特許第5931793号(P5931793)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5931793案内情報提供システム、携帯端末、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931793
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】案内情報提供システム、携帯端末、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20160526BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20160526BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20160526BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20160526BHJP
【FI】
   G01C21/26 Z
   G08G1/005
   B61L25/02 A
   G06Q50/10 150
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-91770(P2013-91770)
(22)【出願日】2013年4月24日
(62)【分割の表示】特願2012-110770(P2012-110770)の分割
【原出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2013-238590(P2013-238590A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】596130185
【氏名又は名称】株式会社 ヴァル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】篠原 徳隆
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−209164(JP,A)
【文献】 特開2005−250081(JP,A)
【文献】 特開2010−264937(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/074638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
B61L 25/02
G06Q 50/10
G08G 1/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが自由に乗降できる公共交通機関の区間を登録する登録手段と、
前記ユーザが所持している携帯端末より取得した、当該ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報と、所定のデータベースに蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記登録された区間において前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な次の駅とを特定する特定手段と、
特定された駅に関連付けられている案内情報を、当該案内情報が蓄積されているデータベースより取得する案内情報取得手段と、
特定された駅を表す駅画像を生成するとともに、生成した駅画像の周辺に前記案内情報取得手段で取得した案内情報を環状に配列し、該案内情報を前記ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまで前記携帯端末のディスプレイに表示可能にする制御手段と、を有する
携帯端末向けの案内情報提供システム。
【請求項2】
ユーザが所持している携帯端末より取得した、当該ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報と、所定のデータベースに蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な複数の駅とを特定する特定手段と、
特定された複数の駅及び各駅に向かう前記携帯端末の位置情報を含む俯瞰画像を生成する画像生成手段と、
天候、前記ユーザの乗車位置、現在時刻、ユーザ固有のプロファイルのいずれかを、情報の取得条件として受け付ける受付手段と、
特定された複数の駅について駅毎に関連付けられている案内情報のうち、前記取得条件に適合する案内情報を、当該案内情報が蓄積されているデータベースより取得する案内情報取得手段と、
前記ユーザが前記公共交通機関に乗車中は前記俯瞰画像を前記携帯端末のディスプレイに表示させるとともに、次に到着する駅を表す駅画像の周辺に当該駅について取得した案内情報を環状に配列し該案内情報を前記公共交通機関が当該駅に到着するまで前記携帯端末のディスプレイに表示可能にする制御手段と、
を有する携帯端末向けの案内情報提供システム。
【請求項3】
ユーザに所持される携帯端末であって、
ディスプレイと、
前記ユーザが自由に乗降できる公共交通機関の区間を登録する登録手段と、
前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段と、
前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な次の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させるとともに、特定された駅に関連付けられた案内情報を、当該案内情報が蓄積されたデータベースより取得する第2情報取得手段と、
前記駅を表す駅画像を取得する第3情報取得手段と、
取得した駅画像の周辺に当該駅に関連付けられた案内情報を環状に配列し該案内情報を前記ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段と、を有する、
携帯端末。
【請求項4】
自己の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置検出手段の検出結果に基づき前記登録された区間における現在位置の相対位置関係を表す俯瞰画像を取得する第4情報取得手段とをさらに有し、
前記表示制御手段は、取得した俯瞰画像を前記駅画像と共に前記ディスプレイに表示させる、
請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記案内情報は複数種類に分類されており、
