【文献】
Aurelie Martin(外3名),ATOMIC DECOMPOSITION DEDICATED TO AVC AND SPATIAL SVC PREDICTION,Image Processing, 2008. ICIP 2008. 15th IEEE International Conference on,米国,IEEE,2008年10月12日,p.2492-2495
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
時間予測の場合では、ブロックマッチング法などの動き推定方法により予測画素のブロックを決定することが当技術分野で知られている。しかし、このような予測ブロックは、復元された現在のブロックの隣接ブロックと比べて一般に不均質である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の不利な点の少なくとも1つを克服することである。この目的のために、本発明は以下のステップ、すなわち
現在のブロックについて予測ブロックを決定するステップと、
現在のブロックから予測ブロックを抽出することによって、
残差ブロックを決定するステップと、
残差ブロックを符号化するステップと
を含む、画像のシーケンスの現在のブロックを符号化する方法に関連する。
【0009】
本発明によれば、現在のブロックの予測ブロックは、以下のステップ、すなわち
動きデータおよび前に符号化及び復元された少なくとも1つの参照画像から最初の予測ブロックを決定するステップと、
データYcpのベクトルに原子分解法を適用するステップであって、データのベクトルが、前に符号化および復元された現在のブロックの隣接ブロックの画像データ、および最初の予測ブロックのデータを含むステップと、
分解されたベクトルから現在のブロックに対応するデータを抽出するステップであって、抽出したデータが予測ブロックを形成するステップと
にしたがって決定される。
【0010】
現在のブロックの時間予測は、結果として得られる予測ブロックが参照画像からの時間情報の項目と現在の画像からの空間情報の項目との両方を結合するので、改善される。結果として得られる予測ブロックは、空間環境、すなわち現在のブロックの、前に復元された隣接画素を考慮に入れることにより、より均質になる。
【0011】
本発明の特定の一態様によれば、符号化方法は、N(Ycp−A
cX)が最小になるベクトルX
kを以下のステップ、すなわち
a)R
k-1と最も相関がある原子aj
kを選択するステップであって、R
k-1はベクトルY
cpとA
c*X
k-1の間で計算された
残差であり、ここでX
k-1は繰返しk−1において決定されたXの値であり、kが整数であるステップと、
b)選択された原子からX
kおよびR
kを計算するステップと、
c)次の終止基準N(Y
cp−A
cX
k)≦ρまでステップaおよびbを繰り返すステップであって、ここでρは閾値であるステップと、
ベクトル
【0012】
【数1】
【0013】
から予測ブロックを抽出するステップであって、ここで、
【0014】
【数2】
【0015】
はベクトルX
kの1つであるステップと
にしたがって決定することを含み、ここでAcは各列が原子ajを表す行列であり、N(.)は
ノルムである。
【0016】
本発明の特定の一特性によれば、
【0017】
【数3】
【0018】
であり、ここでKは最後の繰返しのインデックスである。
【0019】
一変形形態によれば、
【0020】
【数4】
【0021】
は以下のステップ、すなわち
各繰返しX
kで記憶するステップと、
記憶されたX
kの中から値N(Y
p−A
pX
k)が最小となるX
kを選択するステップであって、ここでY
pは現在のブロックに対応するY
cpの部分であり、Apは現在のブロックに対応する行列Acの部分であるステップと、
【0022】
【数5】
【0023】
から予測ブロックを決定するステップであって、ここで、
【0024】
【数6】
【0025】
は前のステップで選択されたX
kであるステップと
にしたがって決定される。
【0026】
