22をカップ状容器2の開口部上に押し付けて、前記フィルム22をカップ状容器2のフランジ2a上面に溶着する。また、トリミング装置20も、エアシリンダ(図示せず)の作動によりトリミングヘッド20aを昇降させるようになっており、容器搬送コンベヤ4によって搬送されているカップ状容器2が、このトリミングヘッド20aの下方に停止したときに、前記エアシリンダを作動させてトリミングヘッド20aを下降させ、カップ状容器2のフランジ2aに溶着されているフィルム22の周辺を切断してシート状フィルム22の本体部から切り離す。シート状フィルム22の蓋の部分が切り離された残部22aは、排出ローラ30等を介してロール32に巻き取られる。
【0016】
次に、本実施例に係る容器供給装置1の構成について説明する。容器供給ポジションAの上方には、多数のカップ状容器2を積み重ね、逆向きの状態(底部を上に向け、開口部側のフランジ2aを下に向けた状態)で収容する容器の供給部(カップマガジン34)が直立した状態で配置されている(図1および拡大して示す図2参照)。カップマガジン34は、前記搬送コンベヤ4の搬送方向Eと直交する方向に、前記リテーナ12に形成されている容器収容孔12aの間隔と同じ間隔で複数本(この実施例では4本)並んで配置されている。
【0017】
前記カップマガジン34の下端部両側には、カップマガジン34内に積み重ねた状態で収容されている多数のカップ状容器2の、最も下方の容器2を上方の容器2から切り離して下方の容器移送手段36(図3参照)に引き渡す容器分離手段38が設けられている。容器分離手段38は、図2に拡大して示すように、カップマガジン34の下端開口部より僅かに低い高さに配置された両側一対の上方ストッパ40と、この上方ストッパ40よりもやや下方に配置された両側一対の下方ストッパ42とを備えている。これら上下のストッパ40、42は、それぞれエアシリンダ40a、42aの作動によって、カップマガジン34内に収容されているカップ状容器2のフランジ2aに係合する前進位置と、係合しない後退位置とに進退動する。上方のストッパ40と下方のストッパ42は、積み重ねられているカップ状容器2のフランジ2a間の距離とほぼ同じ上下の間隔を隔てて配置されている。下方のストッパ42はカップマガジン34方向へ前進すると、カップマガジン34に収容されている最も下方のカップ状容器2のフランジ2aの下面側に進入し、また、上方のストッパ40はカップマガジン34方向へ前進すると、最も下方のカップ状容器2のフランジ2aと、その上方のカップ状容器2のフランジ2aの間に挿入される。
【0018】
前記カップマガジン34の下方に、このカップマガジン34から取り出したカップ状容器2を移送し、下方に配置された容器保持手段44に引き渡す前記移送手段36が設けられている。この移送手段36は、複数の吸着カップ46を有しており、この吸着カップ46を、前記カップマガジン34からカップ状容器2を取り出す上方の取り出し位置F(図2(a)および図3に示す位置)と、容器保持手段44にこのカップ状容器2を引き渡す下方の受け渡し位置G(図2(b)に示す位置)との間で昇降させるとともに、フランジ2aを下方に向けた状態で取り出したカップ状容器2を、フランジ2aを上方に向けた状態に反転させて保持手段44に受け渡すために、吸着カップ46を180度回転できるようになっている。
【0019】
この移送手段36の構成について図3図5により説明する。移送手段36は、各カップマガジン34に収容されているカップ状容器2をそれぞれ吸着して取り出す4個の吸着カップ46を有している。各吸着カップ46は、開口部側に前記カップ状容器2のフランジ2aとほぼ同径のフランジ46aを有するとともに、内部側に図示しない吸引手段からのバキュームを作用させるようになっており、前記フランジ46aをカップ状容器2のフランジ2aに密着させた状態で、内部側から吸引してカップ状容器2を吸着する。
【0020】
前記搬送コンベヤ4の両側に配置された機枠の側壁48(図5参照)上に、直立した支柱50を介して、搬送コンベヤ4の上方を横断する水平な支持プレート52が配置され、この水平支持プレート52の両端部上に直立した取付板54が固定されている。この取付板54間を横断して、吸着カップ昇降用回転軸56がベアリング57(図4(b)参照)を介して回転自在に支持されている。この吸着カップ昇降用回転軸56の中央部にギアボックス58が取り付けられ、モータ60の回転をこのギアボックス58内のギヤを介して伝達して吸着カップ昇降用回転軸56を回転させる。
