特許第5931873号(P5931873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931873
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】非接触搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 51/03 20060101AFI20160526BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20160526BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   B65G51/03 E
   B65G49/06 Z
   H01L21/68 A
   B65G51/03 C
   B65G51/03 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-525598(P2013-525598)
(86)(22)【出願日】2012年3月9日
(86)【国際出願番号】JP2012056136
(87)【国際公開番号】WO2013014964
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年1月21日
(31)【優先権主張番号】特願2011-162701(P2011-162701)
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】小澤 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】角田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】池田 俊之
【審査官】 佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−051654(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/119377(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/058689(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/00−49/08
H01L 21/67−21/687
B65G 51/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触搬送レールと、該非接触搬送レールと被搬送物の搬送方向に相隣り合って配列された非接触搬送レールと、これら非接触搬送レールの継ぎ目の上方に、該継ぎ目の空間部分を挟んで相対向して配置され、前記被搬送物を吸引する非接触吸引装置とからなり、
該非接触吸引装置は吸引保持体を有し、
該吸引保持体は、平面視方形状の基体と、該基体に装着された旋回流形成体とからなり、
前記基体は、上面に開口する平面視円形の開口部を有すると共に底面部を備えた円筒収容凹部と、該円筒収容凹部の円筒内壁面部に該円筒内壁面部と環状肩部を介して拡径する帯状円筒壁面部と、該基体の長手方向に沿って形成され、一部が該円筒収容凹部の底面部に開口する空気通路と、一方の端部が該基体の裏面に開口し、他方の端部が該空気通路に開口する空気供給口とを備え
前記旋回流形成体は、一方の端部に平面視略円形の開口部を有し、他方の端部に底面部を有する円筒状凹部を備えた円筒状本体と、該円筒状本体の円筒状凹部の開口部の外周縁に形成された環状鍔部と、該環状鍔部の外周面から下方に垂下し、先端に係止突起を有して該外周面の径方向に相対向して形成された複数個の係合垂下部と、前記円筒状凹部の円筒内壁面に該円筒内壁面の接線方向であって該円筒状凹部の中心を挟んで対角線上の相対向する位置に該円筒内壁面から径方向外方に凹んだ平面視三角形状の凹部と、該各々の凹部の内側壁面部に形成され、円筒状凹部の円筒内壁面側に向かって各々反対方向に開口する空気噴出口と、該空気噴出口に連通し、円筒状本体の外周面から突出した凹部の外側壁面部に開口する空気取入口を備え、該旋回流形成体は、前記円筒状本体の環状鍔部の外周面を、前記基体の前記円筒収容凹部の円筒内壁面部に圧入嵌合し、前記係合垂下部の係止突起を、各々該基体の前記円筒内壁面部の環状肩部に係合させて該基体の円筒収容凹部に装着されることを特徴とする非接触搬送装置。