本発明はまた、符号化データのストリームの形の画像のシーケンスの現在のブロックを復元する方法に関し、以下のステップ、すなわち
符号化データのストリームの一部を復号することによって
残差ブロックを決定するステップと、
現在のブロックから予測ブロックを決定するステップと、
残差ブロックと前記予測ブロックを合成することによって現在のブロックを復元するステップと
を含む。
【0027】
本発明によれば、現在のブロックの予測ブロックは以下のステップ、すなわち
動きデータおよび前に符号化及び復元された少なくとも1つの参照画像から最初の予測ブロックを決定するステップと、
データYcpのベクトルに原子分解法を適用するステップであって、データYcpのベクトルが、前に符号化および復元された現在のブロックの隣接ブロックの画像データ、および最初の予測ブロックのデータを含むステップと、
分解されたベクトルから現在のブロックに対応するデータを抽出するステップであって、抽出したデータが前記予測ブロックを形成するステップと
にしたがって決定される。
【0028】
特定の一実施形態によれば、復元方法は、N(Ycp−A
cX)が最小になるベクトルX
kを以下のステップ、すなわち
a)R
k-1と最も相関がある原子aj
kを選択するステップであって、ここでR
k-1はベクトルY
cpとA
c*X
k-1の間で計算された
残差であり、ここでX
k-1は繰返しk−1において決定されたXの値であり、kが整数であるステップと、
b)選択された原子からX
kおよびR
kを計算するステップと、
c)次の終止基準N(Y
cp−A
cX
k)≦ρまでステップaおよびbを繰り返すステップであって、ここでρは閾値であるステップと、
ベクトル
【0029】
【数7】
【0030】
から予測ブロックを抽出するステップであって、
【0031】
【数8】
【0032】
はベクトルX
kの1つであるステップと
にしたがって決定することを含み、ここでAcは各列が原子ajを表す行列であり、N(.)は
ノルムである。
【0033】
本発明の特定の一特性によれば、
【0034】
【数9】
【0035】
であり、ここでKは最後の繰返しのインデックスである。
【0036】
一変形形態によれば、
【0037】
【数10】
【0038】
は以下のステップ、すなわち
各繰返しX
kで記憶するステップと、
記憶されたX
kの中から値N(Y
p−A
pX
k)が最小となるX
kを選択するステップであって、ここでY
pは現在のブロックに対応するY
cpの部分であり、Apは現在のブロックに対応する行列Acの部分であるステップと、
【0039】
【数11】
【0040】
から予測ブロックを決定するステップであって、ここで、
【0041】
【数12】
【0042】
は前のステップで選択されたX
kであるステップと
にしたがって決定される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
画像は、画像データの少なくとも1つの項目にそれぞれが関連付けられた画素または像点を含む。画像データの項目とは、例えば、輝度データの項目または彩度データの項目である。
【0046】
「
残差」という語は、他のデータの抽出後に得られるデータを意味する。抽出とは一般に、ソース画素から予測画素を減算することである。しかし、抽出はもっと一般的であり、特に重み付け減算を含む。
【0047】
「復元」という語は、
残差と予測データの合成後に得られるデータ(例えば画素、ブロック)を意味する。合成とは一般に、予測画素と
残差の加算である。しかし、合成はもっと一般的であり、特に重み付け加算を含む。復元ブロックとは、復元画素のブロックである。
【0048】
画像復号に関しては、「復元」および「復号」という用語は、同義であるとして用いられることが非常に多い。したがって、「復号ブロック」という術語で「復元ブロック」も意味する。
【0049】
本発明による符号化の方法は、原子分解の方法(method for atomic decomposition)に基づく。信号Yから原子分解が得られるようにする様々な方法が存在する。これらの中で、最もよく知られているものの1つは、「マッチング探索(matching pursuit)」という用語で知られている。「直交マッチング探索」または「グローバル整合フィルタ」など、「マッチング探索」の変形形態が使用されることもあることに留意されたい。