【0021】
前記機枠の両側壁48の上面に、前記支柱50に沿ってそれぞれ一対のレール62が固定されている。両側に配置されたそれぞれ一対のレール62に、スライダ64を介して昇降ブロック66が昇降自在に支持されている。前記吸着カップ昇降用回転軸56の両端部に揺動レバー68の一端が連結され、この揺動レバー68の他端に、連結ロッド70の一端が連結されている。連結ロッド70の他端は、前記昇降ブロック66に回転自在に連結されており、吸着カップ昇降用回転軸56を回転させると、揺動レバー68および連結ロッド70を介して昇降ブロック66が昇降する。
【0022】
両側の昇降ブロック66間に、前記搬送コンベヤ4の搬送方向Eと直交する方向に配置された吸着カップ回転軸72が回転自在に支持されており、吸着カップ回転軸72は、その端部に取り付けた吸着カップ回転用モータ74によって回転する。前記吸着カップ46は、吸着カップ回転軸72に、前記カップマガジン34の間隔と等間隔で取り付けられており、吸着カップ回転軸72の回転によって、吸着カップ46は、カップマガジン34からカップ状容器2を取り出す上向きの位置(図2(a)参照)と、下方の保持手段44にカップ状容器2を引き渡す下向きの位置(図2(b)参照)との間で180度回転するようになっている。
【0023】
次に、前記移送手段36からカップ状容器2を受け取って搬送コンベヤ4のリテーナ12に受け渡す保持手段44(グリッパ)およびこの保持手段44を昇降させる昇降手段、水平方向に移動させる水平移動手段の構成について、図3図5および図6により説明する。機枠の両側壁48の外面側に、それぞれ直立した2本のレール76が固定されている。これら2本のレール76間に、前記搬送コンベヤ4の搬送方向Eを向いた昇降ブロック78が、スライダ80を介して昇降自在に支持されている。これら両側の昇降ブロック78に、それぞれ水平方向のレール82が固定されている。これらレール82にスライダ84を介して水平移動プレート86が固定されている。両側の水平移動プレート86間に、前記搬送コンベヤ4の上方を横断してグリッパ取付板88が固定されている。
【0024】
地上に設置された駆動モータ90(図3参照)の駆動側に揺動レバー92の一端が連結され、この揺動レバー92の他端側に連結ロッド94の一端が連結されており、この連結ロッド94の他端(上端)に前記昇降ブロック78が連結されている。従って、この昇降ブロック78は、駆動モータ90の駆動によって揺動レバー92および連結ロッド94を介して昇降する。
【0025】
また、両側の昇降ブロック78間に、前記グリッパ取付板88と平行してピニオン回転軸96が回転自在に支持されている。このピニオン回転軸96の両端部にそれぞれピニオン98が固定されており、ピニオン回転軸96の一端に設けられたピニオン駆動用モータ100(図6参照)の駆動によって両ピニオン98が回転する。一方、前記両側の水平移動プレート86には、搬送コンベヤ4の搬送方向Eを向いた水平なラック102が固定され、前記ピニオン98とそれぞれ噛み合っている。従って、ピニオン駆動モータ100の作動によってピニオン回転軸96を回転させるとピニオン98が回転し、これらピニオン98と噛み合っているラック102が、搬送コンベヤ4の搬送方向Eに沿って水平方向に移動する。これらラック102の移動によって、グリッパ取付板88が水平方向に移動する。前記ピニオン駆動用モータ100の駆動は制御装置104(図6参照)によって制御されており、必要とするグリッパ44の移動量(ラック102の移動量)に応じて、ピニオン98を回転させるようになっている。これらラック102およびピニオン98が、グリッパ44を水平移動させる水平移動手段を構成している。また、前記グリッパ取付板88が固定されている水平移動プレート86を昇降させる駆動モータ90が、グリッパ44の昇降手段を構成している。
【0026】
