【実施例1】
【0022】
図1〜
図5に、本発明のチェンコンベアの第1実施例を示す。
このチェンコンベア1は、コンベアケース2と、コンベアケース2内で駆動スプロケットS1及び従動スプロケットS2に掛け渡して循環駆動される、ブッシュBを介在することによって間隔をあけて対向する一対のリンクプレートP1、P2からなるチェンリンク3を相互に連結ピンP3で無端状に連結したコンベアチェンCとからなり、コンベアチェンCのチェンリンク3に、コンベアチェンCの移動方向に対して直交する水平方向に延びる搬送板4、4を両側に備えた搬送板付きチェンリンク30を配してなり、搬送板付きチェンリンク30に、搬送板4に搬送板4の前面4a、下面4b及び側面4cを覆う摩耗防止板5を配設した摩耗防止板付設チェンリンク31と、この摩耗防止板付設チェンリンク31の摩耗防止板5にコンベアケース2の内周面に摺接するスクレーパ板6を配設したスクレーパ板付設チェンリンク32とを用いるようにしている。
【0023】
このチェンコンベア1は、従来例と同様、コンベアケース2の一端に形成した投入口2Aから投入される搬送物を、コンベアケース2内を循環駆動する搬送板付きチェンリンク30(摩耗防止板付設チェンリンク31及びスクレーパ板付設チェンリンク32を含む。)の搬送板4(摩耗防止板5及びスクレーパ板6を含む。)によって押送することでコンベアケース2の他端に形成した排出口2Bから排出するようにしたものである。
【0024】
そして、このコンベアチェンCは、上述したように、ブッシュBを介在することによって間隔をあけて対向する一対のリンクプレートP1、P2(内側リンクプレートP1及び外側リンクプレートP2)からなるチェンリンク3を相互に連結ピンP3で連結して構成する、所謂、ローラチェンと通称されるものである。
コンベアチェンCとしてローラチェンを使用する場合、通常、コンベアケース2の底板に、ローラチェンの走行を案内する案内レールRを敷設する。
このため、この案内レールRとの干渉を防止するために、また、リンクプレートP1、P2間に入る、駆動スプロケットS1及び従動スプロケットS2の歯と干渉を防止するために、摩耗防止板5を、チェンリンク3の下方で連続させることができず、
図3(d)に示すように、チェンリンク3の両側に備えられた搬送板4、4に対して、片側の搬送板4毎に配設するようにしている。
【0025】
具体的に、この摩耗防止板5は、
図3に示すように、搬送板4の前面4a(コンベアチェンCの進行方向側の面をいう。以下同じ)を覆う本体部50の下端部及び側端部から突出して形成される、それぞれ搬送板4の下面4b及び側面4cを覆う下端突出縁部51及び側端突出縁部52を形成するようにしている。
本体部50、下端突出縁部51及び側端突出縁部52からなる摩耗防止板5は、型枠に素材を流し込んで一体に成形(射出成形等)するようにしている。
なお、搬送板4の厚み分だけ分厚くした本体部50から搬送板4の形状を削り取る(フライス加工等)ことによって形成することもできる。
【0026】
このように、本体部50と一体に成形した下端突出縁部51、側端突出縁部52を形成した摩耗防止板5の下端突出縁部51及び側端突出縁部52によって、搬送板4の下面4b及び側面4cを覆い、搬送板4の前面4aを覆った本体部50をボルト等の締結手段で固定することで、摩耗防止板5を、コンベアチェンCの循環駆動による振動等に対して高い耐久性を備えたものとすることができる。
また、摩耗防止板5とコンベアケース2の側壁内面とは、5〜10mm程度の隙間をあけ、コンベアチェンCがスムーズに走行できるようにしている。
【0027】
そして、本実施例においては、この摩耗防止板5を、超高分子量ポリエチレンで構成するようにしている。
超高分子量ポリエチレンは、耐衝撃性、耐摩耗性、自己潤滑性、耐薬品特性、帯電防止性に優れ、摩耗防止板5に搬送物が付着するのを防止して、摩耗防止板5とコンベアケース2の底板との摩擦抵抗を低減させ、コンベアチェンCをスムーズに走行させることができるとともに、コンベアチェンCの走行時の騒音を抑制することもできる。
また、この摩耗防止板5は、帯電防止剤による処理(摩耗防止板5の状態での表面処理の他、超高分子量ポリエチレンの原材料の段階での帯電防止剤の添加を含む。)をして、コンベアケース2内での粉塵爆発を防止するようにすることが好ましい。
【0028】