【0050】
原子分解全般および「マッチング探索」の一般原理を以下で説明する。Yが次元Nのソースベクトル、Aが次元N×Mの行列、ただしM≫Nである。Aの列a
jは辞書(dictionary)の
基底関数または原子(atom)であり、これらはソースベクトルYを表すために使用される。ソース信号Yの原子分解の目的は、次元MのベクトルXをY=AXとなるように決定することである。ベクトルXには無数の解がある。簡潔な表現の目的は、Y=AXのすべての解の中で簡潔であるもの、すなわち、ベクトルXが低い数字のナル(null)でない係数だけを有する解を探すことである。厳密な解を探すことは、非常にコストがかかる組み合わせ法を必要とするので、実際にはあまりに複雑である。一般には、N(Y−AX)≦ρを確証する簡潔な表現が代わりに求められる。ここでρは表現の簡潔さを制御する許容閾(tolerance threshold)であり、N(.)は例えば二乗
ノルムL2である。当然、N(.)は
ノルムL2以外の
ノルムでもありうる。
【0051】
「マッチング探索」(MP)の方法では、このような準最適な解、すなわち厳密でない解が、繰返し手順を用いて得られるようになる。この方法では繰返しkごとに、表現X
k、ナルでない係数の番号を有する次元ベクトルMを発生し、この番号は、一般に(同じ原子が2つの繰返しの間中に選択される場合を除いて)新しい繰返しkごとに増える。
図2を参照してこのMP法を詳細に説明する。
【0052】
既知のデータは、ソース信号Y、辞書Aおよび閾ρである。初期化ステップ20を通じて(繰返しk=0)X
0=0であり、
残差エラーR
0の最初のベクトルが次式で計算される。
R
0=Y−AX
0=Y
【0053】
ステップ22を通じて、k番目の繰返しに対応して、現在の
残差ベクトルR
k-1との最大の相関性を有する
基底関数
【0058】
ステップ24を通じて、ベクトルX
kおよび
残差ベクトルR
kが更新される。
【0063】
残差ベクトルR
kは次式により更新される。
【0067】
がX
k−1に加えられ、それによって新しい表現X
kが形成される。
【0068】
ステップ26を通じて、終止基準が満たされているかどうかを見るための検査がある。N(Y−AX
k)≦ρであれば手順は終了され、そうでなければステップ28を通じてkが1だけインクリメントされ、ステップ22で手順が再開する。最終ベクトルAX
Kは、ソース信号Yの近似値になり、ここでKは最後の繰返しのインデックスである。
【0069】
図3に、サイズn×nの画素のブロックが示されている。整数「n」は、例えば4、8、16などの異なる値を取りうる。灰色のブロック(ゾーンP)は予測されるべき現在のブロックを表し、斜線で影をつけたブロック(ゾーンC)は因果関係ゾーン(causal zone)を表し、白色のゾーン(ゾーンNC)は非因果関係ゾーンを表す。因果関係ゾーンは、現在のブロックの前に復元された画素を含む。因果関係ゾーンの画定は、画像中のブロックを符号化する順序によって決まる。
図3では、各ブロックは、「ラスタ走査」として知られる標準符号化順序に従って符号化されると想定されている。しかし、本発明はこの符号化順序に全く限定されない。本発明による符号化方法は、一直線に走査されるゾーンLの画素から形成される観測ベクトルYの原子分解を含み、ここでL=C∪P∪NCである。したがって、ベクトルYは、サイズ9n
2×1のベクトルになる。
【0070】
図4を参照して、本発明による符号化の方法を詳細に説明する。
【0071】
ステップ30を通じて最初の予測ブロックBp0が、例えば標準ブロックマッチング法により決定される。このブロックマッチングには、ブロックの参照画像における選択が含まれ、この選択により、この予測ブロックと予測されるべき現在のブロックとの間の計算される歪みが最小になる。このようなブロックBp0は、参照画像のブロックであるか、あるいはそのようなブロックの補間バージョンである。このステップの最後で、隣接ブロックは、前に復元された現在のブロックに利用可能であり、この現在のブロックに対しては、