【請求項2】
前記非接触吸引装置は、前記非接触搬送レールの継ぎ目の空間部分を挟んで相対向すると共に、非接触搬送レールの幅方向に相対向して立設された一対の支柱と、該支柱間を跨って掛け渡された天井板とを有し、該天井板の下面に前記吸引保持体が固着されたことを特徴とする請求項1に記載の非接触搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)や太陽電池パネル(ソーラーパネル)等の生産に用いられる非接触搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDやソーラーパネル等の生産に際し、1枚のパネルを大型化することで生産効率を上げる方法が採用されている。例えば、LCDの場合には、第10代世代で2850×3050×0.7mmの大きさとなる。そのため、従来のように、複数個並べられたローラの上に液晶ガラスを載せて転がり搬送すると、ローラを支持するシャフトの撓みやローラ高さの寸法のばらつきにより、液晶ガラスに局部的に強い力が働き、当該液晶ガラスに斑痕、擦傷等の損傷を与える虞がある。
【0003】
このようなFPDやソーラーパネル等の被搬送物の損傷を避けることができる空気による浮上搬送の技術分野においては、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載された空気浮上の搬送装置をはじめ、各種非接触搬送装置が種々提案され、本出願人も旋回流によって被搬送物を浮上、搬送させる非接触搬送装置を提案した(特許文献4)。
【0004】
この特許文献4に記載された非接触搬送装置によれば、旋回流形成体の表面側に上方へ向かう上昇旋回流を発生させることで被搬送物を浮上させ、それによって、従来の1/2程度の空気流量で搬送を可能とするという利点を有する。
【0005】
ところで、上記非接触搬送装置にあっては、被搬送物の搬送距離を延ばす場合には、搬送レールを被搬送物の搬送方向に沿って継ぎ足して距離を延ばすことになるが、その際、搬送レールとこの搬送レールと相隣合う搬送レールとの継ぎ目の空間部分が大きくなると、図16に示すように、この継ぎ目の空間部分Sでは被搬送物(例えば、ガラス)Gに空気膜圧が作用しないため、被搬送物Gの自重により搬送レール2、3からオーバーハングした部位に撓みを生じ、被搬送物Gの端部が搬送レール2、3の端部に衝突して破損する虞がある。この撓みを回避するために浮上量を大きくしても、被搬送物Gの端部の撓みも比例して大きくなるため、被搬送物Gの搬送レール2、3への衝突を回避することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特開平6−127738号公報
【特許文献2】日本特開2003−63643号公報
【特許文献3】日本特開2006−264804号公報
【特許文献4】国際公開第2009/119377号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2010/058689号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した搬送レール間の継ぎ目の空間部分における被搬送物のオーバーハング部位の搬送レールへの衝突を回避する技術として、前記特許文献2は、搬送面における搬送方向と直交する幅方向中央部位置に配置された搬送方向に長い箱状体の浮上チャンバと、搬送面における幅方向両端位置で、搬送方向に配置された幅方向一対の搬送ローラ列とから構成され、浮上チャンバは、搬送面と平行であって箱状体の蓋に相当する上面板を有し、この上面板には、多数の気体噴出小孔が形成され、箱状体の浮上チャンバにおける搬送方向後側の端面板の上端縁と上面板の搬送方向後端縁との間には隙間が形成され、該隙間から動圧気体を流出することにより動圧浮上手段を構成する搬送装置を開示している。
【0008】
前記特許文献3は、搬送する大型ガラス基板に対応させたベース体と、このベース体の底面に設けられた給気部と、ベース体の上面に設けられた多孔部と、給気部からベース体内に流入し、多孔部から流出して基板を浮上させる空気を、ベース体の上面から底面に流出させ、かつ、ベース体外に排気させる排気部と、この排気部に設けられた流量調整器と、ベース体の上面のエッジ部に形成され、かつ、基板を動圧空気により浮上させるエッジ孔部を備えた浮上ユニットを用いた非接触搬送装置を開示している。
【0009】