前記表示制御手段は、前記案内情報をその分類毎に異なる表示形態で、前記俯瞰画像における各駅画像の周辺に環状に配列する、
請求項4記載の携帯端末。
【請求項6】
ユーザに所持される携帯端末であって、
ディスプレイと、
前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段と、
前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に当該ユーザが下車可能な複数の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させる特定手段と、
特定された複数の駅及び各駅に向かう前記携帯端末の位置情報を含む俯瞰画像を取得する第2情報取得手段と、
天候、前記ユーザの乗車位置、現在時刻、ユーザ固有のプロファイルのいずれかを、情報の取得条件として受け付ける受付手段と、
予め公共交通機関の駅毎に関連付けられた案内情報を蓄積したデータベースより、前記取得条件に適合する案内情報を取得する第3情報取得手段と、
前記ユーザが前記公共交通機関に乗車中は前記俯瞰画像を前記ディスプレイに表示させるとともに、次に到着する駅を表す駅画像の周辺に当該駅について取得した案内情報を環状に配列し該案内情報を前記公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段と、
を有する携帯端末。
【請求項7】
ディスプレイを有する携帯コンピュータを、公共交通機関に乗車するユーザに所持される、案内情報提供用の携帯端末として動作させるためのコンピュータプログラムであって、
前記携帯コンピュータを、
前記ユーザが自由に乗降できる公共交通機関の区間を登録する登録手段、
前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段、
前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な次の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させるとともに、特定された駅に関連付けられた案内情報を、当該案内情報が蓄積されたデータベースより取得する第2情報取得手段、
前記駅を表す駅画像を取得する第3情報取得手段、
取得した駅画像の周辺に当該駅に関連付けられた案内情報を環状に配列し、該案内情報を前記ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段、
として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項8】
ディスプレイを有する携帯コンピュータを、公共交通機関に乗車するユーザに所持される、案内情報提供用の携帯端末として動作させるためのコンピュータプログラムであって、
前記携帯コンピュータを、
前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段、
前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に当該ユーザが下車可能な複数の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させる特定手段、
特定された複数の駅及び各駅に向かう前記携帯端末の位置情報を含む俯瞰画像を取得する第2情報取得手段、
天候、前記ユーザの乗車位置、現在時刻、ユーザ固有のプロファイルのいずれかを、情報の取得条件として受け付ける受付手段、
予め公共交通機関の駅毎に関連付けられた案内情報を蓄積したデータベースより、前記取得条件に適合する案内情報を取得する第3情報取得手段、
前記ユーザが前記公共交通機関に乗車中は前記俯瞰画像を前記ディスプレイに表示させるとともに、次に到着する駅を表す駅画像の周辺に当該駅について取得した案内情報を環状に配列し該案内情報を前記公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段、
として機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やスマートフォン、タブレット等の携帯端末に対して情報を提供する技術に関し、特に、携帯端末を所持して列車等の交通機関に乗車するユーザに対し、下車可能な駅に関連する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電車等の公共交通網における最適な運行経路の探索技術については、本出願人によって開発された運行経路探索ソフトウェア「駅すぱあと」(登録商標)以来、複数の企業技術者の手により幾多の改良・改善が試みられてきた。
近年は、携帯端末の高性能化やインターネット関連技術の発達により、ネットワークを介して携帯端末から出発地及び目的地の入力を受け付けて経路探索を行い、最適な経路案内を行うサービスが多数提供されている。また、単に経路探索の結果をユーザに提供するのみではなく、出発駅や目的駅の周辺情報の提供も行われている。
【0003】
特許文献1は、経路案内の他に駅周辺情報や広告等を端末装置に表示する従来技術について開示する。特許文献1では、路線情報配信サーバが、端末装置から受信した経路探索条件に基づいて最適な路線経路又は複数の候補路線経路を探索する。探索した最適経路又は選択された候補路線経路は、端末装置に配信されて表示される。その際、全体の路線図から最適な路線経路又は選択された候補路線経路のみを抽出した図面を表示し、空いているスペースに駅周辺情報や広告等(以下、「案内情報」という。)を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−209164号公報(段落0072、図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、特許文献1のように、経路探索結果とともに表示される案内情報は、目的駅についてのものである。これは、案内情報を提供する提供主にとって、目的駅に選ばれない限り情報の提供ができないために、広告効果をあまり期待できない。ユーザにとっては、目的駅以外の駅の案内情報を入手することができれば、目的駅に向かう途中に立ち寄る契機になる。例えば定期券を利用するユーザは、定期券区間内であれば自由に列車に乗降できる。そのために区間内の停車駅の案内情報を入手することができれば、該停車駅で下車して案内情報に基づく買い物をすることも可能である。このような利用が可能であれば、ユーザおよび案内情報の提供主にとって有益である。