図5に示されるように、現在のブロックのデータの第1の近似値を表す予測ブロックBp0が利用可能である。
【0072】
ステップ32を通じて、原子分解がサイズ5n
2×1のベクトルYcpに適用され、このベクトルは、観測ゾーンすなわち隣接ブロック(
図3のゾーンC)の画素の値と、予測されるべき現在のブロック(
図3のゾーンP)のデータに取って代わった最初の予測ブロックBp0の画素の値とをデータとして含む。前に復元されていない現在のブロックの他の隣接ブロック(
図3のゾーンNC)のデータはナルである。ゾーンC、NCおよびPが結合することにより、サイズ3n×3nのゾーンLを形成する。辞書Aは、ゾーンL(3n×3n)と同じサイズの二次元
基底関数を含み、これらの
基底関数は、ある信号を基本信号に分解するための適正な特性を有すると想定されている。Aに対してDCT(離散コサイン変換)またはDFT(離散フーリエ変換)など通常の変換カーネルを用いることが当然考えられうる。これらの特定の場合には、信号の周波数分解が操作される。DFTおよびDCTそれぞれを伴う
基底関数または原子の式は以下の通りである。
【0076】
辞書Aは、ゾーンLを表すために最小限で9n
2の原子を含まなければならない。それぞれのサイズが3n×3nの9n
2の二次元原子を2D行列中に含むことができるようにするために、原子はベクトル化されなければならない。すなわち、辞書Aは、それぞれがサイズ9n
2×1の原子を表す9n
2列から構成される。したがって、辞書Aは大きさが9n
2×9n
2になる。
【0077】
DCT原子およびDFT原子の選択は制限事項ではない。実際、辞書は、画像中のあらゆるパターンタイプ(Gabor原子、異方性原子など)を表すことができる任意の
基底関数により拡充することができる。原子の数、または再び行列A中の列の数は、ベクトル化ゾーンLのサイズ(すなわち9n
2)を最小値として有するが、理論的最大値は有さない。原子の量が多ければ多いほど、信号を回復する可能性が多くなる。
【0078】
有用な画素はゾーンCおよびPのものだけであり、他の画素はナルである。MP法に有効な予測支持体になるのは、この観測ベクトルY
cpである。
【0079】
ステップ34を通じて、ゾーンPに対応するサイズn
2のベクトル
【0085】
は、ブロック形式に再編成される(ベクトル演算の反対の演算)。再編成されたデータは、現在のブロックの新しい予測ブロックBpを表す。この予測ブロックBpは、特に現在のブロックの空間環境に由来する理由により、Bp0よりも均質である。
【0086】
ステップ36を通じて、
残差ブロックBrは、現在のブロックB
Cから予測ブロックBpを抽出することによって、例えば画素ごとに減算することによって決定される。
【0087】
ステップ38を通じて、
残差ブロックが符号化される。この符号化ステップは、
残差ブロックを係数のブロックに変換すること、これらの係数を量子化すること、およびストリームF中でそれらをエントロピー符号化することを一般に含む。一変形形態によれば、このステップは、
残差を量子化すること、およびストリームF中でそれらをエントロピー符号化することを含みうる。
【0088】
一変形形態によれば、繰返し(MP法のステップ24)の間中に決定されたシーケンスX
kのセットがメモリ中に記憶される。X
optはもはやX
Kと等しくなく、Kは最後の繰返しのインデックスであるが
【0092】
である。ここで、A
pは、予測されるべきゾーンPと関連付けられたサイズn
2×9n
2の行列であり、Y
pは、予測されるべきゾーンPと関連付けられたサイズn
2×1のベクトルである。
【0093】
ApおよびYpが
図8に示されている。この変形形態によりX
optが、ゾーンC∪Pの最良表現に必ずしも対応しないゾーンPの最良表現であるとして決定されることが可能になる。データ
【0095】
は、ブロック形式で再編成される(ベクトル演算の反対の演算)。この変形形態によれば、係数k
optもまたストリームF中で符号化される。実際、ベクトルY
pのデータは復号器には未知である。再編成されたデータは、現在のブロックの新しい予測ブロックBpを表す。