特許文献5は、複数の搬送レールを被搬送物の搬送方向に沿って配置し、該複数の搬送レール上で該被搬送物を浮上させながら搬送する非接触搬送装置であって、搬送レールの端部以外の搬送面に設けられ、上昇旋回流を生じさせて被搬送物を浮上させる第1の流体噴出手段と、搬送レールの端部の搬送面に設けられ、該搬送レール上を搬送される被搬送物の端部が、隣り合う搬送レール間の継ぎ目又はその近傍に達したときに、被搬送物の端部に流体を吹き付け、該被搬送物の端部を浮上させる第2の流体噴出手段を備えた非接触搬送装置を開示している。
【0010】
上記特許文献2、特許文献3及び特許文献5に記載された搬送レール間の継ぎ目の空間部分における被搬送物の該搬送レールからオーバーハングした部位の搬送レールへの衝突を回避する技術は、被搬送物が搬送レールの搬送方向の先端部側に搬送されたときに、被搬送物の先端部に下方から空気を噴射し、当該被搬送物の端部を浮上させるものである。
【0011】
特許文献3に記載された装置においては、浮上ユニット毎に流量調整機を設ける必要があり、また特許文献5に記載された装置においては、搬送レール毎に第2の噴出手段である噴出スロットを設ける必要があり、装置自体のコスト増を招来し、また取付作業を煩雑化させるなどの問題がある。
【0012】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、装置コストを低く抑え、取付作業も容易で、被搬送物の先端部分が相隣り合う搬送レールに衝突することなく相隣り合う搬送レールへ乗り移ることができる非接触搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、非接触搬送装置であって、非接触搬送レールと、該非接触搬送レールと被搬送物の搬送方向に相隣り合って配列された非接触搬送レールと、これら非接触搬送レールの継ぎ目の上方に、該継ぎ目の空間部分を挟んで相対向して配置され、前記被搬送物を吸引する非接触吸引装置とからなり、該非接触吸引装置は吸引保持体を有し、該吸引保持体は、平面視方形状の基体と、該基体に装着された旋回流形成体とからなり、前記基体は、上面に開口する平面視円形の開口部を有すると共に底面部を備えた円筒収容凹部と、該円筒収容凹部の円筒内壁面部に該円筒内壁面部と環状肩部を介して拡径する帯状円筒壁面部と、該基体の長手方向に沿って形成され、一部が該円筒収容凹部の底面部に開口する空気通路と、一方の端部が該基体の裏面に開口し、他方の端部が該空気通路に開口する空気供給口とを備え、前記旋回流形成体は、一方の端部に平面視略円形の開口部を有し、他方の端部に底面部を有する円筒状凹部を備えた円筒状本体と、該円筒状本体の円筒状凹部の開口部の外周縁に形成された環状鍔部と、該環状鍔部の外周面から下方に垂下し、先端に係止突起を有して該外周面の径方向に相対向して形成された複数個の係合垂下部と、前記円筒状凹部の円筒内壁面に該円筒内壁面の接線方向であって該円筒状凹部の中心を挟んで対角線上の相対向する位置に該円筒内壁面から径方向外方に凹んだ平面視三角形状の凹部と、該各々の凹部の内側壁面部に形成され、円筒状凹部の円筒内壁面側に向かって各々反対方向に開口する空気噴出口と、該空気噴出口に連通し、円筒状本体の外周面から突出した凹部の外側壁面部に開口する空気取入口を備え、該旋回流形成体は、前記円筒状本体の環状鍔部の外周面を、前記基体の前記円筒収容凹部の円筒内壁面部に圧入嵌合し、前記係合垂下部の係止突起を、各々該基体の前記円筒内壁面部の環状肩部に係合させて該基体の円筒収容凹部に装着されることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる非接触搬送装置によれば、非接触搬送レールの継ぎ目の上方に、該継ぎ目の空間部分を挟んで相対向して配置された非接触吸引装置によって該吸引装置とは非接触状態で該吸引装置側に吸引保持されると共に、被搬送物は、当該吸引保持された状態を保って該つなぎ目の空間部分を通過して搬送されるので、被搬送物の搬送方向の先端部が搬送方向に相隣り合う非接触搬送レールに衝突することはなく、被搬送物を損傷させることもない。
【0018】