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑み、目的駅に到着するまでの乗降可能な駅の案内情報をユーザに提供するためのシステムを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の携帯端末向けの案内情報提供システムは、ユーザが自由に乗降できる公共交通機関の区間を登録する登録手段と、前記ユーザが所持している携帯端末より取得した、当該ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報と、所定のデータベースに蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記登録された区間において前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な次の駅とを特定する特定手段と、特定された駅に関連付けられている案内情報を、当該案内情報が蓄積されているデータベースより取得する案内情報取得手段と、特定された駅を表す駅画像を生成するとともに、生成した駅画像の周辺に前記案内情報取得手段で取得した案内情報を環状に配列し、該案内情報を前記ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまで前記携帯端末のディスプレイに表示可能にする制御手段と、を有するものである。
本発明の他の案内情報提供システムは、ユーザが所持している携帯端末より取得した、当該ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報と、所定のデータベースに蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な複数の駅とを特定する特定手段と、特定された複数の駅及び各駅に向かう前記携帯端末の位置情報を含む俯瞰画像を生成する画像生成手段と、天候、前記ユーザの乗車位置、現在時刻、ユーザ固有のプロファイルのいずれかを、情報の取得条件として受け付ける受付手段と、特定された複数の駅について駅毎に関連付けられている案内情報のうち、前記取得条件に適合する案内情報を、当該案内情報が蓄積されているデータベースより取得する案内情報取得手段と、前記ユーザが前記公共交通機関に乗車中は前記俯瞰画像を前記携帯端末のディスプレイに表示させるとともに、次に到着する駅を表す駅画像の周辺に当該駅について取得した案内情報を環状に配列し該案内情報を前記公共交通機関が当該駅に到着するまで前記携帯端末のディスプレイに表示可能にする制御手段と、を有するものである。
公共交通機関特定用情報には、GPSによる位置情報、時刻、あるいは、手動入力による利用路線,駅,乗車時刻等を用いることができる。
【0008】
本発明の携帯端末は、ユーザに所持される携帯端末であって、ディスプレイと、前記ユーザが自由に乗降できる公共交通機関の区間を登録する登録手段と、前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段と、前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な次の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させるとともに、特定された駅に関連付けられた案内情報を、当該案内情報が蓄積されたデータベースより取得する第2情報取得手段と、前記駅を表す駅画像を取得する第3情報取得手段と、取得した駅画像の周辺に当該駅に関連付けられた案内情報を環状に配列し該案内情報を前記ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段と、を有するものである。
本発明の他の携帯端末は、ユーザに所持される携帯端末であって、ディスプレイと、前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段と、前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に当該ユーザが下車可能な複数の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させる特定手段と、特定された複数の駅及び各駅に向かう前記携帯端末の位置情報を含む俯瞰画像を取得する第2情報取得手段と、天候、前記ユーザの乗車位置、現在時刻、ユーザ固有のプロファイルのいずれかを、情報の取得条件として受け付ける受付手段と、予め公共交通機関の駅毎に関連付けられた案内情報を蓄積したデータベースより、前記取得条件に適合する案内情報を取得する第3情報取得手段と、前記ユーザが前記公共交通機関に乗車中は前記俯瞰画像を前記ディスプレイに表示させるとともに、次に到着する駅を表す駅画像の周辺に当該駅について取得した案内情報を環状に配列し該案内情報を前記公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段と、を有するものである。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、ディスプレイを有する携帯コンピュータを、公共交通機関に乗車するユーザに所持される、案内情報提供用の携帯端末として動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記携帯コンピュータを、前記ユーザが自由に乗降できる公共交通機関の区間を登録する登録手段、前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段、前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に前記ユーザが下車可能な次の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させるとともに、特定された駅に関連付けられた案内情報を、当該案内情報が蓄積されたデータベースより取得する第2情報取得手段、前記駅を表す駅画像を取得する第3情報取得手段、取得した駅画像の周辺に当該駅に関連付けられた案内情報を環状に配列し、該案内情報を前記ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段、として機能させるものである。