【0096】
標準的な符号化方法では、この符号化モードは、Bp0に対応する時間予測によって標準的な符号化モードに取って代わることができ、あるいはそれを補完することができ、符号化モード決定モジュールで試験されるこれら2つのモードと、最良のビットレート−歪みを示すモードとは妥協して保持される。
【0097】
図9は、本発明による現在のブロックを復元する方法を図示する。
【0098】
ステップ40を通じて、現在のブロックに対して
残差ブロックBrが復号される。例えば、ストリームFの一部が係数に復号される。これらの係数は復号(dequantize)され、次に必要に応じて、ステップ14の符号器側で使用される係数へと反転変換によって変換される。こうして
残差ブロックが得られる。一変形形態によれば、反転変換ステップは、特に変換ステップがステップ14の符号器側で適用されなかった場合に省略される。
【0099】
ステップ42を通じて、最初の予測ブロックBp0が、例えばストリームFから復号された1つまたはいくつかの動きベクトルにより決定される。一変形形態によれば、最初の予測ブロックBp0は、「テンプレートマッチング」技法によって決定される。このような技法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0100】
このようなブロックBp0は、参照画像のブロックであるか、またはこのようなブロックの補間バージョンである。このステップの終わりに、前に復元された現在のブロックの隣接ブロックが利用可能であり、現在のブロックに対して、
図5に示された現在のブロックのデータの第1の近似値を表す予測ブロックBp0が利用可能である。
【0101】
ステップ44を通じて、原子分解がサイズ9n
2×1のベクトルYに適用され、このベクトルYは、観測ゾーンすなわち隣接ブロック(
図3のゾーンC)の画素の値と、予測されるべき現在のブロック(
図3のゾーンP)のデータに取って代わった最初の予測ブロックBp0の画素の値と、前に復元されていない現在のブロックの他の隣接ブロック(
図3のゾーンNC)のデータを表すナル値とをデータとして含む。ゾーンC、NCおよびPが結合することにより、サイズ3n×3nのゾーンLを形成する。辞書Aは、ゾーンL(3n×3n)と同じサイズの二次元
基底関数を含み、これらの
基底関数は、ある信号を基本信号に分解するための適正な特性を有すると想定されている。Aに対してDCT(離散コサイン変換)またはDFT(離散フーリエ変換)など通常の変換カーネルを用いることが当然考えられうる。これらの特定の場合には、信号の周波数分解が演算される。DFTおよびDCTそれぞれを伴う
基底関数または原子の式は以下の通りである。
【0104】
辞書Aは、ゾーンLを表すために最小限で9n
2の原子を含まなければならない。それぞれのサイズが3n×3nの9n
2の二次元原子を2D行列中に含むことができるようにするために、原子はベクトル化されなければならない。すなわち、辞書Aは、それぞれがサイズ9n
2×1の原子を表す9n
2列から構成される。したがって、辞書Aは大きさが9n
2×9n
2になる。
【0105】
DCT原子およびDFT原子の選択は制限事項ではない。実際、辞書は、画像中のあらゆるパターンタイプ(Gabor原子、異方性原子など)を表すことができる任意の
基底関数により拡充することができる。原子の数、または再び行列A中の列の数は、ベクトル化ゾーンLのサイズ(すなわち9n
2)を最小値として有するが、理論的最大値は有さない。原子の量が多ければ多いほど、信号を回復する可能性が多くなる。
【0106】
有用な画素はゾーンCおよびPのものだけであり、他の画素はナルである。因果関係ゾーンCおよび最初の予測ブロックBp0の画素だけを含有するベクトルである、5n
2×1画素に等しい大きさのY
cpに注意されたい。MP法に有効な予測支持体になるのは、この観測ベクトルY
cpである。
【0107】
図6に示されているように、大きさ5n
2×1であるY
cpのデータ(Yのデータではない)を表すことができるように、行列Aは、ゾーンCおよびPの外側のすべての画素に対応するその行を除去することによって修正される。実際には、これらすべての画素は未知であり、ゼロの値を有する。A