上記基体と該基体に装着された旋回流形成体とからなる吸引保持体を備えた吸引浮上装置において、基体の空気通路から該基体の円筒収容凹部を介して該円筒収容凹部に装着された旋回流形成体に圧縮空気が供給されると、圧縮空気は該旋回流形成体の流体供給口を介して流体噴出孔から円筒状凹部内に噴出され、円筒状凹部の内部空間で旋回流となって該円筒状凹部の開口部から流出する。その流出時に、旋回流形成体の環状鍔部の端面に相対向する位置に被搬送物が配されていると、空気は環状鍔部の端面に沿って高速流となって流出するので、環状鍔部の端面と被搬送物との間は負圧となる。この負圧により被搬送物は環状鍔部の端面側に吸引される一方、円筒状凹部の開口部から流出して環状鍔部の端面と被搬送物との間に旋回流として介在する空気により反発力を受け、そのバランスにより、被搬送物は環状鍔部の端面に相対向した状態で、非接触で保持される。
【0019】
このように、被搬送物は、搬送レール間のつなぎ目の空間部分を挟んで搬送方向に相対向して設けられた非接触吸引装置によって、該吸引装置とは非接触状態で該吸引装置側に吸引保持されるので、被搬送物の搬送方向の先端部が搬送方向に相隣り合う非接触搬送レールに衝突することはなく、被搬送物を損傷させることもない。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、装置コストを低く抑え、取付作業も容易で、被搬送物の先端部分が相隣り合う搬送レールに衝突することなく相隣り合う搬送レールへ乗り移ることができる非接触搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の非接触搬送装置の全体を示す平面図である。
図2図1の断面正面図である。
図3図1のI−I線断面図である。
図4】基体の平面図である。
図5図4のII−II線断面図である。
図6図5の一部拡大断面図である。
図7図4のIII−III線断面図である。
図8】基体の背面図である。
図9】平面視右回り方向(時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(b)のIV−IV線断面図、(e)は(c)のA部の拡大断面図、(f)は(d)のB部の拡大断面図である。
図10】平面視左回り方向(反時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(c)のV−V線断面図、(e)は(c)のD部の拡大断面図、(f)は(d)のE部の拡大断面図である。
図11】基体に旋回流形成体を装着した吸引保持体を示す平面図である。
図12図11のVI−VI線断面図である。
図13図12の一部拡大断面図である。
図14図11の右側面図である。
図15】吸引保持体の他の形態を示す平面図である。
図16】搬送レール間の継ぎ目の空間部分と被搬送物との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明においては、被搬送物として液晶ガラス(以下「ガラス」という。)を搬送する場合を例にとって説明する。
【0023】
図1から図3において、非接触搬送装置1は、本例では、幅方向に3列にわたって所定の間隔をもって配置された非接触搬送レール2と、該非接触搬送レール2と搬送方向Xに相隣り合って配置された3列の非接触搬送レール3と、該非接触搬送レール2及び3の搬送方向Xの継ぎ目4の空間部分Sの上方に、該継ぎ目4の空間部分Sを挟んで搬送方向Xに相対向して配置された非接触吸引装置5及び5と、非接触搬送レール2及び3を幅方向に挟んで搬送方向Xに沿って配された壁部6及び6に回転自在に支承された複数個の駆動装置としての駆動ローラ7とから構成され、ガラスGは駆動ローラ7によって搬送方向Xに沿って搬送される。
【0024】
非接触吸引装置5は、非接触搬送レール2及び3の搬送方向Xの継ぎ目4の空間部Sを挟んで相対向し、かつ駆動ローラ7を挟んで各々相対向して立設された一対の支柱8及び8と、該支柱8間に跨って掛け渡された天井板9及び9と、該天井板9及び9の下面に固着された吸引保持体10及び10とから構成されている。
【0025】
吸引保持体10は、平面視方形状の基体11と該基体11に装着された旋回流形成体12又は13とから形成されている。
【0026】
基体11は、図4から図8に示すように、該基体11の長手方向Yに沿うと共に該基体11の幅方向に2列にわたって形成され、該基体11の上面14に開口する平面視円形の開口部15を有すると共に底面部16を備えた円筒収容凹部17と、該円筒収容凹部17の円筒内壁面部18に該円筒内壁面部18と環状肩部19を介して拡径する帯状円筒壁面部20と、該基体11の長手方向Yに沿って形成され、一部が該円筒収容凹部17の底面部16に開口する空気通路21とを備え、該空気通路21の一方の端部は行き止まりとなっており、他方の端部は各々該空気通路21の端部に形成された雌ねじ部22に螺合固定された閉塞栓23(図14参照)によって閉塞されている。