グリッパ取付板88を挟んでその両側に、2本のプレート(右側グリップ部材移動プレート106と左側グリップ部材移動プレート108)が平行に配置されている。前記グリッパ取付板88の両側面に、それぞれ2箇所の水平なレール110、112が固定され、各レール110、112に、前記両移動プレート106、108の側面に固定されたスライダ114、116が係合し、搬送コンベヤ4の搬送方向Eと直交する方向に移動するようになっている。前記両移動プレート106、108に、それぞれ複数のグリップ部材44a、44bが、搬送コンベヤ4の搬送方向Eを向けて等間隔で取り付けられている。右側グリップ部材移動プレート106に取り付けられている各グリップ部材44aと、左側グリップ部材移動プレート108に取り付けられている各グリップ部材44bとがそれぞれ組になっており、左右のグリップ部材44a、44bからなる各組のグリッパ44を開閉することによって、カップ状容器2を保持し、また、解放する。
【0027】
両側のグリップ部材移動プレート106、108の中間に位置しているグリッパ取付板88一方の端部(図6の右端)寄りに、支点ピン118(図6参照)が取り付けられており、この支点ピン118に水平な回動レバー120の中央部が回転自在に支持されている。この水平回動レバー120の両端部に、前記両側のグリップ部材移動プレート106、108の一端部が連結されている。前記水平回動レバー120は、その一方の端部(図6の下側端部)にグリップ部材移動プレート作動用のレバー122の一端が連結されており、この作動用レバー122の他端が、機枠の一方の側壁48(図5および図6の右側の側壁)上に固定されているグリッパ開閉用モータ124に偏心して連結されている。このグリッパ開閉用モータ124の駆動により作動用レバー122を介して水平回動レバー120を往復回動させることができる。水平回動レバー122の回動によって両グリップ部材移動プレート106、108を互いに逆方向に移動させて、両グリップ部材44a、44bを接近離隔させることができる。この実施例では、水平回動レバー120を図6の時計回り方向に回動させると、右側グリッパ移動プレート106が図の右方へ移動するとともに、左側グリッパ移動プレート108が図の左側に移動し、両グリップ部材44a、44bが離隔してグリッパ44が開放する(図6の右側半分のグリッパ44参照)。逆に、水平回動レバー120を図6の反時計回り方向に回動させると、右側グリッパ移動プレート106が図の左方へ移動するとともに、左側グリッパ移動プレート108が図の右側に移動して、両グリップ部材44a、44bが接近しグリッパ44が閉鎖する(図6の左側半分のグリッパ44参照)。
【0028】
前記構成の容器充填シール装置の作動について説明する。カップ状容器2の供給部(カップマガジン34)に、カップ状容器2が開口部(フランジ2a側)を下方に向けて積み重ねた状態で収容されており、移送手段36によってカップマガジン34の一番下方の容器2を取り出す。このときには、容器分離手段38の下方のストッパ42が前進して、カップマガジン34内の最も下方のカップ状容器2のフランジ2aに係合して支持している。
【0029】
この状態で吸着カップ回転軸72が吸着カップ回転用モータ74によって回転されて、この回転軸72に取り付けられている吸着カップ46が開口部(フランジ46a側)を上方に向けている。この状態で吸着ヘッド昇降用回転軸56を、モータ60の駆動によって回転させて、揺動レバー68および連結ロッド70を介して昇降ブロック66を上昇させる。昇降ブロック66を最も上昇させると、各吸着カップ46の開口部側のフランジ46aが、各カップマガジン34内の最も下方に位置しているカップ状容器2の開口部のフランジ2aに密着する(図2(a)および図3に示す状態)。吸着カップ46をカップ状容器2に密着させて、バキュームを作用させることによりカップ状容器2を吸着する。この時点では、容器分離手段38の下方のストッパ42は吸着カップ46に干渉しないように後退し、次に、上方のストッパ40が前進して、最も下方のカップ状容器2のフランジ2aと、下から2番目のカップ状容器2のフランジ2aの間に挿入される。
【0030】