cと表され、高さの面では圧縮された、サイズ5n
2×9n
2の行列がこうして得られる。マッチング探索法(matching pursuit method)または他の等価な方法が、問題Y
cp=A
cXの簡潔な解のセットの中で解を決定するのに用いられ、この解は、復元エラーを最小限にするX
optと表される。こうして、
図2を参照して説明したステップ20から28は、X
optを決定するために、観測データとしてベクトルY
cp、辞書として行列A
cを用いて、繰返し適用される。この方法は、終止基準N(Y
cp−A
cX
k)≦ρが確証されるとすぐに終止する。すなわちX
opt=X
Kであり、Kは最後の繰返しのインデックスである。最後のベクトル
【0110】
ステップ46を通じて、ゾーンPに対応するサイズn
2のベクトル
【0116】
は、ブロック形式に再編成される(ベクトル演算の反対の演算)。再編成されたデータは、現在のブロックの新しい予測ブロックBpを表す。この予測ブロックBpは、特に現在のブロックの空間環境に由来する理由により、Bp0よりも均質である。
【0117】
ステップ48を通じて、現在のブロックB
Cは、ステップ46で決定された予測ブロックBpとステップ40で復元された
残差ブロックとを、例えば画素ごとに加算することによって合成して復元される。
【0118】
一変形形態によれば、インデックスK
optはストリームFから復号される。X
optはもはやX
Kと等しくなく、Kは最後の繰返しのインデックスであるが、
【0120】
である。この変形形態によりX
optが、ゾーンC∪Pの最良表現に必ずしも対応しないゾーンPの最良表現であるとして決定されることが可能になる。データ
【0122】
は、ブロック形式で再編成される(ベクトル演算の反対の演算)。再編成されたデータは、現在のブロックの新しい予測ブロックBpを表す。
【0123】
図10は、符号化デバイス12を図示する。符号化デバイス12は、入力部で1つまたは複数の画像を受け取る。符号化デバイス12は、
図4を参照して説明した本発明による符号化方法を実施することができる。各画像は、画像データの少なくとも1つの項目にそれぞれが関連付けられた画素のブロックに分割される。符号化デバイス12は、時間予測による符号化を特に実施する。時間予測による符号化、またはINTER符号化に関係がある符号化デバイス12のモジュールだけが
図9に示されている。当業者に知られている映像符号器の他のモジュールは示されていない(例えば、符号化モードの選択、空間予測)。符号化デバイス12は、現在のブロックB
Cから予測ブロックBpを例えば画素ごとの減算によって抽出して
残差ブロックBrを生成できる計算モジュール1200を特に備える。計算モジュール1200は、本発明による符号化方法のステップ36を実施することができる。符号化デバイス12は、
残差ブロックBrを変換して次に量子化データに量子化できるモジュール1202をさらに備える。変換Tは、例えば離散コサイン変換(DCT)である。符号化デバイス12はまた、量子化データをストリームFに符号化できるエントロピー符号化モジュール1204を備える。符号化デバイス12はまた、モジュール1202の反対の動作を行うモジュール1206を備える。モジュール1206は、逆量子化Q
-1を実行し、次に逆変換T
-1を実行する。モジュール1206は計算モジュール1208に接続され、計算モジュール1208は、例えば画素ごとに加算することによってモジュール1206からのデータのブロックと予測ブロックBpとを合成して、メモリ1210に記憶される復元ブロックを生成することができる。
【0124】
第1の予測モジュール1216は、最初の予測ブロックBp0を決定する。第1の予測モジュール1216は、本発明による符号化方法のステップ30を実施することができる。符号化デバイス12は、第2の予測モジュール1218を備える。第2の予測モジュール1218は、既に復元されメモリ1210に記憶されたデータ、および最初の予測ブロックBp0から予測ブロックBpを決定する。第2の予測モジュール1218は、本発明による符号化方法のステップ32および34を実施することができる。