【0027】
該基体11の裏面24には、一方の端部が該裏面24に開口し、他方の端部が該空気通路21に各々開口する空気供給口25が形成され、該空気供給口25には供給ポンプ(図示せず)が連結される。
【0028】
該基体11は、該基体11に設けられた複数個のねじ孔26に螺合したねじ(図示せず)によって、天井板9の下面に固着されている。
【0029】
基体11の円筒収容凹部17に配される旋回流形成体は、図9(a)から(f)に示す右回り方向(時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体12と、図10(a)から(f)に示す左回り方向(反時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体13が、各々単独で、あるいは両者を組み合わせて使用される。
【0030】
図9(a)から(f)に示す右回り方向(時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体12は、一方の端部に平面視略円形の開口部12aを有し、他方の端部に底面部12bを有する円筒状凹部12cを備えた円筒状本体12dと、該円筒状本体12dの円筒状凹部12cの開口部12aの外周縁に形成された環状鍔部12eと、該環状鍔部12eの外周面12fから下方に垂下し、先端に係止突起12gを有して該外周面12fの径方向に相対向して形成された複数本、本例では4本の係合垂下部12hと、円筒状凹部12cの円筒内壁面12iに該円筒内壁面12iの接線方向であって該円筒状凹部12cの中心Oを挟んで対角線上の相対向する位置に該円筒内壁面12iから径方向外方に凹んだ平面視三角形状の凹部12j及び12jと、各々の凹部12j及び12jの内側壁面部12k及び12kに形成され、円筒状凹部12cの円筒内壁面12i側に向かって各々反対方向に開口する空気噴出口12l及び12lと、該空気噴出口12l及び12lに連通し、円筒状本体12dの外周面12mから突出した凹部12j及び12jの外側壁面部12n及び12nに開口する空気取入口12o及び12oを備えている。
【0031】
上記旋回流形成体12の空気取入口12o及び12oから供給された空気は、各々空気噴出口12l及び12lを介して円筒状本体12dの円筒状凹部12cに噴出し、該円筒状凹部12cの内部空間で平面視右回り方向の旋回流(図9(b)中の矢印C方向)となって該円筒状凹部11dの開口部11aから流出する。
【0032】
図10(a)から(f)に示す左回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体13は、前記旋回流形成体12と同様、一方の端部に平面視略円形の開口部13aを有し、他方の端部位に底面部13bを有する円筒状凹部13cを備えた円筒状本体13dと、該円筒状本体13dの円筒状凹部13cの開口部13aの外周縁に形成された環状鍔部13eと、該環状鍔部13eの外周面13fから下方に垂下し、先端に係止突起13gを有して該外周面13fの径方向に相対向して形成された複数本、本例では4本の係合垂下部13hと、円筒状凹部13cの円筒内壁面13iに該円筒内壁面13iの接線方向であって該円筒凹部13cの中心Oを挟んで対角線上の相対向する位置に該円筒内壁面13iから径方向外方に凹んだ平面視三角形状の凹部13j及び13jと、各々の凹部13j及び13jの内側内壁面13k及び13kに形成され、円筒凹部13cの円筒内壁面13i側に向かって各々反対方向に開口する空気噴出口13l及び13lと、該空気噴出口13l及び13lに連通し、円筒状本体13dの外周面13mから突出した凹部13j及び13jの外側壁面部13n及び13nに開口する空気取入口13o及び13oを備えている。
【0033】
上記旋回流形成体13の空気取入口13o及び13oから供給された空気は、各々空気噴出口13l及び13lを介して円筒状本体13dの円筒状凹部13cに噴出し、該円筒状凹部13cの内部空間で平面視左回りの旋回流(図10(b)中の矢印F方向)となって該円筒状凹部13dの開口部13aから流出する。
【0034】
これら旋回流形成体12及び13は、例えばポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)などの熱可塑性合成樹脂から形成されている。
【0035】