容器分離手段38の上方ストッパ40によって下から2番目のカップ状容器2を支持した後、モータ60の駆動により吸着ヘッド昇降用回転軸56を回転させて、昇降ブロック66と吸着カップ回転軸72および、この回転軸72に取り付けられている吸着カップ46を下降させる。吸着カップ46の下降により、これら吸着カップ46が吸着している最も下方のカップ状容器2を取り出す。このとき、カップマガジン34内の下から2番目のカップ状容器2は、上方のストッパ40に支持されており、最も下方のカップ状容器2と切り離される。その後、下方のストッパ42を前進させるとともに上方のストッパ40を後退させて、再びカップマガジン34内のカップ状容器2全体を下方のストッパ42で支持する。
【0031】
カップ状容器2を吸着している吸着カップ46は、上向きの状態のまま下降を開始し、下方の容器保持手段(グリッパ44)に受け渡す前に、下降しつつ吸着カップ回転用モータ74の駆動によって吸着カップ46が取り付けられている吸着カップ回転軸72を回転させる。この回転軸72の回転によって、各吸着カップ46を180度回転させて、カップ状容器2を吸着している開口部側を下方に向ける(図2(b)参照)。
【0032】
前記移送手段36の吸着カップ46が最も下降した位置に容器保持手段(グリッパ44)が上昇して、吸着カップ46からグリッパ44へのカップ状容器2の受け渡しが行われる。グリッパ44は、駆動モータ90によって昇降される昇降ブロック78に取り付けられており、最も上昇した位置で前記移送手段36の吸着カップ46からカップ状容器2を受け取る。吸着カップ46からカップ状容器2を受け取る際には、グリッパ開閉用モータ124によって水平回動レバー120を回転(図6の時計回り方向に回転)させて、両グリップ部材移動プレート106、108を逆方向に移動させて両グリップ部材44a、44bを離隔させることにより、グリッパ44を開放している。この状態で吸着カップ46に吸着されているカップ状容器2が両グリップ部材44a、44b間に挿入され、その後、水平回動レバー120を逆方向に回転させて、両グリップ部材44a、44bを接近させてグリッパ44を閉じ、カップ状容器2のフランジ2aの下側を保持する(図2(b)参照)。
【0033】
各グリッパ44がカップ状容器2を受け取った後、前記駆動モータ90によって昇降ブロック78を下降させてグリッパ取付板88を下降させ、このグリッパ取付板88に取り付けられているグリッパ44を下降させる。通常の状態では、搬送チェーン10に取り付けられ、間欠的に前進する各リテーナ12は、常に一定の位置に停止するようになっており、前記各グリッパ44に保持されているカップ状容器2とリテーナ12の容器収容孔12aとの上下の位置が一致するように位置決めしており、グリッパ44を下降させると各カップ状容器2はそのままリテーナ12の容器収容孔12a内に挿入される。この位置でグリッパ44を開放して各カップ状容器2をリテーナ12の各容器収容孔12a内に供給する(図2(c)参照)。
【0034】
前記のような搬送チェーン10にリテーナ12を取り付けてカップ状容器2を搬送し、各種の処理を行う容器充填シール装置では、運転時間が長くなると搬送チェーン10に伸びが発生する。そこでこの実施例に係る装置では、作業者が定期的に目視で搬送チェーン10の伸びを監視するようにしており、作業者が搬送チェーン10が伸びたことを確認すると、この装置を一旦停止させて、従動側スプロケット6をカップ状容器2の進行方向と逆方向にチェーン10の伸びた分移動させる。そして、制御装置104に伸び量を入力することにより、グリッパ44の下降途中においてピニオン98を回転させてラック102をチェーン10が伸びた分移動させ、グリッパ44が保持するカップ状容器2と容器収容孔12aの位置とを一致させる。
【0035】
これを図7により説明すると、搬送チェーン10の伸びがない正常な状態では、図7(a)に示すように、ラック102とピニオン98を作動させず、そのまま直線的に下降させてグリッパ44に保持されているカップ状容器2をリテーナ12の容器収容孔12aに挿入する。また、搬送チェーン10が伸びた場合は、グリッパ44が下降する過程で、搬送チェーン10の伸び量に応じてピニオン98の回転によりラック102を水平移動させ、グリッパ44の下降位置を搬送方向とは逆方向にチェーンの伸びた分ずらしてリテーナ12の容器収容孔12aとカップ状容器2の位置を一致させる(図7(b)参照)。このように、グリッパ44の下降途中においてグリッパ44を水平移動させることによりチェーン10の伸び量を吸収することができるので、カップ状容器2の受け取り位置は変わらず、カップマガジン34や容器移送手段44等を移動させる必要もない。