【0125】
この符号化方法のステップ38は、モジュール1202および1204で実施される。
【0126】
図11は、復号デバイス13を図示する。復号デバイス13は、画像を表すストリームFを入力部で受け取る。ストリームFは、例えば、符号化デバイス12からチャネルを介して伝送される。復号デバイス13は、
図9を参照して説明した本発明による復号方法を実施することができる。復号デバイス13は、復号データを生成できるエントロピー復号モジュール1300を備える。復号データは次に、逆量子化を実行し、次に逆変換を実行できるモジュール1302に伝送される。モジュール1302は、ストリームFを生成した符号化デバイス12のモジュール1206と同じである。モジュール1302は計算モジュール1304に接続され、計算モジュール1302は、例えば画素ごとに加算することによってモジュール1302からのブロックと予測ブロックBpとを合成して、メモリ1306に記憶される復元された現在のブロックBcを生成することができる。計算モジュール1304は、復元方法のステップ48を実施することができる。復号デバイス13は、予測モジュール1308を備える。予測モジュール1308は、最初の予測ブロックBp0を決定する。予測モジュール1308は、本発明による復元方法のステップ42を実施することができる。復号デバイス13はまた、第2の予測モジュール1310を備える。第2の予測モジュール1310は、既に復元されメモリ1306に記憶されたデータ、および最初の予測ブロックBp0から予測ブロックBpを決定する。第2の予測モジュール1310は、本発明による復元方法のステップ44および46を実施することができる。この復元方法のステップ40は、モジュール1300および1302において実施される。
【0127】
当然ながら、本発明は、上記の実施形態の諸例に限定されない。
【0128】
とりわけ、当業者は、上述の諸実施形態に任意の変形形態を適用し、またこれらを組み合わせて、それらの様々な利点から利益を得ることができる。実際、マッチング探索法以外の他の方法を使用してベクトルX
optを決定することができる。同様に、因果関係ゾーンの形も、
図12に示されるように変わりうる。この図では、考慮に入れられる因果関係ゾーンに斜線で影がつけられている。本発明は、説明のための例としてのみ示されているこれらの因果関係ゾーンの形に全く限定されない。この図では、ブロックは任意のサイズである。本発明による方法が画像内のブロックを走査する順序とは関係がないという意味において、因果関係ゾーンは、予測ブロックに対して任意の位置とすることができる。
図5を参照して説明した実施形態では、最初の時間予測Bp0は、タイプP時間予測に対応する表示順序において現在の画像の前に位置している参照画像から導出される。本発明は、この予測タイプに限定されない。実際、予測ブロックBP0は、表示順序において現在の画像の後に位置する参照画像からの予測により得ることができる。予測ブロックBp0はまた、二方向予測または2回予測される予測から得ることもできる。
付記1
画像のシーケンスの現在のブロックを符号化する方法であって、以下のステップ、
前記現在のブロックから予測ブロックを決定するステップ(30、32、34)と、
前記現在のブロックから前記予測ブロックを抽出することによって、残余ブロックを決定するステップ(36)と、
前記残余ブロックを符号化するステップ(38)と
を含む方法において、
前記現在のブロックからの前記予測ブロックが以下のステップ、
動きデータ及び前に符号化及び復元された少なくとも1つの参照画像から最初の予測ブロックを決定するステップ(30)と、
データYcpのベクトルに原子分解法を適用するステップ(32)であって、データYcpの前記ベクトルが、前に符号化及び復元された前記現在のブロックの隣接ブロックの画像データ、及び、前記最初の予測ブロックのデータを含むステップ(32)と、
分解されたベクトルから前記現在のブロックに対応するデータを抽出するステップ(34)であって、該抽出したデータが前記予測ブロックを形成するステップ(34)と
にしたがって決定される、符号化の方法。
付記2
N(Ycp−A