本発明の他のコンピュータプログラムは、ディスプレイを有する携帯コンピュータを、公共交通機関に乗車するユーザに所持される、案内情報提供用の携帯端末として動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記携帯コンピュータを、前記ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する第1情報取得手段、前記公共交通機関特定用情報と予め蓄積されている公共交通機関の運行情報とから、前記ユーザが乗車している公共交通機関と、前記公共交通機関特定用情報の取得時点以降に当該ユーザが下車可能な複数の駅とを特定し、あるいは、外部装置に特定させる特定手段、特定された複数の駅及び各駅に向かう前記携帯端末の位置情報を含む俯瞰画像を取得する第2情報取得手段、天候、前記ユーザの乗車位置、現在時刻、ユーザ固有のプロファイルのいずれかを、情報の取得条件として受け付ける受付手段、予め公共交通機関の駅毎に関連付けられた案内情報を蓄積したデータベースより、前記取得条件に適合する案内情報を取得する第3情報取得手段、前記ユーザが前記公共交通機関に乗車中は前記俯瞰画像を前記ディスプレイに表示させるとともに、次に到着する駅を表す駅画像の周辺に当該駅について取得した案内情報を環状に配列し該案内情報を前記公共交通機関が当該駅に到着するまで前記ディスプレイに表示可能にする表示制御手段、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが下車可能な駅を特定して、特定した駅を表す駅画像と当該駅に関連付けられた案内情報のリンク画像とを、ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまでディスプレイに表示させるため、目的駅に到着するまでの乗降可能な駅の案内情報をユーザに効果的に提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の案内情報提供システムの構成図。
図2】ユーザに案内情報を提供するための処理手順を表すフローチャート。
図3】第2実施形態の案内情報提供システムの構成図。
図4】ユーザに案内情報を提供するための処理手順を表すフローチャート。
図5】案内情報の切り替え処理の処理手順を表すフローチャート。
図6】案内情報の切り替え処理の処理手順を表すフローチャート。
図7】案内情報の例示図。
図8】具体的な項目の表示例示図。
図9】具体的な項目の表示例示図。
図10】スライド操作により案内情報が切り替わる様子を表す図。
図11】スライド操作により案内情報が切り替わる様子を表す図。
図12】スライド操作により案内情報が切り替わる様子を表す図。
図13】案内情報の他の例示図。
図14図13の案内情報を描画するための処理手順を表すフローチャート。
図15】地図に経路及び下車可能駅を表示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯端末向けの案内情報提供サービスを可能にするネットワーク型の案内情報提供システムに適用した場合の実施の形態例を説明する。このような案内情報提供システムには、サーバにより、携帯端末を所持するユーザが乗車する公共交通機関を特定して案内情報を該携帯端末に提供する構成(第1実施形態)と、携帯端末により、該携帯端末を所持するユーザが乗車する公共交通機関を特定して案内情報をサーバから入手する構成(第2実施形態)とがある。
【0013】
[第1実施形態の全体構成]
図1は、第1実施形態の案内情報提供システムの構成図である。この案内情報提供システムでは、鉄道等の公共交通機関を利用するユーザが所持する携帯端末20と、携帯端末20に案内情報を提供する案内情報提供サーバ10とが、インターネット等のディジタルネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0014】
携帯端末20は、GPS(Global Positioning System)あるいはWiFi(Wireless Fidelity)のアクセスポイントを利用した端末位置特定機能と、時計機能と、ユーザによるデータの入力を可能とする入力インタフェースと、ディスプレイと、案内情報提供サーバ10との間の通信制御機能とを有するコンピュータ装置である。
【0015】
携帯端末20は、端末位置特定機能及び時計機能、あるいは入力インタフェースにより、ユーザが乗車中の公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報を取得する。時計機能による現在時刻と端末位置特定機能による携帯端末20の現在位置により、ユーザが乗車中の公共交通機関が特定できる。例えば、現在時刻が「AM9:00」で現在位置が高円寺駅と中野駅との間の中央線上であれば、当該時刻に当該位置を通過中の列車を特定可能である。入力インタフェースから入力される場合には、ユーザが直接、利用中の路線や駅名、乗車時刻等の公共交通機関を特定するのに必要なデータを入力することになる。
公共交通機関特定用情報は、通信制御機能により、ディジタルネットワークNを介して案内情報提供サーバ10に送信される。
【0016】
案内情報提供サーバ10は、ハードウエアとしては、ディジタルネットワークNに接続されるサーバ本体と外部記憶装置とを有する。そして、サーバ本体が外部記憶装置に格納されているコンピュータプログラムを実行することにより、外部記憶装置に、案内情報DB(DBはデータベースの略、以下同じ)131及び運行情報DB132を構築するとともに、サーバ本体を、データ通信用インタフェース100、情報提供ツール110、及び経路探索エンジン120として機能させる。
【0017】
案内情報DB131には、交通機関の駅の情報、例えば駅の位置(緯度、経度)、駅の出入口(北口、南口、A出口、B出口等:「駅出入口」、以下、単に出入口という)の位置、出入口に繋がる改札、改札から到達可能なホーム、ホーム間の連絡通路等のデータの他に、駅毎の駅画像や駅周辺の店舗の情報や広告等の案内情報が蓄積される。
運行情報DB132は、経路探索用の運行情報、例えばダイヤ情報(路線、時刻表を含む)と、必要に応じて、駅周辺の地図等が蓄積されている。
【0018】
データ通信用インタフェース100は、携帯端末20との双方向通信を可能にするとともに、アクセスしてきた携帯端末20に階層ページ画面を提供する。この階層ページ画面は、案内情報の表示や経路探索のWebサービスを行なうためのものである。データ通信用インタフェース100は、経路探索条件の精緻な指定をシステム側とユーザとの間でインタラクティブに行なうことにより、経路探索を行なう環境をユーザに提供するとともに、携帯端末20から公共交通機関特定用情報を取得する。
【0019】