上記旋回流形成体12は、円筒状本体12dの環状鍔部12eの外周面12fを、前記基体11の円筒収容凹部17の円筒内壁面部18に圧入嵌合し、係合垂下部12hの係止突起12gを、各々該基体11の円筒内壁面部18の環状肩部19に係合させることにより、該基体11の円筒収容凹部17に装着される。
【0036】
旋回流形成体13も上記旋回流形成体12と同様の方法で、基体11の円筒収容凹部17に装着される。
【0037】
基体11の円筒収容凹部17に旋回流形成体12を装着して形成された吸引保持体10は、該旋回流形成体12が装着された側の面、換言すれば基体11の上面14を下向きにして天井板9(図1乃至図3参照)の下面に固着される。
【0038】
次に、上記構成からなる非接触搬送装置1の動作について、図1及び図2を中心に参照しながら説明する。
【0039】
非接触搬送レール2上に配置されたガラスGは、該搬送レール2上を浮上しながら駆動ローラ7によって搬送方向Xに搬送される。ガラスGが該搬送レール2と該搬送レール2と搬送方向Xに相隣り合う搬送レール3との間の継ぎ目4の空間部分Sに差し掛かる手前で、非接触吸引装置5及び5における吸引保持体10の空気供給口25に圧縮空気が供給され、圧縮空気は空気通路21から該空気通路21に連通する円筒収容凹部17の底面部16に流動する。円筒収容凹部17に流動した圧縮空気は、該円筒収容凹部17に装着された旋回流形成体12の空気取入口12o及び12oから空気噴出口12l及び12lを介して円筒状本体12dの円筒状凹部12cに噴出する。該円筒状凹部12cに噴出した圧縮空気は、円筒状凹部12cの内部空間で平面視右回り方向の旋回流となって該円筒状凹部12cの開口部12aから流出する。
【0040】
このとき、旋回流形成体12の環状鍔部12eの端面と相対向する位置にガラスGが搬送されているので、円筒状凹部12cの開口部12aから流出した空気は、環状鍔部12eの端面に沿って高速流となって流出するので、該環状鍔部12eの端面とガラスGとの間は負圧となる。この負圧によりガラスGは、環状鍔部12e側に吸引されるが、円筒状凹部12cの開口部12aから流出して環状鍔部12eの端面とガラスGとの間に旋回流として介在する空気により反発力を受け、この反発力と負圧とのバランスにより、ガラスGは環状鍔部12eの端面に相対向した状態で、非接触で保持される。
【0041】
このように、ガラスGは非接触状態を保ちながら該吸引保持体10側に吸引保持されるので、搬送レール2及び3間の継ぎ目4の空間部分SにガラスGがオーバーハングすることはなく、搬送レール3に衝突することなく相隣り合う搬送レール3に乗り移ることができる。
【0042】
なお、以上の説明においては、基体11の円筒収容凹部17に旋回流形成体12を装着して形成した吸引保持体10を使用した態様を説明したが、基体11の円筒収容凹部17に旋回流形成体13を装着して形成した吸引保持体10を使用してもよく、また旋回流形成体12及び13を搬送方向Xに交互に装着して形成した吸引保持体10を使用してもよい。また、吸引保持体10として図15に示すように、基体11に旋回流形成体12又は13を長手方向に千鳥状に装着した吸引保持体10を使用してもよい。
【0043】
以上のように、非接触搬送レール2に沿って浮上搬送されたガラスGの搬送方向の先端部は、該非接触搬送レール2と搬送方向に相隣り合う非接触搬送レール3との継ぎ目4の空間部分Sに搬送される手前において、該継ぎ目4の空間部分Sを挟んで搬送方向に相対向して設けられた非接触吸引装置5及び5において、該吸引装置5を形成する吸引保持体10によって、該吸引保持体10とは非接触状態で吸引保持されると共に、当該吸引保持された状態を保って該継ぎ目4の空間部分Sを通過して搬送されるので、ガラスGの搬送方向の先端部が搬送方向に相隣り合う非接触搬送レール3に衝突することがなく、ガラスGを損傷させることのない非接触搬送装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 非接触搬送装置
2、3 非接触搬送レール
4 継ぎ目
5 非接触吸引装置
6 壁部
7 駆動ローラ
8 支柱
9 天井板
10 吸引保持体
11 基体
12、13 旋回流形成体
14 上面
15 開口部
16 底面部
17 円筒収容凹部
18 円筒内壁面部
19 環状肩部
20 帯状円筒壁面部
21 空気通路
22 雌ねじ部
23 閉塞栓
24 裏面
25 空気供給口
26 ねじ孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図16