スクレーパ板付設チェンリンク32に配設されるスクレーパ板6は、本実施例においては、コンベアケース2の内周面のうち、特に、側壁内面に摺接して、搬送板4の側面とコンベアケース2の側壁内面との隙間から、コンベアチェンCの走行方向の後方に搬送物が漏れ出すことを防止するようにしている。
【0029】
そして、スクレーパ板付設チェンリンク32は、本実施例においては、摩耗防止板付設チェンリンク31の摩耗防止板5の前面に重ねてスクレーパ板6を配設して構成するようにしているが、搬送板付きチェンリンク30の搬送板4にスクレーパ板6のみを配設して構成することもできる。
また、スクレーパ板付設チェンリンク32は、残留物に対する抵抗が大きくなることなく、スクレーパ板6による掻き出し効果が得られる最適の間隔で配設するようにしている。
この最適の間隔は、本発明者等の実験によれば、4m〜8m、好ましくは約6mの間隔をあけて配設することが好ましいことが判明した。
【0030】
そして、このスクレーパ板6は、摩耗防止板5と高さ寸法を略同一とし、その上面及び下面を摩耗防止板5の上面及び下面とは面位置が同一となるようにするとともに、コンベアケース2の側壁側の側面を摩耗防止板5の側面よりも所定寸法(例えば、1〜3mm、好ましく約2mm)コンベアケース2の側壁側に突出するように構成し、コンベアケース2の側壁内面と摺接するようにしている。
また、このスクレーパ板6は、超高分子量ポリエチレンで構成することが好ましく、特に、摩擦係数が小さい超高分子量ポリエチレンを用いるようにしている。
【0031】
また、上述したように、摩耗防止板5を、チェンリンク3の下方で連続させていないことによってチェンリンク3の下方、特に、案内レールRの側面の近傍付近に搬送物である粉粒体が残留しやすくなる。
そのため、本実施例においては、スクレーパ板付設チェンリンク32のスクレーパ板6にチェンリンク3の下方に延びる突出部7aを形成したクリーナ板7を配設したクリーナ板付設チェンリンク33をさらに付加して用いるようにしている。
これによって、チェンリンク3の下方に残留する搬送物を排出口2Bに向かって押送することができる。
【0032】
クリーナ板付設チェンリンク33のクリーナ板7は、チェンリンク3の下方で案内レールRの側面の近傍付近に残留する搬送物を排出口2Bに向かって押送するためのもので、案内レールRに合わせて容易に変形することができるように、ゴム等の弾性材料を使用するようにしている。
【0033】
このクリーナ板7は、本実施例においては、
図4に示すように、スクレーパ板付設チェンリンク32のスクレーパ板6に重ねて配設するようにしているが、搬送板付きチェンリンク30の搬送板4又は摩耗防止板付設チェンリンク31の摩耗防止板5に配設するようにしても構わない。
そして、弾性材料からなるクリーナ板7がコンベアチェンCの走行に伴って、浮き上がったり、反ったりすることを防止するために、
図4(c)の破線に示すように、クリーナ板7よりも幅寸法及び高さ寸法が若干小となる押さえ板70を、クリーナ板7の前面に当接させてクリーナ板7を搬送板4に向かって押さえつけるようにして搬送板4に(本実施例においては、搬送板4に配設される摩耗防止板5及びスクレーパ板6に重ねて)配設するようにしている。
【0034】
また、
図5に示すように、コンベアケース2の両側壁の間に架け渡されたフレームFに、循環駆動されるコンベアチェンCの戻り側の走行を案内するガイドレール21及び戻り側の搬送板4の振れを抑制するサイドレール22、22を配設し、ガイドレール21のコンベアチェンCの走行面及びサイドレール22の搬送板4との当接箇所に、それぞれ保護材G1、G2を取り付けるようにしている。
この保護材G1、G2は、摩擦係数の小さい材質であればよく、本実施例においては、超高分子量ポリエチレンで構成するようにしており、特に、スクレーパ板6と同様、摩擦係数が小さく、帯電防止性に優れた超高分子量ポリエチレンを用いるようにしている。
これによって、保護材G1、G2に搬送物が付着するのを防止して、コンベアチェンCとガイドレール21との間の摩擦抵抗を小さくし、コンベアチェンCのガイドレール21に対する滑りを良くしてスムーズに走行させ、騒音の発生を防止することができる。
また、戻り側の走行において、チェンリンク3の両側から延びる搬送板4は、上下に振られ、サイドレール22、22によってガイドされていない場合には、コンベアチェンCの走行支障をきたすこととなる。
そのため、本実施例において示すように、フレームFにサイドレール22、22を配設し、このサイドレール22と搬送板4との当接箇所に摩擦抵抗の小さい保護材G2を取り付けることで、搬送板4が振られてサイドレール22に当接しても、搬送板4をスムーズに移動させて振れを抑制し、コンベアチェンCの走行を安定させるようにしている。