情報提供ツール110は、公共交通機関特定用情報から、携帯端末20を所持するユーザが乗車する公共交通機関を特定し、公共交通機関特定用情報を取得した時点以降にユーザが下車可能な駅を運行情報DB132に蓄積された運行情報により特定する。情報提供ツール110は、案内情報DB131から特定した駅に関する情報を読み出して、当該駅を表す駅画像及び当該駅に関連付けられた案内情報のリンク画像を生成する。情報提供ツール110は、生成した駅画像及びリンク画像を、データ通信用インタフェース100を介して、ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまで携帯端末20のディスプレイに表示させる。また、時間の経過(列車の運行)とともに、携帯端末20のディスプレイに表示させる内容を更新する。
【0020】
経路探索エンジン120は、データ通信用インタフェース100により取得した出発地、目的地、利用時刻(指定の無い場合は現在時刻)を含む経路探索条件に従い、出発地から目的地までの経路探索を行う。出発地と目的地の少なくとも一方については、ユーザが直接入力(指定)したものをそのまま経路探索条件として特定してもよく、予め登録されるものを提示して選択させることで特定するようにしてもよい。
経路探索エンジン120は、出発地から目的地に向かって各ノード(駅等)に順次リンクを張ることを繰り返すことにより、1又は複数の経路候補を探索し、経路探索条件に最も適合するものを最適経路候補とする。
経路探索エンジン120は、公知の推論エンジンも搭載しており、経路探索途中で、つまり各ノードにリンクを張り付けていく過程で、所要時間が現実的でなくなる経路となることが判明した場合、例えば予めメモリに記憶された閾値と比べて大きくなった場合は、その時点でその経路候補についての次のノード以降の探索を止める。なお、経路探索エンジン120の基本機能部分は、本出願人が提供している経路探索ソフトウェア「駅すぱあと」(登録商標)を使用することができる。
【0021】
このような案内情報提供サーバ10は、図2に示す処理手順により、携帯端末20に案内情報を提供する。以下の説明で「S」は処理ステップを表す。
案内情報提供サーバ10は、データ通信用インタフェース100により携帯端末20から公共交通機関特定用情報及び経路探索条件を取得する(S10)。経路探索条件は、経路探索エンジン120に送られる。経路探索エンジン120は、経路探索条件に基づき、運行情報DB132を参照して経路探索を行う。経路探索結果は、データ通信用インタフェース100を介して当該携帯端末20に送信されるとともに、情報提供ツール110に送られる。公共交通機関特定用情報は、情報提供ツール110に送られる。
情報提供ツール110は、経路探索結果及び公共交通機関特定用情報から、当該携帯端末20を所持しているユーザが乗車する公共交通機関(例えば乗車する路線および列車)を特定する(S11)。公共交通機関特定用情報が現在時刻及びそのときの携帯端末20の位置を表す情報である場合、情報提供ツール110は、携帯端末20の位置及び経路探索結果から使用している路線を特定し、現在時刻から乗車する列車を特定する。公共交通機関特定用情報が入力インタフェースによりユーザが直接入力した、利用中の路線や駅名、乗車時刻等の場合、情報提供ツール110は、入力結果からそのまま路線及び列車を特定する。
【0022】
情報提供ツール110は、運行情報DB132を参照して、特定した公共交通機関により目的駅までの間でユーザが下車可能な駅を特定する(S12)。情報提供ツール110は、運行情報DB132により、ダイヤ情報を確認して、特定した路線及び列車が今後停車する駅(以下、「下車可能駅」という。)を特定する。
下車可能駅の特定後に、情報提供ツール110は、現在位置から次に到着する下車可能駅に関する駅画像及びリンク画像を案内情報DB131を参照して生成し、データ通信用インタフェース100を介して携帯端末20に提供することで、当該携帯端末20のディスプレイに、案内情報を表示させる(S13、S14)。
【0023】
情報提供ツール110は、当該下車可能駅を列車が通過するまで、駅画像及びリンク画像を携帯端末20のディスプレイに表示させる(S15:Y、S16)。下車可能駅を通過したか否かは、例えば以下のようにして判断可能である。
公共交通機関特定用情報として現在時刻及びそのときの携帯端末20の位置を表す情報を取得する場合、案内情報提供サーバ10は、公共交通機関特定用情報を所定時間間隔(例えば1分)で取得する。これにより、所定時間間隔でユーザが乗車する列車の位置が把握できる。把握した列車の位置と下車可能駅の位置とから、下車可能駅を通過したか否かを判断できる。公共交通機関特定用情報が入力インタフェースによりユーザが直接入力した情報の場合、案内情報提供サーバ10は、公共交通機関特定用情報を取得してから所定時間経過したかを判断して、これにより下車可能駅を通過したか否かを判断する。
【0024】
表示終了後、情報提供ツール110は、S12で特定した下車可能駅がまだ有るかを判断する。下車可能駅が有れば、ステップS13の処理に戻り下車可能駅が無くなるまで処理を繰り返す(S17:Y、S13)。下車可能駅が無くなれば、案内情報の提供処理を終了する(S17:N)。
【0025】
[第2実施形態の全体構成]
図3は、第2実施形態の案内情報提供システムの構成図である。この案内情報提供システムでは、第1実施形態のサーバ本体で実現した機能を携帯端末20内に実現して案内情報をユーザに提供する。携帯端末20は、ディジタルネットワークNを介して直接データベース30にアクセスする。このようなデータベース30は、例えば、クラウド型のデータベースにより実現してもよい。データベース30に設けられる案内情報DB131及び運行情報DB132は、第1実施形態の案内情報DB131及び運行情報DB132と同じ内容であるので説明を省略する。
【0026】
携帯端末20は、ディスプレイ28を備えており、所定の記憶装置に格納されている本発明のコンピュータプログラムを実行することにより、現在位置検出部21、登録部22、特定用情報生成部23、情報取得部24、入力制御部25、画像生成部26、及び表示制御部27を構築する。
【0027】
現在位置検出部21は、第1実施形態の端末位置特定機能を実現しており、GPSあるいはWiFiのアクセスポイントを利用して、携帯端末20の現在位置を検出する。
登録部22には、登録情報として、ユーザが利用する公共交通機関の通勤・通学定期区間または乗り降りフリー区間が登録される。登録情報は、ユーザの乗降可能区間を表す。
特定用情報生成部23は、現在位置検出部21で検出した現在位置、登録部22に登録された登録情報、及び現在時刻から公共交通機関特定用情報を生成する。生成した公共交通機関特定用情報は、情報取得部24に送られる。現在時刻は、例えば携帯端末20が有する時計機能により取得可能である。
【0028】