cX)が最小になるベクトルX
kを以下のステップ、
a)R
k-1と最も相関がある原子aj
kを選択するステップであって、ここでR
k-1はベクトルY
cpとA
c*X
k-1の間で計算された残余であり、X
k-1は繰返しk−1において決定されたXの値であり、kが整数であるステップと、
b)該選択された原子からX
k及びR
kを計算するステップと、
c)ステップa及びbを、次の終止基準N(Y
cp−A
cX
k)≦ρまで繰り返すステップであって、ここでρは閾値であるステップと、
ベクトル
【数35】
から前記予測ブロックを抽出するステップであって、ここで、
【数36】
はベクトルX
kの1つであるステップと
にしたがって決定することを含み、ここでAcは各列が原子ajを表す行列であり、N(.)は標準である、付記1に記載の符号化の方法。
付記3
【数37】
であり、ここでKは最後の繰返しのインデックスである、付記2に記載の符号化の方法。
付記4
【数38】
が以下のステップ、
各繰返しX
kで記憶するステップと、
記憶されたX
kの中から値N(Y
p−A
pX
k)が最小となるX
kを選択するステップであって、ここでY
pは前記現在のブロックに対応するY
cpの部分であり、Apは前記現在のブロックに対応する行列Acの部分であるステップと、
【数39】
から前記予測ブロックを決定するステップであって、ここで、
【数40】
は前のステップで選択されたX
kであるステップと
にしたがって決定される、付記2に記載の符号化の方法。
付記5
符号化データのストリームの形の画像のシーケンスの現在のブロックを復元する方法であって、
符号化データの前記ストリームの一部を復号することによって残余ブロックを決定するステップ(40)と、
前記現在のブロックから予測ブロックを決定するステップ(42、44、46)と、
前記残余ブロックと前記予測ブロックを合成することによって前記現在のブロックを復元するステップ(48)と
を含む方法において、
前記現在のブロックからの前記予測ブロックが以下のステップ、
動きデータ及び前に符号化及び復元された少なくとも1つの参照画像から最初の予測ブロックを決定するステップ(42)と、
データYcpのベクトルに原子分解法を適用するステップ(44)であって、データYcpの前記ベクトルは、前に復元された前記現在のブロックの隣接ブロックの画像データ、及び、前記最初の予測ブロックのデータを含むステップ(44)と、
分解されたベクトルから前記現在のブロックに対応するデータを抽出するステップ(46)であって、該抽出したデータが前記予測ブロックを形成するステップ(46)と
にしたがって決定される、復元の方法。
付記6
N(Ycp−A
cX)が最小になるベクトルX
kを以下のステップ、
a)R
k-1と最も相関がある原子aj
kを選択するステップであって、ここでR
k-1はベクトルY
cpとA
c*X
k-1の間で計算された残余であり、X
k-1は繰返しk−1において決定されたXの値であり、kが整数であるステップと、
b)該選択された原子からX
k及びR
kを計算するステップと、
c)ステップa及びbを、次の終止基準N(Y
cp−A
cX
k)≦ρまで繰り返すステップであって、ここでρは閾値であるステップと、
ベクトル
【数41】
から前記予測ブロックを抽出するステップであって、ここで、
【数42】
はベクトルX
kの1つであるステップと
にしたがって決定することを含み、ここでAcは各列が原子ajを表す行列であり、N(.)は標準である、付記5に記載の復元の方法。
付記7
【数43】
であり、ここでKは最後の繰返しのインデックスである、付記6に記載の復元の方法。
付記8
【数44】
が以下のステップ、
各繰返しX
kで記憶するステップと、
記憶されたX
kの中から値N(Y
p−A
pX
k)が最小となるX
kを選択するステップであって、ここでY
pは前記現在のブロックに対応するY
cpの部分であり、Apは前記現在のブロックに対応する行列Acの部分であるステップと、
【数45】
から前記予測ブロックを決定するステップであって、
【数46】
は前のステップで選択されたX
kであるステップと
にしたがって決定される、付記6に記載の復元の方法。