【実施例2】
【0036】
前記実施例では、チェーン10が伸びたことを作業者が目視で確認しているが、センサによって伸び量を検出することもできる。この実施例では、図8に示すように、搬送コンベヤ4の搬送経路の途中に、等間隔で3個のセンサ(第1センサ130、第2センサ132、第3センサ134)を設けるとともに、リテーナ12に前記3個のセンサ130、132、134とほぼ同じ幅を有する検出片140を設け、この検出片140を前記センサ130、132、134が検出することによってチェーン10の伸び量を検出している。なお、センサ130、132、134および検出片140以外の構成は前記第1実施例と同一なので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
センサ130、132、134が2mm間隔で、リテーナ12の検出片140の幅が4mmの場合には、生産開始時においてチェーン10の伸びが0の時に、第1センサ130のみが検出片140を検出してONになるとともに、第2センサ132と第3センサ134がOFFとなるように各センサ130、132、134と検出片140の位置を設定する(図8(a)参照)。チェーン10が伸びると、リテーナ12は進行方向Eと逆方向Hにずれるため、例えば、チェーン10の伸びが2mmの時には、第1センサ130と第2センサ132がONになり、第3センサ134がOFFとなる(図8(b)参照)。また、チェーン10の伸びが4mmの時には、すべてのセンサ130、132、134がONとなる(図8(c)参照)。さらに、チェーン10の伸びが4mmを越えたときには、第1センサ130がOFFとなり、第2センサ132と第3センサ134がONとなり(図8(d)参照)、チェーン10の伸びが6mmを越えたときには、第1センサ130と第2センサ132がOFFとなり、第3センサ134がONとなる。このように、リテーナ12の検出片140を第1センサ130、第2センサ132、第3センサ134によって検出することによりチェーンの伸び量を検出することができる。
【0038】
前記のように第1センサ130、第2センサ132、第3センサ134と検出片140から構成される検出手段によってチェーン10の伸び量を検出すると、この検出値が制御装置104に入力され、制御装置104がピニオン駆動モータ100に指令信号を送る。ピニオン駆動用モータ100の駆動によってピニオン回転軸96を回転させてピニオン98を回転させ、このピニオン98に噛み合うラック102を水平移動させ、グリッパ44が保持しているカップ状容器2をリテーナ12の容器収容孔12aに挿入するために必要な量だけグリッパ44を水平移動させる。なお、この実施例では、第1センサ130、第2センサ132、第3センサ134と検出片140を配置してチェーン10の伸びを検出する構成であるが、他の検出手段を採用することもできる。また、この実施例では、従動側スプロケット6を搬送方向に沿って移動可能とするとともに、スプリングやシリンダなどによって付勢することにより、チェーン10が伸びたときには自動的に従動側スプロケット6を進行方向と逆方向に移動させる構成としている。なお、第1実施例では、従動側スプロケット6と駆動側スプロケット8はいずれもボルト止めされており、チェーン10が伸びた場合でも自動的に両スプロケット6、8間の距離は変更しない。
【符号の説明】
【0039】
G 受け渡し位置
2 容器(カップ状容器)
10 搬送チェーン
12 リテーナ
12a 容器収容部(容器収容孔)
34 供給部(カップマガジン)
36 移送手段
44 保持手段(グリッパ)
90 昇降手段(駆動モータ)
98 水平移動手段(ピニオン)
102 水平移動手段(ラック)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8