情報取得部24は、データベース30との双方向通信を行い、データの送受信を可能にする。情報取得部24は、データベース30から、ユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報の入力時点以降にユーザが下車可能な駅および当該駅に関連付けられた案内情報を取得する。
【0029】
入力制御部25は、ユーザによる入力装置を用いた各種データの入力制御を行う。携帯端末20がスマートフォンやタブレットの場合には、ディスプレイ28がタッチパネルであり入力装置としても機能するために、入力制御部25は、タッチパネルの動作制御を行う。登録部22に登録されるデータは、ユーザにより入力装置を用いて入力され、入力制御部25を介して登録される。
画像生成部26は、案内情報DB131に蓄積されている駅に関する情報から、駅を表す駅画像および案内情報のリンク画像を生成する。
表示制御部27は、画像生成部26で生成された駅画像およびリンク画像を、ディスプレイ28に表示する。また、各種画像をディスプレイ28に表示することで、ユーザに対して情報を提供する。ディスプレイ28に表示する画像は、階層ページ画面であり、ユーザの選択により、各種案内情報が表示される。
【0030】
このような携帯端末20は、図4に示す処理手順により、ユーザに案内情報を提供する。
携帯端末20の特定用情報生成部23は、現在位置検出部21で検出した現在位置、登録部22の登録情報及び現在時刻により公共交通機関特定用情報を生成する(S20)。生成した公共交通機関特定用情報は、情報取得部24に送られる。情報取得部24は、ディジタルネットワークNを介してデータベース30と通信して運行情報DB132を参照し、公共交通機関特定用情報から、ユーザが乗車する路線及び列車を特定する(S21)。路線及び列車の特定後に、情報取得部24は、運行情報DB132から公共交通機関特定用情報の入力時点以降にユーザが下車可能な駅を特定する(S22)。また、案内情報DB131から、特定した下車可能駅に関連付けられた案内情報を取得する。案内情報は、画像生成部26に送られる。
【0031】
画像生成部26は、案内情報から駅を表す駅画像および案内情報のリンク画像を生成する(S23)。画像生成部26で生成されたこれらの画像は、表示制御部27によりディスプレイ28に表示される(S24)。現在位置検出部21で検出される現在位置が、下車可能駅の位置を通過すると、表示が終了する(S25:Y、S26)。
【0032】
表示終了後、情報取得部24は、S22で特定した下車可能駅がまだ有るかどうかを判断する。下車可能駅が有れば、ステップS23の処理に戻り下車可能駅が無くなるまで処理を繰り返す(S27:Y、S23)。下車可能駅が無くなれば、案内情報の提供処理を終了する(S27:N)。
【0033】
なお、第2実施形態において、携帯端末20が経路探索エンジン及び運行情報DBを備えた構成であってもよい。これは、携帯端末20に既存の経路探索ソフトウェアをインストールすることで実現できる。このような構成では、登録情報を用いずに、経路探索結果を用いてユーザが乗車する路線及び列車の特定が可能になる。また、下車可能駅の特定も、携帯端末20内の処理で可能である。つまり、図4のステップS22の処理までを、データベース30にアクセスすることなく行うことができる。
【0034】
第1、第2実施形態の案内情報提供システムでは、以上のように、携帯端末20を所持するユーザに対して、次に下車可能な駅に関する様々な案内情報を提供可能である。
【0035】
[案内情報の表示切り替え]
第1、第2実施形態の案内情報システムのいずれでも、時間の経過に伴って下車可能駅を通過し、案内情報の表示が切り替わる。案内情報の切り替えには、携帯端末20の現在位置により切り替える場合と、運行情報に合わせて切り替える場合とがある。案内情報の表示の切り替え処理は、図2のS15や図4のS25で、下車可能駅を通過して、当該下車可能駅の案内情報が表示終了するときに実行される。以下の説明では、第2実施形態の案内情報システムを例にするが、第1実施形態の案内情報システムでも同様の処理が可能である。
【0036】
[現在位置による切り替え]
図5は、携帯端末20の現在位置に応じて、案内情報を切り替える処理の処理手順を表すフローチャートである。
現在位置検出部21により特定される現在位置に基づき(S30)、情報取得部24は、データベース30にアクセスして、現在地の最寄り駅を特定する(S31)。情報取得部24は、運行情報DB132により、特定した最寄り駅に停車する路線の下車可能駅を抽出する(S32)。情報取得部24は、下車可能駅の位置(緯度、経度)を案内情報DB131により確認して、現在位置検出部21により取得される現在位置に最も近い2駅を特定する(S33)。
【0037】
情報取得部24は、特定した2駅のうち、遠くに位置する駅を進行方向の次駅と判定して、この駅を次に案内情報を提供する駅に決定する(S34、S35)。この処理は、上記の通り、下車可能駅の案内情報の表示終了時に実行される。そのために、最も近い駅は、案内情報の表示が終了する下車可能駅になる。よって、進行方向の次駅には、次に近い駅が決定される。
情報取得部24は、決定した駅の案内情報を案内情報DB131から読み出して、画像生成部26に送る。その後、画像生成部26は、駅画像・リンク画像を生成する。生成された駅画像・リンク画像がディスプレイ28に表示されて、ユーザに当該駅の案内情報の提供が行われる(S36)。
第1実施形態では、上記の処理を情報提供ツール110が行うことになる。
【0038】
[運行情報を利用した切り替え]
図6は、現在時刻に応じて、案内情報を切り替える処理の処理手順を表すフローチャートである。
情報取得部24は、現在時刻を取得し(S40)、運行情報DB132を参照して、図4のS21で特定した路線、列車における下車可能駅の到着時刻を確認する(S41)。情報取得部24は、現在時刻と下車可能駅の到着時刻とから、到着時刻が現在時刻より後で、直近の駅を特定し、この駅を次に案内情報を提供する駅に決定する(S42、S43)。情報取得部24は、決定した駅の案内情報を案内情報DB131から読み出して、画像生成部26に送る。その後、画像生成部26は、駅画像・リンク画像を生成する。生成された駅画像・リンク画像がディスプレイ28に表示されて、ユーザに当該駅の案内情報の提供が行われる(S44)。
第1実施形態では、上記の処理を情報提供ツール110が行うことになる。
【0039】
[表示例]