【実施例2】
【0035】
図6〜
図8に、本発明のチェンコンベアの第2実施例を示す。
このチェンコンベア1は、コンベアケース2と、コンベアケース2内で駆動スプロケットS1及び従動スプロケットS2に掛け渡して循環駆動される、一端に孔部を具備したピン座91及び他端に孔部を具備した二股座92を形成したバーリンク90からなるチェンリンク3を連結ピン93で無端状に連結したコンベアチェンCとからなり、コンベアチェンCのチェンリンク3に、コンベアチェンCの移動方向に対して直交する水平方向に延びる搬送板4、4を両側に備えた搬送板付きチェンリンク30を配してなり、搬送板付きチェンリンク30に、搬送板4に搬送板4の前面4a、下面4b及び両側面4c、4cを覆う摩耗防止板5を配設した摩耗防止板付設チェンリンク31と、この摩耗防止板付設チェンリンク31の摩耗防止板5にコンベアケース2の内周面に摺接するスクレーパ板6を配設したスクレーパ板付設チェンリンク32を用いるようにしている。
【0036】
そして、このコンベアチェンCは、上述したように、一端に孔部を具備したピン座91、他端に孔部を具備した二股座92を形成したバーリンク90からなるチェンリンク3を連結ピン93で連結して構成する、所謂、鍛造チェンと通称されるものである。
鍛造チェンは、例えば、可鍛鋳鉄等の材料を鍛造して形成されている。
【0037】
そして、チェンリンク3をバーリンク90から構成し、コンベアチェンCを鍛造チェンとするときは、通常、コンベアケースの底板に案内レールを敷設する必要はなく、また、駆動スプロケットS1及び従動スプロケットS2の歯は、二股座92の先端側の面92a、92aに当接する2段歯となっているため、摩耗防止板付設チェンリンク31の両側の搬送板4、4に配設する摩耗防止板5を、チェンリンク3の下方で連続する一体構造に構成することができる。
【0038】
具体的に、この摩耗防止板5は、
図7(e)に示すように、搬送板付きチェンリンク30の二股座92が嵌まる切欠部53を備え(本実施例においては、搬送板4は二股座92の側面から延設されるように形成されている。)両側の搬送板4、4の前面4a、4aを覆う、切欠部53を挟んだ本体部54、54の下端部及び両側端部から突出して形成される、それぞれ搬送板4、4の下面4b、4b及び両側面4c、4cを覆う下端突出縁部55及び側端突出縁部56、56を形成するようにしている。
本体部54、下端突出縁部55及び側端突出縁部56、56からなる摩耗防止板5は、型枠に素材を流し込んで一体に成形(射出成形等)するようにしている。
なお、搬送板4の厚み分だけ分厚くした本体部50から搬送板4の形状を削り取る(フライス加工等)ことによって形成することもできる。
【0039】
このように、一体成形によって下端突出縁部55、側端突出縁部56、56を形成した摩耗防止板5を用いて、搬送板4の下面4b及び側面4cを覆い、搬送板4、4の前面4a、4aを覆った本体部54、54をボルト等の締結手段で固定することで、特に、側端突出縁部56、56が、下端突出縁部55及び下端突出縁部55に切欠部53を挟んで形成される本体部54、54に形成されていることから、コンベアチェンCの循環駆動による振動等に対して、第1実施例の摩耗防止板5よりもさらに高い耐久性を備えたものとすることができる。
【0040】
スクレーパ板付設チェンリンク32に配設されるスクレーパ板6は、第1実施例と同様、コンベアケース2の内周面のうち、特に、側壁内面に摺接して、搬送板4の側面とコンベアケース2の側壁内面との隙間から、コンベアチェンCの走行方向の後方に搬送物が漏れ出すことを防止するようにしている。
【0041】
そして、このスクレーパ板付設チェンリンク32は、本実施例においては、第1実施例と同様、
図8に示すように、摩耗防止板5を配設した摩耗防止板付設チェンリンク31の摩耗防止板5の前面に重ねてスクレーパ板6を配設して構成するようにしているが、搬送板付きチェンリンク30の搬送板4にスクレーパ板6のみを配設して構成することもできる。
【0042】
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例と同様である。
【0043】
以上、本発明のチェンコンベアについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。