図7は、第1、第2実施形態により、携帯端末20のディスプレイ28に表示される案内情報の例示図である。図7では、携帯端末20を所持するユーザが、「高円寺駅」を出発して「新宿駅」、「渋谷駅」を経由し、「外苑前駅」に至る経路を移動中である。この経路は、第1実施形態であれば、経路探索エンジン120で探索された経路であり、第2実施形態であれば、登録部22に登録される経路である。携帯端末20の現在位置は、「高円寺駅」から「中野駅」への経路の途中であり、案内情報を表示する駅として、次の停車駅である「中野駅」が特定されている。
【0040】
そのために携帯端末20のディスプレイ28には、出発駅である「高円寺駅」から目的駅である「外苑前駅」までの経路を表す経路画像と、次の下車可能駅である「中野駅」に関する案内情報の画像が表示される。また、その次の下車可能駅が「新宿駅」であることを案内しており、進行方向を矢印で示す。
【0041】
経路画像には、下車可能駅がすべて表示される。図7の経路画像では、下車可能駅の中でユーザが乗降する出発駅と目的駅、および乗り換えを行う駅(図7では、「新宿駅」及び「渋谷駅」)の表示を、他の駅とは異なるものとして目立たせている。これらの駅の表示を他の駅と異ならせるのは、経路案内において重要な駅であることを知らせるためである。経路画像に表示される電車アイコンは、携帯端末20の現在位置を表示しており、図7の例では「高円寺駅」と「中野駅」の間に位置している。現在位置の変化とともに電車アイコンの位置も変化する。
【0042】
案内情報は複数種類の項目に分類される。図7の例では、案内情報として、「中食」、「特売」、「トレンド」、「中野限定」、「ランキング」、及び「タイムセール」が表示される。表示制御部27は、駅画像をディスプレイ28の略中央部に表示させ、リンク画像を案内情報の分類毎に異なる表示形態で、当該駅画像の周辺に環状に配列する。案内する情報が無い項目は、他の項目とは異なる色で表示して(例えばグレー表示)、案内する情報がないことを知らせる。また、新着情報が有る場合には、そのことを表すキャッチアイコン等を表示する(図7の例では、「New」の表示)。
【0043】
これらの案内情報は、ユーザの選択により、その項目の詳細情報の表示画面に切り替わるようになっている。図8は、「中食」が選択されたときの例示図である。図7の表示画面から「中食」がユーザにより選択されることで、図8では「中野駅」の案内情報で「中食」が選択されて、「中食」の詳細情報が表示される。また、「中野駅」の次の停車可能駅が「新宿駅」であることと進行方向も表示される。
【0044】
第1、第2実施形態では、このような案内情報が、携帯端末20の移動に伴い、図5図6で説明した処理により、「中野駅」→「新宿駅」→「代々木駅」→…、と順次切り替わる。この他に、ディスプレイ28に表示される経路画像から、ユーザが所望の駅名をタップ等により選択することで、当該駅に関する案内情報を表示するようにしてもよい。例えば、図7の画面において、経路画像から「外苑前」が選択されれば、ユーザの現在位置にかかわらず、「外苑前駅」に関する案内情報が表示される。「外苑前駅」の案内情報から「タイムセール」が選択された場合の案内情報の例示図を図9に示す。
【0045】
この場合、情報提供ツール110や情報取得部24に、選択された駅名が送信される。情報提供ツール110や情報取得部24は、受信した駅名に関連する案内情報を案内情報DB131から取得する。その後、案内情報提供サーバ10や携帯端末20は、上記の処理により、携帯端末20のディスプレイ28に案内情報を表示する。
【0046】
この他に、案内情報は、いわゆるフリック入力のようなスライド操作により他の駅の案内情報に切り替えることが可能である。スライド操作の場合には、次の下車可能駅の駅名が、情報提供ツール110や情報取得部24に送信される。情報提供ツール110や情報取得部24は、受信した駅名に関連する案内情報を案内情報DB131から取得する。その後案内情報提供サーバ10や携帯端末20は、上記の処理により、携帯端末20のディスプレイ28に案内情報を表示する。
【0047】
図10乃至図12は、スライド操作により案内情報が切り替わる様子を表す図である。図10図11に示すように、ユーザによりディスプレイ28の上から下に向かってスライド操作が行われることで、図12のように案内情報が切り替わる。図10乃至図12では、スライド操作により、「中野駅」の案内情報が「新宿駅」の案内情報に切り替わる。図10では、駅名と案内情報の各項目がスライド操作により上から下に移動することで切り替わる様子を表している。駅毎に案内情報の項目が異なる場合に有効である。図11では、駅名のみがスライド操作により上から下に移動することで切り替わる様子を表している。駅毎の案内情報の項目が同じである場合に有効である。
【0048】
図13は、携帯端末20のディスプレイ28に表示される案内情報の他の例示図である。図13は、地図や路線図上に経路を表示して、その上に、携帯端末20の現在位置を電車アイコンにより表示する俯瞰画像である。環状の案内情報は、次の停車駅ではなく、天候やユーザの乗車位置、現在時刻、乗換駅等の取得条件が考慮されて表示される。
【0049】
「天候」を考慮することで、例えば雨天のときは地下連絡施設により移動可能な駅に関する案内情報を優先して提供可能になる。「ユーザの乗車位置」により、ユーザが案内情報で紹介された場所に立ち寄りやすい位置に下車するか(改札に近い位置に下車するか等)を考慮した案内情報の提供が可能になる。「現在時刻」により、サービスが受けられる時刻内にユーザが立ち寄ることが可能な場所についての案内情報を提供可能になる。「乗換駅」は、ユーザが列車を一度下車する。特に、通勤・通学定期区間における乗換駅では、乗降の際に料金がかからないので、駅外へ出て、ユーザが案内情報で紹介された場所に立ち寄りやすい。
これらの他に、取得条件に、ユーザのプロファイル(趣味、趣向、過去に立ち寄ったことのある場所等)を加えてもよい。ユーザのプロファイルは、例えば、携帯端末20の登録部22に記録されてもよいが、携帯端末20内にプロファイルを記録するための記録装置を用意してもよい。また、列車が故障や事故で運行を中止しているとき等は、これを取得条件に加えて、現在の駅に関する案内情報を提供するようにしてもよい。
【0050】
取得条件は、下車可能駅特定の際に用いられ(図2のS12、図4のS22)、下車可能駅のうち、取得条件を満たす駅に関する案内情報が優先的にユーザに提供される。
【0051】
図13では、取得条件を満たす下車可能駅を特定した結果、「新宿駅」、「原宿駅」、及び「渋谷駅」に関する案内情報が表示される。ユーザは、これらの各駅の案内情報を選択することで、図8図9に示すような情報が得られる。図13は、ユーザの移動経路における現在位置の相対位置関係を表す俯瞰画像であり、ユーザに、より直感的にわかりやすく案内情報を提供している。
なお、環状の案内情報は、路線図上に表示せず、駅がタップ等で選択されたときに、図7に表示が切り替わって表示するようにしてもよい。例えば図7の経路画像の選択により図13の路線図に切り替わり、図13の路線図の駅を選択することで図7の画像に切り替わる。図7の表示と相互に切り替え可能として、ユーザに路線図と情報案内の画面とを容易に選択可能とする。
【0052】
図14は、図13のような案内情報を描画するための処理手順を表すフローチャートである。
携帯端末20は、地図の表示機能を備えており、まず、ディスプレイ28に地図を表示する。携帯端末20は、その地図に重ねて、経路を表示する(S50)。経路の表示後に、下車可能駅を表示する(S51)。図15は、地図上に、経路及び下車可能駅を表示した場合の例示図である。
【0053】
経路及び下車可能駅の表示後、携帯端末20は、案内情報DB131から表示する案内情報の項目数を確認し、また、案内情報を表示する駅を決める(S52、S53)。項目数は、案内情報D131により各下車可能駅の案内情報を参照することで確認する。
案内情報を表示する駅は、天候やユーザの乗車位置、現在時刻、乗換駅、ユーザプロファイル等の取得条件により、下車可能駅の中から決められる。
携帯端末20は、S53で決めた駅の案内情報を表示する(S54)。図13の例では、項目数が6で、「新宿駅」、「原宿駅」、及び「渋谷駅」に案内情報が表示される。案内情報が表示される駅の駅名は、色を変えたり、太字にする等により強調表示する。案内情報は、項目がユーザにより選択されることで、当該項目の具体的な情報を表示する。また、携帯端末20は、現在位置を地図上に表示する。図13では、電車のアイコンで表している。
【0054】
携帯端末20は、現在位置検出部21による携帯端末20の現在位置からユーザの移動を検知すると(S55:Y)、移動後に下車可能な駅が残っているかを判断して、残っている場合には、案内情報を表示する駅を再び決めて案内情報を表示する(S56:Y、S53)。この場合、現在位置が移動するために、前回決めた案内情報を表示する駅とは異なることがある。図13の例では、例えば現在位置が「新宿駅」を通過した場合には、「新宿駅」が案内情報を表示する駅に選ばれなくなる。
携帯端末20は、下車可能な駅が残っていない場合には、処理を終了する(S56:N)。
【0055】
このように本実施形態の案内情報提供システムでは、案内情報DB131及び運行情報DB132を備え、携帯端末20からそれを保持するユーザが乗車している公共交通機関を特定するための公共交通機関特定用情報(例えばGPSによる位置,時刻、あるいは、手動入力による利用路線,駅,乗車時刻等)を取得し、取得時点以降にユーザが下車可能な駅を運航情報DB132の運行情報より特定し、特定した駅を表す駅画像と当該駅に関連付けられた案内情報のリンク画像とを生成するとともに、生成した駅画像およびリンク画像を、ユーザが乗車している公共交通機関が当該駅に到着するまでディスプレイに表示させるようにしたので、携帯端末20を所持するユーザに対して、上記取得時点以降に下車可能な駅に関する案内情報を事前に提供すること(いわゆる先読み)ができる。これによりユーザは、案内情報に応じて途中下車して買い物等が可能になり有用である。案内情報の提供主にとっても、従来よりもユーザに広く案内情報を案内することができ、広告効果が期待できる。
【0056】
本実施形態の携帯端末20は、通勤・通学定期区間または乗り降りフリー区間を登録する登録手段と、それを保有するユーザの現在位置を検出する現在位置検出手段(GPS等)を有し、登録された通勤・通学定期区間または乗り降りフリー区間における現在位置の相対位置関係を表す俯瞰画像を生成し、生成した俯瞰画像を、駅画像およびリンク画像と共にディスプレイに表示させるようにしたので、どの駅で下車可能かをユーザに視覚的に提示することができる。
【0057】
案内情報は複数種類に分類されており、携帯端末20は、駅画像をディスプレイの略中央部に表示させ、リンク画像を案内情報の分類毎に異なる表示形態で、当該駅画像の周辺に環状に配列するようにしたので、下車可能な駅の駅画像を中心として分類毎の案内情報を取得することができ、目的に応じた案内情報をすばやく先読みすることができる。
この場合、複数種類の案内情報のうち、ユーザが予め指定した種類のものを選択的に表示させるようにすることで、指定した種類の案内画像の取得がより容易となる。
ユーザが公共交通機関特定用情報の入力時点以降に下車可能で、かつユーザが乗車している公共交通機関が次に到着する駅および当該駅に関連付けられた案内情報を取得する構成にすれば、ユーザが指定しなくとも、次に到着する駅の案内情報を自動的にディスプレイに表示することができ、ユーザに注意を喚起することができる。
【0058】
携帯端末20は、また、ユーザが乗車している電車が次の駅に到着する前に、ユーザから、別の下車可能な駅の案内情報取得の指示があれば、この指示に応じた駅および当該駅に関連付けられた案内情報を取得し、指示に応じた駅の駅画像およびリンク画像を、次の駅の駅画像およびリンク画像に替えてディスプレイに表示させるようにすることで、次の駅に到着したときに乗り換えるべきかの判断の選択肢を事前にユーザに提示することができる。
【0059】
携帯端末20は、また、ユーザが公共交通機関特定用情報の入力時点以降に下車可能で、かつ所定の条件(天候やユーザの乗車位置、現在時刻、乗換駅等の取得条件)を満たす1以上の駅および当該駅に関連付けられた案内情報を取得し、1以上の駅を表す駅画像および1以上の駅のそれぞれの案内情報のリンク画像を生成することで、条件に適合する案内情報を先読みすることができる。特に、通勤・通学定期区間の乗換駅では、ユーザが駅構外に出て、案内情報で紹介された場所に立ち寄りやすいので、ユーザは、案内情報に応じて途中下車して買い物等が可能になり有用である。案内情報の提供主にとっても、従来よりもユーザに広く案内情報を案内することができ、広告効果が期待できる。
【符号の説明】
【0060】
10…案内情報提供サーバ、100…データ通信用インタフェース、110…情報提供ツール、120…経路探索エンジン、131…案内情報DB、132…運行情報DB、20…携帯端末、21…現在位置検出部、22…登録部、23…特定用情報生成部、24…情報取得部、25…入力制御部、26…画像生成部、27…表示制御部、28…ディスプレイ、30データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図14
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図15